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Specification :(In Japanese)成形用スタンパおよび成形装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5061269
Publication number P2008-062484A
Date of registration Aug 17, 2012
Date of issue Oct 31, 2012
Date of publication of application Mar 21, 2008
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)成形用スタンパおよび成形装置
IPC (International Patent Classification) B29C  33/02        (2006.01)
B29C  33/42        (2006.01)
B29C  43/36        (2006.01)
B29C  59/02        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
G11B   7/26        (2006.01)
FI (File Index) B29C 33/02
B29C 33/42
B29C 43/36
B29C 59/02 B
H01L 21/30 502D
G11B 7/26 511
Number of claims or invention 8
Total pages 15
Application Number P2006-242182
Date of filing Sep 6, 2006
Date of request for substantive examination Aug 13, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】古桑 健
【氏名】松田 伸
【氏名】小寺 秀俊
Representative (In Japanese)【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎
Examiner (In Japanese)【審査官】原田 隆興
Document or reference (In Japanese)特開2002-046161(JP,A)
特開平10-034655(JP,A)
特開平02-182434(JP,A)
特開2001-353761(JP,A)
Field of search B29C33/00~33/76
B29C43/00~43/58
B29C59/00~59/18
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
被成形体を成形する側の表面部が凹凸状に形成される基体と、
前記基体に配設される発熱抵抗体とを含み、
前記基体に、前記発熱抵抗体に電気的に接続され、電磁波を受けて起電力を発生する起電力発生回路が配設されていることを特徴とする成形用スタンパ。
【請求項2】
前記発熱抵抗体は、前記基体の内部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の成形用スタンパ。
【請求項3】
前記発熱抵抗体は、前記表面部の凸状部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の成形用スタンパ。
【請求項4】
前記基体がセラミックスから成ることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の成形用スタンパ。
【請求項5】
前記基体と前記発熱抵抗体とが一体的に焼結されて成ることを特徴とする請求項4に記載の成形用スタンパ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の成形用スタンパと、
前記成形用スタンパを被成形体に押圧する押圧手段と、
前記発熱抵抗体に電力を供給するための電力供給手段とを含むことを特徴とする成形装置。
【請求項7】
前記電力供給手段は、電磁波を発生して、前記起電力発生回路に電磁波を放射する電磁波発生手段であることを特徴とする請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記成形用スタンパの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段によって検出された温度に応じて前記発熱抵抗体に供給される供給電力を制御するための電力制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の成形装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂などの被成形体を成形するための成形用スタンパおよび前記成形用スタンパを備える成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学およびバイオの技術分野では、化学反応、生化学反応および試料を分析するためのシステムを、より小型化したマイクロ化学システムが研究されている。このマイクロ化学システムは、たとえば従来のシステムに比べて微細に加工されたマイクロ流路内で化学反応を起こさせたり、試料の分析を行う。これによって試料の単位面積当たりの反応面積を増大させ、試料の反応が完了する時間を大幅に削減することができる。またマイクロ流路内を流れる流体の流量を精密に制御することができ、化学反応および試料の分析を効率的に行うことができる。このようなマイクロ化学システムにおける化学反応および試料の分析は、マイクロ流路、マイクロポンプおよびマイクロリアクタが形成されるマイクロ化学チップと呼ばれるチップにおいて行われている。
【0003】
このような高精度で微細なマイクロ化学チップを民生用に広げるために、マイクロ化学チップが量産可能な製造装置を開発し、量産に伴うマイクロ化学チップの低コスト化を図っている。量産化するための技術として、たとえばスタンパを用いて、樹脂およびガラスなどの被成形体に数十~数百μmの突起などの構造物を転写成形し、マイクロ流路を形成する成形方法が試みられている。
【0004】
図9は、従来の技術の成形装置1を示す正面断面図である。成形装置1は、スタンパ2を用いて、ホットエンボス法で被成形体3にマイクロ流路を転写成形するための装置である。成形装置1は、スタンパ2と、スタンパ2を被成形体3に押圧させる押圧手段4と、スタンパ2を加熱する加熱手段5とを有する。スタンパ2などの型は、その表面部がフォトリソグラフィ技術を用いて所望の形状に加工されているシリコン基板が用いられる。スタンパ2は押圧手段4の基台6に設けられている。被成形体3には、PMMAなどの感光性樹脂をレジストに用いる場合、ガラスなどが用いられる。
【0005】

【特許文献1】特開2004-288845号公報
【特許文献2】特開2004- 71587号公報
【特許文献3】特開2004-160647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の成形装置1を用いたホットエンボス法は、加熱されているスタンパ2を高い圧力で被成形体に押圧することによって行われるので、スタンパ2を加熱する加熱手段5が押圧手段4内、具体的には基台6内に設けられている。基台6内に加熱手段5が設けられているので、押圧手段4を介して放熱される点、および基台6を介してスタンパ2を加熱するという点で熱損失が大きく、スタンパ2を効率よく加熱することができず、熱効率が低い。また熱効率を向上させるために成形装置1を断熱すると、断熱構造が必要となり装置全体が大型化してしまう。
【0007】
本発明の目的は、熱効率が大きい成形用スタンパおよび成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被成形体を成形する側の表面部が凹凸状に形成される基体と、
前記基体に配設される発熱抵抗体とを含み、
前記基体に、前記発熱抵抗体に電気的に接続され、電磁波を受けて起電力を発生する起電力発生回路が配設されていることを特徴とする成形用スタンパである。
【0009】
また本発明は、前記発熱抵抗体は、前記基体の内部に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記発熱抵抗体は、前記表面部の凸状部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記基体がセラミックスから成ることを特徴とする。
また本発明は、前記基体と前記発熱抵抗体とが一体的に焼結されて成ることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前述の成形用スタンパと、
前記成形用スタンパを被成形体に押圧する押圧手段と、
前記発熱抵抗体に電力を供給するための電力供給手段とを含むことを特徴とする成形装置である。
また本発明は、前記電力供給手段は、電磁波を発生して、前記起電力発生回路に電磁波を放射する電磁波発生手段であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記成形用スタンパの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段によって検出された温度に応じて前記発熱抵抗体に供給される供給電力を制御するための電力制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基体に発熱抵抗体が配設されているので、基体が直接的に加熱される。基体を直接的に加熱するので、基体以外の構成に伝達する熱を抑制でき、熱損失を小さくすることができる。また基体を直接的に加熱するので、外部に熱が逃げることを防ぐための断熱手段を設けずとも熱損失が小さい。したがって断熱手段を設ける必要がなく、部品点数を削減でき、構成を簡単化することができる。また基体に熱源である発熱抵抗体が設けられるので、熱源が被成形体に近く、従来の技術の成形装置より小さい電流で、基体の表面部が被成形体を成形するために必要な温度に達する。
また、基体に配設される起電力発生回路に向かって電磁波を放射すると、起電力発生回路が電磁波を受け起電力が発生する。これによって発熱抵抗体に電力が供給され、発熱抵抗体が発熱し、基体の温度を上昇させることができる。起電力発生回路を用いることによって、電源と発熱抵抗体とを電気的に接続する必要がなく、外部配線を省略することができる。
【0018】
本発明によれば、発熱抵抗体が基体の内部に配設されるので、発熱抵抗体が被成形体に直接接触することがない。これによって発熱抵抗体の損傷を防止することができ、発熱抵抗体が断線して成形用スタンパが使用不能になることを防止できる。さらに発熱抵抗体が外部に露出していないので、発熱抵抗体の腐蝕も防止することができる。このように発熱抵抗体を基体内部に配設することによって、損傷および腐蝕から発熱抵抗体を保護することができる。
【0019】
本発明によれば、発熱抵抗体が表面部の凸状部に設けられている。被成形体を成形するとき、成形用スタンパを被成形体に押圧することによって、成形用スタンパの凸状部が被成形体の表面部を変形させ、被成形体が成形される。凸状部に発熱抵抗体が設けられるため、熱損失が小さく、被成形体を成形するための所望の温度への昇温を、より小さい電流で達成することができ、結果として熱効率を向上させることができる。
【0020】
本発明によれば、基体がセラミックから成る。これによって発熱抵抗体との一体性を高めることができる。また基体がセラミックから成るので、耐摩耗性、耐腐蝕性および耐熱性が高く、破損や腐蝕、熱による変形が抑制され、利便性の高い成形用スタンパを実現することができる。これによって、成形用スタンパによって成形が繰返し行われても基体が損傷することがなく、また基体の加熱および冷却が繰返し行われても、基体が熱応力などで破損することがない。
【0021】
本発明によれば、基体と発熱抵抗体とが一体的に焼結されているので、被成形体を繰返し成形するときの熱応力に起因する基体からの発熱抵抗体の剥離を抑制できる。
【0024】
本発明によれば、電力供給手段によって発熱抵抗体に電力を供給し、基体の温度を上昇させた状態で、押圧手段によって成形用スタンパを被成形体に押圧することによって、被成形体を成形することができる。
本発明によれば、電力供給手段である電磁波発生手段によって起電力発生回路に電磁波を放射すると、起電力発生回路で起電力が発生し、発熱抵抗体に電力が供給される。これによって発熱抵抗体が発熱して基体の温度を上昇させる。このように基体の温度が上昇した状態で、押圧手段によって成形用スタンパにより被成形体を押圧することによって、被成形体を成形することができる。
【0025】
本発明によれば、温度検出手段によって成形用スタンパの温度が検出され、電力制御手段によって、検出された温度に応じて発熱抵抗体に供給される供給電力調整される。成形装置毎または成形品のロッドを成形する毎に成形用スタンパの温度にばらつきがある場合、各成形品の寸法にばらつきが生じ、加工精度のよい成形品が得られない。成形用スタンパの温度に応じて供給電力を調整することができるので、成形装置毎または成形品のロッドを成形する毎に成形用スタンパの温度がばらつくことを抑制でき、成形品の寸法のばらつきを抑制し、加工精度のよい成形品を成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0028】
図1は、実施の第1の形態の成形用スタンパ10を含む成形装置11を示す正面断面図である。図2は、成形用スタンパ10を示す斜視図である。図3は、図2の切断面線III-IIIで切断して見た成形用スタンパ10を示す断面図である。図4は、図3の切断面線IV-IVで切断して見た成形用スタンパ10を示す断面図である。成形装置11は、成形用スタンパ10を備え、成形用スタンパ10を被成形体12に押圧して、被成形体3の表面部を成形するための型である。本実施の形態では、成形装置11は、ナノプリント法で被成形体3の表面部に微細構造を成形可能な装置であり、成形スタンパ10を被成形体3に押圧することによって前記微細構造、たとえばマイクロ化学チップを形成する装置である。ただし成形装置11は、ナノインプリント法で成形可能なものに限定されず、成形用スタンパ10を押圧して被成形体3を成形する装置であればよい。たとえばハンコおよびスタンパのマスタを成形する装置であってもよい。成形装置11は、ステージ13と、プレス手段14と、成形用スタンパ10と、温度制御手段15と、筐体16とを含む。ステージ13と、プレス手段14と、成形用スタンパ10と、温度制御手段15とは、筐体16内に配設される。
【0029】
ステージ13は、被成形体である被成形体12を載置するための台である。ステージ13は、扁平状の平板であり、たとえばSUS403等の金属材料から成り、被成形体12を保持する機構を有するとともに、種々の方向(図1のZ方向およびこれに直交する平面上の方向)に対して移動可能になしており、被成形体12の位置を精密に制御する事ができる。被成形体12は、たとえば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂とこれらの材料を混合して成る混合材料または無機材料と樹脂材料の混合物から成る。具体的には、アクリル樹脂、セラミックスと樹脂の混合体であるセラミックグリーンシートまたはガラスである。
【0030】
押圧手段であるプレス手段14は、プレス駆動部17と基台18とを有する。プレス駆動部17は、筐体16に設けられている。プレス駆動部17は、基台18が設けられ、基台18を上下方向Z(以下、「Z方向」という場合がある)に変位駆動するように構成されている。基台18は、たとえばSUS403から成り、成形用スタンパ10を装着可能に構成されている。
【0031】
成形用スタンパ10は、基体19と発熱抵抗体20を含む。基体19は、セラミック、本実施の形態ではアルミナ(Al2O3)から成り、大略的に直方体状に形成され、その主面部21に凹凸状に形成されている。具体的には、基体19は、基体本体22の表面部23に1または複数の凸状部24が形成されている。本実施の形態では、基体の厚み方向である第1方向A1(以下、「A1方向」という場合がある)に垂直な第2方向A2(以下、「A2方向」という場合がある)に延びる4つの凸状部24が等間隔で形成されている。ただし凸状部24は、このような形状に限定されず、被成形体12に形成すべき凹部に応じてその形状が変更され、また凸状でなく突起であってもよい。基体19は、A1方向とZ方向とが一致するようにプレス手段14の基台18に装着されている。基体19の内部には、発熱抵抗体20が形成されている。
【0032】
発熱抵抗体20は、たとえばタングステンおよびセラミックの混合材料から成る高抵抗の抵抗体であり、電流が流れると発熱する抵抗体である。本実施の形態では、発熱抵抗体20は、基体19の第3方向A3(以下、「A3方向」という場合がある)の一端部から他端部に向かって、連続パルス波形状に蛇行するように配設されている。A3方向は、A1方向およびA2方向に垂直な方向である。ただし発熱抵抗体20は、このような形状に配設されるものに限定されない。このようにして配設される発熱抵抗体20の一端部20aおよび他端部20bには、各端部20a,20bから基体19の側面部26、具体的には主面部21に垂直な表面部26に延びる給電配線25が形成されている。給電配線25は、導電性材料、例えばタングステンを含むメタライズ層などから成り、発熱抵抗体20に電気的に接続され、側面部26で外方に向かって露出している。具体的には、給電配線25は、切立ち部25aと水平部25bとを有する。切立ち部25aは、発熱抵抗体20の各端部20a,20bからA1方向に立ち上がるように形成される、水平部25bは、切立ち部25aの端部から基体19の側面部26に向かって、本実施の形態ではA2方向に延びるように形成され、その端部が前記側面部26から外方に露出している。
【0033】
プレス手段14の基台18には、導電性材料から成る給電配線38が設けられている。本実施の形態では、給電配線38は、基台18の外部に配設されている。給電配線38は、成形用スタンパ10の基体19が基台18に装着されている状態で、成形用スタンパ10の各給電配線25の水平部25bに電気的にそれぞれ接続されている。さらに配線38は、温度制御手段15に電気的に接続されている。
【0034】
温度検出手段であり電力供給手段である温度制御手段15は、配線38に電気的に接続され、図示しない電源に電気的に接続されている。温度制御手段15は、成形用スタンパ10の温度を検出し、この検出結果に応じて発熱抵抗体20に印加する電圧を制御し、成形用スタンパ10の温度を制御する機能を有する。具体的には、温度制御手段15は、発熱抵抗体20がタングステンとセラミックとの混合材料から成るので、発熱抵抗体20のTCR抵抗温度特性を利用して発熱抵抗体20の温度を演算し、この演算結果に基づいて発熱抵抗体20に印加する電圧を制御し、成形用スタンパ10の温度制御を行っている。
【0035】
またステージ13は、載置される被成形体12の成形すべき表面部である加工面部40が、プレス手段14が成形用スタンパ10を駆動する方向、本実施の形態ではZ方向に垂直になるように、被成形体12を載置する載置面部が形成さている。
【0036】
図5A、図5Bおよび図5Cは、成形用スタンパ10を形成する手順を示す図である。以下に、このように構成される成形用スタンパ10の形成方法について説明する。成形スタンパ10は、第1~第3層状体27,28,29を積層し、この積層体30に大きな圧力を印加しつつ焼結することによって、形成される。本実施の形態では、3つの層状体27,28,29の場合について説明するが、複数の層状体を積層して焼結することによって、成形スタンパ10を形成してもよい。以下、具体的な成形用スタンパ10の製造方法について説明する。
【0037】
まず第1層状体27を形成する工程について説明する。ポリエチレンテレフタラート(PET)から成るシート32上に導体ペーストを付着させて発熱抵抗体20を形成する(図5A(a)参照)。具体的には、スクリーン印刷法などによって、シート32上に導体ペーストを付着させて連続パルス波形状の発熱抵抗体20を形成する。導体ペーストは、導電性材料、有機バインダおよび有機溶剤とが含まれる。たとえば導電性材料には、タングステン(W)が用いられ、有機バインダには、アクリル樹脂、エチルセルロースまたは、メチルセルロースなどが用いられ、有機溶剤には、テルピネオール、ジブチルフタレート(D.B.P.)などが用いられる。ただしこのような材料に限定するものではない。
【0038】
セラミック粉末、有機バインダおよび溶剤などを混合したセラミックスラリーをシート32上に塗布して、セラミックグリーンシート(以下、「グリーンシート」という場合がある)31を形成する(図5A(b)参照)。たとえばセラミック粉末には、Al2O3が用いられ、有機バインダには、アクリル樹脂、エチルセルロースまたは、メチルセルロースなどが用いられ、溶剤には、テルピネオール、ジブチルフタレート(D.B.P.)などが用いられる。シート32にセラミックスラリーを塗布してグリーンシート31を形成する方法としては、たとえば必要量のセラミックスラリーを供給し、供給部または塗布面を移動することによって一定の厚みの塗布を行うダイコーター法、または一定量のセラミックスラリーを供給し、余分なセラミックスラリーをブレードにより除去し、一定の厚みの塗布を行うドクターブレード法などが用いられる。グリーンシート31の厚さd1は、発熱抵抗体20の厚みd2より厚くなるように形成される。
【0039】
給電配線25の切立ち部25aを配設するための貫通孔33を形成する(図5A(c)参照)。貫通孔33は、グリーンシート31の厚み方向に貫通し、発熱抵抗体20の両端部20a,20bが貫通孔33に露出するように形成される。貫通孔33は、パンチング加工またはレーザ加工を施すことによって形成される。貫通孔33を形成後、貫通孔33には、スクリーン印刷法などによって、給電配線25の切立ち部25aの前駆体である導体ペーストが充填される。このようにしてシート31上には、第1層状体27が形成されている(図5A(d)参照)。
【0040】
次に第2層状体28を形成する工程について説明する。PETから成るシート34上に有機材料を付着させて有機シート35を形成する(図5(e)参照)。具体的には、スクリーン印刷法などによって、シート32上に有機材料を付着させて、一方向に延びる複数の有機シート35を前記一方向に垂直な方向に等間隔あけて形成した後に乾燥硬化させる。有機材料には、アクリル樹脂が用いられ、有機溶剤には、テルピネオール、ジブチルフタレート(D.B.P.)などが用いられる。ただしこのような材料に限定するものではない。
【0041】
セラミック粉末、有機バインダおよび溶剤などを混合したセラミックスラリーをシート34上に塗布して、グリーンシート36を形成する。シート34にセラミックスラリーを塗布してグリーンシート36を形成する方法としては、たとえば上述したダイコーター法やドクターブレード法などが用いられる。グリーンシート36の厚さd3は、有機シートの厚みd4より厚くなるように形成されている。このようにしてシート34上には、第2層状体28が形成される(図5B(f)参照)。
【0042】
次に第3層状体29を形成する工程について説明する。PETから成るシート36上に導体ペーストを付着させて給電配線25の水平部25bを形成する(図5B(g)参照)。具体的には、スクリーン印刷法などによって、シート36上に導体ペーストを付着させて一方向に延びる2つの給電配線25の水平部25bを形成する。さらにセラミックスラリーをシート36上に塗布してグリーンシート39を形成する。グリーンシート39の厚さd5は、給電配線25の水平部25bの厚みd6より厚くなるように形成される。さらに水平部25bの外部に露出する端部には、腐食を防止するためにニッケル(Ni)または金(Au)のめっきが施され、配線38と電気的に接続される外部端子が形成される。このようにしてシート36上には、第3層状体29が形成される(図5B(h)参照)。
【0043】
次に積層体30を焼結して成形用スタンパ10する工程について説明する。第1層状体27と第2層状体28と第3層状体29を積層し、積層体30を構成する。積層体30を構成するとき、発熱抵抗体20が積層体30の内部に形成され、有機グリーンシート35が外方に露出するように、第1および第2層状体27,28を積層し、給電配線25の各切立ち部25aが、各水平部25bに電気的に接続されるように第1層状体28に第3層状体を積層する。具体的には、第2、第1および第3層状体28,27,29の順で積層され、発熱抵抗体20が有機グリーンシート35が形成される表面部と反対側の表面部に臨み、発熱抵抗体20が形成されている側と反対側の表面部に給電配線25の水平部25bが臨むように配設される。このようにして形成される積層体30を、プレス装置37によって、第1および第2層状体28,29が積層される方向に挟持するように押圧する(図5C(i)参照)。押圧後、積層体30を焼結する。このとき温度が脱バインダ領域に達すると、有機シート35が燃焼し、積層体30の表面部が凹凸状に形成される。さらに温度が上昇すると、温度が焼結温度領域に達し、積層体30が焼きしまり、成形用スタンパ10が形成される(図5C(j))。このように焼結することよって主面部21が凹凸状に形成される成形用スタンパ10を形成することができる。
【0044】
図6は、成形装置11を用いて被成形体12を成形する手順を示す図である。図6には、成形装置11のうち成形スタンパ10だけを図示し、成形スタンパ10以外の構成については図示を省略する。以下では、成形装置11を用いて被成形体12を成形する成形方法について、図1を参照しつつ説明する。ステージ13に被成形体12を載置され、温度制御手段15によって発熱抵抗体20に電圧を印加し、成形用スタンパ20の基体19を加熱する(図6(a)参照)。加熱し予め定められる温度に達すると、プレス手段14によって成形用スタンパ20をZ方向に降下させ、成形用スタンパ20の凸状部24を被成形体12の加工面部40に当接させる。
【0045】
プレス手段14によって、成形用スタンパ20を当接する状態からさらに降下させて、成形用スタンパ10に被成形体12を押圧させる。このとき温度制御手段15は、被成形体12が成形用スタンパ10の降下位置に応じて、つまり成形状況に応じて、成形用スタンパ10の基体19の温度を制御する。温度制御手段15は、たとえば成形用スタンパ10が降下するに従って、基体19の温度を上昇させるように制御する。さらに成形用スタンパ10を予め定められる成形位置まで降下させる、たとえば基体本体22の表面部23が被成形体12の加工面部40に達する位置まで降下させると、プレス手段14は、成形用スタンパ10の降下を停止する(図1の2点鎖線および図6(b)参照)。温度制御は
発熱抵抗体20のTCR特性を利用して行われる。つまり発熱抵抗体の抵抗値を連続的に測定し、抵抗値にあわせて電流値(または電圧値)を適正な値に制御することで温度を制御する。このように成形用スタンパ10を成形位置まで降下させると、被成形体12の成形用スタンパ10の凸状部24が押圧される部分に凹部41が形成され、残余部に凸部42が形成される。このようにして被成形体12を成形し、成形品が形成される。
【0046】
その後、プレス手段14は、成形用スタンパ10を予め定められる位置、たとえば初期位置まで上昇させる(図6(c)参照)。このとき温度制御手段15は、発熱抵抗体20に対する電圧の印加を停止し、発熱抵抗体20の発熱を停止する。次の被成形体12を成形するとき、再度、発熱抵抗体20に電圧を印加して、発熱抵抗体20を発熱させて、成形用スタンパ10を降下させて成形を行う。
【0047】
以下では、このように構成される成形用スタンパ10および成形装置11が奏する効果について説明する。本実施の形態の成形用スタンパ10によれば、基体19に発熱抵抗体20が配設されているので、基体19が直接的に加熱される。基体19を直接的に加熱するので、基体19以外の構成、たとえばプレス駆動部17および基台18に伝達する熱を抑制でき、熱損失を小さくすることができる。また基体19を直接的に加熱するので、外部に熱が逃げることを防ぐための断熱手段を設けずとも熱損失が小さい。したがって断熱手段を設ける必要がなく、部品点数を削減でき、構成を簡単化することができる。また基体19に熱源である発熱抵抗体20が設けられるので、熱源が被成形体12に近く、従来の技術の成形装置1より小さい電流で基体19の主面部21が、被成形体12を成形するために必要な温度に達する。また基体19を直接的に加熱するので、基台18などの熱膨張が抑制され、より精密な加工が可能となる。
【0048】
本実施の形態の成形用スタンパ10によれば、発熱抵抗体20が基体19の内部に配設されるので、発熱抵抗体20が被成形体12に直接接触することがない。これによって発熱抵抗体20の損傷を防止することができ、発熱抵抗体20が断線して成形用スタンパ10が使用不能になることを防止できる。さらに発熱抵抗体20が外部に露出しいていないので、発熱抵抗体20の腐蝕も防止することができる。このように発熱抵抗体20を基体19内部に配設することによって、損傷および腐蝕の点において、発熱抵抗体20を保護することができる。
【0049】
本実施の形態の成形装置11によれば、基体19がセラミックから成る。これによって発熱抵抗体20との一体性を高めることができる。また基体19がセラミックから成るので、耐摩耗性、耐腐蝕性および耐熱性が高く、破損および腐蝕し難く、熱による変形が抑制され、利便性の高い成形用スタンパ10を実現することができる。これによって、成形用スタンパ10によって成形が繰返し行われても基体19が損傷することがなく、また基体19の加熱および冷却が繰返し行われても、基体19が熱応力などで破損することがない。またセラミックで成形用スタンパ10を形成するので、本実施の形態のように成形用スタンパ10に直接接触させて成形しても基体19が欠けるなどすることがなく、成形用スタンパ10を繰返し使用することができる。セラミックで構成することによって、ガラスなど高温で成形しなければ成らない材料から成る被成形体12を繰返し成形する場合であっても、繰返し熱応力にも耐え得ることができ、良好なスタンパが形成される。
【0050】
本実施の形態の成形用スタンパ10によれば、基体19と発熱抵抗体20とが一体的に焼結されているので、被成形体12を繰返し成形するときの熱応力に起因する基体からの発熱抵抗体の剥離を抑制できる。
【0051】
本実施の形態の成形装置11によれば、基体19の側面部26から導出される給電配線25に電力を供給することによって、発熱抵抗体20に電力が供給され、発熱抵抗体20が発熱する。これによって基体19の温度を上昇させることができる。また側面部26から給電配線25が導出されるので、プレス手段14に内部に配線38を配設する必要がなく、プレス手段14の加工が容易になる。
【0052】
本実施の形態の成形用スタンパ10によれば、温度制御手段15によって発熱抵抗体20に電力を供給し、基体19の温度を上昇させた状態で、プレス手段14によって成形用スタンパ10を被成形体12に押圧することによって、被成形体12を成形することができる。
【0053】
本実施の形態の成形装置11によれば、温度制御手段15によって成形用スタンパ10の温度が検出され、検出された温度に応じて発熱抵抗体20に供給する供給電力、具体的には印加する電圧を調整する。成形装置1毎または成形品のロッドを成形する毎に成形用スタンパ10の温度にばらつきがある場合、各成形品の寸法にばらつきが生じ、加工精度のよい成形品が得られない。成形用スタンパ10の温度に応じて供給電力を調整することができるので、成形装置1毎または成形品のロッドを成形する毎に成形用スタンパ10の温度がばらつくことを抑制でき、成形品の寸法のばらつきを抑制し、加工精度のよい成形品を成形することができる。
【0054】
図7は、実施の第2の形態の成形用スタンパ10Aを示す斜視図である。成形用スタンパ10Aは、実施の第1の形態の成形用スタンパ10と構成が類似している。したがって成形用スタンパ10Aの構成については、実施の第1の形態の成形用スタンパ10と異なる点についてだけ説明し、同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略する。成形用スタンパ10Aは、発熱抵抗体20が基体19の内部に配設されず、基体19の凸状部24に配設されている。本実施の形態では、基体19の凸状部24に発熱抵抗体20を形成する。ただしこのような形状に限定されず、基体19の凸状部24にA2方向に延びる溝を形成し、その溝に発熱抵抗体20を形成してもよく、また凸状部24自体を発熱抵抗体20で構成してもよい。さらに発熱抵抗体20の腐蝕防止および耐摩耗性を向上させるために、発熱抵抗体20に保護膜を形成する。これによって発熱抵抗体20を凸状部24に形成しても、腐蝕することおよび損傷することを防止できる。
【0055】
本実施の形態の成形用スタンパ10Aによれば、被成形体12と接触し成形する凸状部24に発熱抵抗体20が設けられているので、被成形体12に熱が伝達しやすい。これによって熱損失が少なく、従来の技術の成形装置1よりもより小さい電流で被成形体12の成形が可能である。また凸状部24に発熱抵抗体20が設けられているので、被成形体12を整形する成形部の温度制御が精密に制御することができる。
【0056】
図8は、実施の第3の形態の成形用スタンパ10Bを備える成形装置11Bを示す正面断面図である。成形用スタンパ10Bおよび成形装置11Bは、成形用スタンパ10および成形装置11と構成が類似している。したがって成形用スタンパ10Bおよび成形装置11Bの構成については、成形用スタンパ10および成形装置11と異なる点についてだけ説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。成形用スタンパ10Bには、起電力発生装置51が設けられている。起電力発生回路51は、たとえばループコイルまたは金属製のベタパターンで構成され基体19の内部に形成される。起電力発生回路51は、電磁波を受けて起電力が発生する機能を有する。起電力発生回路51は、発熱抵抗体20の各端部20a,20bに電気的に接続されている。起電力発生回路51は、グリーンシート上にループコイル状またはベタパターン状に導体ペーストが付着された層状体を第1および第2層状体28,29に積層し、焼結することによって形成することができる。
【0057】
成形装置11は、電磁波発生手段52をさらに備える。電磁波発生手段52は、起電力発生回路51に向かって電磁波を放射する機能を有する。電磁波発生手段52は、たとえば推奨振動子などの発信回路およびアンテナを含み、発信回路から伝送される信号に基づいてアンテナから電磁波を放射するように構成されている。
【0058】
さらに成形用スタンパ10には、その凸状部24上に温度検出手段53が設けられている。温度検出手段53は、たとえばアルメルクロメル熱電対または銅コンスタンタンによって構成される。温度検出手段53は、成形時における被成形体12の温度を検出する機能を有する。温度検出手段53によって検出される温度に基づいて、発熱抵抗体20に印加すべき電圧が制御される。つまり電磁波発生手段52から放射される電磁波の磁束密度などが決定される。
【0059】
このように構成される成形装置11Bは、電磁波発生手段52から電磁波を放射すると、起電力発生回路51が電磁波を受けて起電力が発生する。発生した起電力が発熱抵抗体20に供給され、発熱抵抗体20が発熱する。このような発熱抵抗体20が発熱している状態で、被成形体12が成形される。
【0060】
本実施の形態の成形スタンパ10Bによれば、基体19に配設される起電力発生回路51に向かって電磁波を放射すると、起電力発生回路51が電磁波を受け起電力が発生する。これによって発熱抵抗体20に電力が供給され、発熱抵抗体20が発熱し、基体19の温度を上昇させることができる。このように起電力発生回路51を用いることによって、電源と発熱抵抗体20とを電気的に接続する必要がなく、外部配線を省略することができる。したがって基体19は、プレス装置14によってZ方向に変動するので、外部配線の位置に制約が多くなるが、起電力発生回路51を用いることによって、このような問題を解決することができる。
【0061】
本実施の形態の成形装置11Bによれば、電磁波発生手段52によって起電力発生回路51に電磁波を放射すると、起電力発生回路51で起電力が発生し、発熱抵抗体20に電力が供給される。これによって発熱抵抗体20が発熱して基体19の温度を上昇させる。このように基体19の温度が上昇した状態で、プレス手段14によって成形用スタンパ10が被成形体12を押圧することによって、被成形体12を成形することができる。
【0062】
本実施の形態では、成形用スタンパ10は、セラミックから成るが、セラミックに限定されない。たとえばシリコン(Si)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(SiN)、多結晶シリコン、ガラス、などであってもよい。
【0063】
また本実施の形態では、導体ペーストを塗布することによって発熱抵抗体20を形成しているが、CVD法によって発熱抵抗体20を形成してもよい。
【0064】
また本実施の形態では、有機グリーンシート35を用いて、主面部21の凹凸形状を形成しているが、必ずしもこのような方法に限定されない。たとえば第1層状体27に扁平状のグリーンシートを積層した積層体の表面部を、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yttrium Aluminum Garnet:略称YAG)レーザなどを用いるレーザ加工によって、凹凸状に形成し、その後焼結して成形用スタンパ10を形成してもよい。また前記積層体を焼結した後に、焼結された積層体の表面部を、YAGレーザ等を用いるレーザ加工によって凹凸状に形成、成形用スタンパ10を形成してもよい。
【0065】
本実施の形態では、成形用スタンパ10を被成形体12に押圧しているが、被成形体12にレジストを形成し、そのレジストを成形用スタンパ10によって成形し、被成形体12をエッチングして成形してもよい。
【0066】
本実施の形態では、起電力発生回路51が基体19の内部に形成されているが、外部に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施の第1の形態の成形用スタンパ10を含む成形装置11を示す正面断面図である。
【図2】成形用スタンパ10を示す斜視図である。
【図3】図2の切断面線III-IIIで切断して見た成形用スタンパ10を示す断面図である。
【図4】図3の切断面線IV-IVで切断して見た成形用スタンパ10を示す断面図である。
【図5A】成形用スタンパ10を形成する手順を示す図である。
【図5B】成形用スタンパ10を形成する手順を示す図である。
【図5C】成形用スタンパ10を形成する手順を示す図である。
【図6】成形装置11を用いて被成形体12を成形する手順を示す図である。
【図7】実施の第2の形態の成形用スタンパ10Aを示す斜視図である。
【図8】実施の第3の形態の成形用スタンパ10Bを備える成形装置11Bを示す正面断面図である。
【図9】従来の技術の成形装置1を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 成形用スタンパ
11 成形装置
12 被成形体
14 プレス手段
15 温度制御手段
19 基体
20 発熱抵抗体
21 主面部
24 凸状部
25 貫通導体
51 起電力発生回路
52 電磁波発生手段
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5A】
4
(In Japanese)【図5B】
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(In Japanese)【図5C】
6
(In Japanese)【図6】
7
(In Japanese)【図7】
8
(In Japanese)【図8】
9
(In Japanese)【図9】
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