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Specification :(In Japanese)人工骨の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5052506
Date of registration Aug 3, 2012
Date of issue Oct 17, 2012
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)人工骨の製造方法
IPC (International Patent Classification) A61L  27/00        (2006.01)
A61F   2/28        (2006.01)
FI (File Index) A61L 27/00 L
A61F 2/28
Number of claims or invention 10
Total pages 8
Application Number P2008-511947
Date of filing Mar 16, 2007
International application number PCT/JP2007/000233
International publication number WO2007/122783
Date of international publication Nov 1, 2007
Application number of the priority 2006110546
Priority date Apr 13, 2006
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Feb 22, 2010
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】593022076
【氏名又は名称】佐川印刷株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】500433225
【氏名又は名称】学校法人中部大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】中村 孝志
【氏名】小久保 正
【氏名】松下 富春
【氏名】藤林 俊介
【氏名】西田 伸克
Representative (In Japanese)【識別番号】100098969、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 正行
Examiner (In Japanese)【審査官】川口 裕美子
Document or reference (In Japanese)特開2003-38533(JP,A)
米国特許第5370692(US,A)
特開2004-184606(JP,A)
特開2002-102330(JP,A)
HOLLANDER,D.A. et al,Structural, mechanical and in vitrocharacterization of individually structured Ti-6Al-4V produced by direct laserforming,Biomaterials,2006年,Vol.27, No.7,p.955-63
Field of search A61L 27/00
A61F 2/28
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
デジタル化された生体骨の三次元画像データにおいて海綿骨及び/又は皮質骨に相当する部分を抽出し、中心線を設定する抽出工程と、
前記中心線に沿って一様な直径又は肉厚の梁又は壁を描くことにより、人工骨画像データを形成する画像形成工程と、
前記人工骨画像データに基づいて、金属、樹脂及びセラミックのうちから選ばれる1種以上の粉末をレーザー焼結し、焼結層を積み重ねる造形工程と
を備えることを特徴とする人工骨前駆体の製造方法。
【請求項2】
前記画像形成工程において、梁又は壁を描くとともに所定の中空部を埋めることにより、前記人工骨画像データを形成する請求項1に記載の人工骨前駆体の製造方法。
【請求項3】
前記粉末が、金属の粉末である請求項1又は2に記載の人工骨前駆体の製造方法。
【請求項4】
前記金属が、コバルト、タンタル、ジルコニウム、ニオブ及びチタン並びにそれらの合金のうちから選ばれる1種以上である請求項3に記載の人工骨前駆体の製造方法。
【請求項5】
前記梁の交点の一部又は全部が、更に太く描かれている請求項1~4のいずれかに記載の人工骨前駆体の製造方法。
【請求項6】
前記三次元画像データが、生体骨のコンピュータ断層撮影データの群から変換されたSTL形式データである請求項1~5のいずれかに記載の人工骨前駆体の製造方法。
【請求項7】
前記造形工程の後、1000℃以上で焼成する焼成工程を更に備える請求項3又は4に記載の人工骨前駆体の製造方法。
【請求項8】
請求項3又は4のいずれかの製造方法で得られた人工骨前駆体を、アルカリ処理した後、加熱することを特徴とする人工骨の製造方法。
【請求項9】
前記アルカリ処理後、前記加熱と同時に又は前記加熱の前に、脱アルカリする請求項8に記載の人工骨の製造方法。
【請求項10】
前記加熱後、擬似体液に浸ける請求項8又は9に記載の人工骨の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
この発明は、人工骨すなわち骨置換材料の製造方法に関し、特に骨伝導能及び骨誘導能に優れ且つ適切な機械的強度を備えた人工骨を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタンは、体内における耐食性に優れ、生体になじみやすいことから、人工骨材料として期待されている。人工骨材料は、生体内に埋め込まれて生体骨を形成したり周囲の生体骨と結合したりする必要性から多孔体であることが望まれる。チタン多孔体は、チタン粉末を必要により気孔形成材と混合し、加圧成形した後、焼結することによって得られることが知られている(特許文献1)。また、近年では、三次元デジタル画像データに基づいてチタン粉末をレーザー焼結し、焼結層を積み重ねる技術も提案されている(非特許文献1)。
一方、チタンと生体骨とを結合しやすくする手段として、チタンをアルカリ処理した後、そのまま加熱し、あるいは脱アルカリし次いで加熱することにより、チタン表面にチタン酸ナトリウム層あるいはアナターゼ層を形成する技術が知られている(特許文献2、3)。また、必要により続いて擬似体液に浸けることによりその上にアパタイト層を形成する技術も知られている(特許文献2、3)。

【特許文献1】特開2002-285203
【特許文献2】特許第2775523
【特許文献3】特開2002-102330
【非特許文献1】Biomaterials 27 (2006)955-963
【非特許文献2】http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/171014_1/171014_1.html、別添1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1や非特許文献1に記載の方法では気孔の形状や分布を制御することができないので、外観的には生体骨と近似していても弾性率や機械的強度などの性質的には全く異なるものとなり、人工骨装着者が著しく不快感を覚える。
それ故、この発明の課題は、外観的にも性質的にも生体骨に近似していて骨伝導能及び骨誘導能に優れた人工骨、並びにそのための人工骨前駆体を提供することにある。
なお、この明細書において、生体骨が存在する所に人工骨を埋め込んだ場合に人工骨の気孔内に生体骨が進入し人工骨と結合する現象を骨伝導能という。また、筋肉内に人工骨を埋め込んだ場合に人工骨の気孔内に生体骨が形成される現象を骨誘導能という。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その課題を解決するために、この発明の人工骨前駆体の製造方法は、以下の抽出工程、画像形成工程及び造形工程を備えることを特徴とする。
先ず、デジタル化された生体骨の三次元画像データにおいて、図1(a)に示すように海綿骨及び/又は皮質骨に相当する部分(図中のハッチング部分)を抽出し、図1(b)に示すように中心線を設定する(抽出工程)。次いで図1(c)に示すように前記中心線に沿って一様な直径又は肉厚の梁又は壁を描くことにより、人工骨画像データを形成する(画像形成工程)。ここで描かれる梁は海綿骨に対応する形状であり、壁は皮質骨に対応する形状である。その後、前記人工骨画像データに基づいて、金属、樹脂及びセラミックのうちから選ばれる1種以上の粉末をレーザー焼結し、焼結層を積み重ねる(造形工程)。
【0005】
なお、図1(a)~図1(c)は、モニターに表示される画像を示しているが、現実に画像形成工程においてモニターに表示される梁及び壁は、図1(c)に示すよりもはるかに多様な直径又は肉厚を有しているように映る。この理由を梁を例にとって説明すると次の通りである。図1(c)の画面をXY平面とすると、各梁は、抽出された各海綿骨に対応すべくXY平面内の不特定の位置に存在するだけでなく、Z方向にも高低差をもって存在する。一方、多数の断層データからなる三次元画像データのうちの一つの断層である。従って、梁の径方向断面図として図2(a)に示すように梁1と梁2とが同じ直径を有していてもZ方向の位置が互いに異なることから、断層3がモニターに映されているときは図2(b)に示すように梁1の直径は梁2のそれよりも小さく映る。この現象は、一つの梁内でも同様に生じる。
【0006】
この発明の方法によれば、生体骨の海綿骨及び/又は皮質骨相当部分を抽出した形状にレーザーが倣って照射されるので、形成された人工骨前駆体は外観が生体骨に近似しているだけでなく内部構造も生体骨に近似した網目構造となっている。そして、生体骨の海綿骨及び皮質骨が種々の直径や肉厚を有しているのに対して、抽出形状における各部の直径は、生体骨における対応部分と全く同一ではなく一様である。生体骨に完全に倣ってレーザーを照射すると、細すぎる部分ではレーザー照射量が不十分のために網目が途切れて金属粒子が脱落することがあり、逆に太すぎる部分ではレーザー照射量が過剰のために焼結不要な周辺部分にまで熱伝導して焼結してしまうからである。
【0007】
生体骨の場合、多数の海綿骨同士あるいは海綿骨と皮質骨とで囲まれた非連通孔には骨髄が充たされてそれなりに機能を果たしている。人工骨の場合、梁同士あるいは梁と壁で囲まれた非連通孔は、体液の入り口を有しないために生体内にインプラント後も空洞のまま残る。そこで、中心線設定段階で図3(a)に示すように非連通孔となりそうな中空部hが発見された場合、画像形成工程において、梁又は壁を描くと共にそのような中空部を図3(b)に示すように埋めることにより、前記人工骨画像データを形成するとよい。これにより機械的強度が向上するからである。埋めるべき中空部は、コンピュータプログラム上で空洞の内径や閉塞率に基づいて設定される。
【0008】
前記粉末は、通常コバルト、タンタル、ジルコニウム、ニオブ及びチタン並びにそれらの合金のうちから選ばれる1種以上の金属である。また、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂や、アパタイト、β-TCP、酸化チタン、バイオガラス、結晶化ガラスA-Wなどのセラミックであってもよい。前記梁の交点の一部又は全部は、使用時に加わると想定される負荷に応じて図3(c)に示すように前記一様な直径よりも太く描かれていてもよい。前記三次元画像データは、例えば生体骨のコンピュータ断層撮影データの群から変換されたSTL形式データである。また、レーザースポット径をdとするとき、前記梁又は壁の直径又は肉厚がd以上3d以下であると好ましい。梁又は壁の直径又は肉厚をレーザースポット径より小さく描くと、人工骨画像データの構造と現実の焼結体の構造とが不一致となり、例えばデータ上では連通孔であるのに焼結体上では非連通孔となってインプラント後も空洞のまま残ることがあるからである。他方、梁又は壁の直径又は肉厚をレーザースポット径の3倍より大きく描くと、レーザーを何度も往復させなければならず、焼結に著しく時間がかかるからである。
【0009】
前記粉末が金属であるときは、前記造形工程の後、レーザー焼結体を1000℃以上で焼成してもよい。これにより、梁や壁の表面に存在する粒子が表面に強く結合するとともに、隣り合う粒子同士が結合して新たな微小孔を形成するからである。
この発明の人工骨の製造方法は、こうして得られた人工骨前駆体を、前記粉末が金属であるときは、アルカリ処理した後、加熱することを特徴とする。これにより表面にアパタイト形成能を有する金属酸塩が形成されるからである。表面にアナターゼ等の金属酸化物層を形成するときは、アルカリ処理した後、加熱前に脱アルカリするかあるいは脱アルカリと同時に加熱するとよい。また、前記粉末がアパタイト、β-TCP、酸化チタンなどのように骨と結合しうるものであるときは、人工骨前駆体がそのまま人工骨となるし、樹脂や他のセラミックであるときは、骨と結合しうる粉末を混ぜてレーザー焼結することにより、人工骨前駆体がそのまま人工骨となる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、外観だけでなく内部も生体骨に近似した構造の人工骨が製造されるので、得られた人工骨には細胞や体液が進入しやすく、そのため生体骨が形成されやすい。また、中空部を埋めたり、梁の交点を特に太くしたりすることが可能であるから、人工骨装着者に適した機械的強度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の製造方法の各工程におけるデジタル画像を示す図であり、(a)は抽出工程前半、(b)は同後半、(c)は画像形成工程である。
【図2】デジタル画像データにおける梁を示し、(a)はその径方向断面図、(b)はモニターに映る一つの層の断面図である。
【図3】この発明の製造方法の各工程における別のデジタル画像を示す図であり、(a)は抽出工程前半、(b)及び(c)は画像形成工程である。
【図4】実施形態1の人工骨前駆体の写真である。
【図5】実施形態2の人工骨前駆体の写真である。
【図6】実施形態3の人工骨前駆体の写真である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
-実施形態1-
ガスアトマイズ法により製造した酸素含有量0.12重量%、最大粒径45μmのチタン粉末を準備した。
並行して三次元マイクロコンピュータトモグラフィ装置を用いて健康なヒトの第4腰椎の断層写真を撮像した。CT装置の撮影条件は、管電圧50kV、管電流40μA、スライス厚83.5μmとした。得られた約500個のファイルからなるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)データを三次元画像処理プログラム(ラトック社製TRI/3D-BON)にてSTL(Stereo Lithography Triangulation Language)形式データに変換し、海綿骨及び皮質骨に相当する部分を抽出した。そして、中心線を設定し、その中心線に沿って解像度83.5μm/pixelで0.35mmの直径又は肉厚の梁及び壁を描くことにより、人工骨画像データを作成した。
【0013】
前記チタン粉末をラピッドプロトタイピング装置(Electro Optical Systems GmbH製EOSINT-M270)の粉末容器に充填し、1層当たり30μmの厚みで、輪郭部(Contour部)と輪郭部内の積層面(Hatch部)とで次のように異なるレーザービームを設定した。
輪郭部(Contour部):レーザースポット径100μm
積層面(Hatch部):レーザースポット径150μm
装置のプラットホームに粉末を1層分供給し、前記人工骨画像データに基づいてアルゴン雰囲気中でYbファイバーレーザー(λ=1060~1100nm)を照射した。プラットホームを1層分の厚みだけ下降させ、次の層となる粉末を供給し、同様にレーザーを照射した。このように粉末供給とレーザー照射を必要数だけ繰り返すことにより、人工骨前駆体を製造した。得られた人工骨前駆体のSEM写真を図4に示す。
【0014】
人工骨前駆体を60℃の5M水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸け、続いて40℃の蒸留水に48時間(12時間毎に新しい蒸留水と交換した。)浸けた後、600℃で1時間加熱することにより、人工骨を製造した。X線回折によると人工骨の表面には結晶相としてアナターゼ相のみが形成されていた。
ヒトの体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有する擬似体液(特許文献2、第6欄第43行~49行)に人工骨を7日間浸けたところ、人工骨の表面にアパタイト相が形成されていた。
【0015】
-実施形態2-
実施形態1におけるチタン粉末に代えてチタン合金(Ti6Al4V)粉末を用いた以外は、実施形態1と同一条件で人工骨前駆体を製造した。得られた人工骨前駆体の写真を図5に示す。
-実施形態3-
実施形態1におけるチタン粉末に代えてチタン合金(Ti15Mo5Zr3Al)粉末を用いた以外は、実施形態1と同一条件で人工骨前駆体を製造した。得られた人工骨前駆体の写真を図6に示す。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5