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明細書 :レーザ走査型干渉計を用いた表面形状の計測方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6327641号 (P6327641)
公開番号 特開2015-017968 (P2015-017968A)
登録日 平成30年4月27日(2018.4.27)
発行日 平成30年5月23日(2018.5.23)
公開日 平成27年1月29日(2015.1.29)
発明の名称または考案の名称 レーザ走査型干渉計を用いた表面形状の計測方法
国際特許分類 G01B   9/02        (2006.01)
G01B  11/24        (2006.01)
FI G01B 9/02
G01B 11/24 D
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2014-109489 (P2014-109489)
出願日 平成26年5月27日(2014.5.27)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 1. 日本機械学会北陸信越支部学生会発行の第43回学生員卒業研究発表講演会講演論文集及び講演プログラム 発行日:平成26年3月1日
優先権出願番号 2013124938
優先日 平成25年6月13日(2013.6.13)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年2月3日(2017.2.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
発明者または考案者 【氏名】新田 勇
【氏名】月山 陽介
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
審査官 【審査官】眞岩 久恵
参考文献・文献 特開平08-122012(JP,A)
特開2008-309668(JP,A)
特開昭58-184902(JP,A)
特開平08-153405(JP,A)
特開昭59-222711(JP,A)
米国特許出願公開第2004/0184038(US,A1)
調査した分野 G01B 9/00-9/10
G01B 11/24
特許請求の範囲 【請求項1】
近接配置した参照板の参照平面及び被測定物の被観察面にレーザ光の走査光を照射し、前記参照平面及び前記被観察面からの反射光の光量を受光素子で計測し、反射光の干渉により生じる干渉縞の画像を得るレーザ走査干渉計を用いた表面形状の計測方法において、
前記参照平面を、透明材料基板に単層の金属薄膜を成膜した参照板により構成し
前記透明材料基板の屈折率と前記金属薄膜の屈折率の関係と、測定された干渉縞の輝度分布の傾きの緩急の方向から、前記被観測面の形状の高低関係を判別する表面形状の計測方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ走査型干渉計を用いた表面形状の計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超精密加工によって製造される金型などには高い形状精度が求められており、その形状計測が重要となっている。高い精度の形状測定を行うことができる装置として、レーザ走査干渉計が用いられている。
【0003】
従来のレーザ走査干渉計として、特許文献1に記載のものが知られている。このレーザ走査干渉計は、レーザ光源からのレーザ光を平行光束としてビームスプリッタを介して走査ミラーに導き、該走査ミラーで前記レーザ光を走査光に変換してテレセントリックfθレンズに入射させ、該テレセントリックfθレンズの焦点面近傍に近接配置した参照平面及び被観察面からの反射光を前記テレセントリックfθレンズにより平行光束に変換し、前記走査ミラーで反射させた後に前記ビームスプリッタでレーザ光源からのレーザ光と分離し、結像レンズによって集光して前記テレセントリックfθレンズの焦点面と共役の位置に設置したピンホールを通過させ、該スリットを通過した前記反射光の光量を受光素子で計測し、計測した光量信号をA/D変換して前記走査ミラーの角度に対応した時系列データとして演算手段に取り込んで配置することにより干渉波形を取得することができ、レーザ光による走査光で参照面と被観察面とを走査することから、走査するレーザ光の光点サイズでの分解能、例えば2万×1.6万ドットの約3億画素程度の分解能が得られる。したがって、受光部の分解能にとらわれずに高精細、高コントラストの干渉波形を得ることができる。これにより、横分解能を高めることができるので、高低差の急激な部分も、高低差が緩やかな部分も干渉波形として確実に検出することができる。さらに、参照平面と被観察面とからの反射光を、テレセントリックfθレンズの焦点面と共役の位置に設置したピンホールを通過させることにより、余分な反射光をカットしてピントの合った光だけが受光素子に受光されることから、横分解能の向上、高精細化、高コントラスト化を促進することができる、というものである。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-309668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のレーザ走査型干渉計において、得られた干渉縞の高低関係を調べるために、位相シフト法が用いられている。しかし、この位相シフト法は、参照平面を備えた参照板をピエゾ素子で高速・高精度に移動させながら観察を繰り返す方法であり、操作が煩雑になるという欠点があった。
【0006】
また、レーザ走査型干渉計による広い面積の測定は、計測時間が長くなるため位相シフト法を適用するのは現実的ではなかった。
【0007】
そこで本発明は、簡単な操作で、かつ、広い面積の測定を短時間で行うことのできるレーザ走査型干渉計を用いた表面形状の計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の表面形状の計測方法は、近接配置した参照板の参照平面及び被測定物の被観察面にレーザ光の走査光を照射し、前記参照平面及び前記被観察面からの反射光の光量を受光素子で計測し、反射光の干渉により生じる干渉縞の画像を得るレーザ走査干渉計を用いた表面形状の計測方法において、前記参照平面を、透明材料基板に単層の金属薄膜を成膜した参照板により構成し、前記透明材料基板の屈折率と前記金属薄膜の屈折率の関係と、測定された干渉縞の輝度分布の傾きの緩急の方向から、前記被観測面の形状の高低関係を判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレーザ走査型干渉計を用いた表面形状の計測方法によれば、参照平面が金属薄膜により構成されていることにより、一回の測定で高低関係が判別可能な干渉縞パターンが得られる。このため、干渉縞の高低関係を判別するための、位相シフト法のような参照板を移動させる操作が不要となり、簡単な操作で表面形状を計測することができる。また、干渉縞の高低関係を判別するための、位相シフト法のような参照板を移動させて行う同じ箇所での複数回の測定が不要となり、広い面積の表面形状を短時間で計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のレーザ走査干渉計の全体構成を示す概略図である。
【図2】円形のくぼみを計測する場合を模式的に示す断面図である。
【図3】従来の計測方法によって得られた円形のくぼみの干渉縞パターンの写真である。
【図4】本実施例の計測方法によって得られた円形のくぼみの干渉縞パターンの写真である。
【図5】本実施例の計測方法によって得られた各種金属薄膜による干渉縞の画像である。
【図6】本実施例の計測方法によって得られた各種金属薄膜による干渉縞の輝度分布である。
【図7】従来の計測方法によって得られた円筒全面の干渉縞パターンの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のレーザ走査干渉計と、それを用いた表面形状の計測方法の一実施例について、添付した図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
本実施例の表面形状の計測方法に用いられるレーザ走査干渉計の一例を示す図1において、1はレーザ光源であり、このレーザ光源1から出力されたレーザ光は、コリメータレンズ2により平行レーザ光束となり、この平行レーザ光束は、固定ミラー3により反射されて向きを変え、ビームスプリッタ4と1/4波長板5を通過し、モータ6によって回転する走査ミラー7に導かれるようになっている。そして、平行レーザ光束は、矢印Aの向きに回転する走査ミラー7により反射されることによって走査光に変換され、テレセントリックfθレンズ8を通過し、その焦点面近傍に近接配置された参照平面ガラス9の参照平面9a及び被測定物10の被観察面10aにて反射されるようになっている。ここで、走査ミラー7が矢印Aの向きに回転すると、走査光は被観察面10aに沿って、矢印Bの向きに走査するようになっている。また、被測定物10は、図示しない移動手段により、矢印Bの向きと直交する方向に移動可能に構成されている。
【実施例1】
【0015】
参照平面9aにて反射された反射光である参照光と、被観察面10aにて反射された反射光である測定光は、テレセントリックfθレンズ8を通過して反射平行光束に変換され、走査ミラー7により反射され、1/4波長板5を通過して、ビームスプリッタ4に導かれるようになっている。そして、反射平行光束は、ビームスプリッタ4により反射されることによりレーザ光源1からのレーザ光と分岐され、結像レンズ11に入射して集光され、テレセントリックfθレンズ8の焦点面と共役の位置に設置されたピンホール板12のピンホール12aを通過して、ホトマル等の受光素子13に入射するようになっている。
【実施例1】
【0016】
受光素子13は、入射した反射平行光束の光量を計測して光電変換を行い、光量に対応した光量信号をA/D変換ボード14へ送信し、A/D変換ボード14は、この光量信号をA/D変換して演算手段15へ送信するようになっている。また、走査ミラー7を回転させるモータ6の動作、及び被測定物10の移動は、図示しない制御手段により制御され、走査ミラー7の回転角度及び被測定物10の移動距離の情報は制御手段から演算手段15へ送信されるようになっている。そして、演算手段15は、走査ミラー7の回転角度及び被測定物10の移動距離から光量信号が得られた被観察面10a上の位置情報を算出し、光量信号とその位置情報に基づいて画像データを作成し、この画像データを表示手段16に出力するようになっている。なお、この画像データは、参照光及び測定光の干渉状態に応じた明暗を示すものとなる。
【実施例1】
【0017】
参照平面ガラス9の参照平面9aには、金属薄膜が被覆されている。すなわち、参照平面9aは、ガラス基板に金属薄膜を成膜した参照板により構成されている。金属薄膜を構成する金属の種類としては、例えばCr、Ti、Fe、Ni、Al、Cu、Au、が挙げられる。また、金属薄膜の厚さは、今回のような金属面とガラス面を用いるような場合は10~30nm程度が適切であるが、薄膜表面で透過あるいは反射するレーザ光の割合が干渉縞形成に最適になるように、金属材料によって適宜厚さを選択することが好ましい。観察される干渉縞パターンは金属の種類や膜厚によって変わるが、後述するように、参照平面の基板材料(ガラス等)と金属薄膜の屈折率の関係により、非正弦波状パターンの向きが変わる。金属薄膜は、ECRスパッタ成膜装置(ECRイオンシャワー装置)により形成することができる。なお、本実施例では、金属薄膜をガラス上に形成したが、金属薄膜を形成する基板の材料はガラスに限らず、公知のあらゆる透明な表面が平坦な材料を用いることができる。
【実施例1】
【0018】
つぎに、上記のレーザ走査干渉計を用いた本発明の表面形状の計測方法について説明する。
【実施例1】
【0019】
被測定物10を図示しない移動手段に保持させ、被観察面10aに近接させて参照平面9aを設置する。ここで、被観察面10aからの反射光である測定光と参照平面9aからの反射光である参照光とが干渉する距離まで、被観察面10a上に参照平面9aを近接させる。なお、参照平面9aの設置位置は、光学的に共役な位置であればよいので、この位置に限定されることはない。
【実施例1】
【0020】
図示しない制御手段に指令を与えて、レーザ光源1からのレーザ光を連続点灯又はパルス点灯させるとともに、モータ6を矢印Aの向きに回転させる。これにより、走査光が被観察面10aに沿って矢印Bの向きに走査され、参照平面9aにて反射された参照光と、被観察面10aにて反射された測定光とが発生し、参照光と測定光の干渉が発生する。レーザ光源1からのレーザ光をパルス点灯させた場合には、狙った点のみにおいて参照光と測定光を干渉させることができる。
【実施例1】
【0021】
また、走査光が被観察面10aの一端部から他端部まで直線を1回走査する毎に、走査光の走査方向である矢印Bに直交する方向に、走査光のスポット径に対応する量だけ被測定物10を移動させる。なお、被測定物10は、矢印Bに直交する方向に連続的に移動させてもよく、走査光の走査毎に非連続的に移動させてもよい。連続的に移動させる場合は、被測定物10の移動に起因して被観察面10a上の走査線が捩れることになるので、データ処理により補正する必要がある。
【実施例1】
【0022】
参照光と測定光は、テレセントリックfθレンズ8により反射平行光束となり、ビームスプリッタ4によりレーザ光源1からのレーザ光と分岐される。そして、参照光と測定光は、結像レンズ11により集光され、ピンホール12aにより余分な光がカットされて、焦点の合った光のみが受光素子13に入射する。受光素子13から送信された光量信号は、A/D変換ボード14によりA/D変換された後、演算手段15へ送信される。
【実施例1】
【0023】
また、演算手段15は、図示しない制御手段から送信された走査ミラー7の回転角度及び被測定物10の移動距離の情報に基づき、光量信号が得られた被観察面10a上の位置情報を算出する。演算手段15は、光量信号とその位置情報を記憶する。そして、被測定物10の全面が走査光により走査されるまで計測を続けることにより、被観察面10aの全面の光量信号とその位置情報が演算手段15に蓄積される。演算手段15は、参照光及び測定光の干渉状態に応じた明暗を示す光量信号とその位置情報に基づいて、画像データを作成し表示手段16に出力する。その結果、被観察面10aの全面の画像データが得られる。
【実施例1】
【0024】
ここで得られた画像データは、参照平面9aに金属薄膜が被覆されたことに起因して、通常の干渉縞には見られない特定のパターンとなる。
【実施例1】
【0025】
すなわち、例えば、図2に示すような円形のくぼみCを有する被観察面10aを、金属薄膜で被覆されていない従来の参照平面を用いて計測すると、図3に示すような干渉縞パターンが得られる。この干渉縞パターンにおいて、円形の干渉縞の輝度は、半径方向に正弦波状に変化しており、この干渉縞は被観察面10aの等高線として扱われる。しかし、隣接した干渉縞間にはレーザ波長の半波長分の高低差があることは分かるが、相互の高低関係までは分からない。したがって、この図3に示す干渉縞パターンのみから凹凸を判断することはできない。そして、高低関係を知るためには、位相シフト法などをさらに適用する必要があり、複数回の計測を繰り返す必要がある。
【実施例1】
【0026】
これに対し、本実施例によれば、図4に示す干渉縞パターンが得られる。図4の干渉縞パターンは、参照平面ガラス9の表面にCr薄膜を被覆したものを、参照平面9aとして用いて測定した結果である。ここで、得られた干渉縞パターンの中心の円形部分が円形のくぼみCに対応しており、半径方向に非正弦波状(ノコギリ歯状)のパターンを持つことがわかる。そして、このノコギリ歯状のパターンの向きから、円形のくぼみCは中心に向かってくぼんでいることが判別できる。なお、ノコギリ歯状の干渉縞の明暗パターンは、くぼみC周辺の平面部のパターンが粗く、そこではノコギリ歯状のパターンが明瞭に認識されている。このように、この特異なパターンを利用することで、位相シフト法などを用いることなく、一回の計測で被測定物10の被観察面10aの形状を高精度に特定することができる。
【実施例1】
【0027】
以上のように、本実施例の表面形状の計測方法は、レーザ光源1からのレーザ光を平行光束としてビームスプリッタ4を介して走査ミラー7に導き、該走査ミラー7で前記レーザ光を走査光に変換してテレセントリックfθレンズ8に入射させ、該テレセントリックfθレンズ8の焦点面近傍に近接配置した参照平面9a及び被観察面10aからの反射光を前記テレセントリックfθレンズ8により平行光束に変換し、前記走査ミラー7で反射させた後に前記ビームスプリッタ4でレーザ光源からのレーザ光と分離し、結像レンズ11によって集光して前記テレセントリックfθレンズ8の焦点面と共役の位置に設置したピンホール12aを通過させ、該ピンホール12aを通過した前記反射光の光量を受光素子13で計測するレーザ走査干渉計を利用した表面形状の計測方法であって、前記参照平面9aは透明材料基板に金属薄膜を成膜した参照板により構成されている。参照平面を構成する参照板の透明材料基板と金属薄膜の屈折率を選択することにより、一回の測定で高低関係が判別可能な干渉縞パターンが得られる。このため、干渉縞の高低関係を判別するための、位相シフト法のような参照板を移動させる操作が不要となり、簡単な操作で表面形状を計測することができる。また、干渉縞の高低関係を判別するための、位相シフト法のような参照板を移動させて行う同じ箇所での複数回の測定が不要となり、広い面積の表面形状を短時間で計測することができる。
【実施例1】
【0028】
(実験例)
実施例1のレーザ走査型干渉計において、金属薄膜の種類、特にその屈折率の相違により、異なるパターンの非正弦波状の干渉縞が得られることを実験により確認した。
【実施例1】
【0029】
レーザ走査型干渉計は、波長650nmのレーザ光を使用し、その分解能は2.5μmである。
【実施例1】
【0030】
参照板として、ECRスパッタ成膜装置を用いて、平面ガラス板(厚さ1.2~1.5mm、屈折率:n=1.5)に金属薄膜を成膜した。金属薄膜の材料は、Au、Cu、Ni、Fe、Cr、Tiの6種類を準備した。作製した参照板の各金属の膜厚と屈折率は、表1のとおりである。
【実施例1】
【0031】
【表1】
JP0006327641B2_000002t.gif
【実施例1】
【0032】
また、試験片(被測定物)として、バフ研磨した直径32mmの銅円板を使用した。等間隔の干渉縞が発生するように、参照板の参照平面9aを試験片の被観察面10aに対して微小角度傾けて近接配置した。この構成により、被測定物に一定の角度の斜面が存在する場合を模擬的に実現した。
【実施例1】
【0033】
観察の結果の画像を図5に示す。図5において、(a)はAu薄膜を成膜した参照板を用いたときの干渉縞、(b)はCu薄膜を成膜した参照板を用いたときの干渉縞、(c)はNi薄膜を成膜した参照板を用いたときの干渉縞、(d)はFe薄膜を成膜した参照板を用いたときの干渉縞、(e)はCr薄膜を成膜した参照板を用いたときの干渉縞、そして、(f)はTi薄膜を成膜した参照板を用いたときの干渉縞である。参照平面と試験片の観察面とが図面の右側に向かって一定の割合で離反しているため、縞が等間隔で現れている。いずれの画像も、それぞれの縞が左右非対称な干渉縞が観察された。
【実施例1】
【0034】
図5(a)~(e)において、太い枠線で囲まれた領域の中央の横線に沿った輝度分布を図6(a)~(e)にそれぞれ示す。横軸のピクセル番号が大きい方が、参照平面と試験片の観察面との距離が長くなっている。図6から、いずれの輝度分布もノコギリ歯のようになっており、非正弦波状であることが分かる。そして、観察された輝度分布は、ガラスの屈折率(n=1.5)よりも、屈折率が低いAu薄膜(a)とCu薄膜(b)の場合は、輝度の各ピークについて右側斜面の傾斜が緩やかになる干渉縞パターンを示す。また、ガラスの屈折率(n=1.5)よりも、屈折率が高いNi薄膜(c)、Fe薄膜(d)、Cr薄膜(e)、及びTi薄膜(f)の場合は、輝度の各ピークについて左側斜面の傾斜が緩やかになる干渉縞パターンを示している。
【実施例1】
【0035】
この結果から、予め、参照板の基板材料(ガラス等)の屈折率と金属薄膜の屈折率の高低の関係を把握しておくことにより、レーザ走査型干渉計で得られた非正弦波状(ノコギリ歯状)の輝度分布波形のどちらの斜面が緩いか急かに基づいて、一回の測定で被観察面の傾斜方向及び高低関係を高精度に特定することができる。
【実施例1】
【0036】
なお、この輝度分布をフーリエ変換して解析を行ったところ、フーリエ変換後のデータのグラフに、等間隔に並んで次第に減少する複数のピークが現れたことから、レーザ光が被観察面と参照板間で多重反射していると予想される。この多重反射した反射光により干渉縞の輝度分布が非正弦波になると考えられ、また、参照板の基板と金属薄膜の屈折率の関係により多重反射が異なり、干渉縞パターンの斜面の傾きが変わると考えられる。
【実施例2】
【0037】
円筒の表面形状を計測する場合について説明する。
【実施例2】
【0038】
円筒の表面形状を計測する場合においても、図1に示す実施例1と同様のレーザ走査干渉計が用いられる。ただし、被測定物10は、図示しない回転手段により、円筒軸を中心に回転するようになっている。
【実施例2】
【0039】
また、走査ミラー7を回転させるモータ6の動作、及び被測定物10の回転は、図示しない制御手段により制御され、走査ミラー7の回転角度及び被測定物10の回転角度の情報は制御手段から演算手段15へ送信されるようになっている。そして、演算手段15は、走査ミラー7の回転角度及び被測定物10の回転角度から光量信号が得られた被観察面10a上の位置情報を算出し、光量信号とその位置情報に基づいて画像データを作成し、この画像データを表示手段16に出力するようになっている。
【実施例2】
【0040】
円筒の表面形状を計測する場合は、被測定物10の円筒軸を図示しない回転手段に保持させ、被観察面10aに近接させて参照平面9aを設置する。ここで、被観察面10aの母線上からの反射光である測定光と参照平面9aからの反射光である参照光とが干渉する距離まで、被観察面10a上の走査光が走査する母線に参照平面9aを近接させる。
【実施例2】
【0041】
図示しない制御手段に指令を与えて、レーザ光源1からのレーザ光を連続点灯又はパルス点灯させるとともに、モータ6を矢印Aの向きに回転させる。これにより、走査光が被観察面10aの母線に沿って矢印Bの向きに走査され、参照平面9aにて反射された参照光と、被観察面10aにて反射された測定光とが発生し、参照光と測定光の干渉が発生する。
【実施例2】
【0042】
また、走査光が被観察面10aの母線を1回走査する毎に、走査光の走査方向である矢印Bに直交する向きに、走査光のスポット径に対応する量だけ被測定物10をその円筒軸を中心に回転させる。なお、被測定物10は、連続的に回転させてもよく、走査光の走査毎に非連続的に回転させてもよい。連続的に回転させる場合は、被測定物10の回転に起因して被観察面10a上の走査線が捩れることになるので、データ処理により補正する必要がある。
【実施例2】
【0043】
また、演算手段15は、図示しない制御手段から送信された走査ミラー7の回転角度及び被測定物10の回転角度の情報に基づき、光量信号が得られた被観察面10a上の位置情報を算出する。演算手段15は、光量信号とその位置情報を記憶する。そして、被測定物10が一回転するまで計測を続けることにより、被観察面10aの全周の光量信号とその位置情報が演算手段15に蓄積される。演算手段15は、参照光及び測定光の干渉状態に応じた明暗を示す光量信号とその位置情報に基づいて、画像データを作成し表示手段16に出力する。その結果、被観察面10aの全周の画像データが得られる。ここで得られた画像データは、被観察面10aを展開した2次元画像として表示手段16に表示される。また、演算手段15によるデータ処理により、被観察面10aを展開していない円筒形状の3次元画像が作成され、被観察面10a上の凹凸の程度が強調されて表示手段16に表示される。
【実施例2】
【0044】
図7に超精密仕上げされた円筒の表面形状を計測したときの干渉縞パターンの例を示す。なお、この例は、金属薄膜で被覆されていない従来の参照平面を用いて計測した場合のものであるが、金属薄膜で被覆された本実施例の参照平面を使用すれば、非正弦波状(ノコギリ歯状)のパターンが得られ、参照平面ガラスの屈折率と金属薄膜の屈折率の関係及びノコギリ歯状のパターンの向きから、円筒表面の高低関係が判別できる。したがって、円筒の表面形状の計測においても、本実施例で得られる特異なパターンを利用することで、位相シフト法などを用いることなく、一回の計測で被測定物10の被観察面10aの形状を高精度に特定することができる。
【実施例2】
【0045】
例えば、次世代生産方式である、ロール・ツー・ロール生産方式では、高精度に加工されたロールが使用される。しかし、ロールの表面形状の高精度測定は、広い面積を高精度に計測する必要があり、従来の方法では時間がかかり過ぎるため諦められていた。このような場合においても、本実施例の方法を使用することにより、表面形状を短時間で高精度に、かつ、非接触で計測することができる。
【実施例2】
【0046】
したがって、本実施例の計測方法は、これまでの測定では不可能であった円筒全面の高精度測定に対して画期的な貢献をすることができる。
【実施例2】
【0047】
以上、本発明について上記実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内で種々の変形実施が可能である。なお、上記実施例では、レーザ走査干渉計に用いられる光学系の基本的な要素のみを例示したものであり、この種の光学系に設置される各種部材を必要に応じて追加してもよいし、適宜配置を変更してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 レーザ光源
4 ビームスプリッタ
7 走査ミラー
8 テレセントリックfθレンズ
9a 参照平面
10 被測定物
10a 被観察面
11 結像レンズ
12a ピンホール
13 受光素子
16 表示手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6