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明細書 :2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6607596号 (P6607596)
公開番号 特開2017-031062 (P2017-031062A)
登録日 令和元年11月1日(2019.11.1)
発行日 令和元年11月20日(2019.11.20)
公開日 平成29年2月9日(2017.2.9)
発明の名称または考案の名称 2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法
国際特許分類 C07D 263/38        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 263/38
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 24
出願番号 特願2015-149319 (P2015-149319)
出願日 平成27年7月29日(2015.7.29)
審査請求日 平成30年7月5日(2018.7.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】507307374
【氏名又は名称】学校法人神戸学院
発明者または考案者 【氏名】稲垣 冬彦
【氏名】向 智里
【氏名】岡田 泰彦
【氏名】松本 千明
【氏名】山田 将之
【氏名】中澤 研太
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100137729、【弁理士】、【氏名又は名称】赤井 厚子
【識別番号】100151301、【弁理士】、【氏名又は名称】戸崎 富哉
審査官 【審査官】薄井 慎矢
参考文献・文献 特開2014-169237(JP,A)
国際公開第2014/129400(WO,A1)
特開2012-011309(JP,A)
国際公開第2013/118819(WO,A1)
特開2015-107443(JP,A)
特開2015-054279(JP,A)
特開2017-031046(JP,A)
Organometallics,2013年,Vol.32,p.5285-5288
Bulletin Chemical Society of Japan,2011年,Vol.84, No.7,p.698-717
Tetrahedron Letters,2014年,Vol.55,p.3013-3016
Chemistry - A European Journal,2012年,Vol.18,p.15578-15581
調査した分野 C07D C01B
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
空気中の二酸化炭素を吸収させた、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを酸処理することにより二酸化炭素を発生させることを特徴とする二酸化炭素発生装置付の反応容器中、金触媒又は銀触媒の存在下、常温常圧下で、式(I):
【化1】
JP0006607596B2_000024t.gif
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。)で表されるプロパルギルアミンを、溶媒中で前記二酸化炭素発生装置で発生させた二酸化炭素と反応させて、式(II):
【化2】
JP0006607596B2_000025t.gif
(式中のR、R、R及びRは、前記と同義を示す。)で表される2-オキサゾリジノンに変換することを特徴とする、2-オキサゾリジノンの製造方法。
【請求項2】
ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン及びジエチレントリアミンからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
空気雰囲気下、金触媒又は銀触媒の存在下、常温常圧下で、式(III):
【化3】
JP0006607596B2_000026t.gif
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、Rは、ヒドロキシ基で置換された炭化水素基を示す。)で表されるプロパルギルアミンを、溶媒中で空気中の二酸化炭素と反応させて、式(IV):
【化4】
JP0006607596B2_000027t.gif
(式中のR、R、R及びRは、前記と同義を示す。)で表される2-オキサゾリジノンに変換することを特徴とする、2-オキサゾリジノンの製造方法。
【請求項4】
金触媒又は銀触媒が、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)、クロロ[2-ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)ホスフィン]金(I)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀、硝酸銀及び塩化銀からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、低級アルコールである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬等の前駆体として有用な2-オキサゾリジノン誘導体の新規な製造方法に関する。本発明はまた、空気由来の二酸化炭素を炭素源として有効に活用できるだけでなく、常温常圧下、撹拌等の電力エネルギーも必要としない、2-オキサゾリジノン誘導体の環境調和型製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2-オキサゾリジノン誘導体は、医薬、農薬、化成品等の様々な有機化合物の重要な前駆体である。それ故、2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法は古くから検討されてきたが、従来法では、オキサゾリジノンのカルボニル基は、一酸化炭素やホスゲンに由来する場合が多く、毒性の高い試薬の使用や高い反応温度を必要とする場合が殆どであった。
【0003】
最近、地球環境保護の観点から、温室効果ガスである二酸化炭素の排出削減について活発な議論がなされているが、真に効果的な解決策は未だ見出されていない。その解決策として、空気中の二酸化炭素を炭素源として利用する反応の開発は、以下の点で有望であると考えられる。すなわち、
(1)空気中に豊富に存在する資源を利用して高付加価値化合物を合成することができる点、
(2)反応を行えば、行うほど二酸化炭素が消費されるので、その消費量に応じて排出権取引で収益が得られる点、
(3)空気中の二酸化炭素を利用するので、世界中どこでも反応が行える点、
(4)二酸化炭素を炭素源として利用できれば、化石資源に依存する必要がなく、地球環境保護にもつながる点等の利点が挙げられる。それ故、二酸化炭素を炭素源として利用する反応の開発研究は世界中で活発に行われているが、その殆どが、二酸化炭素雰囲気下(すなわち、100%二酸化炭素存在下)の反応、二酸化炭素加圧下での反応、超臨界二酸化炭素を使用する反応等であり、加温加圧を必要とせずに空気中の二酸化炭素(空気中の二酸化炭素比率は、通常、わずか0.04~0.05v/v%である。)を有効利用した反応例は殆ど知られていない。
【0004】
二酸化炭素を炭素源として用いる2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法は、いくつか報告されているが、いずれも二酸化炭素雰囲気下、二酸化炭素加圧下、及び/又は高温下での反応であり(特許文献1、2、非特許文献1~4)、常温下で空気由来の二酸化炭素をそのまま用いた反応例は、これまで報告されていない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2004-262830号公報
【特許文献2】特開2014-169237号公報
【0006】

【非特許文献1】Fujita, K.et al., Tetrahedron Lett., 2014, Vol.55, 3013-3016.
【非特許文献2】Kikuchi, S. et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 2011, Vol.84, No. 7, 698-717.
【非特許文献3】Hase, S. et al., Organometallics, 2013, Vol.32, 5285-5288.
【非特許文献4】Yoshida, M. et al., 2012, Chem. Eur. J., Vol. 18, 15578-15581.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、空気由来の二酸化炭素を、炭素資源として有効活用することにより、医薬、農薬、化成品等の前駆体として有用な2-オキサゾリジノン誘導体の実用的且つ地球環境に優しい製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン誘導体が空気中の二酸化炭素を効率良く吸収することを見出すと共に、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキル基を有するプロパルギルアミン誘導体が、金触媒又は銀触媒の存在下、常温で空気中の二酸化炭素を炭素源として効率良く取り込み、2-オキサゾリジノン誘導体へと変換されることを見出した。また、空気中の二酸化炭素濃度は、場所や環境により変化することが知られている(実際、本発明者らの観測結果によれば、常温下で0.03~0.07v/v%の変化がみられた)が、本発明者らは、空気中の二酸化炭素を、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン誘導体に吸収させて固定化し、該二酸化炭素固定化アルキルアミン誘導体から必要な時に必要な分だけ二酸化炭素を発生させて反応に供することにより、上記2-オキサゾリジノン誘導体を、場所や環境に依らず、再現性良く効率的に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]二酸化炭素発生装置付の反応容器中、金触媒又は銀触媒の存在下、常温常圧下で、式(I):
【0010】
【化1】
JP0006607596B2_000002t.gif

【0011】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。)で表されるプロパルギルアミンを、溶媒中で前記二酸化炭素発生装置で発生させた二酸化炭素と反応させて、式(II):
【0012】
【化2】
JP0006607596B2_000003t.gif

【0013】
(式中のR、R、R及びRは、前記と同義を示す。)で表される2-オキサゾリジノンに変換することを特徴とする、2-オキサゾリジノンの製造方法。
[2]二酸化炭素発生装置が、空気中の二酸化炭素を吸収させた、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを酸処理することにより二酸化炭素を発生させるものである、上記[1]記載の方法。
[3]ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンが、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン及びジエチレントリアミンからなる群から選択される、上記[2]記載の方法。
[4]空気雰囲気下、金触媒又は銀触媒の存在下、常温常圧下で、式(III):
【0014】
【化3】
JP0006607596B2_000004t.gif

【0015】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、Rは、ヒドロキシ基で置換された炭化水素基を示す。)で表されるプロパルギルアミンを、溶媒中で空気中の二酸化炭素と反応させて、式(IV):
【0016】
【化4】
JP0006607596B2_000005t.gif

【0017】
(式中のR、R、R及びRは、前記と同義を示す。)で表される2-オキサゾリジノンに変換することを特徴とする、2-オキサゾリジノンの製造方法。
[5]金触媒又は銀触媒が、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)、クロロ[2-ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)ホスフィン]金(I)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀、硝酸銀及び塩化銀からなる群から選択される、上記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]溶媒が、低級アルコールである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空気雰囲気下で、金触媒又は銀触媒の存在下、常温でヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキル基を有するプロパルギルアミン誘導体を用いることにより、空気中の低濃度の二酸化炭素でさえも炭素源として有効利用できる、2-オキサゾリジノン誘導体の新規な製造方法を提供することができる。また、空気中の二酸化炭素を、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン誘導体に吸収させて固定化し、該二酸化炭素固定化アルキルアミン誘導体から必要な時に必要な分だけ二酸化炭素を発生させて反応に供することができる二酸化炭素発生装置を備えた反応容器中でプロパルギルアミン誘導体から2-オキサゾリジノン誘導体への変換反応を行うことにより、場所や環境に依らず、空気中の二酸化炭素を炭素源として安定的に利用することが出来る、実用的な2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、デシケーター中に種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、それぞれシャーレに入れて放置した際の時間経過に伴う二酸化炭素濃度(ppm)の変化を表す。
【図2】図2は、種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、それぞれデシケーター中に放置した際の時間経過に伴う質量変化(増加したg数)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。

【0021】
(定義)

【0022】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である。

【0023】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価基である。

【0024】
本明細書中、「アルキル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1以上のアルキル基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1-10アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基であり、特に好ましくはC1-4アルキル基である。炭素数範囲の限定がない場合の好適な具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。

【0025】
本明細書中、「アラルキル(基)」としては、C7-20アラルキル基が挙げられ、好ましくはC7-16アラルキル基(C6-10アリール-C1-6アルキル基)である。好適な具体例としては、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、ナフチルメチル、1-ナフチルエチル、1-ナフチルプロピル等が挙げられ、特にベンジルが好ましい。

【0026】
本明細書中、「アルコキシ(基)」としては、炭素数1以上のアルコキシ基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1-10アルコシ基であり、より好ましくはC1-6アルコキシ基である。炭素数範囲の限定がない場合の好適な具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。

【0027】
本明細書中、「アシル(基)」としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のC1-6アルカノイル基、C7-13アロイル基等が挙げられる。具体的には、例えば、ホルミル、アセチル、n-プロピオニル、イソプロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニル等が挙げられ、これらはそれぞれ置換されていてもよい。

【0028】
本明細書中、「アルケニル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状のC2-6アルケニル基等が好ましく、例えば、ビニル、1-プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等が挙げられる。中でも、C2-4アルケニル基が好ましい。

【0029】
本明細書中、「アルキニル(基)」としては、C2-6アルキニル基等が好ましく、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル等が挙げられる。中でも、C2-4アルキニル基が好ましい。

【0030】
本明細書中、「シクロアルキル(基)」は、環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3-6シクロアルキル基が好ましい。

【0031】
本明細書中、「アリール(基)」は、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリル、2-アンスリル等のC6-14アリール基等が挙げられる。中でもC6-10アリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。

【0032】
本明細書中、「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン」とは、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基(例、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、2-アミノエチルアミノ基等)により置換されたアルキル基を有するアミン化合物を意味し、具体的には、例えば、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。中でも、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミンが好ましく、モノエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が特に好ましい。

【0033】
本明細書中、「アルコキシ-カルボニル(基)」とは、カルボニル基に「アルコキシ基」が結合した基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、C1-3アルコキシ-カルボニル基が好ましい。

【0034】
本明細書中、「アリールオキシ-カルボニル(基)」とは、カルボニル基に「アリールオキシ基」が結合した基を意味し、例えば、フェノキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、フェノキシカルボニル基が好ましい。

【0035】
本明細書中、「アルキルスルホニル(基)」とは、スルホニル基(-S(O)-)に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル等のC1-6アルキルスルホニル基が挙げられる。

【0036】
本明細書中、「アリールスルホニル(基)」とは、スルホニル基(-S(O)-)に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル基が挙げられる。中でも、フェニルスルホニル基が好ましい。

【0037】
本明細書中、「トリ置換シリル(基)」とは、同一又は異なる3個の置換基(例、C1-6アルキル基、C6-10アリール基等)により置換されたシリル基を意味し、当該基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。

【0038】
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、特に規定する場合を除き、1個以上の置換基を有していてもよいことを意味し、該「置換基」としては、(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ基、(3)シアノ基、(4)ヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいアミノ基、(6)アルキル基、(7)アルコキシ基、(8)アシル基、(9)アルコキシ-カルボニル基、(10)アリールオキシ-カルボニル基、(11)アルキルスルホニル基、(12)アリールスルホニル基、(13)トリ置換シリル基等が挙げられる。中でも、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシ-カルボニル等が好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。

【0039】
上記置換基は、さらに上記置換基で置換されていてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。

【0040】
本明細書中、「金触媒」とは、反応が進行する限り特に限定されないが、具体的には、例えば、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)(chloro[(9,9-dimethyl-9H-xanthene-4,5-diyl)bis[diphenylphosphine-kP]]gold(I)(Au(Xantphos)Cl))、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)((acetonitrile)[(2-biphenyl)di-tert-butylphosphine]gold(I) hexafluoroantimonate([Au(JohnPhos)(NCMe)]SbF))、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)(chloro[1,3-bis(2,6-diisopropylphenyl)imidazol-2-ylidene]gold(I)(Au(IPr)Cl))、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)(chloro(triphenylphosphine)gold(I)(Au(PPh)Cl))、クロロ[2-ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)ホスフィン]金(I)(chloro[2-di-tert-butyl(2’,4’,6’-triisopropylbiphenyl)phosphine]gold(I)(Au(XPhos)Cl))等が挙げられる。中でも、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)が好ましい。

【0041】
本明細書中、「銀触媒」とは、反応が進行する限り特に限定されないが、具体的には、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸銀(silver hexafluoroantimonate(AgSbF))、酢酸銀(silver acetate(AgOAc))、硝酸銀(silver nitrate(AgNO))、塩化銀(silver chloride(AgCl))等が挙げられる。中でもヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀が好ましい。

【0042】
本明細書中、「常温」とは、第16改正日本薬局方通則で規定されている常温(15℃~25℃)をいう。

【0043】
本明細書中、「低級アルコール」とは、特に指示がなければ、炭素数1~6のアルカノールを意味し、好ましくは炭素数1~4のアルカノールを意味する。「低級アルコール」の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が好ましく、メタノールが特に好ましい。

【0044】
本明細書中、「二酸化炭素発生装置」とは、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、空気雰囲気下で放置することにより、空気中の二酸化炭素を十分に吸収させて、固定化させた前記「ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン」、すなわち、下記式(V):

【0045】
【化5】
JP0006607596B2_000006t.gif

【0046】
(式中、Xは、1であり、Yは、1~3であり、且つZは、3~10である。)で表される化合物(以下、「化合物(V)」と称することもある。)、に変換後、該化合物(V)を溶媒中又は無溶媒で、酸処理することにより、空気中から吸収、固定化させた二酸化炭素を再び放出(発生)させる反応を行うための反応装置(反応容器)を意味する。二酸化炭素発生装置は、本発明に係る2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法を実施する反応容器と連結可能なものであれば、その材質等は特に限定されない。二酸化炭素の発生の際に使用する酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、過塩素酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、中でも、希塩酸(例えば、10%塩酸)が好適に使用される。空気中の二酸化炭素を吸収させて、固定化した前記式(V)で表される化合物の組成は、元素分析を行うことにより決定することができる。

【0047】
(本発明の製造方法)
本発明の製造方法は、空気中の二酸化炭素を炭素資源として利用することを特徴とする、2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法である。

【0048】
本発明の製造方法の第1の態様(以下、「第1の製造方法」という。)としては、具体的には、空気雰囲気下、金触媒又は銀触媒の存在下、常温常圧下で、式(III):

【0049】
【化6】
JP0006607596B2_000007t.gif

【0050】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、Rは、ヒドロキシ基で置換された炭化水素基を示す。)で表されるプロパルギルアミン(以下、「化合物(III)」と称することもある。)を、溶媒中で空気中の二酸化炭素と反応させて、式(IV):

【0051】
【化7】
JP0006607596B2_000008t.gif

【0052】
(式中のR、R、R及びRは、前記と同義を示す。)で表される2-オキサゾリジノン(以下、「化合物(IV)」と称することもある。)に変換することを特徴とする、2-オキサゾリジノンの製造方法である。

【0053】
化合物(III)及び化合物(IV)の各基について説明する。

【0054】
は、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、好ましくは、水素原子、C1-6アルキル基又はC6-10アリール基であり、より好ましくは、水素原子、C1-4アルキル基又はフェニル基である。

【0055】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である。

【0056】
は、ヒドロキシ基で置換された炭化水素基を示し、好ましくは、ヒドロキシ基で置換されたC1-4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたC3-6シクロアルキル基であり、より好ましくは、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル基、1-ヒドロキシプロパン-2-イル基、2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-イル基又は2-ヒドロキシシクロペンタン-1-イル基である。

【0057】
化合物(III)及び化合物(IV)としては、以下の化合物が好適である。

【0058】
[化合物(IIIA)及び化合物(IVA)]
が、水素原子、C1-6アルキル基又はC6-10アリール基であり;
及びRが、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基であり;
が、ヒドロキシ基で置換されたC1-4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたC3-6シクロアルキル基である、化合物(III)及び化合物(IV)。

【0059】
[化合物(IIIB)及び化合物(IVB)]
が、水素原子、C1-4アルキル基又はフェニル基であり;
及びRが、共に水素原子であり;
が、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル基、1-ヒドロキシプロパン-2-イル基、2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-イル基又は2-ヒドロキシシクロペンタン-1-イル基である、化合物(III)及び化合物(IV)。

【0060】
第1の製造方法は、空気雰囲気下、金触媒又は銀触媒の存在下で化合物(III)を、反応に影響を及ぼさない溶媒中で反応させることにより、化合物(IV)を製造する反応である。

【0061】
溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限り、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4-ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもメタノールが特に好ましい。

【0062】
金触媒又は銀触媒としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)、クロロ[2-ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)ホスフィン]金(I)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられる。中でも、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀が好ましい。
金触媒又は銀触媒の使用量は、化合物(III)1モルに対して、通常0.001~0.3モルであり、好ましくは、0.01~0.1モルである。

【0063】
反応温度は、通常、常温(15℃~25℃)である。
反応時間は、通常12~72時間である。

【0064】
当該反応においては、加温や加圧等の反応条件は不要であり、反応混合物を撹拌しなくても反応は進行する。したがって、本発明の第1の製造方法は、外部エネルギーを一切必要とすることなく、空気中の二酸化炭素を炭素源として有効利用することが可能である点で、環境調和型の製造方法である。

【0065】
当該反応が進行するか否かは、反応基質である化合物(III)の置換基Rの選択に依存する。すなわち、化合物(III)におけるRが、ヒドロキシ基で置換された炭化水素基である場合は、対応する2-オキサゾリジノン(すなわち、化合物(IV))が得られるのに対し、Rが、それ以外の基(例えば、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、フェニル基等のヒドロキシ基を有さない基)である場合は、化合物(IV)は全く得られない。

【0066】
本発明の製造方法の第2の態様(以下、「第2の製造方法」という。)としては、具体的には、二酸化炭素発生装置付の反応容器中、金触媒又は銀触媒の存在下、常温常圧下で、式(I):

【0067】
【化8】
JP0006607596B2_000009t.gif

【0068】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示す。)で表されるプロパルギルアミン(以下、「化合物(I)」と称することもある。)を、溶媒中で二酸化炭素と反応させて、式(II):

【0069】
【化9】
JP0006607596B2_000010t.gif

【0070】
(式中のR、R、R及びRは、前記と同義を示す。)で表される2-オキサゾリジノン(以下、「化合物(II)」と称することもある。)に変換することを特徴とする、2-オキサゾリジノンの製造方法である。

【0071】
化合物(I)及び化合物(II)の各基について説明する。

【0072】
は、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、好ましくは、水素原子、C1-6アルキル基又はC6-10アリール基であり、より好ましくは、水素原子、C1-4アルキル基又はフェニル基である。

【0073】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基であり、より好ましくは、共に水素原子である。

【0074】
は、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を示し、好ましくは、水素原子、C1-6アルキル基、アラルキル基、ヒドロキシ基で置換されたC1-4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたC3-6シクロアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、ベンジル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル基、1-ヒドロキシプロパン-2-イル基、2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-イル基又は2-ヒドロキシシクロペンタン-1-イル基である。

【0075】
化合物(I)及び化合物(II)としては、以下の化合物が好適である。

【0076】
[化合物(IA)及び化合物(IIA)]
が、水素原子、C1-6アルキル基又はC6-10アリール基であり;
及びRが、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基であり;
が、水素原子、C1-6アルキル基、アラルキル基、ヒドロキシ基で置換されたC1-4アルキル基又はヒドロキシ基で置換されたC3-6シクロアルキル基である、化合物(I)及び化合物(II)。

【0077】
[化合物(IB)及び化合物(IIB)]
が、水素原子、C1-4アルキル基又はフェニル基であり;
及びRが、共に水素原子であり;
が、水素原子、メチル基、ベンジル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル基、1-ヒドロキシプロパン-2-イル基、2-ヒドロキシシクロヘキサン-1-イル基又は2-ヒドロキシシクロペンタン-1-イル基である、化合物(I)及び化合物(II)。

【0078】
第2の製造方法は、金触媒又は銀触媒の存在下、二酸化炭素発生装置付の反応容器中、化合物(I)を、反応に影響を及ぼさない溶媒中で二酸化炭素発生装置により発生させた二酸化炭素と反応させることにより2-オキサゾリジノンを製造する反応である。

【0079】
溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限り、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4-ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもメタノールが特に好ましい。

【0080】
金触媒又は銀触媒としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)、クロロ[2-ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)ホスフィン]金(I)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられる。中でも、クロロ[(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン-kP]]金(I)、(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、酢酸銀が好ましい。
金触媒又は銀触媒の使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常0.001~0.3モルであり、好ましくは、0.01~0.1モルである。

【0081】
反応温度は、通常、常温(15℃~25℃)である。
反応時間は、通常12~72時間である。

【0082】
第2の製造方法において、2-オキサゾリジノン誘導体の合成反応に使用する容器に連結(装着)される二酸化炭素発生装置は、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、二酸化炭素吸収剤として、空気雰囲気下、常温常圧下で放置することにより得られる、空気中の二酸化炭素を十分に吸収、固定化した、前記化合物(V)を、溶媒の存在下又は非存在下で、酸処理することにより、空気中から吸収、固定化された二酸化炭素を放出(発生)させる装置である。

【0083】
二酸化炭素発生装置内の二酸化炭素発生反応において使用する化合物としては、前記したヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを、空気雰囲気下で数時間~7日間放置することにより、空気中の二酸化炭素を十分に吸収させて得られる、下記式(V):

【0084】
【化10】
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【0085】
(式中、Xは、1であり、Yは、1~3であり、且つZは、3~10である。)で表される化合物(以下、化合物(V)と略称することもある)であれば、特に制限されないが、好ましくは、下記式:

【0086】
【化11】
JP0006607596B2_000012t.gif

【0087】


【0088】
【化12】
JP0006607596B2_000013t.gif

【0089】


【0090】
【化13】
JP0006607596B2_000014t.gif

【0091】


【0092】
【化14】
JP0006607596B2_000015t.gif

【0093】
、又は

【0094】
【化15】
JP0006607596B2_000016t.gif

【0095】
で表される化合物であり、特に好ましくは、化合物(V-1)である。
化合物(V)の使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常1~100モルであり、好ましくは、1~40モルである。

【0096】
当該二酸化炭素発生反応において、溶媒は、必ずしも必要ではないが、使用し得る溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。

【0097】
当該二酸化炭素発生反応において使用する酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、希塩酸(例、10%塩酸等)、過塩素酸、リン酸水溶液(例、85%リン酸水溶液等)、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、中でも希塩酸(例、10%塩酸等)が好適に使用される。
酸の使用量は、化合物(V)1モルに対して、通常0.01~3モルであり、好ましくは、0.1~2モルである。また、酸の使用量によって発生する二酸化炭素量を調整することも可能である。

【0098】
当該2-オキサゾリジノン誘導体の合成反応においては、加温や加圧等の反応条件は不要であり、反応混合物を撹拌の有無にかかわらず反応は進行する。したがって、本発明の第2の製造方法も、第1の製造方法と同様、空気中の二酸化炭素を炭素源とし、外部エネルギーを一切必要としないという点で、環境調和型の製造方法である。また、第2の製造方法によれば、化合物(I)中の置換基Rの種類に依らず、高収率且つ再現性良く反応が進行するので、汎用性が高い実用的な2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法である。

【0099】
(化合物(I)及び化合物(III)の入手方法)
本発明の製造方法における原料化合物である化合物(I)及び化合物(III)の入手方法としては、特に限定されないが、市販品(例、プロパルギルアミン(東京化成工業株式会社))を使用するか、又は自体公知の方法(例えば、Nieman, J. A. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010, Vol. 20, 3039-3042.等参照)又はこれらに準ずる方法に従って製造することができる。具体的には、例えば、プロパルギルアミン誘導体とアルキルハライドとの反応、又はプロパルギルアミン誘導体とアルデヒド若しくはケトンとの還元的アミノ化反応、プロパルギルハライド誘導体とアミンとの求核置換反応等により合成することができる。

【0100】
化合物(I)及び化合物(III)の合成の出発原料であるプロパルギルアミン誘導体又はプロパルギルハライド誘導体は、特に述べない限り、市販品として容易に入手できるか、或いは、自体公知の方法(例えば、Nieman, J. A. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010, Vol. 20, 3039-3042.等参照)又はこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0101】
以下に実施例及び実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
反応は、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.25mm)を用いて、薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
H及び13C-NMRスペクトルは、JEOL ECS400またはECS600を用い、重クロロホルムまたは重水を溶媒として測定した。H-NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット、sep=セプテット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
高分解能質量スペクトル解析(HRMS)は、JEOL JMS-T100TDを用いて実行した。
赤外吸収測定は、島津製赤外分光光度計 FT/IR-8700を用いて、NaCl板固定セルでのクロロホルム溶液による透過測定により行った。
元素分析は、J-SCIENCE LAB JM10を用いて実行した。
分取薄層クロマトグラフィーは、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.5mm)を用いて行った。フラッシュクロマトグラフィーは、関東化学株式会社(日本、東京)のシリカゲル60Nを用いて行った。
二酸化炭素の濃度は、God Ability(GA)社製の二酸化炭素濃度計(GC-02)を用いて計測した。
以下の実施例中の「室温」は、通常約10℃ないし約25℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
【実施例】
【0102】
以下の実施例において、化合物(II)及び化合物(IV)の合成に使用した原料化合物である化合物(I)及び化合物(III)は、市販品(プロパルギルアミン(東京化成工業株式会社))をそのまま使用するか、又は自体公知の方法(例えば、Nieman, J. A. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010, Vol. 20, 3039-3042.等参照)若しくはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。また、金触媒又は銀触媒は、市販品((アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)([Au(JohnPhos)(NCMe)]SbF)(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)(Au(IPr)Cl)(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)(Au(PPh)Cl)(和光純薬工業株式会社)、クロロ[2-ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)ホスフィン]金(I)(Au(XPhos)Cl)(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀(東京化成工業株式会社)、酢酸銀(和光純薬工業株式会社)、硝酸銀(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)、塩化銀(片山化学工業株式会社))をそのまま使用するか、又は自体公知の方法(例えば、Ito, H. et al., Organometallics, 2009, Vol.28, 4829-4840.等参照)若しくはこれらに準ずる方法に従って製造したものを使用することができる。
【実施例】
【0103】
実施例1
(Z)-5-ベンジリデン-3-(2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル)-2-オキサゾリジノン
(化合物(IV-1)(化合物(II-9)と同一化合物))の合成
【実施例】
【0104】
【化16】
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【実施例】
【0105】
2-フェニル-2-[(3-フェニル-2-プロピニル)アミノ]エタノール(化合物(III-1)(化合物(I-8)と同一化合物))(25mg、0.1mmol)をメタノール及びモノエタノールアミンの混合溶液(3:1、1mL)に溶かし、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イルデン]金(I)(1.2mg、0.002mmol)とヘキサフルオロアンチモン酸銀(1.4mg、0.004mmol)を加えた。得られた混合溶液を空気中室温で7日間撹拌後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~3:1)にて精製することにより、(Z)-5-ベンジリデン-3-(2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル)-2-オキサゾリジノン(12mg、収率41%)を得た。
【実施例】
【0106】
実施例2
5-メチレン-2-オキサゾリジノン(化合物(II-1))の合成
【実施例】
【0107】
【化17】
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【実施例】
【0108】
第1のフラスコ(反応容器)に、プロパルギルアミン(I-1)(0.1mmol)、及び(アセトニトリル)[(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン]ヘキサフルオロアンチモン酸金(I)([Au(JohnPhos)(NCMe)]SbF6);シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)(0.002mmol)のメタノール(1mL)溶液を準備し、第2のフラスコ(二酸化炭素発生装置)に(CO・(モノエタノールアミン)・(HO)(化合物(V-1))(2.8g,10mmol)を準備した。両フラスコを開閉可能なガラス管で連結し、装置全体を開放状態にして、第2のフラスコに希塩酸(10%塩酸、6mL、17mmol)を滴下することにより二酸化炭素を発生させて、装置全体を当該発生させた二酸化炭素で置換した。しばらくの間、撹拌又は手で装置全体を震とうさせ、二酸化炭素の発生が収まった後、反応装置全体を密閉し、1日間、室温で撹拌又は静置した。その後、反応容器側の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、5-メチレン-2-オキサゾリジノン(9.0mg、収率91%)を得た。なお、二酸化炭素発生装置から発生させる二酸化炭素の量は、反応基質の量よりも反応装置の全容積に依存する。そのため化合物(V-1)及び希塩酸の使用量は、用いた反応装置の全容積(約90mL)の約2倍程度の二酸化炭素が発生するように算出した。
【実施例】
【0109】
(実施例3)~(実施例13)は、上記(実施例2)と同様の方法により、化合物(I-2)~(I-12)から化合物(II-2)~(II-12)を合成した。化合物(II-1)~(II-12)への変換反応の反応条件(触媒の種類及び量、反応時間等)、化学収率、及び化合物(II)の物性データを表1~表3に示す。
【実施例】
【0110】
【表1】
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【実施例】
【0111】
【表2】
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【実施例】
【0112】
【表3】
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【実施例】
【0113】
(実験例1)
種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミンを二酸化炭素吸収剤として用いた場合の、時間経過に伴う空気中の二酸化炭素量の変化
【実施例】
【0114】
(実験操作例)
開閉可能なデシケーター(35.7L)内に二酸化炭素濃度計とシャーレを準備する。その後、種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン(5mmol)をデシケーター内のシャーレに加え、すぐに扉を閉め、デシケーター内二酸化炭素濃度を室温下、24時間経時的に測定した。なお、二酸化炭素の初期濃度は、空気中の二酸化炭素濃度に依存するが、空気中の二酸化炭素濃度は常に一定ではなく、437~640ppmの範囲内で変動したため、実験毎に異なっている(図1参照)。
【実施例】
【0115】
(二酸化炭素吸収量の測定)
種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン(0.33mol)をシャーレに加え、室温下、空気中で静置し、その質量の増加量(g)を90時間経時的に電子天秤で秤量した(図2参照)。当該増加量、及び下記方法により決定された二酸化炭素吸収後の化合物(化合物(V))の組成から、二酸化炭素吸収量を算出することができる。
【実施例】
【0116】
(化合物(V)の組成の決定方法)
種々のヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン(二酸化炭素吸収剤)を室温下、空気中に放置することにより生成した化合物(V)の成分組成は、以下の方法により決定することができる。すなわち、種々の二酸化炭素吸収剤を、それぞれシャーレに加え、室温下、空気中で7日間静置した。その後、二酸化炭素吸収後の化合物(化合物(V-1)~化合物(V-5))の元素分析により成分比を特定した。結果を下記表4に示した。
【実施例】
【0117】
【表4】
JP0006607596B2_000022t.gif
【実施例】
【0118】
種々の二酸化炭素吸収剤を用いて、上記実験を行った結果を図1及び図2に示した。図1によれば、二酸化炭素吸収剤として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン又はジエチレントリアミンを用いた場合には、いずれも効率良く空気中の二酸化炭素を吸収できることが確認された。また、図2によれば、二酸化炭素吸収剤として、モノエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール又はジエチレントリアミンを用いた場合に、約一日空気中に放置することで飽和状態となり、それ以上、二酸化炭素を吸収できなくなることが確認された。
【実施例】
【0119】
(実験例2)
空気中の二酸化炭素を吸収、固定化した、化合物(V)からの二酸化炭素の放出試験
【実施例】
【0120】
(実験操作例1)
上記実験例1で得られた化合物(V-1)~化合物(V-5)(1mmol)に希塩酸(例、10%塩酸等)、過塩素酸、リン酸水溶液(例、85%リン酸水溶液等)、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、トリフルオロ酢酸等の酸(1mmol)を加え、ガスの発生を確認した。生成したガスを石灰水に通した結果、石灰水が白濁したことから、化合物(V-1)~化合物(V-5)から二酸化炭素が発生していることを確認することができた。
【実施例】
【0121】
(実験操作例2)
上記実験例1で得られた化合物(V-1)(280mg,1mmol)、10%塩酸及び二酸化炭素濃度計を開閉可能なデシケーター内(35.7L)に準備した。扉を閉めた後、10%塩酸(0.1~0.9mL)を室温下、化合物(V-1)に加えて撹拌し、デシケーター内の二酸化炭素増加量(すなわち、二酸化炭素発生量)を3時間後に計測した。なお、増加した二酸化炭素量は、デシケーター内の内圧が変化していないものと想定して算出した。結果を下記表5に示した。
【実施例】
【0122】
【表5】
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【実施例】
【0123】
表5によれば、酸の添加量により、発生する二酸化炭素量を調整できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明によれば、空気雰囲気下で、常温で、金触媒又は銀触媒とヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキル基を有するプロパルギルアミン誘導体との反応により、空気中の低濃度の二酸化炭素でさえも炭素源として有効利用できる、2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、空気中の二酸化炭素を、ヒドロキシ基又は置換されていてもよいアミノ基で置換されたアルキルアミン誘導体を含有する二酸化炭素吸収剤に吸収させて固定化し、該固定化された二酸化炭素を必要な時に必要な分だけ発生させて反応に供することができる二酸化炭素発生装置を備えた反応容器中、常温で、金触媒又は銀触媒とプロパルギルアミン誘導体を反応させることにより、場所や環境に依らず、空気中の二酸化炭素を炭素源として安定的に利用することが出来る、実用的な2-オキサゾリジノン誘導体の製造方法を提供することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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