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Specification :(In Japanese)愛着障害の判定方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6487144
Publication number P2015-119785A
Date of registration Mar 1, 2019
Date of issue Mar 20, 2019
Date of publication of application Jul 2, 2015
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)愛着障害の判定方法
IPC (International Patent Classification) A61B   5/055       (2006.01)
FI (File Index) A61B 5/055 382
A61B 5/055 ZDM
Number of claims or invention 2
Total pages 8
Application Number P2013-264455
Date of filing Dec 20, 2013
Date of request for substantive examination Oct 26, 2016
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】友田 明美
Representative (In Japanese)【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100122688、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 健二
【識別番号】100117743、【弁理士】、【氏名又は名称】村田 美由紀
【識別番号】100163658、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 順造
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100137729、【弁理士】、【氏名又は名称】赤井 厚子
Examiner (In Japanese)【審査官】安田 明央
Document or reference (In Japanese)特表2014-501138(JP,A)
国際公開第2012/082960(WO,A2)
特表2005-503196(JP,A)
米国特許出願公開第2005/0154290(US,A1)
特表2014-513614(JP,A)
国際公開第2012/130958(WO,A1)
米国特許出願公開第2013/0231552(US,A1)
Bechara A., Damasio H., Damasio A. R.,Emotion, decision making and the orbitofrontal cortex,Cerebral Cortex,2000年 3月,vol.10,p.295-307
友田明美,fMRIを用いた注意欠陥多動性障害(ADHD)における報酬系の神経基盤に関する検討,福井大学助成研究成果集,福井大学,2012年 7月 3日,URL,http://生駒03.H23・重点研究成果2012_友田 明美(医.pdf
廣中直行,嗜好と嗜癖の神経科学-「好き」から「やみつき」へ-,日本香粧品学会誌,日本香粧品学会,2012年,vol.36,No.4,pp.276-281
筒井健一郎,報酬の脳内表現,生理心理学と精神生理学,日本生理心理学会,2008年,第26巻,第1号,p.5-16
Nora D.Volkow et.al.,Addiction: Beyond dopamine reward circuitry,Proc. Natl. Acad. Sc. U.S.A.,2011年 9月13日,vol.108, No.37,p.15037-15042
Field of search A61B 5/055
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
験者に報酬系の刺激を行い、被験者の脳画像を解析し、脳内部位の賦活度の変化から愛着障害を判定するためのデータを収集する方法であって、報酬系の刺激が金銭報酬を伴うカードめくりテストであり、脳内部位が背側線条体、腹側線条体及び視床である方法。
【請求項2】
被験者に金銭報酬を伴うカードめくりテストを行い、機能的磁気共鳴画像法による被験者の脳画像を解析し、脳内部位の賦活度を、
(1)高い金銭報酬を伴う場合に不変又は低下、および低い金銭報酬を伴う場合に不変又は低下
(2)高い金銭報酬を伴う場合に上昇、および低い金銭報酬を伴う場合に不変又は低下
に類別することからなる愛着障害を鑑別するためのデータを収集する方法であって、脳内部位が背側線条体、腹側線条体及び視床である方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に分類される愛着障害の判定および愛着障害と注意欠陥多動性障害の鑑別方法に関する。より詳しくは、報酬系のストレス負荷による脳内部位の賦活度を測定することによって、注意欠陥多動性障害と区別のつきにくい愛着障害を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
愛着障害をはじめとするトラウマ関連疾患は、環境素因と遺伝的素因が複雑に絡み合って発症する多因子疾患であり、その診断や治療は容易ではない。特に子ども達の情動機構が完成する生後5歳までに、親から虐待やネグレクトを受けた場合、76%の子供が愛着障害を発症し、後の人格障害等に大きく影響することが知られている(非特許文献1)。そのため愛着障害に対する早期治療介入が必要とされている。しかし愛着障害に関する確定診断は、専門医の行動観察と患児の問題行動に対する聞き取り調査により行っているのが通例であり、国内の愛着障害専門医が少ない上に、愛着障害の症状、特に愛着障害患者の呈する多動衝動性障害が、注意欠陥多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder;ADHD)などの発達障害の症状と酷似しているため、愛着障害の早期発見や鑑別診断は非常に困難な状況にある。
【0003】
さらに、国内外で愛着障害患者に対する脳科学的な解析は未確立であるため、同疾患の診断に関しては、「精神障害の診断と統計の手引き5」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、DSM-5) (非特許文献2)で対応しているのが現状である。このため、医療現場では、個別症例の違いを予測でき、治療の効果を最大限に引き出すことができるツールが切望されていた。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】van der Kolk,et al., Disorders of extreme stress: The empirical foundation of a complex adaptation to trauma. J Trauma Stress, Oct 18(5):389-399, 2005
【非特許文献2】American Psychiatric Association, 2013. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed., Text Revision (DSM-5). The American Psychiatric Publishing, Washington, DC.
【非特許文献3】Izuma, et al., Processing of social and monetary rewards in the human striatum. Neuron, 58, 284-294, 2008
【非特許文献4】Mizuno, et al., Osmotic release oral system-methylphenidate improves neural activity during low reward processing in children and adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder. NeuroImage: Clinical, 2, 366-376, 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、患者に過大な負担をかけることなく、愛着障害の適切な治療方針を決定するための手がかりの一つとして、愛着障害を判定し、ADHDと鑑別する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、健常被験者と未治療愛着障害患者において、金銭報酬を伴うカードめくりテストを行い、報酬系の刺激で活性化する脳部位を機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)で調査し、違いがあることを初めて見出し、さらにこれまで困難とされてきた、愛着障害の早期発見やADHDなどとの鑑別判定ができることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の[1]~[6]に関する。
[1]被験者に報酬系の刺激を行い、機能的磁気共鳴画像法による被験者の脳画像を解析し、脳内部位の賦活度の変化から愛着障害を判定する方法。
[2]報酬系の刺激が金銭報酬を伴うカードめくりテストである[1]に記載の方法。
[3]脳内部位が背側線条体及び視床である[1]または[2]に記載の方法。
[4]被験者に金銭報酬を伴うカードめくりテストを行い、機能的磁気共鳴画像法による被験者の脳画像を解析し、脳内部位の賦活度を、
(1)高い金銭報酬を伴う場合に不変又は低下、および低い金銭報酬を伴う場合に不変又は低下
(2)高い金銭報酬を伴う場合に上昇、および低い金銭報酬を伴う場合に不変又は低下
に類別することからなる愛着障害と注意欠陥多動性障害を鑑別する方法。
[5]脳内部位が背側線条体及び視床である[4]に記載の方法。
[6]被験者に金銭報酬を伴うカードめくりテストを行い、機能的磁気共鳴画像法による被験者の脳画像を解析し、脳内部位の賦活度を、
(1)高い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が不変または低下し、低い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が不変又は低下
(2)高い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が上昇し、低い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が不変または低下
(3)高い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が上昇し、低い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が上昇
に類別し、(1)の場合には愛着障害、(2)の場合には注意欠陥多動性障害、(3)の場合は正常と鑑別する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来判定が困難であった、愛着障害の非侵襲的な鑑別判定が可能になり、愛着障害を簡便に発見することができ、早期に治療が開始でき、重篤な精神疾患へ推移することを予防することができる。
本発明によれば、これまで困難とされてきた、愛着障害とADHDなどとの鑑別判定が可能となり的確な治療ができる。
また本発明によれば、愛着障害の治療に有効な薬物を見出すことができる。しかも、対人関係(社会的関係パターン)の改善、過度の警戒、適切に選択的な愛着を示す能力の欠如した、拡散した愛着、無分別な社交性などを特徴とする情緒障害の改善を客観的に評価できる。
また子どもの健全な発育・発達は、これからの日本の健やかな社会を実現する為に切実な社会的要望であり、本発明により、医療経済に及ぼす影響は非常に大きく、小児精神科疾患医療費の削減に繋がるため、社会的に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、反応性愛着障害児と定型発達児における脳内画像を示す。
【図2】図2は、金銭報酬を伴うカードめくりテストにおける定型発達児、ADHD及び愛着障害児の脳内画像を示す。各画像は下記のように各テスト時の脳内画像を解析処理したものである。HMR minus NMRは、高報酬時神経賦活度と無報酬時神経賦活度の差を示す。LMR minus NMRは、低報酬時神経賦活度と無報酬時神経賦活度の差を示す。HMR minus LMRは、高報酬時神経賦活度と低報酬時神経賦活度の差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、被験者に報酬系の刺激を行い、機能的磁気共鳴画像法による被験者の脳画像を解析し、脳内部位の賦活度の変化から愛着障害を判定する方法に関する(以下本発明の判定方法とも称する)。

【0011】
本発明において、「愛着障害」とは、反応性愛着障害を意味し、5歳以前に形成された養育者との異常な関係が原因となり、通常形成される母子間の愛着形成が構築されない症状を呈する。
異常な関係とは、身体的虐待(殴る、蹴るなどの暴力)、性的虐待、精神的虐待(言葉の暴力、両親間のDV(Domestic Violence)目撃など)、ネグレクト(子供遺棄、栄養不良、極端な不潔、育児怠慢)等が挙げられる。
反応性愛着障害は、抑制型と脱抑制型に分類され、その主な症状としては、衝動や怒りのコントロールの障害をきたし、多動性行動障害の症状等が挙げられるが、具体的には以下の症状が挙げられる;
(1)抑制型;他者に対して無関心、用心深い、集中力が低い、人の眼を見ない、人を信頼しない
(2)脱抑制型;多動、ハイテンションになる、人見知りがない、平気で悪口を言う、友達とのトラブルが多い。
これらの症状は一般的な例であり、両方の症状が見られることや、一部の症状しか認めないこともある。
なお現在「精神障害の診断と統計の手引き5」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、DSM-5)の分類では、上記抑制型及び脱抑制型は、反応性アタッチメント障害(Reactive Attachment Disorder(RAD))及び脱抑制型対人交流障害(Disinhibited Social Engagement Disorder(DSED))に分類されているが、本願における愛着障害とは、両者を含む概念である。

【0012】
報酬系の刺激とは、欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、その個体に快の感覚を与える神経系の刺激であり、当該神経系を活性化することである。報酬系の刺激を行うことができれば、その方法は特に限定されないが、簡単に試験ができ、子供にも理解できる方法が好ましい。具体的には、金銭報酬を伴うカードめくりテスト(非特許文献3、4)などが挙げられる。
金銭報酬を伴うカードめくりテストは、非特許文献3及び4に記載の方法で行う。

【0013】
被験者の脳内部位の賦活度は、視覚的または定量的に測定できればその方法は限られないが、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、磁気共鳴画像法(MRI)、脳磁図(MEG)計測、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、CATスキャン(コンピュータ体軸断層撮影法)、及び単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの方法等で測定することができる。侵襲性がない点でfMRI、MRI、MEGが好ましく、fMRIがより好ましい。
fMRIは、核磁気を利用してヒトや動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法であるが、fMRI計測によって得られた脳の活動量のパターンから賦活度を決定する。
賦活度の変化は、fMRI計測によって得られた脳の活動量の変化を指標に決定する。例えば、下記報酬系の刺激を行う前後にfMRI計測を行い、fMRI計測により得られた脳画像を解析し、脳内部位の活動性が、刺激前に比べて変わらない、低下又は上昇している場合に、賦活度が不変、低下又は上昇と判断される。

【0014】
脳内部位は、金銭報酬を伴うカードめくりテストなどにおいての報酬系の刺激により活性化される部位であればいずれの個所でも限定されないが、通常は脳の両側視床、腹側線条体および背側線条体、尾状核、好ましくは腹側線条体および背側線条体、視床であり、より好ましくは背側線条体、視床の活動の変化を検討することが判定に有効である(非特許文献4)。

【0015】
金銭報酬を伴うカードめくりテストは、「金銭報酬が高い/低い」の違いで報酬に差があると賦活度が違ってくるという「報酬の感受性」の異常を捉えることが可能なテストであり「報酬の感受性」を評価していることが特徴である。金銭報酬の高いあるいは低いは相対的なものであり、対象者、疾患、環境要因等で適宜変更することができる。

【0016】
例えば、金銭報酬が低いカードめくりテストの前に、(金銭報酬が一切ない)無報酬のカードめくりテストを用いてfMRI計測し、テスト後に同じく計測し、視床、背側線条体等での賦活度を比較することにより、愛着障害を判定する。通常、当該テストの刺激で賦活される部位において賦活度が変化なし、または低下している場合に愛着障害と判定する。
さらに金銭報酬を伴うカードめくりテストは、高い金銭報酬を伴うテストと低い金銭報酬を伴うテストを行う。
高い金銭報酬とは、低い金銭報酬に対して差があると認識できる程度の報酬であり、例えば低い報酬に対して2倍以上の報酬が挙げられ、平均して1回につき330円の金銭報酬が挙げられる。
低い金銭報酬とは、無報酬および高い金銭報酬に対して差があると認識できる程度の報酬であり、例えば、高い報酬の半額以下の報酬が挙げられ、平均して1回につき150円の金銭報酬が挙げられる。
高い金銭報酬と低い金銭報酬の場合で、同様に脳画像を解析し、視床、背側線条体等の賦活度を無報酬時のテストの画像と比較して、賦活度が変化なし、または低下している場合に愛着障害と判定する。

【0017】
被験者の脳内部位を、金銭報酬を伴うカードめくりテスト中またはテスト後にfMRIによって測定し、無報酬のカードめくりテスト中の脳内部位と比べて
(1)高い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が不変または低下し、低い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が不変又は低下
(2)高い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が上昇し、低い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が不変または低下
(3)高い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が上昇し、低い金銭報酬を伴う場合に、賦活度が上昇
に類別し、(1)の場合には愛着障害、(2)の場合には注意欠陥多動性障害、(3)の場合は正常であると判定し鑑別することができる。それ以外の場合は通常考えられないが、再度テストを行うか正常でないと判定する。

【0018】
本発明の判定方法は、注意欠陥多動性障害(ADHD)等の発達障害を判定することもできる。特に注意欠陥多動性障害(ADHD)や愛着障害に好ましく適用することができる。

【0019】
本発明の方法を、サル、イヌ、マウス等を使用して、報酬系の刺激を行い、機能的磁気共鳴画像法等による対象の脳画像を解析し、賦活度を同様に検討し、愛着障害の治療剤開発や予防のためのスクリーニング方法に適用することができる。

【0020】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
以下に、愛着障害に対する判定方法について調べた試験例を示す。
【実施例】
【0022】
試験例1
(対象患者)
DSM-IV-TRの分類法により愛着障害と判定された子供(6人);年齢10~15歳、性別 男 3人 女 3人
健常(定型発達)児;年齢10~16歳、性別 男 17人 女 0人
【実施例】
【0023】
健常(定型発達)児と愛着障害において金銭報酬を伴うカードめくりテストによる脳内部位の賦活度を測定した。
1.無報酬のカードめくりテスト中に機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で脳画像を計測。
2.高額と低額の金銭報酬(平均150円と平均330円)のカードめくりテストを25分間行う。
3.各テスト中のfMRIで脳画像を計測。
以上の試験において当該テスト中に活性化する脳部位をfMRIで調査研究した結果、健常(定型発達)児では脳の両側背側線条体や視床の神経活動が賦活していた (図1)。
しかし、愛着障害患者では、低報酬(平均150円)と高報酬(平均330円)のいずれの報酬課題遂行中においてもBlood Oxygenation Level-Dependent (BOLD)効果を介した神経賦活度は両側の背側線条体や視床において著しく低下していた(図1)。
この結果から、愛着障害患児の報酬系機能の脳画像の解析により、愛着障害の早期判定が可能となった。
【実施例】
【0024】
試験例2
愛着障害(反応性愛着障害,DSM-IV-TR 313.89)と診断された10-15歳の小児患者(愛着障害患児6名(12.5±1.9歳))6名、対照となる10-16歳の健常(定型発達)児17名(13.0±1.9歳)および未治療のADHD患児17名(13.3±2.2歳)を対象にfMRI検査および心理発達検査を行った。
愛着障害患児についての背景は以下の通りである。
性別 男児3人、女児3人
虐待種別(重複あり);身体的6人、心理的3人、ネグレクト3人、性的3人
併存症;うつ1人、起立性調節障害1人、不登校3人、解離性同一性障害3人
【実施例】
【0025】
(心理発達試験)
(1)(不注意/多動衝動性尺度)
他者評定による ADHD Rating Scale-IV日本語版(以下, ADHD-RS;市川・田中,2008)により、注意/多動衝動性尺度がそれぞれ10点以上かつADHD 症状の不注意項目9項目中6項目以上または,多動,衝動性項目9項目中6項目以上に該当した場合、注意欠陥多動性障害(ADHD)または反応性愛着障害を有すると診断した。
(2)(解離尺度)
子どもの解離症状に関するチェックリスト(Child Dissociative Checklist) が12点以上に該当した場合、反応性愛着障害を有すると確定診断した。
ただし、同尺度が12点未満であっても、不適切な養育歴(虐待・ネグレクト)が有れば反応性愛着障害を有すると診断した。
【実施例】
【0026】
(fMRI検査)
愛着障害患児(RAD)、定型発達児及び未治療ADHD患児(今回のテストまでに薬物療法などの治療を行っていない患児)に以下の様に金銭報酬を伴うカードめくりテストを行った。
1.無報酬のカードめくりテスト中の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で脳画像を計測。
2.報酬(平均150円と平均330円)を伴うカードめくりテストを25分行う。
3.各テスト中のfMRIで脳画像を計測および画像解析。
定型発達児のfMRI画像における背側線条体や視床は図2に示すように賦活していた。
一方、愛着障害患児はいずれの報酬を伴うテストにおいても、画像における背側線条体や視床の賦活化は認められなかった(図2)。
同様の実験を未治療のADHD患児に対し行ったところ、金銭報酬の高いテストでは背側線条体や視床での賦活化が認められたが、金銭報酬の低いテストでは腹側線条体や視床の活動性が低下し賦活化が認められなかった(図2)。
【実施例】
【0027】
上記の通り、愛着障害群では金銭報酬の高低にかかわらず、背側線条体や視床の賦活度が低下しており、黒質線条体経路(前頭葉、運動野)の機能低下が示唆され、ADHD群では低報酬時に腹側線条体や視床の活動性が低下していることから腹側被蓋野-側坐核経路の機能低下が示唆され、愛着障害とADHDの報酬系機能低下の違いが明確に示されていることが分かった。
【実施例】
【0028】
上記未治療のADHD患児にメチルフェニデートの治療を行った90日後に同様のテストおよびfMRI検査行ったところ定型発達児と同じ賦活度を示した。
以上の結果を図2に示す。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
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