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明細書 :チタン酸系リチウム吸着剤の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6692530号 (P6692530)
公開番号 特開2017-177064 (P2017-177064A)
登録日 令和2年4月17日(2020.4.17)
発行日 令和2年5月13日(2020.5.13)
公開日 平成29年10月5日(2017.10.5)
発明の名称または考案の名称 チタン酸系リチウム吸着剤の製造方法
国際特許分類 B01J  20/30        (2006.01)
B01J  20/06        (2006.01)
C02F   1/28        (2006.01)
C01G  23/00        (2006.01)
FI B01J 20/30
B01J 20/06 C
C02F 1/28 E
C01G 23/00 B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2016-072219 (P2016-072219)
出願日 平成28年3月31日(2016.3.31)
審査請求日 平成31年3月12日(2019.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】手嶋 勝弥
【氏名】林 文隆
審査官 【審査官】池田 周士郎
参考文献・文献 特開2011-063452(JP,A)
特開2015-229122(JP,A)
特開2011-200779(JP,A)
小川和也、ほか,選択的Li吸着能を示すチタン酸結晶のフラックス育成,Journal of Flux Growth,2014年12月11日,Vol.9, No.2,page.119
林 文隆、ほか,層状チタン酸塩結晶のフラックス育成とそのイオン交換特性,日本セラミックス協会第28回秋季シンポジウム講演予稿集,2015年 9月 1日,1PF03
調査した分野 B01J 20/00-20/34
C01G 1/00-23/08
C02F 1/28
特許請求の範囲 【請求項1】
次の(1)および(2)の工程を有することを特徴とするチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法。
(1)次のa~d工程により、LiTiOの組成を有するチタン酸リチウムを生成する工程。
a:Li源、TiOからなるTi源、および、LiOHまたはLiOH・HOの少なくとも1種からなるフラックス成分を混合する工程、
b:前記a工程での混合物を加熱してフラックス成分を溶融する工程、
c:前記フラックス成分が溶融した前記混合物を冷却して結晶を育成し、フラックス成分を洗浄、フラックス成分を除去して結晶を得る工程、
d:前記c工程で得られた結晶をさらに乾燥する工程、
(2)前記(1)の工程で得られたLiTiOの組成を有するチタン酸リチウムの結晶をさらに酸処理する工程。
【請求項2】
前記フラックス成分を溶融する工程における前記混合物の加熱温度が550℃以上600℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法。
【請求項3】
前記酸処理する工程において使用する酸が、1mmol/L以上10mmol/L以下の濃度の塩酸水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載のチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法
【請求項4】
前記混合物中の前記Ti源が1mol%以上75mol%以下の範囲であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン酸系リチウム吸着剤の製造方法に関する。詳しくは、リチウムを選択的に回収することができるチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムは、携帯電話やパソコンなどで用いられる二次電池の材料として広く用いられ、その需要が急速に増大している。さらに、核融合炉では、燃料の増殖材としてリチウムが不可欠である。
【0003】
リチウム資源の確保のために、リチウム吸着剤を用いて海水やかん水などから選択的にリチウムを回収する方法が検討されている。海水・かん水には、リチウムとよく似たナトリウムなどのイオンが高い濃度で溶けているため、リチウム吸着剤には、リチウムイオンに対して著しく高い選択性を示し、リチウムイオンだけを捕獲する性能が求められている。
【0004】
リチウム吸着剤として、マンガン酸リチウム(LiMn)、チタン酸リチウム(LiTiO)、アンチモン酸リチウム(LiSbO)などを前駆体とし、これらを酸処理し得られる無機酸化物系の吸着剤が検討されている(非特許文献1)。これらのリチウム吸着剤は、海水あるいはかん水に浸漬するとプロトンとリチウムイオンのイオン交換反応が進み、リチウム吸着剤にリチウムが吸着される。その後、このリチウム吸着剤を酸溶液に入れるとプロトンとリチウムイオンのイオン交換反応が進み、リチウムが酸溶液に脱着される。この吸着・脱着サイクルを繰り返すことで海水およびかん水に含まれるリチウムを濃縮回収することができる。
【0005】
しかし、マンガン酸リチウムを前駆体とする酸化マンガン系吸着剤は、酸溶液にてリチウムを脱着する際、マンガンイオンも同時に溶出する。このため、繰り返し使用する上で耐久性に問題がある。また、アンチモン酸リチウムを前駆体とする酸化アンチモン系吸着剤は、アンチモンが高い毒性を持つため、実用化に大きな課題がある。
【0006】
一方、チタン酸リチウム(LiTiO)を前駆体とするチタン酸(HTiO)は、チタンイオンの溶出や毒性の問題もなく、リチウムイオンに対して高い選択性を有し、リチウム吸着剤として優れている(非特許文献2)。
【0007】
しかし、従来のチタン酸は、酸化マンガン系吸着剤などに比べ、リチウムの吸着容量が低いという欠点を有していた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】吉塚和治、近藤正聡、「海水からのリチウム回収」、J. Plasma Fusion Res. Vol.87, No.12 (2011)795‐800.
【非特許文献2】Ramesh Chitrakar et al., Dalton Trans., 2014, 43, 8933-8939.
【非特許文献3】Nadezda V. Tarakina et al., Dalton Trans., 2010, 39, 8168-8176.
【非特許文献4】Cheng-Long Yu et al., Dalton Trans., 2015, 44, 15721-15724.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、リチウムの吸着容量が高いチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らが鋭意研究を重ねた結果、チタン酸系結晶の粒子形態を変化させることでリチウム吸着性能を向上できることを発見した。この粒子形態の変化は、チタン酸系結晶のX線回折パターンを測定することで確認できる。
【0011】
また、この粒子形態を改善したチタン酸系結晶は、フラックス法で育成したチタン酸リチウム結晶を前駆体として用い、それを酸処理することで作製できることを発明者らは見出した。
【0012】
本発明は、これらの知見に基づき、検討を重ね完成されたものであり、次のようなチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法を提供するものである。
【0014】
すなわち、本発明に係るチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法は、次の(1)および(2)の工程を有することを特徴とする。
【0015】
(1)次のa~d工程により、LiTiOの組成を有するチタン酸リチウムを生成する工程。
a:Li源、TiOからなるTi源、および、LiOHまたはLiOH・HOの少なくとも1種からなるフラックス成分を混合する工程、
b:前記a工程での混合物を加熱してフラックス成分を溶融する工程、
c:前記フラックス成分が溶融した前記混合物を冷却して結晶を育成し、フラックス成分を洗浄、フラックス成分を除去して結晶を得る工程、
d:前記c工程で得られた結晶をさらに乾燥する工程、
(2)前記(1)の工程で得られたLiTiOの組成を有するチタン酸リチウムの結晶をさらに酸処理する工程。
【0016】
さらに、前記フラックス成分を溶融する工程における前記混合物の加熱温度が550℃以上600℃以下であることを特徴とする。
【0017】
また、前記酸処理する工程において使用する酸が、1mmol/L以上10mmol/L以下の濃度の塩酸水溶液であることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記混合物中の前記Ti源が1mol%以上75mol%以下の範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、X線回折パターンにおいて42°以上48°以下の範囲に存在する回折線の強度増加が観察されるように、チタン酸系結晶の粒子形態を変化させることで、プロトンとリチウムイオンとの交換性に優れ、高効率にリチウムイオンを吸着するチタン酸系リチウム吸着剤を提供できる。これは、チタン酸系結晶の粒子形態の変化によりリチウムイオンおよびプロトンの固体内/表面から表面/固体内への拡散距離が短くなったためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1および実施例2に係るチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンである。
【図2】本発明の実施例3および実施例4に係るチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンである。
【図3】本発明の参考例に係るチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンである。
【図4】比較例1および比較例2に係るチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンである。
【図5】本発明の実施例2に係るチタン酸系リチウム吸着剤の電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の参考例に係るチタン酸系リチウム吸着剤の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施の形態で得られる(H/Li)TiOの組成からなるチタン酸系リチウム吸着剤について、その製造方法と共に説明する。

【0023】
まず、本実施の形態に係るチタン酸系リチウム吸着剤を説明する。本実施の形態に係るチタン酸系リチウム吸着剤は、(H/Li)TiOの組成からなるチタン酸系リチウム吸着剤であって、CuKα線を用いて測定したX線回折パターンにおいて、18°以上19.5°以下の範囲に存在する回折線の強度に対する42°以上48°以下の範囲に存在する回折線の強度の比が、0.15以上であることを特徴とする。

【0024】
非特許文献3、4によれば、1)チタン酸系リチウム吸着剤は複数の結晶相の混合物からなること、2)主構造は空間群P312の層状構造であることが提唱されている。

【0025】
チタン酸系リチウム吸着剤の結晶が空間群P312の層状構造であると仮定して、本実施の形態に係るチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンの回折ピークの位置と結晶面との関係を説明すると次のようになる。

【0026】
すなわち、本発明の実施形態に係るチタン酸系リチウム吸着剤は、層状複水酸化物と同様の構造をもち、電気的に中性な[(OH)OTiO(OH)]層が積層することで結晶を形成する。そして、X線回折パターンにおいて測定される18°以上19.5°以下の範囲に存在する回折線は、この層状構造に起因する{003}結晶面に対応し、42°以上48°以下の範囲に存在する回折線は、{114}結晶面に対応する。

【0027】
よって、本実施の形態に係るチタン酸系リチウム吸着剤は、X線回折パターンにおいて、18°以上19.5°以下の層状構造に起因する{003}結晶面に対応する回折線の強度に対して、{114}結晶面に対応する42°以上48°以下の範囲に存在する回折線の強度が0.15倍以上であることを特徴とする。

【0028】
{114}結晶面に対応する42°以上48°以下の範囲に存在する回折線の強度が0.15倍以上であることは、チタン酸系リチウム吸着剤の結晶粒子が、粒子形態として、異方性が低く、等方性が高いものであることを表している。ここで、粒子形態とは、粒子の三次元形状をいう。また、異方性とは、粒子の形状異方性であり、粒子の三次元方向によって粒径が異なることをいい、等方性とは粒径が方向に依存しないことをいう。

【0029】
次に、本実施の形態における、(H/Li)TiOの組成からなるチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法を説明する。本実施の形態における、(H/Li)TiOの組成からなるチタン酸系リチウム吸着剤の製造方法は、Li源、TiOからなるTi源、および、リチウム塩またはアルカリ金属の塩化物塩からなるフラックス成分を混合する工程と、該混合物を加熱してフラックス成分を溶融する工程と、前記フラックス成分が溶融した前記混合物を冷却して結晶を育成し、フラックス成分を洗浄、除去して結晶を得る工程と、前記工程で得られた結晶をさらに乾燥する工程を含むことができる。

【0030】
また、本実施の形態における、(H/Li)TiOの組成からなるチタン酸系リチウム吸着剤は、上記工程で得られたLiTiOの組成を有するチタン酸リチウムの結晶をさらに酸処理することによって得ることができる。

【0031】
さらに、製造方法について、詳述する。
<使用原料>

【0032】
Ti原料には、市販の酸化チタン(TiO)を好適に使用できる。表面や固体が水酸化物に変化したとしても、使用できる。酸化チタン以外のチタン塩を用いてもよい。

【0033】
Li原料には、LiCO、LiOH、LiOH・HOおよびLiCl等のリチウム塩が利用できる。

【0034】
また、フラックスとして、LiOH、LiOH・HOおよびLiCl等のリチウム塩およびKCl、NaClおよびLiCl等のアルカリ金属の塩化物塩が好適に利用できる。これらは単独もしくは併用できる。
<フラックス育成工程>

【0035】
まず、Li源、Ti源、および、フラックス成分を混合する。Ti源のTiOの濃度は、1mol%以上75mol%以下の範囲であればよい。特には、5mol%以上50mol%以下の範囲、さらには、20mol%以上50mol%以下程度が好適である。

【0036】
次いで、上記混合物を加熱してフラックス成分を溶融する。この混合物の加熱温度は、400℃以上700℃以下であり、この温度範囲で結晶育成を行えばよい。好ましくは、550℃以上700℃以下の範囲が、より好ましくは600℃以上700℃以下の温度範囲がよい。反応時間(保持時間)は、保持温度に影響を受けるため、特に限定するものではないが、処理温度において5分間以上、好ましくは5時間以上であればよい。

【0037】
次いで、所定時間冷却することで、成分の結晶化を行う。結晶化後、温水等で洗浄して、フラックス成分を除去することで、LiTiO結晶を得ることができる。

【0038】
Ti源に、TiOを用いること、および加熱温度を400℃以上700℃以下の温度範囲で結晶育成を行うことで、純度の高いLiTiOの結晶を得ることができる。

【0039】
次いで、LiTiO結晶を、室温で24時間、酸処理することで、本実施の形態におけるチタン酸系リチウム吸着剤を得ることができる。

【0040】
このようにして得られたチタン酸系リチウム吸着剤は、X線回折パターンにおいて、層状構造に起因する{003}結晶面に対応する回折線の強度に対して、{114}結晶面に対応する44°付近の回折線の強度が0.15倍以上の倍率である。

【0041】
{114}回折線が相対的に強く得られる結晶は、形状の異方性が低く、アスペクト比が小さい結晶形態となっている。そのため、層内の拡散距離を短くすることができると考えられ、プロトンとリチウムイオンの交換性に優れ、優れたリチウム吸着特性を期待できる。粒子形態としてより異方性が低く、より等方性の高いチタン酸系リチウム吸着剤の結晶粒子を得るためには、{003}結晶面に対応する回折線の強度に対して、{114}結晶面に対応する44°付近の回折線の強度は、好適には0.3倍以上、さらに好適には0.5倍以上である。
【実施例】
【0042】
以下、実施例にもとづき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
3.45gのLiCO粉末(和光純薬工業製)、3.73gのTiO(和光純薬工業製)、および7.83gのLiOH・HO(和光純薬工業製)をアルミナ乳鉢中で15分間乾式混合した。試料は20cmのアルミナ坩堝に封入して、550℃で10時間保持した。加熱速度および冷却速度はそれぞれ900℃/時間および200℃/時間である。次いで、熱水で洗浄し、フラックス成分を除去し、乾燥させることでLiTiOの結晶を得た。この結晶を、さらに1mmol/Lの塩酸水溶液に浸漬することで目的の(H/Li)TiOの組成からなるチタン酸系リチウム吸着剤を得た。この実施例1のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図1に示す。
X線回折パターンは、リガク製XRD装置MiniflexIIを用いて測定した。 測定条件は、次のとおりである。
使用X線:CuKα線(波長=0.15418nm)
強度:30kV、20mA
角度:2θ=10~60°
サンプリング間隔:0.02°
スキャニング速度:20°/分
試料のプロトン交換率は、試料をフッ酸に溶解したのち、SII製ICP発光分析装置SPS5510で評価した。
【実施例】
【0044】
リチウムイオンの吸着試験は、かん水を模倣した条件、すなわち、リチウムイオン濃度1000ppm、ナトリウムイオン濃度3333ppmの水溶液を用いて行った。水溶液のpHはおよそ9である。チタン酸系リチウム吸着剤100mgを上記水溶液20mlに20時間浸漬・振盪した。反応前後の吸着液は、SII製ICP発光分析装置SPS5510あるいは電気伝導度検出器(CDD-10A)搭載SHIMADZU製イオンクロマトグラフィー装置により分析した。また、リチウムイオン吸着量は吸着前後の水溶液のリチウムイオン濃度の差から算出した。リチウムイオン吸着量を表1に示す。
【実施例】
【0045】
【表1】
JP0006692530B2_000002t.gif
【実施例】
【0046】
[実施例2]
塩酸濃度を10mmol/Lとした以外は、実施例1と同様な方法でチタン酸系リチウム吸着剤を調製した。この実施例2のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図1に示す。プロトン交換率およびリチウムイオン吸着量を表1に示す。
【実施例】
【0047】
[実施例3]
保持温度を600℃とした以外は、実施例1と同様な方法でチタン酸系リチウム吸着剤を調製した。この実施例3のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図2に示す。プロトン交換率およびリチウムイオン吸着量を表1に示す。
【実施例】
【0048】
[実施例4]
保持温度を600℃とした以外は、実施例2と同様な方法でチタン酸系リチウム吸着剤を調製した。この実施例4のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図2に示す。プロトン交換率およびリチウムイオン吸着量を表1に示す。
【実施例】
【0049】
参考例
保持温度を700℃とし、用いたフラックスをLiClとし、塩酸濃度を200mmol/Lとした以外は、実施例4と同様な方法でチタン酸系リチウム吸着剤を調製した。4.86gのLiCO粉末(和光純薬工業製)、5.25gのTiO(和光純薬工業製)、および2.79gのLiCl(和光純薬工業製)をアルミナ乳鉢中で15分間乾式混合した。試料は20cmのアルミナ坩堝に封入して、800℃で10時間保持した。加熱速度および冷却速度はそれぞれ900℃/時間および200℃/時間である。洗浄・回収方法は実施例1等と同様である。この参考例のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図3に示す。プロトン交換率およびリチウムイオン吸着量を表1に示す。
【実施例】
【0050】
[比較例1]
上記フラックス法の保持温度の効果を明らかにするために、比較例として、1000℃で前駆体のLiTiOをフラックス育成し、酸処理した。保持温度を1000℃とした以外は、参考例と同様である。この比較例1のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図4に示す。
【実施例】
【0051】
[比較例2]
上記フラックス法の効果を明らかにするために、高温固相法を用いてLiTiO結晶を育成して、酸処理した。フラックスを用いなかった点と保持温度を800℃とした点以外は、参考例と同様である。この比較例2のチタン酸系リチウム吸着剤のX線回折パターンを図4に示す。
【実施例】
【0052】
何れの実施例(実施例1~)においても、比較例1および2の結果に比べ、高いリチ
ウムイオンの吸着性能を示している。
【実施例】
【0053】
<チタン酸系リチウム吸着剤の結晶構造>
図1に示すように、実施例1のチタン酸リチウムは、そのX線回折パターンにおいて、{003}結晶面に対応する回折線の強度(18°以上19.5°以下の範囲で示されるピーク値)に対して、{114}結晶面に対応する回折線の強度(42°以上48°以下の範囲で示さるピーク値)が約0.6倍となっている。すなわち、{003}結晶面に比較して、{114}結晶面の回折ピークが比較的強いことから異方性の低い結晶粒子が得られていることがわかる。
【実施例】
【0054】
このような粒子形態を表す実施例2および参考例のチタン酸系リチウム吸着剤の走査型電子顕微鏡の写真をそれぞれ図5および図6に示す。どちらの場合も、立方体疑似の等方性の高い結晶粒子が得られていることがわかる。また、粒子サイズは、100nm以上400nm以下の範囲にあることも明らかである。
【実施例】
【0055】
一方、比較例2のチタン酸は、図4に示されているようにそのX線回折パターンにおいて、{003}結晶面に対応する回折線の強度(18°以上19.5°以下の範囲で示されるピーク値)に対して、{114}結晶面に対応する回折線の強度(42°以上46°以下の範囲で示さるピーク値)が約0.1倍となっている。この比較例2のチタン酸系リチウム吸着剤は、実施例に示すチタン酸系リチウム吸着剤とは粒子形態が異なることはXRDの結果より明らかである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5