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Specification :(In Japanese)熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメントおよびその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2016-028887A
Date of publication of application Mar 3, 2016
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメントおよびその製造方法
IPC (International Patent Classification) B29C  67/00        (2006.01)
B33Y  70/00        (2015.01)
B33Y  40/00        (2015.01)
FI (File Index) B29C 67/00
B33Y 70/00
B33Y 40/00
Number of claims or invention 6
Filing form OL
Total pages 24
Application Number P2015-139592
Date of filing Jul 13, 2015
Application number of the priority 2014143891
Priority date Jul 14, 2014
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】田中 達也
【氏名】荒尾 与史彦
【氏名】荒木 邦紘
【氏名】松岡 敬
【氏名】松本 紘宣
Applicant (In Japanese)【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
Representative (In Japanese)【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4F213
F-term 4F213AB11
4F213WA06
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL23
4F213WL26
4F213WL27
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL96
Abstract (In Japanese)【課題】従来の3Dプリンタ用フィラメントの可撓性等の取り扱い性や造形性を損なうことなく、フィラーの添加により熱可塑性マトリックス樹脂だけでは得られない所望の機能が備わった造形物を得ることができる熱溶解積層型3Dプリンタ用フィラメントおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】熱可塑性を有するマトリックス樹脂2と、この熱可塑性を有するマトリックス樹脂2中に分散されたカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、ナノクレイ等の機能性ナノフィラー3を含む機能性樹脂組成物によって形成して造形物の高機能化を図るようにした。
【選択図】 図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメントであって、熱可塑性を有するマトリックス樹脂と、この熱可塑性を有するマトリックス樹脂中に分散された機能性ナノフィラーを含む機能性樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメント。
【請求項2】
熱可塑性を有するマトリックス樹脂が、アクリロニトリル-ブチレン-スチレン共重合体樹脂,ポリ乳酸樹脂,ポリアミド樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,アクリル樹脂 ,ポリスチレン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂,ポリフェニレンエーテル樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリフェニレンサルファイド樹脂,フッ素樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリエーテルスルホン樹脂,ポリスルホン樹脂,液晶ポリマー,ポリアリレート樹脂,ポリエーテルイミド樹脂,芳香族ポリエーテルケトン樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメント。
【請求項3】
機能性ナノフィラーが、導電性ナノ粒子またはナノファイバーである請求項1または請求項2に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメント。
【請求項4】
機能性ナノフィラーが、ナノクレイ粒子である請求項1または請求項2に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメント。
【請求項5】
混練によって熱可塑性を有するマトリックス樹脂中に機能性ナノフィラーが分散状態にされたフィラメント形成用機能性樹脂組成物を押出機でフィラメント形状に連続的に押し出すことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメントの製造方法。
【請求項6】
超臨界二酸化炭素存在下で熱可塑性マトリックス樹脂と機能性ナノフィラーを混練する請求項5に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメントの製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメント(以下、「3Dプリンタ用フィラメント」と記す)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多品種少量生産技術として、三次元プリンタ(以下、「3Dプリンタ」と記す)が再注目されている。特に、熱溶解積層法を用いた熱溶解積層型3Dプリンタ(特許文献1参照)は、低価格化が進んでおり、家庭・オフィス用としても需要が高まっている。
すなわち、熱溶解積層型3Dプリンタは、予め熱可塑性樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなる長尺の3Dプリンタ用フィラメントを作製しておき、この3Dプリンタ用フィラメントをプリンタの押出ヘッドに供給し、押出ヘッド内でフィラメントを加熱してマトリックスの熱可塑性樹脂を溶融あるいは半溶融状態にする。そして、その後、押出ヘッドのノズル先端から溶融物あるいは半溶融物を線状に押し出し少しずつ積み上げながら冷却固化させて射出成形では金型が複雑になる、あるいは、成形できないような立体構造を有する造形物を造形できるようになっている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平3-158228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、熱溶解積層型3Dプリンタは、上記のように3Dプリンタ用フィラメントを溶融あるいは半溶融状態にして押出ヘッドのノズル先端から線状に押し出しながら積層する手法を採用している関係上、3Dプリンタ用フィラメントに使用できる材料は限られ、用途に制限があるのが現状である。また、マトリックス樹脂にフィラーと呼ばれる添加物を加える、あるいは二種類以上の樹脂をブレンドするといった、3Dプリンタ用フィラメントの高機能化は未だ図られていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、従来の3Dプリンタ用フィラメントの可撓性などの取り扱い性や造形性を損なうことなく、フィラーの添加により熱可塑性マトリックス樹脂だけでは得られない所望の機能が備わった造形物を得ることができる熱溶解積層型3Dプリンタ用フィラメントおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる3Dプリンタ用フィラメントは、熱可塑性を有するマトリックス樹脂と、この熱可塑性を有するマトリックス樹脂中に分散された機能性ナノフィラーを含む機能性樹脂組成物によって形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明において、熱可塑性を有するマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂エラストマー、ゴムなどが挙げられ、具体的には、アクリロニトリル-ブチレン-スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリ乳酸(PLA) 樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、液晶ポリマー、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの芳香族ポリエーテルケトン樹脂などの熱可塑性樹脂だけでなく、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)などの熱可塑性樹脂エラストマーやゴム、これらの樹脂のアロイが挙げられ、中でもABS樹脂、PLA、PA、PP、PE、PC、PETなどが好適である。
【0008】
機能性ナノフィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンブラック(CB)、グラフェン、銀や銅などの金属ナノ粒子、ナノクレイ、セルロースナノファイバー、シリカナノ粒子などが挙げられる。
【0009】
上記CNT、CNF、CB、グラフェンは、配合によって造形物の導電性を高めたり、熱伝導性を高めたり、引張強さや弾性率を高めたりすることができる。グラフェンは、配合によってガス透過性を減少させることもできる。
また、CNTとしては、特に限定されないが、多層カーボンナノチューブが好ましい。
【0010】
金属ナノ粒子は、配合によって造形物の導電性を高めたり、衝撃強度を高めたりすることができる。
セルロースナノファイバーは、添加によって造形物の引張強さや弾性率を高めたり、ガス透過性を減少させたりすることができる。
シリカナノ粒子は、添加によって造形物の引張強さや弾性率を高めることができる。
【0011】
ナノクレイは、配合によって造形物の引張強さや弾性率を高めたり、ガス透過性を減少させたりすることができるとともに、耐燃性および耐薬品性の改善を図ることができる。
ナノクレイとしては、特に限定されないが、モンモリロナイト、スメクタイト、イライト、セピオライト、アレルバルダイト、アメサイト、ヘクトライト、タルク、フルオロへクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ステベンサイト、ベントナイト、マイカ、フルオロマイカ、バーミキュライト、フルオロバーミキュライト、ハロイサイトなどの層状ケイ酸塩化合物のナノ粒子、これらのナノ粒子表面を有機分子によって化学修飾したものなどが挙げられ、モンモリロナイト、ベントナイトが好ましい。
【0012】
また、本発明において、上記機能性ナノフィラー、どの方向を測定しても一般的な概念である100nm以下になっているものだけではなく、例えば、長さや幅がミクロンサイズであっても直径や厚さが100nm以下のナノサイズであるものも含まれる。
【0013】
熱可塑性を有する樹脂と機能性ナノフィラーの配合割合は、機能性ナノフィラーが配合されていない従来のフィラメントの可撓性などの取り扱い性を損なうことなく所望の機能を発現できれば、特に限定されないが、熱可塑性を有する樹脂100重量部に対して機能性ナノフィラーが5重量部以下とすることが好ましく、0.5重量部以下とすることがより好ましい。
また、機能性樹脂組成物中に配合される機能性ナノフィラーは、1種でも構わないが、複数種類の機能性ナノフィラーを他の機能性ナノフィラーの機能付与の妨げとならない範囲で配合するようにしても構わない。
さらに、上記機能性樹脂組成物には、機能性ナノフィラーの機能付与の妨げとならない、また、フィラメントの造形性を阻害しない範囲で、必要に応じて、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤などの他の添加剤を添加配合するようにしても構わない。
【0014】
本発明にかかるフィラメントの製造方法は、混練によって熱可塑性を有するマトリックス樹脂中に機能性ナノフィラーが分散状態に配合されたフィラメント形成用機能性樹脂組成物を押出機でフィラメント形状に連続的に押し出すことを特徴としている。
なお、熱可塑性を有する樹脂と機能性ナノフィラーの混練は、超臨界二酸化炭素存在下で行うことが好ましい。
【0015】
また、上記フィラメント形成用機能性樹脂組成物は、熱可塑性を有するマトリックス樹脂中に機能性ナノフィラーが高濃度で配合された機能性マスターバッチを作製したのち、
この機能性マスターバッチと、熱可塑性を有するマトリックス樹脂ペレットを混練押出機に投入し、混練押出機で混練して、所望割合の機能性ナノフィラーが配合された状態にして押し出して得ることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる3Dプリンタ用フィラメントは、以上のように、熱可塑性を有するマトリックス樹脂と、この熱可塑性を有するマトリックス樹脂中に分散された機能性ナノフィラーを含む機能性樹脂組成物によって形成されているので、マトリックス樹脂中に機能性ナノフィラーを少量配合するだけで、高機能化されたものとなる。
そして、少量の機能性ナノフィラーを配合するだけで高機能化できるので、機能性ナノフィラーが従来の3Dプリンタ用フィラメントの可撓性などの取り扱い性を阻害することがなく、また、得られる造形物の表面状態にも影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる3Dプリンタ用フィラメントの1つの実施の形態であって、その断面を拡大して模式的にあらわす図である。
【図2】CNT入り複合材料の評価時のマスターバッチの製造に用いた混練押出機のスクリュ構成を説明する図であって、同図(a)はニーディングスクリュ、同図(b)はミキシングスクリュ、同図(c)はブリスタスクリュをあらわしている。
【図3】図2の混練押出機に用いたニーディングディスクの写真写しである
【図4】図2の混練押出機に用いたミキシングディスクの写真写しである
【図5】図2の混練押出機に用いたブリスタディスクを説明する図である。
【図6】各スクリュ構成によるCNTの重量分率毎に上記体積抵抗率ρvの中央値をプロットしたグラフである。
【図7】体積抵抗率の平均値と標準偏差とを比較してあらわすグラフである。
【図8】CNT入りPP複合材料の透過型電子顕微鏡写真である。
【図9】モンモリロナイト入りEPDM複合材料のサンプルD-2、3の作製に用いた混練押出機のスクリュ構成を説明する図である。
【図10】モンモリロナイト入りEPDM複合材料の評価で作製したサンプルの引張強さと100%モジュラスの測定結果を対比してあらわすグラフである。
【図11】モンモリロナイト入りEPDM複合材料の評価で作製したサンプルの破断伸びの測定結果を対比してあらわすグラフである。
【図12】引張強さ、破断伸び、100%モジュラスの測定に用いたJIS3号ダンベル試験片を説明する図である。
【図13】X線回折装置を用いて測定したX線回折パターンを比較してあらわすグラフである。
【図14】引張強さおよび弾性率の測定に用いたダンベル試験片を説明する図である。
【図15】モンモリロナイト入りPP複合材料の変性低分子量ポリオレフィン系樹脂改質剤(MAPP)の添加評価におけるMAPPの添加量と弾性率との関係をあらわすグラフである。
【図16】モンモリロナイト入りPP複合材料の変性低分子量ポリオレフィン系樹脂改質剤(MAPP)の添加評価におけるMAPPの添加量と引張強さとの関係をあらわすグラフである。
【図17】CNT入りPLA複合材料の作製に用いたブリスタディスクを説明する図である。
【図18】図17のブリスタディスクを備えたCNT入りPLA複合材料の作製に用いたブリスタスクリュを説明する図である。
【図19】CNT入りPLA複合材料の評価2におけるマスターバッチHの作成に用いた噛み合い型同方向回転二軸押出機のニーディングスクリュを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の3Dプリンタ用フィラメントを、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明にかかる3Dプリンタ用フィラメントの1つの実施の形態の断面を拡大して模式的にあらわしている。

【0019】
図1に示すように、この3Dプリンタ用フィラメント1は、熱可塑性を有するマトリックス樹脂2中に、機能性ナノフィラーであるCNT3が分散混合された機能性樹脂組成物から形成されている。
したがって、マトリックス樹脂中にCNTを少量配合するだけで、導電性を高いものとすることができる。

【0020】
そして、少量のCNTを添加するだけで導電性を高めることができるので、CNTが従来の3Dプリンタ用フィラメントの可撓性などの取り扱い性を阻害することがない。しかも、CNTが得られる造形物の表面状態にも影響を与えることがない。
また、上記3Dプリンタ用フィラメント1を用いれば、従来の熱溶融積層型の3Dプリンタ(図示せず)を用いて全体が導電性の高い造形物を得ることができる。さらに、複数の押出ヘッドを備えた3Dプリンタの1つの押出ヘッドに上記3Dプリンタ用フィラメント1をセットし、他の押出ヘッドに従来のフィラメントをセットして、一部が導電性に優れ、残部が導電性の低い造形物を微細かつ容易に作製することができる。

【0021】
〔CNT入りPP複合材料の評価〕
(マスターバッチAの作製)
熱可塑性を有する樹脂としてのPP(プライムポリマー社製プライムポリプロJ108M、引張強さ:36MPa 弾性率:2.28GPa)ペレット(以下、「PPペレット」と記す)100重量部に機能性ナノフィラーとしてのCNT(NANOCYL社製NANOCYLTM NC 7000、平均長さ1.5μm、平均径9.5nm、カーボン純度90%)5.26重量部(=5重量%)を噛み合い型同方向回転二軸押出機(Coperion社製 ZSK18、最大回転数1200rpm、スクリュ直径18mm、スクリュ部の長さLとスクリュ径Dの比率L/D=40)に投入し、回転数450rpm、供給量2.25kg/h、温度200℃で混練押し出し、直径約3mm、長さ約5mmのペレット状をしたマスターバッチAを得た。
なお、スクリュは、混練ゾーンが主に図3に示すニーディングディスクによって構成された図2(a)に示すニーディングスクリュを用いた。

【0022】
(マスターバッチBの作製)
スクリュとして、混練ゾーンが主に図4に示すミキシングディスクによって構成された図2(b)に示すミキシングスクリュを用いた以外はマスターバッチAと同様にしてマスターバッチBを得た。

【0023】
(マスターバッチCの作製)
スクリュとして、混練ゾーンが主に図5に示すブリスタディスクによって構成された図2(c)に示すブリスタスクリュを用いた以外はマスターバッチAと、同様にしてマスターバッチCを得た。

【0024】
(複合材料サンプルの作製)
得られる複合材料サンプルのCNT混合割合が、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%となる割合で上記PPペレットと、マスターバッチA~Cのそれぞれを、マスターバッチBの作製に用いた図2(b)に示すミキシングスクリュをセットした上記噛み合い型同方向回転二軸押出機に投入し、マスターバッチBの作製と同じ条件において押出機内で混練したのち混練物を押し出すことによってCNT混合割合が、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%の複合材料サンプルをそれぞれ得た。

【0025】
上記で得た各複合材料サンプル,上記マスターバッチA~C、上記PPペレットを、それぞれヒートプレス(河中産業株式会社製HP200 HB)を用いて厚さ2mmの適当な大きさに圧延(プレス速度は3mm/min、荷重は100kN)した。そして、得られた圧延物を60mm角に裁断して、厚さ2mm、縦60mm、横60mmの体積抵抗率用サンプル板をそれぞれ2枚ずつ得た。

【0026】
各複合材料サンプル、上記マスターバッチA~C、上記PPペレットから形成された各2枚の体積抵抗率用サンプル板の抵抗R[Ω]を1枚5箇所ずつ、計10箇所で測定した。
なお、抵抗Rは、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP、4端子4探針法)の4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定することによって求めた。
そして、得られた抵抗R[Ω]から、以下の定義式(1)を用いて体積抵抗率ρv[Ω・cm]を求めた。
式中、t[cm]は試料の厚さ、RCFは補正係数である。

【0027】
【数1】
JP2016028887A_000003t.gif

【0028】
図6は、各スクリュ構成によるCNTの重量分率毎に上記体積抵抗率ρvの中央値をプロットしたグラフである。
図6から、CNT/PP複合材料は、CNTが0.7~0.9重量%付近でパーコレーション現象が起きることがわかる。

【0029】
また、図6から、ブリスタスクリュ>ミキシングスクリュ>ニーディングスクリュの構成順に少ないCNTの添加量でパーコレーションが発生していることがわかるとともに、体積抵抗率ρvは、パーコレーション発生以降は100~102 Ω・cmの間で落ち着きそうであることがわかる。
なお、一般的に体積抵抗率ρvが101~108 Ω・cmの樹脂は導電性樹脂(帯電防止、回路基板の保護)、10-2~100 Ω・cmの樹脂は電磁波シールド材(各種輻射電波の遮断、金属部品の樹脂化)として用途が考えられている。

【0030】
さらに、図6に示すように、ブリスタスクリュとニーディングスクリュではパーコレーション発生に約0.2重量%のCNT添加量の違いが出ている。このことから、例えば、体積抵抗率104 Ω・cmの導電性樹脂を作製する場合、ブリスタスクリュを用いれば、ニーディングスクリュと比べてCNTの添加量を5分の4程度に抑えられると考えられる。

【0031】
図7は、マスターバッチA~Cのそれぞれを用いて作製したCNTが1.0重量%である複合材料サンプル板の体積抵抗率の平均値と標準偏差とを比較したグラフである。
図7から、ブリスタスクリュ>ミキシングスクリュ>ニーディングスクリュの構成順に同量のCNTの添加量で導電性がよくなるとともに、体積抵抗率のばらつきが少なくなることがわかる。

【0032】
また、上記マスターバッチA~Cのそれぞれからミクロトーム(日本ミクロトーム研究所社製 RMD-5 型)を用い薄さ100nm の薄片を作製し、光学顕微鏡により光を透過させて観察を行った。倍率は150倍で、各条件につき画像6枚の撮影をした。
その結果、ブリスタスクリュ>ミキシングスクリュ>ニーディングスクリュの順にCNTの分散状態が良好になっていることがわかった。すなわち、このことから、押出条件が同じ場合、CNTの分散性においてミキシングとブリスタのスクリュ形状の方がニーディングの形状より優れていると言える。また、ミキシングディスクおよびブリスタディスクと、ニーディングディスクの形状を比較すると、大きな違いの1つに伸長流動が発生するかという点がある。そして伸長流動の点ではブリスタディスクは特に優れているので、CNTの分散には伸長の流れが重要になってくると考えられる。

【0033】
図8に、上記マスターバッチCから得られたCNTの添加量が1.0重量%である複合材料サンプルのTEM写真を示す。
図8から、CNTがマトリックス樹脂中に細かく分散していることがわかる。

【0034】
(実施例1)
上記マスターバッチCから得られたCNTの添加量が1.0重量%である複合材料サンプルをペレット化し、このペレットを用いて3Dプリンタ用のフィラメント押出機(Noztek社製 "The Pro ABS and PLA Filament Extruder for 3D Printers")によって、フィラメント径1.75mmのCNT入りフィラメントA-1を作製した。押出条件は、シリンダ温度190℃とし、フィラメントの巻取りにはフィラメント巻取機(Noztek社製 "Filament Winder")を用いた。
得られたCNT入りフィラメントA-1を造形材料とし、熱溶解積層方式の3Dプリンタ(オープンキューブ社製、SCOOVO X9)を用いて、厚さ2mm、縦60mm、横60mmの板状造形物サンプルA-1を作製した。

【0035】
(比較例1)
上記PPペレットを用いて上記フィラメント押出機によって、フィラメント径1.75mmのフィラメントB-1を作製した。
このフィラメントB-1を造形材料とし、上記実施例1と同様の熱溶解積層方式の3Dプリンタを用いて、厚さ2mm、縦60mm、横60mmの板状造形物サンプルB-1を作製した。

【0036】
上記実施例1および比較例1で得られた板状造形物サンプルA-1と板状造形物サンプルB-1の表面状態を比較したところ、板状造形物サンプルA-1と板状造形物サンプルB-1は、表面状態はほとんど変わりがなかった。
また、上記実施例1板状造形物サンプルA-1の体積抵抗率ρvを上記と同様の方法で測定したところ、板状造形物サンプルA-1は、体積抵抗率ρvが、上記複合材料サンプルとほとんど変わらなかった。

【0037】
このことからCNTは少量の配合で、高い導電性を付与できるとともに、得られる造形物も添加していない従来のフィラメントと同様の表面状態の造形物が得られると考えられる。
また、本発明のフィラメントを用いて3Dプリンタによって造形した造形物が、フィラメントの原材料となるフィラメント用複合材料と同様の導電性を備えたものとなることがわかる。

【0038】
〔モンモリロナイト入りEPDM複合材料の評価〕
(サンプルD-1の作製)
上記噛み合い型同方向回転二軸押出機(Coperion社製 ZSK18、最大回転数1200rpm、スクリュ直径18mm、スクリュ部の長さLとスクリュ径Dの比率L/D=40)にEPDM(The Dow Chemical company 製(型番4760P)、組成はエチレン67.5%、プロピレン27.5%、ジエン 5.0%である。融点は95℃)と表面に有機化処理を施したモンモリロナイト(Southern Clay Products 製 有機変性モンモリロナイトClosite15)を重量比で90:10の割合で投入し、回転数150rpm、供給量1.0kg/h、温度100℃で混練し、混練物を押し出すことによってモンモリロナイト入りEPDM複合材料のサンプルD-1を得た。型温度は160℃、比エネルギーは0.728kWh/kgであった。

【0039】
(サンプルD-2の作製)
図9に示すスクリュ構成の同方向回転二軸混練押出機(日本製鋼所社製同方向回転二軸混練押出機TEX30α)にEPDM(The Dow Chemical company 製(型番4760P)、組成はエチレン67.5%、プロピレン27.5%、ジエン 5.0%である。融点は95℃)と表面に有機化処理を施したモンモリロナイト(Southern Clay Products 製 有機変性モンモリロナイトClosite15)を重量比で90:10の割合で投入し、回転数100rpm、供給量3.89kg/h、温度100℃、0.3kg/hの超臨界二酸化炭素の存在下で混練し、混練物を押し出すことによってモンモリロナイト入り複合材料のサンプルD-2を得た。なお、二酸化炭素濃度は7.8%、バレル圧は8.9MPa、型温度は194℃、比エネルギーは0.779kWh/kgであった。

【0040】
(サンプルD-3の作製)
図9に示すスクリュ構成の同方向回転二軸混練押出機(日本製鋼所社製同方向回転二軸混練押出機TEX30α)にEPDM(The Dow Chemical company 製(型番4760P)、組成はエチレン67.5%、プロピレン27.5%、ジエン 5.0%である。融点は95℃)と表面に有機化処理を施したモンモリロナイト(Southern Clay Products 製 有機変性モンモリロナイトClosite15)を重量比で90:10の割合で投入し、回転数150rpm、供給量3.89kg/h、温度100℃、0.3 kg/hの超臨界二酸化炭素の存在下で混練し、混練物を押し出すことによってモンモリロナイト入り複合材料のサンプルD-3を得た。なお、二酸化炭素濃度は7.8%、バレル圧は7.7MPa、型温度は227℃、比エネルギーは1.013kWh/kgであった。

【0041】
上記サンプルD-1~D-3の引張強さ、破断伸び、100%モジュラスを以下のようにして測定し、EPDMのみの場合と比較してその結果を表1に示した。
また、引張強さと100%モジュラスの測定結果を、図10に対比して示すとともに、破断伸びの測定結果を図11に対比して示した。

【0042】
(引張強さ、破断伸び、100%モジュラスの測定)
各サンプルを2枚重ねで、150mm×150mmのサイズになるように金型内に並べ、80℃で5分間プレスして厚み2mmのシートに成形し、得られたシートを打ち抜いて、図12に示すJIS3号ダンベル試験片をそれぞれ得た。
得られた試験片のそれぞれについて、引張速度500mm/min、24℃における引張強さ、破断伸び、100%モジュラスを、万能試験機(島津製作所社製Auto graph(AG-100kN))を用いて求めた。
なお、測定はサンプル毎に5回行い、5つの結果の内、最大値と最小値を省き、他の3つの値の平均値を求めた。
また、上記万能試験機によって求まるのは、引張力(N)である。引張強度は単位面積あたりの引張力から求められるが、実際、試験片に収縮が起こっているため、その時々の荷重を試験片の断面積で割った値が真応力となるが、断面積の測定は容易ではない。そこで本試験では、最大荷重を初期断面積で割った値を用いた。

【0043】
【表1】
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【0044】
表1、図10、図11に示すように、引張強さ、破断伸び、100%モジュラスは、モンモリロナイトを配合することによって向上するとともに、超臨界二酸化炭素存在下で混練し、混練物を押し出すようにすると、より向上することがわかる。

【0045】
(モンモリロナイトの分散状態)
上記引張強さ、破断伸び、100%モジュラスの測定と同様にして得た2mm厚のシートを15mm×15mmの大きさに切りとり、X線回折用試験片を得た。
この試験片のX線回折パターンをX線回折装置(リガク社製RINT 2500)を用いて測定し、
その結果を図13に示した。X線回折結果ピークサーチは、リガク社製の粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE6.0 を使用した。
図13に示すように、超臨界二酸化炭素下で作製したサンプルD-2、3の回折ピークはそれぞれ3.0°、2.6°付近に現れている。一方、サンプルD-1の回折ピークは3.5°付近であり、これらを比較すると、前者は後者に比べ低角度側にピークが存在することがわかる。これは超臨界二酸化炭素により、層間間隔が拡がっていることを示す。また、スクリュ回転数が150rpmで作製したサンプルD-3は、サンプルD-2よりさらに拡がっているため、高いスクリュ回転数により発生する高せん断力により層間挿入が進行したと考えられる。

【0046】
〔ベントナイト入りポリアミド樹脂複合材料の評価〕
上記噛み合い型同方向回転二軸押出機(Coperion社製 ZSK18、最大回転数1200rpm、スクリュ直径18mm、スクリュ部の長さLとスクリュ径Dの比率L/D=40)にポリアミド樹脂(宇部興産社製UBEナイロン)と、有機変性処理を施した有機変性ベントナイト(ホージュン社製S-BEN)を重量比で97:3の割合で投入し、回転数150rpm、供給量2.25kg/h、温度230℃で混練し、混練物を押し出すとともに、ノズルから出てきた試料を直接採取し、粉砕機でペレット化してサンプルペレットを得た。有機変性ベントナイトは水分を吸収しやすいため、予め80℃で12 時間乾燥したものを使用した。
得られたサンプルペレットを用い射出成形機(東洋機械金属社製射出成形機(PLASTR ET-40V)によって図14に示すダンベル試験片(JIS K 7054)E-1を成形した。
射出条件は、スクリュ回転速度150rpm、射出圧150MPa、背圧5.0MPa、保圧30MPa、シリンダ温度230℃、射出速度50mm/sec、保圧時間15 sec、冷却時間25 sec、金型温度(冷却中の温度)50℃とした。

【0047】
得られたダンベル試験片E-1と、ポリアミド樹脂(宇部興産社製UBEナイロン)のみを用いてダンベル試験片E-1と同様にして射出成形したダンベル試験片E-2の引張強さ、弾性率をそれぞれ測定しその結果を表2に示した。
なお、測定には、引張試験には島津製作所社製Auto graph(AG-100kN)を用いた。弾性率測定のため、島津製作所社製差動トランス式伸び計ST-50-10-10も合わせて用いた。試験は、作製した試験片を上記の装置で、JIS 規格K7161に従い、引張速度1mm/min、20℃における引張強さおよび弾性率を求めた。引張試験は1つの条件につき、9回実施した。そして、9回の結果の内、上位2つの値と下位2つの値を省き、他の5つの値の平均値を求めた。本試験では、引張強度として最大荷重を初期断面積で割った値を用いた。

【0048】
【表2】
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【0049】
上記表2から、ベントナイトの添加により、引張強さおよび弾性率が向上することがわかる。

【0050】
〔モンモリロナイト入りPP複合材料の変性低分子量ポリオレフィン系樹脂改質剤(MAPP)の添加評価〕
上記噛み合い型同方向回転二軸押出機(Coperion社製 ZSK18、最大回転数1200rpm、スクリュ直径18mm、スクリュ部の長さLとスクリュ径Dの比率L/D=40)に、PP(プライムポリマー社製プライムポリプロJ108M)と、MAPP(三洋化成社製ユーメックス1001)と、表面に有機化処理を施したモンモリロナイト(Southern Clay Products 製 有機変性モンモリロナイトClosite15)を投入し、回転数300rpm、供給量1.4kg/h、温度180℃で混練押出して、ノズルから出てきた試料を直接採取し、粉砕機でペレット化して以下の表3に示す配合比のサンプルF-1~F-6のサンプルペレットをそれぞれ作製した。

【0051】
【表3】
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【0052】
射出成形機(東洋機械金属社製射出成形機PLASTR ET-40V)によって、上記F-1~F-6のそれぞれのサンプルペレットを用いて図14に示すダンベル試験片(JIS K 7054) F-1~F-6を成形した。 なお、射出条件は、スクリュ回転速度150 rpm、射出圧150MPa、背圧5.0MPa、保圧30MPa、シリンダ温度180℃、射出速度50mm/sec、保圧時間15 sec、冷却時間25 sec、金型温度(冷却中の温度) 50℃とした。

【0053】
上記のようにして得られたダンベル試験片F-1~F-6のそれぞれについて以下のようにして相対係数を求め、図15に示した。
図15に示すように、MAPPの添加量の増加に伴って弾性率が向上することがわかる。
また、射出成形体サンプルF-1~F-6の引張強さの相対強さを図15に示した。
図16に示すように、引張強さは、MAPPの添加量が3~6重量%でピークを示し、その後緩やかに低下して行くことがわかる。

【0054】
〔CNT入りPLA複合材料の評価1〕
(マスターバッチGの作製)
熱可塑性を有する樹脂としてのPLA(Zhejiong Hisun Biomaterials社製REVODE110)ペレット(以下、「PLAペレット」と記す)100重量部に機能性ナノフィラーとしてのCNT(NANOCYL社製NANOCYLTM NC 7000、平均長さ1.5μm、平均径9.5nm、カーボン純度90%)5.26重量部(=5重量%)を噛み合い型同方向回転二軸押出機(Coperion社製 ZSK18、最大回転数1200rpm、スクリュ直径18mm、スクリュ部の長さLとスクリュ径Dの比率L/D=40)に投入し、回転数150rpm、供給量4.5kg/h、温度180℃で混練押し出し、ペレット状のマスターバッチG (直径約3mm、長さ約5mm)を得た。
なお、スクリュは、混練ゾーンが主に図17に示すブリスタディスクによって構成された図18に示すブリスタスクリュを用いた。また、加水分解防止のため、PLAペレットは混錬実験前に80℃で24時間乾燥させた。

【0055】
(サンプルペレットG-1の作製)
得られる複合材料サンプルのCNT混合割合が、1.0重量%となる割合で上記PLAペレットと、マスターバッチGを、マスターバッチGの作製に用いた図18に示すブリスタスクリュをセットした上記噛み合い型同方向回転二軸押出機に投入し、回転数150rpm、供給量4.5kg/h、温度180℃で混練し、混練物を押し出すことによって、CNT混合割合が、1.0重量%のCNT入りPLA複合材料サンプルペレットG-1を得た。
(サンプルペレットG-2の作製)
得られる複合材料サンプルのCNT混合割合が、2.0重量%となる割合で上記PLAペレットと、マスターバッチGを、マスターバッチGの作製に用いた図18に示すブリスタスクリュをセットした上記噛み合い型同方向回転二軸押出機に投入し、回転数150rpm、供給量4.5kg/h、温度180℃で混練し、混練物を押し出すことによって、CNTの添加割合が、2.0重量%のCNT入りPLA複合材料サンプルペレットG-2を得た。

【0056】
(サンプルペレットG-3の作製)
上記PLAペレットを上記マスターバッチGと同様に図18に示すブリスタスクリュをセットした上記噛み合い型同方向回転二軸押出機に投入して混練し、混練物を押し出すことによって得た混練ペレットを作製し、この混練ペレットを80℃で2.5時間乾燥させたのち、さらに図18に示すブリスタスクリュをセットした上記噛み合い型同方向回転二軸押出機に投入して混練し、混練物を押し出すことによって比較用サンプルペレットG-3を得た。

【0057】
上記のようにして得られたサンプルペレットG-1~G-3を、80℃で24時間乾燥させたのち、乾燥したサンプルペレットG-1およびG-3をそれぞれ用い、射出成形機(東洋機械金属社製射出成形機PLASTR ET-40V)によって図14に示す形状のダンベル試験片G-1~G-3をそれぞれ得た。
射出条件は、スクリュ回転速度100rpm、射出圧150MPa、背圧4.0MPa、保圧70MPa、シリンダ温度200℃、射出速度50mm/sec、保圧時間30 sec、冷却時間60sec、金型温度40℃とした。

【0058】
得られたダンベル試験片の引張強さ、弾性率、破断伸びを、JIS K7161に従って、万能試験機(島津製作所社製Auto graph(AG-100kN))および伸び計(島津製作所社製差動トランス式伸び計ST-50-10-10)を用いて求め、その結果を表4に示した。
なお、引張試験は1つの条件につき9回実施し、9回の結果の内、上位2つの値と下位2つの値を省き、残りの5つの値の平均値を求めた。また、本試験では、引張強さとして最大荷重を初期断面積で割った値を用いた。

【0059】
【表4】
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【0060】
上記表4から、マトリックス樹脂としてのPLAにCNTを配合することによって、引張強さおよび弾性率が低下しないことがわかる。

【0061】
上記ダンベル試験片G-1およびダンベル試験片G-3のそれぞれから横30mm、縦20mm、厚み4mmの体積抵抗率用サンプル板G-1、G-3を5枚ずつ作製し、各5枚の体積抵抗率用サンプル板G-1、G-3の中心の抵抗R[Ω]を1枚1箇所ずつ抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ハイレスタUP、URSプローブ)を用いて測定し、上記定義式(1)を用いて体積抵抗率ρv[Ω・cm]を求めた。測定方式は定電圧印加/漏洩電流測定方式で、RCFの値は0.273、リミッタ電圧は10V、測定時間は10秒とした。
また、上記ダンベル試験片X-2から、直径25mm、厚さ1.5mmの体積抵抗率用円形サンプル板G-2を5枚作製し、5枚の体積抵抗率用サンプル板G-2のそれぞれについて各1箇所ずつ抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP、4端子4探針法、ASPプローブ)を用いて測定し、上記定義式(1)を用いて体積抵抗率ρvを求めた。
RCFの値は3.362、リミッタ電圧は10V、測定時間は5秒とした。

【0062】
求められた体積抵抗率用サンプル板G-2とG-3の体積抵抗率ρvの平均値を求め、その結果を対比して、表5に示した。
なお、体積抵抗率ρvの平均値は、それぞれ求められた5つの体積抵抗率の上下1つずつの値を省き、残りの3つの値を平均して求めた。

【0063】
【表5】
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【0064】
上記表5から、CNTを配合することによって導電性が高くなることがわかる。

【0065】
上記体積抵抗率用サンプル板G-1、G-3と同じようにして得られた横30mm、縦20mm、厚み4mmの摩擦係数測定用サンプル板G-1、G-3のそれぞれについて、摩擦係数および表面粗さを以下のようにして求めた。

【0066】
(摩擦係数)
摩擦係数測定用サンプル板G-1、G-3を摩擦摩耗試験機(レスカ社製FRICTION PLAYER FPR 2000)にセットし、測定パラメータ(荷重:1N、回転半径:3.5mm、測定間隔:0.2s、回転数:27.2837rpm、線速度:1cm/s 、目標摺動距離:144m、測定時間:4時間、応力比:1.61719、常温、相手材:SUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材))でピンオンディスク法により摩耗摩擦試験を行い、摩擦摩耗試験機の応力検出器から値を読み取り、摩擦力を[応力検出器の値/応力比]より算出した。そして、[摩擦力/荷重値]より摩擦係数値を算出した。

【0067】
(表面粗さ)
摩擦係数測定用サンプル板G-1、G-3の摺動面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープ VK-X210)を用いて画像解析し、各試料3箇所ずつの表面粗さRaの値を得て、その平均値を求めた。

【0068】
上記のようにして求めた摩擦係数と、表面粗さを表6に対比して示した。

【0069】
【表6】
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【0070】
すなわち、表6から、CNTを1重量%配合することにより、CNTを配合しない場合に比べ、飛躍的に表面摩耗量が減ると言える(実物の目視によっても、大いに差が見られた)。

【0071】
〔CNT入りPLA複合材料の評価2〕
(マスターバッチHの作製)
熱可塑性を有する樹脂としてのPLA(Zhejiong Hisun Biomaterials社製REVODE110)ペレット(以下、「PLAペレット」と記す)100重量部に機能性ナノフィラーとしてのCNT(NANOCYL社製NANOCYLTM NC 7000、平均長さ1.5μm、平均径9.5nm、カーボン純度90%)5.26重量部(=5重量%)を噛み合い型同方向回転二軸押出機(Coperion社製 ZSK18、最大回転数1200rpm、スクリュ直径18mm、スクリュ部の長さLとスクリュ径Dの比率L/D=40)に投入し、回転数150rpm、供給量3.0kg/h、温度180-220℃で混練押し出し、ペレット状のマスターバッチH (直径約3mm、長さ約5mm)を得た。
なお、スクリュは、混練ゾーンが主に図3に示すニーディングディスクによって構成された、図19に示すニーディングスクリュを用いた。また、加水分解防止のため、PLAペレットは混錬実験前に90℃で3時間真空乾燥させた。

【0072】
(射出成形を用いたサンプルH-1の作製)
上記のようにして得られたマスターバッチHを、80℃で24時間乾燥させたのち、乾燥したマスターバッチHを用い、射出成形機(東洋機械金属社製射出成形機PLASTR ET-40V)によって図14に示す形状のダンベル試験片Hをそれぞれ得た。
射出条件は、スクリュ回転速度100rpm、射出圧150MPa、背圧4.0MPa、保圧70MPa、シリンダ温度200℃、射出速度50mm/sec、保圧時間30 sec、冷却時間60sec、金型温度40℃とした。
上記ダンベル試験片Hから横30mm、縦20mm、厚み4mmのサンプル板H-1を5枚作製した。

【0073】
(モノフィラメントHの作製)
得られたマスターバッチHを3Dプリンタ用のフィラメント押出機(Noztek社製 "The Noztek Pro ABS and PLA Filament Extruder for 3D Printers")に投入し、フィラメント径:1.75mmの3Dプリンタ用モノフィラメントHを得た。押出条件は、シリンダ温度210℃とし、フィラメントの巻取りにはフィラメント巻取機(Noztek社製 "Filament Winder")を用いた。

【0074】
(3Dプリンタ成形を用いたサンプルH-2の作製)
つぎに、上記のようにして得られたモノフィラメントHを用い、熱溶解積層方式3Dプリンタ(オープンキューブ社製SCOOVO X9)によって、縦30mm×横20mm×厚さ4mmのサンプル板H-2を5枚作製した。
プリント条件は、ノズル温度260℃、ヒートベッド温度80℃、層高さ0.4mm、密度100%、造形速度15mm/sとした。

【0075】
上記サンプル板H-1、H-2の抵抗R[Ω]をアナログテスターを用いて測定した。測定方法は、+、-の両端子を共に表面、かつ任意の距離で接地させることで各サンプル板の最小抵抗値を読み取り、その結果を表7に示した。

【0076】
【表7】
JP2016028887A_000010t.gif

【0077】
上記表7から、射出成形品より、3Dプリンタ成形品の方が、表面抵抗を小さくすることができ、例えば、電磁波シールド材、電子デバイス用部品、誘導加熱を利用した発熱部品等への応用が期待できると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のフィラメントは、熱溶解積層方式の3Dプリンタを用いて、高機能性を備えた造形物を作製するのに好適である。
【符号の説明】
【0079】
1 フィラメント
2 熱可塑性を有するマトリックス樹脂
3 CNT(機能性ナノフィラー)
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11
(In Japanese)【図13】
12
(In Japanese)【図14】
13
(In Japanese)【図15】
14
(In Japanese)【図16】
15
(In Japanese)【図17】
16
(In Japanese)【図18】
17
(In Japanese)【図19】
18