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明細書 :制御装置、制御方法、及び制御プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6664807号 (P6664807)
公開番号 特開2017-041223 (P2017-041223A)
登録日 令和2年2月21日(2020.2.21)
発行日 令和2年3月13日(2020.3.13)
公開日 平成29年2月23日(2017.2.23)
発明の名称または考案の名称 制御装置、制御方法、及び制御プログラム
国際特許分類 G05B  13/04        (2006.01)
B25J  13/00        (2006.01)
B25J   9/22        (2006.01)
B62D   6/00        (2006.01)
FI G05B 13/04
B25J 13/00 Z
B25J 9/22 A
B62D 6/00
請求項の数または発明の数 11
全頁数 21
出願番号 特願2015-223265 (P2015-223265)
出願日 平成27年11月13日(2015.11.13)
優先権出願番号 2015162518
優先日 平成27年8月20日(2015.8.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成30年8月20日(2018.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】田川 泰敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】影山 直洋
参考文献・文献 特開平10-097316(JP,A)
特開平10-214102(JP,A)
特開2012-137999(JP,A)
特開2003-316403(JP,A)
調査した分野 G05B 13/04
B25J 9/22
B25J 13/00
B62D 6/00
特許請求の範囲 【請求項1】
制御対象に対応する制御モデルと、
前記制御モデルから出力される第1の出力信号の目標値と、前記制御モデルに仮想外乱を入力させた状態で前記制御モデルから出力された第2の出力信号と、に基づいて、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号が前記目標値となるような制御信号を生成して前記制御モデルに出力する制御モデル用コントローラと、
前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号を、前記制御対象を制御する制御対象用コントローラに出力するための出力信号出力部と、
を備えたフィードバック制御シミュレーション装置と、
前記フィードバック制御シミュレーション装置の前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号と、前記制御対象から出力されたフィードバック制御用出力信号であって前記制御対象から出力された制御対象出力信号及び前記制御対象出力信号以外の観測量を含むフィードバック制御用出力信号と、に基づいて、前記制御対象から出力された制御対象出力信号が前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号に追従するような制御信号を生成して前記制御対象に出力することにより、前記制御対象を制御する制御対象用コントローラと、
を備えた制御装置。
【請求項2】
前記制御対象用コントローラが、前記制御対象の逆モデルである
請求項記載の制御装置。
【請求項3】
前記フィードバック制御シミュレーション装置は、
前記制御モデル用コントローラから出力された前記制御信号を前記制御対象に出力するための制御信号出力部
を備えた請求項1又は請求項2記載の置。
【請求項4】
前記フィードバック制御シミュレーション装置は、
前記仮想外乱に基づいて、前記制御モデルに仮想外乱を入力させた状態と等価な状態を得るために前記制御信号に加算する信号である等価仮想外乱を生成する等価仮想外乱生成部を備え、
前記制御信号出力部は、前記制御信号と前記等価仮想外乱とを加算した制御信号を前記制御対象に出力する
請求項記載の置。
【請求項5】
前記制御対象は移動体であり、前記目標値は前記移動体の目標軌道であり、前記仮想外乱は前記移動体が移動する際に障害となる障害物を仮想した外乱であり、前記第1の出力信号は前記障害物を回避した障害物回避軌道である
請求項1~4の何れか1項に記載の置。
【請求項6】
前記仮想外乱は、ポテンシャル関数から得られた外乱である
請求項5記載の置。
【請求項7】
前記移動体は車両であり、前記ポテンシャル関数は、前記車両に斥力を与える関数である
請求項6記載の置。
【請求項8】
前記ポテンシャル関数は、前記車両が進入する交差点入り口で前記斥力が最大となるように設定された関数である
請求項7記載の置。
【請求項9】
前記移動体は2つのアームであり、互いのアームを前記障害物とみなして前記ポテンシャル関数を設定する
請求項6記載の置。
【請求項10】
コンピュータが、
制御対象に対応する制御モデルから出力される第1の出力信号の目標値と、前記制御モデルに仮想外乱を入力させた状態で前記制御モデルから出力された第2の出力信号と、に基づいて、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号が前記目標値となるような制御信号を生成して前記制御モデルに出力するステップと、
前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号を、前記制御対象を制御する制御対象用コントローラに出力するステップと、
前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号と、前記制御対象から出力されたフィードバック制御用出力信号であって前記制御対象から出力された制御対象出力信号及び前記制御対象出力信号以外の観測量を含むフィードバック制御用出力信号と、に基づいて、前記制御対象から出力された制御対象出力信号が前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号に追従するような制御信号を生成して前記制御対象に出力することにより、前記制御対象を制御するステップと、
を含む法。
【請求項11】
コンピュータを、
請求項1~9の何れか1項に記載の置を構成する各手段として機能させるためのログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、御装置、法、及びログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力の目標値と実際の出力値を比較して自動的に出力値と目標値が一致するように制御するフィードバック制御シミュレーション装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。また、出力に変動を起こさせるような外乱を予測し、これを前もって打ち消すように制御するフィードフォワード制御装置が知られている。さらに、フィードバック制御とフィードフォワード制御を組み合わせた装置が知られている(例えば特許文献3~5参照)。
【0003】
フィードバック制御やフィードフォワード制御は、様々な分野の技術に適用され、例えば車両の運転支援システムにも適用される。近年、運転支援システムでは、先行車追従や前方車両との衝突回避、車線維持などが実用化されている。このように、運転支援の適用範囲は拡がってきているが、事故のない運転の実現には到っていない。事故の発生原因には、危険の見落としや急な飛び出しに対する注意不足といったものがある。これらの原因に対処するには、広い範囲に複数存在する注意点を同時に考慮した運転を行う必要がある。このことから、複数の注意点を考慮するために、対処すべき要素を足し合わせることができる人工ポテンシャル法を用いた制御が考案されている。しかしながら、運転支援システムの最終目標といえる全自動運転を考える場合、経路計画を行う人工ポテンシャル法では、自由な経路や速度設定を行うのが困難である。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特表2009-21334号公報
【特許文献2】特表2009-521751号公報
【特許文献3】特開2010-282618号公報
【特許文献4】特開2010-218008号公報
【特許文献5】特開2014-13607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば従来では、まずポテンシャル法により障害物を回避するための軌道を計算するステップ、計算された軌道に制御対象を追従させるような動作(ハンドル操作量等)を決定するステップ、の2ステップの制御を行う場合が多く、計算が複雑である、という問題がある。
【0006】
本発明は、複雑な計算をすることなく制御対象を精度良く制御するための制御信号を生成することができる御装置、法、及びログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明の置は、制御対象に対応する制御モデルと、前記制御モデルから出力される第1の出力信号の目標値と、前記制御モデルに仮想外乱を入力させた状態で前記制御モデルから出力された第2の出力信号と、に基づいて、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号が前記目標値となるような制御信号を生成して前記制御モデルに出力する制御モデル用コントローラと、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号を、前記制御対象を制御する制御対象用コントローラに出力するための出力信号出力部と、を備えたフィードバック制御シミュレーション装置と、前記フィードバック制御シミュレーション装置の前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号と、前記制御対象から出力されたフィードバック制御用出力信号であって前記制御対象から出力された制御対象出力信号及び前記制御対象出力信号以外の観測量を含むフィードバック制御用出力信号と、に基づいて、前記制御対象から出力された制御対象出力信号が前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号に追従するような制御信号を生成して前記制御対象に出力することにより、前記制御対象を制御する制御対象用コントローラと、を備える。
請求項2記載の発明は、前記制御対象用コントローラが、前記制御対象の逆モデルである。
【0008】
請求項記載の発明は、前記制御モデル用コントローラから出力された前記制御信号を前記制御対象に出力するための制御信号出力部を備える。
【0009】
請求項記載の発明は、前記仮想外乱に基づいて、前記制御モデルに仮想外乱を入力させた状態と等価な状態を得るために前記制御信号に加算する信号である等価仮想外乱を生成する等価仮想外乱生成部を備え、前記制御信号出力部は、前記制御信号と前記等価仮想外乱とを加算した制御信号を前記制御対象に出力する。
【0011】
請求項記載の発明は、前記制御対象は移動体であり、前記目標値は前記移動体の目標軌道であり、前記仮想外乱は前記移動体が移動する際に障害となる障害物を仮想した外乱であり、前記第1の出力信号は前記障害物を回避した障害物回避軌道である。
【0012】
請求項記載の発明は、前記仮想外乱は、ポテンシャル関数から得られた外乱である。
【0013】
請求項記載の発明は、前記移動体は車両であり、前記ポテンシャル関数は、前記車両に斥力を与える関数である。
【0014】
請求項8記載の発明は、前記ポテンシャル関数は、前記車両が進入する交差点入り口で前記斥力が最大となるように設定された関数である。
【0015】
請求項9記載の発明は、前記移動体は2つのアームであり、互いのアームを前記障害物とみなして前記ポテンシャル関数を設定する。
【0018】
請求項10記載の発明の法は、コンピュータが、制御対象に対応する制御モデルから出力される第1の出力信号の目標値と、前記制御モデルに仮想外乱を入力させた状態で前記制御モデルから出力された第2の出力信号と、に基づいて、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号が前記目標値となるような制御信号を生成して前記制御モデルに出力するステップと、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号を、前記制御対象を制御する制御対象用コントローラに出力するステップと、前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号と、前記制御対象から出力されたフィードバック制御用出力信号であって前記制御対象から出力された制御対象出力信号及び前記制御対象出力信号以外の観測量を含むフィードバック制御用出力信号と、に基づいて、前記制御対象から出力された制御対象出力信号が前記制御モデルから出力された前記第1の出力信号に追従するような制御信号を生成して前記制御対象に出力することにより、前記制御対象を制御するステップと、を含む。
【0019】
請求項11記載の発明のログラムは、コンピュータを、請求項1~9の何れか1項に記載の置を構成する各手段として機能させるためのログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複雑な計算をすることなく制御対象を精度良く制御するための制御信号を生成することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る制御装置10のブロック図である。
【図2】フィードバック制御シミュレーション装置で実行されるフィードバック制御シミュレーション処理のフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置のブロック図である。
【図4】第3実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置のブロック図である。
【図5】第4実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置のブロック図である。
【図6】障害物からの斥力について説明するための図である。
【図7】障害物の周りに発生するポテンシャル場について説明するための図である。
【図8】ポテンシャル関数について説明するためのグラフである。
【図9】駐車車両追い抜きのシミュレーション結果について説明するための図である。
【図10】無信号交差点通過のシミュレーション結果について説明するための図である。
【図11】第5実施形態に係るモジュールのコンセプトについて説明するための図である。
【図12】第5実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置のブロック図である。
【図13】アームの衝突回避における偏差抑制入力について説明するための図である。
【図14】アームの衝突回避について説明するための図である。
【図15】ポテンシャル場の一例を示す図である。
【図16】アームの衝突回避のシミュレーション結果を示す図である。
【図17】アームの衝突回避のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】第6実施形態に係る制御装置10のブロック図である。
【図19】第7実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置のブロック図である。
【図20】第8実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【図21】第9実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例について説明する。

【0023】
(第1実施形態)

【0024】
図1には、本実施形態に係る制御装置10のブロック図を示した。図1に示すように、制御装置10は、フィードバック制御シミュレーション装置12及び制御対象用コントローラ14を備える。

【0025】
フィードバック制御シミュレーション装置12は、制御モデル16及び制御モデル用コントローラ18を備える。

【0026】
制御モデル16は、制御対象20に対応する制御モデル、すなわち制御対象20のシミュレーションモデルである。

【0027】
制御対象20としては、例えば自動車、飛翔体(ドローン等)、産業用ロボット、ヒューマノイドロボット等の移動体が適用されるが、これに限られるものではない。本実施形態では、制御対象20が移動体の場合について説明する。

【0028】
制御モデル用コントローラ18は、制御モデル16から出力される第1の出力信号としての出力信号yの目標値rと、制御モデル16に仮想外乱dvを入力させた状態で制御モデル16から出力されたフィードバック制御用の第2の出力信号としての出力信号yと、に基づいて、制御モデル16から出力された出力信号yが目標値rに追従するような制御信号uを生成して制御モデル16に出力する。なお、フィードバック制御用の出力信号yは、出力信号yだけでなく、出力信号y以外の観測量も含む信号である。

【0029】
すなわち、制御モデル用コントローラ18は、制御対象20のシミュレーションモデルである制御モデル16に対してフィードバック制御を行い、出力信号yが目標値rを追従するような制御信号uを生成して制御モデル16に出力する。

【0030】
ここで、目標値rは、一例として移動体である制御対象20の目標軌道である。また、仮想外乱dvは、一例として制御対象20が移動する際に障害となる障害物を仮想した外乱である。また、出力信号yは、障害物を回避した障害物回避軌道である。なお、仮想外乱は、ポテンシャル関数から得られた外乱を適用することができるが、制御対象20が移動する際に障害となる障害物を仮想した外乱であれば、これに限られるものではない。

【0031】
また、フィードバック制御シミュレーション装置12は、制御モデル16から出力された出力信号yを、制御対象20を制御する制御対象用コントローラ14に出力するための制御信号出力部22を備える。

【0032】
制御対象用コントローラ14は、フィードバック制御シミュレーション装置12から出力された出力信号yと、制御対象20から出力されたフィードバック制御用の出力信号yと、に基づいて、制御対象20から出力された出力信号yが制御モデル16から出力された出力信号yに追従するような制御信号uを生成して制御対象20に出力する。なお、フィードバック制御用の出力信号yは、出力信号yだけでなく、出力信号y以外の観測量も含む信号である。

【0033】
すなわち、制御対象用コントローラ14は、制御モデル16から出力された出力信号yを用いて制御対象20に対してフィードバック制御を行う。

【0034】
制御モデル用コントローラ18は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性メモリ等を含むコンピュータで構成することができる。この場合、後述するフィードバック制御シミュレーション処理をコンピュータに実行させるフィードバック制御シミュレーションプログラムを、例えばROMに記憶しておき、CPUにこれを読み込んで実行させる。なお、フィードバック制御シミュレーションプログラムは、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。

【0035】
次に、制御モデル用コントローラ18において実行されるフィードバック制御シミュレーション処理を図2に示すフローチャートを参照して説明する。

【0036】
まず、ステップS100では、制御モデル16から出力される出力信号yの目標値rを入力する。

【0037】
ステップS102では、制御モデル16に仮想外乱dvを入力させた状態で制御モデル16から出力されたフィードバック制御用の出力信号yを入力する。

【0038】
ステップS104では、ステップS100で入力した目標値rと、ステップS102で入力した出力信号yと、に基づいて、出力信号yが目標値rを追従するような制御信号uを生成して制御モデル16に出力する。

【0039】
これにより、制御モデル16は、制御信号uに応じた出力信号yを制御対象用コントローラ14に出力する。そして、制御対象用コントローラ14は、制御モデル16から出力された出力信号yと、制御対象20から出力されたフィードバック制御用の出力信号yと、に基づいて、制御対象20から出力された出力信号yが制御モデル16から出力された出力信号yに追従するような制御信号uを生成して制御対象20に出力する。

【0040】
このように、制御対象20は、シミュレーションによるフィードバック制御によって生成された出力信号yに基づいてフィードバック制御される。

【0041】
制御モデル16が制御対象20に精度良く対応していれば、仮想外乱dvが無い場合は、実際の制御対象20の出力信号yを目標値rに精度良く追従させることができる。また、適切な仮想外乱dvを与えることにより、移動体を障害物から回避させるための軌道である出力信号yがフィードバック制御シミュレーションにより自動的に計算され、移動体である制御対象20の軌道である出力信号yがこれに追従することにより、前記移動体は精度よく障害物を回避できる。シミュレーション環境は、フィードバック制御にとって理想的な環境であるため、仮想外乱dvを与えてもフィードバック制御シミュレーションは一般に安定である。

【0042】
(第2実施形態)

【0043】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【0044】
図3には、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置12Aのブロック図を示した。図3のフィードバック制御シミュレーション装置12Aが図1のフィードバック制御シミュレーション装置12と異なるのは、制御モデル用コントローラ18から出力された制御信号uを制御対象20に出力するための出力信号出力部24を備えている点、制御モデル16から出力された出力信号yを制御対象用コントローラ14に出力するための制御信号出力部22が省略されている点である。その他の構成は図1のフィードバック制御シミュレーション装置12と同様なので、詳細な説明は省略する。

【0045】
また、出力信号yを制御対象用コントローラ14に出力するための制御信号出力部22が省略されているため、図3の構成では、制御対象用コントローラ14も省略されている。

【0046】
このように、本実施形態では、シミュレーションによるフィードバック制御によって制御モデル用コントローラ18により生成された制御信号uが制御対象20に出力される。すなわち、制御対象20は、制御モデル用コントローラ18により生成された制御信号uに基づいてフィードフォワード制御されることとなる。

【0047】
制御対象20が例えば自動運転が可能な自動車である場合、制御信号uは、例えば自動車の向きを操作するハンドルのハンドル操作量とすることができる。この場合、従来のように障害物を回避するための軌道を計算してから、計算された軌道に制御対象を追従させるためのハンドル操作量を決定する等の複雑な計算をする必要がなく、シミュレーションによるフィードバック制御により自動車が障害物に衝突するのを回避することが可能なハンドル操作量を少ない計算量でダイレクトに求めることができる。

【0048】
(第3実施形態)

【0049】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【0050】
図4には、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置12Bのブロック図を示した。図4のフィードバック制御シミュレーション装置12Bは、図1のフィードバック制御シミュレーション装置12と、図3のフィードバック制御シミュレーション装置12Aと、を組み合わせた装置である。すなわち、フィードバック制御シミュレーション装置12Bは、制御モデル16から出力された出力信号yを制御対象用コントローラ14に出力するための制御信号出力部22と、制御モデル用コントローラ18から出力された制御信号uを制御対象20に出力するための出力信号出力部24と、を備えている。

【0051】
そして、制御モデル用コントローラ18から出力された制御信号uと、制御対象用コントローラ14から出力された制御信号uと、が加算されて制御対象20に出力される。

【0052】
このように、本実施形態では、シミュレーションによるフィードバック制御によって生成された出力信号yが制御対象用コントローラ14に入力され、制御対象用コントローラ14から出力された制御信号uと、制御対象用コントローラ14により生成された制御信号uとが加算された制御信号により制御対象20が制御されるため、制御対象20の出力信号yを出力信号yに精度良く追従させることができる。

【0053】
(第4実施形態)

【0054】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、障害物回避を考慮した自動運転制御システムに本発明を適用した場合について説明する。

【0055】
図5には、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置30のブロック図を示した。なお、図5の構成は、第3実施形態で説明した図4の構成に相当する。

【0056】
以下では、「PD」を制御モデル用コントローラPDと称し、「P」を制御モデルPと称し、「PID」を制御対象用コントローラPIDと称し、「P」を制御対象Pと称する。

【0057】
図5に示すように、目標値決定部32から出力された目標値rから、制御モデルPから出力された出力信号q(以下では、qの上付きバーを便宜上このように記載する)を減算した信号が偏差として制御モデルPDに出力される。なお、制御モデル用コントローラPDと、目標値rから出力信号qを減算する部分と、が図4の制御モデル用コントローラ18に相当する。

【0058】
制御モデル用コントローラPDから出力された制御信号は、仮想外乱発生部34から出力された仮想外乱dvと加算されて座標変換部36に出力される。座標変換部36により座標変換された制御信号u(以下では、uの上付きバーを便宜上このように記載する)は、制御モデルPに出力される。

【0059】
制御対象Pは、制御信号uによって制御される。制御対象Pから出力された出力信号には、外乱dが加算されて出力信号qとして出力される。なお、制御対象Pは、図4の制御対象20に相当する。

【0060】
制御対象用コントローラPIDは、出力信号qから出力信号qを減算した信号に基づいて制御信号を生成し、座標変換部38に出力する。座標変換部38で座標変換された制御信号は、フィードバック制御シミュレーション装置30の座標変換部36から出力された制御信号uと加算されて制御信号uとして制御対象Pに出力される。なお、制御対象用コントローラPIDと、出力信号qから出力信号qを減算する部分と、が図4の制御対象用コントローラ14に相当する。

【0061】
ここで、制御対象Pは実車両、制御モデルPは実車両に対応するシミュレーションモデルである。従って、目標値rは実車両の位置及び速度を表す目標値であり、制御信号uは実車両の駆動制動力及び舵角を制御する制御信号であり、出力信号qは実車両の位置及び速度を表す出力信号である。なお、以下では、制御モデルPを単に車両と称する場合がある。

【0062】
仮想外乱発生部34は、シミュレーション上で走行する車両に障害物からの斥力を与えるための仮想外乱dvを出力する。仮想外乱dv、すなわち障害物からの斥力は、予め設定したポテンシャル関数から計算することができ、障害物が複数存在する場合は、それぞれの障害物からの斥力の和をとる。ポテンシャル関数をU、位置をq^とおくと、力F^は下記(1)式のように表すことができる。なお、数式内のボールド表示の記号はベクトルであることを表しており、本文中では該当の記号に「^」を付して表している。

【0063】
【数1】
JP0006664807B2_000002t.gif
・・・(1)

【0064】
制御モデル用コントローラPDには、経路を辿らせつつ仮想外乱dvの影響を受けるものを用いる。実車両である制御対象Pには、フィードバック制御シミュレーション装置30において計算された制御信号uに基づく制御信号uが入力されるため、制御対象用コントローラPIDには、外乱dや制御モデルPの誤差を抑えることを目的としたものを用いる。図6には、目標値及び制御モデルPに加える力を決定する際の決定方法を示した。障害物40からの斥力、すなわちポテンシャル関数による斥力42(Force of potential)の影響で車両44が目標位置46から遅れることを防ぐため、車両44が目標経路48に沿った方向に進んだ距離だけ目標位置を目標経路48上で進ませる。そして、その目標位置46に設定された目標速度を車両44の目標速度とする。次に、目標値、すなわち目標位置及び目標速度と車両44の位置及び速度との偏差からPD制御(比例微分制御)により、目標経路48を維持する力50(Cource keeping force)を計算する。次に、ポテンシャル関数からの斥力42を加える。そして、これらの力を足し合わせ、足し合わせた力を制御モデルPの座標に変換し、前方向を駆動力、横方向の力をコーナリングパワーで除算したものを舵角とし、これらを制御モデルP及び制御対象Pに出力する。

【0065】
次に、駐車車両や歩行者を追い抜く場合の例について説明する。

【0066】
道の端に車が駐車しているとき、安全な距離を置いて追い抜く運転が求められる。また、駐車車両の影からの飛び出しを考慮した減速が必要になる。歩行者がいる場合においても同様に、安全な距離での追い抜きと飛び出しを考慮した減速を行う必要がある。そこで、障害物から離れる向きに力を加えるポテンシャル関数を考える。下記(2)式に、障害物に近いほど大きくなるポテンシャル関数を示した。ここで、Kは障害物までの距離、A、αは定数である。

【0067】
【数2】
JP0006664807B2_000003t.gif
・・・(2)

【0068】
上記(2)式のポテンシャル関数では、車両が近くに存在する場合にのみ大きな斥力をかけるため、安全な距離を保つことはできるものの、離れた場所から近づく場合に、早い段階から回避行動を起こすことが困難である。そこで、図7に示すように、障害物40を車両の幅だけ大きくした長方形とし、車両の進行方向である図7において右方向と反対向き、すなわち左向きに突起したエッジ52を取り付ける。図7は道路を上から見た図であり、車両は図7において右方向に進んでおり、車両と接触する位置に障害物40があるものとする。この場合、上記(2)式のポテンシャル関数を用いると、図7のような等高線でポテンシャル場54が描ける。ポテンシャル場54は内側に行くほど対数的に大きくなる。このようなポテンシャル関数を用いることにより、障害物40に近づくほど大きな斥力が車両にかかるようになるが、このままでは急ブレーキがかかるようになってしまう。そこで、障害物40との相対速度が大きくなるほど、障害物40に近づいた位置を仮の位置としてポテンシャル関数を計算する。その結果、ポテンシャル場54は図7のようになり、早い段階から障害物を回避することができる。

【0069】
具体的には、エッジ52の突起側に車両がある場合、障害物40との相対速度に応じて小さくなる擬距離を用いる。擬距離は、位置q^=[X Y]を下記(3)式と置き換えた場合における障害物40との距離である。このとき、車両の進行方向は図7においてX軸の方向であり、Vは車両の速度、Vobは障害物の速度、Xobは車両進行方向における障害物40の位置、βは定数である。

【0070】
【数3】
JP0006664807B2_000004t.gif
・・・(3)

【0071】
擬距離を用いることにより、障害物40に早く近づくほど障害物40とより近くにあった場合におけるポテンシャル関数の値が適用される。

【0072】
図7では、上記(2)、(3)式から、車両が40km/hで走行中の場合における障害物40のポテンシャル関数が表すポテンシャル場54を、障害物40から離間するに従って10から対数的に減らしていった等高線で表している。

【0073】
次に、無信号交差点を通過する場合の例について説明する。

【0074】
無信号交差点の優先側について考える。無信号交差点では歩行者の急な飛び出しがあったときにおいても停止することができるように、交差点に入る前に減速を行う必要がある。そのため、ポテンシャル関数によって交差点に入るまでに制御モデルPに進行方向と逆向きの力を加えることを考える。無信号交差点におけるポテンシャル関数の式を下記(4)式に示した。また、図8には、制限速度が25km/hの場合における下記(4)式をグラフで表したものを示した。ここで、速度の比例ゲインをP、目標速度をVr、道幅をw、交差点の中心をXu、交差点に入るときに求められる最小速度をVm、Xu通過時の速度をVX=Xuとする。図8では、交差点の中心Xu=0としている。また、aは定数である。

【0075】
【数4】
JP0006664807B2_000005t.gif
・・・(4)

【0076】
このポテンシャル関数は、力の最大値が目標速度に比例した距離だけ交差点入り口より前になる。こうすることで、交差点入り口付近で最小速度とすることができる。また、このポテンシャルにおいても擬距離を用いて、車両の速度が速い場合において早くから減速できるようにする。

【0077】
次に、駐車車両を追い抜く場合のシミュレーションについて説明する。

【0078】
駐車車両がある場合において、図5のフィードバック制御シミュレーション装置30において実行されるシミュレーション部分のみについて検証した結果を図9に示した。図9に示すように、車両の軌道が、目標軌道56(Reference cource)上に存在する障害物40としての駐車車両を回避した回避軌道58(Simulation)となっていることが判る。このことから、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置30と仮想外乱としてポテンシャル関数を用いることにより、追い抜き運転が可能であることが確認された。

【0079】
次に、無信号交差点を通過する場合のシミュレーションについて説明する。

【0080】
無信号交差点を通過する場合において、図5のフィードバック制御シミュレーション装置30において実行されるシミュレーション部分のみについて検証した結果を図10に示した。

【0081】
図10は、交差点の中心Xu=100とした場合のシミュレーション結果(Simulation)の他に、比較対象として、道路の制限速度を目標速度とした結果(Regulation speed)、実際の人間がドライバーの場合の運転データ(Driving data)を示した。

【0082】
なお、運転データは、31個のデータから、対向車両を考慮した減速があるデータ、減速の少ないデータを除いた5個のデータの平均値を用いた。

【0083】
図10に示すように、シミュレーション結果(Simulation)は、実際の運転データ(Driving data)と同様の減速が再現できていることが判る。加速時に差が見られるが、このときはポテンシャル関数からの力が0であることから、速度維持のためのPD制御が、人間が運転する際の加速動作を再現できていないためであると考えられる。

【0084】
このように、ポテンシャル関数によりシミュレーション上で車両に力を加える自動運転制御システムに本発明を適用可能であることが判った。また、障害物の追い抜きや無信号交差点の通過時におけるポテンシャル関数を設定し、シミュレーションによってその有効性が確認できた。

【0085】
なお、本実施形態では、第3実施形態で説明した形態を障害物回避を考慮した自動運転制御に適用した場合の具体例について説明したが、図5において、制御対象用コントローラPID及び座標変換部38を含む制御部39を省略した構成としてもよい。この場合、第2実施形態で説明した形態を自動運転制御に適用した構成となる。

【0086】
(第5実施形態)

【0087】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、モジュール化された多体システムの衝突回避制御に本発明を適用した場合の具体例について説明する。

【0088】
まず、本実施形態に係るモジュールのコンセプトについて説明する。

【0089】
コンセプトの概要を図11に示した。ハードウェアのモジュールに対して、それを動作させるための動力学モデルやコントローラをソフトウェア上でモジュール化してハードウェアに与え、ハードウェアとソフトウェアを併せて1つのモジュールとして扱う。このモジュールをModel-Contained Module(MCM)と定義する。以下では、このモジュールをMCMと称する。

【0090】
図11では、回転ジョイント(Rotational joint)のモジュールをMCM1としている。MCM1は、回転ジョイントのハードウェアH、ハードウェアHをモデル化したモデルP、モデルPを制御するコントローラCをモジュール化したものである。

【0091】
同様に、MCM2は、直動ジョイント(Linear joint)のハードウェアH、ハードウェアHをモデル化したモデルP、モデルPを制御するコントローラCをモジュール化したものである。そして、MCM1及びMCM2を結合することにより、ハードウェアH、Hを組み合わせたハードウェアが構成されると共に、モデルP、Pを組み合わせたソフトウェアが構成される。

【0092】
MCMでハードウェアを構成した場合、ソフトウェア上でもモジュールを結合することによって、ハードウェアに対応した動力学モデルやコントローラを得ることができる。これにより、モデル作成や制御器設計の工程が簡略化される。本実施形態では、MCMの検証用に回転ジョイントと直動ジョイントのハードウェアを作成し、専用の動力学モデルを与えてMCMとして扱う。

【0093】
次に、MCMに与えるモデルについて説明する。

【0094】
従来、MCMに逆動力学モデルを与えて制御を行う方法が知られているが、本実施形態では、MCMのコンセプトの拡張性を検証するために、ポテンシャル法を用いた制御器をMCMに与えて制御を行う。ポテンシャル法は、障害物にポテンシャル関数を持たせ、ポテンシャル関数の勾配に応じた反発力を仮想空間で加えることにより衝突回避を考慮した経路設計を行う手法である。本実施形態では、MCMで2つのアームを構成し、互いに障害物とみなして扱う。MCMに与えるポテンシャル関数Uを下記(5)式に示す。

【0095】
【数5】
JP0006664807B2_000006t.gif
・・・(5)

【0096】
上記(5)式におけるrは、MCM同士の距離、aはポテンシャル場の勾配を調整する定数である。MCM同士の距離が小さくなるほどポテンシャル関数の勾配が大きくなる。反発力f^は、上記(5)式の勾配である下記(6)式で表される。

【0097】
【数6】
JP0006664807B2_000007t.gif
・・・(6)

【0098】
また、上記(5)式のAを下記(7)式のように定義することにより、MCM同士の相対速度vに応じてポテンシャル関数の勾配を変化させる。ここで、Bはポテンシャル場の勾配を調整する定数、cは相対速度の影響を調整する定数である。

【0099】
【数7】
JP0006664807B2_000008t.gif
・・・(7)

【0100】
MCMが高速で近づくとポテンシャル場が大きくなり、より早い段階で減速が始まる。また、互いに静止している場合はポテンシャル場が小さくなり、影響が軽減される。

【0101】
次に、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置の構成について説明する。

【0102】
図12には、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置70のブロック図を示した。なお、図12の構成は、第1実施形態で説明した図1のフィードバック制御シミュレーション装置12に相当する。以下では、「PD」を制御モデル用コントローラPDと称し、「P」を制御モデルPと称する。

【0103】
一般的なポテンシャル法は、目的地に引力ポテンシャルを与えることで自動的に経路設計をする。ロボットアームではユーザが所望する軌道を自由に設計して追従させることを目的とすることが多い。そのため、自動で経路を決定してしまう引力ポテンシャルとの相性が悪い。そこで、本実施形態では、ユーザが自らアームの目標関節角度θinを与えて軌道を生成し、逆動力学モデルP-1でアームの駆動に必要なトルクτを求めてプラントモデルである制御モデルPに出力する。制御モデルPからはアームの出力関節角度θoutが出力される。制御モデル用コントローラPDは、出力関節角度θoutと目標関節角度θinとの偏差に基づいてPD制御を行うことにより制御モデルPを制御する。このように、2自由度系で制御を行う。また、制御モデル用コントローラPDから出力されたトルクτに、ポテンシャル場から発生する外力fをトルク変換器で変換した仮想外乱dvを加えてプラントモデルPに与えることにより、衝突回避を考慮した動作の補正を行う構成としている。ここで、制御モデル用コントローラPD及び逆動力学モデルP-1が、図1の制御モデル用コントローラ18に相当する。また、制御モデルPは図1の制御モデル16に相当する。

【0104】
なお、出力関節角度θoutを実機のプラントを制御するコントローラに入力することにより第1実施形態と同様の形態となり、トルクτを実機のプラントに入力することにより第2実施形態と同様の形態となり、これらの形態を組み合わせることで第3実施形態と同様の形態となる。

【0105】
次に、出力関節角度θoutと目標関節角度θinとの偏差を抑制するための偏差抑制入力について説明する。

【0106】
例えばアームの先端の目標軌道を、図13に示すような開始点Startから終了点Goalまでの目標軌道72とした場合、障害物40のポテンシャル場54からの外力Fにより出力関節角度θoutと目標関節角度θinとの偏差が拡大し過ぎる場合がある。この偏差を制御モデル用コントローラPDのPD制御により修正する場合、偏差が大きいために制御モデルPに過度なトルクτが入力され、オーバーシュートが起こり得る。

【0107】
そこで、偏差の拡大を防ぐ方法として、偏差に応じて、目標関節角度θinの進行速度を遅延させる。目標関節角度θinを生成する際に使用する5次多項式補間で用いる多項式を下記(8)式のように設定する。ここで、θは初期角度、θは最終角度、tは開始時間、tは終了時間、Δtはサンプリング時間、dは定数である。

【0108】
【数8】
JP0006664807B2_000009t.gif
・・・(8)

【0109】
上記(8)式の変数tを目標値誤差e、すなわち偏差eの大きさに応じて、入力する目標関節角度θinの進行速度を変える。これにより、偏差eが大きい場合は目標関節角度θinの進行速度が遅くなり、偏差eが無い場合は目標関節角度θinの進行速度が元の速度となるようにする。これにより、オーバーシュートが抑制される。

【0110】
次に、シミュレーション結果について説明する。

【0111】
前述した相対速度によって変化するポテンシャル場と偏差抑制入力を組み合わせて、減速しながら衝突回避動作をし、オーバーシュートが軽減されるか否かを検証するために2 つのシミュレーションを行った。

【0112】
第1のシミュレーションでは、上記(5)式の係数Aを定数にした変化しないポテンシャル場を用いてシミュレーションを行った。また、第2のシミュレーションでは、上記(7)式の係数Aを相対速度によって変化するポテンシャル場と偏差抑制入力とを組み合わせてシミュレーションを行った。

【0113】
図14に示すように、回転ジョイント74を3つ組み合わせた2本のアーム76A、76Bを交差させた場合における衝突回避動作をシミュレーションした。

【0114】
回転ジョイント74は、MCMの検証用として製作した実機のパラメータを用いた。ポテンシャル関数を与えたアーム1つ分のポテンシャル場は図15のようになった。

【0115】
第1、第2のシミュレーションの結果を図16、17に示した。図中の小さい番号から順にアーム76A、76Bは動作する。ただし、7番より大きい番号の記載は省略している。また、左のアーム76Bの先端の最高速度とアーム76A、76B間の最短距離を以下の表1に示した。

【0116】
【表1】
JP0006664807B2_000010t.gif

【0117】
図16、17に示すように、どちらも衝突せずに初期姿勢から目標姿勢に移動できている。また、上記表1に示すように、衝突回避動作時の最高速度は第2のシミュレーションの方が遅い。これは、相対速度によってポテンシャル場が大きくなり、アームが早めの段階で外力を受けたからである。また、表1のアーム間の最短距離は第2のシミュレーションの方が大きい。これは、相対速度に応じて変化するポテンシャル場による減速と偏差抑制入力による適度なPD制御によるものである。さらに、PD制御が適度に作用しているので、目標姿勢に注目すると図17は、図16に比べてオーバーシュートが抑えられていることが分かる。以上のことから、アーム同士の間隔を広く保ちつつ、かつ、減速しながら衝突回避動作を行うことができることが判った。

【0118】
このように、相対速度によって変化するポテンシャル場と偏差によって進行速度が変化する偏差抑制入力を組み合わせることにより、シミュレーション上で良好な衝突回避動作が可能であることが確認できた。

【0119】
(第6実施形態)

【0120】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【0121】
図18には、本実施形態に係る制御装置10Aのブロック図を示した。図18の制御装置10Aが図1の制御装置10と異なるのは、制御対象20を制御する制御対象用コントローラが、制御対象の逆モデル14Aで構成されている点である。その他の構成は図1のフィードバック制御シミュレーション装置12と同様なので、詳細な説明は省略する。

【0122】
このように、本実施形態では、制御対象の逆モデル14Aが制御対象20を制御する。ここで、「制御対象の逆モデル」とは、制御対象からの出力信号(例えば制御対象20からの出力信号y)を入力すると、その出力信号が得られるような、制御対象へ入力される制御信号(例えば制御対象20へ入力される制御信号u)を出力するモデルである。精度の良い制御対象の逆モデルがあれば、外乱等が無い環境では、これをフィードフォワード的に用いることにより制御量を目標値に精度良く一致させることができる。すなわち、図18の制御装置10Aは、図1の制御装置10において実際に制御対象20のフィードバック制御を行っている部分を、制御対象の逆モデルを用いたフィードフォワード制御で置き換えたものである。なお、制御対象の逆モデル14Aとしては、例えば制御モデル16の逆モデルを用いることができるが、これに限られるものではない。

【0123】
(第7実施形態)

【0124】
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、第2実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【0125】
図19には、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置12Cのブロック図を示した。

【0126】
図19に示すように、本実施形態に係るフィードバック制御シミュレーション装置12Cは、等価仮想外乱生成部60を備えている。

【0127】
等価仮想外乱生成部60には、仮想外乱dvが入力される。そして、等価仮想外乱生成部60は、入力された仮想外乱dvに基づいて等価仮想外乱dv1を生成する。ここで、等価仮想外乱dv1は、制御モデル16に仮想外乱dvを入力させた状態と等価な状態を得るために、制御モデル用コントローラ18から出力された制御信号uに加算する信号である。

【0128】
制御信号出力部24は、制御モデル用コントローラ18から出力された制御信号uに等価仮想外乱dv1を加算した制御信号uを制御モデル16及び制御対象20に出力する。

【0129】
このように、本実施形態では、シミュレーションによるフィードバック制御によって制御モデル用コントローラ18により生成された制御信号uに等価仮想外乱dv1を加算した制御信号uが制御対象20に出力される。すなわち、制御対象20は、制御信号uに基づいてフィードフォワード制御されることとなる。

【0130】
制御対象20が例えば自動運転が可能な自動車である場合、制御信号uは、例えば自動車の向きを操作するハンドルのハンドル操作量とすることができる。この場合、従来のように障害物を回避するための軌道を計算してから、計算された軌道に制御対象を追従させるためのハンドル操作量を決定する等の複雑な計算をする必要がなく、シミュレーションによるフィードバック制御により自動車が障害物に衝突するのを回避することが可能なハンドル操作量を少ない計算量でダイレクトに求めることができる。

【0131】
(第8実施形態)

【0132】
次に、本発明の第8実施形態について説明する。なお、第3実施形態及び第7実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【0133】
図20には、本実施形態に係る制御装置10Bのブロック図を示した。図20の制御装置10Bは、図4に示す制御装置10のフィードバック制御シミュレーション装置12Bに代えて図19のフィードバック制御シミュレーション装置12Cが設けられた構成である。また、制御モデル16から出力された出力信号yは、制御信号出力部22から制御対象用コントローラ14に出力される。

【0134】
制御対象用コントローラ14は、制御モデル16から出力された出力信号yと、制御対象20から出力された第3の出力信号としての出力信号yと、に基づいて、制御信号uを生成して出力する。

【0135】
制御対象20には、制御対象用コントローラ14から出力された制御信号uと、制御モデル用コントローラ18から出力された制御信号uに等価仮想外乱dv1を加算した制御信号uと、が加算された制御信号が入力される。

【0136】
このように、本実施形態では、シミュレーションによるフィードバック制御によって制御モデル用コントローラ18により生成された制御信号uに等価仮想外乱dv1が加算された制御信号uが、制御対象用コントローラ14から出力された制御信号uに加算されて制御対象20に出力される。これにより、制御対象20の出力信号yを出力信号yに精度良く追従させることができる。

【0137】
(第9実施形態)

【0138】
次に、本発明の第9実施形態について説明する。なお、第8実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【0139】
図21には、本実施形態に係る制御装置10Cのブロック図を示した。図21に示すように、制御装置10Cは、等価仮想外乱生成部60及び制御対象コントローラ14を備えた構成である。

【0140】
このように、本実施形態では、制御対象用コントローラ14から出力された制御信号uに等価仮想外乱生成部60から出力された等価仮想外乱dv1が加算された制御信号が制御対象20に出力される。これにより、制御対象20を精度良く制御することができる。

【0141】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0142】
10 制御装置
12、12A、12B、30、70 フィードバック制御シミュレーション装置
14 制御対象用コントローラ
16 制御モデル
18 制御モデル用コントローラ
20 制御対象
22 制御信号出力部
24 出力信号出力部
70 フィードバック制御シミュレーション装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20