Top > Search of Japanese Patents > (In Japanese)半導体接合部材の製造方法 > Specification

Specification :(In Japanese)半導体接合部材の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4538579
Date of registration Jul 2, 2010
Date of issue Sep 8, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)半導体接合部材の製造方法
IPC (International Patent Classification) C04B  37/00        (2006.01)
B23K  20/00        (2006.01)
H01L  21/52        (2006.01)
FI (File Index) C04B 37/00 B
B23K 20/00 310N
H01L 21/52 C
Number of claims or invention 4
Total pages 11
Application Number P2005-517370
Date of filing Feb 6, 2004
International application number PCT/JP2004/001303
International publication number WO2005/073149
Date of international publication Aug 11, 2005
Application number of the priority 2004021653
Priority date Jan 29, 2004
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jul 11, 2006
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】800000013
【氏名又は名称】有限会社山口ティー・エル・オー
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】三木 俊克
【氏名】村田 卓也
Representative (In Japanese)【識別番号】100080539、【弁理士】、【氏名又は名称】高木 義輝
Examiner (In Japanese)【審査官】小川 武
Document or reference (In Japanese)特開昭62-078171(JP,A)
特開昭62-056380(JP,A)
特開平06-299272(JP,A)
特開平05-069122(JP,A)
特開平06-263552(JP,A)
HIRATA H, KAI A, MIKI T ,:Joining between AlN Ceramics and between Al2O3 Using TiH2 and Ti Foil at Low Temperatures by Spark Plasma Sintering ,日本セラミックス協会秋季シンポジウム講演予稿集,2003年 9月29日,Vol.16th, Page.48
Field of search C04B 37/00-37/04
B23K 20/00
H01L 21/52
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
少なくとも一方の部材が半導体であり、該半導体部材と金属類又は半導体部材とが接合された半導体接合部材の製造方法であって、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材が、陰極電解水素吸蔵法により、少なくとも表層部に水素を吸蔵させた水素吸蔵性部材であるそれぞれの部材を、その水素吸蔵性部材面が界面を構成するよう圧接し、圧接しながら該水素吸蔵部材から、水素が放出される温度以上、700℃以下で且つ界面に液相を生ずる温度より低い温度で加熱することを特徴とする半導体接合部材の製造方法。
【請求項2】
前記水素を吸蔵した水素吸蔵性部材は、両面表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵部材の薄片であり、その両面にそれぞれ金属類又は半導体部材を圧接し、圧接しながら加熱することによって三層構造とすることを特徴とする請求項1記載の半導体接合部材の製造方法。
【請求項3】
半導体部材と金属類とが接合された半導体接合部材の製造方法であって、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材が、陰極電解水素吸蔵法により、少なくとも表層部に水素を吸蔵させた水素吸蔵性部材であるそれぞれの部材を、その水素吸蔵性部材面が界面を構成するよう圧接し、圧接しながら該水素吸蔵部材から、水素が放出される温度以上、700℃以下で且つ界面に液相を生ずる温度より低い温度で加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体接合部材の製造方法。
【請求項4】
前記金属類が、Cu、Ag、Al、Ti、Ni及び銀蝋の中から選ばれる少なくとも一種の金属類である請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体接合部材の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
本発明は、半導体接合部材の製造方法に関する。より詳しくは、半導体と金属、または半導体の複数の部材を接合して半導体接合部材を製造する方法、例えば、基板上への電子部品の実装等、異なる部材間を接合した複合体である半導体接合部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体材料の接合は、接合しようとする2つの部材を直接接合する場合には、溶接やロウ付け、半田付け等の液相接合、乃至は拡散接合やアンカー接合、超音波接合等の固相接合によって行われている。又、2つの部材の間に中間材を設ける間接的な接合方法としては、上記の直接接合を利用する方法の他、有機の接着剤や無機接着剤による方法がある。
【0003】
かかる従来技術に共通しては、当然のことではあるが、それぞれ好適に接合し得る部材の組合せに制限があり、多種多様な多くの部材間に対して容易に適用し得るものではないという問題がある。例えば、両部材間で分子又は原子或いは結晶構造が入り乱れて、両部材の固溶体が形成され界面が不明確となる拡散接合は、接合強度が大きく、界面での剥離が生じ難い接合方法ではあるが、接合される両部材を構成する物質間の拡散性の難易が問題となり、拡散し難い部材間の接合は困難となる。又、両者が同種の部材であっても必ずしも相互に拡散し易いとはいえず、場合によっては、両者の焼結温度程度までの加熱が必要となる等、多くの部材間に対して容易に適用し得る技術ではない。
【0004】
例えば又、部材表面を粗化し、両部材を強圧接してその粗面に他方の部材を押し込むアンカー効果で接合するアンカー接合にあっては、少なくとも一方の接合部材はその接合面の粗化を容易に行うことができ、他方の接合部材は比較的展性を有するという特定の関係を必須とする等の問題があり、多くの部材間に対して容易に適用し得るものではなく、更に加工条件の僅かな相違により、剥離し易くなり、製品安定性に欠けるという問題もある。例えば又、接着剤を用いる粘着接合にあっては、好適な接着剤の有無が問題であり、特に金属部材や高結晶性部材に対して有効な接着剤は、殆ど存在しないのが現状である。
【0005】
ロウ付け法や半田付け法は、接合部材を製造するに際し、接合部の高精度な加工処理が不要であり比較的高い接合強度が得られることから、広く採用されてきた接合方法であるが、接合材を必要とするなどの問題がある。即ち、セラミックスは、電気絶縁性や高温での強度、耐摩耗性等に優れた特性を有する材料であり、このようなセラミック部材と加工性に優れた金属部材を組合せて複合化することにより、セラミックスの優れた特性を活かした電子部品や構造部品の構成部材として好適な複合体が製造されており、その複合化に際し、特にはロウ付け法と半田付け法が広く採用されてきており、かかる従来技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2が挙げられる。
【0006】
特許文献1には、窒化アルミニウム部材と金属部材とを接合するためのロウ材として、窒化アルミニウムとの反応性を有する活性金属、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、又はその水素化物の粉末を所定の割合で含んでなる金属粉末ロウ材が開示され、窒化アルミニウム部材と金属部材との接合方法として、そのロウ材を少なくとも一方の部材の接合面に、例えば、スクリーン印刷、ロールコート、吹き付け、転写等の方法により塗布した後、これらを貼り合わせ、次いで加熱して接合する方法が開示されている。特には、水素化チタンを用いることにより、接合工程前に酸化されて活性を失うことがなくなり、接合工程の加熱処理で活性な金属チタンとなるため、好適な接合状態が得られることが示されている。
【0007】
特許文献2には、白金とマンガンとからなりマンガンの含有量が所定範囲内である活性金属ロウ材を用い、セラミックス側の接合面にスプレー塗布やペースト塗布して焼成する方法などにより水素化チタンを被覆した後、セラミック部材と金属部材とを接合する方法が開示され、接合時に水素化チタンが分解して生じる水素がロウ材中のマンガンを還元しセラミックスに対する活性を向上させ、又、分解後のチタンはセラミックスに対する活性金属として作用することが示されている。
【0008】
然しながら、これらのセラミックス部材と金属部材を接合する従来技術は、ロウ材などの接合材を必要とする液相接合法であって、接合材の塗布やその残渣除去の工程を要するなど煩雑な接合方法であり、又、その接合材の溶融温度との関係において好適に接合し得る部材間の組合せが制限され、更には、製造した製品の使用温度は、当然ながら、その接合温度より大幅に低く制限される。とりわけ、半導体部材等を接合するに際しては、接合時に液相になった接合材の金属が半導体部材等の内部に拡散し易く、半導体部材等の性能劣化をもたらすなどの問題もあった。
【0009】
なお、特許文献1と特許文献2は、両部材の接合に係り、活性金属の水素化物を用い、接合時にそれが分解して生じる水素は還元剤として作用させ、分解後の活性金属はセラミックスに対する活性金属として作用せしめることにより、好適な結合を得ようとするものではあるが、両部材の接合は、上述のように、ロウ材により行うものであって、又、ロウ材を溶融して液相接合する技術である。
【0010】
この活性金属の水素化物の他、両部材の接合に係り、水素吸蔵性材料を用いた従来技術が開示されているので、以下、この従来技術について説明する。先ず、特許文献3には、銅、錫、鉛、ニッケル等の酸化皮膜を形成しやすい金属の半田付けに際して、この水素吸蔵性を有する金属部材に水素を吸蔵させておき、半田付け時の熱により水素を放出させ、その還元作用を利用して酸化皮膜を破壊し半田付けを確実に行う方法が開示されている。又、その実施例中、この方法における金属部材への水素吸蔵方法として、金属部材を陰極とした陰極電解水素吸蔵法(以下、「陰極電解法」と略称することがある)による水素吸蔵が例示されている。この従来技術は、接合時に、水素を吸蔵させた水素吸蔵性部材を加熱することによって吸蔵水素を放出させるものであるが、その放出水素を金属部材表面の酸化皮膜の除去に利用しようとするものであって、両部材の接合は、上述のように、半田材を用いた半田付けで行う技術であり、又、半田材を溶融して液相接合する技術である。即ち、この従来技術は、特許文献1や特許文献2と同様の問題を有する。
【0011】
特許文献4には、異種のアルミニウム合金部材をレーザースポット溶接で強固に一体接合することを目的に、水素吸蔵性金属、例えば、Ni、Mo、Fe、Cr、Nb、Ti、Zr、V等を主要成分とする合金の粉末を接合面にショットブラスト加工して、接合部材の内部に水素吸収層を生成し、溶接の加熱時、雰囲気中の水分がマグネシウムやアルミニウムと反応することにより生成する水素をその水素吸収層に吸収させることにより、溶融アルミニウム合金の凝固速度の感受性を制御する技術が開示されている。この従来技術は、水素吸蔵性金属を、溶接時に発生する水素を吸蔵させるために利用しようとするものであって、両部材の接合は、上述のように、レーザースポット溶接を用いて行う技術であり、又、両部材を溶融して液相接合する技術である。溶接を用いるこの従来技術は、その両部材の溶融温度との関係において好適に接合し得る部材間の組合せが制限され、又、両部材を溶融して接合させるため、半導体部材等の接合には適さず、基板上への電子部品の実装や配線、電極とリード線の接合等、微細な電子部品や構造部品の構成部材の製造にも適さない。
【0012】
なお、水素吸蔵性金属を、接合の分離を容易にし、再利用の可能性を拡大させ、複合体の廃棄・処理の負担を軽減させるために利用しようとする技術が開示されている。例えば、特許文献5には、接合しようとする部材と部材との間に、水素により脆化する材料、例えば、水素との反応により膨張し粉化又は剥離を生じる材料、特には水素吸蔵性合金からなる中間材を、例えば、薄板状又は薄膜状に配し、この中間材を介して部材同士を、例えば、半田付け、アンカー接合、超音波接合、接着、表面活性化による常温接合法などにより接合する分離可能な接合構造物が開示され、分離に際しては、この水素吸蔵性合金からなる中間材に水素を吸収させる分離方法が開示されている。
【0013】
同様に又、特許文献6には、半田材料中に水素吸蔵性金属、特には、実質的に水素を吸蔵していない状態にある水素吸蔵性金属の粉末を混合分散した接合材料が開示され、その接合材料を用いた半田付けにより電子部品の基板への実装接合等を行い、分離に際しては、この水素吸蔵性金属粉末に水素を吸蔵(又は放出)させ、これによって生じる膨張(又は収縮)により分離する方法が示されている。
【0014】
この特許文献5と特許文献6に開示された従来技術は、上述のように、水素吸蔵性金属を、接合の分離を容易にし、再利用の可能性を拡大させ、複合体の廃棄・処理の負担を軽減させるために利用しようとする技術であって、部材間の接合に際しては、半田付けなど別の接合技術を必要とするものである。即ち、接合を好適に行うことができる新たな方法を提供するものではない。
【特許文献1】
特開2000-281460号公報
【特許文献2】
特開2003-342083号公報
【特許文献3】
特開平05-069122号公報
【特許文献4】
特開2001-198686号公報
【特許文献5】
特開平10-261866号公報
【特許文献6】
特開2001-334383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、複数の部材を接合してなる接合部材に係る上述した状況に鑑みなされたもので、多種多様な多くの部材間の組合せの接合、特には、従来技術で接合が容易でなかった半導体と金属部材の接合、金属部材を中に挟んで両側面に半導体部材を配した所謂サンドイッチ構造の3層接合、に対して容易に適用し得る、特には、接合しようとする部材の他に接合の目的のみで用いるいわゆる接着剤を要さず容易に適用し得る、半導体接合部材の製造方法及びその接合部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための手段として、次のような構成の半導体接合部材の製造方法を提供する。
即ち、請求項1の発明は、少なくとも一方の部材が半導体であり、該半導体部材と金属類又は半導体部材とが接合された半導体接合部材の製造方法であって、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材が、陰極電解水素吸蔵法により、少なくとも表層部に水素を吸蔵させた水素吸蔵性部材であるそれぞれの部材を、その水素吸蔵性部材面が界面を構成するよう圧接し、圧接しながら該水素吸蔵部材から、水素が放出される温度以上、700℃以下で且つ界面に液相を生ずる温度より低い温度で加熱することを特徴とする半導体接合部材の製造方法である。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の製造方法において、前記水素を吸蔵した水素吸蔵性部材は、両面表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵部材の薄片であり、その両面にそれぞれ金属類又は半導体部材を圧接し、圧接しながら加熱することによって三層構造とすることを特徴とする半導体接合部材の製造方法である。
【0018】
請求項3の発明は、半導体部材と金属類とが接合された半導体接合部材の製造方法であって、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材が、陰極電解水素吸蔵法により、少なくとも表層部に水素を吸蔵させた水素吸蔵性部材であるそれぞれの部材を、その水素吸蔵性部材面が界面を構成するよう圧接し、圧接しながら該水素吸蔵部材から、水素が放出される温度以上、700℃以下で且つ界面に液相を生ずる温度より低い温度で加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体接合部材の製造方法である。
【0019】
請求項4の発明は、前記金属類が、Cu、Ag、Al、Ti、Ni及び銀蝋の中から選ばれる少なくとも一種の金属類である請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体接合部材の製造方法である。
【0021】
本発明は、以下、詳細に説明するように、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材の少なくとも表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵性部材を用い、この水素吸蔵性部材を両部材接合の接合材として機能せしめることにより、従来技術で接合が容易でなかった部材同士の接合、すなわち半導体部材と金属部材の接合、金属部材を中に挟んで両側面に、半導体部材及び金属部材を配した所謂サンドイッチ構造の3層接合、に対して容易に適用し得る、半導体接合部材の製造方法を提供することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、本発明でいう水素を吸蔵させる表層部とは、部材の接合面の表面、及び/又は、その接合面近傍の部材内部(以下、「近傍層」ということがある)を意味する。又、本発明でいう水素を吸蔵させる水素吸蔵性部材とは、水素吸蔵性を有する金属や合金などからなる均質な部材に限らず、例えば、水素吸蔵性を有さない部材に水素吸蔵性を有する金属をドープし、その接合面近傍の部材内部に水素吸蔵層を生成して、これを水素吸蔵させる水素吸蔵性部材とした形態など、種々の形態を含み意味する。
【0023】
本発明の半導体接合部材の製造方法は、上述のように、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材の少なくとも表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵性部材であるそれぞれの部材を、その水素吸蔵面が両部材の界面を構成するように圧接し、圧接しながら、該水素吸蔵性部材から水素が放出される温度以上、700℃以下でかつ界面に液相が生じない温度で加熱することによってその吸蔵水素を放出せしめる方法であって、この水素吸蔵性部材を両部材接合の接合材として機能せしめることに最大の特徴がある。従って、本発明は又、特には接合しようとする部材の他に、特殊な接合材やフラックス等、即ち、接合の目的のみで用いる接着剤等を用いることもなく実施できるという特徴を有する。
【0024】
本発明の作用機構は定かではないが、圧接しながら加熱することによって、水素をその水素吸蔵性部材から放出せしめ、水素吸蔵性部材に活性元素の発生を促すか、又は少なくともその接合面の表面又はその近傍層を活性化すると共に、接合相手部材の接合面に対して、発生期の活性な水素として作用せしめ、その接合面の表面及び近傍層を還元活性化することにより、結晶構造を乱し、或いは原子の移動を容易にして、両部材界面における原子やイオンの拡散を惹起せしめるか、或いは両者間に化学結合を結成させるか、少なくとも水素結合等の原子間インタラクションを形成させることにより、種々の部材の組合せにおいてそれを接合することができるものと考えられる
【0025】
かかる実施の形態でも明らかなように、本発明でいう水素吸蔵は、それを液相が生じる温度より低い温度で加熱し吸蔵水素を放出せしめ得るものである限り、反応、吸着、吸収など、如何なるメカニズムで生じるものであっても良い。例えば、化学量論的にある種の化合物として表示できる水素化物として水素吸蔵する形態、或いは、所謂「水素吸蔵合金」のように、水素化合物として定義できず、もとになる材料の結晶格子が膨張して水素吸蔵する形態など、種々の形態で実施することができる。
【0026】
例えば、水素化金属として水素吸蔵する形態で実施した場合、水素化金属は、ある温度以上で急激に脱水素化を始め、今まで水素化していた金属はフリーエナジーの高い状態、即ち、活性の高い状態で取り残され、接合界面に脱水素化した金属を主成分とする反応層が形成されて、容易に近傍にある元素と化合して安定な合金相を生成し、これによって強固な接合がもたらされる。この脱水素化を始める温度は、合金自体の融点より遥かに低い温度であって、この特徴を利用して、液相接合と比較し取扱いが容易で製造プロセスが簡素な、固相接合を行うことができる。
【0027】
以上のような実施の形態により、本発明の半導体接合部材の製造方法は、その少なくとも一方の部材は半導体であり、他方は金属類又は半導体部材であって、接合しようとする両部材の少なくとも一方を水素吸蔵した水素吸蔵性部材として、その水素吸蔵面が両部材の界面を構成するように圧接しながら加熱するという、極めて簡素な製造プロセスによって、更には固相接合法により、特には接合しようとする部材の他に、特殊な接合材やフラックス等、即ち、接合の目的のみで用いる接着剤等を用いることもなく、容易に適用することができる。
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について更に詳細に説明する。
【0029】
先ず、接合しようとする部材間の組合せについて説明する。即ち、少なくとも一方の部材が半導体であって、他方の部材は金属類で又は半導体であり、両部材のうち、少なくとも一方の部材の少なくとも表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵性部材である組合せであって、少なくとも一方の部材が、少なくとも表層部、特には接合面の表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵性部材からなる部材であれば、他方は、水素を吸蔵した水素吸蔵性部材であっても、水素吸蔵性部材でなくても良い。即ち、水素を吸蔵した水素吸蔵性部材同士の接合、水素を吸蔵した水素吸蔵性部材と水素吸蔵性を有するが水素を吸蔵していない部材との接合、水素を吸蔵した水素吸蔵性部材と水素吸蔵性を有さない部材との接合、いずれの形態としても実施することができる。
【0030】
又、単に2つの部材を接合し得るだけでなく、3部材以上を多層に積層し一体に接合する形態として実施することもできる。即ち、部材の形状は、何ら本発明を限定するものではなく、例えば、板状、或いは薄片状も可能であって、両面表層部が水素を吸蔵した板状或いは薄片状の水素吸蔵性部材を用い、その両面にそれぞれ別部材を圧接し、これを一体に接合する形態として実施することもできる。例えば、従来は接合が容易でなかった、金属部材を中に挟んで両側面に金属部材又は半導体部材を配した所謂サンドイッチ構造の3層接合部材の一体接合が可能となる。更には、この水素吸蔵性部材と別部材とを交互に積層するなどして、4層以上の多層接合部材を製造することもできる。
【0031】
次に、本発明で接合できる部材、即ち、本発明の接合部材を構成し得る部材について説明する。本発明で接合できる部材は、極めて多種類の材質にわたり、例えばCu、Al、Sn、Zn、Ag、Au、Ni、Ti、Zr、Fe、Cr、Nb、Mo、SUS、青銅、黄銅、銀蝋、金蝋等の金属類及びBaTiO3、Bi2Te3、CoSb、CoSbYb等、及びこれらに各種金属をドープした半導体などが挙げられる。
お、水素吸蔵性部材としては、水素吸蔵性を有する金属や合金、例えば、La-Mg、La-Pb、La-Sm、La-Ni等のランタナイド系合金、Ce-Ni等のセリウム系合金、Fe-Ni等の鉄系合金を用いるのが好ましい。
【0032】
部材の形状は、特に限定されず、接合しようとする部材が互いに圧接し得る形状であればよく、従って、平板部材同士の接合物、例えば、半導体積層物等の製品の製造に適するが、更に、基板上への電子部品の実装や配線、電極とリード線の接合、その他多くの半導体接合部材の製造に応用することが可能である。
【0033】
次に、水素吸蔵性を有する部材に水素吸蔵させて形成する水素吸蔵層の形態について説明する。即ち、本発明にあっては、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材が、少なくとも表層部、特には接合面の表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵性部材からなることを必須の要件とする。従って、水素を吸蔵している部材は、接合面の表層部にのみ水素を吸蔵した形態であっても、全面にわたり表層部に水素を吸蔵した形態でも、或いは、部材内部の深部にまで水素を吸蔵した形態であってもよい。
【0034】
但し、一般には、水素を吸蔵した金属は脆化し易く場合によっては粉化する傾向があるため、水素吸蔵性金属部材にあっては、例えば、表層部に多くの水素を吸蔵し、深部に向けて少なく、金属としての強度を保持し易くした板や箔の部材を用いるのが好ましい形態となる。即ち、水素吸蔵性金属部材にあっては、必要最小限の範囲に限って水素を吸蔵させる形態として実施するのが好ましい。
【0035】
なお、水素吸蔵層の厚みは、接合しようとする部材の組合せ等によって適宜決定すべきものであって、本発明を何ら限定するものではないが、通常、少なくとも数百オングストローム、一般には、数十ミクロン、或いはそれ以上の厚さが好適である。
【0036】
次に水素吸蔵性を有する部材に水素を吸蔵させる形態について説明する。なお、この水素を吸蔵させる方法は、本発明の課題が達成される限りにおいて、発明を限定するものではなく、例えば、陰極電解法、0.01~50MPaの水素圧下に室温乃至100℃処理する高圧水素化法、或いは、水素プラズマ照射法など従来技術使用可能なものであるが、部材が導体である場合には、通常、陰極電解法が好適に採用される。
【0037】
部材が導体である場合、この水素吸蔵は、特には、その水素吸蔵性導体部材を陰極として用いる陰極電解法により、水の電解を行わせることによって、容易に行うことができる。即ち、陰極電解水素吸蔵法は、周知の如く、水素吸蔵すべき部材を陰極として用い、電解質水溶液中で、水の電解電圧以上、適宜選択される電圧を印加して水を電解する方法であって、電解時に、発生期の水素は極めて短時間で陰極表面に吸着し、その後徐々に拡散して陰極内部に広がっていくので、電解時間により、陰極への水素の吸蔵深度及び吸蔵量をコントロールすることができ、本発明に好適に使用し得る方法である。
【0038】
この陰極電解水素吸蔵法は、金属類に限らず、ZnOやBaTiO3などの半導体に金属をドープしたもの、その他の半導体部材等であれば、同様に処理することができる。
【0039】
具体的には、発明を限定するものではないが、電圧印加は、水の電解電圧以上、例えば、水素の平衡電位と過電圧を考慮して、一般に数十ボルト程度で、電解質溶液のpHに応じて適宜選択される電圧を印加する。このとき電流密度は余り大きくすると、水素ガスの発生が促進され、エネルギー的に無駄になるばかりでなく、陰極への水素の吸収が抑制されるので、一般には、平方センチメートル当り、数ミリアンペア乃至1アンペア程度、特には、数十ミリアンペア乃至数百ミリアンペア程度とするのが好ましい。
【0040】
電解処理する時間は、通常、水素吸蔵性導体部材が、Cu、Fe、Ni、Ag、Ti、Al、Nb、Mo等の金属、及びこれらを主成分とする合金、La-Mg、La-Pb、La-Sm、La-Ni等のランタナイド系合金、Ce-Ni等のセリウム系合金、Fe-Ni等の鉄系合金、金蝋、銀蝋等、水素を吸収しやすい金属類の場合には、一般に数分乃至数時間で目的を達することができる。特に、水素拡散性の高い肉厚の薄い部材を用いる場合には、必要最小限の範囲に限って水素を吸蔵させるために、短時間処理すべきである。又、ZnO、BaTiO3などの半導体に遷移金属をドープした半導体等については、例えば0.5~5時間の如く、比較的長時間処理するのが好結果をもたらす。なお、これらの陰極電解水素吸蔵処理にあっては、一般に電気量として10-4~10-2ファラデー/cm2程度の処理で十分目的を達することができる。
【0041】
次に、圧接しながら加熱するプロセス条件について説明する。本発明における部材の接合にあっては、接合しようとするそれぞれの部材を、その水素吸蔵面が両部材の界面を構成するように圧接し、圧接しながら、水素吸蔵性部材から水素が放出される温度以上であり、700℃以下でかつ該界面に液相を生じない温度に加熱する。この場合の圧接圧力は、接合しようとする両部材が密着し得る圧力であればよく、通常、0.01~100MPa程度で十分である。
【0042】
なお、一般に両部材の界面の均一な密着性を得るために、比較的展性の大きい、例えば、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛、金、銀、銀蝋、金蝋等は比較的弱い圧力、例えば0.01~1MPa程度でよいが、錫、鉄、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレス鋼等にあっては、比較的高圧、例えば1~10MPa程度で圧接することによって、界面に生ずる歪みや凹凸を矯正し、均一な密接を得ることができる。
【0043】
水素吸蔵性部材から水素を放出させるための加熱温度は、使用する部材について示差熱吸収測定その他の手法で予め確認することができ、これを確認し実施するのが好ましいが、一般には、100~700℃程度で十分である。なお、加熱は窒素等の不活性ガス雰囲気、又は減圧下、若しくは真空下で行うのが好ましい形態である。
【0044】
次に、本発明の接合部材の実施の形態について説明する。即ち、本発明の接合部材は、上述した製造方法によって製造した複合体であって、上述の如く金属類と半導体部材を接合した2層接合部材、金属部材を中に挟んで両側面に半導体部材を配した所謂サンドイッチ構造の3層接合部材、更には、金属部材とセラミックス部材等を交互に積層して接合した多層接合部材など、多種多様な組合せの接合に対し、容易に適用し実施することができる。
【0045】
又、本発明の接合部材は、上述の如く、その接合部に、実質的にその複数の部材を構成する元素を除き、ロウ材やフラックスなど、当該接合の目的のみで用いたフラックス、接着剤等の介在物を有さない形態として実施することができる。即ち、本発明の接合部材は、実質的に、接合されたそれぞれの部材の元素のみを有し、且つ、少なくともその接合面近傍に水素吸蔵性を有する物質からなる水素吸蔵層を有する形態として実施することができる。
【0046】
なお、かかる本発明の接合部材は又、上述した特許文献5、特許文献6などと同様にして、この水素吸蔵性を有する物質からなる水素吸蔵層を利用して、分離に際しては、例えば、この水素吸蔵層に対する水素の吸収と脱離を繰り返させることにより、接合の分離を容易にし、再利用の可能性を拡大させ、本発明の接合部材の廃棄・処理の負担を軽減させることができる。
【0047】
本発明の接合部材は又、その製造方法からも明らかなように、接合して製造する際の接合温度よりはるかに高い使用温度まで、即ち、概ね接合させた部材の耐熱温度まで使用可能であるという特徴を有する。
【0048】
以上のような実施の形態により、本発明は、接合しようとする両部材の少なくとも一方の部材の少なくとも表層部が水素を吸蔵した水素吸蔵性部材を用い、この水素吸蔵性部材を両部材接合の接合材として機能せしめることにより、特には、従来技術で接合が容易でなかった半導体部材同士の接合、半導体部材と金属部材の接合、金属部材を中に挟んで両側面に半導体部材を配した所謂サンドイッチ構造の3層接合、に対して容易に適用し得る、特には、接合しようとする部材の他に接合の目的のみで用いる介在物を要さず容易に適用し得る、接合部材の製造方法及びその接合部材を提供することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。先ず、表1に示す諸条件により、接合を行った実施例について説明する。接合部材の構成は、表1に示すように、半導体部材A、水素吸蔵部材、部材Bとからなり、「部材B」欄中「-」は、部材Bを用いていないケースを意味し、この場合、半導体部材Aと水素吸蔵部材との2層接合を行ったことを意味する。その他は、水素吸蔵部材を中に挟んで、その両側面に部材Aと部材Bとを配したサンドイッチ構造の3層接合を行ったものである。
【0050】
【表1】
JP0004538579B2_000002t.gif
【0051】
水素吸蔵部材は、10mm×10mmの薄片であって、その厚みは表1に示す通りである。この水素吸蔵部材に対し、又は、Run No.11では部材Aと部材Bに対し、一部のケース(表1中、「水素吸蔵条件」欄中「-」のケース)を除き、水素吸蔵部材を陰極とし白金を陽極として、1規定の硫酸水溶液中、表1に示す電解条件(表1中の「水素吸蔵条件」)で水素吸蔵化処理を行った。
【0052】
ち、表1中、Run No.1からRun No.16までは、水素を吸蔵させたケースであって、本発明の実施例であり、Run No.17からRun No.18までは、水素を吸蔵させないケースであって、比較例である。なお、表1の「部材A」欄、「部材B」欄中の「(H)」は、水素を吸蔵させた部材であることを意味する。
【0053】
接合は、かかる接合部材構成において、ホットプレスを用い、部材A/水素吸蔵部材/部材Bの如く積層し、0.01から100MPaとなるように圧接しながら表1に示す温度で加熱し水素を放出させて、その所定温度に到達後、即座に急冷する加熱処理によって行った。即ち、本実施例は、加熱した温度に保持する工程を設けず実施したものであって、本発明は、かかる簡便な方法によっても接合することができる。なお、これらの接合処理は、常圧の窒素雰囲気下、但し、Run No.6らRun No.9は減圧下、で行ったものである。
【0054】
以上のようにして製造した接合部材に対し、接合性の判定として、その接合体の一方の全面(概ね1cm2)に、一方向側から引き剥がし可能なようにして、粘着テープ(商品名:セロテープ)を貼り付け、その粘着テープを急激に引き剥がしたとき、部材接合界面で少なくとも一部剥離したものは正常な接合がなされていないものとして「×」、部材接合界面で全く剥離せずに粘着テープが引き剥がされたものは正常な接合がなされたものとして「○」、とする測定を行った。その結果を、表1に合わせて示している。
【0055】
その結果は、表1に示したように、本発明の実施例、その全てが正常な接合がなされていたのに対し、比較例である、Run No.17からRun No.18までは、その全てで正常な接合がなされていない。
【0056】
上の実施例は、本発明が、従来技術で接合が容易でなかった部材同士の接合、すなわち半導体部材と金属部材の接合、金属部材を中に挟んで両側面に金属部材又はセラミックス部材或いは半導体部材を配したサンドイッチ構造の3層接合などに対して、容易に適用し得ることを実証したものである。