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Specification :(In Japanese)多数の杭部材からなる杭基礎の分布周面摩擦力の働きを考慮した設計法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4734645
Publication number P2007-255021A
Date of registration May 13, 2011
Date of issue Jul 27, 2011
Date of publication of application Oct 4, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)多数の杭部材からなる杭基礎の分布周面摩擦力の働きを考慮した設計法
IPC (International Patent Classification) E02D  27/14        (2006.01)
E02D  27/12        (2006.01)
FI (File Index) E02D 27/14
E02D 27/12 Z
Number of claims or invention 2
Total pages 19
Application Number P2006-079499
Date of filing Mar 22, 2006
Date of request for substantive examination Nov 27, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】三浦 房紀
【氏名】前原 博
Examiner (In Japanese)【審査官】小山 清二
Document or reference (In Japanese)特開2002-054157(JP,A)
特開2004-107971(JP,A)
特開2002-194750(JP,A)
特開2006-161363(JP,A)
Field of search E02D 27/14
E02D 27/12
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
多数の杭部材からなる杭基礎の設計法であって、弾性バネ支持モデルにおいて、各杭部材に働く分布周面摩擦力τZを多数の部材群が起こす3種類の変形成分(軸方向変形、全体曲げ変形及び部材曲げ変形)に基づく3種類の働き方(τZN、τ、τ)に分け、それぞれの断面力成分の合力毎のつり合い式から設計計算式を求めることを特徴とする多数の杭部材からなる杭基礎の設計法。
【請求項2】
多数の杭部材からなる杭基礎の設計法であって、弾性バネ支持モデルにおいて、各杭部材に働く分布周面摩擦力τZを多数の部材群が起こす3種類の変形成分(軸方向変形、全体曲げ変形及び部材曲げ変形)に基づく3種類の働き方(τZN、τ、τ)に分け、それぞれのうちの(τZN、τ)の2種類の働き方について断面力成分の各合力毎のつり合い式から設計計算式を求めることを特徴とする多数の杭部材からなる杭基礎の設計法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の杭部材に周面摩擦力が働いている場合の杭基礎の設計法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多数の杭からなる基礎の設計法は、その1本の杭に着目して、独立した1本の杭の曲げ変形の変位関数式を基にして部材を個々に扱っている。杭部材の曲げ変形式の基本式は、水平方向の地盤の抵抗を杭に沿って分布する水平地盤反力係数kH(Kh、またはkHE)を用いて水平変位量に比例する地盤反力を受ける独立した1本の部材として導かれている。それを多数の杭部材からなる基礎に適用する設計法は道路橋示方書(非特許文献1)に示されている。その中の代表的な設計法は変位法である。しかし、道路橋示方書(非特許文献1)の設計法は、杭の軸方向変形と周面摩擦力の働きは間接的にしか考慮していない。
【0003】
変位法以外の設計法は、骨組モデルによるフレームの設計法で、一般の杭基礎は3次元の立体的な構造をしているが、骨組モデルは2次元のモデルに簡素化して扱うことが普通行われる。杭部材を対象にした骨組モデルの変形式は独立した1本の部材を個々に扱う変形式が基になっている。その変形式を条件が変化する部位に設けた節点の区間毎に適用して、使用部材や地盤条件の変化を反映させて設計を行っている。
【0004】
道路橋示方書(非特許文献2)の杭基礎(図1参照)の骨組モデルでは、杭部材の軸方向変形を考慮していない。そのために杭部材の軸方向変形の効果を反映させるために、杭の載荷実験結果を別途に整理して、各杭の頭部に(集中)軸方向バネ定数KVまたはKVEとして作用させている。この軸方向バネ定数は杭の種類別に代表的な値を、杭の材質、断面積および長さを考慮した計算式で示している。
【0005】
道路橋示方書(非特許文献2)の杭基礎の骨組モデルでの杭の周面摩擦力が働く効果は、骨組モデルの杭部材そのものでは考慮できないが、杭頭に設定する(集中)軸方向バネ定数KVの値の中に、実験結果が含んでいた効果が暗に含まれていることになる。この軸方向バネ定数の用い方は先の変位法も同じである。したがって、基礎を設置する場所の地層構成を直接反映するものではない。
【0006】
一方、図2に示す鉄道橋の構造物設計標準(非特許文献3)での骨組モデルは、杭の部材曲げ変形だけでなく軸方向変形も考慮するものであり、杭の周面摩擦力の効果を杭周面に働く(分布)設計せん断地盤反力係数kSVにより扱っている。そして、杭下端に(分布)設計鉛直地盤反力係数kVを働かせており、地層構成を直接反映するモデルである。
【0007】
杭部材の周面摩擦力の効果を(分布)せん断地盤反力係数kSVで評価することは、骨組モデルの設計法の特性から節点間の部材の変形式として、分布ばね係数として扱う計算式が既につくられていることで馴染みやすいことと、他の水平や鉛直方向の地盤の効果を表す地盤反力係数と係数の性質を整合させるという考え方から採用されている。
【0008】
杭部材には通常の地盤では周面摩擦力は常に働いているものであるが、その性質と扱い方の研究が十分でなく、現状では普及しているとはいえない。その主要因は、普通の杭基礎の本体構造そのものが、多径間のフレーム構造をしており、高次の不静定構造をなしていることである。加えて、構造本体を地盤に設置することから、普通の杭基礎の安定計算を行う場合には地盤が持っている力学的に複雑な性質を計算に反映させる必要があることである。
【0009】
すなわち、普通の杭基礎の設計法の構成上の課題には構造体が持っている構造本体の複雑さと、地盤の性質が持っている複雑さの反映について、大きく2種類の複雑さの要因がある。この2種類の要因があることから、杭の周面摩擦力の扱い方は道路橋示方書が扱う水準のように、どこでもだれでも扱えるという状態にまで現在至っていない。
【0010】
普通の杭基礎の安定計算では地盤が持っている複雑な性質を、水平地盤反力係数kH等、鉛直地盤反力係数kVおよび周面のせん断地盤反力係数kSVで表す。これら3種類の地盤反力係数の中で、第3番目の係数kSVに関係する周面摩擦力の扱い方に関する研究が最も遅れている。
【0011】
杭の周面摩擦力は載荷実験結果の軸力計測点間の軸力差から、計測点間に一様分布する摩擦力として算出されたものである。計測点は主な地層境界付近に設定され、かなりの区間長がある。算出された周面摩擦力の強度を縦軸にとり計測点中間の代表点の杭の相対変位量をすべり変位量として横軸にして図化すると、(分布)せん断地盤反力係数kSVはグラフの勾配として表される。
【0012】
しかし、こうして得られたせん断地盤反力係数kSVがその地層を代表する値であるとしても、地層にせん断バネが一様に分布する状態の下に得られた計算式の非直線性と、地層上下の鉛直弾性変位量の違いから、計測点間に一様分布する元の摩擦力の仮定状態は再現しにくい。このように、周面摩擦力の扱い方の問題は杭基礎の設計法の発展のボトルネックの一つになっている。
【0013】
部材の軸方向弾性変形を考慮した設計法では、長尺ものの杭部材を扱うと杭頭部の鉛直変位と全体回転変位の値に弾性変形の影響が現れて実状より大きめの値になる。それを防止するためには実態に合わせて周面摩擦力の効果を反映させる必要がある
【0014】
杭の周面摩擦力をせん断地盤反力係数kSVにより考慮する場合は、摩擦力の強度が上限値に達した後は一定の上限値として扱うバイリニヤーの扱い方がなされる。周面摩擦力の効果を弾性域と塑性域の2段階で扱うことは合理的ではあるが、その評価精度と較べた場合摩擦力自体は相当ばらつく性質のものであり扱い方の複雑さを招いている。
【0015】
そして、地盤が杭に作用する効果は、杭が1本の場合に計測された性質を基にしており、杭が多数ある場合の杭群前面や内部の地盤の効果を反映させることは、設計法としては既にできているがその精度は十分とはいえない。例えば、普通の基礎では杭の本数は前列の杭より第2列以降の杭の本数が多いが、前面の地盤の効果の反映のさせ方より杭群内部の地盤の効果の反映精度が通常悪い。この原因は、実大規模で数多くの実験をなかなかしにくいためである。杭基礎本体をフレーム構造でモデル化しても、フレーム構造そのものの計算精度に較べて、地盤の効果を反映させる係数の精度は釣り合ってはいない状況にある。
【0016】
杭基礎本体の構造モデルを骨組モデルのように複雑ではなく、簡単に扱うものとして以下に説明する「等価単杭モデルの式」を本発明者が既に‘群杭系基礎の計算式’として提案した(非特許文献4参照)。その後これらの式の総称を「等価単杭モデルの式」と呼ぶことになりこの計算法は、多数の杭部材を一括して基礎の中心線の変位関数で代表して扱うものであり、各部材の曲げ変形、軸方向変形およびせん断変形が考慮されている。
【0017】
通常1本の杭部材iには部材モーメントMi、部材軸力Niおよび部材せん断力Qiの3成分の断面力(Mi、Ni、Qi)が働いている。その基本的な状態を2つの部材要素を並列して図3((a)、(b),(c))に示す。このような部材要素からなる多数の杭部材の断面には、部材モーメントMiの和Msb、部材軸力Niの和N、部材せん断力Qiの和Qの他に、部材軸力Niがなすモーメントの和があり、これをMafで表す。一般に多数の杭部材の断面全体にはこの4成分の断面力(Msb、Maf、N、Q)が働いている。「等価単杭モデルの式」では類似した変形を起こす多数の部材を「部材集合体」と呼ぶ。部材iと「部材集合体」の断面力の関係を式(1)から式(4)で表す。
【0018】
ここに、xiは集合体の中心から部材iの中心までの距離で、Σは部材n本分の総和を表す。なお、使用する記号の説明は文末にまとめている。
【0019】
【数1】
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【0020】
この4成分の断面力(Msb、Maf、N、Q)のおのおのに対応する、多数の部材が起こす4種類の変形の形式を基本変形パターンとして、その形態を図4((a)、(b),(c)、(d))に示す。これらの基本変形パターンは、部材モーメントの和Msbに対しては「部材曲げ変形」、軸力の和Nに対しては「軸方向変形」、せん断力の和Qに対しては「せん断変形」と従来の名称を踏襲して呼ぶ。そして軸力がなすモーメントの和Mafに対する変形は「全体曲げ変形」と新たな名称で呼ぶ。
【0021】
このような変形を起こす多数の部材を「部材集合体」という。普通の杭基礎や矢板式基礎では杭などの鉛直部材の頭部に剛体的なフーチングや頂版が設けられる。この剛体的なフーチングが発揮する構造的な制約効果により、多数の杭部材が構造的な制約を受けて互いに近似した変形をする状態に着目する。多数の杭部材の断面力を4種類の断面力成分で表すと、等価な1本の部材の断面力として単純化したモデルで扱うことができる。そのモデル化の状態を図5((a)、(b))に示す。
【0022】
「部材集合体」の上端に剛体的なフーチングがあるモデルを「群杭モデル」と呼ぶ。このモデルは普通の杭基礎と同じ形態である。4種類の基本変形パターンを代表する変位関数を選定して、基礎中心線の4種類の断面力と4種類の変位関数を基にして、基礎全体の変位や断面力を等価な1本の部材に単純化して扱う式の総称が「等価単杭モデルの式」である。この式の誘導の要点と代表的な計算式を以下に説明する。
【0023】
図6に全体座標(X,Z)と局部座標(ξ,ζ)を示し、図7に部材要素の断面力とその仮定方向を示す。変形後の構造体の任意点iの変位位置を(ui,wi)とし、その位置を基礎体中心線の基本変形パターンを反映する4種類の変位関数と座標で表す。基礎中心線の点oの4種類の変位関数には鉛直変位wno、水平変位uo、部材回転変位θmoおよび全体回転変位φを選び、部材iの回転角を(φ+θmi)で表す。「群杭モデル」の変形前後の状態と変位関数の表示内容を図8((a)、(b))に示す。
【0024】
任意点iの変位(ui,wi)を4種類の変位関数(uo,wno,φ,θmo)で表したものが式(5)と式(6)である。この2式は剛体的なフーチングが発揮する構造的な制約効果等による、3項目の近似仮定(1.部材中心軸ひずみの直線比例性(断面内でφは一定)、2.部材間距離の不変性(uo≒ui)、3.部材回転角の近似性(θmo≒θmi)を考慮して、基礎全体を簡易化して表現する場合の最も基本になる式である。この2式が「等価単杭モデルの式」の誘導の出発点になる。この式(5)と式(6)から誘導される4種類の断面力と変位関数の関係は式(7)から式(10)で表される。
【0025】
ここに、Eはヤング率、Gはせん断弾性定数、Agは全断面積、Ipは部材断面二次モーメントの和、Igは集合体中心に対して各部材がなす断面二次モーメントの和である。Z軸方向の微分を ’で表す。
【0026】
【数2】
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【0027】
多数の杭材と剛体的な頂版がなす「群杭モデル」に似た構造体の断面では、その形式に拘わらず式(7)から式(10)の関係は成立している。これを「等価単杭モデルの式」の「変位場の共通性」という。そして、「等価単杭モデルの式」の基本方程式は4種類の変位関数による2階の連立微分方程式であり式(11)から式(14)で表される。
【0028】
ここに、qは図7に示す水平分布外力qiの断面内の和である。
【0029】
【数3】
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【0030】
「等価単杭モデルの式」の基本方程式の内式(14)の中にある水平分布外力の和qの項に、水平変位量uoに比例する地盤反力の和として表される式(15)を代入すると式(16)になり、普通の杭基礎を扱う式となる。「弾性バネ支持モデル」の基本方程式は式(11)から式(13)および式(16)の4式である。この基本方程式の一般解は式(17)から式(20)で表され、この一般解には、つり合い条件式(特性式)として式(21)から式(24)と、解法上の係数の関係式(25)から式(28)が付随する。
【0031】
ここに、Khは代表的な水平地盤反力係数、Bは水平地盤反力係数が分布する基準幅、aはKhおよびBの補正係数、係数のA1~D4 は12個の積分定数である。ただし、Ψ<1(式(28)参照)の場合である。
【0032】
【数4】
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【0033】
「弾性ばね支持モデル」の一般解の式(17)から式(20)は「群杭モデル」が弾性バネで支持された場合の一般解であり、地中に設置される各種の類似基礎形式に簡易設計法として適用する場合の基本となる式である。これらの「等価単杭モデルの式」は簡易な表現の式であるが部材の軸方向変形とせん断変形も同時に考慮されている。
【0034】
「等価単杭モデルの式」を各種の類似基礎形式に適用する最初の例は、式(14)に戻り分布水平外力qの項が0の場合である。その場合の解を求めれば、杭基礎本体が地上に突出している部分や多柱式基礎、あるいは柱部材だけの構造物に適用できる。一方、分布外力qの項に加えて鋼管矢板基礎に対しては部材本体の両側面に軸方向線状摩擦力が働くモデルとして、「等価単杭モデルの式」を展開する例が既に本発明者により報告されている(非特許文献5参照)。
【0035】
このように「群杭モデル」に対してそれぞれ基礎の種類や形式の特徴に合わせて、働く外力の種類の組合せが異なる状態として、断面力と作用力のつり合い式を立てるという展開ができる。これを「応力場の展開性」という。
【0036】
「変位場の共通性」と「応力場の展開性」の2つの特性があることは「等価単杭モデルの式」が各種の類似形式の基礎に応用できる根拠になっている。
【0037】
図9は、個々の部材を対象にして組み立てられている従来の計算体系を個別単杭形式の体系として簡略的に表し、「等価単杭モデルの式」で予測される主な展開項目を枠組みとする簡易設計法に体系化する場合を等価単杭形式の体系として、対比的に示したものである。
【0038】
本発明は「群杭モデル」の杭部材に周面摩擦力が働く場合のモデルで、既述の3種類のモデルに継いで第4番目のモデルになる。これを図9には周面摩擦力を考慮として表している。実在する基礎の種類と形式を想定すると以上の4種類のモデルが設計計算上必要な基本的なモデルの種類である。これらの基本的なモデルが整うと、図9に示すように、それ以後は異種の材料や形式のモデルの組合せを始めとして、部材や材料の塑性領域の考慮や動的な設計法などへの展開が既存の手法に似た手順によりできるようになる。
【0039】
本発明は、基礎構造物を簡潔に表現する方法と地盤の複雑な性質を簡単明瞭に表現するという2つの課題を同時に満足するもので、新しい設計法を発展させる場合の基本となるものである。

【非特許文献1】道路橋示方書・同解説 IV下部構造編 第12章 杭基礎の設計,pp.373~375,378~397,平成14年3月.
【非特許文献2】道路橋示方書・同解説 V耐震設計編 第12章 橋脚基礎の応答値と許容値,pp.215,平成14年3月.
【非特許文献3】鉄道構造物等設計標準・同解説 基礎構造物・坑土圧構造物 10 章 杭基礎,pp.219,平成11年10月.
【非特許文献4】前原博,中田恒和:群杭系基礎の新しい計算法,橋梁と基礎, pp.8~12,1996-2.
【非特許文献5】前原博, 中田恒和:矢板式基礎の設計法に関する考察,橋梁と基礎, pp.32~37,1996-3.
【非特許文献6】鋼管杭協会:鋼管杭基礎の設計と施工,道路橋示方書(平成14年3月版)改訂対応,3.4.3 設計法,pp.20, 平成14年4月.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
以上、説明したように、杭部材の周面には鉛直方向に地盤の摩擦力が通常働いている。しかし、その効果を地盤の構成に合わせて基礎構造物の安定や挙動の計算に反映させることは、土木構造物の分野では非特許文献3で行われているが複雑であり、周面摩擦力の特性を簡易な方法で実務的な設計に反映できるようにする必要がある。
【0041】
基礎構造物の実務上の設計法としての基本要件は以下のようになる。
1)構造体の計算が骨組モデルによるフレーム解析のように複雑ではないこと。
2)力学的に複雑な地盤の性質の主要な効果を簡潔に計算に反映できること。
3)構造体と地盤の両者の扱い方の精度に格差が少ないこと。
4)基礎全体と各構成部材の主要な挙動を簡潔に表現できること。
5)類似形式の構造物に対し広く応用ができること。
【課題を解決するための手段】
【0042】
杭の周面摩擦力は軸力の測点間に一様分布する摩擦力として算出されたものである。その値は測点そのものの相対変位量と厳密に対応していない。したがって、周面摩擦力を杭周面の(分布)せん断地盤反力係数kSVではなく分布摩擦力τZとし、この摩擦力τZの強度と分布範囲を一般的な設計外力と同じように設定して基礎を設計するものである。
【0043】
多数の部材が起こす基本変形パターンには、「軸方向変形」、「全体曲げ変形」、「部材曲げ変形」および「せん断変形」の4種類がある。この内、杭の周面摩擦力τZは「せん断変形」以外の3種類の基本変形パターンに対して働き、その変形を少なくするように働く。周面摩擦力が働く3種類の基本変形パターンに対する周面摩擦力τZの働き方を3種類(τZN、τ、τ)に分けてモデル化して図示したものが図10((a)、(b),(c)、(d))である。
【0044】
図10は多数の杭部材を一括して捉えた場合の基本変形パターンに対して、周面摩擦力の働き方を3種類の作用パターンに分けて捉えた形態別の表現である。普通の杭基礎では図10の下半分の状態がフーチングより下面の杭の根入れ部で合成された状態で生じている。
【0045】
従来の独立した1本の杭部材に対する周面摩擦力の働き方の扱い方では、1部材について押し込みか引き抜きかの2方向しか考慮していない。これに対して多数の杭部材を一括して捉えた場合には基本変形パターンに対して、多数の杭部材に周面摩擦力が働く状態を3種類の作用パターンに分けてモデル化し、それらの働きを個別に扱うのではなく同時に考慮して一括して扱う。
【0046】
図10で3種類の周面摩擦力(τZN、τ、τ)の働きのパターンを具体的に説明する。部材の長さの中央を変形方向の境にしている。(a)の「部材曲げ変形」に対しては各部材毎に部材の曲げにより表面に伸縮が生じ、その伸縮と逆方向に周面摩擦力τが偶力的に部材毎の表面に働く。
【0047】
(b)の「全体曲げ変形」に対しては部材の位置により軸力の方向が異なり、それに応じて部材が伸び縮みをする。その伸び縮みと反対方向に周面摩擦力τが基礎の断面全体で偶力的に働く。そして、(c)の「軸方向変形」に対しては基礎全体が圧縮(または引張)する方向とは逆に周面摩擦力τZNが働く。
【0048】
図10に基づき多数の部材要素がなす3種類の基本変形パターンに対する周面摩擦力τZの働き方の違いを、作用している断面力への影響として表すために代表的な部材要素について、各働き毎に具体的なモデルを示す。
【0049】
基礎中心に対してそれぞれ反対側にある部材要素iとjについて、この周面摩擦力の3種類の作用パターンを、各基本変形パターン別に働く状態をモデル化し図示したものが図11から図13((a)、(b),(c))である。
【0050】
図11に示す周面摩擦力τZNは作用力Nに対してすべて同一方向(押し込みか引き抜き方向)に働く。図12に示す周面摩擦力τは作用力Mafに対して部材の位置により働く方向が異なり基礎全体で偶力的に働く。図13の(a)は断面力Msbに対する部材の曲げ変形に伴いその部材の表面に面積の伸縮が生じる状態を表す。(b)と(c)は断面が円形である場合の伸縮を起こす面に働く周面摩擦力τが部材表面で偶力的に働く状態を示す。この摩擦力τは部材の前面と背面で働く方向が異なる。以上の図11から図13は周面摩擦力の3種類の働き方を個別にモデル化して表現した図である。
【0051】
次に多数の部材の3種類の断面力の成分(N、Maf、Msb)に対する周面摩擦力τZの3種類(τZN、τ、τ)の働きを、それぞれの断面力成分のつり合い式に定式化して表現する。その場合のモデルの変位場に図7の断面力の仮定方向を合わせて示したものが図14である。変位は元の位置を破線で示し正の変位後の位置を実線で示す。図7の曲げモーメントの仮定方向は回転の正方向とは逆であることに注意する。
【0052】
図11と図14から全軸力Nに対する周面摩擦力τZNのつり合いを、図12と図14から部材軸力がなすモーメントの和Mafに対する周面摩擦力τのつり合いを、そして図13と図14から部材曲げモーメントの和Msbに対する周面摩擦力τのつり合いを個別にまとめ、せん断力Qのつり合いも分布水平外力qを考慮して、4成分の断面力のつり合いをまとめたものが式(29)から式(32)である。これらの4式は分布摩擦力τZZN、τ、τ)が働く場合の「部材集合体」の断面力のつり合い式である。
【0053】
ここに、Uiは杭部材iの周長、riは半径、xeは集合体中心から外縁部材の中心までの距離で、記号の||は絶対値を表す。
【0054】
【数5】
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【0055】
なお、図14では曲げモーメントの仮定方向と回転の正方向とは一致していない。また周面摩擦力τzφの着目全断面内の分布には、一様な分布(図15)と、基礎中心から部材中心の距離に比例する場合(図16)の二通りが考えられ、つり合い式への二通りの影響量を式(30)には示している。図15は地層の粘着力の影響がある場合、図16は粘着力の影響が少ない場合を想定している。
【0056】
方程式の表現を簡潔にするために、係数FA、FG、FT、FP、FKを式(33)から式(37)のように定義し、周面摩擦力τZZN、τ、τ)の働きを反映した断面力成分のつり合い式の式(29)から式(32)を、構造体中心線の4種類の変位関数(wno,φ,uo,θmo)で表したものが、杭の周面摩擦力を考慮した基本方程式になり式(38)から式(41)の連立微分方程式である。
【0057】
【数6】
JP0004734645B2_000007t.gif

【0058】
【数7】
JP0004734645B2_000008t.gif

【0059】
この連立微分方程式の式(38)から式(41)の一般解を求めると式(42)から式(45)で表される。この式(42)から式(45)は周面摩擦力が働く多数の地中鉛直部材からなる基礎の一般的な計算式である。この内式(44)と式(45)には解法上の係数の関係式として式(46)から式(50)が付随する。ここにA1~B2、E1 ~E4の8個の係数は積分定数である。
【0060】
本発明の標題の周面摩擦力が働く多数の鉛直部材からなる基礎の汎用的な簡易設計法の一般解の式としては式(42)から式(45)と付随する式(46)から式(50)である。
【0061】
【数8】
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【0062】
実用的なより簡易な式としては、設計上の安全側の配慮として従来からとられている部材曲げモーメントに対する配慮の慣例にならい、部材曲げ変形に対して働く周面摩擦力τの働きを無視した式である。その式は式(51)から式(54)で表され、式(53)と式(54)には式(55)から式(62)が付随する。ここに、式(51)から式(54)のA1~B2、C1 ~D4の12個の係数は積分定数である。
【0063】
【数9】
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【0064】
本発明は、多数の杭部材を対象にした「等価単杭モデルの式」を周面摩擦力が働いている場合に拡張して、分布周面摩擦力τZの働き方を3種類(τZN、τ、τ)の働きに分けてモデル化し、それらの3種類の働きを定式化したものである。
分布周面摩擦力τzの働き方の主要な働きとして2種類(τZN、τ)の働きの部分を取り出したものが式(51)から式(54)である。
【0065】
なお、一般解の式(17)から式(20)と、式(42)から式(45)および実用解の式(51)から式(54)に含まれる積分定数は、各式に付随するつり合い条件式(特性式)や解法上の係数の関係式と、構造体の上下で与えられる境界条件式(上下で各4式)から、条件式の数と未知数(積分定数)の数が一致して具体的な値が定められる。
【0066】
一般解の変位関数が具体的に定まると任意点の変位は式(5)と式(6)から、基礎全体の断面力は式(7)から式(10)より、そして部材断面力は式(1)から式(4)を逆に表現した式から具体的に求められる。
【0067】
周面摩擦力の3種類の働き方を考慮した一般解の式(42)から式(45)は、周面摩擦力の影響を厳密に計算する場合に用いられる。
【0068】
また、杭頭部の変位や全体の回転の減少効果を期待しないで、杭の周面摩擦力による軸力減少効果のみを期待する場合は、つり合い式の式(29)と式(30)および係数の関係式(33)と式(34)から、断面力NとMafはそれぞれEAg・FAおよびEIg・FGを係数としたZの1次関数で表され、簡易な活用ができる。
【発明の効果】
【0069】
地盤の評価の仕方の面では普通の地盤に働いている周面摩擦力を、水平と鉛直の両地盤反力の扱い方に加え、同時にしかも単純明快に扱えるようになることから、ボトルネックであった周面摩擦力に関連する問題の検討や研究を促すこととなる。特に、低周面摩擦力は軟弱な地盤でなければどこでも期待され、その効果の有効利用について着目される。
【0070】
また杭の周面摩擦力の課題の一つに、杭本体が持つ弾性体的な効果に対し、支持層の鉛直ばね効果と周面摩擦力の効果を加えて3者が共同で作用する杭頭の鉛直ばね効果の解明に関する課題がある。その特性を明確にする研究はこれまで十分には行われてこなかった。周面摩擦力が所定区間で一様に分布をする状態を簡易に扱える本発明の方法によるとこの研究がしやすくなり、この方面の研究を進展させることに役立つ。
【0071】
周面摩擦力の扱い方の実務上の面では、周面摩擦力の強度と分布を他の設計荷重と同じように扱うことから、本発明の方法ではその分布状況は明確である。一様な分布の周面摩擦力を設定する効果は杭の軸力の直線的な減少として生じ、その効果も明確に把握され活用できる利点がある。
【0072】
合理的な杭基礎の設計法では杭本体の弾性変形を考慮するものであるが、杭の長さが長くなると大きい変形を防ぐ計算上の合理性と杭材の経済的な用い方の両面から周面摩擦力の働きを考慮する必要が生じる。その場合、本発明の方法は従来の方法と異なり、周面摩擦力の強度と分布を地盤の構成に合わせて設定できることと、しかもその効果を簡易な計算法で扱えることから、合理的で経済性の追求に有効な方法である。
【0073】
さらに、杭の極限支持力の計算と基礎の安定計算時との地盤の扱い方を整合させて、基礎の設計計算を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
実施例と比較例
図17から図21は、24本(4列×6本)の場所打ち杭の基礎を例にして、周面摩擦力が働く場合を(a)、摩擦がない場合を(b)として対比して示したものである。なお杭頭部を深さ0mとしている。
【0075】
場所打杭は、径1.5m、長さ37.5mで、フーチングより下の根入れ地盤を5層に区分して計算したものである。
【0076】
地層の状態は、上層の3層は第1・第2層が埋立地盤であり、第3層は沖積層で砂層とシルト質粘土層の互層である。第2層部は埋立地盤ではあるが、地表から8mより深い部分でN値が10~20前後続いている層である。第4層と第5層は洪積層で薄層の砂質層、礫混じり砂層、シルト質砂層およびシルト質粘土層の互層地盤で、第4層はN値が20~30程度の互層で、第5層が支持層部のN値が35~50程度の互層である。
【0077】
この支持層が薄層の互層であるので約11mの杭の根入れがしてある。杭の極限支持力を計算する時の周面摩擦力は第5層のみが考慮されている。
【0078】
第2層は約11m、第4層は約9mの層厚があり、周面摩擦力が働いていると考えられるので中間層に周面摩擦力が働く効果を検討する。杭に働く初期の周面摩擦力の総計は鉛直荷重Voを超えない。第2層と第4層の層厚が大きいので杭の周面積が大きく、周面摩擦力τZの初期設定値τZOは29.4KN/m2(=3.0tf/m2)と小さめの値とした。第2層と第4層の杭の周面にこの値を働かせた場合ほぼ平均軸力(2,736KN/本)に匹敵する量になるので、この比較計算では支持層の第5層には作用させないで検討する。また部材曲げ変形に対する摩擦力τの働きは無視して実用解の式(51)から式(54)により計算をした。
【0079】
周面摩擦力τZは第2層と第4層に働かせ、計算上の実作用値(τZN、τ)はそれぞれτZN=τ=τZO/2に設定した。これはレベル1相当の地震荷重に対し最大杭反力のほぼ半分が平均軸力であることからこのように仮定した。
【0080】
周面摩擦力τzが働く区間では、単位区間当たり(τZ×周長)分の軸力減少がある。この軸力減少に寄与するτZNとτの働きは地盤の圧縮領域では同質と考えられる。それぞれの軸力減少分の和がτZによる軸力減少分になる。その状況を比較計算により検討する。
【0081】
この比較計算では設定摩擦力τZの値が大きくないので、地盤の粘性的な性質を考慮してτの分布は図15の一様分布とした。また、全てを一様分布とすることは実状に合いにくい面があるので、1次試算値で鉛直変位量が1mm未満の範囲については作用摩擦力の大きさを1/10に低減する補正を行った。
【0082】
図17は計算結果の鉛直変位分布を比較したもので、杭の両端の1列と4列および基礎中心について図示している。周面摩擦を働かせる範囲が比較的広いので杭頭の最大鉛直変位量は6.3mmから4.5mm(71%)に減少している。(b)の分布は直線だが、(a)では周面摩擦の影響が現れ分布図の勾配に変化が生じ曲線になっている。(b)で鉛直変位量が1mm未満の範囲で作用摩擦力を1/10に低減する補正をしている。
【0083】
図18は、全軸力Nの結果の比較図で、図19は軸力がなすモーメントMaf(全体曲げモーメント)と全モーメント(Maf+Msb)の分布を示している。全軸力N(図(18))と軸力がなすモーメントMaf(図(19))は摩擦がない場合の(b)は上から下まで一定であるが、(a)では同強度の摩擦が働いている第2層と第4層の部分でそれぞれ同じ勾配で値が直線的に減少している。これは断面力のつり合い式(29)と式(30)の内容を表している。すなわち断面力NとMafの変化はZの1次関数で表される。
【0084】
Mafには水平外力の影響分も偶力的な軸力モーメントとして考慮されており、周面摩擦力は偶力的な軸力によるモーメントMafを減少させている。このことを図19(a)は明確に示している。偶力的な軸力モーメントが周面摩擦力τにより減少しているという現象は、従来のフレーム解析に一定の摩擦力を働かせても単純には表現できにくい現象である。しかし、本発明の方法では簡単に図19(a)で表される。
【0085】
全軸力Nでは約40%が、軸力がなすモーメントMafでは約50%が周面摩擦力により減少している。実質の作用摩擦力(τZN、τ)の値は14.7KN/m2(=1.5tf/m2)と小さいが働く面積がこのように大きいと、その影響が非常に大きいことを示している。
【0086】
なお、図19で全モーメント(Maf+Msb)と軸力がなすモーメントMafとのグラフの差は部材曲げモ-メントMsbである。(b)は(a)の横軸を倍に広げて示している。部材モ-メントMsbの分布形自体はほとんど変わらない。ただ、摩擦を考慮すると杭頭部でモーメントMafの絶対値が極わずかに大きくなるが、その分だけ杭頭部の部材モ-メントMsbの絶対値が変化する。その変化量は部材モ-メントMsbから見ると約10%になる場合がある。
【0087】
部材モ-メントMsbは根入れの深い部分で0に収束する。この例の場合深さ20m弱で部材モ-メントMsbは0になっている。ここより深い部位では杭の変形は軸方向変形だけが生じている。この深い部位は全軸力Nと軸力がなすモーメントMafともに小さい値に減少している部位である。
【0088】
図20は杭の軸力を杭列毎に示したものである。圧縮側が杭列4で、引き抜き側が杭列1である。この例では引き抜き力そのものは生じていない。図20(b)の杭の軸力は摩擦を考慮していないので一定である。図20(a)の圧縮側の杭列4では全軸力Nと軸力がなすモーメントMafの減少効果が重なり約45%の軸力が減少している。しかし、引き抜き側ではNとMafの減少効果が相殺して元の値とほとんど変わらない。
【0089】
この最大圧縮軸力が約1/2に減少していることは、周面摩擦力τZの初期設定値τZOの値と分布範囲を最大杭反力のほぼ半分の平均軸力に対して設定し、作用摩擦力をτZN=τ=τZO/2と設定したことによる。このように周面摩擦力の影響は本発明の設計法によれば初期設定の段階でその主たる効果が想定でき、扱い方が単純で明快である。
【0090】
図21は杭の水平変位量を比較したものである。杭頭部の水平変位量は3.9mmから3.5mm(90%)に減少している。なお、深さ0mより上の点はフーチングの回転水平変位量を杭頭変位量に加えたものである。フーチングの回転角は鉛直変位と同じく70%に減少している。上部構造への影響はこの回転角の影響が、鉛直や水平の変位の減少量よりも大きくなる。
【0091】
このように本発明の方法によると、当初仮定した周面摩擦力の効果を検証しやすく、杭の周面摩擦力を考慮すると、設定通り杭の軸力を減少さす効果があることを簡易な計算式で扱える。したがって良好な地盤に対しては周面摩擦力を適切に見積もることにより、杭材の設計をより経済的にすることができるようになる。
【0092】
本例では実作用摩擦力を小さめに設定したが、鋼管ソイルセメント杭の設計指針(非特許文献6)によると設計最大周面摩擦力は図22((a)砂質土,(b)粘性土)で示してある。その最大値は砂質土と粘性土とも200KN/m2であり、本例の値(14.7KN/m2)の13.6倍の値である。図22によるとN値が10前後の地層でも周面摩擦力は十分に期待でき、作用面積が大きいと本例のように杭の最大軸力が約1/2になる。
【0093】
本例では周面摩擦力の実作用値(τZN、τ)は同じ値にしているが、作用荷重の状況により使い分けの工夫がいる。例えば、レベル2の地震時の荷重はレベル1の場合の荷重に較べて、鉛直力Voの値はそれ程変化しないが水平力HoやモーメントMoは大きく変わる。周面摩擦力τZの最大許容値をτZSAとすると、この場合τZにはτZSAが採用される。大きい周面摩擦力が中間層で働くと作用摩擦力のτZNをτZSA/2としても、摩擦力τZNが鉛直力Voによる軸力分を消化する場合がある。それ以深ではつり合い式(29)は消滅するので、τZ=τZSAが働く間にはτ=τZSA としての働きが残ることになる。τの値がτZSA/2からτZSAに急変するのは実状に合わないので、最終荷重時での最大軸力に対して鉛直力Voとそれ以外の分担割合を大まかに設定して最大許容値τZSAを分担することが考えられる。
【0094】
これは終局荷重状態でのことであるが、よく発生する異常時の強風時やレベル1の地震時ではその状態の許容周面摩擦力τZAと平均軸力相当の初期摩擦力τZOを目安とし、それに外力荷重の軸力寄与率を考慮して、周面摩擦力の実作用値(τZN、τ)の使い方を工夫する。周面摩擦力の実作用値(τZN、τ)の使い方を決めることは、地盤の評価の新たな研究課題となるが、運用の目安としては以上のことを考慮して扱うことができる。
【0095】
地盤が軟弱でない場合、杭長が20mを超えるような場所打ち杭や鋼管ソイルセメント杭では周面摩擦の効果を考慮することにより経済的な設計が可能になり、杭長が長くなるとより効果が大きくなると考えられる。さらに、地震荷重のような一時的な荷重に対して、地盤の評価を適切に行うことを工夫するとその効果は非常に大きいものになる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】道路橋示方書の杭基礎モデルの説明図。
【図2】鉄道構造物等設計標準の杭基礎モデルの説明図。
【図3】部材要素の3種類の断面力と変形を示す説明図。
【図4】部材集合体の4種類の断面力と変形を示す説明図。
【図5】多数の部材を等価な1本の部材にモデル化する説明図。
【図6】全体座標と局部座標の説明図。
【図7】部材要素の断面力と仮定方向の説明図。
【図8】変形モデルと変位関数の表示内容の説明図。
【図9】設計手法の体系図。
【図10】周面摩擦力が3種類の変形成分別に働く状態の説明図。
【図11】軸方向変形に対する分布摩擦力の説明図。
【図12】軸力がなすモーメントによる変形に対する分布摩擦力の説明図。
【図13】部材曲げ変形による表面の伸縮状態と分布摩擦力の説明図。
【図14】部材要素iとjの変位場と断面力の仮定方向の説明図。
【図15】分布摩擦力τが一様分布の状態の説明図。
【図16】分布摩擦力が中心から距離に比例してτになる状態の説明図。
【図17】鉛直変位分布の比較図。
【図18】全軸力分布Nの比較図。
【図19】軸力がなすモーメントMafおよび全モーメントの分布の比較図。
【図20】杭の軸力分布の比較図。
【図21】杭の水平変位分布およびフーチングの水平変位と傾斜の比較図。
【図22】周面摩擦力度とN値の関係図(鋼管ソイルセメント杭)。
【符号の説明】
【0097】
Mi:部材iの断面力の曲げモーメント、
Ni:部材iの断面力の軸力、
Qi:部材iの断面力のせん断力、
Msb:部材集合体の断面力の部材モーメントの和、
Maf:部材集合体の部材軸力がなすモーメントの和、
N:部材集合体の部材軸力の和、
Q:部材集合体の部材せん断力の和、
Ag:部材集合体の全断面積、
Ip:部材集合体の部材の断面2次モーメントの和、
Ig:部材断面が集合体中心に対してなす断面2次モーメントの和、
E,G:部材のヤング率,せん断弾性係数、
xi:部材集合体中心線と部材iの中心との距離、
Σ:全部材n本分の和を表す、
X、Z,ξ,ζ:全体座標系および局部座標系、
ui,wi:任意点iのX軸,Z軸方向の変位成分(ui≒uo)、
uo,wno:集合体中心線の点oのX軸,Z軸方向の変位成分、
φ:全体曲げ変形による全断面の回転角、
θmo,θmi:中心線の点oと任意点iの部材曲げ変形の影響による回転角で角度φを除く量(θmi≒θmo)、
△:変数の微小量、
’:Z軸方向の微分、
Vo、Mo、Ho:フーチング下面の作用力で鉛直力、モーメント、水平力、
qi,q:水平分布外力とその全断面内の和(q=Σqi)、
a:KhおよびBの補正係数、
B:水平地盤反力が作用する面の基準幅、
Kh:地層の代表的な水平地盤反力係数、
kH、kHE:水平地盤反力係数、
kV:鉛直地盤反力係数、
kSV:杭周面のせん断地盤反力係数,
KV,KVE:杭頭の軸方向バネ定数、
Ui,ri:部材iの周長、半径、
xe:部材集合体中心線と外側部材の中心との距離、
τZ:深さZで働く杭の周面摩擦力、
τZN:軸方向変位wnoに対して働く周面摩擦力、
τ:全体回転角φによる変位に対して働く周面摩擦力、
τ:部材回転角(φ+θmo)による変形に対して働く周面摩擦力、
τZO:鉛直力Voに対応する摩擦力以下の初期設定周面摩擦力、
τZA:杭の許容周面摩擦力、
τZSA:杭の最大許容周面摩擦力、
ω:式の誘導または解法上の角度の助変数、
α:α=β(1+Ψ)1/2 or r1/4cos(ω/2)、
β:β=(aKhB/4EIp)1/4 or r1/4sin(ω/2)、
η:η=β(1-Ψ)1/2 and Ψ<1、
Ψ:Ψ=(aKhB・EIp)1/2/2GAg、
FA:FA=ΣτZNUi/EAg、
FG:FG=ΣτUi|xi|/EIg
or ΣτUixi2/xeEIg、
FT:FT=πΣτ・ri3/EIp、
FP:FP=GAg/EIp、
FK:FK=aKhB/GAg、
k1:k1=(1-FK/r1/2)α、
k2:k2=(1+FK/r1/2)β、
p:p=FT+FK
r:r=(FP+FT)FK and p2-4r<0、
cosω=p/2r1/2 and sinω=(4r-p21/2/2r1/2
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11
(In Japanese)【図13】
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(In Japanese)【図14】
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(In Japanese)【図15】
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(In Japanese)【図16】
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(In Japanese)【図17】
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(In Japanese)【図18】
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(In Japanese)【図19】
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(In Japanese)【図20】
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(In Japanese)【図21】
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(In Japanese)【図22】
21