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明細書 :低反射材の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-215506 (P2017-215506A)
公開日 平成29年12月7日(2017.12.7)
発明の名称または考案の名称 低反射材の製造方法
国際特許分類 G02B   1/118       (2015.01)
G02B   5/02        (2006.01)
B29C  59/18        (2006.01)
FI G02B 1/118
G02B 5/02 B
B29C 59/18
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2016-109908 (P2016-109908)
出願日 平成28年6月1日(2016.6.1)
発明者または考案者 【氏名】瀧 健太郎
【氏名】新沼 寛司
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 2H042
2K009
4F209
Fターム 2H042BA03
2H042BA08
2H042BA12
2H042BA15
2H042BA20
2K009AA01
2K009BB24
2K009CC24
2K009DD02
2K009DD05
2K009DD06
2K009DD15
4F209AA28
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH73
4F209AM30
4F209AR20
4F209PA15
4F209PA16
4F209PB01
4F209PC01
4F209PC05
4F209PN09
要約 【課題】透明な基材表面に微細な低反射率構造を形成する低反射材の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】非晶構造のポリカーボネート基材表面に紫外線硬化性樹脂のモノマーを塗布し、前記ポリカーボネート基材表面に微細凸状の結晶部を形成するステップと、前記紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し硬化塗膜を形成するステップと、剥離手段を用いて前記硬化塗膜を前記微細凸状の結晶部から剥離するステップとを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
非晶構造のポリカーボネート基材表面に紫外線硬化性樹脂のモノマーを塗布し、前記ポリカーボネート基材表面に微細凸状の結晶部を形成するステップと、
前記紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し硬化塗膜を形成するステップと、
剥離手段を用いて前記硬化塗膜を前記微細凸状の結晶部から剥離するステップとを有することを特徴とする低反射材の製造方法。
【請求項2】
前記ポリカーボネートの溶解度パラメータSPを10.8(cal/cm1/2とした場合に、前記紫外線硬化性樹脂は溶解度パラメータSPが7.0~9.0(cal/cm1/2の範囲であることを特徴とする請求項1記載の低反射材の製造方法。
【請求項3】
前記剥離手段は高圧のCO下で紫外線を照射し、前記紫外線硬化性樹脂を硬化させながら発泡剥離させるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の低反射材の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器のディスプレイ等の表面に外光等の映り込みを防止する防眩性の低反射材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外光等の映り込みを防止した低反射率のフィルムや基材としては、特許文献1に開示するように表面にブラスト粒子を衝打しランダムな凹凸を形成する方法や、特許文献2に開示するようにフィルム中にナノサイズ微粒子を分散させる方法が知られている。
しかし、いずれも工程が複雑で高コストになる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2015-197462号公報
【特許文献2】特開2011-242463号公報
【0004】

【非特許文献1】L.H. Sperling, Introduction to Physical Polymer Science, Fourth Edition, Chapter 3, John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, New Jersey (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、透明な基材表面に微細な低反射率構造を形成する低反射材の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る低反射材の製造方法は、非晶構造のポリカーボネート基材表面に紫外線硬化性樹脂のモノマーを塗布し、前記ポリカーボネート基材表面に微細凸状の結晶部を形成するステップと、前記紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し硬化塗膜を形成するステップと、剥離手段を用いて前記硬化塗膜を前記微細凸状の結晶部から剥離するステップとを有することを特徴とする。
本明細書では、以下紫外線を必要に応じてUVと表現する。
【0007】
ポリカーボネートは、非晶性高分子からなるフィルム,シート状の基材であり、本発明はポリカーボネートの表面をこのポリカーボネートの溶解度パラメータSPに近い溶解度パラメータSPを有する有機溶媒に接触させることで、微細な凸部(球晶)が現れることに着目し、この有機溶媒として紫外線硬化性樹脂のモノマーを用いた点に特徴がある。
紫外線硬化性樹脂のモノマーは、UVを照射するとラジカル重合,カチオン重合等により、高分子化する。
これらは、共重合体でもよい。
ポリカーボネートの溶解度パラメータSPに近い、溶解度パラメータSPを有するUV硬化性樹脂のモノマーは、ポリカーボネートの表面に凸状の結晶部が形成されるものをいい、アクリレート系のUV硬化性樹脂が好ましい。
ここで、溶解度パラメータSPの求め方には、いくつかの方法が提案されている。
本明細書では、非特許文献1に記載の方法に基づいて、ポリカーボネートの繰り返し単位から計算したところ、SPが10.8(cal/cm1/2であった。
同様の方法でSPを求める場合には、実験結果を後述するようにUV硬化性樹脂のモノマーの溶解度パラメータSPは、7.0~9.0(cal/cm1/2の範囲が好ましい。
よって、本発明において有機溶媒として用いるモノマーは紫外線硬化性を有し、ポリカーボネートの溶解度パラメータSPに対して、それよりも小さい値でその差が1.8~3.8(cal/cm1/2の範囲であるのが好ましいとも表現できる。
以下、本明細書に記載したSPの値は、非特許文献1の記載の方法に準じて求めた値である。
【0008】
本発明において、剥離手段は高圧のCO下で紫外線を照射し、前記紫外線硬化性樹脂を硬化させながら発泡剥離させるものであるのが好ましい。
ポリカーボネートの表面を溶媒誘起結晶化すると、表面に球晶化した結晶部とその周囲の非晶部との密度差から境界部にクラックが発生しやすい。
その場合にUV照射により樹脂を硬化させると、このUV硬化樹脂がクラックを埋めることで機械的性質を維持することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る低反射材の製造方法は、紫外線硬化性モノマーをポリカーボネートの表面に塗布することでこの表面に微細な凸部を形成し、モノマーを紫外線で硬化させる際にUV硬化樹脂がクラックを修復する。
これにより、硬化したUV硬化樹脂層を剥離することで低反射率のポリカーボネート材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】UV硬化性樹脂のモノマーをポリカーボネート表面に接触させた後にモノマーを洗浄除去した表面のSEM像を示す。
【図2】DSC解析チャートを示す。
【図3】拡大SEM像を示す。
【図4】発泡による自発的剥離の説明図を示す。
【図5】CO含浸の表面SEM像を示す。
【図6】拡大SEM像を示す。
【図7】相対反射率の測定結果を示す。
【図8】モノマーの種類と反射防止特性及び発泡層の剥がれ性特性の評価結果を示す。
【図9】波長に対する反射特性の評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
予備実験として、ポリカーボネートのシートの表面にアクリレート系のUV硬化樹脂のモノマー[溶解度パラメータSP:約8.0(cal/cm1/2]を塗布し、溶媒誘起結晶が形成されるか確認した。
各温度で10分間放置した後に、モノマーをイソプロパノールで洗浄除去した表面の顕微鏡写真を図1に示し、そのDSC(示差走査熱量計)による解析チャートを図2に示す。
接触温度の上昇とともに、表面に微小の凹凸があるサンゴ型の凸部(球晶)が形成されていた。
図2のDSCチャートからガラス転移点及び結晶の融解が確認できた。
図3に50℃×10minのSEM像を示す。
結晶部と非晶部との境界部にクラックが出現していた。

【0012】
次にポリカーボネートシートの表面に前記アクリレート系のUV硬化樹脂のモノマーを塗布し、高圧露光装置(井元製作所製)を用いて、40℃及び高圧CO圧力下(4.5,5.5,6.5MPa)で、80,160,240秒とCO含浸時間を変えた。
その後に3秒間UV照射した。
このようにCOを含浸させた状態でUV硬化させると、図4に示すように発泡し、塗膜に収縮の力が作用し、自発的に剥離する。
その際に、ポリカーボネートの表面に形成した凸状の結晶部と非晶部との間に生じたクラックの中に埋め込まれたUV硬化樹脂は、そのままクラック中に残る。
図5に各水準の表面SEM像を示す。
また、図6にCO圧6.5MPa,CO含浸時間240秒のサンプルの拡大SEM像を示す。
これにより、ポリカーボネートの表面に球晶が形成されることが確認できた。

【0013】
上記で得られた各サンプルの表面の結晶被覆率と、相対反射率の測定結果を図7のグラフに示す。
相対反射率の測定は、3次元変角光度計(村上色彩技術研究所製)を用いて、入射角及び反射角5°にて行った。
このことから、表面の結晶被覆率が40%を超えると、相対反射率が1%以下になっている。

【0014】
次に、SPの異なるUV硬化性の各種モノマーを用いて評価した結果を図8のグラフに示す。
製作条件は、CO圧6.5MPa,含浸時間60秒,UV照射時間5秒,UV照度160mW/cmである。
図8の表中、反射防止特性は目視で反射防止効果が確認できた場合を「○」と表示し、その程度が高いものを「◎」と表示した。
発泡層の剥がれ特性については、硬化時に発泡し、自発的に剥がれが生じたものを「○」と表示し、自発的には剥がれにくかったものを「△」とした。
このことから、反射防止効果は、SP:7.3~8.8(cal/cm1/2にて確認できた。
硬化時の自発剥離は、SP:7.3~8.2(cal/cm1/2にて確認できた。

【0015】
図9に、絶対反射率の波長依存性を評価した結果をグラフに示す。
本発明に係る方法で製造したフィルムは、近赤外域にても優れた低反射性を示すことが確認できた。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
7
【図9】
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