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Specification :(In Japanese)創傷治癒促進剤

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6333715
Publication number P2016-117679A
Date of registration May 11, 2018
Date of issue May 30, 2018
Date of publication of application Jun 30, 2016
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)創傷治癒促進剤
IPC (International Patent Classification) A61K  31/722       (2006.01)
A61P  17/02        (2006.01)
FI (File Index) A61K 31/722
A61P 17/02
Number of claims or invention 3
Total pages 7
Application Number P2014-257968
Date of filing Dec 19, 2014
Date of request for substantive examination Mar 27, 2017
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】東 和生
【氏名】伊福 伸介
【氏名】泉 良太郎
【氏名】岡本 芳晴
【氏名】大▲崎▼ 智弘
Representative (In Japanese)【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100084146、【弁理士】、【氏名又は名称】山崎 宏
【識別番号】100122301、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 憲史
Examiner (In Japanese)【審査官】横山 敏志
Document or reference (In Japanese)国際公開第2012/036283(WO,A1)
特開昭59-088424(JP,A)
特開平05-092925(JP,A)
特開2010-180309(JP,A)
特開2014-176605(JP,A)
国際公開第2010/073758(WO,A1)
国際公開第2013/038776(WO,A1)
獣医麻酔外科学雑誌,2001年 7月 1日,Vol.32,pp.149-150
Field of search A61K31/00-33/44
A61P17/02
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
PubMed
CiNii
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
表面脱アセチル化キチンナノファイバー(SDACNF)を含む創傷治癒促進剤であって、ケロイド化を抑制しつつ創傷治癒を促進するものである剤
【請求項2】
SDACNFの脱アセチル化度が5~20%である請求項1記載の創傷治癒促進剤。
【請求項3】
SDACNFのファイバー径が4~20ナノメートル、ファイバー長が100ナノメー
トル以上である請求項1または2記載の創傷治癒促進剤。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷治癒促進剤に関する。詳細には、本発明は、表面脱アセチル化キチンナノファイバーを含む創傷治癒促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷治癒を促進するために様々な物質が用いられおり、検索もされている。例えば抗菌剤、抗生物質、壊死組織融解剤、肉芽形成促進剤、上皮形成促進剤などを含む創傷治療薬が用いられている。天然高分子を有効成分とした創傷治癒促進剤も知られており、キチンおよびキトサンの局所適用が創傷治癒促進作用を有することもわかっている(非特許文献1参照)。しかし、天然高分子を主体とする創傷治癒促進剤は毒性や副作用が少ないという利点を有するが、さらなる創傷治癒作用が望まれている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】伊藤幹雄 臨床透析、第24巻、第13号、50-52頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
毒性や副作用が少なく、しかも十分な創傷治癒促進作用を有する物質を検索し、効果の優れた創傷治癒促進剤を開発することが、本発明が解決しようとする課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ね、表面脱アセチル化キチンナノファイバー(「SDACNF」、「表面キトサン化キチンナノファイバー」ともいう)を用いることによって上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)SDACNFを含む創傷治癒促進剤。
(2)SDACNFの脱アセチル化度が5~20%である(1)記載の創傷治癒促進剤。
(3)SDACNFのファイバー径が4~20ナノメートル、ファイバー長が100ナノメートル以上である(1)または(2)記載の創傷治癒促進剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、毒性や副作用が少なく、しかも十分な効果を有する創傷治癒促進剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、8日目の肉眼像である。
【図2】図2は、純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、4日目の表皮-真皮の切片像(中倍像)である。図中のスケールバーは200ミクロンである。
【図3】図3は、純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、8日目の表皮-真皮の切片像(低倍像)である。図中のスケールバーは400ミクロンである。
【図4】図4は、純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、8日目の表皮-真皮の切片像(高倍像)である。図中のスケールバーは100ミクロンである。
【図5】図5は、無処置ならびに純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、4日目の皮膚組織所見を示す。
【図6】図6は、無処置ならびに純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、8日目の皮膚組織所見を示す。
【図7】図7は、無処置ならびに純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、4日目の皮膚修復ステージを示す。
【図8】図8は、無処置ならびに純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーを創傷に適用した場合の、8日目の皮膚修復ステージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、1の態様において、SDACNFを含む創傷治癒促進剤を提供する。本発明に用いるSDACNFの製造法は当業者に公知であり、いずれの方法を用いて得られたものであってもよい。本発明に用いるSDACNFの製造法は、例えば、奥ら、キチン・キトサン研究第16巻第2号、231ページ(2010年)、生田ら、キチン・キトサン研究第18巻第2号、197ページ(2012年)などに記載されている。本発明に用いるSDACNF製造の具体的手順の一例を以下に説明する。キチン粉末を水酸化ナトリウム水溶液(例えば20重量%)中に分散させ、適当時間(例えば6時間)不活性気体(例えばアルゴン)雰囲気下で乾留する。反応後、上澄を除去し、残渣に酢酸水溶液(例えば0.5重量%)を添加して酸可溶部分を溶解させた後、遠心分離により固体分を回収する。回収した固体分に再び酢酸水溶液(例えば1重量%)を添加して、粉砕装置(例えばグラインダー(例えば砥石の回転数1500rpm、パス数3回、固形分1重量%))で粉砕し、SDACNFを得ることができる。

【0010】
本発明に用いる好ましいSDACNFは以下の物性を有する:脱アセチル化度は約5~約20%、好ましくは約7~約15%、ファイバー径は約2~約50ナノメートル、好ましくは約4~約20ナノメートル、より好ましくは約4~約10ナノメートル、ファイバー長は約100ナノメートル以上、好ましくは約200ナノメートル以上。また、結晶化度については、原料と比較して総体的な結晶度の低下が約20%以内であることが好ましい。

【0011】
本発明の創傷治癒促進剤中のSDACNFの量は、剤形および適用すべき創傷のサイズや性質等のファクターに応じて適宜変更することができるが、例えば、濃度1%の懸濁液0.5~10ml、好ましくは2~5mlを創傷部位に適用してもよい。

【0012】
本発明の創傷治癒促進剤の剤形は外用剤の形態であれば特に制限はなく、クリーム、軟膏、パスタ、ローション、パッチ、シート、ハイドロゲル、スポンジなどが例示されるが、これらに限らない。これらの剤形の製造法は当業者に公知である。本発明の創傷治癒促進剤を創傷部位に直接適用することができる。例えば、軟膏の形態の本発明の創傷治癒促進剤の適量を創傷部位に1日数回適用してもよい。

【0013】
本発明の創傷治癒促進剤は、当業者に公知の創傷治癒促進物質や抗生物質と併用してもよいし、これらの物質を含むものであってもよい。かかる物質の例として、ヨウ素、ポピドンヨード、ブロメライン、ソルコセリル、塩化リゾチーム、トレチノイントコフェリル、ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジル アルファデクス、トラフェルミン、ゲンタマイシン、塩酸フラジオマイシン等が挙げられるが、これらに限らない。

【0014】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明を限定するものと解してはならない。
【実施例1】
【0015】
(1)実験材料
以下の実験群で実験を行った:
・蒸留水適用群
・α-キチン(α-chitin)適用群
・α-キチンナノファイバー(α-NF)適用群
・表面脱アセチル化キチンナノファイバー(SDACNF)適用群
・キトサンナノファイバー(chitosan NF)適用群。
各群につき 4匹のラット(Whister、雌、体重130~150g)を使用した。
【実施例1】
【0016】
α-キチンナノファイバーの製法を以下に示す。α-キチンは甲陽ケミカル製キチンTC-Lを用いた。キチン粉末に水を添加して1%濃度に調整した。これを石臼式磨砕機(スーパーマスコロイダー、増幸産業)を用いて荒破砕した後、ボール衝突チャンバーを搭載した湿式粉砕装置(スターバーストミニ、HJP-25001S、スギノマシン)を用いて処理した。衝突回数は30回、ノズルの径は100μm、衝突圧力は200MPaとした。
キトサンナノファイバーの製法を以下に示す。キトサンは甲陽ケミカル製(コーヨーキトサンFH-80)を用いた。キトサン粉末に水を添加して1%濃度に調整した。これをボール衝突チャンバーを搭載した湿式粉砕装置(スターバーストミニ、HJP-25001S、スギノマシン)を用いて処理した。衝突回数は30回、ノズルの径は100μm、衝突圧力は200MPaとした。
【実施例1】
【0017】
SDACNFを以下のようにして調製した。キチン粉末(甲陽ケミカル製キチンTC-L)を濃アルカリ処理(20wt%水酸化ナトリウムを用いて6時間乾留)して脱アセチル化し、純水で洗浄した。次いで、[0016]と同様の方法により粉砕し、SDACNFを得た。ファイバー径は約4~約20ナノメートル、ファイバー長は約100ナノメートル以上であった。脱アセチル化度は約10~約20%であった。
【実施例1】
【0018】
(2)実験方法
ラット円形皮膚欠損モデルを用いた。皮膚を欠損させる7日前からラットを馴化させた。ラットの背の皮膚に直径8mmの穴を開けた(0日目)。皮膚を欠損させると同時に試料を塗布し、2日目、4日目および6日目に試料を塗布した。4日目および8日目に採材した。塗布した試料は、α-キチン、α-キチンナノファイバー、SDACNF、キトサンナノファイバーをそれぞれ1%となるよう蒸留水に懸濁したものであった。マイクロシリンジを用いて試料を患部に週3回塗布した(0.1ml)。
【実施例1】
【0019】
(3)実験結果
1.創傷部位の肉眼像
試料塗布8日目の創傷部位の肉眼像を図1に示す。これらの写真からわかるように、表面キトサン化キチンナノファイバー(SDACNF)を塗布した創傷部位が、純水、α-キチン、α-キチンナノファイバー、キトサンナノファイバーを塗布した創傷部位と比べて、顕著に小さくなったことが確認される。これらの結果は、実験したすべての動物個体において同様の傾向であった。これらの結果から、SDACNFを塗布した系で最も創傷の修復が早いことが示された。
【実施例1】
【0020】
2.創傷部位の皮膚切片観察および皮膚組織所見
4日目および8日目に採材した皮膚試料の切片を顕微鏡観察した。中倍像(4日目)、低倍像(8日目)、高倍像(8日目)を、それぞれ図2、図3、図4に示す。また、4日目および8日の創傷部位の皮膚組織所見について、痂皮、潰瘍、上皮化、線維芽細胞の増殖、コラーゲンの蓄積、単核細胞数、多核巨細胞数および血管新生の各項目を数値化し、図5(4日目)および図6(8日目)に示す。これらの結果を以下にまとめる。SDACNF塗布群では4日目より上皮化ならびに膠原繊維の増殖が確認され、8日目にはほぼ完全な上皮化ならびに膠原繊維の増殖が確認された。さらに8日目では痂皮の残存は見られなかった。一方、キチン塗布群では、上皮化は4日目では確認できず、8日目でも不十分であった。また、膠原繊維の増殖もSDACNF塗布群と比較した場合不十分であった。また、キチンナノファイバー塗布群では、4日目には上皮化は確認されず、8日目にて上皮化は確認されたが全周には至っていなかった。膠原繊維の増殖もSDACNF塗布群と比較すると軽微であった。また、キトサンナノファイバー塗布群では、膠原繊維の増殖はSDACNF塗布群と同程度確認されたものの、上皮化は不十分であった。これらの結果は、実験したすべての動物個体において同様の傾向であった。これらの結果から、SDACNFを塗布した系で最も創傷の修復が早いことが示された。
【実施例1】
【0021】
3.創傷部位の皮膚修復ステージ
4日目および8日目の皮膚修復ステージについて、炎症期、増殖期、リモデリング期の特徴を数値化し、図7および図8に示す。SDACNF塗布群では、既に4日目でリモデリング期の特徴が見られ(図7)、8日目には増殖期およびリモデリング期の特徴が顕著であった。SDACNF塗布群のリモデリング期のスコアが5であるのに対して他の群では1~3であった。これらの結果は、実験したすべての動物個体において同様の傾向であった。これらの結果から、SDACNF塗布群は、他の群と比較して創傷修復の進行が早いことが示された。また、8日目においてSDACNF塗布群のリモデリング期のスコアが高いことは、ケロイド化せずに皮膚が再生される傾向が大きいことを意味する。
【実施例1】
【0022】
以上の結果から、SDACNFの創傷治癒促進効果が、無処置群、蒸留水塗布群、α-キチン塗布群、α-キチンナノファイバー塗布群、キトサンナノファイバー塗布群と比較して極めて高いことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は極めて優れた創傷治癒促進剤を提供するので、医薬品の分野において利用可能である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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