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Specification :(In Japanese)半導体基板及びその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5392855
Date of registration Oct 25, 2013
Date of issue Jan 22, 2014
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)半導体基板及びその製造方法
IPC (International Patent Classification) H01L  21/205       (2006.01)
H01L  33/32        (2010.01)
H01L  33/06        (2010.01)
H01S   5/343       (2006.01)
C30B  29/38        (2006.01)
C30B  25/18        (2006.01)
FI (File Index) H01L 21/205
H01L 33/00 186
H01L 33/00 112
H01S 5/343 610
C30B 29/38 D
C30B 25/18
Number of claims or invention 14
Total pages 30
Application Number P2010-526523
Date of filing Aug 20, 2009
International application number PCT/JP2009/003960
International publication number WO2010/023846
Date of international publication Mar 4, 2010
Application number of the priority 2008215027
2009054934
2009056964
Priority date Aug 25, 2008
Mar 9, 2009
Mar 10, 2009
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
日本国(JP)
日本国(JP)
Date of request for substantive examination Aug 9, 2012
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】只友 一行
【氏名】岡田 成仁
Representative (In Japanese)【識別番号】110001427、【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
【識別番号】100077931、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 弘
【識別番号】100110939、【弁理士】、【氏名又は名称】竹内 宏
【識別番号】100110940、【弁理士】、【氏名又は名称】嶋田 高久
【識別番号】100113262、【弁理士】、【氏名又は名称】竹内 祐二
【識別番号】100115059、【弁理士】、【氏名又は名称】今江 克実
【識別番号】100117581、【弁理士】、【氏名又は名称】二宮 克也
【識別番号】100117710、【弁理士】、【氏名又は名称】原田 智雄
【識別番号】100121728、【弁理士】、【氏名又は名称】井関 勝守
【識別番号】100124671、【弁理士】、【氏名又は名称】関 啓
【識別番号】100131060、【弁理士】、【氏名又は名称】杉浦 靖也
【識別番号】100131200、【弁理士】、【氏名又は名称】河部 大輔
【識別番号】100131901、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 雅典
【識別番号】100132012、【弁理士】、【氏名又は名称】岩下 嗣也
【識別番号】100141276、【弁理士】、【氏名又は名称】福本 康二
【識別番号】100143409、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 亮
【識別番号】100157093、【弁理士】、【氏名又は名称】間脇 八蔵
【識別番号】100163186、【弁理士】、【氏名又は名称】松永 裕吉
【識別番号】100163197、【弁理士】、【氏名又は名称】川北 憲司
【識別番号】100163588、【弁理士】、【氏名又は名称】岡澤 祥平
Examiner (In Japanese)【審査官】大塚 徹
Document or reference (In Japanese)特開2006-036561(JP,A)
特開2008-288461(JP,A)
特開2009-184842(JP,A)
Field of search H01L 21/205
H01L 33/06
H01L 33/32
H01S 5/343
C30B 25/18
C30B 29/38
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板と、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNが結晶成長することにより上記基板主面部分の法線方向に成長して形成されたGaN層と、
を備え
上記サファイア基板は、上記基板主面部分がr面であると共に、上記結晶成長面部分がGaNのc面成長が可能な面であり、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行な面が半極性面である半導体基板。
【請求項2】
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板と、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNが結晶成長することにより上記基板主面部分の法線方向に成長して形成されたGaN層と、
を備え、
上記サファイア基板は、上記基板主面部分が(10-12)面にオフ角をつけた面であると共に、上記結晶成長面部分がGaNのc面成長が可能な面であり、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行な面が半極性(11-22)面である半導体基板。
【請求項3】
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板と、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNが結晶成長することにより上記基板主面部分の法線方向に成長して形成されたGaN層と、
を備え、
上記サファイア基板は、上記基板主面部分が(11-23)面、(11-22)面、又は(11-21)面のミスカット面であると共に、上記結晶成長面部分がGaNのc面成長が可能な面であり、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行な面が半極性面である半導体基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された半導体基板において、
上記サファイア基板は、上記基板主面部分又は上記結晶成長面部分以外の部分がGaNの結晶成長を阻止する結晶成長阻止層で表面被覆されている半導体基板。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された半導体基板において、
上記結晶成長面部分は、上記サファイア基板上に間隔をおいて並行に延びるように形成された複数本の凹溝の側面で構成されている半導体基板。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された半導体基板において、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行となるように表面研磨されている半導体基板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された半導体基板において、
上記結晶成長面部分が上記サファイア基板のa面又はc面で構成されている半導体基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された半導体基板を有する電子デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載された半導体基板を有する半導体発光素子。
【請求項10】
請求項7に記載された半導体基板を有し、
上記GaN層上に設けられ、各々、該GaN層に対するエピタキシャル成長により形成された量子井戸層及び障壁層が交互積層された多重量子井戸層を備えた半導体発光素子。
【請求項11】
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板を用い、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNを結晶成長させることにより上記基板主面部分の法線方向に成長するようにGaN層を形成し、
上記サファイア基板は、上記基板主面部分がr面であると共に、上記結晶成長面部分がGaNのc面成長が可能な面であり、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行な面が半極性面である半導体基板の製造方法。
【請求項12】
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板を用い、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNを結晶成長させることにより上記基板主面部分の法線方向に成長するようにGaN層を形成し、
上記サファイア基板は、上記基板主面部分が(10-12)面にオフ角をつけた面であると共に、上記結晶成長面部分がGaNのc面成長が可能な面であり、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行な面が半極性(11-22)面である半導体基板の製造方法。
【請求項13】
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板を用い、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNを結晶成長させることにより上記基板主面部分の法線方向に成長するようにGaN層を形成し、
上記サファイア基板は、上記基板主面部分が(11-23)面、(11-22)面、又は(11-21)面のミスカット面であると共に、上記結晶成長面部分がGaNのc面成長が可能な面であり、
上記GaN層は、上記サファイア基板の上記基板表面における上記基板主面部分と平行な面が半極性面である半導体基板の製造方法。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかに記載された半導体基板の製造方法において、
上記GaN層を上記サファイア基板から分離してGaN基板とする半導体基板の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板及びその製造方法、並びにそれを用いた電子デバイス及び半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)などの半導体発光素子として、サファイア基板上に、n型GaN層、InGaN層からなる量子井戸層とGaN層からなる障壁層とが交互積層された多重量子井戸層(Multi Quantum Wells:MQWs)、及びp型GaN層が順に積層形成された構造を有するものが量産化されている。そして、このような量産化されている半導体発光素子では、いずれのGaN層もc軸方向にGaNが結晶成長し、表面がc面<(0001)面>となっている。
【0003】
ところで、表面がc面であるGaN層では、図18に示すように、Ga原子のみを含むGa原子面とN原子のみを含むN原子面とがc軸方向、つまり、層厚さ方向に交互に積層された結晶構造を有し、また、Ga原子とN原子とが互いに異なる電気陰性度を有することから、Ga原子面が僅かにプラスに帯電する一方、N原子面が僅かにマイナスに帯電し、結果としてc軸方向(層厚さ方向)に自発分極が発生する。また、GaN層上に異種半導体層をヘテロエピタキシャル成長させた場合、格子定数差に基づいてGaN結晶に圧縮歪や引っ張り歪が生じ、GaN結晶内でc軸方向に圧電分極(ピエゾ分極)が発生する(特許文献1及び2参照)。
【0004】
従って、上記構成の半導体発光素子では、多重量子井戸層において、InGaN量子井戸層に固定電荷に起因する自発分極に加えて、InGaN量子井戸層に加わる圧縮歪により生じたピエゾ分極が重畳され、そのためc軸方向に大きな内部分極電場が発生することとなる。ここで、自発分極は-c面方向に働き、ピエゾ分極は+c面方向に働くが、InGaN井戸層においては圧倒的にピエゾ分極が大きい。そして、その影響によって、発光効率の低下や必要な注入電流の増大に伴う発光のピーク波長シフトなどの問題が生じる。なお、かかる問題の原因としては、分極電場に起因して量子井戸層中の電子と正孔との波動関数が空間的に分離されて発光確率が激減する量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum-confined Stark effect:QCSE)が考えられる。
【0005】
そこで、かかる問題に対し、a面<{11-20}面>及びm面<{1-100}面>のいずれもが無極性面であることから、表面がa面又はm面であるGaN層上にInGaN層を形成し、それによって自発分極とピエゾ分極の重畳された内部電界の影響を回避することが検討されている(特許文献1~3参照)。
【0006】
また、c面がa軸あるいはm軸方向に約60度傾斜した半極性面といわれている面上にInGaN量子井戸層を形成し、それによって内部電極の影響を回避することも検討されている。例えば、非特許文献1には、c面成長したバルクGaNから半極性の(11-22)面を切り出した基板が開示されている。また、非特許文献2には、ストライプ状に選択成長したGaNに現れる(11-22)面斜めファセット上に多重量子井戸構造を成長させることが開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2008-53593号公報
【特許文献2】特開2008-53594号公報
【特許文献3】特開2007-243006号公報
【0008】

【非特許文献1】Japanese Journal of Applied Physics Vol.45,2006,L659.
【非特許文献2】Applied Physics Letters Vol.90,2007,261912.
【発明の概要】
【0009】
本発明の半導体基板は、
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板と、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNが結晶成長することにより上記基板主面部分の法線方向に成長して形成されたGaN層と、
を備える。
【0010】
本発明の半導体基板の製造方法は、
基板表面が、基板主面部分と、該基板主面部分とは面方位が異なると共にGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分と、を有するサファイア基板を用い、
上記サファイア基板の上記基板表面における上記結晶成長面部分を起点としてGaNを結晶成長させることにより上記基板主面部分の法線方向に成長するようにGaN層を形成するものである。
【0011】
本発明の電子デバイス及び半導体発光素子は本発明の半導体基板を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1のサファイア基板の断面図である。
【図2】(a)及び(b)は実施形態1の凹溝の拡大断面図である。
【図3】(a)は構成1のサファイア基板、(b)は構成2のサファイア基板、及び(c)は構成3のサファイア基板をそれぞれ示す説明図である。
【図4】(a)は構成4のサファイア基板、(b)は構成5のサファイア基板、(c)は構成6のサファイア基板、及び(d)は構成7のサファイア基板をそれぞれ示す説明図である。
【図5】実施形態1の変形例のサファイア基板を示す断面図である。
【図6】実施形態1のサファイア基板におけるGaNの結晶成長を示す説明図である。
【図7】(a)~(e)は実施形態1の半導体発光素子の製造方法を示す説明図である。
【図8】(a)~(e)は実施形態1の凹溝の溝側面とu-GaN層との関係を示す説明図である。
【図9】(a)及び(b)は実施形態2の凹溝の拡大断面図である。
【図10】実施形態2のサファイア基板の断面図である。
【図11】実施形態2の半導体基板の断面図である。
【図12】実施形態3のサファイア基板の断面図である。
【図13】実施形態3の変形例のサファイア基板を示す断面図である。
【図14】実施形態3の別の変形例のサファイア基板を示す断面図である。
【図15】実施形態3の半導体基板の断面図である。
【図16】(a)~(e)は実施形態3の半導体発光素子の製造方法を示す説明図である。
【図17】オフ角度θ2と半値全幅との関係を示すグラフである。
【図18】GaN結晶を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。

【0014】
[実施形態1]
実施形態1に係る半導体発光素子10の製造方法について図1~8に基づいて説明する。

【0015】
(サファイア基板の準備)
実施形態1に係る半導体発光素子10の製造方法では、基板表面12において、基板主面部分12aが結晶成長阻止層13で表面被覆され、また、基板主面部分12aとは面方位が異なる表面露出した結晶成長面部分12bが形成されたサファイア基板11を用いる。サファイア基板11は、GaN基板に比較してコストが圧倒的に低く、また、Si基板に比較して光透過性を考慮したデバイス性能が圧倒的に優れるものとなる。

【0016】
ここで、サファイア基板11は、Al2O3のコランダム構造の単結晶の円盤状に形成されており、直径によっても変わるが厚さが0.3~3.0mm、及び直径が50~300mmである。なお、直径50mmのサファイア基板11の場合では、1枚のサファイア基板11上に5000~12000個の半導体発光素子10を作り込むことができる。

【0017】
基板表面12における基板主面部分12aは、a面<{11-20}面>、c面<(0001)面>、m面<{1-100}面>、若しくはr面<{1-102}面>であってもよく、又は他の面方位の結晶面であってもよい。例えば、基板主面部分12aは、a軸が基板主面部分12aの法線方向に対して所定の角度(例えば45°や60°、あるいは数度以内の微小角)傾斜したミスカット面であっても、つまり、サファイア基板11がミスカット基板であってもよい。なお、a面、c面、及びm面は面方位が相互に直交する。

【0018】
基板主面部分12aを表面被覆する結晶成長阻止層13としては、例えば、Si、Ti、Ta、Zr等の酸化物膜や窒化物膜、具体的には、SiO2膜、SiNx膜、SiOxNy膜、TiO2膜、ZrO2膜等が挙げられる。結晶成長阻止層13は、厚さが0.01~3μmである。かかる結晶成長阻止層13は、洗浄したサファイア基板11に対して、例えば、真空蒸着、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法により形成することができる。なお、結晶成長阻止層13を単一層で構成してもよく、また、複数層で構成してもよい。

【0019】
基板表面12における結晶成長面部分12bは、基板主面部分12aと面方位が異なれば、a面<{11-20}面>、c面<{0001}面>、m面<{1-100}面>、若しくはr面<{1-102}面>であってもよく、又はGaNの結晶成長が可能な他の面方位の結晶面であってもよい。なお、本出願において、「GaN」には、GaNが主成分のInGaNやAlGaNも含まれる。

【0020】
結晶成長面部分12bとしては、例えば、図1に示すように、サファイア基板11上に延びるように形成された凹溝14の側面で構成することを挙げることができる。

【0021】
凹溝14は、側面(エッチング加工側面)を有せば、コの字溝、V字溝、又は台形溝であってもよい。凹溝14は、溝開口幅に特に制限はないが0.5~10μmが望ましく、及び溝深さが0.75~100μmである。凹溝14は、溝側面の基板主面部分12aに対してなす角度Θが例えば70~120°であり、従って、溝側面の傾斜は、図2(a)に示すように、溝底から溝開口に向かって溝幅を広げるように外向きに傾斜したテーパ状であってもよく、また、図2(b)に示すように、溝底から溝開口に向かって溝幅を狭めるように内向きに傾斜した逆テーパ状であってもよい。但し、上記角度は上記側面からのGaNの結晶成長が可能であればその限りではない。例えば、側面がc面サファイアに近い構成であり、そこからc面GaNを成長させる場合、積層欠陥や転位などの欠陥の終端を表面に至らせないことによって表面に現れる欠陥を減じる観点からは、溝側面の基板主面部分12aに対してなす角度Θはc面の基板主面部分12aに対してなす角度Φよりも大きいことが好ましい。また、凹溝14が底面を有する場合、底面からのGaNの結晶成長を抑制する観点から、溝深さは溝開口幅の1.5倍以上であることが好ましい。凹溝14は、1本だけが形成されていてもよく、また、複数本並列して形成されていてもよい。凹溝14が複数本並列して形成されている場合、溝間の間隔、つまり、相互に隣接する凹溝14間における基板主面部分12aの間隔は1~100μmである。かかる凹溝14は、サファイア基板11の基板表面12に結晶成長阻止層13を形成した後、凹溝形成予定部分だけが開口部となるフォトレジストのパターニング形成し、フォトレジストをエッチングレジストとして結晶成長阻止層13及びサファイア基板11を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)等のドライエッチング或いはウエットエッチングをすることにより形成することができる。

【0022】
ここで、サファイア基板11の選定及び凹溝14の延びる方向の設定により種々の側面の構成を得ることができる。

【0023】
具体的には、例えば、構成1のサファイア基板11として、図3(a)に示すように、基板主面部分12aがc面、断面コの字状の凹溝14の延びる方向がm面の面方位、つまり、m軸方向であるものが挙げられる。この構成1のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてa面が露出する。

【0024】
構成2のサファイア基板11として、図3(b)に示すように、基板主面部分12aがa面、断面コの字状の凹溝14の延びる方向がm面の面方位、つまり、m軸方向であるものが挙げられる。この構成2のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてc面が露出する。

【0025】
構成3のサファイア基板11として、図3(c)に示すように、基板主面部分12aがa面、断面台形状の凹溝14の延びる方向がm面の面方位、つまり、m軸方向であるものが挙げられる。この構成3のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてc面をm軸周りに傾斜させたミスカット面が露出する。つまり、この場合、基板表面とc軸との方位関係は平行のままであり、凹溝14の側面はa軸方向にミスカットされたc面が露出する。

【0026】
構成4のサファイア基板11として、図4(a)に示すように、基板主面部分12aがa面をc軸周りに傾斜させた面、断面コの字状の凹溝14の延びる方向がm面の面方位、つまり、m軸方向であるものが挙げられる。この構成4のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてa軸が基板主面部分12aの法線方向から傾斜したc面が露出する。

【0027】
構成5のサファイア基板11として、図4(b)に示すように、基板主面部分12aがc面、断面コの字状の凹溝14の延びる方向がa面の面方位、つまり、a軸方向であるものが挙げられる。この構成5のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてm面が露出する。

【0028】
構成6のサファイア基板11として、図4(c)に示すように、基板主面部分12aがa面及びc面をm軸周りに45°傾斜させた面、つまり、オフ角45°のミスカット面、断面コの字状の凹溝14の延びる方向がm面の面方位、つまり、m軸方向であるミスカット基板が挙げられる。この構成6のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてc面をm軸周りにa軸方向に45°傾斜させた面が露出する。

【0029】
構成7のサファイア基板11として、図4(d)に示すように、基板主面部分12aがa面及びc面をm軸周りに45°傾斜させた面、つまり、オフ角45°のミスカット面、断面台形状の凹溝14の凹溝14の延びる方向がm面の面方位、つまり、m軸方向であるミスカット基板が挙げられる。この構成7のサファイア基板11では、結晶成長面部分12bたる凹溝14の側面としてc面が露出する。なお、かかる断面台形状の凹溝14は、例えばフォトレジストのパターンを加熱、或いはアッシングなどにより少しだれた形状にした後にエッチング加工することで作製することができる。

【0030】
凹溝14は、両側面が表面露出した構成の他、両側面のうち一方が表面露出し且つ他方がGaNの結晶成長を阻止するように被覆された構成であってもよい。サファイアは+c、-c面を持たない結晶構造を有するので、凹溝の両側面からそれぞれ結晶成長すると、いずれも同一の極性をもったGaNが成長する可能性があり、その場合、それらのGaNの会合点において結晶方位が逆向きとなるインバージョンドメイン(一種の結晶欠陥)が形成されることとなる。しかしながら、両側面のうち一方が表面露出し且つ他方が被覆された構成の場合、このインバージョンドメインを完全に排除することができる。

【0031】
凹溝14は、両側面が表面露出し、しかも、その断面形状が左右非対称に形成された構成であってもよい。このような構成によれば、左右非対称の断面形状を有する凹溝14からGaNが結晶成長すると、どちらかの面から優先的に結晶成長が起こるので、インバージョンドメインを排除する観点から好都合である。従って、この場合、凹溝14は、両側面のうち一方のみから選択的にGaNが結晶成長するように形成された構成であることがより好ましい。この左右非対称の凹溝14の断面形状は、例えば、エッチング加工時にエッチングガスの流れに直交するようにサファイア基板11を配置することによって得ることができる。また、このとき、凹溝14が底面を有する場合、底面からのGaNの結晶成長を抑制するために底面をSiO2などで被覆してもよい。

【0032】
なお、結晶成長面部分12bとしては、凹溝14の側面の他、図5に示すように、サファイア基板11の基板表面12に延びるように形成された凸条14’の側面も挙げることができる。この場合、凸条14’の基端側の基板主面部分12aと共に凸条の頂面も結晶成長阻止層13で被覆された構成である必要がある。また、凸条14’は、両側面が表面露出した構成の他、両側面のうち一方が表面露出し且つ他方がGaNの結晶成長を阻止するように表面被覆された構成であってもよい。

【0033】
(半導体層の形成)
実施形態1に係る半導体発光素子10の製造方法では、上記で準備したサファイア基板11の基板表面12における結晶成長面部分12bを起点としてGaNを結晶成長させることにより基板主面部分12aの法線方向に成長するようにu-GaN層15を形成して半導体基板Sを得た後、その上にn型GaN層16、発光層である多重量子井戸層17、及びp型GaN層18を順に形成する。

【0034】
ここで、これらの半導体層の形成方法としては、有機金属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)が挙げられ、これらのうち有機金属気相成長法が最も一般的である。以下では、有機金属気相成長法を利用した半導体層の形成方法について説明する。

【0035】
半導体層の形成に用いられるMOVPE装置は、大きくは基板搬送系、基板加熱系、ガス供給系、及びガス排気系から構成され、全て電子制御される。基板加熱系は、熱電対及び抵抗加熱ヒータ、並びにその上に設けられた炭素製或いはSiC製のサセプタで構成され、そして、そのサセプタの上にサファイア基板11をセットした石英トレイが搬送され、半導体層のエピタキシャル成長が行われる。この基板加熱系は、水冷機構を備えた石英製の二重管内或いはステンレス製の反応容器内に設置され、その二重管或いは反応容器内にキャリアガス及び各種原料ガスが供給される。特にステンレス反応容器を使う場合は、基板上に層流のガスの流れを実現するために、石英製のフローチャネルを用いる。

【0036】
キャリアガスとしては、例えば、H2、N2が挙げられる。V族元素供給源としては、例えば、NH3が挙げられる。III族元素供給源としては、例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルアルミニウム(TMA)等が挙げられる。n型ドーピング元素供給源としては、例えば、SiH4(シラン)、Si2H6(ジシラン)、GeH4(ゲルマン)等が挙げられる。p型ドーピング元素供給源としては、例えば、Cp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)が挙げられる。

【0037】
<u-GaN層の形成>
まず、サファイア基板11を基板表面12が上向きになるように石英トレイ上にセットした後、サファイア基板11を1050~1150℃に加熱すると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内に設置したフローチャネル内にキャリアガスとしてH2を流通させ、その状態を数分間保持することによりサファイア基板11をサーマルクリーニングする。

【0038】
次いで、サファイア基板11の温度を1050~1150℃とすると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスH2を10L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、及び50~150μmol/minとなるように流す。

【0039】
このとき、図6に示すように、サファイア基板11の基板表面12における基板主面部分12aは結晶成長阻止層13で表面被覆されているためGaNの結晶成長は起こらないが、一方、基板表面12に露出した結晶成長面部分12bには、結晶成長面部分12bを起点として、その上にアンドープのGaNがヘテロエピタキシャル成長する。そして、その結晶成長により基板主面部分12aの法線方向にGaNの層の成長が進展し、図7(a)に示すように、サファイア基板11上にu-GaN層(アンドープGaN層)15が形成されて半導体基板Sが得られる。結晶成長阻止層13上に成長させるu-GaN層15の層厚さは約2~20μmである。なお、u-GaN層15を形成させる前に、結晶成長面部分12b上に厚さ20~30nm程度の低温バッファ層を形成することが好ましい。

【0040】
u-GaN層15は、凹溝14の側面により結晶成長面部分12bが構成され、凹溝14が間隔をおいて並行に延びるように複数形成されている場合、各凹溝14から結晶成長した複数の帯状のGaN結晶の集合体によって、或いは、各凹溝14から結晶成長した帯状のGaN結晶が会合して連なった一体物によって構成される。帯状のGaN結晶が会合して連なった一体物のu-GaN層15を得るには、反応容器内圧力(減圧状態(~10kPa)から常圧状態(100kPa))、結晶成長温度、材料の流量などの結晶成長条件を最適化すること及び/又は結晶成長時間を十分に長い時間とることが好ましい。凹溝14の側面により結晶成長面部分12bが構成されている場合、GaNの結晶成長により凹溝14が埋まってもよく、また、ボイドが残ってもよい。

【0041】
そして、u-GaN層15は、サファイア基板11の構成によって、主面の面方位が種々異なることとなる。

【0042】
例えば、構成1のサファイア基板11の場合、a面である結晶成長面部分12b上には、サファイアのa軸とGaNのc軸が平行であり、サファイアのc軸とGaNのm軸が平行な結晶方位関係のGaNが結晶成長する。したがって、サファイア基板11の基板表面12上においては、サファイアのc軸とGaNのm軸が平行な結晶方位関係で、m面のGaNが結晶成長することとなり、そのためu-GaN層15の主面(基板主面部分12aに平行な面、以下同じ)はm面となる。

【0043】
構成2のサファイア基板11の場合、c面である結晶成長面部分12b上に、サファイアのc軸とGaNのc軸が平行であり、サファイアのa軸とGaNのm軸が平行な結晶方位関係でGaNが結晶成長する。したがって、サファイア基板11の基板表面12上においては、m面のGaNが結晶成長することとなり、そのためu-GaN層15の主面はm面となる。

【0044】
構成3のサファイア基板11の場合、凹溝14の側面はa軸方向にミスカットされたc面であるものの、構成2のサファイア基板11と同様にサファイア基板11のc軸とGaNのc軸が平行であり、サファイアのa軸とGaNのm軸が平行な結晶方位関係でGaNが結晶成長し、サファイア基板11の基板表面12上においては、m面のGaNが結晶成長することとなり、そのためu-GaN層15の主面はm面となる。

【0045】
つまり、GaN結晶では、図18に示すように、Ga原子のみを含むGa原子面とN原子のみを含むN原子面とがc軸方向に交互に積層された結晶構造を有し、c軸方向に自発分極を有するものの、構成1~3のサファイア基板11を用いた場合、u-GaN層15の自発分極を有するc軸方向が層厚さ方向ではなく層面内方向となり、そのためu-GaN層15の主面は層厚さ方向に極性を有さない無極性面(m面)となる。このようにc面(a面)のサファイア基板11を用いると、無極性m面のGaNが得られる。同様な手法を用いることにより、m面のサファイア基板11を用いると、無極性a面のGaNが得られる。

【0046】
一方、構成4~7のサファイア基板11を用いた場合、サファイア基板11の基板表面12上におけるGaNの結晶成長態様により、u-GaN層15は種々の層厚さ方向の分極状態となる。例えば、構成6のサファイア基板11を用いた場合には、GaNはサファイアのc軸とGaNのc軸が平行であり、サファイアのa軸とGaNのm軸が平行な結晶方位関係で結晶成長する。結果として、u-GaN層15の主面はc面とm面との中間の半極性面となる。構成7のサファイア基板11を用いた場合も同様にGaNはc軸方向に結晶成長するが、u-GaN層15の主面はより結晶性のよい半極性面となる。

【0047】
以上のことより、サファイア基板11の基板表面12の結晶主面部分12a、および基板表面12に露出させる結晶成長面部分12bの設定によりGaNの結晶成長面を操作することができ、それによってサファイア基板12上に形成するGaNの分極状態を制御することができる。サファイア基板11の場合、Si基板に比較して基板表面12の結晶主面部分12a、および基板表面12に露出させる結晶成長面部分12bの自由度が高く、従って、u-GaN層15において採りうる分極状態も自由度が高いものとなる。

【0048】
また、例えば、図8(a)に示すように、サファイア基板11の基板主面部分12aが(10-12)面及び結晶成長面部分12bがc面の場合、(11-22)面がファセット面であるu-GaN層15が得られる。この(11-22)面の基板主面部分12aに対してなす角度は-0.8°(GaNのc面に近づく向きをプラスとする。以下同じ)である。従って、その角度を相殺するように、基板主面部分12aが(10-12)面にオフ角をつけた面であるサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、ファセット面である(11-22)面が主面であるu-GaN層15を得ることができる。なお、本出願では、丸括弧を使ったミラー指数の記述も一般表記を意味する。

【0049】
図8(b)に示すように、サファイア基板11の基板主面部分12aが(11-23)面及び結晶成長面部分12bがc面の場合、(10-11)面がファセット面として成長する成長条件では、(10-11)面がファセットであるu-GaN層15が得られる。この(10-11)面の基板主面部分12aに対してなす角度は-0.74°であり、(10-11)面が主面であるu-GaN層15を得ることができる。さらに、(10-11)面の基板主面部分12aに対してなす角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、ファセット面である(10-11)面が主面である高品質のu-GaN層15を得ることができる。あるいは、(10-12)面がファセット面として成長する成長条件では、(10-12)面がファセット面であるu-GaN層15が得られる。この(10-12)面の基板主面12aに対してなす角度は+18.03°である。従って、(10-12)面の基板主面部分12aに対してなす角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、ファセット面(10-12)面が主面であるu-GaN層15が得られる。また、これらミスカット基板、或いはミスカット基板でないサファイア基板11を用い、成長し得られたu-GaN層15を基板主面部分12aと平行となるように表面研磨することにより、オフ角を有する(10-11)面GaNテンプレートを得ることができる。

【0050】
図8(c)に示すように、サファイア基板11の基板主面部分12aが(11-22)面及び結晶成長面部分12bがc面の場合、(10-11)面がファセット面として成長する成長条件では、(10-11)面がファセット面であるu-GaN層15が得られる。この(10-11)面の基板主面部分12aに対してなす角度は+7.93°である。従って、(10-11)面の基板主面部分12aに対してなす角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、ファセット面である(10-11)面が主面であるu-GaN層15を得ることができる。あるいは、(10-12)面がファセット面として成長する成長条件では、(10-12)面がファセット面であるu-GaNそう15が得られる。この(10-12)面の基板主面12aに対してなす角度は+26.7°である。従って、(10-11)面の成長と同様に、(10-12)面の基板主面部分12aに対してなす角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、ファセット面(10-12)面が主面であるu-GaN層15が得られる。また、これらミスカット基板、或いはミスカット基板でないサファイア基板11を用い、成長し得られたu-GaN層15を基板主面部分12aと平行となるように表面研磨することにより、(10-11)面GaNが7.93°オフしたGaNテンプレートを得ることができる。

【0051】
図8(d)に示すように、サファイア基板11の基板主面部分12aが(11-21)面及び結晶成長面部分12bがc面の場合、(10-11)面がファセット面であるu-GaN層15が得られる。この(10-11)面の基板主面部分12aに対してなす角度は+17.66°である。従って、その角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、ファセット面である(10-11)面が主面であるu-GaN層15を得ることができる。

【0052】
図8(e)に示すように、サファイア基板11の基板主面部分12aが(10-11)面及び結晶成長面部分12bがc面の場合、(11-21)面がファセット面であり且つ(11-21)面が基板主面部分12aに対して-0.5°傾斜した面であるu-GaN層15が得られる。この-0.5°の角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、さらに高品質な(10-21)面が主面であるu-GaN層15を得ることができる。
さらに、サファイア基板11の基板主面部分12aが(11-21)面及び結晶成長面部分12bがc面の場合、(20-21)面がファセット面であるu-GaN層15の成長条件を選択すると、基板主面部分12aに対してなす角度が+4.53°の(20-21)ファセット面であるu-GaNが得られる。従って、その角度を相殺するサファイア基板11のミスカット基板を用いることにより、(20-21)面が主面であるu-GaN層15を得ることができる。

【0053】
上記を含むサファイア基板11の面方位とc面の成す角、GaNの面方位とc面の成す角、求めるGaNの面方位と各種面方位のサファイア基板の方位のずれを、表1~4にまとめて示す。

【0054】
【表1】
JP0005392855B2_000002t.gif

【0055】
【表2】
JP0005392855B2_000003t.gif

【0056】
【表3】
JP0005392855B2_000004t.gif

【0057】
【表4】
JP0005392855B2_000005t.gif

【0058】
半導体基板Sを得た後、その上に以下のようにして各半導体層を形成する。

【0059】
<n型GaN層の形成>
反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスH2を5~15L/min(以下、ガス流量は基準状態(0℃、1気圧)での値とする)の流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、III族元素供給源1(TMG)、及びn型ドーピング元素供給源(SiH4)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、50~150μmol/min、及び1~5×10-3μmol/minとなるように流す。

【0060】
このとき、図7(b)に示すように、u-GaN層15に連続してn型GaNがu-GaN層15と同一面方位にエピタキシャル成長してn型GaN層16が形成される。u-GaN層15上に成長させるn型GaN層16の層厚さは約2~10μmである。

【0061】
<多重量子井戸層の形成>
サファイア基板11の温度を800℃程度とすると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスN2を5~15L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、III族元素供給源1(TMG)、及びIII族元素供給源2(TMI)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、5~15μmol/min、及び2~30μmol/min流す。このとき、n型GaN層16に連続してInGaN層17a(井戸層)が、n型GaN層16と同一面方位、従って、u-GaN層15と同一面方位にエピタキシャル成長して形成される。n型GaN層16上に成長させるInGaN層17aの層厚さは1~20nmである。

【0062】
次いで、V族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、及び5~15μmol/minとなるように流す。このとき、InGaN層17aに連続してGaN層17b(障壁層)がInGaN層17aと同一面方位、従って、n型GaN層16及びu-GaN層15と同一面方位にエピタキシャル成長して形成される。InGaN層17a上に成長させるGaN層17bの層厚さは5~20nmである。

【0063】
そして、上記と同様の操作を交互に繰り返し、図7(c)に示すように、InGaN層17aとGaN層17bとを交互に形成することにより多重量子井戸層17を構成する。なお、多重量子井戸層17の発光波長はInGaN層17aのInN混晶比と層厚に依存し、同じ層厚であればInN混晶比が高いほど発光波長は長波長となる。

【0064】
上記いずれのInGaN層17a及びGaN層17bもn型GaN層16及びu-GaN層15と同一面方位の主面を有する。従って、構成1及び2のサファイア基板11を用いた場合、GaN層17bの主面は層厚さ方向に極性を有さない無極性面であり、その無極性面上にInGaN層17aを形成することとなるので、ピエゾ分極の影響を回避することができ、このピエゾ分極の影響の回避により、発光効率の低下や注入電流の増大にともなう発光のピーク波長シフトといった問題を改善することができる。特に、多重量子井戸層17がInGaN層17aのInN混晶比の高い緑色発光層(発光波長約520nmの発光層)である場合、ピエゾ分極による影響を強く受けるので、顕著な改善効果を得ることができる。

【0065】
なお、活性層内から後述のp型GaN層18への電流リークを防ぐために活性層形成後にp型AlGaInNからなる電流ブロック層を挿入してもよい。

【0066】
<p型GaN層の形成>
サファイア基板11の温度を1000~1100℃とすると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスのH2を5~15L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、III族元素供給源(TMG)、及びp型ドーピング元素供給源(Cp2Mg)を、それぞれの供給量0.1~5L/min、50~150μmol/min、及び0.03~30μmol/min流す。

【0067】
このとき、図7(d)に示すように、多重量子井戸層17に連続してGaNがエピタキシャル成長してp型GaN層18が形成される。多重量子井戸層17上に成長させるp型GaN層18の層厚さは約100nmである。

【0068】
なお、p型GaN層18をドーピング元素の濃度が相異する複数の層で構成してもよい。

【0069】
(半導体発光素子の形成)
図7(e)に示すように、半導体層を積層形成したサファイア基板11を部分的に反応性イオンエッチングすることによりn型GaN層16を露出させた後、真空蒸着、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によりn型GaN層16上にn型電極19n及びp型GaN層18上にp型電極19pをそれぞれ形成する。

【0070】
ここで、n型電極19nの電極材料としては、例えば、Ti/Al、Ti/Al/Mo/Au、Hf/Au等の積層構造、あるいは合金等が挙げられる。p型電極19pとしては、例えば、Pd/Pt/Au、Ni/Au、Pd/Mo/Au等の積層構造、あるいは合金等、又はITO(酸化インジウム錫)などの酸化物系透明導電材料が挙げられる。

【0071】
そして、サファイア基板11を劈開することにより矩形板状の各半導体発光素子10に分断する。各半導体発光素子10は、約300×300μmである。

【0072】
以上のようにして製造した半導体発光素子10は、基板表面12が、GaNの結晶成長を阻止する結晶成長阻止層13で表面被覆された基板主面部分12a、及び基板主面部分12aとは面方位が異なると共に表面露出したGaNの結晶成長が可能な結晶成長面部分12bを有するサファイア基板11と、そのサファイア基板11の基板表面12における結晶成長面部分12bを起点としてGaNが結晶成長することにより基板主面部分12aの法線方向に成長して形成されたu-GaN層15とを備えた構成を有し、例えばGaN系発光ダイオードやGaN系半導体レーザとして使用される。

【0073】
[実施形態2]
実施形態2に係る半導体発光素子10の製造方法について図9~11に基づいて説明する。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。

【0074】
実施形態2に係る半導体発光素子10の製造方法では、基板表面12が、基板主面部分12aと、基板主面部分12aとは面方位が異なる結晶成長面部分12bとを有するサファイア基板11を用いる。

【0075】
基板表面12における基板主面部分12aは、a面<{11-20}面>、c面<(0001)面>、m面<{1-100}面>、若しくはr面<{1-102}面>であってもよく、又は他の面方位の結晶面であってもよい。例えば、基板主面部分12aは、a軸が基板主面部分12aの法線方向に対して所定の角度(例えば45°や60°、あるいは数度以内の微小角)傾斜したミスカット面であっても、つまり、サファイア基板11がミスカット基板であってもよい。なお、a面、c面、及びm面は面方位が相互に直交する。

【0076】
基板表面12における結晶成長面部分12bは、基板主面部分12aと面方位が異なれば、a面<{11-20}面>、c面<(0001)面>、m面<{1-100}面>、若しくはr面<{1-102}面>であってもよく、又はGaNの結晶成長が可能な他の面方位の結晶面であってもよい。

【0077】
結晶成長面部分12bとしては、例えば、実施形態1と同様にサファイア基板11上に延びるように形成された凹溝14の側面で構成することを挙げることができる。

【0078】
凹溝14は、側面(エッチング加工側面)を有せば、コの字溝、V字溝、又は台形溝であってもよい。凹溝14は、溝開口幅に特に制限はないが0.5~10μmが望ましく、及び溝深さが0.75~100μmである。凹溝14は、溝側面の基板主面部分12aに対してなす角度Θが例えば70~120°であり、従って、溝側面の傾斜は、図9(a)に示すように、溝底から溝開口に向かって溝幅を広げるように外向きに傾斜したテーパ状であってもよく、また、図9(b)に示すように、溝底から溝開口に向かって溝幅を狭めるように内向きに傾斜した逆テーパ状であってもよい。但し、上記角度は上記側面からのGaNの結晶成長ができればその限りではない。例えば、側面がc面サファイアに近い構成であり、そこからc面GaNを成長させる場合、積層欠陥や転位などの欠陥の終端を表面に至らせないことによって表面に現れる欠陥を減じる観点からは、溝側面の基板主面部分12aに対してなす角度Θはc面の基板主面部分12aに対してなす角度Φよりも大きいことが好ましい。また、凹溝14が底面を有する場合、底面からのGaNの結晶成長を抑制する観点から、溝深さは溝開口幅の1.5倍以上であることが好ましい。凹溝14は、1本だけが形成されていてもよく、また、複数本並列して形成されていてもよい。凹溝14が複数本並列して形成されている場合、溝間の間隔、つまり、相互に隣接する凹溝14間における基板主面部分12aの間隔は1~100μmである。かかる凹溝14は、サファイア基板11の凹溝形成予定部分だけが開口部となるフォトレジストのパターニング形成し、フォトレジストをエッチングレジストとしてサファイア基板11を反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング或いはウエットエッチングをすることにより形成することができる。

【0079】
ここで、サファイア基板11の選定及び凹溝14の延びる方向の設定により実施形態1と同様に種々の側面の構成を得ることができる。

【0080】
具体的には、例えば、サファイア基板11として、図10に示すように、基板主面部分12aがr面である基板、或いは、r面がa軸([11-20]軸)を回転軸としてオフ角度θ1(例えばθ1=-5~5°)だけ回転し及び/又は[-1101]軸を回転軸としてオフ角度θ2(例えばθ2=-5~5°)だけ回転した面であり、断面台形状の凹溝14の延びる方向がa面の面方位、つまり、a軸方向であって、その側面の一方がr軸に対する傾斜角度が57±20°である結晶成長面部分12bであるミスカット基板が挙げられる。57°はr面とc面とがなす角であり、側面とc面とのなす角度は±20°まで許容されるが、結晶成長が起こる範囲でこの角度の範囲は限定されるものではない。また、サファイア基板11として、基板主面部分12aが(11-22)面である基板、或いは、そのミスカット面であるミスカット基板が挙げられる。なお、オフ角度とは、基板主面部分12aと基板主面の結晶面とがなす角度である。つまり、基板主面部分12aが(1-102)面或いはそのミスカット面の場合は基板主面と(1-102)面とがなす角度であり、基板主面部分12aが(11-22)面或いはそのミスカット面の場合は基板主面と(11-22)面とがなす角度である。さらに、サファイア基板11として、基板主面部分12aがa面である基板、或いは、そのミスカット面であるミスカット基板が挙げられる。いずれの場合も結晶成長面部分12bである一方の側面は、GaNのc面成長が可能な面であることが好ましく、c面であることがより好ましい。

【0081】
そして、実施形態2に係る半導体発光素子10の製造方法では、実施形態1と同様に、上記で準備したサファイア基板11の基板表面12における結晶成長面部分12bを起点としてGaNを結晶成長させることにより基板主面部分12aの法線方向に成長するようにu-GaN層15を形成して半導体基板Sを得る。

【0082】
例えば、基板主面部分12aが(1-102)面或いはそのミスカット面であって、結晶成長面部分12bである凹溝14の一方の側面がGaNのc面成長が可能な面であるサファイア基板11を用いた場合、GaNは基板主面部分12a及び結晶成長面部分12bのそれぞれを起点として結晶成長する。しかしながら、基板主面部分12aからの結晶成長速度よりも結晶成長面部分12bからの結晶成長速度の方が速い条件を選択することにより、基板主面部分12aの法線方向への層の成長は結晶成長面部分12bからのGaNの結晶成長が優先することとなり、結果として、図11に示すように、u-GaN層15の主面は半極性面である{11-22}面となる。このとき、結晶成長面部分12bを起点とするGaNは、そのm軸がサファイア基板11のa軸に及びa軸がサファイア基板11のm軸にそれぞれ沿うようにc面成長する。同様に、基板主面部分12aが(11-22)面或いはそのミスカット面であって、結晶成長面部分12bである凹溝14の一方の側面がGaNのc面成長が可能な面であるサファイア基板11を用いた場合、成長条件を適正に選ぶことによりu-GaN層15の主面は半極性面である(10-12)面或いは(10-11)面が得られる。

【0083】
半導体基板Sを得た後、その上にn型GaN層16、発光層である多重量子井戸層17、及びp型GaN層18、並びにp型電極19p、及びn型電極19nを形成する。それぞれの形成方法は実施形態1と同一である。

【0084】
[実施形態3]
実施形態3に係る半導体発光素子10の製造方法について図12~16に基づいて説明する。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。

【0085】
(サファイア基板の準備)
実施形態3に係る半導体発光素子10の製造方法では、基板表面12が、基板主面部分12aとそれとは面方位が異なる表面露出した結晶成長面部分12bとを有するサファイア基板11を用いる。サファイア基板11は、GaN基板に比較してコストが圧倒的に低く、また、Si基板に比較して光透過性を考慮したデバイス性能が圧倒的に優れるものとなる。

【0086】
ここで、サファイア基板11は、Al2O3のコランダム構造の単結晶の円盤状に形成されており、直径によっても変わるが厚さが0.3~3.0mm、及び直径が50~300mmである。なお、直径50mmのサファイア基板11の場合では、1枚のサファイア基板11上に5000~12000個の半導体発光素子10を作り込むことができる。

【0087】
基板表面12における基板主面部分12aはr面又は(11-22)面である。ここで、本出願における基板主面部分12aのr面には、{1-102}面の他、{1-102}面がa軸([11-20]軸)を回転軸としてオフ角度θ1(例えばθ1=-5~5°)だけ回転し及び/又は[-1101]軸を回転軸としてオフ角度θ2(例えばθ2=-5~5°)だけ回転したミスカット面も含まれる。また、同様に、本出願における基板主面部分12aの(11-22)面には、そのミスカット面も含まれる。つまり、サファイア基板11はミスカット基板であってもよい。なお、オフ角度とは、基板主面部分12aと基板主面近くの結晶面とがなす角度である。つまり、r面の場合は基板主面部分12aと(1-102)面とがなす角度であり、(11-22)面の場合は基板主面部分12aと(11-22)面とがなす角度である。

【0088】
基板表面12における結晶成長面部分12bは、基板主面部分12aと面方位が異なると共にGaNのc面成長が可能な面である。

【0089】
結晶成長面部分12bとしては、例えば、基板主面部分12aがr面の場合、図12に示すように、サファイア基板11上にa面の面方位、つまり、a軸方向に延びるように形成された断面台形状の凹溝14の一方の側面(図12における左側面)で構成することを挙げることができる。また、基板主面部分12aが(11-22)面の場合も同様にm軸方向に延びるように形成した凹溝14の一方の側面により結晶成長面部分12bを構成することができる。

【0090】
凹溝14は、溝開口幅に特に制限はないが0.5~10μmが望ましく、及び溝深さが0.75~10μmである。凹溝14は、1本だけが形成されていてもよく、また、複数本が並列して形成されていてもよい。凹溝14が複数本並列して形成されている場合、溝間の間隔、つまり、相互に隣接する凹溝14間における基板主面部分12aの間隔は1~100μmである。かかる凹溝14は、サファイア基板11の基板表面12に、凹溝形成予定部分だけが開口部となるフォトレジストのパターニング形成をし、フォトレジストをエッチングレジストとしてサファイア基板11を反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング或いはウエットエッチングをすることにより形成することができる。

【0091】
結晶成長面部分12bである凹溝14の一方の側面は、c面<(0001)面>であることが好ましく、基板主面部分12aがr面の場合、基板主面部分12aに対してなす角度が例えば57±20°であることが望ましい。57°はr面とc面とがなす角であり、側面とc面とのなす角度は±20°まで許容されるが、結晶成長が起こる範囲でこの角度の範囲は限定されるものではない。

【0092】
基板主面部分12a、凹溝14の他方の側面12c及び底面は、図12に示すように、結晶成長阻止層13で表面被覆されていることが好ましい。r面又は(11-22)面のようにc軸が傾斜した主面を有するサファイア基板11では、基板主面部分12a、凹溝14の他方の側面12c及び底面に、結晶成長面部分12bである凹溝14の一方の側面とは異なる面が露出することとなる。そのため、それらの面から同時にGaNが結晶成長するとサファイア基板11の主面の法線方向には様々な面が混在したu-GaN層15が成長することになる。しかしながら、上記のように凹溝14の一方の側面12b以外の基板主面部分12a、凹溝14の他方の側面12c及び底面が結晶成長阻止層13で表面被覆されていれば、結晶成長面部分12bである一方の側面のみからの結晶成長が起こり、サファイア基板11の主面の法線方向には様々な面が混在したGaNが結晶成長することなく、単一の半極性面のu-GaN層15が成長可能となる。

【0093】
結晶成長阻止層13としては、例えば、Si、Ti、Ta、Zr等の酸化物膜や窒化物膜、具体的には、SiO2膜、SiNx膜、SiOxNy膜、TiO2膜、ZrO2膜等が挙げられる。結晶成長阻止層13は、厚さが0.01~3μmである。かかる結晶成長阻止層13は、サファイア基板11に対して、例えば、真空蒸着、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法により形成することができる。なお、結晶成長阻止層13を単一層で構成してもよく、また、複数層で構成してもよい。

【0094】
なお、サファイア基板11は、図13に示すように、基板主面部分12aのみが結晶成長阻止層13で表面被覆され、凹溝14の両側面及び底面が表面露出した構成であってもよく、図14に示すように、結晶成長阻止層13が設けられておらず、基板表面12全面が表面露出した構成であってもよい。これらの場合、結晶成長条件の最適化により単一の半極性面のu-GaN層15を選択的に成長させることが可能である。

【0095】
凹溝14の両側面が表面露出する場合には、結晶成長面部分12bである一方の側面とは異なる他方の側面12cが露出することにより、両側面から同時にGaNが結晶成長するとサファイア基板11の主面の法線方向には様々な面が混在したGaNが結晶成長することになるため、結晶成長面部分12bである一方の側面からの結晶成長が優先的に起こるように結晶成長条件を選択することが好ましい。また、結晶成長面部分12bである一方の側面とは異なる他方の側面12cが露出する場合には、結晶成長面部分12bである一方の側面からc-GaNが優先的に結晶成長する結晶成長条件を選択することが好ましく、また逆に、他方の側面12cからは結晶成長しない結晶成長条件を選択することが望ましい。

【0096】
(半導体層の形成)
実施形態3に係る半導体発光素子10の製造方法では、上記で準備したサファイア基板11の基板表面12における結晶成長面部分12bを起点としてGaNを結晶成長させることにより基板主面部分12aの法線方向に半極性面GaN(例えば、(11-22)半極性面又は(10-12)半極性面)の層を成長させ、それによりサファイア基板11上に主面が半極性面であるu-GaN層15を形成して半導体基板Sを得た後、その上にn型GaN層16、発光層である多重量子井戸層17、及びp型GaN層18を順に形成する。

【0097】
ここで、これらの半導体層の形成方法としては、有機金属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)が挙げられ、これらのうち有機金属気相成長法が最も一般的である。以下では、有機金属気相成長法を利用した半導体層の形成方法について説明する。

【0098】
半導体層の形成に用いられるMOVPE装置は、大きくは基板搬送系、基板加熱系、ガス供給系、及びガス排気系から構成され、全て電子制御される。基板加熱系は、熱電対及び抵抗加熱ヒータ、並びにその上に設けられた炭素製或いはSiC製のサセプタで構成され、そして、そのサセプタの上にサファイア基板11をセットした石英トレイが搬送され、半導体層のエピタキシャル成長が行われる。この基板加熱系は、水冷機構を備えた石英製の二重管内或いはステンレス製の反応容器内に設置され、その二重管或いは反応容器内にキャリアガス及び各種原料ガスが供給される。特にステンレス反応容器を使う場合は、基板上に層流のガスの流れを実現するために、石英製のフローチャネルを用いる。

【0099】
キャリアガスとしては、例えば、H2、N2が挙げられる。V族元素供給源としては、例えば、NH3が挙げられる。III族元素供給源としては、例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルアルミニウム(TMA)等が挙げられる。n型ドーピング元素供給源としては、例えば、SiH4(シラン)、Si2H6(ジシラン)、GeH4(ゲルマン)等が挙げられる。p型ドーピング元素供給源としては、例えば、Cp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)が挙げられる。

【0100】
<u-GaN層の形成>
まず、サファイア基板11を基板表面12が上向きになるように石英トレイ上にセットした後、サファイア基板11を1050~1150℃に加熱すると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内に設置したフローチャネル内にキャリアガスとしてH2を流通させ、その状態を数分間保持することによりサファイア基板11をサーマルクリーニングする。

【0101】
次いで、サファイア基板11の温度を1050~1150℃とすると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスH2を10L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、及び50~150μmol/minとなるように流す。

【0102】
このとき、図15に示すように、サファイア基板11の基板表面12における基板主面部分12aを含む結晶成長阻止層13で表面被覆された部分ではGaNの結晶成長は起こらないが、一方、基板主面部分12aがr面の場合、基板表面12に露出した結晶成長面部分12bを起点として、その上にアンドープのGaNが、そのm軸がサファイア基板11のa軸に及びa軸がサファイア基板11のm軸にそれぞれ沿うようにc面成長する。そして、その結晶成長により基板主面部分12aの法線方向にGaNの層の成長が進展し、図16(a)に示すように、サファイア基板11上に主面が半極性{11-22}面であるu-GaN層(アンドープGaN層)15が形成される。また、基板主面部分12aが(11-22)面の場合には、適切なミスカット面を使い、成長条件を選ぶことにより、主面が半極性(10-12)面であるu-GaN層15、或いは(10-11)面であるu-GaN層15が形成されて半導体基板Sが得られる。結晶成長阻止層13上に成長させるu-GaN層15の層厚さは約2~20μmである。なお、u-GaN層15を形成させる前に、結晶成長面部分12b上に厚さ20~30nm程度の低温バッファ層を形成することが好ましい。

【0103】
u-GaN層15は、凹溝14の側面により結晶成長面部分12bが構成され、凹溝14が間隔をおいて並行に延びるように複数形成されている場合、各凹溝14から結晶成長した複数の帯状のGaN結晶の集合体によって、或いは、各凹溝14から結晶成長した帯状のGaN結晶が会合して連なった一体物によって構成される。凹溝14の側面により結晶成長面部分12bが構成されている場合、GaNの結晶成長により凹溝14が埋まってもよく、また、ボイドが残ってもよい。

【0104】
主面が半極性面であるu-GaN層15のこのような形成方法は、サファイア基板11を出発材料として用い、その基板表面12の基板主面部分12aとは面方位が異なる結晶成長面部分12bを起点としてGaNをc面成長させ、それによって基板主面部分12aの法線方向に半極性面GaNの層を成長させるので、主面が半極性面であるu-GaN層15を容易に形成することができ、加えて、選択横方向成長技術により一回の結晶成長で欠陥の少ないu-GaN層15を得ることができる。また、主面がr面であるサファイア基板11も主面が(11-22)面であるサファイア基板11も、さらにこれらのミスカット基板も入手は特段困難ではなく、それ故、かかる主面が半極性面であるu-GaN層15を比較的安価に、しかも大面積で形成することができる。

【0105】
また、u-GaN層15の主面は半極性面となるが、これによりu-GaN層15が自発分極や圧電分極による分極効果を低減させることとなり、それによる半導体発光素子10の高効率化を期待することができ、加えて、u-GaN層15がその主面の法線方向に進む光に対して偏光特性を有するため、半導体発光素子10を例えば液晶表示装置のバックライトとして使用することができ、その場合の消費電力の低減を期待することができる。

【0106】
さらに、基板主面部分12a等が0.2μm以上の厚い結晶成長阻止層13で表面被覆されている場合には、GaNの成長初期に生じるm軸、或いはa軸方向に延在する転位を結晶成長阻止層13が止めることを期待することができる。

【0107】
また、図14に示すような、結晶成長阻止層13が設けられておらず、基板表面12全面が表面露出したサファイア基板11を用いた場合には、GaNは基板主面部分12a及び結晶成長面部分12bのそれぞれを起点として結晶成長する。しかしながら、基板主面部分12aからの結晶成長速度よりも結晶成長面部分12bからの結晶成長速度の方が速い条件を選ぶことにより、基板主面部分12aの法線方向へのGaNの結晶成長は結晶成長面部分12bからのものが優先することとなり、結果として、u-GaN層15の主面は半極性{(11-22)}面又は半極性(10-12)面、或いは半極性(10-11)面となる。

【0108】
半導体基板Sを得た後、その上に以下のようにして各半導体層を形成する。

【0109】
<n型GaN層の形成>
反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスH2を5~15L/min(以下、ガス流量は基準状態(0℃、1気圧)での値とする)の流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、III族元素供給源1(TMG)、及びn型ドーピング元素供給源(SiH4)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、50~150μmol/min、及び1~5×10-3μmol/minとなるように流す。

【0110】
このとき、図16(b)に示すように、u-GaN層15に連続してn型GaNがu-GaN層15と同一面方位にエピタキシャル成長してn型GaN層16が形成される。u-GaN層15上に成長させるn型GaN層16の層厚さは約2~10μmである。

【0111】
<多重量子井戸層の形成>
サファイア基板11の温度を800℃程度とすると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスN2を5~15L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、III族元素供給源1(TMG)、及びIII族元素供給源2(TMI)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、5~15μmol/min、及び2~30μmol/min流す。このとき、n型GaN層16に連続してInGaN層17a(井戸層)が、n型GaN層16と同一面方位、従って、u-GaN層15と同一面方位にエピタキシャル成長して形成される。n型GaN層16上に成長させるInGaN層17aの層厚さは1~20nmである。

【0112】
次いで、V族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が0.1~5L/min、及び5~15μmol/minとなるように流す。このとき、InGaN層17aに連続してGaN層17b(障壁層)がInGaN層17aと同一面方位、従って、n型GaN層16及びu-GaN層15と同一面方位にエピタキシャル成長して形成される。InGaN層17a上に成長させるGaN層17bの層厚さは5~20nmである。

【0113】
そして、上記と同様の操作を交互に繰り返し、図16(c)に示すように、InGaN層17aとGaN層17bとを交互に形成することにより多重量子井戸層17を構成する。なお、多重量子井戸層17の発光波長はInGaN層17aのInN混晶比と層厚に依存し、同じ層厚であればInN混晶比が高いほど発光波長は長波長となる。

【0114】
上記いずれのInGaN層17a及びGaN層17bもn型GaN層16及びu-GaN層15と同一面方位の主面を有する。従って、GaN層17bの主面は半極性面であり、その半極性面上にInGaN層17aを形成することとなるので、ピエゾ分極の影響を低減することができ、このピエゾ分極の影響の低減により、発光効率の低下や注入電流の増大にともなう発光のピーク波長シフトといった問題を改善することができる。特に、多重量子井戸層17がInGaN層17aのInN混晶比の高い緑色発光層(発光波長約520nmの発光層)である場合、ピエゾ分極による影響を強く受けるので、顕著な改善効果を得ることができる。

【0115】
なお、活性層内から後述のp型GaN層18への電流リークを防ぐために活性層形成後にp型AlGaInNからなる電流ブロック層を挿入してもよい。

【0116】
<p型GaN層の形成>
サファイア基板11の温度を1000~1100℃とすると共に反応容器内の圧力を10~100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスのH2を5~15L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、III族元素供給源(TMG)、及びp型ドーピング元素供給源(Cp2Mg)を、それぞれの供給量0.1~5L/min、50~150μmol/min、及び0.03~30μmol/min流す。

【0117】
このとき、図16(d)に示すように、多重量子井戸層17に連続してGaNがエピタキシャル成長してp型GaN層18が形成される。多重量子井戸層17上に成長させるp型GaN層18の層厚さは約100nmである。

【0118】
なお、p型GaN層18をドーピング元素の濃度が相異する複数の層で構成してもよい。

【0119】
(半導体発光素子の形成)
図16(e)に示すように、半導体層を積層形成したサファイア基板11を部分的に反応性イオンエッチングすることによりn型GaN層16を露出させた後、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の方法によりn型GaN層16上にn型電極19n及びp型GaN層18上にp型電極19pをそれぞれ形成する。

【0120】
ここで、n型電極19nの電極材料としては、例えば、Ti/Al、Ti/Al/Mo/Au、Hf/Au等の積層構造、あるいは合金等が挙げられる。p型電極19pとしては、例えば、Pd/Pt/Au、Ni/Au、Pd/Mo/Au等の積層構造、あるいは合金等、又はITOなどの酸化物系透明導電材料が挙げられる。

【0121】
そして、サファイア基板11を劈開することにより矩形板状の各半導体発光素子10に分断する。各半導体発光素子10は、約300μm×300μmである。

【0122】
以上のようにして製造した半導体発光素子10は、基板表面12が、r面の基板主面部分12aとそれとは面方位が異なると共にGaNのc面成長が可能な結晶成長面部分12bとを有するサファイア基板11と、サファイア基板11の基板表面12aにおける結晶成長面部分12bを起点としてGaNが結晶成長して基板主面部分12aの法線方向に成長するように形成された半極性面GaN層15とを備えた構成を有し、例えばGaN系発光ダイオードやGaN系半導体レーザとして使用される。

【0123】
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態1~3では、半導体発光素子10としたが、特にこれに限定されるものではなく、トランジスタ、太陽電池等の他の電子デバイスであってもよい。

【0124】
上記実施形態1~3では、サファイア基板11を有する半導体発光素子10としたが、特にこれに限定されるものではなく、サファイア基板11の基板表面12における基板主面部分12aの法線方向に結晶成長して形成されたGaN層をサファイア基板11から分離してGaN基板の半導体基板とし、その上に半導体層を形成したものであってもよい。上記のようにサファイア基板11上に結晶成長して形成されたGaN層をサファイア基板11から分離したGaN基板の半導体基板では、従来の無極性面或いは半極性面のGaN基板に対して以下の特徴を有する。まず、厚膜成長したc面GaNを縦方向にGaN基板を切り出す従来法では、面積の小さい基板しか得られなかったのに対し、上記GaN基板は、サファイア基板と同じ大きさのものとなり、従って、大面積のものも得ることができる。また、r面サファイア基板、あるいはm面サファイア基板上にヘテロエピタキシャル成長することによって作製する第二の従来法では、転位密度及び積層欠陥密度が高いという問題点があったのに対し、上記GaN基板は、基板主面の法線方向への転位の伝搬を抑える形態になるので、転位密度が1×108cm-2以下、積層欠陥密度が1×102cm-1以下の高品質のものとなる。
【実施例】
【0125】
[実験例1]
(サンプル基板)
<サンプル基板1>
a面を主面とするサファイア基板上にm軸方向に延びるようにストライプ状にレジストをパターンニングし、次いで、スパッタリング法により約200nmの厚さのSiO2の層を積層形成し、さらにその上に電子ビーム蒸着法(EB法)により厚さ約500nmのNiの層を積層形成した後、レジストを溶解し(リフトオフ法)、Ni(上側)/SiO2(下側)なる積層構造のエッチングレジストパターンを形成した。このNi/SiO2をエッチングレジストとし、反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングしてサファイア基板上にm軸方向に並行に延びる複数の断面コの字状の凹溝を形成した。凹溝は、溝開口幅が2μm、溝深さが約5μm、及び隣接する凹溝までの基板主面部分の間隔が4μmとなるように形成した。ドライエッチングの後、Ni層を酸系エッチャントにより除去し、この凹溝を形成加工したサファイア基板をサンプル基板1とした。このサンプル基板1は、基板表面が、SiO2層により構成された結晶成長阻止層で表面被覆された基板主面部分と、c面である凹溝の側面により構成された表面露出した結晶成長面部分と、を有する。
【実施例】
【0126】
<サンプル基板2>
溝開口幅が3μm、溝深さが約5μm、及び隣接する凹溝までの基板主面部分の間隔が3μmとなるように凹溝を形成したことを除いて、サンプル基板1と同様に凹溝を形成加工したサファイア基板をサンプル基板2とした。
【実施例】
【0127】
(u-GaN層の形成)
<実施例1>
サンプル基板1について、MOVPE装置において、基板表面が上向きになるように石英トレイ上にセットした後、基板を1150℃に加熱すると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてH2を10L/minの流量で流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
【実施例】
【0128】
次いで、基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH210L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び8μmol/minで凹溝の側面の結晶成長面部分に低温バッファ層約30nmを形成した。
【実施例】
【0129】
続いて、基板の温度を1150℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH2として、それを10L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び100μmol/minとなるように(V族元素/III族元素の供給モル比=2190)10分間流し、低温バッファ層の上にGaN(アンドープGaN)を結晶成長させることにより基板主面部分の法線方向に成長するように基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0130】
<実施例2>
サンプル基板2について、実施例1と同様の操作を行って基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0131】
<実施例3>
サンプル基板1について、GaNの結晶成長時の反応容器内の圧力を13kPa、並びにV族元素供給源(NH3)及びIII族元素供給源(TMG)の供給量をそれぞれ0.7L/min及び100μmol/min(V族元素/III族元素の供給モル比=310)としたことを除いて実施例1と同様の操作を行って基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0132】
<実施例4>
サンプル基板2について、実施例3と同様の操作を行って基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0133】
(試験結果)
実施例1~4のそれぞれで得られたu-GaN層について、X線回折装置を用いてω/2θスキャン測定することにより分析したところ、いずれについてもu-GaN層の主面にm面のピークが観測され、サファイア基板の基板表面における基板主面部分の法線方向にm面が結晶成長していることが確認された。
【実施例】
【0134】
また、実施例3及び4で得られたu-GaN層では、帯状のGaN結晶が会合して連なった一体物のu-GaN層を構成する傾向が見られたが、これは、GaNの結晶成長時の圧力を13kPaとし、また、結晶成長時間を長くしたことによるためであると考えられる。特に、減圧下で結晶成長させることによる影響が大きいものと考えられる。
【実施例】
【0135】
[実験例2]
(u-GaN層形成基板)
<実施例5>
r面を主面とするサファイア基板上にa軸方向に延びるようにストライプ状にレジストをパターンニングし、次いで、反応性イオンエッチング(RIE)によりドライエッチングしてサファイア基板上にa軸方向に並行に延びる複数の断面台形状の凹溝を形成した。凹溝は、溝開口幅が約3μm、溝深さが約1μm、及び溝底面幅が約2μm、並びに隣接する凹溝までの基板主面部分の間隔が約3μmとなるように形成した。ドライエッチングの後にレジストを除去した。
【実施例】
【0136】
このサファイア基板について、MOVPE装置において、基板表面が上向きになるように石英トレイ上にセットした後、サファイア基板を1150℃に加熱すると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内にキャリアガスとしてH2を10L/minの流量で流通させ、その状態を10分間保持することにより基板をサーマルクリーニングした。
【実施例】
【0137】
次いで、サファイア基板の温度を460℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH210L/minの流量で流しながら、そこにV族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び8μmol/minで凹溝の側面の結晶成長面部分に低温バッファ層約30nmを形成した。
【実施例】
【0138】
続いて、基板の温度を1000℃とすると共に反応容器内の圧力を100kPaとし、また、反応容器内を流通させるキャリアガスをH2として、それを10L/minの流量で流通させながら、そこにV族元素供給源(NH3)、及びIII族元素供給源(TMG)を、それぞれの供給量が5L/min及び100μmol/minとなるように(V族元素/III族元素の供給モル比=2190)10分間流し、低温バッファ層の上にGaN(アンドープGaN)を結晶成長させることにより基板主面部分の法線方向に成長するように基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0139】
<実施例6>
c軸方向へのオフ角度θ2がc面に近づく方向をプラスとして-1°であるサファイア基板のミスカット基板を用いたことを除いて実施例1と同様にサファイア基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0140】
<実施例7>
オフ角度θ2が-0.5°であるサファイア基板のミスカット基板を用いたことを除いて実施例1と同様にサファイア基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0141】
<実施例8>
オフ角度θ2が+0.5°であるサファイア基板のオフカット基板を用いたことを除いて実施例1と同様にサファイア基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0142】
<実施例9>
オフ角度θ2が+1°であるサファイア基板のオフカット基板を用いたことを除いて実施例1と同様にサファイア基板上にu-GaN層を形成した。
【実施例】
【0143】
(試験結果)
実施例5~9のそれぞれで得られたu-GaN層について、表面のノルマルスキー顕微鏡観察及び走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、オフ角度θ2が大きくなるに従って表面の凹凸が多いことが分かった。
【実施例】
【0144】
実施例5~9のそれぞれで得られたu-GaN層について、X線回折装置を用いて、(11-22)面のc軸入射、(11-22)面のm軸入射、及びc面反射のそれぞれの方向からX線を照射したときの半値全幅(FWHM)を求めたところ、図17に示す結果が得られた。図17によれば、(11-22)面のc軸入射の場合、オフ角度θ2が小さくなるに従って結晶性が高くなる傾向が伺える。(11-22)面のm軸入射及びc面反射の場合、オフ角度θ2が-0.5°のときに最も結晶性が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、半導体基板及びその製造方法、並びにそれを用いた電子デバイス及び半導体発光素子について有用である。
【符号の説明】
【0146】
S 半導体基板
10 半導体発光素子
11 サファイア基板
12 基板表面
12a 基板主面部分
12b 結晶成長面部分
13 結晶成長阻止層
14 凹溝
15 u-GaN層(半極性面GaN層)
17 多重量子井戸層
17a InGaN層(量子井戸層)
17b GaN層(障壁層)
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図13】
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(In Japanese)【図14】
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(In Japanese)【図15】
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(In Japanese)【図16】
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(In Japanese)【図17】
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(In Japanese)【図18】
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