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明細書 :ファイバーリングレーザー、光パルス、及び光断層画像化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6742690号 (P6742690)
公開番号 特開2016-134437 (P2016-134437A)
登録日 令和2年7月31日(2020.7.31)
発行日 令和2年8月19日(2020.8.19)
公開日 平成28年7月25日(2016.7.25)
発明の名称または考案の名称 ファイバーリングレーザー、光パルス、及び光断層画像化装置
国際特許分類 H01S   3/067       (2006.01)
H01S   3/00        (2006.01)
H01S   3/083       (2006.01)
G01N  21/17        (2006.01)
FI H01S 3/067
H01S 3/00 F
H01S 3/083
G01N 21/17 630
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2015-006924 (P2015-006924)
出願日 平成27年1月16日(2015.1.16)
審査請求日 平成30年1月10日(2018.1.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 将之
【氏名】黒田 寛人
【氏名】米谷 新
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
審査官 【審査官】高椋 健司
参考文献・文献 国際公開第2005/086299(WO,A1)
米国特許出願公開第2014/0341237(US,A1)
特開2005-294806(JP,A)
特開2006-165563(JP,A)
特表2012-511260(JP,A)
特開2009-277754(JP,A)
調査した分野 H01S 3/00-3/30
G01N 21/17
特許請求の範囲 【請求項1】
励起光を発生する励起光源と、
前記励起光が入射される第1の光カップラーと、
前記第1の光カップラーから入射された前記励起光によって励起されるYb添加ファイバーと、
前記励起光源が前記励起光を発生するとき、前記励起光によって励起された前記Yb添加ファイバーが放出する放出光を伝搬する第1のシングルモードファイバーと、
前記励起光が前記Yb添加ファイバーに入射する方向と逆方向の光伝搬を防ぐためのアイソレーターと、
を備え、前記放出光から光パルスを形成するファイバーリングレーザーであって、
前記第1のシングルモードファイバーの長さが55cm以上68cm以下であり、
前記Yb添加ファイバーの前記励起光の中心波長における吸収損失が2700dB/m以上2800dB/m以下であり、前記Yb添加ファイバーの長さが20cm以上29cm以下である、ことを特徴とするファイバーリングレーザー。
【請求項2】
励起光を発生する励起光源と、
前記励起光が入射される第1の光カップラーと、
前記第1の光カップラーから入射された前記励起光によって励起されるYb添加ファイバーと、
前記励起光源が前記励起光を発生するとき、前記励起光によって励起された前記Yb添加ファイバーが放出する放出光を伝搬する第1のシングルモードファイバーと、
前記励起光が前記Yb添加ファイバーに入射する方向と逆方向の光伝搬を防ぐためのアイソレーターと、
を備え、前記放出光から光パルスを形成するファイバーリングレーザーであって、
前記第1のシングルモードファイバーの長さが55cm以上68cm以下であり、
前記Yb添加ファイバーの前記励起光の中心波長における吸収損失が2700dB/m以上2800dB/m以下であり、前記Yb添加ファイバーの長さを1としたときの前記第1のシングルモードファイバーの長さが、1.964以上2.428以下である、ことを特徴とするファイバーリングレーザー。
【請求項3】
前記第1のシングルモードファイバーから出射される前記励起光及び前記放出光が入射される第1のコリメーターと、
前記第1のコリメーターから出射される前記励起光及び前記放出光が入射される第1のλ/4波長板及び第1のλ/2波長板と、
前記第1のλ/4波長板及び第1のλ/2波長板から出射される前記励起光及び前記放出光から、前記光パルスの一部を分離する偏光素子と、
をさらに備える、請求項1から2のいずれかに記載のファイバーリングレーザー。
【請求項4】
前記偏光素子から出射される前記光パルスの群速度分散を補償するための分散補償光学素子と、
前記分散補償光学素子から出射された前記励起光及び前記放出光を反射して前記アイソレーターに入射する第1のミラーと、
をさらに備える、請求項3に記載のファイバーリングレーザー。
【請求項5】
前記分散補償光学素子は、
平行に配置された第1の回折格子及び第2の回折格子と、
第2のミラーと、
を備え、
前記励起光が前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子で回折され、前記第2のミラーで反射され、次いで前記第2の回折格子及び前記第1の回折格子で回折されると、前記光パルスの群速度分散による影響が補償される、請求項4に記載のファイバーリングレーザー。
【請求項6】
前記アイソレーターから出射される前記放出光が入射される第2のλ/4波長板と、
前記第2のλ/4波長板から出射される前記励起光及び前記放出光が入射される第2のコリメーターと、
前記第2のコリメーターと前記第1の光カップラーとを結合する、第2のシングルモードファイバーと、
を備える、請求項1から5のいずれかに記載のファイバーリングレーザー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のファイバーリングレーザーによって生成されることを特徴とする光パルス。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のファイバーリングレーザーと、
前記ファイバーリングレーザーから入射される光パルスを測定光及び参照光に分岐する分岐部と、
前記測定光を被測定物体に照射し、前記被測定物体からの反射光を受光する照射受光部と、
前記測定光が前記被測定物体に照射されたときに、前記反射光と前記参照光との干渉光を測定して測定データを生成する干渉光測定部と、
前記測定データから、前記被測定物体の複数の深さ位置における前記反射光の強度を算出して前記被測定物体の深さ方向の一次元断層画像を生成する画像生成部と、
を備えることを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項9】
前記干渉光測定部は、分光素子と光センサとを備え、
前記分光素子が、入射された前記干渉光を波長成分に分解し、
前記光センサが、波長成分に分解された前記干渉光の波長成分毎の強度を測定することにより測定データを生成する、請求項8に記載の光断層画像化装置。
【請求項10】
照射検出部を更に備え、
前記照射検出部は、前記被測定物体の深さ方向に垂直な面内で前記被測定物体を走査する走査部を備え、前記画像生成部は、前記走査部が走査した前記面内のそれぞれの位置において生成された前記一次元断層画像から、前記測定物の3次元断層画像を生成する、請求項8から9のいずれかに記載の光断層画像化装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバーリングレーザー、ファイバーリングレーザーが発生する光パルス、及びファイバーリングレーザーが発生する光パルスを光源とするフーリエドメイン型光断層画像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉計の原理を応用して生体組織の断層画像を生成する光断層画像化装置(OCT)が知られている。光断層画像化装置は、低コヒーレンス光を測定光と参照光とに分離し、測定光を生体組織に照射する。生体組織に照射された測定光が生体組織により散乱又は反射される。後方散乱された反射光は光断層画像化装置に戻る。光断層画像化装置は、反射光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、干渉光を用いて生体組織の複数の深さにおける散乱光の強度を画像化する。このような光断層画像化装置のうち、干渉光の波長分布データをフーリエ変換して生体組織の複数の深さにおける散乱光の強度を画像化するものは、フーリエドメイン型光断層画像化装置(FD-OCT)と呼ばれ、他の方式の光断層画像化装置と比較して、可動部分が少なく、装置全体が軽量化及び安定化できる利点がある。
【0003】
光断層画像化装置は、眼科の網膜診断にも使用されている。例えば、網膜中心部の黄斑部の断層画像を取得するために、波長0.8μm帯の照射光が用いられている。この波長帯は、水の光吸収が少なく、この波長帯の照射光を利用した光断層画像化装置は、色素上皮膜視細胞層等の、網膜の生体組織を識別可能な断層画像を生成する。
【0004】
一方、色素状被膜下の毛細血管網や篩状板の深部の生体組織を画像化するためには、網膜の生体組織で散乱又は反射される波長0.8μm帯の光と異なり、かつ硝子体で吸収されてしまう波長1.5μm帯の光とも異なる、別の波長帯の光を測定光として用いる必要がある。980nm~1150nmの波長帯は、「2番目の水の窓」と呼ばれており、この波長帯の光は、硝子体での吸収率が低い。さらに、980nm~1150nmの波長帯の光は、角膜側から照射されたとき、可視光を吸収して電気信号に変える網膜で捉えられずに、眼底部分まで入る。光断層画像化装置を用いて色素状被膜下の毛細血管網や篩状板の深部の生体組織を画像化するために、980nm~1150nmの波長帯の光が求められている。
【0005】
980nm~1150nmの波長帯の光源を発生する光源の1つとして、Yb添加ファイバーを備えるファイバーリングレーザーが、従来から知られていた。例えば、Yb添加ファイバーを備えるファイバーリングレーザーが、ノイズライク光パルスを生成することが知られている(非特許文献1)。Yb添加ファイバーを備えるファイバーリングレーザーが生成する光パルスの強度自己相関波形のグラフの時点差ゼロピコ秒において、ノイズライク光パルス特有のスパイクが観測されている(同Fig.3(b)参照)。
【0006】
しかしながら、そのスペクトル分布幅は、約10nmの狭帯域である(同Fig.3(a)参照)。一方、光断層画像化装置は干渉計の原理を用いるので、干渉計と同様、光断層画像化装置の測定光が広帯域でなければ、深さ方向の分解能が向上しない。即ち、上記のファイバーリングレーザーが生成する狭帯域の光パルスを光断層画像化装置の測定光として用いても、深さ方向の十分な分解能が得られないという問題がある。
【0007】
したがって、光断層画像化装置の測定光に用いた場合に、深さ方向に十分な分解能を有する眼底部分の生体組織の画像が得られる、略1050nmに中心波長を有する100nm~110nmの広帯域な光パルスを生成することが求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】Kobtsev,Sergey,et al.“Generation of double-scale femto/pico-second optical lumps in mode-locked fiber lasers.” Optics Express 17.23 (2009): 20707-20713
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、FD-OCTの測定光に用いた場合に、深さ方向に十分な分解能を有する眼底部分の生体組織の画像が得られる、略1050nmに中心波長を有する広帯域な光パルスを生成するファイバーリングレーザー、ファイバーリングレーザーが発生する光パルス、及びファイバーリングレーザーが発生する光パルスを光源とするFD-OCTを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 励起光を発生する励起光源と、
前記励起光が入射される第1の光カップラーと、
前記第1の光カップラーから入射された前記励起光によって励起されるYb添加ファイバーと、
前記励起光源が前記励起光を発生するとき、前記励起光によって励起された前記Yb添加ファイバーが放出する放出光を伝搬する第1のシングルモードファイバーと、
前記励起光が前記Yb添加ファイバーに入射する方向と逆方向の光伝搬を防ぐためのアイソレーターと、
を備え、前記放出光から光パルスを形成するファイバーリングレーザーであって、
前記第1のシングルモードファイバーの長さが55cm以上68cm以下であることを特徴とするファイバーリングレーザーである。
前記ファイバーリングレーザーにおいては、励起光源が発生した前記励起光が前記Yb添加ファイバーに入射すると、前記放出光が放出される。前記放出光が前記第1のシングルモードファイバーを伝播し、前記アイソレーターを透過し、前記ファイバーリングレーザーのリング状の光路を周回すると、前記光パルスが形成される。このとき、前記第1のシングルモードファイバーの長さが55cm以上68cm以下であるがために、眼底部分の生体組織の画像化に好適な、略1050nmに中心波長を有する100nm~110nmの広帯域な光パルスが形成される。
<2> 前記<1>に記載のファイバーリングレーザーによって生成されることを特徴とする光パルスである。
<3> 前記<1>に記載のファイバーリングレーザーと、
前記ファイバーリングレーザーから入射される前記光パルスを測定光及び参照光に分岐する分岐部と、
前記測定光を被測定物体に照射し、前記被測定物体からの反射光を受光する照射受光部と、
前記測定光が前記被測定物体に照射されたときに、前記反射光と前記参照光との干渉光を測定して測定データを生成する干渉光測定部と、
前記測定データから、前記被測定物体の複数の深さ位置における前記反射光の強度を算出して前記被測定物体の深さ方向の一次元断層画像を生成する画像生成部と、
を備えることを特徴とする光断層画像化装置である。
前記光断層画像化装置においては、前記<1>に記載のファイバーリングレーザーが前記光パルスを前記分岐部に入射すると、前記光パルスは、前記測定光及び前記参照光に分岐される。前記分岐部が前記測定光を前記照射受光部に入射し、前記照射受光部が前記測定光を前記被測定物体に照射すると、前記被測定物体から前記反射光が反射される。前記照射受光部が前記反射光を受光し、前記反射光を前記干渉光測定部に入射すると、前記測定光及び前記参照光の前記干渉光が測定され、前記測定データが生成される。前記画像生成部が前記測定データを入力すると、前記被測定物体の深さ方向の一次元断層画像が生成される。
【0011】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、FD-OCTの測定光に用いた場合に、深さ方向に十分な分解能を有する眼底部分の生体組織の画像が得られる、略1050nmに中心波長を有する100nm~110nmの広帯域な光パルスを生成するファイバーリングレーザー、ファイバーリングレーザーが発生する光パルス、及びファイバーリングレーザーが発生する光パルスを光源とするFD-OCTを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係るファイバーリングレーザーの一例であるファイバーリングレーザー1000の概略図である。
【図2】図2は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生する光パルスの波形と通常のモードロック光パルスの波形とを示すグラフである。
【図3】図3は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生するノイズライク光パルスのスペクトル分布と従来のモードロック光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生するノイズライク光パルスの強度自己相関波形を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生するノイズライク光パルスの干渉自己相関波形を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、第2のλ/4波長板1120の光学軸を回転したときの、ノイズライク光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、第1のシングルモードファイバー1040の長さを変更したときの、ノイズライク光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、Yb添加ファイバー1030の長さを変更したときの、ノイズライク光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000を備える光断層画像化装置の一例である光断層画像化装置2000のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のファイバーリングレーザーは、励起光を発生する励起光源と、励起光が入射される第1の光カップラーと、第1の光カップラーから入射された励起光によって励起されるYb添加ファイバーと、励起光源が励起光を発生するとき、励起光によって励起されたYb添加ファイバーが放出する放出光を伝搬する第1のシングルモードファイバーと、励起光が前記Yb添加ファイバーに入射する方向と逆方向の光伝搬を防ぐためのアイソレーターと、を備え、放出光が光パルスを形成し、第1のシングルモードファイバーの長さが55cm以上68cm以下である。第1のシングルモードファイバーの長さを従来用いられていた10cmの長さのものより長くすることにより、ノイズライク発振が安定に発生する。第1のシングルモードファイバーの長さを70cmより長くすると、ノイズライク発振は発生せず、CW発振が発生する。第1のシングルモードファイバーの長さを20cmから70cmの範囲で変えた場合、55cm以上68cm以下の場合に最も良好なノイズライク発振が発生する。
本発明に係るファイバーリングレーザーが発生するノイズライク光パルスは、眼底の診断用として光断層画像化装置に好適に使用でき、例えば、緑内障の発生機構に迫ることも期待できる。

【0014】
Yb添加ファイバーの励起光の中心波長における吸収損失が2700dB/m以上2800dB/m以下であり、Yb添加ファイバーの長さが20cm以上29cm以下であるのが好ましい。Yb添加ファイバーの中心波長における吸収損失を従来用いられていた1200dB/mのものより高い2750dB/mとし、従来用いられていた15cmの長さのものより長くすることにより、ノイズライク発振が安定に発生する。

【0015】
Yb添加ファイバーの前記励起光の中心波長における吸収損失が2700dB/m以上2800dB/m以下であり、前記Yb添加ファイバーの長さを1としたときの第1のシングルモードファイバーの長さが、1.964以上2.428以下であるのが好ましい。前記Yb添加ファイバーの長さに応じて前記第1のシングルモードファイバーの長さを設定することにより、ノイズライク発振が安定に発生する。

【0016】
ファイバーリングレーザーが、第1のシングルモードファイバーから出射される励起光及び放出光が入射される第1のコリメーターと、第1のコリメーターから出射される励起光及び放出光が入射される第1のλ/4波長板及び第1のλ/2波長板と、第1のλ/4波長板及び第1のλ/2波長板から出射される励起光及び放出光から、光パルスの一部を分離する偏光素子と、をさらに備えるのが好ましい。こうすると、ノイズライク光パルスを励起光から分離して取り出すことができ、残りの光は、ファイバーリングレーザーのリング状の光路をさらに周回する。偏光素子は、偏光ビームスプリッターであるのが好ましい。

【0017】
ファイバーリングレーザーが、偏光素子から出射される光パルスの群速度分散を補償するための分散補償光学素子と、分散補償光学素子から出射された励起光及び放出光を反射してアイソレーターに入射する第1のミラーと、をさらに備えるのが好ましい。こうすると、光パルスの群速度分散による影響が補償されることにより、光パルスが整形される。

【0018】
分散補償光学素子が、平行に配置された第1の回折格子及び第2の回折格子と、第2のミラーと、を備え、励起光が第1の回折格子及び第2の回折格子で回折され、第2のミラーで反射され、次いで第2の回折格子及び第1の回折格子で回折されると、光パルスの群速度分散による影響が補償されるのが好ましい。このように、受動光学素子を用いて群速度分散による影響を補償することにより、能動光学素子を用いる場合と比較して、ファイバーリングレーザーの構成がより簡潔になる。

【0019】
ファイバーリングレーザーが、アイソレーターから出射される放出光が入射される第2のλ/4波長板と、第2のλ/4波長板から出射される放出光が入射される第2のコリメーターと、第2のコリメーターと第1の光カップラーとを結合する、第2のシングルモードファイバーと、を備えるのが好ましい。第2のλ/4波長板の光学軸を調節することによって、生成される光パルスのスペクトル分布を調節することができる。

【0020】
ファイバーリングレーザーが、前記第1のλ/4波長板、前記第1のλ/2波長板、及び前記第2のλ/4波長板、前記偏光ビームスプリッター、前記第1の回折格子、前記第2の回折格子、及び前記第2のミラーの全てを備えるのが、さらに好ましい。前記第1のλ/4波長板、前記第1の1/2波長板で偏向方向を制御して、前記偏光ビームスプリッターで偏光制御された水平偏光部分のみをファイバーリングレーザー共振器から取り出すことができる。前記第1の回折格子、前記第2の回折格子、及び前記第2のミラー回折格子を使用すると、ファイバーリングレーザー共振器内の分散を制御することができる。

【0021】
励起光源が、波長略915nmの光又は波長略975nmの励起光を発生するレーザーダイオードであるのが好ましい。Yb添加ファイバーは、励起光源からの励起光を吸収し、1000nm~1070nmの放出光を放出する。

【0022】
本発明の光パルスは、本発明のファイバーリングレーザーによって生成される。本発明に係るファイバーリングレーザーが発生するノイズライク光パルスにおいては、パルスの1つ1つの形状が異なるが、全体としては、多くの光パルスが集まって広いスペクトル分布が得られる。多くの光パルスを合わせると、スペクトル分布は、略1050nmにピークがあり、かつ100nm~110nmの広帯域になる。このようにして得られるノイズライク光パルスを光断層画像化装置の測定光パルスとして用いると、被測定物体が眼底部分の生体組織である場合、視神経乳頭の篩状板の深部の高解像度での観察を可能にする。本発明に係るノイズライク光パルスは、眼底の診断用として光断層画像化装置に好適に使用でき、例えば、緑内障の発生機構に迫ることも期待できる。

【0023】
本発明の光断層画像化装置は、本発明のファイバーリングレーザーと、ファイバーリングレーザーから入射される光パルスを測定光及び参照光に分岐する分岐部と、測定光を被測定物体に照射し、被測定物体からの反射光を受光する照射受光部と、測定光が被測定物体に照射されたときに、反射光と参照光との干渉光を測定して測定データを生成する干渉光測定部と、測定データから、被測定物体の複数の深さ位置における反射光の強度を算出して被測定物体の深さ方向の一次元断層画像を生成する画像生成部と、を備える。本発明のファイバーリングレーザーから入射される光パルスを利用することにより、本発明の光断層画像化装置は、深さ方向に十分な分解能を有する眼底部分の生体組織の画像を得ることができる。

【0024】
干渉光測定部が、分光素子と光センサとを備え、分光素子が、入射された干渉光を波長成分に分解し、光センサが、波長成分に分解された干渉光の波長成分毎の強度を測定することにより測定データを生成するのが好ましく、画像生成部は、フーリエ変換を用いて測定データから被測定物体の複数の深さ位置における反射光の強度を算出するのが好ましい。こうすると、タイムドメイン型の光断層画像化装置のように、複数の深さ位置に併せて複数回の測定を行わずに、一回の測定で被測定物体の複数の深さ位置における反射光の強度を算出できる。

【0025】
照射検出部が、被測定物体の深さ方向に垂直な面内で被測定物体を走査する走査部を備え、画像生成部が、走査部が走査した面内のそれぞれの位置において生成された一次元断層画像から、測定物の3次元断層画像を生成するのが好ましい。このようにして得られる3次元断層画像は、被測定物体が眼底部分の生体組織である場合、視神経乳頭の篩状板の深部の高解像度での観察を可能にする。本発明に係る光断層画像化装置は、眼底の診断用として好適に使用でき、例えば、緑内障の発生機構に迫ることも期待できる。

【0026】
図1は、本発明に係るファイバーリングレーザーの一例であるファイバーリングレーザー1000の概略図である。ファイバーリングレーザー1000は、励起光源1010、第1の光カップラー1020、Yb添加ファイバー1030、第1のシングルモードファイバー1040、第1のコリメーター1050、第1のλ/4波長板1060、第1のλ/2波長板1070、偏光素子1080、分散補償光学素子1090、第1のミラー1100、アイソレーター1110、第2のλ/4波長板1120、第2のコリメーター1130、及び第2のシングルモードファイバー1140を備える。

【0027】
励起光源1010は、ファイバーリングレーザー1000が備えるYb添加ファイバー1030を励起するための励起光を発生する。一例において、励起光源1010は、波長略915nmの光又は波長略975nmの低コヒーレント光を発生する光源であればよく、レーザーダイオードであってもよい。

【0028】
励起光源1010からの励起光は、次いで第1の光カップラー1020を介して、Yb添加ファイバー1030、第1のシングルモードファイバー1040、第1のコリメーター1050、第1のλ/4波長板1060、第1のλ/2波長板1070、偏光素子1080、分散補償光学素子1090、第1のミラー1100、アイソレーター1110、第2のλ/4波長板1120、第2のコリメーター1130、及び第2のシングルモードファイバー1140を備えるファイバーリングレーザー1000のリング状の光路に入射される。励起光源1010及び第1の光カップラー1020は、シングルモードファイバーで結合されていてもよい。第1の光カップラー1020は、波長分割多重通信カップラー(WDM)であってもよい。

【0029】
第1の光カップラー1020を介してファイバーリングレーザー1000のリング状の光路に入射された励起光は、次いでYb添加ファイバー1030に入射される。Yb添加ファイバー1030は、励起光源からの波長略915nmの光又は波長略975nmの励起光を吸収し、1030nm~1070nmの放出光を放出する。一例において、Yb添加ファイバー1030の励起光の中心波長における吸収損失が2750dB/m以下であり、長さが28cmである。放出された波長1030nm~1070nmの放出光のうち、ファイバーリングレーザー1000のリング状の光路を周回した放出光の同相成分と合成され、光パルスが生成される。生成された光パルスは、励起光とともにリング状の光路を周回する。Yb添加ファイバー1030が正の分散値を有するので、Yb添加ファイバー1030を伝搬した光パルスは、群速度分散の影響によりアップチャープされ、そのパルス幅が広がる。

【0030】
ファイバーリングレーザー1000において用いられるファイバーは、偏波無依存であるのが好ましい。こうすると、ファイバー内で発生する非線形偏波回転により、ファイバー内で励起光の偏光は、楕円偏光で回転しながら伝搬する。
ファイバーリングレーザー1000を設置する際に、Yb添加ファイバー1030及び第1のシングルモードファイバー1040の長さ及び配置を決定すると、それに応じて励起光がYb添加ファイバー1030及び第1のシングルモードファイバー1040を伝搬した時の偏光状態が決定される。

【0031】
第1のシングルモードファイバー1040及び第1のコリメーター1050を通過した光は、第1のλ/4波長板1060に入射される。第1のλ/4波長板1060において、励起光の偏光を、楕円偏光から直線偏光に戻すように、第1のλ/4波長板1060の光学軸を調節しておくのが好ましい。第1のλ/4波長板1060を出射した光は、第1のλ/2波長板1070に入射される。第1のλ/2波長板1070において、前記直線偏光の偏光方向が回転される。

【0032】
第1のλ/2波長板1070を出射した光パルスは、次いで励起光とともに偏光素子1080に入射される。偏光素子1080は、入射された光を偏光成分に分離する。一例において、偏光素子1080は、偏光ビームスプリッターであるのが好ましい。前記直線偏光の偏光方向を、偏光素子1080のP偏光方向に回転するように、第1のλ/2波長板1070の光学軸を調節しておくのが好ましい。偏光素子1080は、第1のλ/2波長板1070を透過してP偏光となった励起光を透過する一方、励起光とともに偏光素子1080に入射した光パルスのP偏光成分を透過し、偏光素子1080と同じ水平偏光を有する、光パルスのS偏光成分を反射する。反射された光パルスは、ファイバーリングレーザー1000の出力光パルスとして、励起光から分離された状態で取り出すことができる。

【0033】
偏光素子1080を透過した光パルスは、次いで励起光とともに、分散補償光学素子1090に入射される。分散補償光学素子1090は、光パルスの群速度分散による影響を補償して、光パルスを整形する。

【0034】
一例において、分散補償光学素子1090は、一対の平行に配置された回折格子1092,1094及び第2のミラー1096を備えてもよい。分散補償光学素子1090は、回折格子が異なる周波数成分を異なる方向に回折する性質を利用して、平行に配置された一対の回折格子1092,1094及び第2のミラー1096を用いて光路長を周波数成分に応じて変化させることにより、入射された光パルスの群速度分散による影響を補償する。分散補償光学素子1090として、回折格子1092,1094の代わりに波長1000nm帯における負分散を有するファイバーを用いてもよい。

【0035】
分散補償光学素子1090を透過した光パルスは、次いで第1のミラー1100で反射されてアイソレーター1110に入射される。アイソレーター1110は、一方向の光を透過し逆方向の光を遮る。

【0036】
アイソレーター1110を透過した光パルスは、第2のλ/4波長板1120を介して第2のコリメーター1130に入射される。第2のコリメーター1130から出射された光パルスは、第2のシングルモードファイバー1140を伝搬して、第1の光カップラー1020に入射され、ファイバーリングレーザー1000のリング状の光路を反時計回りの向きに周回する。

【0037】
図2は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生する光パルスの波形と従来のモードロック光パルスの波形とを示すグラフである。上段には、従来のモードロック光パルスが示され、下段には、ファイバーリングレーザー1000が発生する光パルスが示されている。従来のモードロック光パルスの1つ1つが同じ形状を有しているのに対し、ファイバーリングレーザー1000が発生する光パルスは、1つ1つの形状が異なっており、ノイズライク光パルスであることがわかる。

【0038】
図3は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生するノイズライク光パルスのスペクトル分布と従来のモードロック光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。グラフ中にラベルMLで示される従来のモードロック光パルスのスペクトル分布は、波長略1020nmと波長略1090nmにピークがあり、その間が沈んでいる形状を有している。一方、グラフ中にラベルNLで示されるファイバーリングレーザー1000のスペクトル分布は、波長略1050nmと波長略1100nmにピークを有する、釣鐘状の形状を有する。このような略釣鐘状の形状をしたスペクトル分布を有する光パルスは、光パルスのスペクトル分布を補正するためのスペクトル分布補正フィルタを適用することなく干渉計の原理を応用した本発明に係る光断層画像化装置のパルス光源として使用できるので、好適である。

【0039】
このように、本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生するノイズライク光パルスにおいては、光パルスの1つ1つの形状が異なるが、全体としては、多くの光パルスが集まって広いスペクトル分布が得られる。多くの光パルスを合わせると、スペクトル分布は、波長略1050nm及び波長略1100nmにピークがあり、100nm~110nmの広帯域になり、かつ安定している。

【0040】
図4及び図5は、それぞれ本発明に係るファイバーリングレーザー1000が発生するノイズライク光パルスの強度自己相関波形及び干渉自己相関波形を示すグラフである。時点差ゼロピコ秒において、略100フェムト秒程度の幅を有するスパイクが観測される。このようなスパイクは、従来のモードロック光パルスの自己相関波形を示すグラフにおいては観測されないものであり、ノイズライク光パルスを特徴づけるものである。ファイバーリングレーザー1000においては、第1のシングルモードファイバー1040とYb添加ファイバー1030との非線形効果により、このようなノイズライク光パルスが生成された可能性があると考えられる。

【0041】
本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、第1のシングルモードファイバー1040の長さを55cm以上68cm以下としたことが本発明の特徴の一つである。非線形位相シフトによる空間ビーム形状のひずみとパルス形状の崩壊を起こさないようにするためには第1のシングルモードファイバー1040の長さを短くしなければならないと思われていた。従来、第1のシングルモードファイバー1040は10cmの長さのものが用いられていた。しかしながら、第1のシングルモードファイバー1040の長さを58cmとしたファイバーリングレーザー1000は、図2~図5に示された結果から、ノイズライク発振していることがわかる。第1のシングルモードファイバー1040の長さを55cm以上68cm以下とした場合にも、ファイバーリングレーザー1000がノイズライク発振していることが観測された。

【0042】
本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、第1のシングルモードファイバー1040の長さを20cmから70cmの範囲で変えた場合、55cm以上68cm以下の場合に最も良好なノイズライク発振が発生し、70cmを超えると、CW発振が発生した。このように、ファイバーリングレーザー1000において、第1のシングルモードファイバー1040の長さには臨界性があることが分かる。

【0043】
本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、Yb添加ファイバー1030の励起光の中心波長における吸収損失が2750dB/mであり、長さが28cmである点も、本発明の特徴の一つである。従来、Yb添加ファイバー1030の長さを長くすると再吸収が発生して発振強度が弱くなると考えられており、中心波長における吸収損失が1200dB/mのYb添加ファイバーが30cmの長さだけ使われるか、又は中心波長における吸収損失が2750dB/mのYb添加ファイバーが15cmの長さだけ使われるかのいずれかであった。

【0044】
図6は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、第2のλ/4波長板1120の光学軸を回転したときの、ノイズライク光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。このように、ファイバーリングレーザー1000の発生するノイズライク光パルスのスペクトル分布は、第2のλ/4波長板1120の光学軸の向きにも依存することが判る。光学軸を調整してファイバーリングレーザー共振器内に蓄積するエネルギーを制御し、非線形効果の強度を制御すると、図3に示すような好ましいスペクトル分布が形成される。

【0045】
図7は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、第1のシングルモードファイバー1040の長さを変更したときの、ノイズライク光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。図7において、Yb添加ファイバー1030の長さは、いずれも28cmである。第1のシングルモードファイバー1040の長さが58cm及び66cmの場合は、スペクトル分布の形状が略釣鐘型である良好なノイズライク光パルスが発生するのに対し、第1のシングルモードファイバー1040の長さが23cmの場合は、波長略1000nm、波長略1030nm、及び波長略1070nmにピークがあり、その間が沈んでいる形状を有している。

【0046】
図8は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、Yb添加ファイバー1030の長さを変更したときの、ノイズライク光パルスのスペクトル分布を示すグラフである。図8において、第1のシングルモードファイバー1040の長さは、いずれも58cmである。いずれの場合も、スペクトル分布の形状が略釣鐘型であるノイズライク光パルスが発生する。Yb添加ファイバー1030の長さが17cm、20cm、28cmの場合のスペクトル分布の半値全幅は、それぞれ略50nm、略100nm、略120nmであり、Yb添加ファイバー1030が長いほど、スペクトル分布幅が広がっている。

【0047】
本発明に係るファイバーリングレーザー1000において、Yb添加ファイバー1030の長さにあわせて第1のシングルモードファイバー1040の長さを調節してもよい。一例において、Yb添加ファイバー1030の長さと1としたときに、第1のシングルモードファイバー1040の長さが1.964以上2.428以下となるように、Yb添加ファイバー1030の長さにあわせて第1のシングルモードファイバー1040の長さを調節してもよい。

【0048】
図9は、本発明に係るファイバーリングレーザー1000を備える光断層画像化装置の一例である光断層画像化装置2000のブロック図である。光断層画像化装置2000は、パルス光源発生部2010と、分岐合成部2020と、照射検出部2030と、参照光反射部2050と、干渉光測定部2060と、画像生成部2070とを備える。光断層画像化装置2000は、被測定物体2040の断層画像を画像生成部2070から出力する。光断層画像化装置2000は、マイケルソン型の干渉計を用いた構成を有するが、これに代えてマッハツェンダー型の干渉計を用いてもよい。

【0049】
パルス光源発生部2010から入射される光パルスは、分岐合成部2020において測定光パルス及び参照光パルスに分岐される。パルス光源発生部2010は、ファイバーリングレーザー1000であってもよい。分岐合成部2020は、偏光ビームスプリッターであってもよい。

【0050】
分岐合成部2020において測定光に分岐された測定光パルスは、照射検出部2030に入射される。照射検出部2030は、一例において走査部を備える。走査部が、被測定物体2040の深さ方向に垂直な面内で被測定物体2040を走査する間に、照射検出部2030は被測定物体2040に測定光パルスを照射する。走査部は、ガルバノスキャナーであってもよい。

【0051】
被測定物体2040において反射された測定光パルスは、照射検出部2030を介して、分岐合成部2020に入射され、参照光反射部2050において反射された参照光パルスと合成されて干渉光パルスとなり、干渉光測定部2060に入射される。本実施形態においては、測定光パルス及び参照光パルスの分岐及び合成は、ともに分岐合成部2020において行われているが、分岐及び合成は、それぞれ別の光学素子によって行われてもよい。

【0052】
干渉光測定部2060は、入射された干渉光パルスを、例えば、回折格子やプリズム等の分光素子を用いて波長成分に分解する。次いで、干渉光測定部2060は、光センサを用いて波長成分に分解された干渉光パルスの波長成分毎の強度を測定して測定データを生成し、生成された測定データを画像生成部2070に入力する。光センサは、ラインセンサであってもよい。

【0053】
画像生成部2070は、測定データを入力し、フーリエ変換を用いて測定データから被測定物体2040の複数の深さ位置における前記反射光の強度を算出して、被測定物体の深さ方向の一次元断層画像を生成する。フーリエ変換は、高速フーリエ変換アルゴリズム等を用いた数値計算で行われてもよい。一例において、照射検出部2030が備える走査部が走査したそれぞれの位置において画像生成部2070が生成した一次元断層画像を寄せ集めることにより、画像生成部20は、被測定物体2040の3次元断層画像を生成する。被測定物体2040が眼底部分の生体組織である場合、このようにして得られる3次元断層画像は、視神経乳頭の篩状板の深部の高解像度での観察を可能にする。本発明に係る光断層画像化装置は、眼底の診断用として好適に使用でき、例えば、緑内障の発生機構に迫ることも期待できる。

【0054】
以上、本発明のファイバーリングレーザー、本発明のファイバーリングレーザーが生成する光パルス、及び本発明のファイバーリングレーザーが生成する光パルスをパルス光源とする光断層画像化装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差し支えない。

【0055】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 励起光を発生する励起光源と、
前記励起光が入射される第1の光カップラーと、
前記第1の光カップラーから入射された前記励起光によって励起されるYb添加ファイバーと、
前記励起光源が前記励起光を発生するとき、前記励起光によって励起された前記Yb添加ファイバーが放出する放出光を伝搬する第1のシングルモードファイバーと、
前記励起光が前記Yb添加ファイバーに入射する方向と逆方向の光伝搬を防ぐためのアイソレーターと、
を備え、前記放出光から光パルスを形成するファイバーリングレーザーであって、
前記第1のシングルモードファイバーの長さが55cm以上68cm以下であることを特徴とするファイバーリングレーザーである。
<2> 前記Yb添加ファイバーの前記励起光の中心波長における吸収損失が2700dB/m以上2800dB/m以下であり、前記Yb添加ファイバーの長さが20cm以上29cm以下である、前記<1>に記載のファイバーリングレーザーである。
<3> 前記Yb添加ファイバーの前記励起光の中心波長における吸収損失が2700dB/m以上2800dB/m以下であり、前記Yb添加ファイバーの長さを1としたときの前記第1のシングルモードファイバーの長さが、1.964以上2.428以下である、前記<1>に記載のファイバーリングレーザーである。
<4> 前記第1のシングルモードファイバーの長さが58cmである、前記<1>から<3>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーである。
<5> 前記第1のシングルモードファイバーから出射される前記励起光及び前記放出光が入射される第1のコリメーターと、
前記第1のコリメーターから出射される前記励起光及び前記放出光が入射される第1のλ/4波長板及び第1のλ/2波長板と、
前記第1のλ/4波長板及び第1のλ/2波長板から出射される前記励起光及び前記放出光から、前記光パルスの一部を分離する偏光素子と、
をさらに備える、前記<1>から<4>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーである。
<6> 前記偏光素子は、偏光ビームスプリッターである、前記<5>に記載のファイバーリングレーザーである。
<7> 前記偏光素子から出射される前記光パルスの群速度分散を補償するための分散補償光学素子と、
前記分散補償光学素子から出射された前記励起光及び前記放出光を反射して前記アイソレーターに入射する第1のミラーと、
をさらに備える、前記<1>から<6>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーである。
<8> 前記分散補償光学素子は、
平行に配置された第1の回折格子及び第2の回折格子と、
第2のミラーと、
を備え、
前記励起光が前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子で回折され、前記第2のミラーで反射され、次いで前記第2の回折格子及び前記第1の回折格子で回折されると、前記光パルスの群速度分散による影響が補償される、前記<7>に記載のファイバーリングレーザーである。
<9> 前記アイソレーターから出射される前記放出光が入射される第2のλ/4波長板と、
前記第2のλ/4波長板から出射される前記励起光及び前記放出光が入射される第2のコリメーターと、
前記第2のコリメーターと第1の光カップラーとを結合する、第2のシングルモードファイバーと、
を備える、前記<1>から<8>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーである。
<10> 前記励起光源は、波長略915nmの光又は波長略975nmの励起光を発生するレーザーダイオードである、前記<1>から<9>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーである。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーによって生成された光パルスである。
<12>
前記<1>から<10>のいずれかに記載のファイバーリングレーザーと、
前記ファイバーリングレーザーから入射される光パルスを測定光及び参照光に分岐する分岐部と、
前記測定光を被測定物体に照射し、前記被測定物体からの反射光を受光する照射受光部と、
前記測定光が前記被測定物体に照射されたときに、前記反射光と前記参照光との干渉光を測定して測定データを生成する干渉光測定部と、
前記測定データから、前記被測定物体の複数の深さ位置における前記反射光の強度を算出して前記被測定物体の深さ方向の一次元断層画像を生成する画像生成部と、
を備える光断層画像化装置である。
<13> 前記干渉光測定部は、分光素子と光センサとを備え、
前記分光素子が、入射された前記干渉光を波長成分に分解し、
前記光センサが、波長成分に分解された前記干渉光の波長成分毎の強度を測定することにより測定データを生成する、前記<12>に記載の光断層画像化装置である。
<14> 前記画像生成部は、フーリエ変換を用いて前記測定データから前記被測定物体の複数の深さ位置における前記反射光の強度を算出する、前記<12>から<13>のいずれかに記載の光断層画像化装置である。
<15> 前記照射検出部は、前記被測定物体の深さ方向に垂直な面内で前記被測定物体を走査する走査部を備え、前記画像生成部は、前記走査部が走査した前記面内のそれぞれの位置において生成された前記一次元断層画像から、前記測定物の3次元断層画像を生成する、前記<12>から<14>のいずれかに記載の光断層画像化装置である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8