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明細書 :ノロウイルス不活化剤及びその製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6590332号 (P6590332)
公開番号 特開2016-141659 (P2016-141659A)
登録日 令和元年9月27日(2019.9.27)
発行日 令和元年10月16日(2019.10.16)
公開日 平成28年8月8日(2016.8.8)
発明の名称または考案の名称 ノロウイルス不活化剤及びその製法
国際特許分類 C07K  14/465       (2006.01)
A23L   3/3526      (2006.01)
A61K  38/17        (2006.01)
A61P  31/14        (2006.01)
C12N   9/36        (2006.01)
FI C07K 14/465 ZNA
A23L 3/3526 501
A61K 38/17
A61P 31/14
C12N 9/36
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2015-019951 (P2015-019951)
出願日 平成27年2月4日(2015.2.4)
審査請求日 平成30年1月31日(2018.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
発明者または考案者 【氏名】▲高▼橋 肇
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100116090、【弁理士】、【氏名又は名称】栗原 和彦
審査官 【審査官】宮岡 真衣
参考文献・文献 特開平08-027027(JP,A)
特開2003-267805(JP,A)
特開2005-000133(JP,A)
国際公開第2008/153077(WO,A1)
国際公開第2015/125961(WO,A1)
REES A. R. et al.,Biochem. J.,159(1976),p.487-493
仲沢萌美ら,変性リゾチームを用いたノロウイルスの不活化,第35回日本食品微生物学会学術総会講演要旨集,Vol. 35th(2014),p.49,C-1-05
仲沢萌美ら,変性リゾチームの抗ウイルス効果の機序,公益社団法人日本食品衛生学会 第108回学術講演会講演要旨集,Vol. 108th(2014),p.66,B10
調査した分野 C07K 14/00-14/825
A23L 3/3526
A61K 38/00-38/58
A61P 31/14
C12N 9/36
特許請求の範囲 【請求項1】
以下(a)'又は(b)のペプチドを有効成分として含有するノロウイルス不活化剤。
(a)' 配列番号1のアミノ酸配列において、配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列における19~63番目のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を含まないアミノ酸配列から成るペプチド
(b) (a)'のペプチドを構成するアミノ酸配列において、1又は2個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つノロウイルス不活化活性を有するペプチド

【請求項2】
前記ぺプチドが合成されたぺプチドである請求項1に記載のノロウイルス不活化剤。
【請求項3】
下記(a)'又は(b)のペプチドを合成することから成るノロウイルス不活化剤の有効成分の製法。
(a)' 配列番号1のアミノ酸配列において、配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列における19~63番目のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を含まないアミノ酸配列から成るペプチド
(b) (a)'のペプチドを構成するアミノ酸配列において、1又は2個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つノロウイルス不活化活性を有するペプチド


発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、ノロウイルス不活化剤及びその製法に関し、より詳細には、卵白リゾチームの部分配列を利用したノロウイルス不活化剤及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノロウイルスはヒトに感染して非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスである。日本で報告されている非細菌性食中毒事例のうち、最も症例が多いのは本ウイルスを原因とした症例であり、冬に大流行するため問題視されている。ノロウイルスは食品製造現場で多く利用されるエタノール製剤で不活化することができないウイルスであり、通常不活化のためには次亜塩素酸が用いられる。しかし、有機物が共存する場合には不活化効果が劣るなどの原因により、次亜塩素酸を効果的に使用できる現場は限られる。
一方、リゾチームはグラム陽性菌の細胞壁を分解する酵素として知られていた(非特許文献1)が、加熱を行うことによってタンパクの立体構造が変化し、細胞壁の薄いグラム陰性菌に対しても殺菌効果を有することが明らかとなった(非特許文献2)。これは、酵素として細胞壁を分解するというメカニズムではなく、構造の変化により特定のアミノ酸残基が露出、細胞膜に作用することに起因することが示されている。
発明者らは、このような新規のノロウイルス不活化剤を開発するための一連の研究の成果として、加熱変性した卵白リゾチームが、ノロウイルスの代替ウイルスであるMNV-1に不活化効果を持つことを明らかにした(特許文献1、非特許文献3)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特願2014-189487
【0004】

【非特許文献1】Journal of Food Science., Vol. 79, 2014
【非特許文献2】J. Agric. Food Chem., 44, 1416-1423. 1996
【非特許文献3】平成26年12月5日に公益社団日本食品衛生学会主催の第108回日本食品衛生学会で発表の「変性リゾチームの抗ウイルス効果の機序」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、上記報告(非特許文献1、2)を検討した結果、そこに記載のメカニズムに従えば、卵白リゾチームがウイルスの外殻を構成しているキャプシドプロテインにも何らかの作用をする可能性が高いという発想のもとに研究を行った。
本発明は、卵白リゾチームを利用して、ノロウイルスを不活化する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、卵白リゾチームを鋭意検討した結果、卵白リゾチーム自体にはノロウイルスを不活化する効果がないにもかかわらず、卵白リゾチームにノロウイルス不活化活性を付与する手段が2つあることを見出した。
その一つとして、発明者らは、既に、加熱変性した卵白リゾチームが、ノロウイルスの代替ウイルスであるMNV-1に不活化効果を持つことを明らかにしている(特許文献1、非特許文献1)。
二つ目として、卵白リゾチームの全長ペプチドのうちLzP1と名付けた部分のみを合成したペプチドがMNV-1に不活化効果を持つことを見出した(後記の実施例)。
卵白リゾチームは、高次構造において、その活性部分(即ち、ノロウイルスを不活化する部分)はその内部に隠蔽され外部に表出していないと推測されるところ、前者は、加熱されることによる卵白リゾチーム高次構造の変化により、その活性部分が表出したものと考えられ、後者は、その活性部分を取り囲んで活性部分を表出させなかった部分を除去することにより得られたペプチドがノロウイルス不活化活性を示したものと考えられた。
本願は、この二つめの発明に関するものである。
【0007】
即ち、本願発明は、以下(a)'又は(b)のペプチドを有効成分として含有するノロウイルス不活化剤である。
(a)' 配列番号1のアミノ酸配列において、配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列における19~63番目のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を含まないアミノ酸配列から成るペプチド
(b) (a)'のペプチドを構成するアミノ酸配列において、1~3個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つノロウイルス不活化活性を有するペプチド
また、本発明は、上記(a)'又は(b)のペプチドを合成することから成るノロウイルス不活化剤の有効成分の製法である。

【発明の効果】
【0008】
本願発明のペプチドは、ノロウイルス不活化剤として使用できる。
本願発明のペプチドは、容易に合成でき、量産も容易である。
鶏卵や卵白には食物アレルギーを引き起こすアレルゲンが含まれているが、本願発明のペプチドは鶏卵又はその卵白の全体ではないため、このペプチドは食物アレルギーを引き起こすアレルゲンを含まない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ニワトリ型のリゾチームのアミノ酸配列とその二次構造を示す図である。この図では、配列番号1(accession no. AAL69327.1)の19~147番目のアミノ酸配列を示す。
【図2】卵白リゾチームとその部分のノロウイルス不活化効果を示す図である。「全長」は、卵白リゾチーム全長(配列番号1のアミノ酸配列)、「Lz-P1」は、配列番号1の2357番目のアミノ酸配列、「Lz-P2」は、配列番号1の5881番目のアミノ酸配列、「Lz-P3」は、配列番号1の98132番目のアミノ酸配列を示す。縦軸は、MNV-1の感染価(PFU/mL)を示す。
【図3】図2に示した卵白リゾチームとその部分を加熱処理した場合の、ノロウイルス不活化効果を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本願発明で用いるペプチドは、下記(a)~(c)のいずれかのペプチドである。なお、配列番号1のアミノ酸配列(accession no. AAL69327.1)から成るペプチドは、ニワトリ型のリゾチームである。
(a) 配列番号1の19~63番目のアミノ酸配列(KV FGRCELAAAM KRHGLDNYRG YSLGNWVCAA KFESNFNTQA TNR)において少なくとも23~51番目のアミノ酸配列(RCELAAAM KRHGLDNYRG YSLGNWVCAA K)を含むアミノ酸配列から成るペプチド
このペプチドは、配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列を含んだ配列番号1の19~63番目のアミノ酸配列の全体又はその部分配列であり、配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列における19~63番目のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を含まないところに特徴がある。このペプチドは、配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列であってもよく、配列番号1の23~57番目のアミノ酸配列(Lz-P1)等であってもよい。
【0011】
図1に、ニワトリ型のリゾチームのアミノ酸配列とその二次構造を示す。
JP0006590332B2_000002t.gif 必須のアミノ酸配列である配列番号1の23~51番目のアミノ酸配列は、強い抗菌活性を有する正電荷に帯電しているペプチド部分を多く含み(即ち、配列番号1の23、32及び39番目のR(アルギニン)、同31及び51番目のK(リシン)並びに33番目のH(ヒスチジン))、αへリックスを二つ含む特徴的な配列である。そのためこのペプチドは、負に帯電していると考えられるウイルスのキャプシドタンパクの特定の部位に吸着するため、ノロウイルス不活化活性を有すると考えられる。
これらから、後記の実施例において効果を確認した範囲(即ち、配列番号1の23~57番目のアミノ酸配列)からN末端方向には4残基、C末端方向には6残基を含む部分まで(即ち、配列番号1の19~63番目のアミノ酸配列)が、ノロウイルス不活化活性を有しうる領域であると考えられる。
【0012】
(b) (a)のペプチドを構成するアミノ酸配列において、1又は数個、例えば、1又は2個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つノロウイルス不活化活性を有するペプチド
本発明においては、上記(a)のペプチドの代わりに機能的等価なペプチドである上記(b)のペプチドを使用することができる。
(c) (a)のペプチドを構成するアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成り、且つノロウイルス不活化活性を有するペプチド
本発明においては、(a)のペプチドを構成するアミノ酸配列に対して、80%以上、好ましくは90% 以上、特に好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成り、且つノロウイルス不活化活性を有するペプチドを使用してもよい。
このノロウイルス不活化活性は、ネズミマクロファージ細胞を用いた細胞アッセイによる感染価測定や、リアルタイムPCRによるウイルスRNAの残存を測定することによる粒子数の測定により評価することができる。
【0013】
このペプチドを合成することにより得ることが好ましい。例えば、有機合成化学の手法によって合成してもよい。または、このアミノ酸配列をコードするDNAを細胞に導入して、細胞内のペプチド合成機構を利用して、所望のアミノ酸配列を持つペプチドを合成してもよい。この細胞を増殖させることにより、このペプチドを容易に量産することができる。
【0014】
このペプチドの塩としては、食品添加物として許容可能又は薬学的に許容可能な塩が挙げられ、例えば、塩酸、炭酸、リン酸、ホウ酸、へキサメタリン酸、硝酸、硫酸などの無機酸の塩、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グルコン酸などの有機酸の塩が挙げられる。この塩のなかで、無機酸の塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。
【0015】
このペプチド及び/又はその塩に、そのノロウイルス不活化活性を害さない限り、加熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、有機溶剤処理、界面活性剤処理、酸化処理、還元処理、高圧力処理等の変性処理を施してもよい。この加熱処理として、このペプチド又はその塩を50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上で、上限を130℃又は110℃として、加熱することが好ましい。
【0016】
本発明のノロウィルス不活化剤において、このペプチド又はその塩を適当な配合素材と共に配合してもよい。この配合素材は、ノロウィルス不活化剤の剤型等に応じて適宜選択することができ、例えば、水;エタノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の低級アルコール;グリセリン、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール;グリシン、有機酸、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、デヒドロ酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、亜硫酸ナトリウム、EDTA、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、ヨードチンキ、ポピドンヨード、セチル酸化ベンザルコニウム、トリクロサン、クロルキシレノール、イソプロピルメチルフェノール、ε-ポリリシン、ラクトフェリン、ナイシン、バクテリオシン、ウド抽出物、エゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、しらこタンパク抽出物、ツヤプリシン、ペクチン分解物等の静菌剤を適宜組み合わせて使用することができる。
これらの中で、水、低級アルコール及び多価アルコールの少なくなくとも1種を使用することが好ましい。特に、本発明のノロウィルス不活化剤が殺菌効果を併せ持つことができるため、低級アルコール及び多価アルコールの少なくなくとも1種を含有するアルコール製剤を使用することがより好ましい。
【0017】
この他、本発明のノロウィルス不活化剤には、必要に応じてクエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤、トコフェロール酢酸エステル等の酸化防止剤、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤などの添加剤を配合してもよい。
【0018】
本発明のノロウィルス不活化剤は、必用に応じて種々の剤型をとることができ、例えば、液剤としてもよく、粉末、錠剤、カプセル等の固形剤としてもよい。
液剤とする場合、その粘度は使用方法に応じて適宜定めることができる。例えば、噴霧可能な粘度の液剤とし、トリガースプレーヤー、スクイズ容器、エアゾル容器等のスプレー容器に充填することにより、手指、食品、調理器具、住居環境、嘔吐物、排泄物等へ該ノロウィルス不活化剤を含む液滴を噴霧することにより、ノロウィルスの不活化を手軽に行うことができ、ノロウィルス不活化剤を含む液剤に、不活化の対象物(例えば、手指、食品、医療機器、医療器具、調理器具、住居環境)を浸すことにより、ノロウィルスの不活化を手軽に行うこともできる。また、ノロウィルス不活化剤を含む液剤を湿潤させたシートとして使用することができる。さらに、ローション、クリーム等とすることにより皮膚外用剤として使用することができ、これにより、ノロウィルスが手指に付着してもその場で不活化し、ノロウィルスが経口感染することを防止する感染予防薬として使用することができる。
【0019】
一方、固形剤とする場合、例えば、予め経口摂取しておくことにより、ノロウィルスが口に入ったとしても、それを不活化して感染を予防する感染予防薬として使用することができ、また、ノロウィルスによる感染症が発症した場合にも体内のノロウィルスを不活化する治療薬として使用することができる。本発明のノロウィルス不活化剤の摂取方法としては、例えば、経口摂取、坐薬、点滴、静脈注射等が挙げられる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
卵白リゾチームを構成するアミノ酸配列(配列番号1)を、Lz-P1(配列番号1の2357番目のアミノ酸配列)、Lz-P2(配列番号1の5881番目のアミノ酸配列)、Lz-P3(配列番号1の98132番目のアミノ酸配列)の三領域に分け、それぞれのペプチドを人工合成した。それぞれが同じモル濃度になるよう水溶液を調整し、評価用サンプルとした。調整した濃度は卵白リゾチームを終濃度1%に調整した時と同じモル濃度になるよう調整した。
比較のため、卵白リゾチーム(非変性)の同濃度の溶液も用意した。
ノロウィルスとして、MNV-1(ワシントン大学(Washington University)のハーバート.W.ヴァージン博士(Dr. Herbert W. Virgin)より供与)を使用し、培地成分を除去したノロウィルス液(MNV-1溶液)を作製した。
上記の評価用サンプル(ペプチド溶液)とMNV-1溶液とを等量で混和し、1分間曝露した。



【0021】
各溶液のMNV-1の感染価(PFU/mL)を、プラークアッセイにより測定した。プラークアッセイは次のように行った。
6ウェルプレートに、マウスマクロファージ株化細胞(RAW264.7細胞)をコンフルエントの60~80%まで培養した。
曝露後の各評価用サンプルを希釈し、反応を停止したのち、この培養細胞へ500μL/wellになるよう接種した。
評価用サンプルを接種した細胞は、室温で1時間インキュベートし、ノロウィルスを感染させた。その後、プレート上の接種液を全量除去し、1.5% Sea Plaque Agarose-DMEM(37℃)を2ml/wellで重層し、37℃、5%CO2条件下で2日間培養した。
培養後、プレートに0.03%ニュートラルレッド溶液を加えることで細胞を染色し、プラーク数をカウントした。得られたプラーク数と希釈倍率から感染価(PFU/mL)を算出した。
ペプチドを加えないMNV-1溶液の感染価(106~107 PFU/mL程度)から、MNV-1溶液を加えた評価用サンプルの感染価を引いた値を、感染価の減少量(PFU/mL)とした。
【0022】
結果を図2に示す。
卵白リゾチーム(図中、「全長」で示す。)では、感染価の実質的な減少は見られなかったが(0.23 log)、Lz-P1は、MNVの感染価の顕著な減少を示した(1.49 log)。一方、Lz-P2とLz-P3の感染価の減少は、それぞれ0.21 log及び0.17 logであり、感染価の実質的な減少は見られなかった。
この結果から、卵白リゾチームのアミノ酸配列領域のうち、Lz-P1とした領域は、高いノロウィルス不活化効果を持っていることが分かる。
【0023】
実施例2
2%の卵白リゾチーム溶液及び上記Lz-P1、Lz-P2及びLz-P3の同濃度溶液をそれぞれ100℃で30分間加熱した。
これらの溶液について、実施例1と同様に、MNV-1溶液と等量で混和して1分間曝露し、MNV-1の感染価を、プラークアッセイにより確認した。
結果を図3に示す。
卵白リゾチーム(図中、「全長」で示す。)とLz-P1は、感染価の顕著な減少を示したが(5.24 log、2.56 log)、Lz-P2とLz-P3は感染価の実質的減少を示さなかった(0.18 log及び0.29 log)。
加熱処理後も、Lz-P1はノロウイルス不活化活性を有していることが分かる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2