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明細書 :チオフェン環縮合芳香族化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-218381 (P2017-218381A)
公開日 平成29年12月14日(2017.12.14)
発明の名称または考案の名称 チオフェン環縮合芳香族化合物及びその製造方法
国際特許分類 C07D 333/50        (2006.01)
C07D 495/04        (2006.01)
C07D 495/14        (2006.01)
C07D 495/22        (2006.01)
FI C07D 333/50 CSP
C07D 495/04 101
C07D 495/14 A
C07D 495/22
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 42
出願番号 特願2016-111317 (P2016-111317)
出願日 平成28年6月2日(2016.6.2)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り (その1) 発行年月日 2015年12月3日 刊行物名 有機典型元素化学討論会講演要旨集42nd 発行者名 第42回有機典型元素化学討論会実行委員会 (その2) 開催日 2015年12月3日から2015年12月5日 集会名 第42回有機典型元素化学討論会 主催者 第42回有機典型元素化学討論会実行委員会 (その3) 開催日 2016年1月29日から2016年1月30日 集会名 第5回統合物質国際シンポジウム 主催者 名古屋大学物質科学国際研究センター
発明者または考案者 【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】瀬川 泰知
【氏名】メン リンクイ
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C071
Fターム 4C071AA01
4C071AA08
4C071BB01
4C071BB02
4C071BB03
4C071BB06
4C071BB07
4C071BB08
4C071CC22
4C071CC23
4C071CC25
4C071EE13
4C071FF23
4C071JJ01
4C071KK08
4C071LL05
要約 【課題】様々な芳香族化合物に対して、チオフェン環を簡便且つ1工程のみで縮環することができる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環に、1個以上のチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物の製造方法であって、多環芳香族化合物又は複素環式化合物と、硫黄とを反応させる工程を備え、前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、一般式(1):
JP2017218381A_000061t.gif
[式中、R1は置換されていてもよいアリール基を示す。nは1以上の整数を示す。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環に、1個以上のチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物の製造方法であって、
多環芳香族化合物又は複素環式化合物と、硫黄とを反応させる工程を備え、
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、一般式(1):
【化1】
JP2017218381A_000052t.gif
[式中、R1は置換されていてもよいアリール基を示す。nは1以上の整数を示す。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、製造方法。
【請求項2】
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(3):
【化2】
JP2017218381A_000053t.gif
[式中、R1及びnは前記に同じである。Arは置換されていてもよい多環芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。R3は-(C≡C)n-R1で表される基を示す。R3が結合しているAr環上の炭素原子と隣接している炭素原子の少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合している。mは0以上の整数を示す。]
で表される化合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記Arが、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいアントラセン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいピレン環、置換基を有していてもよいフルオランテン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいペリレン環、置換基を有していてもよいコラニュレン環、置換基を有していてもよいクリセン環、置換基を有していてもよいベンゾ[c]ナフト[2,1-p]クリセン環、置換基を有していてもよいチオフェン環、置換基を有していてもよいベンゾチオフェン環、若しくは置換基を有していてもよいジチエノベンゼン環、又はこれらの環にベンゼン環を1個以上縮合した環である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応工程が、極性溶媒中で行われる、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(1A)
【化3】
JP2017218381A_000054t.gif
[式中、R1は前記に同じである。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有しており、
製造されるチオフェン環縮合芳香族化合物が、一般式(2A):
【化4】
JP2017218381A_000055t.gif
[式中、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基を示す。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(1B)
【化5】
JP2017218381A_000056t.gif
[式中、R1は前記に同じである。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有しており、
製造されるチオフェン環縮合芳香族化合物が、一般式(2B):
【化6】
JP2017218381A_000057t.gif
[式中、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基を示す。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(3E):
【化7】
JP2017218381A_000058t.gif
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物、又は一般式(3F):
【化8】
JP2017218381A_000059t.gif
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物である、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法
【請求項8】
置換基を有していてもよい多環芳香族炭化水素環に、1個以上の置換基を有していてもよいチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物であって、
多環芳香族化合物と、硫黄とを反応させてなり、
前記多環芳香族化合物は、
一般式(3):
【化9】
JP2017218381A_000060t.gif
[式中、R1は置換されていてもよいアリール基を示す。nは1以上の整数を示す。Arは置換されていてもよい多環芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。R3は-(C≡C)n-R1で表される基を示す。R3が結合しているAr環上の炭素原子と隣接している炭素原子の少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合している。mは0以上の整数を示す。]
で表される、チオフェン環縮合芳香族化合物(ただし、ナフタレン環に置換基を有していてもよいチオフェン環が2個縮合した化合物、アントラセン環に置換基を有していてもよいチオフェン環が1個又は4個縮合した化合物、及びアントラキノンに置換基を有していてもよいチオフェン環が1個縮合した化合物を除く)。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェン環縮合芳香族化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チオフェンが縮環したπ共役芳香族化合物は、有機半導体材料として、有機EL、トランジスタ、太陽電池、導電材料、感光体、液晶材料等、様々な分野で用いられている。
【0003】
これまでに非常に多くのチオフェン縮環反応が報告されているが、従来のチオフェン環縮合芳香族化合物の合成には、2つの置換基を導入した多環芳香族炭化水素(PAH)にチオフェンを縮環する手法が用いられており、様々なチオフェン環縮合芳香族化合物を得る方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、最近では、アルキニル基を有するPAHと、チオウレア、硫化ナトリウム等の硫黄源から、一段階でチオフェン環縮合芳香族化合物を得る方法も知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Eur. J. Org. Chem., 2013, 217-227.
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 11445-11448.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、PAHに2つの置換基を導入した基質が必要となるため、チオフェン環縮合芳香族化合物を合成するには多段階の反応と精製を行う煩雑な操作が必要であった。また、用いることのできる基質が制限される等、汎用性の面でも課題がある。また、非特許文献2に記載の方法では、適切な位置にカルボニル基を有する基質しか使用することができず、汎用性の面で課題がある。
【0006】
優れた新規有機半導体材料の開発を目指し、チオフェン環縮合芳香族化合物の探索を効率的に行うためには、より簡便な手法で、様々な基質に対してチオフェン環を縮環することができる方法の開発が急務である。そこで、本発明は、様々な芳香族化合物に対して、チオフェン環を簡便且つ1工程のみで縮環することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、特定の置換基を1つだけ導入した多環芳香族炭化水素又は複素環式化合物と、硫黄とを反応させるという非常に簡便な手法を採用することにより、1工程のみで多環芳香族炭化水素又は複素環式化合物にチオフェン環を縮環することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
【0008】
項1.多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環に、1個以上のチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物の製造方法であって、
多環芳香族化合物又は複素環式化合物と、硫黄とを反応させる工程を備え、
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、一般式(1):
【0009】
【化1】
JP2017218381A_000002t.gif

【0010】
[式中、R1は置換されていてもよいアリール基を示す。nは1以上の整数を示す。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、製造方法。
【0011】
項2.前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(3):
【0012】
【化2】
JP2017218381A_000003t.gif

【0013】
[式中、R1及びnは前記に同じである。Arは置換されていてもよい多環芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。R3は-(C≡C)n-R1で表される基を示す。R3が結合しているAr環上の炭素原子と隣接している炭素原子の少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合している。mは0以上の整数を示す。]
で表される化合物である、項1に記載の製造方法。
【0014】
項3.前記Arが、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいアントラセン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいピレン環、置換基を有していてもよいフルオランテン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいペリレン環、置換基を有していてもよいコラニュレン環、置換基を有していてもよいクリセン環、置換基を有していてもよいチオフェン環、置換基を有していてもよいベンゾチオフェン環、若しくは置換基を有していてもよいジチエノベンゼン環、又はこれらの環にベンゼン環を1個以上縮合した環である、項2に記載の製造方法。
【0015】
項4.前記反応工程が、極性溶媒中で行われる、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
項5.前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(1A)
【0017】
【化3】
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【0018】
[式中、R1は前記に同じである。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有しており、
製造されるチオフェン環縮合芳香族化合物が、一般式(2A):
【0019】
【化4】
JP2017218381A_000005t.gif

【0020】
[式中、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基を示す。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、項1に記載の製造方法。
【0021】
項6.前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(1B)
【0022】
【化5】
JP2017218381A_000006t.gif

【0023】
[式中、R1は前記に同じである。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有しており、
製造されるチオフェン環縮合芳香族化合物が、一般式(2B):
【0024】
【化6】
JP2017218381A_000007t.gif

【0025】
[式中、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基を示す。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している、項1に記載の製造方法。
【0026】
項7.前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(3E):
【0027】
【化7】
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【0028】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物、又は一般式(3F):
【0029】
【化8】
JP2017218381A_000009t.gif

【0030】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物である、項1~6のいずれかに記載の製造方法
【0031】
項8.置換基を有していてもよい多環芳香族炭化水素環に、1個以上の置換基を有していてもよいチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物であって、
多環芳香族化合物と、硫黄とを反応させてなり、
前記多環芳香族化合物は、
一般式(3):
【0032】
【化9】
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【0033】
[式中、R1は置換されていてもよいアリール基を示す。nは1以上の整数を示す。Arは置換されていてもよい多環芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。R3は-(C≡C)n-R1で表される基を示す。R3が結合しているAr環上の炭素原子と隣接している炭素原子の少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合している。mは0以上の整数を示す。]
で表される、チオフェン環縮合芳香族化合物(ただし、ナフタレン環に置換基を有していてもよいチオフェン環が2個縮合した化合物、アントラセン環に置換基を有していてもよいチオフェン環が1個又は4個縮合した化合物、及びアントラキノンに置換基を有していてもよいチオフェン環が1個縮合した化合物を除く)。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、特定の置換基を1つだけ導入した多環芳香族炭化水素又は複素環式化合物と、硫黄とを反応させるという非常に簡便な手法を採用することにより、1工程のみで多環芳香族炭化水素又は複素環式化合物にチオフェン環を縮環することができる。このため、2つの置換基を導入した基質を準備する必要がないため、従来と比較してより簡便な方法である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1-1で得た化合物2aの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図2】実施例1-2で得た化合物2fの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図3】実施例1-2で得た化合物2gの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図4】実施例1-2で得た化合物2hの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図5】実施例1-2で得た化合物2iの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図6】実施例1-2で得た化合物2jの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図7】実施例1-2で得た化合物2kの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図8】実施例1-2で得た化合物2lの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図9】実施例1-2で得た化合物2mの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図10】実施例1-2で得た化合物2nの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図11】実施例1-2で得た化合物2oの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図12】実施例1-2で得た化合物2pの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図13】実施例1-2で得た化合物2qの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図14】実施例1-2で得た化合物2rの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図15】実施例3-1で得た化合物2uの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図16】実施例3-2で得た化合物2vの吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1.チオフェン環縮合芳香族化合物の製造方法
本発明の製造方法は、多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環に、1個以上のチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物の製造方法であって、
多環芳香族化合物又は複素環式化合物と、硫黄とを反応させる工程を備え、
前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、一般式(1):

【0037】
【化10】
JP2017218381A_000011t.gif

【0038】
[式中、R1は置換されていてもよいアリール基を示す。nは1以上の整数を示す。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している。

【0039】
このような方法を採用することにより、エチニレン基と隣接するオルト位のC-H結合の切断を伴うチオフェン縮環反応が進行する。また、前記多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、-(C≡C)n-R1で表される基を複数有している場合には、有している数だけチオフェン環を縮環させることができる。なお、縮環反応によってチオフェン環が縮合した場合、通常、縮環したチオフェン環に、R1基がそのまま結合した芳香族化合物が得られるが、R1がニトロ基(-NO2)を有する場合には、縮環反応と同時にニトロ基が還元されてアミノ基(-NH2)となる。このため、R1がニトロ基で置換されたアリール基である場合は、縮環反応と同時にニトロ基が還元されてアミノ基で置換されたアリール基となる。

【0040】
さらに、より具体的には、一般式(1)で表される構造として、n= 1である場合、つまり、一般式(1A):

【0041】
【化11】
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【0042】
[式中、R1は前記に同じである。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している場合には、アリールエチニル基のオルト位のC-H結合の切断を伴うチオフェン縮環反応が進行し、一般式(2A):

【0043】
【化12】
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【0044】
[式中、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基を示す。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有するチオフェン環縮合芳香族化合物が得られる。

【0045】
一方、一般式(1)で表される構造として、n= 2である場合、つまり、一般式(1B):

【0046】
【化13】
JP2017218381A_000014t.gif

【0047】
[式中、R1は前記に同じである。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有している場合には、アリールエチニル基のオルト位のC-H結合の切断を伴うチオフェン縮環反応が2回進行し、一般式(2B):

【0048】
【化14】
JP2017218381A_000015t.gif

【0049】
[式中、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基を示す。点線と破線で示される結合は多環芳香族炭化水素環又は複素環の一部を構成する単結合又は二重結合を示す。]
で表される構造を1個以上有するチオフェン環縮合芳香族化合物が得られる。

【0050】
つまり、本発明の製造方法においては、三重結合の数だけアリールエチニル基のオルト位のC-H結合の切断を伴うチオフェン縮環反応が進行し、その回数分のチオフェン環が縮環した芳香族化合物が得られる。

【0051】
本発明において、基質として使用される多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、上記のような一般式(1)で表される構造(例えば、一般式(1A)で表される構造、一般式(1B)で表される構造等)を1個以上(好ましくは1~10の整数)有しているが、その数に制限はない。上記したとおり、一般式(1)で表される構造を有する数だけチオフェン環を縮環することができるため、チオフェン環を縮環しようとする数に応じて適宜設定することができる。具体的には、多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、上記のような一般式(1)で表される構造を1個、2個、3個、4個又は5個有することもできる。

【0052】
なお、基質として使用される多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、上記のような一般式(1)で表される構造を有しているが、この構造を構成する-(C≡C)n-R1で表される基が結合している多環芳香族炭化水素環又は複素環上の炭素原子と隣接している2つの炭素原子のうち、少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合しているが、この隣接する2つの炭素原子ともに水素原子が結合している場合には、得られるチオフェン環縮合芳香族化合物には構造異性体が含まれる。このため、反応の効率等を考慮すると、一般式(1)で表される構造を構成する-(C≡C)n-R1で表される基が結合している多環芳香族炭化水素環又は複素環上の炭素原子と隣接している2つの炭素原子のうち、1つのみの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合していることが好ましい。

【0053】
一般式(1)、(1A)及び(1B)において、R1で示されるアリール基としては、単環アリール基(フェニル基)及び多環アリール基(縮合環アリール基、多環非縮合環アリール基等)のいずれも採用でき、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらのなかでも、合成の容易さ、収率等の観点から、単環若しくは縮合環アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。

【0054】
R1で示されるアリール基は置換されていてもよい。R1で示されるアリール基が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等のC1-10アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-6ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等のC1-6アルコキシ基)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等のC2-7アシル基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の(C1-6アルコキシ)カルボニル基等)、置換又は非置換アミノ基(アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジ(C1-6アルキル)アミノ基等)、ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基を有する場合、置換基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。 一般式(1)において、nは1以上の整数である。nの数は縮環しようとするチオフェン環の数に応じて適宜設定できるが、合成の容易さ、収率等の観点から、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。

【0055】
一般式(2A)及び(2B)において、R2は、R1と同一の基か、R1が還元された基であり、置換されていてもよいアリール基である。上記のとおり、R1がニトロ基を有する場合、チオフェン環の縮環反応の際に還元されてアミノ基になるため、R1がニトロ基で置換されたアリール基の場合は、R2はアミノ基で置換されたアリール基である。また、R1が非置換アリール基であるか、ニトロ基以外の置換基で置換されたアリール基である場合は、R2はR1と同じである。

【0056】
このような条件を満たす一般式(1)で表される構造としては、例えば、

【0057】
【化15】
JP2017218381A_000016t.gif

【0058】
[式中、nBuはn-ブチル基を示す。tBuはtert-ブチル基を示す。nhexylはn-ヘキシル基を示す。noctylはn-オクチル基を示す。以下同様である。]
等で表される構造が挙げられる。

【0059】
このような構造を有する多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、具体的には、一般式(3):

【0060】
【化16】
JP2017218381A_000017t.gif

【0061】
[式中、R1及びnは前記に同じである。Arは置換されていてもよい多環芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。R3は-(C≡C)n-R1で表される基を示す。R3が結合しているAr環上の炭素原子と隣接している炭素原子の少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合している。mは0以上の整数を示す。]
で表される化合物が好ましい。

【0062】
一般式(3)において、Arで示される多環芳香族炭化水素環としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、ピレン環、フルオランテン環、ペンタセン環、ペリレン環、コラニュレン環、クリセン環、ベンゾ[c]ナフト[2,1-p]クリセン環等が挙げられ、これらにベンゼン環を縮環したもの(コロネン環、トリフェニレン環、ヘキサベンゾコロネン環、テリレン環等)も挙げられる。Arで示される多環芳香族炭化水素環は置換されていてもよい。Arで示される多環芳香族炭化水素環が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等のC1-10アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-6ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等のC1-6アルコキシ基)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等のC2-7アシル基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の(C1-6アルコキシ)カルボニル基等)、置換又は非置換アミノ基(アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジ(C1-6アルキル)アミノ基等)、ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基を有する場合、置換基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0063】
一般式(3)において、Arで示される複素芳香環としては、例えば、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジチエノベンゼン環等が挙げられ、これらにベンゼン環を縮環したものも挙げられる。Arで示される複素芳香環は置換されていてもよい。Arで示される多複素芳香環が有し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等のC1-10アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1-6ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等のC1-6アルコキシ基)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等のC2-7アシル基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の(C1-6アルコキシ)カルボニル基等)、置換又は非置換アミノ基(アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジ(C1-6アルキル)アミノ基等)、ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基を有する場合、置換基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0064】
一般式(3)において、R3は-(C≡C)n-R1で表される基を示す。R3におけるR1及びnは上記したものを採用できる。このR3が結合しているAr環上の炭素原子と隣接している炭素原子の少なくとも1つの炭素原子には前記-(C≡C)n-R1で表される基が結合しておらず水素原子が結合している。つまり、mが1以上である場合には、多環芳香族化合物又は複素環式化合物が、一般式(1)で表される構造を複数有していることを意味する。

【0065】
また、一般式(3)において、R3の数であるmは、0以上の整数、好ましくは0~10の整数である。このmは、0、1、2、3、4又は5とすることができる。つまり、多環芳香族化合物又は複素環式化合物は、一般式(1)で表される構造を、1個、2個、3個、4個、5個又は6個有することができる。

【0066】
このような条件を満たす多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、例えば、一般式(3A):

【0067】
【化17】
JP2017218381A_000018t.gif

【0068】
[式中、R1及びArは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物が挙げられる。

【0069】
この化合物(3A)としては、例えば、

【0070】
【化18】
JP2017218381A_000019t.gif

【0071】
等が挙げられる。

【0072】
また、上記のような条件を満たす多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、例えば、一般式(3B):

【0073】
【化19】
JP2017218381A_000020t.gif

【0074】
[式中、R1及びArは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物も挙げられる。

【0075】
この化合物(3B)としては、例えば、

【0076】
【化20】
JP2017218381A_000021t.gif

【0077】
等が挙げられる。

【0078】
また、上記のような条件を満たす多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、例えば、一般式(3C):

【0079】
【化21】
JP2017218381A_000022t.gif

【0080】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。Arは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物も挙げられる。

【0081】
この化合物(3C)としては、例えば、

【0082】
【化22】
JP2017218381A_000023t.gif

【0083】
等が挙げられる。

【0084】
また、上記のような条件を満たす多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、例えば、一般式(3D):

【0085】
【化23】
JP2017218381A_000024t.gif

【0086】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。Arは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物も挙げられる。

【0087】
この化合物(3D)としては、例えば、

【0088】
【化24】
JP2017218381A_000025t.gif

【0089】
等が挙げられる。

【0090】
また、上記のような条件を満たす多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、例えば、一般式(3E):

【0091】
【化25】
JP2017218381A_000026t.gif

【0092】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物も挙げられる。

【0093】
この化合物(3E)としては、例えば、

【0094】
【化26】
JP2017218381A_000027t.gif

【0095】
等が挙げられる。

【0096】
また、上記のような条件を満たす多環芳香族化合物又は複素環式化合物としては、例えば、一般式(3F):

【0097】
【化27】
JP2017218381A_000028t.gif

【0098】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物も挙げられる。

【0099】
この化合物(3F)としては、例えば、

【0100】
【化28】
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【0101】
等が挙げられる。

【0102】
なお、本発明の製造方法では、エチニレン基と隣接するオルト位のC-H結合の切断を伴うチオフェン縮環反応が進行する。このため、エチニレン基と隣接する環(ベンゼン環等)等の結合を崩しながらチオフェン環縮環反応が進行する。このため、多環芳香族化合物及び複素環式化合物としては、環の数が大きい方が上記の縮環反応におけるエチニレン基と隣接する環(ベンゼン環等)の芳香族性が崩された場合の安定性に優れるために合成が容易且つ収率が高くなりやすい。このため、多環芳香族化合物及び複素環式化合物としては、環の数が大きいものを採用することが好ましい。

【0103】
また、上記した多環芳香族化合物及び複素環式化合物は、事前に調製してから投入してもよいし、系中で(例えば薗頭カップリング、右田・小杉・スティルカップリング等により)合成してもよい。つまり、アリールトリフラート及びアルキンから薗頭カップリング反応、右田・小杉・スティルカップリング等を経て、チオフェン環縮環反応をワンポットで行うことも可能である。

【0104】
本発明では、上記した多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環に対してチオフェン環を縮環させるための硫黄源として、硫黄(単体硫黄)を使用する。硫黄の使用量は、多環芳香族化合物及び複素環式化合物が有する-(C≡C)n-R1で表される基の数(nの値)によって適宜設定することができる。例えば、nが0である場合は、硫黄の使用量は、多環芳香族化合物又は複素環式化合物中の-(C≡C)n-R1で表される基1モルに換算して、0.2~5.0モルが好ましく、0.3~4.0モルがより好ましい。

【0105】
本発明において、多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環と硫黄との反応条件は特に制限されない。通常は、多環芳香族炭化水素環又は複素芳香環と、硫黄とを、必要に応じて撹拌しながら溶媒中で加熱する手法が簡便で且つ高収率にチオフェン環縮合芳香族化合物を得ることができる。

【0106】
この際使用できる溶媒としては、極性溶媒であることが好ましい。このような極性溶媒を採用することにより、より高収率にチオフェン環縮合芳香族化合物を得ることができる。このような溶媒としては、プロトン性極性溶媒及び非プロトン性極性溶媒のいずれも採用でき、プロトン性極性溶媒としては、例えば、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル等が挙げられる。また、非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル等)等が挙げられる。なかでも、後述する反応温度よりも沸点が高い溶媒が好ましく、1,4-ジオキサン、アニソール、シクロペンチルメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)等が好ましく、アニソール、ジメチルスルホキシド、アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)等がより好ましい。なお、これらの溶媒に対して、メタノール、エタノール等のアルコールを併用した場合には、反応速度をさらに加速させることも可能である。

【0107】
加熱温度は、本発明の縮環反応が進行すれば特に制限はない。具体的には、収率等の観点から、100~180℃が好ましく、120~160℃がより好ましく、130~150℃がさらに好ましい。加熱時間は、本発明の縮環反応が十分に進行する時間とすればよく、例えば、10分~96時間が好ましく、30分~72時間がより好ましい。なお、反応雰囲気は、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等)雰囲気が好ましい。

【0108】
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である本発明のチオフェン環縮合芳香族化合物を得ることができる。

【0109】
2.チオフェン環縮合芳香族化合物
上記のようにして得られる本発明のチオフェン環縮合芳香族化合物は、置換基を有していてもよい多環芳香族炭化水素環に、1個以上の置換基を有していてもよいチオフェン環が縮合したチオフェン環縮合芳香族化合物である。

【0110】
このチオフェン環縮合芳香族化合物のうち、基質として、一般式(3)で表され、Arが多環芳香族炭化水素環である化合物を用いた場合に得られるチオフェン環縮合芳香族化合物は、ナフタレン環に置換基を有していてもよいチオフェン環が2個縮合した化合物、アントラセン環に置換基を有していてもよいチオフェン環が1個又は4個縮合した化合物、及びアントラキノンに置換基を有していてもよいチオフェン環が1個縮合した化合物を除き、文献未記載の新規化合物である。

【0111】
このようなチオフェン環縮合芳香族化合物は、基質として一般式(3A)で表される化合物を使用した場合は、一般式(4A):

【0112】
【化29】
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【0113】
[式中、R1及びArは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物である。

【0114】
R1は前記したものが挙げられる。Arも前記したものが挙げられ、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいピレン環、置換基を有していてもよいフルオランテン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいペリレン環、置換基を有していてもよいコラニュレン環、置換基を有していてもよいクリセン環、又は置換基を有していてもよいベンゾ[c]ナフト[2,1-p]クリセン環である場合に新規化合物である。置換基としては、上記したものを採用できる。

【0115】
例えば、

【0116】
【化30】
JP2017218381A_000031t.gif

【0117】
等が挙げられる。

【0118】
また、チオフェン環縮合芳香族化合物は、基質として一般式(3B)で表される化合物を使用した場合は、一般式(4B):

【0119】
【化31】
JP2017218381A_000032t.gif

【0120】
[式中、R1及びArは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物である。

【0121】
R1は前記したものが挙げられる。Arも前記したものが挙げられ、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいアントラセン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいピレン環、置換基を有していてもよいフルオランテン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいペリレン環、置換基を有していてもよいコラニュレン環、置換基を有していてもよいクリセン環、又は置換基を有していてもよいベンゾ[c]ナフト[2,1-p]クリセン環である場合に新規化合物である。置換基としては、上記したものを採用できる。

【0122】
例えば、

【0123】
【化32】
JP2017218381A_000033t.gif

【0124】
等が挙げられる。

【0125】
また、チオフェン環縮合芳香族化合物は、基質として一般式(3C)で表される化合物を使用した場合は、一般式(4C):

【0126】
【化33】
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【0127】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。Arは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物である。

【0128】
R1は前記したものが挙げられる。Arも前記したものが挙げられ、置換基を有していてもよいアントラセン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいピレン環、置換基を有していてもよいフルオランテン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいペリレン環、置換基を有していてもよいコラニュレン環、置換基を有していてもよいクリセン環、又は置換基を有していてもよいベンゾ[c]ナフト[2,1-p]クリセン環である場合に新規化合物である。置換基としては、上記したものを採用できる。

【0129】
例えば、

【0130】
【化34】
JP2017218381A_000035t.gif

【0131】
等が挙げられる。

【0132】
また、チオフェン環縮合芳香族化合物は、基質として一般式(3D)で表される化合物を使用した場合は、一般式(4D):

【0133】
【化35】
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【0134】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。Arは前記に同じである。点線と破線で示される結合は単結合又は二重結合を示す。]
で表される化合物である。

【0135】
R1は前記したものが挙げられる。Arも前記したものが挙げられ、置換基を有していてもよいアントラセン環、置換基を有していてもよいフェナントレン環、置換基を有していてもよいテトラセン環、置換基を有していてもよいピレン環、置換基を有していてもよいフルオランテン環、置換基を有していてもよいペンタセン環、置換基を有していてもよいペリレン環、置換基を有していてもよいコラニュレン環、置換基を有していてもよいクリセン環、又は置換基を有していてもよいベンゾ[c]ナフト[2,1-p]クリセン環である場合に新規化合物である。置換基としては、上記したものを採用できる。

【0136】
例えば、

【0137】
【化36】
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【0138】
等が挙げられる。

【0139】
また、チオフェン環縮合芳香族化合物は、基質として一般式(3E)で表される化合物を使用した場合は、一般式(4E):

【0140】
【化37】
JP2017218381A_000038t.gif

【0141】
[式中、R1は同一又は異なって、前記に同じである。]
で表される化合物である。

【0142】
R1は前記したものが挙げられ、新規化合物である。

【0143】
例えば、

【0144】
【化38】
JP2017218381A_000039t.gif

【0145】
等が挙げられる。

【0146】
また、チオフェン環縮合芳香族化合物は、基質として一般式(3F)で表される化合物を使用した場合は、一般式(4F):

【0147】
【化39】
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【0148】
で表される化合物である。

【0149】
R1は前記したものが挙げられ、新規化合物である。

【0150】
例えば、

【0151】
【化40】
JP2017218381A_000041t.gif

【0152】
等が挙げられる。
【実施例】
【0153】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0154】
特に制約しない限り、乾燥溶媒を含む全ての材料は、市販品を精製せずに使用した。また、全ての溶媒は、乾燥溶媒を使用した。化合物1a~1wは、既報にしたがって合成した。すべての反応は、標準的な真空ライン技法及びシュレンク技法を用いて行った。すべての後処理及び精製手順は、空気中で試薬グレードの溶媒を用いて行った。
【実施例】
【0155】
分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm)を用いて行った。得られたクロマトグラムは、UVランプ(254 nm)で分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、E. Merckシリカゲル60(230-400メッシュ)を用いて行った。分取リサイクルゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、溶離液としてクロロホルムを用いてJAIGEL-1H/JAIGEL-2Hカラムを備えたJAI LC-9260 II NEXTを用いて行った。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、Bruker Daltonics Ultraflex III TOF/TOF (MALDI-TOF-MS)で行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、UltraCool probe(1H 500 MHz、13C 125MHz)を備えたJEOL ECA 500II分光計で記録した。1H NMRの化学シフトはCHCl3(δ7.26 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。13C NMRのchemical shiftはCDCl3(δ77.0 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。データは、chemical shift、multiplicity(s =singlet、d =doublet、t =triplet、m=multiplet)、couplinh constant(Hz)、及びintegrationの順に報告する。
【実施例】
【0156】
[実施例1:チオフェン環縮環反応]
実施例1-1:化合物2aの合成
【実施例】
【0157】
【化41】
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【実施例】
【0158】
外気中で、化合物1a(17.8 g, 53.2 mmol, 1.0当量)、硫黄(S8; 13.6 g, 53.2 mmol, 1.0当量)をシュレンクチューブに投入した。通常のシュレンク技法(evacuate-refill cycle)を用いて、チューブをアルゴンで充填した。チューブにジメチルホルムアミド(DMF; 200 mL)を入れ、混合物を140℃で36時間加熱した。次に、混合物を室温まで冷却した。得られた溶液を真空下に濃縮した。さらに、CH2Cl2/メタノール溶液からの再結晶により精製し、目的化合物2aを得た(18.0 g, 93%収率)。本実施例は、後述の表1のentry 1に相当する。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.72-8.68 (m, 2H), 8.36 (dd, J = 7, 2 Hz, 1H), 8.15-8.13 (m, 2H), 7.77 (d, J= 9 Hz, 2H), 7.68-7.61 (m, 4H) 7.50 (d, J = 9 Hz, 2H), 1.39 (s, 9H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 151.3, 143.4, 135.9, 135.8, 131.5, 129.1, 128.7, 128.5, 128.2, 127.2, 127.0, 126.1, 126.0, 124.2, 124.1, 123.6, 123.5, 118.3, 34.7, 31.3; HRMS (ESI-MS) m/zcalcd for C26H22S [M+H]+: 367.1515, found: 367.1507。
【実施例】
【0159】
なお、この反応において、化合物1a、硫黄(S8)及びDMFについて、それぞれパラジウム濃度を測定したところ、いずれも1 ppm未満(測定限界未満)であった。このことから、本発明のチオフェン環縮環反応は触媒反応ではなく、触媒は不要であることが理解できる。
【実施例】
【0160】
実施例1-2:化合物2bの合成
以下の表1に示す条件とすること以外は実施例1-1と同様に、目的化合物2bを得た。なお、entry 1ではCH2Cl2/メタノール溶液からの再結晶により精製し、entry 2~3、6~7、12~13及び16~20ではGPCにより精製し、entry 4ではTLC(n-ヘキサン/酢酸エチル/CH2Cl2= 20:1:2)により精製し、entry 5、8~9及び15ではTLC(n-ヘキサン/CH3Cl= 10:1)により精製し、entry 10~11ではTLC(n-ヘキサン/CH3Cl= 5:1)により精製し、entry 14ではTLC(n-ヘキサン/CH3Cl = 5:2)により精製した。
【実施例】
【0161】
【表1】
JP2017218381A_000043t.gif
【実施例】
【0162】
【化42】
JP2017218381A_000044t.gif
【実施例】
【0163】
【化43】
JP2017218381A_000045t.gif
【実施例】
【0164】
【化44】
JP2017218381A_000046t.gif
【実施例】
【0165】
【化45】
JP2017218381A_000047t.gif
【実施例】
【0166】
なお、得られた各化合物のスペクトルデータは以下の通りである。
化合物2b:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.36 (d, J = 9 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.94 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.73-7.69 (m, 3H), 7.62 (t, J = 8 Hz, 1H), 7.53 (t, J = 8 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 144.2, 138.1, 136.9, 136.8, 131.7, 131.1, 129.7, 129.2, 128.6, 126.4, 126.2, 125.2, 124.8, 123.5, 120.5, 117.1, 21.2; HRMS (DART-MS) m/zcalcd for C15H15S [M+H]+: 275.0889, found: 275.0911。
化合物2c:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.12 (d, J= 8 Hz, 1H), 7.91 (d, J= 8 Hz, 1H), 7.78 (d, J= 9 Hz, 1H), 7.72 (d, J= 9 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.62 (s, 1H), 7.57 (t, J = 8 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 8 Hz, 1H), 2.41 (s, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 137.6, 135.0, 134.6, 133.7, 132.9, 129.4, 129.0, 128.2, 127.9, 127.8, 127.7, 126.5, 126.4, 126.3, 125.8, 123.5, 21.3; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C15H15S [M+H]+: 275.0889, found: 275.0882。
化合物2d:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.01 (s, 1H), 7.73 (t, J = 9 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.44 (t, J = 7 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 7 Hz, 1H), 7.17 (d, J= 8 Hz, 2 H), 7.13 (s, 1H), 4.02 (s, 3H), 2.63 (t, J = 8 Hz, 2H), 1.62 (quint, J = 7 Hz, 2H), 1.37 (sext, J = 7 Hz, 2H), 0.94 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 153.2, 143.1, 143.0, 138.0, 132.4, 132.2, 131.8, 129.0, 127.6, 126.2, 125.8, 124.8, 124.2, 123.3, 116.8, 55.4, 35.4, 33.5,22.4, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C23H22OS [M+H]+: 347.1464, found: 347.1458。
化合物2e:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.03 (d, J= 8 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.79 (d, J= 8 Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.68 (d, J= 9 Hz, 2H), 7.55 (t, J = 8 Hz, 1H), 7.48 (t, J= 8 Hz, 1H), 7.25 (d, J= 9 Hz, 2H), 2.66 (t, J = 8 Hz, 2H), 1.64 (quint, J= 7 Hz, 2H), 1.39 (sext, J = 7 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 144.0, 143.6, 138.0, 137.0, 131.5, 131.3, 129.1, 128.0, 127.9, 127.8, 126.9, 126.3, 126.2, 123.5, 120.5, 115.6, 35.4, 33.5, 22.4, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C22H19BrS [M+H]+: 395.0464, found: 395.0457。
化合物2f:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.45 (s, 1H), 8.34 (d, J = 9 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 1 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 9 Hz, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.04 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.77 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 8 Hz, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.60 (s, 9H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 148.8, 144.3, 138.8, 138.4, 134.9, 131.6, 131.0, 130.8, 129.7, 129.1, 128.2, 127.8, 126.9, 126.6, 125.3, 123.4, 122.5, 122.4, 122.1, 119.7, 119.3, 35.2, 31.9, 21.3; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C29H24S [M+H]+: 405.1671, found: 405.1666。
化合物2g:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.30 (s, 1H), 8.22 (d, J= 8 Hz, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.97 (d, J= 7.0 Hz, 1H), 7.95-7.92 (m, 2H), 7.75-7.72 (m, 3H), 7.40-7.38 (m, 2H), 7.29 (d, J = 8 Hz, 2H), 2.68 (t, J = 8 Hz, 2H), 1.67 (quint, J = 7 Hz, 2H), 1.41 (sext, J = 7 Hz, 2H), 0.97 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 145.6, 143.4, 140.1, 139.2, 138.9, 137.02, 136.98, 133.7, 131.7, 131.0, 129.1, 128.0, 127.5, 127.4, 126.2, 126.0, 122.6, 121.5, 121.3, 119.0, 117.2, 115.3, 35.4, 33.5, 22.4, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C28H22S [M+H]+: 391.1515, found: 391.1507。
化合物2h:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.61 (d, J= 8 Hz, 1H), 8.40 (d, J= 7 Hz, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.18 (d, J= 7 Hz, 1H), 8.15 (d, J= 8 Hz, 1H), 8.10-8.00 (m, 4H), 7.80 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.32 (d, J= 8 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 8 Hz, 2H), 1.68 (quint, J = 7 Hz, 2H), 1.43 (sext, J = 7 Hz, 2H), 0.98 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 143.9, 143.1, 136.3, 135.9, 131.7, 131.7, 129.1, 127.7, 127.3, 126.14, 126.08, 125.9, 125.0, 124.8, 123.4, 122.9, 121.0, 120.5, 118.4, 35.4, 33.5, 22.4, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C28H22S [M+H]+: 391.1515, found: 391.1508。
化合物2i:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.20 (s, 1H), 8.07 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 9 Hz, 1H), 7,82-7.76 (m, 6H), 7.52 (d, J = 9 Hz, 1H), 1.40 (s, 9H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 151.5,144.6, 138.6, 136.5, 136.0, 135.55, 135.48, 134.4, 133.6, 131.5, 130.8, 129.9, 129.6, 127.8, 127.7, 127.5, 127.1, 127.0, 126.71, 126.68, 126.03, 125.98, 124.8, 124.5, 118.2, 34.7, 31.3; HRMS (ESI-MS) m/zcalcd for C32H22S [M+H]+: 439.1515, found: 439.1508。
化合物2j:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.01 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.87 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.65 (s, 2H), 7.27 (d, J = 8 Hz, 4H), 2.67 (t, J = 8 Hz, 2H), 1.66 (quint, J = 7 Hz, 2H), 1.41 (sext, J = 7 Hz, 2H), 0.97 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR (125 MHz, C2D2Cl4) δ 143.5, 143.3, 138.1, 137.5, 131.3, 129.0, 126.1, 125.5, 122.6, 121.2, 120.1, 35.3, 33.4, 22.6, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/zcalcd for C34H32S2 [M+H]+: 505.2018, found: 505.2010。
化合物2k:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.38 (dd, J = 6, 3 Hz, 2H), 8.14 (s, 2H), 7.72 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.63 (dd, J = 6, 3 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8 Hz, 4H), 2.68 (t, J = 8 Hz, 4H), 1.67 (quint, J = 7 Hz, 4H), 1.42 (sext, J = 7 Hz, 4H), 0.97 (t, J = 7 Hz, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 143.0, 142.2, 135.0, 131.6, 131.0, 129.0, 127.5, 126.0, 125.6, 124.3, 117.6, 35.4, 33.5, 22.4, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/zcalcd for C34H32S2 [M+H]+: 505.2018, found: 505.2008。
化合物2l:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.33 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.71 (d, J = 7 Hz, 4H), 7.58-7.40 (m, 2H), 7.26 (d, J = 7 Hz, 4H), 2.67 (t, J = 8 Hz, 4H), 1.66 (quint, J = 7 Hz, 4H), 1.41 (sext, J = 7 Hz, 4H), 0.97 (t, J = 7 Hz, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 144.8, 143.4, 143.0, 142.5, 135.4, 133.9, 132.9, 132.2, 131.8, 131.5, 129.1, 127.3, 127.1, 126.2, 126.1, 125.94, 125.89, 124.58, 124.2, 117.7, 117.5, 35.4, 33.5, 22.4, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C34H32S2 [M+H]+: 505.2018, found: 505.2010。
化合物2m:
1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25℃) δ 7.9 (s, 4H), 7.81 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.78 (s, 2H), 7.30 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 2.68 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 1.70-1.64 (m, 4H), 1.40-1.31 (m, 12H), 0.92-0.89 (m, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 25℃) δ 145.2, 143.4, 140.8, 139.0, 133.5, 131.7, 129.1, 129.0, 126.5, 126.1, 124.3, 121.4, 119.8, 35.8, 31.7, 31.4, 29.0, 22.6, 14.1; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C38H40S2[M+H]+: 561.2644, found: 561.2632。
化合物2n:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.36 (dd, J = 8, 2 Hz, 2H), 8.50 (dd, J = 8, 2 Hz, 2H), 8.22 (s, 2H), 7.79 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.79-7.75 (m, 4H), 7.29 (d, J = 8 Hz, 4H), 2.68 (t, J = 7 Hz, 4H), 1.69 (quint, J = 7 Hz, 4H), 1.43-1.31 (m, 12H), 0.92 (t, J = 7 Hz, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 144.0, 143.2, 136.4, 133.9, 131.4, 129.0, 128.8, 128.6, 126.8, 126.1, 126.0, 124.6, 124.1, 117.2, 35.8, 31.8, 31.4, 29.0, 22.6, 14.1; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C46H44S2 [M+H]+: 661.2957, found: 661.2937。
化合物2o:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.71-8.67 (m, 2H), 8.35-8.34 (m, 1H), 8.13-8.10 (m, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.71 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.68-7.58 (m, 4H), 6.82 (d, J= 8 Hz, 2H), 3.04 (s, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 150.3, 144.4, 136.1, 134.6, 129.1, 128.7, 128.3, 128.2, 127.14, 127.10, 125.8, 125.7, 124.2, 124.0, 123.5, 123.4, 122.5, 116.1, 112.4, 115.6, 40.4; HRMS (MALDI-TOF-MS) m/z calcd for C24H19NS [M]+: 353.1233, found: 353.1208。
化合物2p:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.69 (t, J = 9 Hz, 2H), 8.34 (d, J= 7 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 7 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.67-7.58 (m, 6H), 6.77 (d, J = 9 Hz, 2 H), 3.83 (s, 2H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 146.6, 144.1, 136.1, 134.9, 129.1, 128.7, 128.3, 128.3, 127.47, 127.46, 127.19, 127.0, 125.9, 124.9, 124.2, 124.0, 123.6, 123.5, 116.7, 115.3; HRMS (MALDI-TOF-MS) m/zcalcd for C22H15NS [M]+: 325.0920, found: 325.09051。
化合物2q:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.72 (d, J= 8 Hz, 3H), 8.41(d, J= 8 Hz,, 3H), 8.03 (s, 3H), 7.71 (t, J = 7 Hz, 3H), 7.56 (d, J = 8 Hz, 6H), 7.40 (t, J = 8 Hz, 3H), 7.19 (d, J = 8 Hz, 6H), 2.62 (t, J = 8 Hz, 6H), 1.62 (quint, J = 8 Hz, 6H), 1.38 (sext, J = 7 Hz, 6H), 0.94 (t, J = 7 Hz, 9H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 143.6,143.0, 137.0, 136.3, 132.0, 131.4, 128.9, 128.7, 128.0, 127.6, 126.6, 126.2, 125.2, 123.9, 123.1, 116.5, 35.3, 33.5, 22.3, 14.0; HRMS (ESI-MS) m/z calcd for C66H54S3 [M+H]+: 943.3460, found: 943.3445。
化合物2r:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.73 (s, 5H), 7.85 (d, J = 2 Hz, 10H), 7.55 (d, J = 2 Hz, 5H), 1.49 (s, 90H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 151.8, 146.2, 136.7, 135.5, 133.6, 131.8, 122.9, 122.6, 121.3, 120.2, 35.1, 31.4. HRMS (MALDI-TOF-MS) m/zcalcd for C100H110S5 [M]+: 1470.721, found: 1470.720。
化合物2s:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.19 (d, J= 9 Hz, 1H), 8.11-8.02 (m, 5H), 7.95-7.93 (m, 2H), 7.71-7.57 (m, 10H), 7.44 (s, 1H), 7.33-7.31 (m, 2H), 7.22-7.21 (m, 2H), 7.04 (d, J = 8 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 8 Hz, 2H) , 1.57-1.52 (m, 2H), 1.31 (quint, J = 7 Hz, 2H), 0.89 (t, J = 7 Hz, 2H)。
化合物2t:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.38 (m, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.47 (s, 2H), 7.90-7.84 (m, 4H), 7.69(9)-7.69(6)(m, 4H), 7.48 (s, 2H), 1.45 (s, 36H)。
【実施例】
【0167】
[実施例2:チオフェン環縮合芳香族化合物のワンポット合成(薗頭カップリング-チオフェン環縮環)]
【実施例】
【0168】
【化46】
JP2017218381A_000048t.gif
【実施例】
【0169】
[式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを示す。Etはエチル基を示す。以下同様である。]
外気中で、フェナントレン-9-イルトリフルオロメタンスルホネート(163 mg, 0.5 mmol, 1.0当量)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2; 2.2 mg, 0.01 mmol, 2 mol%)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf; 5.5 mg, 0.01 mmol, 2 mol%)、及びCuI(1.9 mg, 0.01 mmol, 2 mol%)をシュレンクチューブに投入した。通常のシュレンク技法(evacuate-refill cycle)を用いて、チューブをアルゴンで充填した。チューブにジメチルホルムアミド(DMF; 5.0 mL)、トリエチルアミン(Et3N; 2当量)、及び1-(tert-ブチル)-4-エチニルベンゼン(79 mg, 0.5 mmol, 1.0当量)を入れ、混合物を70℃で12時間加熱し、次いで、アルゴン雰囲気下に3当量の硫黄(S8)を反応混合物に添加し、磁気撹拌子で攪拌しながらさらに140℃で48時間加熱した。次に、混合物を室温まで冷却した。得られた溶液を真空下に濃縮した。さらに、混合物をTLCにより精製し、目的化合物2aを得た(128 mg, 70 %収率)。
【実施例】
【0170】
[実施例3:ジアリールジインのチオフェン環縮環反応]
実施例3-1:化合物2uの合成
【実施例】
【0171】
【化47】
JP2017218381A_000049t.gif
【実施例】
【0172】
外気中で、化合物1u(35.6 mg, 0.1 mmol, 1.0当量)、及び硫黄(S8; 102 mg, 0.4 mmol, 4.0当量)をシュレンクチューブに投入した。通常のシュレンク技法(evacuate-refill cycle)を用いて、チューブをアルゴンで充填した。チューブに乾燥ジメチルホルムアミド(DMF; 1.0 mL)を入れ、混合物を140℃で48時間加熱した。次に、混合物を室温まで冷却した。得られた溶液を真空下に濃縮した。さらに、GPCにより精製し、目的化合物2uを得た(15.3 mg, 36 %収率)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 (d, J= 8 Hz, 1H), 8.73-8.71 (m, 1H), 8.46 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.14-8.12 (m, 1H), 7.81 (t, J = 7 Hz, 1H), 7.72 (t, J = 7 Hz, 1H), 7,68 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.67-7.63 (m, 1H), 7.26 (d, J = 8 Hz, 1H), 2.68 (t, J = 8 Hz, 2H), 1.67 (quint, J = 7 Hz, 2H), 1.42 (sext, J = 7 Hz, 2H), 0.97 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR (125 MHz, C2D2Cl4) δ 150.5, 146.4, 141.8, 141.1, 136.9, 134.7, 132.3, 132.2, 131.8, 131.5, 131.0, 130.7, 130.6, 130.2, 129.7, 129.4, 128.9, 127.7, 127.0, 126.8, 126.7, 118.4, 38.5, 36.6, 25.7, 17.2. HRMS (MALDI-TOF-MS) m/z calcd for C28H22S2 [M]+: 422.1157, found: 422.1148。
【実施例】
【0173】
実施例3-2:化合物2vの合成
【実施例】
【0174】
【化48】
JP2017218381A_000050t.gif
【実施例】
【0175】
外気中で、化合物1v(149 mg, 0.24 mmol, 1.0当量)、及び硫黄(S8; 122.9 mg, 0.48 mmol, 2当量)をシュレンクチューブに投入した。通常のシュレンク技法(evacuate-refill cycle)を用いて、チューブをアルゴンで充填した。チューブに乾燥ジメチルホルムアミド(DMF; 3.0 mL)及び乾燥エタノール(EtOH; 1.2 mL)を入れ、混合物を140℃で48時間加熱した。次に、混合物を室温まで冷却した。得られた溶液を真空下に濃縮した。さらに、GPCにより精製し、目的化合物2vを得た(46.3 mg, 28 %収率)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.27 (s, 2H), 7.55 (s, 2H), 7.53 (d, J= 2 Hz, 4H), 7.44 (t, J = 2 Hz, 2H), 1.40 (s, 36H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 151.7, 148.8, 140.1, 140.0, 133.8, 132.7, 130.4, 122.7, 120.6, 116.3, 115.4, 35.1, 31.5; HRMS (MALDI-TOF-MS) m/z calcd for C42H46S4 [M]+: 614.3035, found: 614.3024. HRMS (MALDI-TOF-MS) m/z calcd for C42H46S4 [M]+: 678.2477, found: 678.2479。
【実施例】
【0176】
実施例3-3:化合物2wの合成
【実施例】
【0177】
【化49】
JP2017218381A_000051t.gif
【実施例】
【0178】
外気中で、化合物1w(157.2 mg, 0.3 mmol, 1.0当量)、及び硫黄(S8; 153.6 mg, 0.6 mmol, 2当量)をシュレンクチューブに投入した。通常のシュレンク技法(evacuate-refill cycle)を用いて、チューブをアルゴンで充填した。チューブに乾燥ジメチルホルムアミド(DMF; 3.0 mL)及び乾燥エタノール(EtOH; 1.2 mL)を入れ、混合物を140℃で24時間加熱した。次に、混合物を室温まで冷却した。得られた溶液を真空下に濃縮した。さらに、GPCにより精製し、目的化合物2wを得た(38.4 mg, 22 %収率)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.56 (d, J= 8 Hz, 4H), 7.46 (s, 2H), 7.23 (d, J = 8 Hz, 4H), 2.63 (t, J = 7 Hz, 4H), 1.64 (quint, J = 7 Hz, 4H), 1.37-1.26 (m, 20H), 0.88 (t, J = 7 Hz, 6H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 145.3, 143.1, 141.6, 132.1, 130.1, 129.2, 125.7, 116.1, 35.8, 32.0, 31.5, 29.6, 29.4(2), 29.3(6), 22.8, 14.2。
【実施例】
【0179】
なお、得られた化合物2wと同じ骨格を有する化合物は、μ= 10.2 cm2 V-1 s-1と報告されていることから、本発明の製造方法によれば、世界最高水準の伝導度を有する有機半導体も容易に合成可能であることが理解できる。
【実施例】
【0180】
[試験例1:光物理特性]
実施例1-1で得た化合物2a、実施例1-2で得た化合物2f、実施例1-2で得た化合物2g、実施例1-2で得た化合物2h、実施例1-2で得た化合物2i、実施例1-2で得た化合物2j、実施例1-2で得た化合物2k、実施例1-2で得た化合物2l、実施例1-2で得た化合物2m、実施例1-2で得た化合物2n、実施例1-2で得た化合物2o、実施例1-2で得た化合物2p、実施例1-2で得た化合物2q、実施例1-2で得た化合物2r、実施例3-1で得た化合物2u、及び実施例3-2で得た化合物2vについて、吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定した。結果を図1~16に示す。なお、図1~16において、実線は吸収スペクトル、破線は蛍光スペクトルを示す。ΦFは絶対蛍光量子収率を示す。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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