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明細書 :ダイゼインを有効成分として含む歯の後戻り抑制剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6781427号 (P6781427)
公開番号 特開2017-210421 (P2017-210421A)
登録日 令和2年10月20日(2020.10.20)
発行日 令和2年11月4日(2020.11.4)
公開日 平成29年11月30日(2017.11.30)
発明の名称または考案の名称 ダイゼインを有効成分として含む歯の後戻り抑制剤
国際特許分類 A61K  31/352       (2006.01)
A61P   1/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K   6/69        (2020.01)
A61C   7/00        (2006.01)
FI A61K 31/352
A61P 1/02
A61P 43/00 105
A61K 6/69
A61C 7/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2016-103387 (P2016-103387)
出願日 平成28年5月24日(2016.5.24)
審査請求日 令和元年5月21日(2019.5.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】山口 大
個別代理人の代理人 【識別番号】100161207、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 和純
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
審査官 【審査官】六笠 紀子
参考文献・文献 特表2002-542286(JP,A)
特表2008-521514(JP,A)
国際公開第2005/046702(WO,A1)
特開2001-213779(JP,A)
特表2007-532537(JP,A)
International Journal of Oral-Medical Sciences,2018年,17(1),p.18-26
調査した分野 A61K 31/33-33/44
A61K 6/00-6/90
A61C 1/00-5/00
5/40-5/68
5/90-7/36
19/00-19/10
A61G 15/14-15/18
WPI
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
ダイゼインを有効成分として含む、歯の後戻り抑制剤。
【請求項2】
経口投与用である、請求項1に記載の歯の後戻り抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の歯の後戻り抑制剤を保持した、歯の後戻り抑制に用いられる歯科用装着具。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の歯の後戻り抑制剤、並びに、薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含む、歯の後戻り抑制用医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、歯の矯正の後戻り抑制薬としてのダイゼイン(Daidzein)に関する。より具体的には、矯正学的歯の移動時、及び移動後に生じる後戻りを抑制するためのダイゼインを有効成分として含む薬学的組成物、これを用いた歯の後戻り治療に関する。
【背景技術】
【0002】
矯正歯科臨床においては、矯正治療が終了した後に「歯の後戻り」が生じることが多く知られている。即ち、矯正後に、矯正前の歯の位置方向へ歯のズレが生じ、矯正前の歯並びに近づいてしまう現象が知られている。特に捻転歯の場合には、長期間の保定を行った後でも、歯の後戻りが多く認められる。
【0003】
近年、細胞外基質のターンオーバーやリモデリングが、「歯の後戻り」の原因であると考えられている。細胞外基質の代表例であるコラーゲンは、皮膚、骨、軟骨、歯などを構成する主要な繊維成分であり、哺乳動物が産生する全タンパク質の約3分の1を構成している。
【0004】
コラーゲン等の線維成分や、コラーゲン以外の線維間基質成分を分解する酵素として、マトリックス・メタロプロテイナーゼ(MMPs: matrix metalloproteinases)が知られている。このMMPsには、I型、II型、及びIII型のコラーゲンを分解するコラゲナーゼ;IV型、V型コラーゲン、ゼラチン、及びフィブロネクチンを分解するゼラチナーゼ;そしてエラスチン、及びラミニンを分解するストムライシン等が知られている。
【0005】
MMPsの中でも、MMP-1として知られるコラゲナーゼは、線維芽細胞や骨芽細胞等の組織を構成する細胞によって産生され、組織のリモデリングに関わる間質コラゲナーゼである。また、MMP-8として知られるコラゲナーゼは、組織の炎症時に出現し、好中球やマクロファージによって産生される好中球コラゲナーゼである。また、MMP-8に関して、歯根膜付近からの分泌が見られたとの報告がある(非特許文献1)。
【0006】
リラキシン(relaxin)はホルモンの一種であり、コラゲナーゼを放出させる作用によって、コラーゲンを間接的に破壊することが知られている。男性では前立腺で主に産生され、女性では黄体、脱落膜、胎盤、及び子宮内膜などで産生される。
歯の後戻りにも関与すると考えられる歯根膜においては、I型のコラーゲンとIII型のコラーゲンとが約8:2の比率で存在しているが、ラットに対してリラキシンを投与することにより、ラットの歯根膜組織に変化が生じたことが報告されている(非特許文献2)。これらの知見を受け、ラットにおける歯の移動モデルを使ったin vivo実験では、リラキシン投与により歯の後戻り量が有意に低減されることが示されている(非特許文献3)。また、in vitro実験においては、リラキシンによる細胞刺激によって、MMP-1のタンパク質産生量及びmRNA発現量が時間依存的に増加し、MMP-8のmRNA発現量も、時間依存的に有意に増加したことが報告されている。
【0007】
リラキシンに関してはヒトの臨床治験が行われているが、遺伝子組み換え技術を利用して作製したヒトのリラキシンを歯肉へ注射により投与し、矯正における歯の移動を加速し、更に移動後の歯を適正な位置に留めておく試みがなされている。
【0008】
ダイゼインは、イソフラボンの一種で大豆から抽出された化合物であり、大豆、エンドウマメ、葛といったマメ科植物に多く含まれている物質である。ダイゼインの構造は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンと似ており、ダイゼインが体内に入るとエストロゲンと似た働きをすることが知られている。そのため、骨粗鬆症などの疾患では、不足したエストロゲンの代わりにダイゼインの経口摂取をする事で、骨からのカルシウム流出を抑え、骨形成を促進することが知られている。
一方、美容領域では、液体状のローションとしてダイゼインが日常的に使用されている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特許第3014145号公報
【0010】

【非特許文献1】Apajalahti S.et al., “The in vivo levels of matrix metalloproteinase-1 and -8 in gingival crevicular fluid during initial orthodontic tooth movement.” J. Dent. Res. (2003): 82, pp.1018-22.
【非特許文献2】Madan MS et al., “Effects of human relaxin on orthodontic tooth movement and periodontal ligaments in rats.” Am. J. Orthod. Dentofac. Orthop. (2007): 131: 8., e1-10.
【非特許文献3】Kawasaki K et al., “Effects of low-energy laser irradiation on bone remodeling during experimental tooth movement in rats.” Lasers Surg. Med. (2000) 26, pp.282-291.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、歯の後戻りを抑制するリラキシンと同等の作用を有する代替化合物、およびそれを用いた歯科用装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者はダイゼインを培養歯根膜細胞に作用させ、DNAマイクロアレイ分析を用いて、リラキシンの遺伝子に影響を与えるか、検討を行った。その結果、本発明者はダイゼインが歯根膜細胞においてリラキシンの遺伝子発現量を有意に増大させることを見出し、本願発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、下記の構成をとる。
(1)ダイゼインを有効成分として含む、歯の後戻り抑制剤;
(2)経口投与用である、請求項1に記載の歯の後戻り抑制剤;
(3)上記(1)又は(2)に記載の歯の後戻り抑制剤を保持した歯科用装着具;
(4)上記(1)又は(2)に記載の歯の後戻り抑制剤、並びに、薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含む、医薬組成物;
(5)有効量のダイゼインを投与する、ヒトの歯の後戻りを抑制する方法;
(6)歯の後戻りの抑制に用いるためのダイゼイン。
【発明の効果】
【0014】
本発明の歯の後戻り抑制剤を使用することにより、歯の矯正時、及び歯の矯正後に生じる歯の後戻りを抑制することができる。
すなわち、本発明の後戻りの抑制剤は注射による注入以外に経口投与でも効果を生じるため、リラキシンを歯の矯正時に注射で注入する従来の方法に代わり、経口投与を行うことで矯正終了後の歯の後戻りの抑制を行うことも期待できる。
またダイゼインは、リラキシンと比較して分子量が小さいため、体内や細胞への移行性が良いと考えられ、注射による注入方法以外にも、経口投与、経皮的投与方法によっても投与することが可能である。またその効き目は長く、異物として捉えられにくいために副作用が出にくいと考えられる。更に代謝・排泄もされやすいというメリットがあり、歯の後戻りの治療薬として優れた薬剤であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例において、歯の矯正装置除去時、及び除去後3日目の歯の後戻りの大きさを、歯の矯正装置除去時の歯の位置を基準として計測した結果を示す。
【図2】本発明の歯の後戻り抑制剤を保持して口腔内に装着した際に薬剤を放出するのに用いられる歯科用装着具の一例としてのマウスピースを示す。(a)は装着前の状態を示し、(b)は装着時の状態を示す。
【図3】ラットにおける歯の後戻りモデルを使った実験において、歯の移動を意図的に行った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。

【0017】
[歯の後戻り抑制剤]
本発明の歯の後戻り抑制剤は、有効成分としてダイゼインを含む。ダイゼインは、例えば特許文献1に記載の方法により、豆類を原料として製造することが可能である。この方法により製造されたダイゼイン含有組成物は、AglyMax(登録商標)の名で販売されている。上記の方法で調製した、又は購入したダイゼイン含有組成物を、そのままで、又は適宜精製にかけてから、本発明の歯の後戻り抑制剤の有効成分として使用することができる。

【0018】
本発明の歯の後戻り抑制剤における有効成分のダイゼインの配合量は、後戻り抑制効果が生じさせる量であれば特に限定されないが、抑制剤全体の質量に対し、例えば15~35質量%とすることができる。

【0019】
本発明の歯の後戻り抑制剤は、経口投与用に適宜調製することができる。調製方法としては、公知の方法を挙げることができる。より具体的には、有効成分及び有効成分以外の成分を均一に混合し、所望の剤形に応じた方法で製剤を調製する。適宜、造粒・成形処理、被覆処理、分散・懸濁処理等にかけて、投与に適した剤形を完成させる。

【0020】
本発明の歯の後戻り抑制剤は、非経口的投与、例えば腸管外の方法(皮下注射、静脈注射、筋肉内注射等)や経皮的投与(経粘膜的投与を含む)用に調製することも可能である。これらの調製方法も公知のものを利用することができる。

【0021】
[医薬組成物]
本発明の医薬組成物は、前記歯の後戻り抑制剤、並びに、薬学的に許容できる担体及び/又は希釈剤を含む。
経口投与用の組成物としては、有効成分であるダイゼインの他、歯の移動の加速又は減速するための薬剤を添加することができる。特にMMPとして知られている酵素を補助剤として当該組成物に含めることができる。また経口投与用の組成物には、薬学的に許容される種々の担体、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、希釈剤、酸味料、甘味料、香料、着色剤、緩衝剤、賦形剤、界面活性剤等を含めることが可能である。経口投与用の組成物としては、錠剤、散剤、粉末剤、細粒剤、ドライシロップ剤、口内崩壊剤、カプセル、ゼリー、トローチ、シロップ、水溶液、懸濁液等の製剤とすることが可能である。更に経皮的投与用の組成物としては、有効成分であるダイゼインの他、吸収促進剤等を含めることが可能である。
上記の、有効成分以外の成分については、1種、又は2種以上を組み合わせて添加することができる。またその配合量は、ダイゼインの効果が達成される範囲内の量とすることができる。

【0022】
本発明の医薬組成物の投与量は、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1から100mg、好ましくは約1.0から50mgであると考えられる。
非経口的に投与する場合は、その1回の投与量は症状、投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとして)においては、通常、1日当り約0.01から30mg、好ましくは約0.1から20mg、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。
投与回数としては、経口の場合には1日平均当たり、1回~数回投与することが好ましく、静脈注射の場合には1週間~数か月平均当たり、1回投与することが好ましい。

【0023】
注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類等)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。
このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法等によって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。

【0024】
また、本発明の一側面は、歯の後戻りの抑制のためのダイゼインを提供する。
また、本発明の一側面は、歯の後戻り抑制剤を製造するためのダイゼインの使用を提供する。
また、本発明の一側面は、ダイゼインの治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、歯の後戻りの抑制方法を提供する。

【0025】
[歯科用装着具]
本発明の歯の後戻り抑制剤を経口投与する場合、種々の口内物質伝達方法・器具を利用することができる。たとえば、薬剤を口内へ放出するように構成された歯科用装着具を利用することができる。歯科用装着具としては、歯列矯正治療において用いられる治療器具等が含まれる。マウスピース、ブラケット、ブラケット補助具、結紮紐、ピン、ブラケットスロットキャップ、ワイヤー、ねじ、マイクロステープル、義歯、部分義歯、歯肉消息子、歯肉チップ、フィルム等である。
これらの歯科用装着具は、口腔内より定期的に除去可能なものとすることができる。定期的に除去し、当該装着具を再利用する場合には洗浄、薬剤コーティングを行う。ディスポーザブルな装着具の場合、あらかじめ薬剤を口腔内で放出可能な状態で装着具にコーティング等の処理を施したものを、直前に使用した装着具に代えて口腔内に装着することで、治療を継続することができる。

【0026】
歯科用装着具への薬剤のコーティングは、当該技術分野で知られる方法によって行うことができる。一の実施形態としては、薬剤をキャリアやバインダーとともに溶解し、吹付、塗布、浸漬等によって歯科用装着具の表面にコーティングする方法を挙げることができる。コーティング済み歯科用装着具が口腔内に装着されると、唾液中の水分や酵素によってキャリア、バインダーの活性化や不活性化、任意の放出メカニズムが働き、薬剤が口腔内に放出される。
別の実施形態としては、歯科用装着具を構成する層や空洞・空孔等に薬剤を保持、含有、支持させる方法も挙げることができる。この実施形態においては上記の一実施形態と同様に、歯科用装着具の装着時に、唾液中の水分や酵素の働きによって薬剤が口腔内に放出される。
これらの実施形態においては、歯科用装着具の構成材料として、薬剤の制御放出を可能とするものを使用することができる。このような構成材料を使用した場合、治療に適した速度で薬剤を放出することができるよう、歯科用装着具を作製することができる。
図2に、歯の後戻り抑制剤を保持させた歯科用装着具のマウスピースを示した。歯の矯正が終了した後、このようなマウスピースを歯に装着する。有効成分であるダイゼインは細胞透過性が良好な物質なので、歯肉溝から歯根膜組織にダイゼインが浸潤し、組織のコラーゲン代謝を促進することが再構築を行い、歯の後戻りを抑制すると考えられる。

【0027】
本発明においてはまた、歯の後戻り抑制剤を歯間、歯肉、歯茎、頬等に直接的に配置、塗布することもできる。更には、吸入器を使って患者に当該抑制剤を経口的に投与することも可能である。

【0028】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
(in vitroでのダイゼインがCol-1遺伝子発現に与える影響)
ヒト歯根膜(PDL)細胞を35mmディッシュ上に播種し、10 %ウシ胎児血清 (FCS:Cell Culture Laboratories, Cleveland, OH, USA) 、 抗生剤を含むα-MEM培地 (Wako, Osaka, Japan) 中で37℃、5%二酸化炭素雰囲気下で培養した。
培養したPDL細胞を、ジメチル・スルホキシド Dimethyl sulfoxide ( DMSO)で溶解し、1%FCSを含むα—MEM培地で希釈した50μg/mLのダイゼイン(Wako)を添加し、6時間、12時間、24時間、48時間培養を行った。細胞をPBSで洗浄したのち、RNAを抽出し、COL-1遺伝子、MMP-1遺伝子の発現量における経時的変化を測定した。いずれの測定においても、対照として、GAPDH遺伝子の発現量を基準とした。
【実施例】
【0030】
(結果)
COL-1遺伝子の発現は、ダイゼイン投与後6時間で一旦減少したが、投与後24時間で発現が増大し、投与時の約2.5倍まで増加した。その後、発現量は低下し、投与後48時間で元のレベルにまで減少した。一方、MMP-1遺伝子の発現は、ダイゼイン投与後6時間から24時間の間、継続して増大し、24時間後にピークを迎え、投与後48時間まで減少したが、投与時の約2倍のレベルで発現があった。
以上のことから、ダイゼインの投与によってコラーゲンの生成と分解に影響が出ることが示された。更に、投与後すぐの段階では(投与後6時間)、コラーゲンの分解が優勢であり、投与後6時間以降は、コラーゲンの生成が活発になるものの、分解も拮抗していることが推測された。
【実施例】
【0031】
(実施例2)
(ラットにおける歯の後戻りモデルを使ったダイゼイン投与実験)
6週齢のWistar系雄性ラット (180±10g)を経口投与用、2つの濃度のダイゼイン注射用、対照用にそれぞれ4匹用意した。
図3に示される様にして、ラットの臼歯をばねで引張って移動させ、隣り合う臼歯との距離を意図的に増大させた。ラットの口腔部分をマイクロCT撮影し、その撮影画像上で歯の移動距離を計測した。
移動した歯の歯茎部分に、50ng/mLまたは500ng/mLの濃度のダイゼイン溶液(DMSOで溶解し、PBSにて希釈)を注射した。また、経口投与として、ラットに5mg/kgの割合でダイゼインを給餌した。
注射部位は近心側、頬側、遠心側、口蓋側の4点で、それぞれ1日当たり同時に1回注射した。対照として、ダイゼインを含まない以外は同一組成の溶液を注射した。注射3日後、上記と同様のマイクロCT撮影を行い、歯の移動距離の戻り値を計測した。
【実施例】
【0032】
(結果)
測定結果を図1に示した。ダイゼインの投与後3日で、経口投与、及び歯肉注射のいずれの場合にも、歯の後戻り抑制効果が認められた。その効果は、歯肉注射(500ng/mL)、歯肉注射(50ng/mL)、経口投与(5mg/kg)の順に小さくなったが、効果のもっとも小さかった経口投与の場合であっても、対照とは顕著な差異が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、ダイゼインを有効成分とすることにより、矯正学的歯の後戻りを抑制することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2