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明細書 :薬物代謝酵素誘導および細胞毒性の評価方法、ならびにそのためのベクターおよび細胞

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6315478号 (P6315478)
登録日 平成30年4月6日(2018.4.6)
発行日 平成30年4月25日(2018.4.25)
発明の名称または考案の名称 薬物代謝酵素誘導および細胞毒性の評価方法、ならびにそのためのベクターおよび細胞
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 5/10
C12Q 1/02
G01N 33/15 Z
G01N 33/50 Z
請求項の数または発明の数 13
全頁数 115
出願番号 特願2014-542212 (P2014-542212)
出願日 平成25年10月21日(2013.10.21)
国際出願番号 PCT/JP2013/079058
国際公開番号 WO2014/061829
国際公開日 平成26年4月24日(2014.4.24)
優先権出願番号 2012232018
優先日 平成24年10月19日(2012.10.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年9月1日(2016.9.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
発明者または考案者 【氏名】多田 政子
【氏名】押村 光雄
【氏名】川村 文彦
【氏名】辻 咲織
個別代理人の代理人 【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100084146、【弁理士】、【氏名又は名称】山崎 宏
【識別番号】100122301、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 憲史
審査官 【審査官】小金井 悟
参考文献・文献 特表2008-546417(JP,A)
Mol. Ther.,2003年 6月,Vol.7, Vol.6,p.827-838
調査した分野 C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS/WPIX(STN)
GenBank/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞を製造するためのベクターであって、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域、第1のレポーター遺伝子、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域、および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、第1のレポーター遺伝子が胎児期特異的遺伝子の発現制御領域の下流に位置し、第2のレポーター遺伝子が薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流に位置し、該薬物代謝酵素遺伝子がCYP3A4であり、該胎児期特異的遺伝子が、CYP3A7である、ベクター。
【請求項2】
レポーター遺伝子が、光シグナルによって検出されるものである、請求項1に記載のベクター。
【請求項3】
レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードするものである、請求項1または2に記載のベクター。
【請求項4】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞であって、請求項1~のいずれか1項に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項5】
肝腫瘍細胞由来細胞株に由来する、請求項に記載の細胞。
【請求項6】
成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する、請求項またはに記載の細胞。
【請求項7】
請求項のいずれか1項に記載の細胞であって、
(ア)請求項1~のいずれか1項に記載のベクターを含む細胞を培養する工程、および
(イ)工程(ア)における培養の際の前記細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現量を指標として細胞を選択する工程
を含む方法によって選択された、細胞。
【請求項8】
工程(ア)における培養が、請求項1~に記載のベクターを含む細胞を肝細胞へ分化させるための培養である、請求項に記載の細胞。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のベクターを含む、非ヒト動物。
【請求項10】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価する方法であって、
(a)請求項のいずれか1項に記載の細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現を評価する工程、および
(b)請求項のいずれか1項に記載の細胞と被験物との接触の前後における、請求項のいずれか1項に記載の細胞中の第2のレポーター遺伝子の発現の変化を評価する工程
を含む、方法。
【請求項11】
工程(b)における第2のレポーター遺伝子の発現の変化の評価が、第2のレポーター遺伝子の発現の継続的な測定結果に基づくものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するためのキットであって、請求項1~のいずれか1項に記載のベクターを含む、キット。
【請求項13】
さらに、成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する細胞を含む、請求項12に記載のキット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願は、国等の委託研究の成果に係る出願(平成22年度、文部科学省、イノベーションシステム整備事業「創薬及び食品機能性評価モデル動物等の開発に係わる染色体工学研究拠点形成」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)である。
【0002】
本発明は、被験物における薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価する方法、ならびにそのためのベクターおよび細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物が有用であるための3大条件として、「効果があること」、「毒性が少ないこと」、および「体内に蓄積されないこと」が挙げられており、医薬品候補化合物については、一般的に吸収(Absorption)、分布(Distibution)、代謝(Metabolism)、排泄(Escresion)、および毒性(Toxity)が検討される。
【0004】
薬物の代謝は、各種の薬物代謝酵素によって行われることが知られている。代表的な薬物代謝酵素であるシトクロームP450は、生体内での薬物代謝の8割に関与する酸化酵素である。CYP3A群は、シトクロームP450ファミリーに属する主要な遺伝子であり、市販の薬物の約50%の代謝に関連するといわれる(非特許文献1)。
【0005】
薬物代謝酵素に関して、薬物代謝酵素誘導という現象が知られている。薬物代謝酵素誘導は、特定の薬物が薬物代謝酵素のプロモーターを活性化することなどによって、薬物代謝酵素の発現を向上させるという現象である。薬物代謝酵素誘導は有害な薬物間相互作用を引き起こす。たとえば、薬物代謝酵素の発現を向上させる第1の医薬と別の第2の医薬を同時に投与すると、第1の医薬によって発現が向上した薬物代謝酵素が第2の医薬の代謝を行って第2の薬物の薬効を低下させてしまう。したがって、有用な薬物を取得するにあたっては、医薬品候補化合物について薬物代謝酵素誘導を調べることが重要である。
【0006】
薬物代謝酵素誘導を調べる方法として、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流にレポーター遺伝子を接続させたベクターを導入した生体モデル細胞と薬物候補物質とを接触させて、接触前後の細胞におけるレポーター遺伝子の発現の変化を調べ、レポーター遺伝子の発現を向上させた薬物候補物質を薬物代謝酵素誘導性物質と評価する方法がある(特許文献1~4参照)。これらの方法は、煩雑な操作が不要であり簡便に行うことができる。しかしながら、これらの方法によって薬物代謝酵素誘導を起こすと評価された薬物候補物質にも、実際の生体内などで薬物代謝酵素誘導を起こさないものがあり、また、逆に薬物代謝酵素誘導を起こさないと評価された薬物候補物質にも、生体内で薬物代謝酵素誘導を起こすものがあり、従来の評価方法は正確性が不十分であった。
【0007】
特許文献3には、CYP3A4の発現領域と蛍光タンパク質を有するベクターが記載されている。しかしながら、特許文献3には、薬物候補物質を接触させる細胞の性能を向上させることに関する記載はなく、また、胎児期特異的遺伝子に関する記載はない。
【0008】
特許文献4には、CYP3A4の調節核酸分子とレポーター核酸分子を用いることの記載があり、レポーター核酸分子としてβガラクトシダーゼを用いた実施例の記載がある。しかしながら、特許文献4には、蛍光タンパク質を用いた実施例の記載や、薬物候補物質を接触させる細胞の性能の向上に関する記載や、胎児期特異的遺伝子に関する記載はない。
【0009】
これらに類似する技術として、特許文献5は、レポーター遺伝子として蛍光タンパク質のGFPを有し、胎児期特異的遺伝子であるCYP3A7のプロモーター領域を含むベクターを用いて、薬物の毒性や生物学的利用能を評価する方法を開示する。しかしながら、特許文献5の技術は、薬物代謝酵素誘導の評価を目的とするものではない。また、特許文献5には、複数の遺伝子の発現領域を組み合わせたベクターの記載や、薬物候補物質を接触させる細胞の性能の向上に関する記載はない。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2008-546417号公報
【特許文献2】特開2005-229967号公報
【特許文献3】特開2003-304896号公報
【特許文献4】特開2010-148508号公報
【特許文献5】国際公開第02/24918号
【0011】

【非特許文献1】Wilkinson,G.R.(2005).N Engl J Med 352,2211-2221.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流にレポーター遺伝子を接続したベクター、およびこれを導入した細胞を用いて、簡便な操作によって、従来よりも正確に被験物の薬物代謝酵素誘導を評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは鋭意検討したところ、従来の評価方法における不正確さの主要な原因は、評価に用いていた細胞集団が均一でなく、生体内と同様の薬物代謝酵素誘導を起こさない細胞を多く含むことにあることを見出した。また、細胞毒性を持つ被験物を用いた場合には評価用の細胞内でレポーター遺伝子の発現が充分に機能しなかったことも、不正確さの原因であることを見出した。さらに、従来の方法は、薬物接触後の特定の時点においてのみレポーター遺伝子の発現量を観察し、薬物代謝酵素誘導を評価していたが、本発明者らは、薬物代謝酵素誘導によるレポーター遺伝子の発現量は、一度上昇しても、その後、低下することがあり、低下後の発現量の結果をもとに薬物代謝酵素誘導を評価していたことも、従来の方法の不正確さの一因であることを見出した。また、本発明者らは、胎児期特異的遺伝子の発現は、細胞毒性を有する物質によって細胞に傷害が生じた際に一過的に増加し、被験物質の細胞毒性の指標となることを確認した。
【0014】
以上をもとにして、本発明者らは、さらに鋭意検討したところ、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域および胎児期特異的遺伝子の発現制御領域を含むベクターを細胞に導入した後、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域下のレポーター遺伝子の発現量が低い細胞を選択すれば、正確な薬物代謝酵素誘導試験に適した高い成熟度を示す細胞を選択することができることを見出した。また、このようなベクターを用いれば、細胞と被験物との接触前後における薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域下のレポーター遺伝子の発現量の変化を評価することによって薬物代謝酵素誘導を評価することができるだけでなく、細胞と被験物との接触前後における胎児期特異的遺伝子の発現制御領域下のレポーター遺伝子の発現量の変化を評価することによって細胞毒性を評価することができ、細胞毒性の評価を踏まえて、従来よりも正確に薬物代謝酵素誘導を評価することができることを見出した。上記のベクターを用いれば、薬物代謝酵素誘導試験に適した細胞の選択と、薬物代謝酵素誘導および細胞毒性の評価の試験とを、ワンステップで簡便な操作で行うことができ、細胞の発生段階や質を同時に評価することによって、取得データの信頼性を確認することができた。
【0015】
特に、それぞれの発現制御領域の下流に位置するレポーター遺伝子として、光シグナルによって検出されるものを用いる場合には、細胞の抽出物を解析することなく、レポーター遺伝子の発現量を簡便に継続的かつ定性的にライブイメージング評価することができた。このため、薬物酵素誘導によって発現が上昇した後に低下が起こった場合であっても、上昇した過程を見逃すことなく、簡便かつ正確に薬物酵素誘導試験を行うことができた。また、光シグナルによって検出されるレポーター遺伝子を含む本発明のベクターを用いれば、ルシフェラーゼやベータガラクトシダーゼ染色のように細胞の固定や破壊、基質の添加が不要であり、連続測定が可能であることから、経済的な優位性があった。
【0016】
さらに、ベクターを導入する細胞として、肝腫瘍細胞由来細胞株を用いる場合には、細胞の成熟度の違いによって、薬物代謝酵素の発現量の変化が極めて鮮明に観察されるため、試験に適した成熟度の高い細胞を、より確実かつ簡便に選択することができることを見出した。
【0017】
すなわち、本発明は、被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞を製造するためのベクターであって、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域、第1のレポーター遺伝子、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域、および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、第1のレポーター遺伝子が胎児期特異的遺伝子の発現制御領域の下流に位置し、第2のレポーター遺伝子が薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流に位置する、ベクターを提供するものである。
【0018】
また、本発明は、薬物代謝酵素遺伝子が、チトクロムP450である、前記ベクターを提供するものである。
【0019】
また、本発明は、胎児期特異的遺伝子が、CYP3A7である、前記ベクターを提供するものである。
【0020】
また、本発明は、レポーター遺伝子が、光シグナルによって検出されるものである、前記ベクターを提供するものである。
【0021】
また、本発明は、レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードするものである、前記ベクターを提供するものである。
【0022】
さらに、本発明は、被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞であって、前記のベクターを含む、細胞を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、肝腫瘍細胞由来細胞株に由来する、前記細胞を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する、前記細胞を提供するものである。
【0025】
また、本発明は、前記細胞であって、
(ア)前記ベクターを含む細胞を培養する工程、および
(イ)工程(ア)における培養の際の前記細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現量を指標として細胞を選択する工程
を含む方法によって選択された、細胞を提供するものである。
【0026】
また、本発明は、工程(ア)における培養が、前記ベクターを含む細胞を肝細胞へ分化させるための培養である、前記細胞を提供するものである。
【0027】
さらに、本発明は、前記ベクターを含む、非ヒト動物を提供するものである。
【0028】
加えて、本発明は、被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価する方法であって、
(a)前記の細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現を評価する工程、および
(b)前記の細胞と被験物との接触の前後における、前記の細胞中の第2のレポーター遺伝子の発現の変化を評価する工程
を含む、方法を提供するものである。
【0029】
また、本発明は、工程(b)における第2のレポーター遺伝子の発現の変化の評価が、第2のレポーター遺伝子の発現の継続的な測定結果に基づくものである、前記方法を提供するものである。
【0030】
さらに、本発明は、被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するためのキットであって、前記ベクターを含むキットを提供するものである。
【0031】
また、本発明は、さらに、成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する細胞を含む、前記キットを提供するものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明のベクターを用いれば、薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を同時に正確に評価するための細胞集団を簡便に調製することができる。細胞集団の調製の際に、胎児期特異的遺伝子発現制御領域下の第1のレポーター遺伝子の発現を評価し、この発現が少ない細胞を選択すれば、より正確な評価に適した細胞集団を調製することができる。また、本発明のベクターは、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域と胎児期特異的遺伝子発現制御領域とを共に含むため、これを用いれば両者が一定の比率で導入された細胞を調製することができる。このようにして調製された細胞について、薬物代謝酵素遺伝子の下流のレポーター遺伝子の発現量と胎児期特異的遺伝子の下流のレポーター遺伝子の発現量とを比較検討すれば、細胞毒性に対する影響と薬物代謝酵素に対する影響とを定量的に評価することができる。そして、レポーター遺伝子の非発現が被験物の細胞毒性に起因するかどうかの判断を踏まえて、被験物による薬物酵素誘導を一層正確に評価することができる。また、本発明のベクターを用いれば、細胞の発生段階や質を評価することができ、薬物代謝酵素誘導の試験に適した成熟度の高い細胞を、より確実に簡便に選択することができる。例えば、本発明のベクターを用いれば、肝臓の幹細胞およびそれに類する細胞株、iPS細胞、ならびにES細胞などが機能的な肝臓細胞に分化する発生段階をモニターすることができ、分化した細胞を簡便に選別することができる。薬物代謝酵素誘導の評価に適した細胞が胎児期の肝臓細胞からそのまま分化して発生するのか、出生後に別の幹細胞から発生するのかは、不明であった。胎児期の肝細胞特異的遺伝子の発現制御領域の下流に位置する第1のレポーター遺伝子を発現する本発明の細胞が、時間経過に伴い薬物代謝酵素誘導評価に適した細胞に直接分化するのかどうかを、本発明のベクターにおける第2のレポーター遺伝子を用いて単一細胞で追跡することによって、この現象を明らかにすることができる。ES細胞やiPS細胞などの幹細胞から薬物代謝酵素誘導性評価に適した細胞を作り出す細胞分化誘導法の開発が課題になっているが、代謝機能が高い肝細胞の発生過程を、本発明のベクターにおけるレポーター遺伝子の発現スイッチングにより明らかにすることによって、その分化誘導法の開発を加速化することができる。このように、本発明によれば、薬物代謝酵素誘導性、発現スイッチング、および肝毒性を評価できるベクター、ならびにこれらの評価が可能な生体モデル細胞に前記ベクターを導入した細胞が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、loxPサイト導入HepG2細胞におけるloxP挿入箇所を示す写真である。
【図2】図2は、CHO細胞内のマウス人工染色体ベクター(MAC)上に、ヒトCYP3A4遺伝子全長とヒトCYP3A7遺伝子の遺伝子発現制御領域下に赤色蛍光レポーター遺伝子(R:DsRed)を挿入したBACベクター{CYP3A4+/7R BAC}を搭載したことを確認する写真である。
【図3】図3-1および図3-2は、CYP3A4+/7R BAC搭載MAC{CYP3A4+/7R MAC}導入マウスES細胞(TT2F)の核型(図3-1)とMACが移入されたことを確認したFISH解析像(図3-2)を示す写真である。
【図4】図4は、CYP3A4+/7R MAC導入マウスES細胞のコロニーを示す写真である。予めMAC上に搭載されていたEGFP遺伝子発現を確認することができる。
【図5】図5は、CYP3A4+/7R ES細胞を用いたキメラ産仔(一日目)における肝臓特異的なDsRed発現を確認する写真である。
【図6】図6は、CYP3A4およびCYP3A7(CYP3A4/7)発現誘導性薬剤添加48時間後、ヒトCYP3A4遺伝子の遺伝子発現制御領域下に緑色蛍光レポーター遺伝子(G:EGFP)およびヒトCYP3A7遺伝子の遺伝子発現制御領域下に赤色蛍光レポーター遺伝子(R:DsRed)を挿入したBACベクター{CYP3A4G/7R BAC}導入HepG2細胞の発現誘導性を2色蛍光レポーター遺伝子発現で評価する蛍光顕微鏡写真である。
【図7】図7は、CYP3A4/7発現誘導性薬剤添加48時間後のCYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞の発現誘導性を2色蛍光レポーター遺伝子発現で評価するFACS解析結果を示すグラフである。
【図8】図8は、CYP3A4/7発現誘導性薬剤(RIF:リファンピシン)添加48時間後のCYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞クローン(C87)の発現誘導性を2色蛍光レポーター遺伝子発現で評価するため、エリア総蛍光量を蛍光顕微鏡で解析した結果を示すグラフである。対照群(loxP)に対して、CYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞クローンは、ヒトCYP3A4発現誘導性薬剤によりEGFPおよびDsRed発現誘導されることを確認することができる。
【図9】図9は、CYP3A4/7発現誘導性薬剤(RIF:リファンピシンおよびDEX:デキサメタゾン)添加24時間後の代表的なCYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞クローン(C6、C52、C87)の内在性CYP3A4とCYP3A7遺伝子発現変化を蛍光レポーター遺伝子EGFPおよびDsRedの発現量変化で予測できるかを評価する定量性RT-PCRの解析結果を示すグラフである。特に、内在性CYP3A4に比べEGFPの遺伝子発現増加率(Fold increase of expression, 非処理対象群=1)が高く、薬剤の発現誘導性の有無を評価することが容易になることを示すグラフである。
【図10】図10左は、loxPサイトがヒト15番染色体に導入されたloxP-15 HepaRG細胞とヒト16番染色体に導入されたloxP-16 HepaRG細胞を示すFISHマッピング写真である。同時に、CYP3A4G/7R BAC(赤色)が、loxP挿入箇所(緑色)に挿入されていることを示す。図10右は、代表的なCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローンの染色体構成を示すマルチカラーFISHの解析結果を示す画像である。
【図11】図11は、HepaRG細胞の特性を確認する写真である。図11左は、2週間(2W)の増殖専用培地による増殖培養(Growing)後に分化専用培地による分化培養(Differentiation)すると、小型の肝細胞様細胞集団が細胞集団上層に出現することを示す写真である。図11右は、この肝細胞様細胞集団がCYP3A4とCYP3A7を共に認識する抗体に対して強陽性となり、いずれかの発現が高いことを示す抗体染色写真である。
【図12】図12は、HepaRG細胞を分化した場合、内在性CYP3A4(左)とCYP3A7(右)の遺伝子発現変化を定量性RT-PCRにより解析した結果を示すグラフである。14日間の増殖専用培地による増殖培養後(G14d)、分化専用培地で分化培養1、2、3、7、15日(D1d、D2d、D3d、D7d、D15d)経過したHepaRG細胞での、細胞分化に伴うCYP3A7発現の減少とCYP3A4の増加を確認するグラフである。
【図13】図13は、代表的なCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローン(C3)の14日間の増殖専用培地による増殖培養後(G14d)、分化専用培地による分化培養後5日目(D5d)と10日目(D10d)のDsRed陽性細胞数の減少(上)およびEGFP陽性細胞量の増加(下)を示す蛍光顕微鏡写真を示す。
【図14】図14は、CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞は当初全てDsRed陽性であるが分化に伴ってDsRed発現が消失し、その中から、一部の細胞がEGFP陽性細胞となること示す顕微鏡写真である。図14は、CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞が、CYP3A4陽性の代謝機能が高い肝細胞の発生過程を解析する材料となることを示す。
【図15】図15は、増殖専用培地による増殖培養7日目(G7d)と14日目(G14d)、専用分化培地による分化培養後1、3、5、7、10、12日目(D1d、D3d、D5d、D7d、D10d、D12d)でのEGFP(左)およびDsRed(右)のエリア総蛍光量の経日変化を蛍光顕微鏡で解析した結果を示すグラフである。CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞は、細胞分化に伴いDsRed発現の減少とEGFPの増加を起こすことが分る。
【図16】図16は、代表的なCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローン(C3)に、1%DMSOに溶解したCYP3A4/7発現誘導性薬剤(RIF:リファンピシン、DEX:デキサメタゾン、CLO:クロトリマゾール、NIF:ニフェジピン、PCN:pregnenolone 16a-carbonitrile)を添加し、48時間後のEGFPおよびDsRedのエリア総蛍光量を蛍光顕微鏡で解析した結果を示すグラフである。EGFPはPCN以外で、誘導性を示した。PCNはげっ歯類のCYP誘導剤として知られ、ヒトではCYP3A4を誘導しないことから、PCNによる非誘導性はヒトでの反応をEGFPで予測できていることを示す例となる。また、HepaRG細胞に対して細胞障害度が高かったCLO、NIF、PCNでのDsRed蛍光量増加率(Fold increase of fluorescent,DMSO対象群=1)から、CYP3A7発現増加が細胞毒性評価の目安となることを示すグラフである。
【図17】図17は、CYP3A4+/7R BAC搭載MAC導入マウスES細胞を用いたキメラマウスを交配して得られたCYP3A4+/7R MAC導入マウスの生後1日目における肝臓でのDsRed発現を確認する写真である(wt:対照群)。
【図18】図18は、CYP3A4+/7R MAC導入マウスがDsRed発現増加によって肝障害を評価できるか検討するため、成体に肝障害物質である5%四塩化炭素を投与した後の肝臓の蛍光顕微鏡写真である。成体になって抑制されていた肝臓のDsRed蛍光量が増加することが分る。CYP3A4+/7R MAC導入マウスでは、EGFPは、細胞にMACが導入されていることを示すマーカーとしての機能をもつ。
【図19】図19は、CYP3A4+/7R MAC導入マウスがDsRed発現増加によって肝障害を評価できるか検討するため、成体に肝障害物質である5%四塩化炭素を投与すると、成体になって抑制されていたDsRed発現が増加することを示した定量性RT-PCR解析結果のグラフである。DsRedは、幼弱な肝芽細胞のマーカーであるαフェトプロテイン(Afp)とともに肝毒性後の肝再生マーカーとして利用できることが分る。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、ベクターを提供する。ベクターとしては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ウイルスベクター、人工染色体ベクターなどが挙げられる。人工染色体ベクターとしては、酵母人工染色体ベクター(YAC)、細菌人工染色体ベクター(BAC)、P1人工染色体ベクター(PAC)、マウス人工染色体ベクター(MAC)、ヒト人工染色体ベクター(HAC)が挙げられる。

【0035】
本発明のベクターは、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域を含む。

【0036】
胎児期特異的遺伝子は、胎児期に特異的に発現が向上する遺伝子である。胎児期特異的遺伝子として各種の遺伝子が知られており、たとえば、CYP3A7、Cyp3a16、α-フェトプロテイン、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、GST-P、M2-PK、CK8、CK18、RL16/79、EpCAMなどが挙げられる。CYP3A7(チトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA、ポリペプチド7)は、NCBI Resourcesにおいて、登録番号NM 000765として説明されている。CYP3A7の配列は、登録番号NM 000765.3に示される。CYP3A7は、胎児期特異的遺伝子であるとともに薬物代謝酵素遺伝子でもある。そのため、CYP3A7は、薬物代謝酵素誘導の評価の指標としても用いることができ、これにより一層正確な評価が可能となる。CYP3A7は、幼若な肝芽細胞のマーカーである。CYP3A7を用いることにより、肝細胞毒性後の肝再生を評価することができる。

【0037】
発現制御領域は、下流に位置する遺伝子の発現を制御する領域である。発現制御領域としては、プロモーター、エンハンサーが挙げられる。プロモーターは、結合する遺伝子のコード領域の転写の開始に関わるDNA配列である。エンハンサーは、結合しているプロモーターの特異性を制御する。発現制御領域は、プロモーター、エンハンサーのそれぞれを単独で含んでもよいが、プロモーター、およびエンハンサーを共に含んでもよい。

【0038】
胎児期特異的遺伝子の発現制御領域は、GenBankなどの公知の情報をもとに周知技術によって取得することができる。たとえば、CYP3A7に関しては、GenBankの登録番号AF181861.1が、ヒトチトクロムP-450IIA7(CYP3A7)遺伝子、プロモーター領域、および部分配列として、1012bpの塩基配列を開示している。この1012bpの塩基配列を配列番号1として示す。また、GenBankは、登録番号AC069294.5として、CYP3A7の発現制御領域を含むBACクローンRP11-757A13の塩基配列を開示している。登録番号AC069294.5として開示された塩基配列を配列番号2として示す。さらに、CYP3A7の発現制御領域はCYP3A4の発現制御領域と90%以上の相同性を示すことから、CYP3A7のプロモーターおよびエンハンサー領域は、登録番号AF185589.1のCYP3A4のプロモーターおよびエンハンサー領域との相対的な位置として公知である(Bertilsson,G.et al.,BBRC 280,139-144,2001;Sueyoshi,T and Neishi,M.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:123-43,2001)。CYP3A7の転写開始点から約-8000bpの配列は、CYP3A7の発現制御領域として用いることができる。登録番号AF185589.1の転写開始点から-7733~-7719(dNR1)、-7689~-7672(dNR2)、-7287~-7273(dNR3)、-171~-154(pNR)は、CYP3A4のエンハンサーであることが知られており、これらに対して相同性を有するCYP3A7中の4箇所の相同領域もエンハンサーとして機能していることが知られている。この4箇所のエンハンサー配列を以下の表1に示す。CYP3A7の発現制御領域は以上の4箇所のエンハンサー領域を含むことが好ましく、転写開始点から約-8000bpまでの配列をCYP3A7の発現制御領域として用いることによって、これらのエンハンサーを含めることができる。また、これらの配列と、95%、98%、または99%以上の同一性を有する配列も、下流に位置する遺伝子の発現を制御する機能を有するかぎり、CYP3A7の発現制御領域として用いることができる。ここで、配列の同一性は、市販のまたは電気通信回線を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。具体的には、BLAST(J.Mol.Biol.,215,403,1990)やFASTA(Methods in Enzymology,183,63-69)等の解析ソフトを用いて計算することができる。
【表1】
JP0006315478B2_000002t.gif
JP0006315478B2_000003t.gif

【0039】
本発明のベクターは、第1のレポーター遺伝子を含む。

【0040】
レポーター遺伝子は、検出可能な標識を細胞に提示させる任意の核酸配列である。検出可能な標識としては、蛍光シグナル、リン光シグナル、アッセイにおいて検出可能なタンパク質、酵素活性、細胞上または細胞中で検出可能な抗原などが挙げられる。レポーター遺伝子がコードするタンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ヒト化ウミシイタケ緑色蛍光タンパク質(hrGFP)、増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)、増強青色蛍光タンパク質(eBFP)、増強シアン蛍光タンパク質(eCFP)、増強黄色蛍光タンパク質(eYFP)、赤色蛍光タンパク質(RFPまたはDsRed)などの蛍光タンパク質が挙げられる。また、レポーター遺伝子がコードするタンパク質としては、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼなどの生物発光タンパク質が挙げられる。さらに、レポーター遺伝子がコードするタンパク質としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼなどの化学発光基質を変換する酵素が挙げられる。本発明において、蛍光シグナル、リン光シグナルなどの光シグナルによって検出されるレポーター遺伝子を用いる場合、細胞を生存させた状態でレポーター遺伝子の発現量を観察することができ、評価用の細胞を生きたまま簡便に選択することができる。また、その場合、被験物を連続的に投与する実験に用いることもでき、発現量の経時的変化をリアルタイムで追跡することもできる。そのため、本発明のレポーター遺伝子としては、光シグナルを標識とするものを用いるのが好ましい。

【0041】
本発明のベクターは、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域を含む。

【0042】
薬物代謝酵素遺伝子は、生体内で薬物の代謝を行う酵素をコードする遺伝子である。薬物代謝酵素遺伝子としては、各種の遺伝子が知られている。知られている薬物代謝酵素遺伝子の中には、薬物を化学的に改変または隔離する、細胞に結合しているもしくは細胞上に存在するタンパク質または核内タンパク質がある。薬物代謝酵素遺伝子は、生体内において薬物の排除またはその効果の実質的な変更をもたらす限り、化学的分解、別の化合物への変換、または別の細胞間もしくは細胞内空間への輸送などの具体的機能を問わない。薬理代謝酵素遺伝子としては、チトクロムP450、フラビン含有モノオキシゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素、モノアミンオキシダーゼ、アルデヒド還元酵素、ケトン還元酵素、エステラーゼ、エポキシヒドロラーゼ、β-グルクロニダーゼ、スルファターゼ、UDP-グルクロン酸転移酵素、グルタチオンS-転移酵素、N-アセチル転移酵素、硫酸転移酵素、グリシン抱合酵素、メチル化酵素およびグルコース転移酵素などが挙げられる。チトクロムP450には、CYP3A4、CYP3A7などを含むCYP3A遺伝子群(単にCYP3Aともいう)が含まれる。また、チトクロムP450には、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2J2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、CYP4B1、CYP5A1、CYP8A1、CYP21などが含まれる。輸送を担う遺伝子としては、OCT1、NTCP、OATP1B1、OATP1B3、OATP2B1、OAT2、MRP2、MRP3、MRP4、MRP6、MDR1、BCRP、BSEPなどが含まれる。核内受容体としては、PXR、CARなどが含まれる。

【0043】
薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域は、GenBankなどの公知の情報をもとにして周知技術によって取得することができる。たとえば、GenBankの登録番号AF185589.1には、ヒトチトクロムP450 3A4(CYP3A4)遺伝子・プロモーター領域として、11374bpの配列が開示されており、転写開始点から約-8000bpの配列は、CYP3A4の発現制御領域として用いることができる。登録番号AF185589.1として開示された11374bpの配列を、配列番号3に示す。特に、登録番号AF185589.1の転写開始点から-7733~-7719(dNR1)、-7689~-7672(dNR2)、-7287~-7273(dNR3)、-171~-154(pNR)は、CYP3A4のエンハンサーであることが知られており(Bertilsson,G.et al.,BBRC 280,139-144,2001;Sueyoshi,T and Neishi,M.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:123-43,2001)、これらの配列をCYP3A4の発現制御領域として用いてもよい。また、これらの配列と、95%、98%、または99%以上の同一性を有する配列も、下流に位置する遺伝子の発現を制御する機能を有するかぎり、CYP3A4の発現制御領域として用いることができる。配列の同一性は、市販のまたは電気通信回線を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。具体的には、BLAST(J.Mol.Biol.,215,403,1990)やFASTA(Methods in Enzymology,183,63-69)等の解析ソフトを用いて計算することができる。CYP3A4の発現制御領域を用いる場合、下流にある第2のレポーター遺伝子の発現が高いことは、細胞が薬物代謝酵素誘導の評価に適していることの指標にもなるため、より正確な評価のための細胞を調製することが可能になる。

【0044】
本発明のベクターは、第2のレポーター遺伝子を含む。第2のレポーター遺伝子は、第1のレポーター遺伝子と異なることが望ましい。

【0045】
本発明のベクターにおいて、第1のレポーター遺伝子は、発生初期段階特異的遺伝子の発現制御領域の下流に位置し、第2のレポーター遺伝子は、薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域の下流に位置する。レポーター遺伝子が転写される方向を基準として、レポーター遺伝子が発現制御領域の後ろに位置する場合、レポーター遺伝子は発現制御領域の下流に位置するといってよい。また、発現制御領域がレポーター遺伝子に機能的に連結される場合にも、レポーター遺伝子は発現制御領域の下流に位置するといってよい。発現制御領域がコード領域の転写を駆動する実験結果が得られる場合には、発現制御領域はコード領域に機能的に結合しているといってよい。

【0046】
本発明のベクターは、Cre-loxPシステムなどの、部位特異的組換え反応を利用した遺伝子組換え用の配列を含んでもよい。本発明のベクターがCre-loxPシステム用の配列を含む場合、ベクターの全長をあらゆる細胞に1コピー導入することが可能になる。これにより、細胞間のレポーター遺伝子の発現のばらつきが減少するため、評価の正確性がさらに向上する。

【0047】
本発明のベクターは、発現制御領域およびレポーター遺伝子などを含む核酸断片とベクターとを公知の方法によってライゲーションすることによって得てもよい。また、各遺伝子のゲノム上の周辺領域を含むベクターにおいて、その遺伝子のタンパク質翻訳領域(ORF)をレポーター遺伝子と置換することによって得てもよい。

【0048】
本発明のベクターにおいて、薬物代謝酵素遺伝子としてCYP3A4を用い、かつ、胎児期特異的遺伝子としてCYP3A7を用いる場合、両遺伝子の発現は発生段階特異的制御を受けているため、薬物代謝酵素誘導の評価に適さない細胞においては第1のレポーター遺伝子の発現の上昇と第2のレポーター遺伝子の発現の低下が観察される。他方、評価に適した細胞においては第1のレポーター遺伝子の発現の低下と第2のレポーター遺伝子の発現の上昇が観察される。このように、細胞が薬物代謝酵素誘導の評価に適しているかどうかを、レポーター遺伝子の発現上昇と発現低下の両方の側面から判断することができる。そのため、分化の成熟度が高く生体内における機能を充分に保持する機能的細胞を極めて効率よく取得することができる。したがって、本発明のベクターには、薬物代謝酵素遺伝子としてCYP3A4を用い、かつ、胎児期特異的遺伝子としてCYP3A7を用いることが好ましい。

【0049】
本発明のベクターは、被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するための細胞を製造するために用いることができる。

【0050】
被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するための細胞は、リポフェクション、微小核融合法などの公知の方法を用いて、本発明のベクターを細胞に導入することによって得ることができる。

【0051】
本発明のベクターを導入する細胞としては、薬物代謝酵素誘導が生じる生体内の組織中の細胞が挙げられる。本発明のベクターを導入する細胞が由来する組織としては、肝臓、小腸などが挙げられる。本発明のベクターを導入する細胞が由来する生物は、薬物代謝酵素誘導を試験することを目的とする生物であることが望ましく、たとえば、ヒト、マウスなどの哺乳動物が挙げられる。また、本発明のベクターを導入する細胞としては、HepG2細胞、HepaRG細胞、Hu7細胞などの培養細胞であってもよい。HepG2細胞は、ヒト肝ガン細胞であり、ヒト肝細胞モデル細胞として汎用されている。本発明のベクターを導入する細胞は、好ましくは、HepaRG(登録商標)などの肝腫瘍細胞由来細胞株である。また、本発明のベクターを導入する細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの多能性幹細胞であってもよい。胚性幹細胞、人工多能性幹細胞は、無限に増殖可能であり、機能的な細胞の大量供給源として有益である。本発明のベクターを導入する細胞は、好ましくは、成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質をもつ肝腫瘍細胞由来細胞株;肝腫瘍細胞由来細胞株または生体肝臓の幹細胞;ES細胞またはiPS細胞;など、成熟度の高い肝細胞に分化し得る能力をもつ未成熟な細胞である。

【0052】
被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するための細胞としては、本発明のベクターを導入した多能性幹細胞を好適な組織に分化誘導させて得られた細胞を用いてもよい。たとえば、機能的に成人の成熟肝細胞の特性を示す細胞は、ベクターを導入したiPS細胞などの多能性幹細胞からSOX9陽性の膵・肝・小腸共通前駆細胞を取得し、さらに、AFP/PDX1共陽性の膵・肝臓共通前駆細胞を取得して増殖させる方法で肝細胞分化誘導を行い、CYP3A7/Afp/EpCAM共陽性の胎仔肝臓細胞を取得し、さらに成熟化を行ってCYP3A4/ALB共陽性の成体肝臓を取得することによって得てもよい。

【0053】
また、被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するための細胞としては、微小核融合法などによって人工染色体を導入した多能性幹細胞を用いてキメラ動物を作製し、作製したキメラ動物の肝臓等の組織から分取したものを用いてもよい。分取した細胞のうち、第1のレポーター遺伝子の発現が低いものを選択することによって、薬物代謝酵素誘導をより正確に評価することができる細胞を取得することができる。本発明のベクターを含む非ヒト動物において、非ヒト動物としては、たとえば、ウシ、ミニブタ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラット、サルなどの哺乳動物が挙げられる。

【0054】
被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するための細胞を製造するための本発明のベクターを含み、本発明のベクターにおける胎児期特異的遺伝子の発現制御領域による遺伝子の発現量が低い細胞は、成熟度が高く、薬物代謝酵素誘導を評価する試験に適している。したがって、被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するための細胞としては、(ア)本発明のベクターを含む細胞を培養する工程、および(イ)工程(ア)における培養の際の前記細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現量を指標として細胞を選択する工程を含む方法によって選択された細胞が好ましい。より具体的には、工程(イ)においては、第1のレポーター遺伝子の発現量が低い細胞が選択される。上記細胞のうち、本発明のベクターにおける薬物代謝酵素遺伝子の発現制御領域による第2のレポーター遺伝子の発現量が高い細胞は、より成熟度が高く、より一層、薬物代謝酵素誘導を評価する試験に適している。したがって、より好ましくは、工程(イ)においては、細胞中の第2のレポーター遺伝子の発現量を指標とする細胞の選択が行われる。より具体的には、好ましくは、工程(イ)においては、第2のレポーター遺伝子の発現量が高い細胞が選択される。また、好ましくは、工程(ア)における培養は、本発明のベクターを含む細胞を肝細胞へ分化させるためのものである。肝細胞へ分化させるための培養は、たとえば、肝細胞への分化用培地において行うことができる。工程(ア)において培養される本発明のベクターを含む細胞は、第1のレポーター遺伝子の発現が認められることを指標に選択されたものであってもよい。また、工程(イ)における細胞の選択は、細胞集団上層に存在することを更なる指標として行ってもよい。

【0055】
以上のようにして得られる細胞は、被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するために用いることができる。被験物は、薬物代謝酵素誘導を起こすかどうかを検証することを目的とする物であり、たとえば、医薬品候補化合物が挙げられるが、医薬品、食品、化学物質、それらの代謝物などでよく、特に制限されない。

【0056】
本発明が提供する評価方法は、前記のようにして得られる被験物の薬物代謝酵素誘導を評価するための細胞(以下、単に評価用細胞ともいう)中の第1のレポーター遺伝子の発現を評価する工程を含む。より具体的には、本発明の評価方法は、細胞中の第1のレポーター遺伝子の発現を評価して、高い発現が認められる細胞を、評価に用いる細胞から除去する工程を含んでよい。また、本発明の評価方法は、被験物質と評価用細胞とを接触させて、接触前後の第1のレポーター遺伝子の発現の変化を評価して、発現の向上が認められた場合、接触させた被験物が細胞毒性を有すると判断する工程を含んでよい。被験物質と評価用細胞との接触は、本発明のベクターを含む非ヒト動物に対して被験物質を投与することによって行ってもよい。

【0057】
本発明が提供する評価方法は、評価用細胞と被験物との接触の前後における、評価用細胞中の第2のレポーター遺伝子の発現の変化を評価する工程を含む。より具体的には、本発明の評価方法は、被験物の接触によって第2のレポーター遺伝子の発現の向上が認められた場合に、接触させた被験物が薬物代謝酵素誘導能を有すると判断する工程を含んでよい。好ましくは、第2のレポーター遺伝子の発現の変化の評価は、第2のレポーター遺伝子の発現の継続的な測定結果に基づくものである。この場合、薬物酵素誘導によって、細胞内の第2のレポーター遺伝子の発現が一度上昇した後に低下する場合であっても、結果を見逃すことなく、簡便かつ正確に薬物酵素誘導を行うことができる点で好ましい。継続的な測定結果は、たとえば、被験物との接触の後、3日後まで行われる。継続的な測定は、たとえば、1~2時間おきに、好ましくは、30分~1時間おきにレポーター遺伝子の発現量の結果を取得することによって行われる。

【0058】
本発明が提供する評価方法は、96ウェル、384ウェルなどの複数のウェルを用いて、複数の被験物と細胞との接触を同時に行い、レポーター遺伝子の評価を同時に行うハイコンテンツスクリーニング(HCS)として行ってもよい。レポーター遺伝子として光シグナルを標識とするレポーター遺伝子を用いた場合には、レポーター遺伝子の発現を光シグナルとして一度に簡便に識別することができ、多数の被験物についての評価を迅速に行うことができる。

【0059】
本発明が提供する評価方法は、キットによって行ってもよい。キットとしては、たとえば、被験物の薬物代謝酵素誘導および細胞毒性を評価するためのキットであって、本発明のベクターを含むキットが挙げられる。本発明のキットは、さらに、細胞;細胞株を培養して増殖させるための培地;肝細胞への分化を誘導するための誘導剤;被験物;細胞を培養するための容器;キットの少なくとも1つの構成要素を使用するための取扱説明書などを含んでもよい。キットに含める細胞は、好ましくは、成熟肝細胞に分化できる幹細胞の性質を有する細胞である。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
実施例1 細菌人工染色体(BAC)の利用:
(1)CYP3A4およびCYP3A7のタンパク質翻訳領域(ORF)を含む細菌人工染色体の作製:
11.6kbのBACクローンベクターpBACe3.6のEcoRIサイトに、CYP3A4からCYP3A7にいたる遺伝子発現制御領域の全長123,778bpを挿入した、CYP3A4およびCYP3A7の遺伝子発現制御領域およびタンパク質翻訳領域を含む細菌人工染色体であるRP11-757A13BACを以下の実験に用いた。BACクローンRP11-757A13の塩基配列は、GenBankにおいて、登録番号AC069294.5として開示されている。
【実施例】
【0062】
(2)CYP3A4およびCYP3A7のタンパク質翻訳領域をDsRedおよびEGFPへ置換:
a.DsRed置換用ベクターの作製:
pDsRed-Express-1ベクターを基本ベクターとし、DsRed遺伝子のORF直前にあるBglII-SalI部位にhCYP3A7の5’領域(left arm、LA)を挿入し、カナマイシン耐性遺伝子の直後のBsaI部位にCYP3A7の3’領域(right arm、RA)を挿入することで、DsRed置換用ベクターであるLA-DsRed-pA-RA CYP3A7ノックイン(以下、単にKIともいう)ベクターを構築した。
【実施例】
【0063】
b.EGFP置換用ベクターの作製:
pHygEGFPベクターを基本ベクターとし、pAとアンピシリン耐性遺伝子を含むBglII部位にCYP3A4のLAおよびRAを挿入し、開鎖後にEGFP遺伝子がLAとRAの間に位置するようにして、EGFP置換用ベクターであるLA-EGFP-pA-RA-CYP3A4 KIベクターを構築した。
【実施例】
【0064】
c.DsRedへの置換:
(a)相同組換え用の細胞への細菌人工染色体の導入:
DY380をLBプレートに線画し、32℃で一晩加温した。コロニーをピックアップして振盪培養(32℃、180-200rpm、14時間)した液を、50mlのLBに移し振盪培養した(32℃、180-200rpm、3~4時間)。O.D.が0.4になったら振盪を止め、42℃のウォーターバスの中で5分間撹拌し、5分間静止した。氷中に10分静置した後、遠心機でDY380を集めた(4℃、3500rpm、10分)。MQで2回洗浄したあと、前述の200ngのRB11-757A13 BAC DNAと混合し、Gene Pluserでエレクトロポレーションした(1750V、25uF、200Ω、pulse no.1)。32℃で1.5時間回復振盪した後、LBプレートに塗り、32℃で一晩加温した。このようにして、細菌人工染色体RB11-757A13を相同組換え用の細胞であるDY380に導入し、CYP3A4とCYP3A7を共に含む(CYP3A4+/7+)BACクローンを得た。
【実施例】
【0065】
(b)相同組換えによるDsRedへの置換:
前述のDsRed置換用ベクターであるLA-DsRed-pA-RA CYP3A7 KIベクターから必要なDNA断片を切り出し、その100ngのDNA断片をエレクトロポレーションにより前述のCYP3A4+/7+ BACクローンに導入し、薬剤添加LBプレートに塗布した。得られたカナマイシン耐性クローンについて、相同組換えを確認するためのプライマーを用いてgenomic PCRを行った。用いたプライマーを表2に示す。すべてのBACクローンにおいて予想した長さのPCR産物が得られた。このようにして、CYP3A7のORFをDsRedに置換したクローンであるCYP3A4+/7R BACクローンを取得した。
【表2-1】
JP0006315478B2_000004t.gif
JP0006315478B2_000005t.gif【表2-2】
JP0006315478B2_000006t.gif
JP0006315478B2_000007t.gif
【実施例】
【0066】
d.EGFPへの置換:
前述したLA-EGFP-pA-RA-CYP3A4 KIベクターをXhoIで直鎖化し、得られた直鎖DNAをエレクトロポレーションによって、前述のようにして得たCYP3A4+/7R BAC上のCYP3A4 ORF領域にノックインし、EGFP遺伝子を挿入した。得られたアンピシリン耐性クローンにおいて相同組換えを確認するための9対のプライマーを用いて、genomic PCRを行ったところ、得られた全てのクローンにおいて予想した長さのPCR産物が確認された。このようにして、CYP3A7のORFがDsRedに置換されCYP3A4のORFがEGFPに置換されたBACクローンであるCYP3A4G/7R BACクローンを取得した。なお、genomic PCRに用いたプライマーを上の表2に示す。
【実施例】
【0067】
e.loxPサイトの挿入:
Cre/loxPシステムを介してBAC DNAをMAC(マウス人工染色体)または予めloxP配列を挿入された任意の染色体上に搭載するため、公知の方法にしたがって、前述のようにして得たCYP3A4G/7R BAC上にloxP配列をノックインした(Sternberg and Hamilton, 1981; Hoess et al., 1982; Nagy, 2000)。
【実施例】
【0068】
実施例2 細菌人工染色体を導入した細胞の作製:
(1)loxP tg-HepG2の作製:
HPRT exon1-2、loxPおよび薬剤選択用マーカーとしてHyg耐性遺伝子を含むプラスミドベクター(VH21-12#8-3)を制限酵素(NotI)処理して直鎖化した。このベクターのHepG2への導入にはLipofectamine LTX試薬を使用した。まず、5μgVH21-12#8-3を2.5mlOpti-MEMにて希釈し、12.5μgのPLUS試薬を加え、室温で5分静置した。68.75μlのLTX試薬を添加し、室温で25分静置後、HepG2(10cmディッシュ、約1×10)上に添加した。10%ウシ胎仔血清入りD-MEM5mlにて1日培養したのち、HepG2をトリプシン処理により培養皿から剥がし、10cmディッシュ5枚に播種した。ハイグロマイシン(400μg/ml)を培地に添加し、3日おきに培地交換した。ハイグロマイシンの添加から14日目にコロニーを単離して、14番染色体長腕上に1箇所のloxPサイトを持つトランスジェニックHepG2細胞株であるloxP tg-HepG2を取得した。遺伝子の導入は、HPRT exon2末端からハイグロマイシン領域を増幅するプライマーセットを用いてPCRにより確認した。なお、作製にあたりHepG2を細胞培養する場合、培養にはL-グルタミン、フェノールレッド含有D-MEM(High-glucose)にウシ胎仔血清を10%添加したものを使用した。また、継代時は、0.04%EDTA添加0.1%トリプシン溶液を用いて細胞を剥離した。
【実施例】
【0069】
(2)loxP tg-HepG2へのCYP3A4G/7R BACの導入:
前述のCYP3A4G/7R-BACをCre-loxPシステムにより前述のloxP TG-HepG2に挿入するため、Lipofectamine LTX試薬を用いてリポフェクションを行った。まず、5μgのCYP3A4G/7R-BACと2μgのpCAG-Creを1.25mlOpti-MEMにて希釈し、6.25μlのPLUS試薬を加え、室温で5分静置した。25μlのLTX試薬を添加し、室温で25分静置後、HepG2(6cmディッシュ、約80%コンフルエント)上に添加した。1日培養したのち、トリプシン処理によりディッシュから剥がし、10cm培養皿3枚に播種した。ネオマイシン(800μg/ml G418)を培地に添加し、3日おきに培地交換し、添加から10日目にコロニーを単離して、loxP tg-HepG2にCYP3A4G/7R BACが導入された細胞株であるCYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞を取得した。安定発現株取得の確認は、BACベクターのEGFPおよびDs-Red領域を増幅する表2のプライマーセットを用いたPCRおよびFISH解析により確認した(図1、ヒト14番染色体長腕基部、矢印)。
【実施例】
【0070】
実施例3 CYP3A4+/7R搭載およびCYP3A4G/7R搭載マウス人工染色体の作製:
前述のCYP3A4+/7R-loxP BACを精製し、Cre酵素発現ベクターと共にリポフェクション法によって、MACを保持するCHO細胞へトランスフェクションした。DsRed、EGFPや、CYP3A4およびCYP3A7の制御領域をgenomic PCRによって確認した。さらにFISH解析を行い、CHO細胞内のMAC、およびそのMACに搭載されたCYP3A4+/7R BACを確認できるクローンとして、CYP3A4+/7R MACを取得した(図2、赤色、MAC;緑、BAC)。同様に、CYP3A4G/7R-loxP BACをCre酵素によってMACへ導入して、CYP3A4G/7R MACクローンを取得した。なお、MACとして、CYP3A4G/7R BAC搭載には、EGFPレポーターのないものを使用した。一方、CYP3A4+/7R BAC搭載には、EGFPレポーターがloxPサイト上流に挿入されているMACを使用した。
【実施例】
【0071】
実施例4 CYP3A4+/7Rマウス人工染色体を導入したES細胞の作製:
実施例3で取得したCHO細胞内のCYP3A4+/7R MACを微小核融合法によってマウスES細胞(TT2F)へ導入した。表2のプライマーを用いて、DsRed、EGFP、CYP3A4やCYP3A7の制御領域をgenomic PCRによって確認した。さらにFISH解析を行い、TT2F細胞内のMAC上にBAC DNAが搭載されたことを確認した(図3-2)。このようにしてCYP3A4+/7R ES細胞を得た。このCYP3A4+/7RES細胞クローンは、TT2Fの核型(39,X0)に準じて、マウス雌の正常核型39、X0、+MACを示した(図3-1)。また、このES細胞は、MAC上のEGFP発現により、緑に光った(図4)。実施例3で取得したCHO細胞内のCYP3A4G/7R MACを導入したマウスA9細胞の作製も、同様の方法によって行った。A9細胞は、CHO細胞よりも微小核細胞融合法に適したMACベクター供与細胞として提供できる。
【実施例】
【0072】
実施例5 CYP3A4+/7R搭載人工染色体をもつES細胞から作製したマウスの取得:
(1)CYP3A4+/7R ES細胞からのキメラマウスの作製:
実施例4で得たCYP3A4+/7RマウスES細胞を用いて高キメラ産仔を得た。一日目のキメラ個体のあらゆる組織、例えば、肝臓、皮膚、脳、肺、小腸、脾臓、膵臓などがMACベクターに搭載されているEGFP蛍光を示し、CYP3A4+/7R ES細胞の組織発生への寄与を確認できた。一方、CYP3A7発現を反映するDsRed蛍光は、肝臓および小腸で強く観察された(図5、肝臓)。薬物代謝酵素誘導性の試験に適した肝臓細胞はDsRed蛍光を指標として効率的に選択することができた。
(2) CYP3A4+/7R MAC導入マウスの作製:
実施例5(1)で作製したキメラマウスを交配してCYP3A4+/7R MAC導入マウス系統を得た。このCYP3A4+/7Rマウスの生後1日目の肝臓でのDsRed発現を確認した(図17)。
【実施例】
【0073】
実施例6 細菌人工染色体を導入したHepaRG細胞の作製:
(1)loxP tg-HepaRGの作製:
HPRT exon1-2、loxPおよび薬剤選択用マーカーとしてHyg耐性遺伝子を含むプラスミドベクター(VH21-12#8-3)を制限酵素(NotI)処理して直鎖化した。このベクターのHepaRGへの導入やハイグロマイシン(400μg/ml)耐性クローンの取得は、loxP tg-HepG2の作製と同様に行った。なお、HepaRGを増殖培養する場合、培養液はBIOPREDIC社の増殖専用培地(710 Growth medium: MIL700基本培地にADD710添加剤を加えたもの)のみを用いた。また、継代時は、0.02%EDTA添加0.005%トリプシン溶液を用いて細胞を剥離した。BIOPREDIC社の培養液の組成は非公開になっている。

【実施例】
【0074】
(2)loxP tg-HepaRGへのCYP3A4G/7R BACの導入:
前述のCYP3A4G/7R-BACをCre-loxPシステムにより前述のloxP TG-HepaRGに挿入するため、Lipofectamine LTX試薬を用いてリポフェクションを行った。このベクターのHepaRGへの導入やネオマイシン(800μg/ml G418)耐性クローンの取得は、loxP tg-HepG2の作製と同様に行った。loxP tg-HepaRGにCYP3A4G/7R BACが導入された細胞株であるCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞を取得した。安定発現株取得の確認は、BACベクターのEGFPおよびDsRed領域を増幅する表2のプライマーセットを用いたPCRおよびFISH解析により確認した(図10、ヒト15番染色体短腕、または、ヒト16番染色体短腕)。
【実施例】
【0075】
試験例1 薬物代謝酵素誘導性の試験(顕微鏡観察):
実施例2で取得したCYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞でEGFPの発現量が高くDsRedの発現量が低い細胞を、Cellmatrix(新田ゼラチン)でコートした6ウェル培養皿(φ35mm)の各ウェルに5×10細胞を播種し、翌日から48時間に、CYP誘導剤として、50μM、100μMのデキサメタゾン(DEX)またはリファンピシン(RIF)を添加した。その結果、CYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞は、CYP誘導剤非添加では、DsRedもEGFPも発現が低いが、CYP誘導剤添加後には、DsRedもEGFPも共に発現量が増加する様子が観察された(図6)。このように、薬物代謝酵素誘導能をもつデキサメタゾンとリファンピシンの添加によってレポーター遺伝子の発現が観察されたことから、本発明のベクターを用いれば、薬物代謝酵素誘導能を正確に評価できることが分かる。また、胎児期特異的遺伝子の発現制御領域下のDsRedの発現量が低い細胞は薬物代謝酵素誘導の正確な評価に適していることが分かる。
【実施例】
【0076】
試験例2 薬物代謝酵素誘導性の試験(FACS解析):
試験例1と同様の培養条件で、48時間、25μM、50μM、100μMのDEXまたはRIFを添加した場合に、DsRed陽性およびEGFP陽性を判定される細胞数の増加をFACS解析によって試験した。実施例2で作製したBAC挿入前のトランスジェニック細胞株であるloxP tg-HepG2をネガティブコントロールとして用い、その値を1としたときの相対値として結果を図7に示す。CYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞でのEGFP蛍光量の増加は、DEX添加の場合には、非処理の2-3倍の増加であり、RIF添加の場合には非処理の16倍の増加であった。このとき、DsRedも同様に15倍程度に増加していた。このように、薬物代謝酵素誘導能をもつデキサメタゾンとリファンピシンの添加によってレポーター遺伝子の発現が観察されたことから、本発明のベクターを用いれば、薬物代謝酵素誘導能を正確に評価できることが分かる。また、第2のレポーター遺伝子であるDsRedは、リファンピシンやデキサメタゾンの投与量が多くて細胞毒性が強い条件下において飛躍的に発現が向上しており、細胞毒性のマーカーとして有用であることが分かる。
【実施例】
【0077】
試験例3 細胞障害時におけるCYP3A7の発現:
ヒトCYP3A4およびCYP3A7が移入されたヒト型CYP3Aモデルマウスを用いた70%生体部分肝切除後の肝再生の方法、同じマウスを用いたCYP誘導剤投与による肝障害の方法、および肝障害モデルマウスへのヒト凍結肝臓細胞移植の方法によって、肝臓細胞の障害時におけるCYP3A7の発現を調べた。部分肝切除後の肝再生の方法では、70%の肝臓を紐で結紮して切除後飼育したマウスを作製し、1日目から5日目に順に解剖し肝臓を取得し遺伝子発現を調べた。CYP誘導剤投与による肝障害の方法では、PCN投与群とコーンオイル投与コントロール群のマウスから肝臓を取得し遺伝子発現を調べた。マウス生体内でのヒト凍結肝臓細胞移植の方法では、PhenixBio社からヒト化マウス肝臓の一部を入手し遺伝子発現を調べた。その結果、肝障害後の肝細胞の再生時に、CYP3A7の発現が一過的に増加したことが確認された。
【実施例】
【0078】
試験例4 薬物代謝酵素誘導性の試験(蛍光顕微鏡によるエリア総計光量解析):
試験例1と同様の培養条件で、48時間、1μM、10μM、25μM、100μMのRIFを添加し、DsRed陽性およびEGFPのエリア総蛍光量を蛍光顕微鏡で測定した。実施例2で作製したBAC挿入前のトランスジェニック細胞株であるloxP tg-HepG2をネガティブコントロールとして用い、その値を1としたときの相対値を図8に示す。CYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞でのEGFP蛍光量の増加は、非処理の35倍まで増加した。このとき、DsRedも同様に10倍程度に増加していた。このように、薬物代謝酵素誘導能をもつリファンピシンの添加によってレポーター遺伝子の発現誘導が観察されたことから、本発明のベクターを用いれば、細胞培養状態で薬物代謝酵素誘導能を評価できることが分かる。このことは、本発明の細胞を用いることでハイスループットスクリーニング型の薬物代謝酵素誘導評価系を構築できることを示す。
【実施例】
【0079】
試験例5 薬物代謝酵素誘導性の試験(定量性RT-PCRによる発現解析):
試験例1と同様の培養条件で、48時間、100μMのDEXとRIFを添加した場合に、DsRedおよびEGFPの蛍光量変化と内在性のCYP3A4およびCYP3A7の遺伝子発現量変化に相関がみられるか定量性RT-PCRで解析した。非処理群をネガティブコントロールとして用い、その値を1としたときの相対値として結果を図9に示す。CYP3A4G/7R BAC導入HepG2細胞でのEGFP蛍光量の増加は、C87クローンでDEX処理により非処理の100倍まで増加した。このとき、C6ではEGFPに加えDsRedも同様に増加がみられた。また、内在性のCYP3A7遺伝子発現は、DsRedの発現量変化に極めて類似していた。一方、内在性CYP3A4に比べEGFPの遺伝子発現増加率は高く、誘導率は一致せず高感度であるが、被検物質が発現誘導性を有する可能性を評価することが容易になることが分る。
【実施例】
【0080】
試験例6 HepaRG細胞の分化過程のCYP3A4/7(免疫染色と定量性RT-PCRによる発現解析):
実施例6で取得したCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞を2週間(2W)の増殖培養(Growing)後に分化培養(Differentiation)した。なお、HepaRGを増殖培養する場合、培養液はBIOPREDIC社の増殖専用培地(710 Growth medium: MIL700基本培地にADD710添加剤を加えたもの)のみを用いた。一方、分化培養する場合、培養液はBIOPREDIC社の分化専用培地(720 differentiation medium: MIL700基本培地にADD720添加剤を加えたもの)のみを用いた。HepaRGは分化すると小型の肝細胞様細胞となり細胞集団上層に出現する。図11は、この肝細胞様細胞集団はCYP3A4とCYP3A7を共に認識する抗体に対して強陽性であり、いずれかの発現が高いことを示す。HepaRG細胞の培養過程での内在性CYP3A4とCYP3A7の遺伝子発現変化を定量性RT-PCRにより解析したところ、増殖培養14日目、分化培養後1、2、3、7、15日目のHepaRG細胞では、細胞分化に伴うCYP3A7発現の減少とCYP3A4の増加が見られた(図12)。よって、図11で示された細胞集団上層に出現する小型のCYP3A4/7抗体陽性肝細胞様細胞は、CYP3A4を発現する薬物代謝酵素誘導性評価に適した細胞であることが分かる。
【実施例】
【0081】
試験例7 CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞の分化(蛍光顕微鏡による観察):
実施例6で取得したCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローン(C3)をCellmatrixでコートした96ウェル培養皿に播種し、14日間増殖培養後(G14d)、14日間分化培養した。図13は、分化後5日目(D5d)と10日目(D10d)のCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞のDsRed陽性細胞数の減少とEGFP陽性細胞量の増加を示している。HepaRG細胞は増殖期には胎児期型肝細胞のレポーターであるDsRedを発現していることから、増殖中は薬物代謝酵素誘導の評価に適さない胎児期型の細胞である。しかし、BIOPREDIC社の分化用培地にて培養すると、CYP3A4に代表される薬物代謝酵素を充分に発現する肝臓細胞になることをEGFPレポーターの発現量を指標として可視化できる。このことから、本発明を用いて薬物代謝酵素誘導性評価に適した細胞を選択できることが分かる。
【実施例】
【0082】
試験例8 CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞の細胞分化過程:
試験例7で用いたCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローン(C3)の14日間増殖培養後5日間分化培養した細胞(D5d)の蛍光顕微鏡写真を詳細に解析した。胎児肝臓の肝実質細胞は、肝芽細胞でありCYP3A7を発現し、CYP3A4を発現していない。生後、CYP3A7が検出されなくなり、CYP3A4が主要なP450薬物代謝酵素となる。この過程で、1つの細胞がCYP3A7からCYP3A4へ発現シフトを起こすのか、CYP3A7を発現していない別の幹細胞からCYP3A4を発現する細胞が作りだされるのか未だ明らかになっていない。図14で示すように、CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞は、当初全ての細胞がDsRed陽性であるが、分化に伴ってDsRed発現が消失し、DsRed陰性の細胞の一部からEGFP陽性の細胞が出現することが分かる。CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞を用いて、CYP3A4陽性の代謝機能が高い肝細胞の発生過程が明らかになれば、ES細胞やiPS細胞などの他の幹細胞から薬物代謝酵素誘導性評価に適した細胞を作り出す細胞分化誘導法に転用できる。
【実施例】
【0083】
試験例9 CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞の分化(蛍光顕微鏡によるエリア総蛍光量解析):
試験例7で用いたCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローン(C3)の増殖培養7日目(G7d)と14日目(G14d)、分化培養後1、3、5、7、10、12日目(D1d、D3d、D5d、D7d、D10d、D12d)のEGFPおよびDsRedのエリア総蛍光量の経日変化を蛍光顕微鏡で解析した結果を図15に示した。同日96ウェル培養皿に播種した6ウェルのエリア総蛍光量を解析した結果、CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞は、極めて安定に細胞分化に伴うDsRed発現の減少とEGFPの増加を示した。
【実施例】
【0084】
試験例10 CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞の誘導性評価(定量性RT-PCRによる解析):
試験例7で用いたCYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞クローン(C3)の増殖培養14日後、12日間分化培養した細胞に、1%DMSOに溶解したCYP3A4発現誘導性薬剤(RIF:リファンピシン、DEX:デキサメタゾン、CLO:クロトリマゾール、NIF:ニフェジピン、PCN:pregnenolone 16a-carbonitrile)を添加し、48時間後(分化14日目に相当)のEGFPおよびDsRedのエリア総蛍光量を蛍光顕微鏡で解析した(図16)。EGFPは、PCN以外で、発現が誘導された。PCNはげっ歯類のCYP誘導剤として知られ、ヒトではCYP3A4を誘導しないことから、PCNによる非誘導性はヒトでの反応をEGFPで予測できていることを示す例となる。また、細胞障害度が高いCLO、NIF、PCNでDsRed蛍光量の増加がみられ、CYP3A7発現増加が細胞毒性評価の目安となることが分る。このように、薬物代謝酵素誘導能をもつデキサメタゾンとリファンピシンの添加によって約2倍のレポーター遺伝子の発現が観察されたことから、実施例2で作製したCYP3A4G/7R BAC導入HepG2と同様に、CYP3A4G/7R BAC導入HepaRG細胞を用いれば、薬物代謝酵素誘導能を正確に評価できることが分かる。
【実施例】
【0085】
試験例11 CYP3A4+/7R MAC導入マウスでの肝障害試験(蛍光顕微鏡による観察):
実施例5で作製したCYP3A4+/7MAC導入マウスは、生後数週はDsRedを強発現しているが、8週令になると肝臓でのDsRed発現は極めて減少している。このマウスに、DMSOに溶解した5%四塩化炭素を投与し、細胞障害時におけるCYP3A7の発現を3日間観察した。結果、抑制されていた肝臓のDsRed蛍光量が増加することが蛍光顕微鏡で可視化できることが分かる(図18)。CYP3A4+/7R MAC導入マウスでは、EGFPは、細胞にMACが導入されていることを示すマーカーとして機能する。
【実施例】
【0086】
試験例12 CYP3A4+/7R MAC導入マウスでの肝障害試験(定量性RT-PCRによる解析):
試験例11で用いた5%四塩化炭素投与CYP3A4+/7R MAC導入マウスおよび非投与(day 0)マウスの肝臓から抽出したRNAを用いて、投与後1日目、2日目、3日目のDsRed発現増加を定量性RT-PCRによって解析した(図19)。CYP3A7-DsRedは、幼弱な肝芽細胞のマーカーであるαフェトプロテイン(Afp)とともに肝毒性後の肝再生マーカーとして利用できることが分る。
【実施例】
【0087】
なお、CYP3A4/7BAC導入細胞の遺伝子発現確認のためのRT-PCR用プライマーを、以下の表3に示す。
【表3】
JP0006315478B2_000008t.gif
[配列表]
JP0006315478B2_000009t.gifJP0006315478B2_000010t.gifJP0006315478B2_000011t.gifJP0006315478B2_000012t.gifJP0006315478B2_000013t.gifJP0006315478B2_000014t.gifJP0006315478B2_000015t.gifJP0006315478B2_000016t.gifJP0006315478B2_000017t.gifJP0006315478B2_000018t.gifJP0006315478B2_000019t.gifJP0006315478B2_000020t.gifJP0006315478B2_000021t.gifJP0006315478B2_000022t.gifJP0006315478B2_000023t.gifJP0006315478B2_000024t.gifJP0006315478B2_000025t.gifJP0006315478B2_000026t.gifJP0006315478B2_000027t.gifJP0006315478B2_000028t.gifJP0006315478B2_000029t.gifJP0006315478B2_000030t.gifJP0006315478B2_000031t.gifJP0006315478B2_000032t.gifJP0006315478B2_000033t.gifJP0006315478B2_000034t.gifJP0006315478B2_000035t.gifJP0006315478B2_000036t.gifJP0006315478B2_000037t.gifJP0006315478B2_000038t.gifJP0006315478B2_000039t.gifJP0006315478B2_000040t.gifJP0006315478B2_000041t.gifJP0006315478B2_000042t.gifJP0006315478B2_000043t.gifJP0006315478B2_000044t.gifJP0006315478B2_000045t.gifJP0006315478B2_000046t.gifJP0006315478B2_000047t.gifJP0006315478B2_000048t.gifJP0006315478B2_000049t.gifJP0006315478B2_000050t.gifJP0006315478B2_000051t.gifJP0006315478B2_000052t.gifJP0006315478B2_000053t.gifJP0006315478B2_000054t.gifJP0006315478B2_000055t.gifJP0006315478B2_000056t.gifJP0006315478B2_000057t.gifJP0006315478B2_000058t.gifJP0006315478B2_000059t.gifJP0006315478B2_000060t.gifJP0006315478B2_000061t.gifJP0006315478B2_000062t.gifJP0006315478B2_000063t.gifJP0006315478B2_000064t.gifJP0006315478B2_000065t.gifJP0006315478B2_000066t.gifJP0006315478B2_000067t.gifJP0006315478B2_000068t.gifJP0006315478B2_000069t.gifJP0006315478B2_000070t.gifJP0006315478B2_000071t.gifJP0006315478B2_000072t.gifJP0006315478B2_000073t.gifJP0006315478B2_000074t.gifJP0006315478B2_000075t.gifJP0006315478B2_000076t.gifJP0006315478B2_000077t.gifJP0006315478B2_000078t.gifJP0006315478B2_000079t.gifJP0006315478B2_000080t.gifJP0006315478B2_000081t.gifJP0006315478B2_000082t.gifJP0006315478B2_000083t.gifJP0006315478B2_000084t.gifJP0006315478B2_000085t.gifJP0006315478B2_000086t.gifJP0006315478B2_000087t.gifJP0006315478B2_000088t.gifJP0006315478B2_000089t.gifJP0006315478B2_000090t.gifJP0006315478B2_000091t.gifJP0006315478B2_000092t.gifJP0006315478B2_000093t.gifJP0006315478B2_000094t.gifJP0006315478B2_000095t.gif
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3-1】
2
【図3-2】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
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【図12】
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【図13】
13
【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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