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明細書 :肺がんリスク状態の評価方法,肺がんリスク状態評価装置,肺がんリスク状態評価プログラム,肺がんリスク状態評価システム及び情報通信端末装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-017503 (P2018-017503A)
公開日 平成30年2月1日(2018.2.1)
発明の名称または考案の名称 肺がんリスク状態の評価方法,肺がんリスク状態評価装置,肺がんリスク状態評価プログラム,肺がんリスク状態評価システム及び情報通信端末装置
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/574       (2006.01)
G06Q  50/22        (2018.01)
FI G01N 33/53 P
G01N 33/574 Z
G06Q 50/22
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2016-145095 (P2016-145095)
出願日 平成28年7月25日(2016.7.25)
発明者または考案者 【氏名】山口 昌樹
【氏名】小泉 知展
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査請求 未請求
テーマコード 5L099
Fターム 5L099AA15
要約 【課題】サイトカインの濃度データから肺がんリスク状態を高い信頼性で判断できる評価方法,並びに,それに用いる評価装置,プログラム,評価システム及び情報通信端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の肺がんリスク状態の評価方法は,評価対象から採取したサンプル中のサイトカインの濃度データを取得するデータ取得ステップと,該サイトカイン濃度データに基づいて肺がんリスク状態を評価することが可能なリスク算出式に該サイトカインの濃度データを代入して該評価対象における該肺がんリスク状態を評価する評価ステップと,を有する肺がんリスク状態の評価方法であって,前記データ取得ステップでは,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データを取得し,前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
評価対象から採取したサンプル中のサイトカインの濃度データを取得するデータ取得ステップと,
該サイトカイン濃度データに基づいて肺がんリスク状態を評価することが可能なリスク算出式に該サイトカインの濃度データを代入して該評価対象における該肺がんリスク状態を評価する評価ステップと,を有する肺がんリスク状態の評価方法であって,
前記データ取得ステップでは,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データを取得し,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする,肺がんリスク状態の評価方法。
【請求項2】
前記肺がんリスク状態とは,前記肺がんにある可能性の程度のことであり,
前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価するとは,前記評価対象が前記肺がんにある可能性の程度を評価することであることを特徴とする請求項1に記載の肺がんリスク状態の評価方法。
【請求項3】
前記肺がんリスク状態にある可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分と,1つ又は複数の閾値と,が予め設定されており,
前記評価対象が前記肺がんリスク状態にある可能性の程度を評価するとは,該リスク算出式の値及び該閾値を用いて,該評価対象を複数の前記区分のうちのどれか1つに分類することであることを特徴とする請求項2に記載の肺がんリスク状態の評価方法。
【請求項4】
前記サイトカイン濃度データには,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種サイトカインの濃度データが代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の肺がんリスク状態の評価方法。
【請求項5】
評価対象から採取したサンプル中のサイトカインの濃度データを取得するデータ取得ステップと,
該サイトカイン濃度データに基づいて肺がんリスク状態を評価する評価ステップと,を有する肺がんリスク状態の評価方法であって,
前記データ取得ステップでは,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF,MIP-1β, TNF-α, VEGF , Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種類のサイトカインの濃度データを取得することを特徴とする肺がんリスク状態の評価方法。
【請求項6】
評価対象における肺がんリスク状態を評価する装置であって,
制御部と記憶部とを備え,
前記制御部は,前記評価対象のサイトカインの濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含むあらかじめ前記記憶部に記憶された,肺がんリスク状態を評価することが可能なリスク算出式を用いて,該リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価する評価手段を備え,
前記サイトカインの濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする肺がんリスク状態評価装置。
【請求項7】
制御部と記憶部とを備えた情報処理装置において実行される,評価対象における肺がんリスク状態の評価方法であって,
前記制御部において実行される,サイトカインの濃度値に関するあらかじめ取得された前記評価対象のサイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含むあらかじめ前記記憶部に記憶された前記肺がんリスク状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価する評価ステップを含み,
前記サイトカイン濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度値が含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする肺がんリスク状態の評価方法。
【請求項8】
制御部と記憶部とを備えた情報処理装置において実行させるための評価対象における肺がんリスク状態の状態を評価する肺がんリスク状態評価プログラムであって,
前記制御部において実行させるための,サイトカインの濃度値に関する予め取得された前記評価対象のサイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された前記肺がんリスク状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象にいける前記肺がんリスク状態を評価する評価ステップを含み,
前記サイトカイン濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度値が含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とすることを特徴とする肺がんリスク状態評価プログラム。
【請求項9】
制御部と記憶部とを備え,評価対象における肺がんリスク状態を評価する肺がんリスク状態評価装置と,
制御部を備え,サイトカインの濃度値に関する前記評価対象のサイトカイン濃度データを提供する情報通信端末装置と,がネットワークを介して通信可能に接続された肺がんリスク状態評価システムであって,
前記情報通信端末装置の前記制御部は,
前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを前記肺がんリスク状態評価装置へ送信するサイトカイン濃度データ送信手段と,前記肺がんリスク状態評価装置から送信された評価対象における前記肺がんリスク状態に関する評価結果を受信する評価結果受信手段と,を備え,
前記肺がんリスク状態評価装置の前記制御部は,前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを受信するサイトカイン濃度データ受信手段と,前記サイトカイン濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記サイトカイン濃度データ,及び,サイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価する評価手段と,前記評価手段で得られた前記評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する評価結果送信手段と,を備え,
前記サイトカインの濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする肺がんリスク状態評価システム。
【請求項10】
評価対象における肺がんリスク状態を評価する肺がんリスク状態評価装置とネットワークを介して通信可能に接続された制御部とを備え,サイトカインの濃度値に関する前記評価対象のサイトカイン濃度データを提供する情報通信端末装置であって,
前記制御部は,前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを前記肺がんリスク状態評価装置へ送信するサイトカイン濃度データ送信手段と,
前記肺がんリスク状態評価装置から送信された前記評価対象における前記肺がんリスク状態の状態に関する評価結果を受信する評価結果受信手段とを備え,
前記評価結果は,前記肺がんリスク状態評価装置が,前記情報通信端末装置から送信された前記表記評価対象の前記サイトカイン濃度データを受信し,受信した前記評価対象の前記サイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め前記肺がん評価装置に記憶された前記肺がんリスク状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価した結果であり,
前記サイトカイン濃度データには,少なくとも2つのサイトカインの濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする情報通信端末装置。
【請求項11】
サイトカインの濃度値に関する評価対象のサイトカイン濃度データを提供する情報通信端末装置とネットワークを介して通信可能に接続された制御部と記憶部とを備え,前記評価対象における肺がんリスクの状態を評価する肺がんリスク状態評価装置であって,
前記制御部は,
前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを受信するサイトカイン濃度データ受信手段と,
前記サイトカイン濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記サイトカイン濃度データ及びサイトカイン濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された,前記肺がんリスク状態の状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態の状態を評価する評価手段と,
前記評価手段で得られた,前記評価対象における前記肺がんリスク状態の状態に関する評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する評価結果手段と,を備え,
前記サイトカインの濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする肺がんリスク状態評価装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は,評価対象から採取されたサイトカインの濃度データに基づいて肺がんリスク状態の評価を行う,肺がんリスク状態の評価方法及びそれに用いる評価装置,プログラム,評価システム及び情報通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
がん患者の死因の9割はがんの転移によるものであり,がんの転移を制圧するものはがんを制圧するといわれている。しかし,現在臨床で使用されているCTやMRIなどの形態情報に基づく診断機器や,PETなどの機能情報に基づく診断機器では,直径 1 cm 以下のリンパ節転移を正確に検出できるまでの精度を有していない。
【0003】
がん転移はランダムに起こるわけではなく,乳がんは肺へ,大腸がんは肝臓へ等,ある程度の指向性がある。この臓器選択性を制御しているのがケモカインと呼ばれるサイトカインの一群である。ケモカインは細胞遊走を主要な作用としており,どの細胞 (リンパ球) がどの臓器に移行するかは,ケモカインとその受容体により厳密に制御されている(非特許文献1)。また,Scopusなどの文献検索エンジンで調査すると,1977年以降,がんとサイトカインに関する21万編に及ぶ英文学術論文が発表されており,がんの発症とサイトカインの種類や濃度との間には,何らかの関連があるのではないかと考えられている。そしてさらには,体液中のサイトカインの濃度データをがん診断等利用する提案もなされている(例えば,特許文献1~4)。
【0004】
なお,サイトカインによるがんの評価ではないが,体液中における2種類以上のアミノ酸の濃度データを用いて膵臓がんを評価する提案がなされており,本件発明における評価の解析手法として関連しているため,参照した(特許文献5)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2014-510517号公報
【特許文献2】特開2013-539857号公報
【特許文献3】特開2009-513125号公報
【特許文献4】特開2001-89392号公報
【特許文献5】特開2014-1061147号公報
【0006】

【非特許文献1】小泉 望,長島 幸広,生化学 第85巻 第12号 2013年12月1099-1101.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし,生体内での情報伝達を担うサイトカインのネットワークは極めて複雑であり,サイトカインの濃度データから,肺がんリスク状態を判断することは未だ困難な状況にある。
【0008】
本発明は,上記従来の実情に鑑みてなされたものであり,サイトカインの濃度データから肺がんリスク状態を高い信頼性で判断できる評価方法,並びに,それに用いる評価装置,プログラム,評価システム及び情報通信端末装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは,肺がんと体液中のサイトカインの濃度について調べた結果,両者の間には,高い相関関係があることが分かった。そして,さらには,少なくとも2つのサイトカインの濃度値が代入される,少なくとも2つの変数を含む式を利用すれば,肺がんのリスク状態を高い信頼性で評価できることを見出し,本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち,本発明の肺がんリスク状態の評価方法は,評価対象から採取したサンプル中のサイトカインの濃度データを取得するデータ取得ステップと,該サイトカイン濃度データに基づいて肺がんリスク状態を評価することが可能なリスク算出式に該サイトカインの濃度データを代入して該評価対象における該肺がんリスク状態を評価する評価ステップと,を有する肺がんリスク状態の評価方法であって,前記データ取得ステップでは,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データを取得し,前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば,評価対象から採取したサンプル中のから取得したサイトカインの濃度データ及び該サイトカイン濃度データに基づいて肺がんリスク状態を評価することが可能なリスク算出式を用いて,式の値を算出することで,評価対象における肺がんリスク状態を評価する。これにより,肺がんリスク状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。また,この情報の信頼性向上とともに,利用者に掛かる様々な負担(例えば,精神的負担,身体的負担,時間的負担,又は金銭的負担など)の軽減も実現することができる,という効果を奏する。
【0012】
また,本発明の肺がんリスク状態の評価方法では,前記肺がんリスク状態とは,前記肺がんにある可能性の程度のことであり,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価するとは,前記評価対象が前記肺がんにある可能性の程度を評価することである,とすることができる。さらには,肺がんリスク状態として,肺がんにある可能性の程度の他に,例えば,肺がんの進行度や将来肺がんになる可能性の程度等を含めてもよい。
【0013】
また,本発明の肺がんリスク状態の評価方法では,前記肺がんリスク状態にある可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分と,1つ又は複数の閾値と,が予め設定されており,前記評価対象が前記肺がんリスク状態にある可能性の程度を評価するとは,該リスク算出式の値及び該閾値を用いて,該評価対象を複数の前記区分のうちのどれか1つに分類することである,とすることができる。これにより,肺がんリスク状態にある可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を理解し易い形で提供することができる,という効果を奏する
【0014】
本発明の評価方法におけるリスク算出式としては,回帰式,重回帰式,分数式,線形判別式,機械学習で作成された式,マハラノビス距離法で作成された式,正準判別分析で作成された式及び決定木で作成された式のいずれか1つであること,とすることができる。これにより,肺がんリスクの状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができる,という効果を奏する。
【0015】
また,本発明の肺がんリスク状態の評価方法では,
前記サイトカイン濃度データには,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種サイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種のサイトカインの濃度データが代入される少なくとも2つの変数が含まれていることが好ましい。こうであれば,さらに高い信頼性で肺がんリスク状態を評価することができる。本発明者らの試験結果によれば,多くの種類があるサイトカインの中でもIL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの濃度データが特に肺がんとの関連性が深い。このため,これらのサイトカインの少なくとも2種の濃度データから肺がんリスク状態を評価することにより,肺がんのリスク状態をさらに高い信頼性で評価することができる。
【0016】
また,本発明の肺がんリスク状態の評価方法では,
評価対象から採取したサンプル中のサイトカインの濃度データを取得するデータ取得ステップと,該サイトカイン濃度データに基づいて肺がんリスク状態を評価する評価ステップと,を有する肺がんリスク状態の評価方法であって,
前記データ取得ステップでは,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種類のサイトカインの濃度データを取得することができる。本発明者らの試験結果によれば,多くの種類があるサイトカインの中でも,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの濃度データが特に肺がんとの関連性が深い。このため,これらのサイトカインの少なくとも2種の濃度データから肺がんリスク状態を評価することにより,肺がんのリスク状態をさらに高い信頼性で評価することができる。
【0017】
また,本発明の肺がんリスク状態評価装置は,評価対象における肺がんリスク状態を評価する装置であって,制御部と記憶部とを備え,
前記制御部は,前記評価対象のサイトカインの濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含むあらかじめ前記記憶部に記憶された,肺がんリスク状態を評価することが可能なリスク算出式を用いて,該リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価する評価手段を備え,
前記サイトカインの濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【0018】
また,本発明の肺がんリスク状態の評価方法は,
制御部と記憶部とを備えた情報処理装置において実行される,評価対象における肺がんリスク状態の評価方法であって,
前記制御部において実行される,サイトカインの濃度値に関するあらかじめ取得された前記評価対象のサイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含むあらかじめ前記記憶部に記憶された前記肺がんリスク状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価する評価ステップを含み,
前記サイトカイン濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度値が含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【0019】
また,本発明の肺がんリスク状態評価プログラムは,
制御部と記憶部とを備えた情報処理装置において実行させるための評価対象における肺がんリスク状態の状態を評価する肺がんリスク状態評価プログラムであって,
前記制御部において実行させるための,サイトカインの濃度値に関する予め取得された前記評価対象のサイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された前記肺がんリスク状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象にいける前記肺がんリスク状態を評価する評価ステップを含み,
前記サイトカイン濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度値が含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とすることを特徴とする。
【0020】
また,本発明の肺がんリスク状態評価システムは,
制御部と記憶部とを備え,評価対象における肺がんリスク状態を評価する肺がんリスク状態評価装置と,
制御部を備え,サイトカインの濃度値に関する前記評価対象のサイトカイン濃度データを提供する情報通信端末装置と,がネットワークを介して通信可能に接続された肺がんリスク状態評価システムであって,
前記情報通信端末装置の前記制御部は,
前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを前記肺がんリスク状態評価装置へ送信するサイトカイン濃度データ送信手段と,前記肺がんリスク状態評価装置から送信された評価対象における前記肺がんリスク状態に関する評価結果を受信する評価結果受信手段と,を備え,
前記肺がんリスク状態評価装置の前記制御部は,前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを受信するサイトカイン濃度データ受信手段と,前記サイトカイン濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記サイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価する評価手段と,前記評価手段で得られた前記評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する評価結果送信手段と,を備え,
前記サイトカインの濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【0021】
また,本発明の情報通信端末装置は,
評価対象における肺がんリスク状態を評価する肺がんリスク状態評価装置とネットワークを介して通信可能に接続された制御部とを備え,サイトカインの濃度値に関する前記評価対象のサイトカイン濃度データを提供する情報通信端末装置であって,
前記制御部は,前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを前記肺がんリスク状態評価装置へ送信するサイトカイン濃度データ送信手段と,
前記肺がんリスク状態評価装置から送信された前記評価対象における前記肺がんリスク状態の状態に関する評価結果を受信する評価結果受信手段とを備え,
前記評価結果は,前記肺がんリスク状態評価装置が,前記情報通信端末装置から送信された前記表記評価対象の前記サイトカイン濃度データを受信し,受信した前記評価対象の前記サイトカイン濃度データ及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め前記肺がん評価装置に記憶された前記肺がんリスク状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態を評価した結果であり,
前記サイトカイン濃度データには,少なくとも2つのサイトカインの濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【0022】
また,本発明の肺がんリスク状態評価装置は,
サイトカインの濃度値に関する評価対象のサイトカイン濃度データを提供する情報通信端末装置とネットワークを介して通信可能に接続された制御部と記憶部とを備え,前記評価対象における肺がんリスクの状態を評価する肺がんリスク状態評価装置であって,
前記制御部は,
前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記サイトカイン濃度データを受信するサイトカイン濃度データ受信手段と,
前記サイトカイン濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記サイトカイン濃度データ及びサイトカイン濃度値が代入される変数を含む予め前記記憶部に記憶された,前記肺がんリスク状態の状態を評価するためのリスク算出式を用いて前記リスク算出式の値を算出することで,前記評価対象における前記肺がんリスク状態の状態を評価する評価手段と,
前記評価手段で得られた,前記評価対象における前記肺がんリスク状態の状態に関する評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する評価結果手段と,を備え,
前記サイトカインの濃度データには,少なくとも2種類のサイトカインの濃度データが含まれており,
前記リスク算出式には少なくとも2種類のサイトカイン濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1の基本原理を示す図である。
【図2】実施例1における検体採取のタイムスケジュールを示す図である。
【図3】実施例1における血液サンプルについて,有意差を示したサイトカインにおける健常者と肺がん患者の濃度を示すグラフである。
【図4】実施例1における唾液サンプルについて,有意差を示したサイトカインにおける健常者と肺がん患者の濃度を示すグラフである。
【図5】実施例1における頬粘膜サンプルについて,有意差を示したサイトカインにおける健常者と肺がん患者の濃度を示すグラフである。
【図6】実施形態1にかかる肺がんリスク状態の評価方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】本システムの全体構成の一例を示す図である。
【図8】本システムの肺がんリスク評価装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下,本発明を具体化した実施形態について説明する。ただし,この発明はこの実施形態及び以下に示す実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず,当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

【0025】
<実施形態1>
実施形態1の基本原理について,図1を参照して説明する。図1は実施形態1の基本原理を示す原理構成図である。

【0026】
まず,評価対象(動物やヒト)から採取したサンプル(例えば血液,唾液,頬粘膜,血漿,血清,汗,尿等)のサイトカインの濃度を2種以上の測定する(ステップS11)。

【0027】
なお,ステップS11では,例えば,サイトカインの濃度測定を行う企業等が測定したサイトカイン濃度データを取得してもよく,また,評価対象から採取した血液や唾液や頬粘膜から測定サンプルを採取し,測定してもよい。サイトカイン濃度データの単位については特に限定はなく,例えばモル濃度や重量濃度,これらの濃度に任意の定数を加減乗除することで得られるものでもよい。

【0028】
次に,ステップS11で取得した2種以上のサイトカイン濃度データを,肺がんリスク状態を評価するための評価値として用いて,評価対象における肺がんリスク状態を評価する(ステップS12)。

【0029】
実施形態1の評価方法によれば,複数のサイトカイン濃度データを用いることにより,単一のサイトカイン濃度データを用いる場合に比べて,肺がんリスク状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。また,この情報の信頼性向上とともに,利用者に掛かる様々な負担(例えば,精神的負担,身体的負担,時間的負担,又は金銭的負担など)の軽減も実現することができる,という効果を奏する。

【0030】
ここで,評価方法としては,サイトカイン濃度データを変数として2種以上含むリスク算出式を用いることができる。どのサイトカインを選択するかについては,前もって,様々なサイトカインと肺がん患者との相関を調べて得られた結果に基づき,肺がんとの相関性が高いものを選ぶことが好ましい。また,リスク算出式としては,例えば,(サイトカインAの濃度)+(サイトカインBの濃度)という式が挙げられる。こうであれば,肺がんリスク状態の評価を具体的な数値として定量化することができる。また,前もって,様々なサイトカインと肺がん患者との相関を調べて得られた結果に基づき,サイトカインの種類ごとに重みづけを行ってもよい。さらには,(各サイトカインの濃度データの値)/(肺がんに罹患していない人の各サイトカインの濃度データの平均値)を用いて(あるいは,その値に一定の重みづけをして)加算した値によって評価を行ってもよい。また,年齢,性別,人種,がん遺伝子の発現の有無,生活習慣などによって,サイトカイン濃度の値を補正してもよい。これらの補正の程度や補正の有無は,サイトカインの種類によって変更してもよい。
以上のようにして得られた評価の値を一般的な人(例えば日本人の平均値)との比較をして,その倍率によって肺がんリスク状態を示してもよい(表1参照)。
【表1】
JP2018017503A_000003t.gif

【0031】
また,肺がんリスク状態にある可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分と,1つ又は複数の閾値を予め設定しておいた場合,ステップS12では,複数のサイトカインのうちの少なくとも2つのサイトカインの濃度値又は当該濃度値を変換した場合にはその変換後の値及び閾値を用いて,評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよく,また,式の値又は当該式の値を変換した場合にはその変換後の値及び閾値を用いて,評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。これにより,肺がんリスク状態にある可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を,理解し易い形で提供することができる。

【0032】
ここで,肺がんリスク状態にないこと(例えば,健常であること等)が判明している複数のテスト対象のサイトカインの濃度データに含まれている2種類以上のサイトカインの少なくとも2つのサイトカインの濃度値からなる集合において,特異度が所定値となるときの境界値を,閾値として設定してもよい。また,このサイトカインの濃度データ及び評価式を用いて各々のテスト対象ごとに算出した評価式の複数の値からなる集合において,特異度が所定値となるときの境界値を,閾値として設定してもよい。

【0033】
また,評価式は,ロジスティック回帰式,分数式,線形判別式,重回帰式,サポートベクターマシンで作成された式,マハラノビス距離法で作成された式,正準判別分析で作成された式,決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。これにより,肺がんの状態を知る上で参考となり得る情報の更なる信頼性向上を実現することができる。

【0034】
また,評価式として採用する式とは,一般に多変量解析で用いられる式の形式を意味するものであり,評価式として採用する式としては,例えば分数式,重回帰式,多重ロジスティック回帰式,線形判別関数,マハラノビス距離,正準判別関数,サポートベクターマシン,決定木,異なる形式の式の和で示されるような式,などが挙げられる。ここで,重回帰式,多重ロジスティック回帰式,正準判別関数においては各変数に係数および定数項が付加されるが,この係数および定数項は,好ましくは実数であれば構わず,より好ましくは,データから前記の各種分類を行うために得られた係数および定数項の99%信頼区
間の範囲に属する値であれば構わず,さらに好ましくは,データから前記の各種分類を行うために得られた係数および定数項の95%信頼区間の範囲に属する値であれば構わない。また,各係数の値及びその信頼区間は,それを実数倍したものでもよく,定数項の値及びその信頼区間は,それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。ロジスティック回帰,線形判別,重回帰分析などの表示式を評価式として用いる場合,表示式の線形変換(定数の加算,定数倍)及び単調増加(減少)の変換(例えばlogit変換など)は評価性能を変えるものではなく変換前と同等であるので,この表示式には,これらの変換
が行われた後のものも含まれる。

【0035】
実施形態1では,肺がんリスク状態を評価する際,濃度データを測定する2種類以上のサイトカインとして,前記サイトカイン濃度データには,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種のサイトカインの濃度データが含まれており,前記リスク算出式には,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種サイトカインの濃度データが代入される少なくとも2つの変数が含まれていることが好ましい。
本発明者らの試験結果によれば,多くの種類があるサイトカインの中でも,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの濃度データが特に肺がんとの関連性が深い。このため,これらのサイトカインの少なくとも2種の濃度データから肺がんリスク状態を評価することにより,肺がんのリスク状態をさらに高い信頼性で評価することができる。

【0036】
(実施例1)
健常者男女23名及び肺がん患者男女8名の血液,唾液及び頬粘膜抽出液を採取し,そこに含まれるサイトカイン(27種)の分析を行った。検体の採取は,朝(7時~9時),昼(11時~13時)及び夕(15時~17時)に時間を分けて行った。また,検体採取前の予備検査として唾液潜血試験を実施した(図2及び表2参照)。
【表2】
JP2018017503A_000004t.gif

【0037】
検体収集機関,分析装置,サイトカイン分析キット,分析を行ったサイトカインの種類及び検査方法の詳細を以下に示す。
・検体収集機関:信州大学医学部附属病院
・分析装置:Bio-Plex (バイオ・ラッドラボラトリーズ(株))
・サイトカイン分析キット:Bio-Plex Pro Human Cytokine 27-Plex
(バイオ・ラッドラボラトリーズ(株)),
・検査項目:IL-1β, IL-1ra, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10,
IL-12P70, IL-13, IL-15, IL-17A, FGF-2, Eotaxin, G-CSF, GM-CSF,
IFN-γ, IP-10, MCP-1, MIP-1α, PDGF-BB, MIP-1β, RANTES,
TNF-α, VEGF
・分析手順
(1)血液からの測定サンプルの採取方法
1)3.2%クエン酸ナトリウムの入った採血管に規定量の血液を採取する。
2)遠心分離を行い,上清を分離する。
3)分離された上清をマイクロチューブに200 μLずつ分注し,3つに小分けにする。
4)小分けしたマイクロチューブにID等を記入し,-80℃で凍結保存する。
(2)唾液からの測定サンプルの採取方法
1)採取カップ (日本メディカル:型番MS-50) を2つ用意し,IDを記入する(2つの採取カップのIDは同一とする)。
2)採取カップに採取量 150 μL のラインを入れる。
3)2つのカップに必要量(およそ150 μL)の唾液を入れ,採取後2時間以内に-80℃で凍結保存する。
(3)頬粘膜からの測定サンプルの採取方法
1)頬粘膜抽出液採取キット (Intercept, Oral fluid drug test, OraSure Technologies, Inc) から採取パッドを取り出す(この際,採取パッド部分には触れず,柄の部分を持つ)。
2)採取パッドを下の歯肉と頬粘膜の間に置き,パッドが湿るまで歯肉に沿って慎重に前後に動かす。
3)採取パッドが湿ったら,歯肉と頬粘膜の間に置いたまま5分間待つ。
4)5分後,青い液体の入った容器の蓋を慎重に開け,液体の中に採取パッドを入れる。
5)容器から飛び出ている柄の部分を切れ目のところで折り,蓋を閉める。
6)検体を回収後,保存のため採取された抽出液をマイクロチューブ (BIO-BIK:型番LT-0200) に移し変え,採取パッドに浸透している抽出液も管壁に押しつけて搾り出し,残りの抽出液も全てマイクロチューブに移す。
7)予備検体用にマイクロチューブをもう1つ用意し,半量を小分けにする。
8)マイクロチューブにID等を記入し,2時間以内に-80℃で凍結保存する。

【0038】
以上のようにして採取したサンプルについて,バイオマーカー分析装置:Bio-Plex (バイオ・ラッドラボラトリーズ(株))及びサイトカイン分析キット:Bio-Plex Pro Human Cytokine 27-Plex (バイオ・ラッドラボラトリーズ(株))を用いて27種類のサイトカインの濃度を測定した。さらに,こうして得られた分析結果について,統計分析ソフト (IBM SPSS Statistics,日本アイ・ビー・エム(株)) を使用して 健常者と肺がん患者の2群で Mann-Whitney test を行った。

【0039】
<結 果>
以上のようにして,血液,唾液及び頬粘膜から採取した検体について27種類のサイトカインを分析した結果,表3に示すサイトカインにおいてp < 0.05の有意差が認められた。
【表3】
JP2018017503A_000005t.gif

【0040】
また,血液サンプル,唾液サンプル及び頬粘膜サンプルについての各結果は以下の通りとなった。
(血液サンプルについて)
結果を表4及び図3に示す。これらの図表から,血液中のIL-1ra,Eotaxin,MIP-1β,及びVEGFの濃度については,健常者に比べて肺がん患者の方が高く,これらのサイトカインの血中濃度を測定することにより,肺がんリスク状態を判定できる可能性があることが分かる。ただし,これらのサイトカインは,肺がん以外のがんリスク状態にも相関性がある可能性もあり,そのような場合には肺がんリスク状態の評価の信頼性が低下することも考えられる。これに対して,これらのサイトカインの内の2種類以上を測定し,それぞれの結果を勘案して評価を行えば,肺がんのリスク状態を高い信頼性で評価できる。
【表4】
JP2018017503A_000006t.gif

【0041】
(唾液サンプルについて)
結果を表5及び図4に示す。これらの図表から,唾液中のIL-1ra,VEGF,IL-8,IL-1β,G-CSF,TNF-α,IL-7,MIP-1β,IL-12,PDGF,IL-6,IL-10及びIL-9の濃度については,健常者に比べて肺がん患者の方が高く,これらのサイトカインの血中濃度を測定することにより,肺がんリスク状態を判定できる可能性があることが分かる。ただし,これらのサイトカインは,肺がん以外のがんリスク状態にも相関性がある可能性もあり,そのような場合には肺がんリスク状態の評価の信頼性が低下することも考えられる。これに対して,これらのサイトカインの内の2種類以上を測定し,それぞれの結果を勘案して評価を行えば,肺がんのリスク状態を高い信頼性で評価できる。
【表5】
JP2018017503A_000007t.gif

【0042】
また,唾液検体では表6に示すように,がんのステージが進行するにつれてIL-1β,IL-6,IL-8,G-CSF,IP-10,MIP-1α 及びMIP-1βの濃度が上昇することも分かった。このため,肺がんリスク状態について,ステージの進行度合いが測定できる可能性も示唆された。
【表6】
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【0043】
(頬粘膜サンプルについて)
結果を表7及び図5に示す。これらの図表から,唾液中のIL-1ra,IL-1β,MCP-1,MIP-1β 及びIL-5の濃度については,健常者に比べて肺がん患者の方が高く,これらのサイトカインの血中濃度を測定することにより,肺がんリスク状態を判定できる可能性があることが分かる。ただし,これらのサイトカインは,肺がん以外のがんリスク状態にも相関性がある可能性もあり,そのような場合には肺がんリスク状態の評価の信頼性が低下することも考えられる。これに対して,これらのサイトカインの内の2種類以上を測定し,それぞれの結果を勘案して評価を行えば,肺がんのリスク状態を高い信頼性で評価できる。
【表7】
JP2018017503A_000009t.gif

【0044】
(肺がんリスク状態の評価方法)
肺がんリスク状態の評価方法について,図1のフローチャートを参照しながら説明する。まず,検査を希望するヒトから採取した血液,唾液及び頬粘膜中の前述した27種類のサイトカインの濃度データを取得する(ステップS11)。

【0045】
つぎに,ステップS11で取得したサイトカインの濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去した後,サイトカインの濃度データに基づき,評価式として予め設定された式を用いて,式の値を算出し,評価を行う。

【0046】
<実施形態2>
実施形態2の概要について,図6を参照して説明する。図6は実施形態2の基本原理を示す原理構成図である。
制御部は,サイトカインの濃度値に関する予め取得した評価対象のサイトカイン濃度データに含まれている,IL-1β, IL-1ra, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-12, G-CSF, PDGF, MIP-1β, TNF-α, VEGF, Eotaxin, MCP-1 及びMIP-1βの少なくとも2種類のサイトカインの濃度値及びサイトカインの濃度値が代入される変数を含む予め記憶部に記憶された,肺がんリスク状態を評価するための式(前記27種のサイトカインのうちの少なくとも2つのサイトカインの濃度値が代入される少なくとも2つの変数が含まれているもの)を用いて,式の値を算出することで,評価対象における肺がんリスク状態を評価する。

【0047】
以上,実施形態2によれば,評価対象のサイトカイン濃度データ及び評価式として記憶部に記憶された式を用いて,評価式の値を算出することで,評価対象における肺がんリスク状態を評価する。これにより,肺がんリスク状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。

【0048】
ここで,肺がんリスク状態とは,肺がんに罹患している可能性の程度のことであってもよい。これにより,肺がんに罹患している可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。

【0049】
また,算出した式の値が評価対象における肺がんリスク状態を反映したものであると決定してもよく,さらに,式の値を例えば以下に挙げた手法などで変換し,変換後の値が評価対象における肺がんリスク状態を反映したものであると決定してもよい。換言すると,式の値又は変換後の値そのものを,評価対象における肺がんリスク状態に関する評価結果として扱ってもよい。これにより,肺がんリスク状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる。
評価式の値の取り得る範囲が所定範囲に収まるように,例えば,評価式の値に対して任意の値を加減乗除したり,また,評価式の値を所定の変換手法(例えば,指数変換,対数変換,角変換,平方根変換,プロビット変換,又は逆数変換など)で変換したり,また,評価式の値に対してこれらの計算を組み合わせて行ったりすることで,評価式の値を変換してもよい。例えば,評価式の値を指数としネイピア数を底とする指数関数の値(具体的には,肺がんに罹患
している確率pを定義したときの自然対数ln(p/(1-p))が評価式の値と等しいとした場合におけるp/(1-p)の値)をさらに算出してもよく,また,算出した指数関数の値を1と当該値との和で割った値(具体的には,確率pの値)をさらに算出してもよい。
また,特定の条件のときの変換後の値が特定の値となるように,評価式の値を変換してもよい。例えば,特異度が80%のときの変換後の値が5.0となり且つ特異度が95%のときの変換後の値が8.0となるように評価式の値を変換してもよい。

【0050】
また,肺がんに罹患している可能性の程度を少なくとも考慮して定義された複数の区分と,1つ又は複数の閾値を予め設定しておいた場合,式の値又は当該式の値を変換した場合にはその変換後の値及び閾値を用いて,評価対象を複数の区分のうちのどれか1つに分類してもよい。これにより,肺がんに罹患している可能性の程度を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を,理解し易い形で提供することができる。

【0051】
次に,実施形態2にかかる肺がんリスク評価システムの構成について説明する。
まず,本システムの全体構成について図7を参照して説明する。本システムは,図7に示すように,評価対象である個体における肺がんリスク状態を評価する肺がんリスク評価装置100と,サイトカインの濃度値に関する個体のサイトカイン濃度データを提供するクライアント装置200(本発明の情報通信端末装置に相当)とを,ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されている。さらに,本システムは,肺がんリスク評価装置100やクライアント装置200の他に,肺がんリスク評価装置100で評価式を作成する際に用いる肺がんリスク状態情報や,肺がんリスク状態の評価を行うために用いる評価式などを格納したデータベース装置400を,ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されている。これにより,ネットワーク300を介して,肺がんリスク評価装置100からクライアント装置200やデータベース装置400へ,あるいはクライアント装置200やデータベース装置400から肺がんリスク評価装置100へ,肺がんリスク状態を知る上で参考となる情報などが提供される。ここで,肺がんリスク状態を知る上で参考となる情報とは,ヒトを含む生物の肺がんリスク状態に関する特定の項目について測定した値に関する情報である。また,肺がんリスク状態を知る上で参考となる情報は,肺がんリスク評価装置100やクライアント装置200や他の装置(例えば各種の計測装置等)で生成され,主にデータベース装置400に蓄積される。

【0052】
つぎに,本システムの肺がんリスク評価装置100の構成について説明する。図8は,本システムの肺がんリスク評価装置100の構成の一例を示すブロック図であり,該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。

【0053】
肺がんリスク評価装置100は,当該肺がんリスク評価装置を統括的に制御するCPU等の制御部102と,ルータ等の通信装置および専用線等の通信回線を介して当該肺がんリスク評価装置をネットワーク300に通信可能に接続する通信インターフェース部104と,各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部106と,入力装置112や出力装置114に接続する入出力インターフェース部108と,で構成されており,これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。ここで,肺がんリスク評価装置100は,各種の分析装置と同一筐体で構成されてもよい。

【0054】
記憶部106は,ストレージ手段であり,OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。記憶部106は,利用者情報ファイル106aと,サイトカイン濃度データファイル106bと,肺がんリスク状態情報ファイル106cと,指定肺がんリスク状態情報ファイル106dと,評価式関連情報データベース106eと,評価結果ファイル106fと,を格納する。

【0055】
利用者情報ファイル106aは,利用者に関する利用者情報を格納する。
サイトカイン濃度データファイル106bは,サイトカインの濃度値に関するサイトカイン濃度データを格納する。
肺がんリスク状態情報ファイル106cは,評価式を作成する際に用いる肺がんリスク状態情報を格納する。

【0056】
指定肺がんリスク状態情報ファイル106dは,後述する肺がんリスク状態情報指定部102gで指定した肺がんリスク状態情報を格納する。
評価式関連情報データベース106eは,後述する候補式作成部102h1で作成した候補式を格納する候補式ファイル106e1と,後述する候補式検証部102h2での検証結果を格納する検証結果ファイル106e2と,後述する変数選択部102h3で選択したサイトカイン濃度データの組み合わせを含む肺がんリスク状態情報を格納する選択肺がんリスク状態情報ファイル106e3と,後述する評価式作成部102hで作成した評価式を格納する評価式ファイル106e4と,で構成される。

【0057】
候補式ファイル106e1は,後述する候補式作成部102h1で作成した候補式を格納する。
検証結果ファイル106e2は,後述する候補式検証部102h2での検証結果を格納する。検証結果ファイル106e2に格納される情報は,ランクと,候補式と,各候補式の検証結果(例えば各候補式の評価値)と,を相互に関連付けて構成されている。

【0058】
選択肺がんリスク状態情報ファイル106e3は,後述する変数選択部102h3で選択した変数に対応するサイトカイン濃度データの組み合わせを含む肺がんリスク状態情報を格納する。選択肺がんリスク状態情報ファイル106e3に格納される情報は,個体番号と,後述する肺がんリスク状態情報指定部102gで指定した肺がんリスク状態指標データと,後述する変数選択部102h3で選択したサイトカイン濃度データと,を相互に関連付けて構成されている。

【0059】
評価式ファイル106e4は,後述する評価式作成部102hで作成した評価式を格納する。評価結果ファイル106fは,後述する評価部102iで得られた評価結果を格納する。

【0060】
記憶部106には,上述した情報以外にその他情報として,Webサイトをクライアント装置200に提供するための各種のWebデータや,CGIプログラム等が記録されている。

【0061】
通信インターフェース部104は,肺がんリスク評価装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち,通信インターフェース部104は,他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。

【0062】
入出力インターフェース部108は,入力装置112や出力装置114に接続する(なお,以下では,出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。)。

【0063】
制御部102は,OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し,これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。

【0064】
要求解釈部102aは,クライアント装置200やデータベース装置400からの要求内容を解釈し,その解釈結果に応じて制御部102の各部に処理を受け渡す。閲覧処理部102bは,クライアント装置200からの各種画面の閲覧要求を受けて,これら画面のWebデータの生成や送信を行なう。認証処理部102cは,クライアント装置200やデータベース装置400からの認証要求を受けて,認証判断を行う。電子メール生成部102dは,各種の情報を含んだ電子メールを生成する。Webページ生成部102eは,利用者がクライアント装置200で閲覧するWebページを生成する。

【0065】
受信部102fは,クライアント装置200やデータベース装置400から送信された情報(具体的には,サイトカイン濃度データや肺がんリスク状態情報,評価式など)を,ネットワーク300を介して受信する。肺がんリスク状態情報指定部102gは,評価式を作成するにあたり,対象とする肺がんリスク状態指標データおよびサイトカイン濃度データを指定する。

【0066】
評価式作成部102hは,受信部102fで受信した肺がんリスク状態情報や肺がんリスク状態情報指定部102gで指定した肺がんリスク状態情報に基づいて評価式を作成する。具体的には,評価式作成部102hは,肺がんリスク状態情報から,候補式作成部102h1,候補式検証部102h2および変数選択部102h3を繰り返し実行させることにより蓄積された検証結果に基づいて,複数の候補式の中から評価式として採用する候補式を選出することで,評価式を作成する。

【0067】
評価部102iは,事前に得られた式(例えば,評価式作成部102hで作成した評価式,又は,受信部102fで受信した評価式など)及び受信部102fで受信した個体のサイトカイン濃度データを用いて,評価式の値を算出することで,個体における肺がんリスク状態を評価する。

【0068】
結果出力部102iは,制御部102の各処理部での処理結果(評価部102iで得られた評価結果を含む)等を出力装置114に出力する。

【0069】
送信部102kは,評価対象のサイトカイン濃度データの送信元のクライアント装置200に対して評価結果を送信したり,データベース装置400に対して,肺がんリスク評価装置100で作成した評価式や評価結果を送信したりする。

【0070】
つぎに,本システムのクライアント装置200の構成について説明する。
このクライアント装置200は,制御部とROMとHDとRAMと入力装置と出力装置と入出力と通信IFとで構成されており,これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。

【0071】
制御部は,Webブラウザ,電子メーラ,受信部,送信部を備えている。Webブラウザは,Webデータを解釈し,解釈したWebデータをモニタに表示するブラウズ処理を行う。電子メーラは,所定の通信規約に従って電子メールの送受信を行う。受信部は,通信を介して,肺がんリスク評価装置100から送信された評価結果などの各種情報を受信する。送信部は,通信IFを介して,個体のサイトカイン濃度データなどの各種情報を肺がんリスク評価装置100へ送信する。

【0072】
通信IFは,クライアント装置200とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)とを通信可能に接続する。換言すると,クライアント装置200は,モデムやTAやルータなどの通信装置および電話回線を介して,または専用線を介してネットワーク300に接続される。これにより,クライアント装置200は,所定の通信規約に従って肺がんリスク評価装置100にアクセスすることができる。

【0073】
つぎに,本システムのネットワーク300について図7を参照して説明する。ネットワーク300は,肺がんリスク評価装置100とクライアント装置200とデータベース装置400とを相互に通信可能に接続する機能を有し,例えばインターネットやイントラネットやLAN(有線/無線の双方を含む)等である。なお,ネットワーク300は,VANや,パソコン通信網や,公衆電話網(アナログ/デジタルの双方を含む)や,専用回線網(アナログ/デジタルの双方を含む)や,CATV網や,携帯回線交換網または携帯パケット交換網(IMT2000方式,GSM(登録商標)方式またはPDC/PDC-P方式等を含む)や,無線呼出網や,Bluetooth(登録商標)等の局所無線網や,PHS網や,衛星通信網(CS,BSまたはISDB等を含む)等でもよい。

【0074】
つぎに,本システムのデータベース装置400の構成について説明する。
このデータベース装置400は,肺がんリスク評価装置100または当該データベース装置400で評価式を作成する際に用いる肺がんリスク状態情報や,肺がんリスク評価装置100で作成した評価式,肺がんリスク評価装置100での評価結果などを格納する機能を有する。データベース装置400は,当該データベース装置400を統括的に制御するCPU等の制御部と,ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回路を介して当該データベース装置400をネットワークに通信可能に接続する通信インターフェース部と,各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部と,入力装置や出力装置に接続する入出力インターフェース部と,で構成されており,これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。

【0075】
記憶部は,ストレージ手段であり,例えば,RAM・ROM等のメモリ装置や,ハードディスクのような固定ディスク装置や,フレキシブルディスクや,光ディスク等を用いることができる。記憶部には,各種処理に用いる各種プログラム等を格納する。通信インターフェース部は,データベース装置400とネットワークとの間における通信を媒介する。すなわち,通信インターフェース部は,他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。入出力インターフェース部は,入力装置や出力装置に接続する。

【0076】
制御部は,OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し,これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部は,大別して,要求解釈部と閲覧処理部と認証処理部と電子メール生成部とWebページ生成部と送信部とを備えている。

【0077】
要求解釈部は,肺がんリスク評価装置100からの要求内容を解釈し,その解釈結果に応じて制御部の各部に処理を受け渡す。閲覧処理部は,肺がんリスク評価装置100からの各種画面の閲覧要求を受けて,これら画面のWebデータの生成や送信を行う。認証処理部は,肺がんリスク評価装置100からの認証要求を受けて,認証判断を行う。電子メール生成部は,各種の情報を含んだ電子メールを生成する。Webページ生成部は,利用者がクライアント装置200で閲覧するWebページを生成する。送信部は,肺がんリスク状態情報や評価式などの各種情報を,肺がんリスク評価装置100へ送信する。

【0078】
最後に,肺がんリスク評価装置100で行う評価式作成処理の一例について説明する。なお,当該評価式作成処理は,肺がんリスク状態情報を管理するデータベース装置で行ってもよい。

【0079】
なお,本説明では,肺がんリスク評価装置100は,データベース装置400から事前に取得した肺がんリスク状態情報を,肺がんリスク状態情報ファイル106cの所定の記憶領域に格納しているものとする。また,肺がんリスク評価装置100は,肺がんリスク状態情報指定部102gで事前に指定した肺がんリスク状態指標データおよびサイトカイン濃度データを含む肺がんリスク状態情報を,指定肺がんリスク状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納しているものとする。

【0080】
まず,評価式作成部102hは,候補式作成部102h1で,指定肺がんリスク状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている肺がんリスク状態情報から所定の式作成手法に基づいて候補式を作成し,作成した候補式を候補式ファイル106e1の所定の記憶領域に格納する。つぎに,評価式作成部102hは,候補式作成部102h1で,膵臓癌リスク状態情報に基づいて,選択した式選択手法に対応する種々(例えば平均や分散など)の計算を実行する。つぎに,評価式作成部102hは,候補式作成部102h1で,計算結果および決定した候補式のパラメータを決定する。これにより,選択した式作成手法に基づいて候補式が作成される。なお,複数の異なる式作成手法を併用して候補式を同時並行(並列)的に作成する場合は,選択した式作成手法ごとに上記の処理を並行して実行すればよい。また,複数の異なる式作成手法を併用して候補式を直列的に作成する場合は,例えば,主成分分析を行って作成した候補式を利用して肺がんリスク状態情報を変換し,変換した肺がんリスク状態情報に対して判別分析を行うことで候補式を作成してもよい。

【0081】
つぎに,評価式作成部102hは,候補式検証部102h2で作成した候補式を所定の検証手法に基づいて検証(相互検証)し,検証結果を検証結果ファイル106e2の所定の記憶領域に格納する。具体的には,評価式作成部102hは,候補式検証部102h2で,指定肺がんリスク状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている肺がんリスク状態情報に基づいて候補式を検証する際に用いる検証用データを作成し,作成した検証用データに基づいて候補式を検証する。

【0082】
つぎに,評価式作成部102hは,変数選択部102h3で,所定の変数選択手法に基づいて,候補式の変数を選択することで,候補式を作成する際に用いる肺がんリスク状態情報に含まれるサイトカイン濃度データの組み合わせを選択し,選択したサイトカイン濃度データの組み合わせを含む肺がんリスク状態情報を選択肺がんリスク状態情報ファイル106e3の所定の記憶領域に格納する。

【0083】
つぎに,評価式作成部102hは,指定肺がんリスク状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている肺がんリスク状態情報に含まれるサイトカイン濃度データの全ての組み合わせが終了したか否かを判定し,判定結果が「終了」であった場合には次のステップへ進み,判定結果が「終了」でなかった場合にはもとのステップへ戻る。なお,評価式作成部102hは,予め設定した回数が終了したか否かを判定し,判定結果が「終了」であった場合には次のステップへ進み,判定結果が「終了」でなかった場合にはもとのステップへ戻ってもよい。

【0084】
つぎに,評価式作成部102hは,検証結果に基づいて,複数の候補式の中から評価式として採用する候補式を選出することで評価式を決定し,決定した評価式(選出した候補式)を評価式ファイル106e4の所定の記憶領域に格納する。

【0085】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
S11…データ取得ステップ,S12…評価ステップ,
100…肺がんリスク評価装置
102…制御部(102a…要求解釈部,102b…閲覧処理部,102c…認証処理部,102d…電子メール生成部,102e…Webページ生成部,102f…受信部,102g…肺がんリスク状態情報指定部,102h…評価式作成部,102h1…候補式作成部,102h2…候補式検証部,102h3…変数選択部,102i…評価部,102i1…算出部,102i2…変換部,102i3…生成部,102i4…分類部,102j…結果出力部,102k…送信部)
104…通信インターフェース部
106…記憶部(106a…利用者情報ファイル,106b…サイトカイン濃度データファイル,106c…肺がんリスク状態情報ファイル,106d…指定肺がんリスク状態情報ファイル,106e…評価式関連情報データベース,106e1…候補式ファイル,106e2…検証結果ファイル,106e3…選択肺がんリスク状態情報ファイル,106e4…評価式ファイル,106f…評価結果ファイル)
108…入出力インターフェース部
112…入力装置
114…出力装置
200…クライアント装置(情報通信端末装置)
300…ネットワーク
400…データベース装置
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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