【非特許文献1】H de Groot, E Janssen, R Pagano, and K Schetters: “Design of a 1-MHz LLC Resonant Converter Based on a DSP-Driven SOI Half-Bridge Power MOS Module”, IEEE Transactions on Industry Applications, Vol. 22, No.6 pp.2307-2320 (2007) 【非特許文献2】芳賀 浩之・清水 敏久:「小型・高効率を実現するLLC型直列共振コンバータ」,電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌,Vol.133, No.6 pp. 652-658 (2013) 【非特許文献3】T Ueda, M Ishida, T Tanaka, and D Ueda: “GaN transistors on Si for switching and high-frequency applications”, Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 53, No.10 pp. 100214-1 - 6 (2014) 【非特許文献4】Y Nakakohara, H Otake, T. M. Evans, T Yoshida, M Tsuruya, and K Nakahara: “Three-Phase LLC Series Resonant DC/DC Converter Using SiC MOSFETs to Realize High-Voltage and High-Frequency Operation”, IEEE Transactions on Industrial Electronics, Vol. 63, No.4 pp.2103 - 2110 (2016) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上述したように、スイッチング電源に用いられるコンバータの小形化は駆動周波数を高周波数化することにより可能である。しかしながら、駆動周波数の高周波数化にともなってコンバータの効率が低下するという課題がある。また、コンバータの小型化には部品点数を削減することも求められる。 本発明は、駆動周波数の高周波数化を可能とし部品点数を削減することによりコンバータの小型化を可能にする、新規な構成に係るトランス及びこれを用いた共振形コンバータを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明に係るトランスは、一次側のコイルと、二次側のコイルと、コアとからなるトランスであって、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルは、ともにコイルの終端が開放した一対のコイルからなるオープン形のコイルとして形成され、前記一次側の一対のコイルと前記二次側の一対のコイルは、前記コアの中心線と、それぞれのコイルの中心線を一致させて前記コアに巻回されていることを特徴とする。 なお、一次側のコイルと二次側のコイルを巻回するコアの形状はとくに限定されるものではなく、E形のコア、トロイダル形のコア等のコアを用いることができる。 【0009】 前記一次側のコイルと二次側のコイルは、複数対のオープン形のコイルにより形成することができ、前記一次側のコイルが複数対のオープン形のコイルからなるとともに、前記二次側のコイルが前記一次側のコイルと同数の複数対のオープン形のコイルからなり、前記一次側の複数対のコイルと前記二次側の複数対のコイルが、それぞれ並列に接続されている構成とすることができる。複数対のコイルを並列接続することによりコイルの抵抗を低減させることができる。 また、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルとが、前記コアの中心線の方向に、交互に配置されている構成とすること、また、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルが、前記複数対のオープン型のコイルの一方側の複数のコイルからなるコイル群と、前記複数対のオープン型のコイルの他方側の複数のコイルからなるコイル群に形成され、前記一方側のコイル群と他方側のコイル群が、前記コアの中心線の方向に交互に配置されていることにより、一次側のコイルと二次側のコイルとの間の結合容量を大きくすること、または結合容量を調節することができ、さらに、コイル間の磁束が打ち消される作用により、近接効果に起因する抵抗を低減して、コンバータの効率を向上させることができる。 また、前記一次側のコイルと前記二次側のコイルは、螺旋形、平面コイル形、積層巻形等の適宜形態に形成することができる。 【0010】 また本発明に係るトランスを共振形コンバータに使用することにより、トランス自体がキャパシタンス成分を有することから、回路素子としてキャパシタを組み込むことなくコンバータの駆動周波数で直列共振させることができ、回路の部品点数を減らして回路の小型化を図ることができる。 【発明の効果】 【0011】 本発明に係るトランスは、一次側コイルと二次側コイルにオープン形のコイルを使用することにより、高周波域におけるコンバータの効率を向上させることができ、また部品点数を削減することによりコンバータの小型化を好適に図ることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1】本発明に係るトランスの構成例を示す断面図である。 【図2】一次側コイルと二次側コイルの構成と作用を示す説明図である。 【図3】図1に示すトランスの等価回路である。 【図4】図3に示す等価回路を簡素化した回路である。 【図5】図4に示す回路の等価回路である。 【図6】試作例のトランスの平面図(a)と断面図(b)である。 【図7】トランスに装着するコイルの巻線構造を示す断面図である。 【図8】並列接続した一次側のコイルと二次側のコイルの構成を示す説明図である。 【図9】試作例のトランスに使用した巻線の断面図である。 【図10】コアに用いたアモルファス/エポキシ複合材料の複素比透磁率-周波数特性を測定した結果を示すグラフである。 【図11】トランスのインピーダンス-周波数特性を測定した結果を示すグラフである。 【図12】トランスの位相-周波数特性の測定結果を示すグラフである。 【図13】トランスの抵抗-周波数特性の測定結果を示すグラフである。 【図14】トランスの伝送効率-周波数特性の測定結果を示すグラフである。 【図15】トランスを実装した共振形コンバータの回路である。 【図16】オープン形コイルの構成例1の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図17】オープン形コイルの構成例2の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図18】オープン形コイルの構成例3の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図19】オープン形コイルの構成例4の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図20】オープン形コイルの構成例5の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図21】オープン形コイルの構成例6の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図22】オープン形コイルの構成例7の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図23】オープン形コイルの構成例8の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【図24】オープン形コイルの構成例9の斜視図(a)、平面図(b)、A-A’線断面図(c)、側面図(d)である。 【発明を実施するための形態】 【0013】 (トランスの構成) 図1に本発明に係る電磁界結合形トランスの構成例を示す。図1に示すトランスは、磁性材からなるコア5の中心コア部5aに、一次側コイル10a、10bと、二次側コイル20a、20bを巻回して形成されている。このトランスでは、一次側コイル10a、10bの端子1、1’間に交流電圧V1を印加することにより、二次側コイル20a、20bの端子2、2’間から交流電圧V2が出力される。