TOP > 国内特許検索 > 無人搬送車ガイドシステム及びガイド方法 > 明細書

明細書 :無人搬送車ガイドシステム及びガイド方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-073027 (P2018-073027A)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
発明の名称または考案の名称 無人搬送車ガイドシステム及びガイド方法
国際特許分類 G05D   1/02        (2006.01)
FI G05D 1/02 F
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2016-210251 (P2016-210251)
出願日 平成28年10月27日(2016.10.27)
発明者または考案者 【氏名】楊 世淵
【氏名】芹川 聖一
【氏名】大西 康介
出願人 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100149711、【弁理士】、【氏名又は名称】服部 耕市
審査請求 未請求
テーマコード 5H301
Fターム 5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE01
5H301EE09
5H301FF01
5H301FF09
5H301GG03
5H301GG08
要約 【課題】計算機上のプログラムの変更のみで、任意に走行ルートの変更が可能な誘導システムを提供する。
【解決手段】異なる周波数に変調することにより特有の周波数情報を付加した3つ以上の光マーカーを1組として、複数組の投光部を走行ルートに沿って設置する。回転可能に無人搬送車に二次元光センサを設置して、最適の光マーカーを追跡する。二次元光センサに入射した光マーカー信号の合成信号は、フーリエ変換して変調周波数ごとに演算を行うことにより、二次元光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報を取得する。光マーカー毎の位置情報に基づき、光センサを搭載する無人搬送車の座標位置を検出する。無人搬送車の実際の位置座標が測定されたときに、この予め記憶した位置関係と無人搬送車の実際の位置座標に基づき無人搬送車の走行を制御する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
マーカー信号を受信して、無人搬送車の位置測定を行ない、かつ、無人搬送車の走行を制御する無人搬送車ガイドシステムにおいて、
互いに異なる周波数に変調することにより特有の周波数情報を付加した3つ以上の光マーカーを1組として、複数組を走行ルートに沿って設置した投光部と、
自由な方向にむけて固定するための雲台を介して、回転可能に前記無人搬送車に設置し、かつ、前記光マーカーのそれぞれの設置情報と無人搬送車の走行ルートを元に、最適の光マーカーを追跡するように回転角度を制御される二次元光センサと、
前記二次元光センサに入射した光マーカー信号の合成信号は、フーリエ変換することにより、変調周波数ごとのスペクトルに分離して、変調周波数ごとに演算を行うことにより、二次元光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報を取得する演算部と、
前記光マーカー毎の位置情報に基づき、前記光センサを搭載する無人搬送車の座標位置を検出し、かつ、走行ルートに沿った光マーカーの位置情報を予め記憶し、無人搬送車の実際の位置座標が測定されたときに、予め設定した走行ルートの座標と無人搬送車の実際の位置座標に基づき無人搬送車の走行を制御する制御部と、
から成る無人搬送車ガイドシステム。
【請求項2】
直管型LED照明器の3つの領域を3つの光マーカーとして、直線上に等間隔に配置した請求項1に記載の無人搬送車ガイドシステム。
【請求項3】
走行方向へ水平直線状レーザー光を投射し、障害物に反射した反射光を認識することによって前方の障害物を認識するレーザー投光器及び反射鏡を前記無人搬送車に設置した請求項1に記載の無人搬送車ガイドシステム。
【請求項4】
前記二次元光センサは、二次元PSDモジュール、又は二次元イメージセンサとホトダイオードの組み合わせである請求項1に記載の無人搬送車ガイドシステム。
【請求項5】
前記フーリエ変換は、前記光マーカー信号の合成信号のAD変換を行なった後に、FFT演算によって行う請求項1に記載の無人搬送車ガイドシステム。
【請求項6】
前記無人搬送車の座標位置の検出は、光センサの前面に備えたレンズから受光面までの距離d及び光マーカー間の距離ΔXが既知であるとして、二次元光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報が得られた際に、二次元光センサ受光面上の中心を原点とする各々の光マーカーに対する相対位置を計算し、かつ、走行ルートに設置する異なる変調周波数を有する光マーカーの位置座標(X”,Y”,Z”)が既知であることから、二次元光センサを搭載する無人搬送車の座標位置を検出する請求項1に記載の無人搬送車ガイドシステム。
【請求項7】
マーカー信号を受信して、無人搬送車の位置測定を行ない、かつ、無人搬送車の走行を制御する無人搬送車ガイド方法において、
互いに異なる周波数に変調することにより特有の周波数情報を付加した3つ以上の光マーカーを1組として、複数組の投光部を走行ルートに沿って設置し、
自由な方向にむけて固定するための雲台を介して、回転可能に前記無人搬送車に二次元光センサを設置して、前記光マーカーのそれぞれの設置情報と走行ルートを元に、最適の光マーカーを追跡するように前記二次元光センサの回転角度を制御し、
前記二次元光センサに入射した光マーカー信号の合成信号は、フーリエ変換することにより、変調周波数ごとのスペクトルに分離して、変調周波数ごとに演算を行うことにより、二次元光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報を取得し、
前記光マーカー毎の位置情報に基づき、前記光センサを搭載する無人搬送車の座標位置を検出し、
走行ルートに沿った光マーカーの位置情報を予め記憶し、無人搬送車の実際の位置座標が測定されたときに、予め設定した走行ルートの座標と無人搬送車の実際の位置座標に基づき無人搬送車の走行を制御する、
ことから成る無人搬送車ガイド方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って設置したLED照明器を周波数変調し、光マーカーとして利用する一方、無人搬送車に設置した二次元光センサによって、無人搬送車の位置測定を行ない、かつ、無人搬送車の走行を制御する無人搬送車ガイドシステム及びガイド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車は自動車製造工場をはじめ、製造現場で原材料や部品、完成品等の搬送に幅広く活用されている。また、製品の保管・出荷を担う物流センターや病院といった各種非製造業の分野へも広く導入されている。目的地までの軌道を完全に自動走行する技術が開発されつつあるが、多くのセンサや制御装置が必要で高価である。将来的には、様々な分野で活躍されると考えられるが、現段階ではコストが高く、また、誤差が蓄積され、走行ルートから外れる可能性もある。
【0003】
製造現場に導入されている無人搬送車は、一般的には、床面に敷設した磁気テープが発する磁気により誘導されて無人走行する磁気誘導方式が用いられている。自動車製造工場のような頻繁に生産ラインの変更が行われる現場において、走行ルートの変更に伴って、磁気テープの撤去や再敷設が行われ、労力や時間が費やされる。また、長期間利用する場合は、磁気テープの補修作業が必要となる。
【0004】
一方、ジャイロセンサー(ジャイロ誘導方式)やレーザー照射(レーザー誘導方式)を用いて、自己位置を検出し、計算機上で設定された走行経路に沿って無人搬送車を誘導するシステムが研究開発されている。ジャイロ誘導方式は、無人搬送車の自己位置補正用の磁気マーカーなどを併用する場合が多く、走行経路上の各所に補正用のマーカーが必要となり、工事に手間がかかる。また、レーザー誘導方式は、壁面に取り付けられた反射板からの反射光の反射角により自己位置を算出するので、反射光が遮られないように反射板の取り付け位置調整に多くの時間を要する。
【0005】
特許文献1は、「歩行動作の定量的評価システムおよび方法」を開示する。これは、被験者の各関節部位に固着したLEDマーカーを同期信号によって順次点滅させて歩行活動を光点軌跡として表示させ、この歩行活動の二次元位置変化をPSD(光位置センサ、Position Sensitive Detector)モジュールによって計測する。このように、LEDマーカーの位置座標を、PSDモジュールを用いて測定する技術を開示する。
【0006】
特許文献2に開示の「位置検出装置及び位置検出方法」は、2次元平面上の位置に応じて異なる特徴を持つマーカーを構成する光を投写し、受光部で受光された光の特徴に基づいて、受光部の位置を算出する。
【0007】
非特許文献1の「二次元位置検出素子を用いた周波数変調光マーカーによる三次元位置検出法」は、種々の分野で用いられる3次元(3D) 測定技術を開示する。この測定技術は、2次元 (2D) PSD モジュール及びこのPSD モジュールに平行にした2個の光源マーカーを使用する。また、非特許文献2も同様な技術を開示する。
【0008】
図14(A)は、非特許文献1に開示のシステム概略図であり、(B)は、(A)のX-Z平面を見た場合である。図示のシステムは、マーカーの光を二次元PSDモジュールによって受光し、受光面上のスポット光座標を算出する。そして、それらの二次元座標からマーカーの三次元座標へ換算する。
【0009】
ΔXは光源間隔であり、任意の値である。Δxはスポット光間隔であり、マーカーの光源による受光面上のスポット光座標(xA,yA),(xB,yB)から求められる。光学レンズと受光面の距離dは事前設定する。ただし、マーカーの二個の光源は受光面と平行に配置されなければならない。
【0010】
三角形の相似関係より,以下の式が得られる。これらの式より,マーカーの三次元座標(X,Y,Z)を検出できる。
L=ΔX/Δx d (1)
X=L/d xA (2)
Y=L/d yA (3)
Z=L+d (4)
【0011】
上記特許文献1,2及び非特許文献1,2はいずれも、光マーカーとPSDモジュールとの位置関係を任意にして三次元位置測定をする技術に関するものでないだけでなく、無人搬送車の制御に言及するものでもない。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】特許第3594574号
【特許文献2】特開2006-153506
【0013】

【非特許文献1】大西 康介, 田中 大輔, 楊 世淵, “二次元PSDと複数光源からなるマーカーによる三次元位置検出法”, 産業応用工学会全国大会2015講演論文集,pp.20-21,2015.(DOI: 10.12792/iiae2015.012)
【非特許文献2】Kosuke Onishi, Daisuke Tanaka, Shiyuan Yang “3D Position Detection Using a 2D PSD and a Marker Composed of Light Sources”, Journal of the Institute of Industrial Applications Engineers, vol. 4, No2, pp86-93, 2016.(DOI: 10.12792/JIIAE.4.86)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記したように、頻繁に生産ラインの変更が行われる製造工場において、従来の誘導システムでは、走行ルートの変更に伴う作業が工場の生産性を低下させる。よって、計算機上のプログラムの変更のみで、任意に走行ルートの変更が可能な誘導システムの開発が望まれる。例えば、自動車組立工場は1~3ケ月に1度、生産ラインのレイアウト変更を行うが、それに伴い、無人搬送車用の磁気テープを貼り直す作業を行っており、大変な作業工数がかかるという問題、磁気テープを除去した後の床の汚れの問題がある。
【0015】
また、光マーカーとPSDモジュールを用いて無人搬送車の位置測定をする際には、PSDモジュールを設置した無人搬送車の走行につれて、光マーカーとの位置関係が変化するが、このような場合にも、正確に位置測定ができなければならない。
【0016】
本発明は、頻繁に生産ラインの変更が行われる製造工場等において、計算機上のプログラムの変更のみで、任意に走行ルートの変更が可能な誘導システムを提供し、これによって、工場の生産性の低下を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の無人搬送車ガイドシステム及びガイド方法は、マーカー信号を受信して、無人搬送車の位置測定を行ない、かつ、無人搬送車の走行を制御する。互いに異なる周波数に変調することにより特有の周波数情報を付加した3つ以上の光マーカーを1組として、複数組の投光部を走行ルートに沿って設置する。自由な方向にむけて固定するための雲台を介して、回転可能に無人搬送車に二次元光センサを設置して、光マーカーのそれぞれの設置情報と走行ルートを元に、最適の光マーカーを追跡するように二次元光センサの回転角度を制御する。二次元光センサに入射した光マーカー信号の合成信号は、フーリエ変換することにより、変調周波数ごとのスペクトルに分離して、変調周波数ごとに演算を行うことにより、二次元光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報を取得する。光マーカー毎の位置情報に基づき、光センサを搭載する無人搬送車の座標位置を検出する。走行ルートに沿った光マーカーの位置情報を予め記憶し、無人搬送車の実際の位置座標が測定されたときに、予め設定した走行ルートの座標と無人搬送車の実際の位置座標に基づき無人搬送車の走行を制御する。
【0018】
3つの光マーカーとして、LED照明器の3つを直線上に等間隔に配置する。 加えて、走行方向の床面へ水平直線状レーザー光を投射し、障害物から反射した反射光を認識することによって前方の障害物を認識する周波数変調されたレーザー投光器及び反射鏡を無人搬送車に設置する。二次元光センサは、二次元PSDモジュール、又は二次元イメージセンサとホトダイオードの組み合わせである。
【0019】
フーリエ変換は、光マーカー信号の合成信号のAD変換を行なった後に、FFT演算によって行う。無人搬送車の座標位置の検出は、光センサの前面に備えたレンズから受光面までの距離d及び光マーカー間の距離ΔXが既知であるとして、二次元光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報が得られた際に、二次元光センサ受光面上中心を原点とする各々の光マーカーに対する相対位置を計算し、かつ、走行ルートに設置する異なる変調周波数を有する光マーカーの位置座標(X”,Y”,Z”)(床水平面をX”,Y”軸、高さ方向をZ”軸とする室内全体の座標系)が既知であることから、二次元光センサを搭載する無人搬送車の座標位置を検出する。(二次元光センサの平面を基準とする座標系をXYZ、基準LEDとする座標系をX’Y’Z’とした。X’とX”は平行及びY’とY”は平行である。)
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、頻繁に生産ラインの変更が行われる製造工場等において、計算機上のプログラムの変更のみで、任意に走行ルートの変更が可能になり、これによって、工場の生産性の低下を防止することができる。レイアウト変更時に走行軌道が変更されるが、それに伴う作業はほとんどない。計算機上で設定された任意の走行ルートに沿って無人搬送車を誘導でき、走行ルートの変更に伴う工事を必要としない。また、個々の無人搬送車を異なる走行ルートで誘導できるので、より高度で複雑な走行ガイドの実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)は、本発明に基づき構成した無人搬送車ガイドシステムの第1の例を示す概略構成図であり、(B)は、無人搬送車が(A)に示す位置から前進した状態を説明する図である。
【図2】無人搬送車がさらに前方に移動した状態を説明する図である。
【図3】図1に例示の無人搬送車ガイドシステムに用いる制御回路を例示する図である。
【図4】本発明に基づき構成した無人搬送車ガイドシステムの第2の例を示す概略構成図である。
【図5】直線上に配置する三つの光源(光マーカー)と一台の光学レンズ付きの二次元PSDモジュールを用いた無人搬送車ガイドシステムを説明する図である。
【図6】図5に示す二次元PSDモジュールに代えて二次元イメージセンサを用いた無人搬送車ガイドシステムを説明する図である。
【図7】直線上に配置した三つの光源(光マーカー)を例示した図である。
【図8】二次元PSD(2D PSD)の動作原理を説明する図である。
【図9】フーリエ変換による複数の光の位置検出を説明する図である。
【図10】三次元位置検出原理を説明する図である。
【図11】PSD受光面の中心を原点とする座標系に対するマーカーの座標を求める方法を説明する図である。
【図12】二次元PSD受光面の中心を原点とする各光源A,B,Cの相対的位置座標を求める演算式を例示している。
【図13】光センサの回転角を用いること無く、無人搬送車の位置を求める方法を説明する図である。
【図14】(A)は、非特許文献1に開示のシステム概略図であり、(B)は、(A)のX-Z平面を見た場合である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、例示に基づき本発明を説明する。図1(A)は、本発明に基づき構成した無人搬送車ガイドシステムの第1の例を示す概略構成図であり、(B)は、無人搬送車が(A)に示す位置から前進した状態を説明する図である。図2は、無人搬送車がさらに前方に移動した状態を説明する図である。図3は、図1に例示の無人搬送車ガイドシステムに用いる制御回路を例示する図である。走行経路に沿った天井のLED照明器を周波数変調し、光マーカーとして利用する一方、無人搬送車に設置した光学レンズ付きの二次元光センサによって、無人搬送車の高精度位置測定を行う。この測定した無人搬送車の位置に基づき、無人搬送車の走行を制御する。

【0023】
(投光部)
図3に示すように、1つの投光部は、異なる周波数に変調された3つ以上のマーカーによって構成する。LED光マーカー毎に特有の周波数情報を付加すること(本明細書において「周波数変調」という)により、それぞれのLEDマ-カーを区別することができる。このような投光部を、無人搬送車の走行ルートに沿って複数(図3では第1と第2の2つのみ例示)設置しておく。LED照明器の普及に伴い、室内ならば通常に設置されているLED照明器の全部或いは一部を、異なる周波数に周波数変調することにより光マーカーとして利用する。

【0024】
使用する変調周波数として、例えば、1kHz~100kHzの200個を用いれば、おおよそ、200m程度の経路長さとなる。範囲を広げるために、例えば、50m範囲の領域特定を行い、変調周波数を繰り返し利用すれば、広範囲のLED光マーカーの設置が可能になる。そのため、病院や福祉施設のみならず、スーパーなどの商用施設の商品自動搬送に利用できる。

【0025】
(受光部)
二次元光センサとしては、光学レンズ付きの二次元PSD(光位置センサ、Position Sensitive Detector)モジュールとか、カメラなどに用いられているイメージセンサとホトダイオードとの組み合わせを用いることができる。無人搬送車に二次元光センサを搭載する時、LED光マーカーを確実に二次元光センサの受光面で捉える必要がある。無人搬送車の軌道の直上にLED光マーカーが存在しない場合において、LED光マーカーを再設置することなく二次元光センサで受光するために、二次元光センサを自由な方向にむけて固定するための雲台として、二軸雲台を用いて、二次元光センサの中心に対して水平面における二軸(x軸とy軸)方向に回転可能にする。図1(B)に示すように、LED光マーカーが光センサ受光面の中心から離れていくと、測定精度が悪くなるので、光センサ受光面の中心付近にLED光マーカーが集光するように二軸雲台の回転角度を制御する。

【0026】
図2に示すように、さらに無人搬送車が前方に走行する際、基準となるLED光マーカーを切り替える必要が生じる。LED光マーカーの設置情報(位置座標および変調周波数)と走行ルートを元に、現在位置と進行方向の情報を用いて、最適のLED光マーカーを追跡するように二軸雲台の回転角度を制御する。二軸雲台の制御は、二次元光センサの位置情報を用いて行う。PSDセンサの平面を光マーカーに対しておおよそ直角になるように傾ける。その動作原理は、三つの光マーカーの内の真ん中のマーカーの位置がPSD受光面中心になるように二軸雲台を回転させる。イメージセンサを用いる場合は、同様に、画像処理によって、イメージセンサに写るマーカーの画像の位置が受光面中心になるように二軸雲台を回転させる。

【0027】
(演算部)
二次元光センサには、少なくとも3つのLED光マーカー信号が入射する。マーカー信号は、ADコンバータでAD変換を行う。この信号は、複数の変調信号の合成信号である。この合成されたLED光マーカーの周波数や光強度をフーリエ変換(例えば、FFT演算:離散フーリエ変換を計算機上で高速に計算するアルゴリズム)することにより、変調周波数ごとのスペクトルが分離して得られる。変調周波数ごとに演算を行うことにより、光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報が得られる。二次元光センサとしてPSDモジュールに代えてイメージセンサを用いた場合は、イメージセンサで撮影した画像を画像処理して、マーカー毎の位置情報を取得する。さらに、ホトダイオードで受信したLEDマーカー信号の周波数をFFT解析して、マーカーを特定する。イメージセンサ上のマーカー画像はどれも同じように映るので、ホトダイオードによって周波数とスペクトルの大きさでマーカーを特定する。

【0028】
光センサ受光面上の光マーカー毎の位置情報が得られると、光センサの前面に備えたレンズから受光面までの距離dやLED光マーカー間の距離ΔXが既知であることから、光センサ受光面上中心を原点とする各々のLED光マーカーに対する相対位置が計算される(詳細は、図10~図12参照)。あらかじめ、原点に定めたある点を基準としたLEDマーカーの座標(X”,Y”,Z”)(FFT周波数解析によって特定する)は定めているので、求めたLEDマーカーの相対位置から逆算して図13に示すLEDマーカー基準の光センサの原点座標(Xo’,Yo’,Zo’)(これを、無人搬送車の基準となる座標に定める)を求めることができる。このように、走行経路に設置する異なる変調周波数を有するLED光マーカーの位置座標(X”,Y”,Z”)が既知であるため、光センサを搭載する無人搬送車の座標位置が検出できる。

【0029】
(制御部)
製造工場などの天井に設置するLED照明器の位置座標(X”,Y”,Z”)は事前に測定することが出来るので、二次元光センサを無人搬送車に搭載することによって、近くのLED照明器をマーカーとして利用し、移動しながら、無人搬送車の位置を取得して、走行をガイドする。二次元光センサとしてPSDモジュールを用いる場合は、光の重心位置を検出するので、直管型LED照明器の場合であれば、LED照明器素子を三つの領域に分割して、それぞれの領域のLED素子に対して、周波数変調器を用いて異なる周波数に変調して、直線上に配置する三つの光マーカーとして利用できる。二次元イメージセンサの場合は、LEDマーカーの画像が映され、信号処理によって、それぞれのLEDマーカーのイメージセンサ受光面における中心座標が画像処理によって検出される。ただし、それぞれのLEDマーカーの画像が重ならない条件が必要となる。1つの直管型LED照明の場合は、一列にLED素子が並んでいるので、二次元イメージセンサで写る画像は幅を持つ直線となる。そのため、マーカー同士が離れる必要がある。

【0030】
周波数変調されたLED光マーカーの位置地図を事前に作成して、記憶部に記憶しておく。さらに、走行経路が決定されたときに、走行軌道に沿ったLEDマーカーと光センサの位置関係を予め記憶することで、実際の走行において、LEDマーカーの周波数は検出されるので、演算部での算出によって無人搬送車の位置座標が測定されたときに、この予め記憶した位置関係と実際の位置関係の差がゼロになるように無人搬送車の車輪を制御する。

【0031】
図4は、本発明に基づき構成した無人搬送車ガイドシステムの第2の例を示す概略構成図である。この第2の例は、無人搬送車にレーザー投光器及び反射鏡を備えて、走行方向の床面へ水平直線状レーザー光を投射し、光センサ方向に反射した反射光を同一の光センサで認識することによって前方の障害物を認識する。これによって、決められた経路を正確にかつ安全に走行することができる。

【0032】
図4に示すように、位置・障害物検出部を無人搬送車に搭載して、無人搬送車の走行を制御する。(A)は、PSDモジュール使用時を表し、(B)は、二次元イメージセンサとホトダイオードの組み合わせ使用時を表している。位置・障害物検出部は、二次元光センサ或いは二次元イメージセンサとホトダイオードの組み合わせ、回転雲台に加えて、レーザー投光器、反射鏡、A/D変換器、PCにより構成される。

【0033】
図示(A)のように、PSDモジュール使用時は、直線状に投射するレーザー投光器からレーザー光を前方へ照射する。障害物があるとき、その反射光が、反射鏡を介して二次元PSD受光面へ入射されて、検出され、障害物として認識する。このとき、外乱光の影響をなくすため、レーザー光を周波数変調して照射し、かつ、周波数変調されたレーザー投光器の光を検出して識別する。

【0034】
図示(B)は、二次元イメージセンサとホトダイオードの組み合わせの使用時で、直線状に投射するレーザー投光器から前方床面へ光を照射し、反射鏡を介して二次元イメージセンサ(カメラ)に写る画像を処理して、障害物がないときは、反射光が直線で、障害物があるときは直線でなくなることを利用して障害物を検出する。さらに、外乱光の影響があるとき、ホトダイオードで周波数変調されたレーザー光の周波数とその反射光の強さを測定することで障害物の有無を総合的に検出する。障害物検出情報はPCで処理し、無人搬送車を停止させるなどの制御を行う。二次元イメージセンサは周波数変調されたレーザー光の周波数を検出しないので、PSDモジュールのように外乱光の影響をなくすことができない。代わりに、ホトダイオードで周波数変調されたレーザー光を測定して、外乱光の影響を小さくできる。障害物の反射率に影響されることがあり得るが、イメージセンサで検出した画像とホトダイオードで検出したレーザー光の周波数や強さで総合的に判断する。
【実施例】
【0035】
以下、直管型LED照明器の3つの領域を3つの光マーカーとして、直線上に等間隔で配置し、かつ、二次元光センサとして二次元PSDモジュールを用いた場合の無人搬送車ガイドシステムについて説明する。直管型LED光マーカーはLED照明器としても利用できる。3つの光マーカーに異なる周波数変調を与えることで同期信号を必要としない位置検出が可能となる。
【実施例】
【0036】
図5は、直線上に配置する三つの光源(光マーカー)と一台の光学レンズ付きの二次元PSDモジュールを用いた無人搬送車ガイドシステムを説明する図である。二次元PSDモジュールの場合は、信号処理によって、それぞれの周波数のLEDマーカーのPSD受光面における光重心座標が検出される。マーカーの周波数も同時に検出される。
【実施例】
【0037】
図6は、図5に示す二次元PSDモジュールに代えて二次元イメージセンサを用いた無人搬送車ガイドシステムを説明する図である。二次元イメージセンサの場合は、LEDマーカーの画像が映され、信号処理によって、それぞれのLEDマーカーのイメージセンサ受光面における中心座標が画像処理によって検出される。ただし、それぞれのLEDマーカーの画像が重ならない条件が必要となる。
【実施例】
【0038】
このように、イメージセンサで撮影した画像を画像処理して、3つのマーカーの座標を算出することはできるが、そのマーカーに付与した周波数情報を、イメージセンサの画像処理のみでは検出することができず、それ故に、LEDマーカーを特定することはできない。そのため、LEDマーカーが照射する周波数と光の強さをFFTで解析してLEDマーカーを特定するためのホトダイオードを、イメージセンサ近辺のいずれかの位置に設置する。ホトダイオードには、少なくとも3つのLED光マーカー信号の合成信号が入射する。この合成されたLED光マーカーの周波数や光強度をフーリエ変換(例えば、FFT演算)することにより、変調周波数ごとのスペクトルが分離して得られる(図9参照)。LEDの周波数配置分布は、事前に分かるので、ホトダイオードで検出されたマーカーの周波数や光強度(光強度でマーカー位置の遠近を区別する)、さらに、これまでに走行したルート情報を利用して、イメージセンサに映るマーカーを周波数に対応付けする。
【実施例】
【0039】
図7は、直線上に配置した三つの光源(光マーカー)を例示した図であり、(A)は、3つの光源(光マーカー)を結ぶラインと二次元PSD受光面を平行に配置した場合であり、また、(B)は、3つの光源(光マーカー)を結ぶラインと二次元PSD受光面を45°の角度で配置した場合である。直線上に配置された三つの光源(天井に配置された3種類の周波数に変調されたLED光)を二次元PSD受光面で受光する。
【実施例】
【0040】
以下、図1を参照して上述したのと同様に、演算部で、二次元PSDの受光面上の位置情報が出力される。この位置情報は、制御部に入力して、制御部からは無人搬送車の走行制御のための制御信号が出力される。
【実施例】
【0041】
なお、3つの光源を結ぶラインと二次元PSD受光面が平行の場合と、45°の場合のみ例示したが、任意の角度で配置しても、同様に、二次元PSDからは、二次元PSDの受光面上の位置情報が出力される。但し、直管型LED照明器を基準とする二次元PSDの位置座標の計算は、二次元PSDと直管型LED照明器の配置が平行でない場合は、LED光マーカーの直線に対する回転角度を精密に測定する必要がある。このため、天井に水平に配置するLED照明器の高さおよび無人搬送車に搭載する二次元PSDのレンズの中心の高さdが既知で、加えて、工場内の床はほぼ水平であることを利用して、異なる周波数に変調されたLED素子の重心と二次元PSDの中心との距離を用いて、LED照明器を基準とする無人搬送車の位置を算出する。
【実施例】
【0042】
これまでの実験室での測定結果によれば、光源(光マーカー)の重心間隔が20cmで、2mの高さの場合で位置測定の精度が1cm以下であった。例えば、一般的な直管型LED照明器の長さは120cmであるので、この120cmを3分割した領域に、それぞれ異なる周波数で周波数変調した直管型LED照明器の重心間隔は40cm程度となる。また、自動車製造工場の天井の高さは、例えば5m程度である。このような一般的な直管型LED照明器を用いた場合でも、十分に高精度の位置測定が可能であることが分かった。
【実施例】
【0043】
(二次元PSDモジュール)
図8は、二次元PSD(2D PSD)の動作原理を説明する図である。二次元PSD自体は、周知の光位置センサ(Position Sensitive Detector)である。図示のように、二次元PSDにおいては出力電極は4つであり、各出力電極はX1, X2, Y1, Y2である。光の入射位置座標(x, y)と所定の関係がある各電極からの出力電流は、電圧に変換された後に出力される。即ち、4つの出力電圧をVX1, VX2, VY1, VY2とすると、これらは、光の入射位置座標(x, y)の位置情報をあらわしている。
【実施例】
【0044】
(フーリエ変換)
図9は、フーリエ変換による複数の周波数変調した光の位置検出を説明する図である。通常二次元PSDでは複数の光の位置検出を同時に行うことはできない。これは、複数の光を同時に受光すると、その合成光強度の重心の測定となるからである。本発明は、相互に周波数の異なる少なくとも3つのマーカーを用いるが、説明を簡単化するために、2つの正弦波の合成波におけるフーリエ変換(FFT演算)について説明する。振幅がα、βで周波数がω=2πfの2つの正弦波で考える。
【実施例】
【0045】
二次元PSDモジュールの各出力電極X1, X2, Y1, Y2からは、2つの正弦波の合成波の出力電圧が検出される。この合成波を、FFT演算した結果が、図中の右側に示すスペクトル図である。各周波数ω,ωごとの出力が得られている。そのピーク電圧を図9の右下に示す換算式に代入すると、二次元PSD受光面上での各光源のスポット光の二次元座標に換算することができる。光源の座標(x,y)は、各周波数(ω01)ごとの出力を用いて、各周波数ごとに演算する。これによって、同時に複数の光の位置検出が可能となる。
【実施例】
【0046】
図10は、三次元位置検出原理を説明する図である。図示のように、光源間隔を固定した少なくとも3個1組の光源を用いる。まず、PSD受光面の中心を原点とする座標系に対するマーカーの座標を求める。座標変換を行い、マーカー基準(例えば、マーカーB)座標系におけるPSD受光面中心の座標(Xo’,Yo’,Zo’)を求める。
【実施例】
【0047】
受光面の中心を原点OとしてX,Y平面上で直交するX軸、Y軸を定める。原点Oを通ってX,Y平面に垂直方向に、Z軸を定める。3つの光源マーカーから受光面への光の入射位置座標を、それぞれ、(xA,yA)、(xB,yB)、(xC,yC)とする。この場合、二次元PSD受光面上の光の入射位置座標(原点:受光面上の中心)から、以下のようにして、基準マーカーを基準とするPSD受光面原点Oの座標(Xo’,Yo’,Zo’)を求めることができる。
【実施例】
【0048】
図11は、PSD受光面の中心を原点とする座標系に対するマーカーの座標を求める方法を説明する図である。(A)は、X-Z平面を表示している。図示のように、光学レンズを中心として、光源Aと、その入射光の位置に関して、三角形の相似関係が成り立つ。(B)は、(A)に示す一つの光源Aのみについて示す図である。光源Aについての入射光のx座標(xA)位置は、測定により得られたとする。光学レンズと受光面までの距離d、そして、光源相互の距離ΔXも既知である。さらに、光源B及び光源Cについてのx座標(xB,xC)位置も測定により得られたとすると、各光源A,B,Cから光学レンズまでの垂直距離L,L,L、及び各光源A,B,CからZ軸までの垂直距離X、X,Xの関係式が得られる。
【実施例】
【0049】
同様に、Y-Z平面について、入射光のy座標(yA,yB,yC)位置を測定により得られるので、各光源A,B,CからZ軸までの垂直距離Y、Y,Yの関係式が得られる。以上の関係式より求めた演算結果を図12に示している。
【実施例】
【0050】
以上求めた値をさらに演算することにより、基準マーカー(例えば、光源Bの座標XB,YB,ZB)を原点とするマーカー基準座標系におけるPSD受光面原点0の座標(Xo’,Yo’,Zo’)を求めることができる。これによって、PSD受光面が無人搬送車上に載置されていれば、光源Bの座標X,Y,Zに対する無人搬送車の相対位置を知ることができる。
【実施例】
【0051】
図13は、光センサの回転角を用いること無く、無人搬送車の位置を求める方法を説明する図である。天井設置の異なる周波数に変調されたLED照明器は、固定されており(それぞれの座標は事前に測定でき、既知である)、光センサは無人搬送車に搭載され、かつ、回転可能である。通常、LED照明器を基準とする無人搬送車の位置を求めるのに光センサの回転角が必要となる。回転角の精度が位置測定の精度を大きく影響するので、回転角を用いない方法について説明する。
室内床は一般的に水平で、天井設置のLED光源A,Bの高さは一定となる。光センサの受光面中心を通る水平面へのLED照明器光源の垂直投影をO1とO2とすると、図12の結果を用いて、L1O,L2Oの長さを求めることができる。直角三角形L1O1O,L2O2Oより、それぞれ、O1O,O2Oの長さを求めることができる。O1O2の長さはLEDの間隔ΔXに等しいので、三角形O1O2Oの内角を求めることができる。よって、図中の左下の座標系における光センサの受光面中心の座標を求めることができる。O1の絶対座標は既知であるので、Oの絶対座標を求めることができる。Oの絶対座標が無人搬送車の位置情報となり、走行誘導の位置情報として利用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13