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明細書 :回避経路推定装置、回避経路推定方法及び回避経路推定プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-036877 (P2018-036877A)
公開日 平成30年3月8日(2018.3.8)
発明の名称または考案の名称 回避経路推定装置、回避経路推定方法及び回避経路推定プログラム
国際特許分類 G08G   1/16        (2006.01)
G01C  21/34        (2006.01)
FI G08G 1/16 C
G01C 21/34
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2016-169761 (P2016-169761)
出願日 平成28年8月31日(2016.8.31)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼開催日 平成28年03月01日 ▲2▼集会名、開催場所 平成28年東北地区若手研究者研究発表会、日本大学工学部 E会場[7035教室](福島県郡山市田村町徳定字中河原1) ▲1▼発行日 平成28年03月01日 ▲2▼刊行物、発行者名 平成28年東北地区若手研究者研究発表会「音・光・電波・エネルギー・システムとその応用」講演資料、東北地区若手研究者研究発表会事務局
発明者または考案者 【氏名】高梨 宏之
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
審査請求 未請求
テーマコード 2F129
5H181
Fターム 2F129AA02
2F129AA03
2F129DD13
2F129DD53
2F129EE52
2F129EE95
2F129GG17
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF21
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
要約 【課題】移動体が障害物を回避する回避経路を推定する。
【解決手段】障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得部と、障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得部と、障害物位置情報取得部が取得する障害物位置情報と、移動状態情報取得部が取得する移動状態情報のうち移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、障害物と移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出部と、複数の相対位置ごとに定められた移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、相対位置算出部が算出する第1の相対位置とに基づいて、移動する物体が障害物を回避する経路を推定する回避経路推定部とを備える回避経路推定装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得部と、
前記障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得部と、
前記障害物位置情報取得部が取得する前記障害物位置情報と、前記移動状態情報取得部が取得する前記移動状態情報のうち前記移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、前記障害物と前記移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出部と、
複数の前記相対位置ごとに定められた前記移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、前記相対位置算出部が算出する前記第1の相対位置とに基づいて、前記移動する物体が前記障害物を回避する経路を推定する回避経路推定部と
を備える回避経路推定装置。
【請求項2】
前記回避経路推定部は、複数の前記経路を推定する
請求項1に記載の回避経路推定装置。
【請求項3】
前記確率モデル情報とは、
前記移動する物体の移動の速さの確率モデル及び前記移動する物体が移動する角度の確率モデルである
請求項1又は請求項2に記載の回避経路推定装置。
【請求項4】
障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得ステップと、
前記障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得ステップと、
前記障害物位置情報取得ステップから取得される前記障害物位置情報と、前記移動状態情報取得ステップから取得される前記移動状態情報のうち前記移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、前記障害物と前記移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出ステップと、
複数の前記相対位置ごとに定められた前記移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、前記相対位置算出ステップから算出される前記第1の相対位置とに基づいて、前記移動する物体が前記障害物を回避する経路を推定する回避経路推定ステップと
を有する回避経路推定方法。
【請求項5】
コンピュータに
障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得ステップと、
前記障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得ステップと、
前記障害物位置情報取得ステップから取得される前記障害物位置情報と、前記移動状態情報取得ステップから取得される前記移動状態情報のうち前記移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、前記障害物と前記移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出ステップと、
複数の前記相対位置ごとに定められた前記移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、前記相対位置算出ステップから算出される前記第1の相対位置とに基づいて、前記移動する物体が前記障害物を回避する経路を推定する回避経路推定ステップと
を実行させるための回避経路推定プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、回避経路推定装置、回避経路推定方法及び回避経路推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上を移動する人間等の移動体と、自車両とが衝突する確率の低い自車両の経路を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2013-174540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の技術では、道路上に障害物がある場合に、その道路上を移動する人間等が当該障害物を回避することまでは考慮されていなかった。そのため、上述した従来の技術では、道路上に障害物がある場合に、当該障害物の位置および移動体の動きを考慮した、移動体の障害物回避経路を推定することができなかった。ここで、道路上に障害物がある場合に、その道路上を移動する人間等が当該障害物を回避する回避経路を推定することができれば、当該障害物および移動体を考慮した自車両の走行経路を推定することができる。
本発明の課題は、移動体が障害物を回避する回避経路を推定することができる回避経路推定装置、回避経路推定方法及び回避経路推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得部と、前記障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得部と、前記障害物位置情報取得部が取得する前記障害物位置情報と、前記移動状態情報取得部が取得する前記移動状態情報のうち前記移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、前記障害物と前記移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出部と、複数の前記相対位置ごとに定められた前記移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、前記相対位置算出部が算出する前記第1の相対位置とに基づいて、前記移動する物体が前記障害物を回避する経路を推定する回避経路推定部とを備える回避経路推定装置である。
【0006】
また、本発明の一態様は、上記の回避経路推定装置において、前記回避経路推定部は、複数の前記経路を推定する。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の回避経路推定装置において、前記確率モデル情報とは、前記移動体の移動の速さの確率モデル及び前記移動体が移動する角度の確率モデルである。
【0008】
また、本発明の一態様は、障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得ステップと、前記障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得ステップと、前記障害物位置情報取得ステップから取得される前記障害物位置情報と、前記移動状態情報取得ステップから取得される前記移動状態情報のうち前記移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、前記障害物と前記移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出ステップと、複数の前記相対位置ごとに定められた前記移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、前記相対位置算出ステップから算出される前記第1の相対位置とに基づいて、前記移動する物体が前記障害物を回避する経路を推定する回避経路推定ステップとを有する回避経路推定方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、コンピュータに障害物の位置を示す障害物位置情報を取得する障害物位置情報取得ステップと、前記障害物に向かって移動する物体の移動の状態を示す移動状態情報を取得する移動状態情報取得ステップと、前記障害物位置情報取得ステップから取得される前記障害物位置情報と、前記移動状態情報取得ステップから取得される前記移動状態情報のうち前記移動する物体の位置を示す情報とに基づいて、前記障害物と前記移動する物体との相対位置を第1の相対位置として算出する相対位置算出ステップと、複数の前記相対位置ごとに定められた前記移動する物体がとりうる速度の確率モデル情報と、前記相対位置算出ステップから算出される前記第1の相対位置とに基づいて、前記移動する物体が前記障害物を回避する経路を推定する回避経路推定ステップとを実行させるための回避経路推定プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動体が障害物を回避する回避経路を推定することができる回避経路推定装置、回避経路推定方法及び回避経路推定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】回避経路推定システムの外観構成を示す図である。
【図2】回避経路推定システムの機能構成を示す図である。
【図3】回避経路推定装置の動作の概要を示す流れ図である。
【図4】相対位置算出部が分割した障害物の周囲の領域を示す図である。
【図5】記憶部に記憶される速度の確率モデル情報の一例を示す図である。
【図6】回避経路推定部が推定する回避経路の一例を示す図である。
【図7】被験者が実際に障害物を回避する回避経路を実際に測定した一例を示す図である。
【図8】回避経路推定装置が推定した、移動体が障害物を回避する複数の回避経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
[回避経路推定システムについて]
以下、図面を参照して回避経路推定システムの実施形態について説明する。

【0013】
図1を参照して、回避経路推定システム100の外観構成の一例について説明する。
図1は、回避経路推定システム100の外観構成を示す図である。
回避経路推定システム100とは、移動する物体が障害物Oを回避する経路を推定する装置である。以下の説明では、移動する物体を、単に移動体Mとも記載する。以下の説明では、移動体Mが移動先にある障害物Oを回避する経路を、単に回避経路Wとも記載する。

【0014】
障害物Oとは、ヒトや車両が通行する道路上に配置された静止した障害物である。障害物Oとは、この一例では、路上に駐車された四輪自動車である。なお、障害物Oは駐車された車両に限られず、電柱、荷物及びごみ箱などの障害物であってもよい。

【0015】
移動体Mは、障害物Oを回避する。移動体Mとは、この一例では、障害物Oに対して移動する歩行者である。なお、移動体Mは歩行者に限られず、自転車、車いす、台車などを押して移動する歩行者、及び、自動二輪車であってもよい。

【0016】
車両FWに備えられる回避経路推定システム100は、障害物測定センサ30と、移動体測定センサ40と、回避経路推定装置10と、表示部20とを備える。
車両FWとは、移動体Mに向かって走行する車両である。

【0017】
障害物測定センサ30は、車両FW前方の障害物Oの位置を測定する。障害物測定センサ30とは、具体的には、カメラや、レーザー距離測定装置である。
移動体測定センサ40は、車両FW前方の障害物Oに対して移動する移動体Mの移動の状態を測定する。移動体測定センサ40とは、具体的には、カメラや、レーザー距離測定装置である。移動体Mの移動の状態には、移動体Mの位置と、移動体Mが移動する方向と、移動体Mが移動する速さとが含まれる。
回避経路推定装置10は、障害物Oの位置と、移動体Mの移動の状態とに基づいて、移動体Mが障害物Oを回避する経路である回避経路Wを推定する。
表示部20は、回避経路推定装置10が推定した回避経路Wを表示する。表示部20とは、具体的には、カーナビゲーションシステムが備える液晶ディスプレイなどの表示装置である。

【0018】
[回避経路推定システムの機能構成について]
次に、図2を参照して、回避経路推定システム100の機能構成の一例について説明する。
図2は、回避経路推定システム100の機能構成を示す図である。

【0019】
回避経路推定システム100は、障害物測定センサ30と、移動体測定センサ40と、回避経路推定装置10と、表示部20とを備える。
障害物測定センサ30は、測定した障害物Oの位置を示す障害物位置情報OPを障害物位置情報取得部11に対して出力する。

【0020】
移動体測定センサ40は、測定した移動体Mの移動の状態を示す移動状態情報を移動状態情報取得部12に対して出力する。移動状態情報には、移動体Mの位置を示す移動体位置情報MPと、移動体Mの速度を示す移動体速度情報MSとが含まれる。移動体速度情報MSには、移動体Mの進行方向を示す情報と、移動体Mの進行方向に移動する速さの情報とが含まれる。この一例では、移動体速度情報MSには、歩行者の進行方向と、歩行者の移動する速さの情報とが含まれる。

【0021】
回避経路推定装置10は、移動体Mが障害物Oを回避する経路を推定する。回避経路推定装置10は、推定した回避する経路を示す画像情報WPを、表示部20に対して出力する。
表示部20は、回避経路推定装置10から画像情報WPを取得する。表示部20は、取得した画像情報WPを表示する。

【0022】
回避経路推定装置10は、障害物位置情報取得部11と、移動状態情報取得部12と、相対位置算出部13と、記憶部15と、回避経路推定部14と、表示制御部16とを備える。

【0023】
障害物位置情報取得部11は、障害物測定センサ30から障害物位置情報OPを取得する。障害物位置情報取得部11は、障害物測定センサ30から取得した障害物位置情報OPを、相対位置算出部13に対して出力する。

【0024】
移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から移動状態情報を取得する。具体的には、移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から移動体速度情報MSと、移動体位置情報MPとを取得する。
移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から取得した移動体位置情報MPを、相対位置算出部13に対して出力する。移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から取得した移動体速度情報MSを、回避経路推定部14に対して出力する。

【0025】
相対位置算出部13は、障害物位置情報取得部11から障害物位置情報OPを取得する。相対位置算出部13は、移動状態情報取得部12から移動体位置情報MPを取得する。相対位置算出部13は、障害物位置情報OPと、移動状態情報取得部12から取得する移動体位置情報MPとに基づいて、障害物Oと移動体Mとの相対位置を第1の相対位置として算出する。

【0026】
具体的には、相対位置算出部13は、障害物Oの周囲を複数の領域に分割する。この一例では、相対位置算出部13は、車両FWから測定した障害物Oの右端且つ車両FW側を基準点にして、障害物Oの周囲を複数の領域に分割する。相対位置算出部13は、分割した領域のうち、移動体位置情報MPが示す移動体Mの位置と対応する領域を、移動体領域として算出する。移動体領域とは、上述した第1の相対位置の一例である。
相対位置算出部13は、算出した第1の相対位置を示すメッシュ情報MIを、回避経路推定部14に対して出力する。

【0027】
記憶部15には、速度の確率モデル情報PIが記憶される。速度の確率モデル情報PIとは、複数の相対位置ごとに定められた移動体Mがとりうる速度の確率モデルである。具体的には、速度の確率モデル情報PIとは、相対位置算出部が分割する領域ごとに予め算出された、移動体Mの速さの確率モデル及び移動する角度の確率モデルである。移動体Mの速さの確率モデルとは、移動体Mが当該領域に居る場合に、取りうる進行する速さの確率モデルである。移動する角度の確率モデルとは、移動体Mが当該領域に居る場合に、取りうる進行方向の確率モデルである。速度の確率モデル情報PIとは、移動体速度情報MSに応じた確率モデルである。具体的には、移動体Mが、通常の歩行速度の場合と、速足の歩行速度の場合との2つのパターンの速度の確率モデル情報PIがある。なお、速度の確率モデル情報PIの算出方法については後述する。

【0028】
回避経路推定部14は、相対位置算出部13から移動体領域を取得する。回避経路推定部14は、移動状態情報取得部12から、移動体速度情報MSを取得する。回避経路推定部14は、記憶部15から、速度の確率モデル情報PIを取得する。
回避経路推定部14は、速度の確率モデル情報PIと、相対位置算出部13が算出する移動体領域とに基づいて、移動体Mが障害物Oを回避する経路を確率的に推定する。

【0029】
具体的には、回避経路推定部14は、記憶部15において移動体領域と対応する速度の確率モデル情報PIに基づいて、所定の秒数の間に移動体Mが移動する位置を、推定位置として推定する。回避経路推定部14は、記憶部15において移動後の移動体Mの推定位置と対応する速度の確率モデル情報PIに基づいて、所定の秒数の間に移動体Mが移動する位置を推定する。回避経路推定部14は、上述した移動体Mが障害物Oを回避するまで移動体Mが移動する位置を繰り返し推定する。回避経路推定部14は、推定した移動体Mの位置の変遷を、移動体Mの移動の軌跡として推定する。移動体Mの移動の軌跡とは、回避経路Wである。
回避経路推定部14は、推定した回避経路Wを、表示制御部16に対して出力する。

【0030】
表示制御部16は、回避経路推定部14から回避経路Wを取得する。表示制御部16は、取得した回避経路Wに基づき、ユーザに提示するための回避経路Wを示す画像である画像情報WPを生成する。表示制御部16は、生成した画像情報WPを、表示部20に対して出力する。

【0031】
[回避経路推定装置の動作の概要について]
次に、図3を参照して、回避経路推定装置10の動作の一例について説明する。
図3は、回避経路推定装置10の動作の概要を示す流れ図である。
障害物位置情報取得部11は、障害物測定センサ30から障害物位置情報OPを取得する(ステップS110)。障害物位置情報取得部11は、障害物測定センサ30から取得した障害物位置情報OPを、相対位置算出部13に対して出力する。

【0032】
移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から移動状態情報を取得する(ステップS120)。移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から取得した移動状態情報のうち、移動体位置情報MPを、相対位置算出部13に対して出力する。移動状態情報取得部12は、移動体測定センサ40から取得した移動状態情報のうち、移動体速度情報MSを、回避経路推定部14に対して出力する。
なお、回避経路推定装置10は、上述したステップS110及びステップS120の動作を、どちらを先に処理してもよい。

【0033】
相対位置算出部13は、障害物位置情報取得部11から障害物位置情報OPを取得する。相対位置算出部13は、障害物Oの周囲の領域を分割する(ステップS130)。相対位置算出部13は、移動状態情報取得部12から移動体位置情報MPを取得する。相対位置算出部13は、移動体速度情報MSが示す移動体Mの位置と対応する領域を、第1の相対位置として算出する(ステップS140)。相対位置算出部13は、算出した第1の相対位置を示すメッシュ情報MIを、回避経路推定部14に対して出力する。

【0034】
[相対位置算出部の動作について]
ここで、図4を参照して、相対位置算出部13の動作の一例について説明する。
図4は、相対位置算出部13が分割した障害物Oの周囲の領域を示す図である。
相対位置算出部13は、障害物Oの周囲の領域を分割する。この一例では、メッシュ情報MIには、メッシュ情報MI1-1からメッシュ情報MI6-12までが含まれる。相対位置算出部13は、移動体Mの位置を示す移動体位置情報MPと対応する領域を判定する。この一例では、相対位置算出部13は、移動体位置情報MPと、メッシュ情報MI2-2とが対応すると判定する。

【0035】
図3に戻り、回避経路推定部14は、相対位置算出部13からメッシュ情報MIを取得する。回避経路推定部14は、移動状態情報取得部12から移動体速度情報MSを取得する。回避経路推定部14は、記憶部15から速度の確率モデル情報PIを取得する。回避経路推定部14は、相対位置算出部13から取得したメッシュ情報MIと、移動状態情報取得部12から取得した移動体速度情報MSと、記憶部15から取得した速度の確率モデル情報PIとに基づいて、移動体Mが障害物Oを回避する回避経路Wを推定する(ステップS150)。

【0036】
[回避経路推定部の動作について]
ここで、図5及び図6を参照して、回避経路推定部14の動作の一例について説明する。
回避経路推定部14は、メッシュ情報MIに含まれる領域と対応する速度の確率モデル情報PIを、記憶部15から取得する。具体的には、上述した図4のメッシュ情報MI2-2と対応する速度の確率モデル情報PIを図5に示す。
図5は、記憶部15に記憶される速度の確率モデル情報PIの一例を示す図である。
図5(a)に、移動体Mの速さの確率モデルの一例を示す。図5(a)には、横軸に移動体Mの歩行速度(Walking speed)(m/s)、縦軸に頻度(Frequency(-))のグラフである。速さの確率モデルとは、移動体が障害物を回避する際の回避経路を実際に複数回測定し、測定した回避経路のうち、移動体の位置毎に算出した速度の速度範囲ごとの頻度を、連続分布CP1によって近似した曲線である。具体的には、連続分布CP1とは、正規分布である。

【0037】
図5(b)に、移動体Mの移動する角度の確率モデルの一例を示す。図5(b)には、横軸に移動角度(Walking angle)(°)、縦軸に頻度(Frequency(-))のグラフである。角度の確率モデルとは、移動体が障害物を回避する際の回避経路を実際に複数回測定し、測定した回避経路のうち、移動体の位置毎に算出した角度の角度範囲ごとの頻度を、連続分布CP2によって近似した曲線である。具体的には、連続分布CP2とは、ベータ分布である。

【0038】
上述した記憶部15には、移動体Mの速さの正規分布の平均及び標準偏差と、移動体Mの角度のベータ分布のα及びβのパラメータとが速度の確率モデル情報PIとして、メッシュ情報MI1-1からメッシュ情報MI6-12までのそれぞれの領域ごとに対応付けられて記憶される。

【0039】
回避経路推定部14は、移動体速度情報MSと、速度の確率モデル情報PIとに基づいて、回避経路Wを推定する。具体的には、この一例では、回避経路推定部14は、第1の相対位置及び移動体速度情報MSと対応する速度の確率モデル情報PIに基づいて、数秒後の移動体Mの移動先を推定する。次に、回避経路推定部14は、移動後の移動体Mの位置と対応する速度の確率モデル情報PIに基づいて、さらに数秒後の移動体Mの移動先を推定する。回避経路推定部14は、推定後の移動体Mの位置が、障害物Oを回避しきる位置になるまで繰り返す。

【0040】
より具体的には、回避経路推定部14は、第1の相対位置と対応付けられた速度の確率モデル情報を、記憶部15から取得する。回避経路推定部14は、第1の相対位置と対応付けられた速さの確率モデルである連続分布から、移動体Mの速さである第1の速さを選択する。回避経路推定部14は、第1の相対位置と対応付けられた角度の確率モデルである連続分布から、移動体Mの移動角度である第1の角度を選択する。この一例では、回避経路推定部14は、第1の速さ及び第1の角度を頻度に応じて選択する。頻度に応じて選択するとは、上述した連続分布CP1及び連続分布CP2のうち頻度が大きい部分と対応する速さ及び移動角度が、連続分布CP1及び連続分布CP2のうち頻度が小さい部分よりも選択される確率が高い選択方法である。
回避経路推定部14は、移動体Mを数秒間、第1の速さで、第1の角度の方向に移動した位置を第2の相対位置として推定する。

【0041】
回避経路推定部14は、第2の相対位置と対応付けられた速度の確率モデル情報を、記憶部15から取得する。回避経路推定部14は、上述した第2の相対位置を推定する推定方法と同様の方法によって、第2の相対位置から数秒後の移動体Mの位置を、第3の相対位置として推定する。回避経路推定部14は、移動体Mが障害物Oを回避しきる位置になるまで、移動体Mの位置の推定を繰り返す。

【0042】
図6を参照して、回避経路推定部14が推定する回避経路Wの一例を説明する。
図6は、回避経路推定部14が推定する回避経路Wの一例を示す図である。
図6に示す一例では、回避経路推定部14は1つの回避経路Wを推定する。回避経路推定部14は、速度の確率モデル情報PIのうち、最も頻度が大きい確率に基づいて回避経路Wを算出する場合には、移動体Mがとりうる確率が最も高い回避経路Wを推定することができる。つまり、回避経路推定部14は、任意の移動体Mの回避経路Wを確率的に推定することができる。

【0043】
[速度の確率モデルの算出方法について]
次に、図7を参照して、速度の確率モデル情報PIの算出方法について説明する。以下の説明では、速度の確率モデル情報PIを算出する者を、測定者と記載する。測定者は、複数の被験者が障害物Oを回避する経路に基づいて、被験者が経路を選択する確率を算出する。被験者とは、障害物Oを回避する移動体Mである。

【0044】
図7は、被験者が実際に障害物Oを回避する回避経路Wを実際に測定した一例を示す図である。
図7(a)は、被験者が通常の歩行速度で障害物Oを回避する場合の回避経路Wの一例である。
図7(b)は、被験者が速足で障害物Oを回避する場合の回避経路Wの一例である。
図7(a)と図7(b)とを比較すると、移動体Mは、通常の歩行速度の場合の回避経路Wの方が、障害物Oのより手前から当該障害物Oとの距離を空けて移動することがわかる。

【0045】
具体的には、測定者は、複数の被験者が障害物Oを回避する経路を、障害物Oの側面からレーザーレーダによって計測する。より具体的には、測定者は、障害物Oを回避する行動をとる被験者の位置を、障害物Oの側面からレーザーレーダによって、所定の時間間隔を空けて複数回計測する。測定者は上述した測定を、複数の被験者に対して行う。
測定者は、測定した被験者の位置に基づいて、被験者がとった移動の速さ及び移動角度を計算によって算出する。具体的には、測定者は、障害物Oの周囲を0.5(m)四方の複数の領域にメッシュ状に分け、被験者が障害物Oを回避した複数の経路と重ね合わせる。測定者は、メッシュごとに、被験者がとった移動の速さ及び移動角度の選択頻度を算出する。

【0046】
測定者は、式(1)に基づいて、メッシュごとに、上述した移動体Mの速さの正規分布である連続分布CP1を算出する。

【0047】
正規分布は、式(1)から算出される。

【0048】
【数1】
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【0049】
ここで、式(1)に含まれるvとは当該領域における移動体Mの移動の速さである。式(1)に含まれるμとは、当該領域における移動体Mの速さの平均値である。式(1)に含まれるσとは、当該領域における移動体Mの速さの標準偏差である。

【0050】
次に測定者は、式(2)及び式(3)に基づいて、メッシュ毎に上述した移動体Mの角度のベータ分布である連続分布CP2を算出する。

【0051】
【数2】
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【0052】
ここで、式(2)及び式(3)に含まれるθとは、移動体Mが移動する角度を0から1までの数値に対応させた数である。式(2)に含まれるB(α,β)とは、ベータ関数である。式(2)に含まれるベータ関数は、式(3)から算出される。

【0053】
【数3】
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【0054】
式(3)に含まれるα及びβとは、ベータ関数のパラメータである。具体的には、式(3)に含まれるα及びβは、正の実数である。
上述した移動体Mの移動角度は、式(2)から算出されるベータ分布から、任意の値であるθハットを式(4)又は式(5)に代入することにより算出される。

【0055】
【数4】
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【0056】
式(4)は、移動体Mが取り得る角度の最大値から減算することにより、θハットを算出する。

【0057】
【数5】
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【0058】
式(5)は、移動体Mが取り得る角度の最小値に加算することにより、θハットを算出する。
この一例では、θハットとは、回避経路推定部14が決定した乱数である。
式(4)又は式(5)に含まれるθmaxとは、当該領域における移動体Mが取り得る角度の最大値である。式(4)又は式(5)に含まれるθminとは、当該領域における移動体Mが取り得る角度の最小値である。
式(4)又は式(5)に含まれるθハットとは、θハットを、θmax及びθminの範囲に対応させた、移動体Mが移動する角度である。θハットは、式(4)又は式(5)のいずれかを用いて算出される。つまり、式(4)又は式(5)に含まれるθハットとは、当該領域における移動体Mが移動する角度である。

【0059】
より具体的には、上述した連続分布CP2は、ベータ分布のため、横軸が0から1までの範囲である。回避経路推定部14は、連続分布CP2に基づいてθハットを決定する。ここで、回避経路推定部14が決定するθハットとは、0から1までの範囲の値である。回避経路推定部14は、決定したθハットを、式(4)又は式(5)に代入することにより、本来の移動体Mの移動角度であるθハットに変換する。

【0060】
上述した速度の確率モデル情報PIを、移動体Mの種類に応じて生成することにより、回避経路推定装置10は、歩行者以外の移動体Mについても、回避経路Wを推定することができる。回避経路推定装置10が、歩行者以外の移動体Mについても回避経路Wを推定する場合には、移動状態情報取得部12は移動体Mの種類を示す情報を取得する。回避経路推定部14は、移動体Mの種類に応じた速度の確率モデル情報PIを取得する。

【0061】
図3に戻り、回避経路推定部14は、ステップS150の処理を繰り返し行い、移動体Mの数秒後の移動後の位置を推定する。回避経路推定部14は、移動体Mが障害物Oを回避しきるまで処理を続け、回避経路Wを推定する(ステップS160)。
回避経路推定部14は、推定した回避経路Wを、表示制御部16に対して出力する。表示制御部16は、回避経路Wに基づいて、画像情報WPを生成する。表示制御部16は、生成した画像情報WPを、表示部20に対して出力する。
表示部20は、画像情報WPを表示制御部16から取得する。表示部20は、表示制御部16から取得した画像情報WPを表示する。

【0062】
[まとめ]
以上説明したように、回避経路推定装置10は、相対位置算出部13と、回避経路推定部14とを備える。相対位置算出部13は、移動体Mと、障害物Oとの相対位置である第1の相対位置を算出する。相対位置算出部13は、第1の相対位置を示すメッシュ情報MIを回避経路推定部14に対して出力する。回避経路推定部14は、相対位置算出部13が算出したメッシュ情報MIと、移動体Mの移動の速度を示す移動体速度情報MSと、速度の確率モデル情報PIとに基づいて、回避経路Wを推定する。回避経路推定装置10は、速度の確率モデル情報PIに基づいて、移動体Mの障害物Oの回避経路Wを推定することができる。つまり、回避経路推定装置10は、移動体Mと障害物Oとの状況に応じた回避経路を推定することができる。すなわち、回避経路推定装置10は、移動体Mが障害物Oを回避する回避経路Wを推定することができる。

【0063】
回避経路推定装置10は、移動体Mの動きを確率的に推定することができるため、移動体Mが移動しうる経路に応じた情報を、車両FWを操作する操縦者に対して提供することができる。また、移動体Mの移動に追従して注意を与える装置と比較して、回避経路推定装置10は移動体Mの将来の位置を推定することができるため、車両FWを操作する操作者に対して、移動体Mと車両FWとの衝突までの時間に余裕があるうちに、注意を与えることができる。

【0064】
上述した説明では、回避経路推定部14は、障害物Oの周囲を四角形のメッシュ状に領域を分割する場合について説明したが、これに限られない。回避経路推定部14は、他の形状に分割してもよい。
記憶部15において、速度の確率モデル情報PIが、障害物Oと移動体Mとの相対位置ごとに記憶される場合には、相対位置算出部13は、障害物Oの周囲をメッシュ状に領域を分割しなくてもよい。

【0065】
上述した説明では、障害物Oが移動しない障害物の場合について説明したが、これに限られず、障害物Oは移動する障害物であってもよい。移動する障害物Oの場合には、回避経路推定装置10は、障害物Oの移動に合わせて第1の相対位置を更新する。

【0066】
[第2の実施形態]
ここまでは、回避経路推定装置10が速度の確率モデル情報PIのうち、任意の確率に基づいて回避経路Wを算出する場合について説明した。
次に、図8を参照して、回避経路推定装置10aが、複数の前記経路を推定する第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成及び動作については同一の符号を付してその説明を省略する。

【0067】
回避経路推定装置10aは、回避経路推定部14aを備える。
回避経路推定部14aは、複数の回避経路Wを推定する。
具体的には、回避経路推定部14aは、回避経路推定部14が推定する回避経路Wを、複数回、繰り返し推定する。より具体的には、回避経路推定部14aは、上述した図3に示すステップS150からステップS160までの処理を繰り返す。

【0068】
図8は、回避経路推定装置10aが推定した、移動体Mが障害物Oを回避する複数の回避経路Wの一例を示す図である。
図8には、複数の回避経路Wが白抜きの丸によってプロットされている。図8に示すように、回避経路推定装置10aは回避経路Wをプロットすることにより、回避経路Wの出現頻度を見やすく表示することができる。

【0069】
以上説明したように、回避経路推定装置10aは、回避経路推定部14aを備える。回避経路推定部14aは、複数の回避経路Wを推定する。回避経路推定装置10aは、移動体Mが取りうる複数の回避経路Wを推定することができる。車両FWを運転する操縦者は、回避経路推定装置10aが推定する移動体Mが移動しうる複数の回避経路Wに基づいて、余裕をみた回避動作をとることができる。

【0070】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。

【0071】
なお、上述の回避経路推定装置10及び回避経路推定装置10aは内部にコンピュータを有している。そして、上述した装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。

【0072】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
10,10a…回避経路推定装置、11…障害物位置情報取得部、12…移動状態情報取得部、13…相対位置算出部、14,14a…回避経路推定部、15…記憶部、16…表示制御部、20…表示部、30…障害物測定センサ、40…移動体測定センサ、M…移動体、O…障害物
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7