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Specification :(In Japanese)鋳型、鋳鋼の製造方法及び鋳型の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5858382
Publication number P2013-121601A
Date of registration Dec 25, 2015
Date of issue Feb 10, 2016
Date of publication of application Jun 20, 2013
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)鋳型、鋳鋼の製造方法及び鋳型の製造方法
IPC (International Patent Classification) B22C   9/04        (2006.01)
FI (File Index) B22C 9/04 P
Number of claims or invention 8
Total pages 12
Application Number P2011-270321
Date of filing Dec 9, 2011
Date of request for substantive examination Nov 18, 2014
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
【識別番号】000105626
【氏名又は名称】コトブキ技研工業株式会社
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
【識別番号】502160338
【氏名又は名称】日本銀砂株式会社
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】藤井 敏男
【氏名】河村 博
【氏名】旗手 稔
【氏名】長原 雄一
【氏名】中河原 圭司
Representative (In Japanese)【識別番号】100082418、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 朔生
Examiner (In Japanese)【審査官】酒井 英夫
Document or reference (In Japanese)特開平08-206777(JP,A)
特開2009-166105(JP,A)
特開平05-261470(JP,A)
特開2006-192442(JP,A)
Field of search B22C 9/00,9/04,9/08,7/02
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
消失模型を埋設した鋳物砂内に湯道を通じて溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する鋳型であって、
密封構造の鋳枠と、
排気管を介して鋳枠の下部に連通し、鋳込み時に消失模型の消失により発生する分解ガスを吸引して鋳枠外へ排気可能に設けた負圧発生源と、
消失模型の上部に配置し、鋳枠内へ外部気体を供給する送気管と、
全体を鋳物砂に埋設して消失模型の上部に設けた排気ダクトとを具備し、
前記負圧発生源を通じて鋳枠を減圧しながら、前記送気管を通じて消失模型に外部気体を供給可能に構成したことを特徴とする、
鋳型。
【請求項2】
前記鋳枠の底部に通気性を有する仕切板を設け、該仕切板と鋳枠の底面との間に減圧補助室を形成し、排気管を介して該減圧補助室に前記負圧発生源を接続したことを特徴とする、請求項1に記載の鋳型。
【請求項3】
前記消失模型は複数の通気孔と排気孔と、前記通気孔および排気孔を連通する連絡孔を穿設し、前記通気孔の延長線上に送気管を設け、前記排気孔の延長線上に該排気孔より大径の排気ダクトを設けたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鋳型。
【請求項4】
溶湯と外部気体の流れる向きが同じ方向となるように、前記通気孔を湯道の近傍に設けることを特徴とする、請求項3に記載の鋳型。
【請求項5】
前記送気管の露出端に給気管を接続し、該給気管に加熱手段を配設し、該加熱手段により外部気体を鋳枠内へ圧送可能に構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の鋳型。
【請求項6】
鋳物砂内に消失模型を埋設してなる鋳型に溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する消失模型鋳造法であって、
前記請求項1乃至請求項4に記載した何れかの鋳型を使用し、
負圧発生源を通じて、消失模型を通過するように密封構造の鋳枠内に強制的に一方向へ向けた気体流を形成して鋳枠を減圧し、
送気管を通じて消失模型に外部気体を供給して消失模型を熱分解し、
前記送気管を通じて供給される外部気体と共に、消失模型の分解ガスを負圧発生源の負圧吸引力により鋳枠外へ排気することを特徴とする、
鋳鋼の製造方法。
【請求項7】
鋳物砂内に消失模型を埋設してなる鋳型に溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する消失模型鋳造法であって、
前記請求項5に記載した鋳型を使用し、
負圧発生源を通じて、消失模型を通過するように密封構造の鋳枠内に強制的に一方向へ向けた気体流を形成して鋳枠を減圧し、
給気管に配設した加熱手段により加熱した外部気体を、送気管を通じて消失模型に供給して消失模型を熱分解し、
前記送気管を通じて供給される外部気体と共に、消失模型の分解ガスを負圧発生源の負圧吸引力により鋳枠外へ排気することを特徴とする、
鋳鋼の製造方法。
【請求項8】
消失模型を埋設した鋳物砂内に湯道を通じて溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する鋳型の製造方法であって、
有底構造の箱体からなる鋳枠内に鋳物砂を充填しながら消失模型を埋設し、
前記消失模型の上面に送気管と排気ダクトとを搭載し、
前記送気管の上部を鋳物砂の上面から突出させるとともに、前記排気ダクトを消失模型とともに鋳物砂に埋設し、
前記鋳物砂内に前記消失模型を貫通した湯道と逃がし孔とを形成し、
前記鋳枠の上口を非通気性のシート又は密封蓋で覆って封止することを特徴とする、
鋳型の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は消失模型を使用したフルモールド法の適用を可能にした鋳型、鋳鋼の製造方法及び鋳型の製造方法に関する。

【背景技術】
【0002】
消失模型(発泡プラスチック材料から作製される模型)を鋳物砂内に埋設し、溶湯(溶融金属)を注湯して消失模型を消失させながら鋳物製品を鋳造するフルモールド法は、中子を用いることなく複雑な形状であっても高い寸法精度で製造できるといった特徴を有している。
【0003】
これまでのフルモールド法では、溶湯の湯熱を利用して消失模型を消失させているが、消失模型が熱分解する際に分解ガス、炭化物、タール状の残渣等が発生する。溶湯に分解ガスを巻き込むとガス欠陥として残留したり、炭素成分が付着して鋳肌を荒らしたり、局所的に浸炭して炭化物の欠陥を生じる。
【0004】
これらの難点を解決する手段として、特許文献1(特開2008-221288号公報)には、鋳枠の下部、側部、および上部にそれぞれ独立した所定の個数の吸引部材を配置し、これらの吸引部材を通じて分解ガスを吸引することが開示されている。
特許文献1に記載された鋳造法では、消失模型の表面に塗布されたガス透過性の悪い塗型によって分解ガスの排出が阻害されるため、円滑で迅速なガス抜き効果が得られていない。
【0005】
特許文献2(特開2006-192442号公報)には、消失模型の上部と鋳型外部とを連通する排気管と、鋳砂に穿設した消失模型と鋳型外部とを連通する排気孔とを通じて、分解ガスの排気を推進して、溶湯への気泡の混入や残留等に起因した鋳造品の表面欠陥を抑制することが開示されている。
特許文献2に記載された鋳造法では、注湯により消失模型が下部から順次消失していく過程において、溶湯、発生ガス層、残留消失模型の3相が存在することから、実用上では、垂直方向に多くの排気孔を設けることになって、実用的ではない。
【0006】
特許文献3(特開平5-261470号公報)には、消失模型に対して縦横方向へ向けて複数の通気孔を穿設し、消失模型表面にこれらの各通気孔と相互に連通する通気路を形成し、鋳造時にこれらの各通気孔および通気路に接続した吸引装置を通じて鋳枠内を減圧することが開示されている。
特許文献3に記載された鋳造法では、消失模型から発生したガスを、塗型を通じて吸引することが困難であるため、鋳枠内の全域を十分に排気できる圧力まで減圧することが難しい。
さらに特許文献3に記載された鋳造法では、消失模型の熱分解や分解ガスの体積膨張による圧力で排気することになるため、発生したガスを完全に排気口から排出することは容易でない。特に、減圧の圧力が低くなるほど、ガス抜けが悪くなって一部のガスが残留する可能性が高くなる。
【0007】
特許文献4(特開2003-334634号公報)には、貫通孔が形成されている消失模型を使用し、排出通路を介して鋳造の際に発生する分解ガスを鋳型の外部に誘導し、誘導した分解ガスに空気や酸素等の酸化性気体を供給して燃焼させることで、鋳枠外へ排出されるすすや異臭を低減することが開示されている。
特許文献4に記載された鋳造法は、鋳枠外へ排出される分解ガス中の有害物質を除去できるものの、鋳枠内に発生する分解ガスや炭化物等の排出効率を高めることに役立たない。
【0008】
特許文献5(特許第2854814号公報)には、鋳枠に設けられた排出管を通じて鋳枠内を吸引しながら、消失模型に連通して設けられた吸気管を通じて外部気体を鋳型内に導入し、外部気体とともに分解ガスを吸引排出することが開示されている。
特許文献5に記載された鋳造法では、溶湯の熱で消失模型を熱分解することから、注湯中における溶湯の最上層が発生ガスに直接触れ続けることとなって、鋳造製品の内部または表面に加炭部が残りやすい。
さらに特許文献5に記載された鋳造法では、ガス透過性の悪い塗型によって分解ガスの排出が阻害されるため、十分な減圧ができずに分解ガスの吸引性が低いといった問題がある。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2008-221288号公報
【特許文献2】特開2006-192442号公報
【特許文献3】特開平5-261470号公報
【特許文献4】特開2003-334634号公報
【特許文献5】特許第2854814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既述した特許文献1~5に記載された鋳造法は、溶湯に加炭しても品質への影響の少ない鋳鉄を対象としたものであり、溶湯への浸炭を確実に防止できないことと、分解ガスの排出に時間がかかるといった共通の問題点を有する。
【0011】
一方、大型船舶のスクリュー、アンカー用のベルマウス、クランクシャフト等の数トン単位の大型製品には、強度や耐久性の要請から専ら鋳鋼が用いられている。
鋳鋼製の大型製品を鋳造するにあたり、以下の理由により既述した特許文献1~5に記載されたフルモールド法を適用して実用化することができなかった。
<1>従来のフルモールド法は注湯中に炭素が溶湯に溶け込んで炭素量が増えることを避け得なかった。そのため、最終製品の炭素量が増して鋳鋼の品質(強度、耐久性等)が大きく損なわれる。
一般に鋳鋼の炭素含有量は0.1~0.6%であるが、大型鋳造製品の場合には、出来上がった鋳造製品の炭素濃度の上限に制約があり、また炭素濃度の偏析も制限されている。
このように鋳鋼の炭素含有量の制約から、フルモールド法の採用が見送られていた。
<2>仮に大型鋳造製品の製造に従来のフルモールド法をそのまま適用すると、消失模型の熱分解により発生する大量の分解ガスに起因して、鋳込中にガス爆発を起こす危険がある。
鋳込中にガス爆発を起こすと、鋳型が破壊されるだけではなく、高温の溶湯が周辺に飛び散って大事故につながるため、鋳込作業の安全性確保の観点からもフルモールド法の採用が見送られていた。
<3>以上の理由から鋳鋼製の大型製品を鋳造するには、古来からの木型法を用いているが、木型法は作業工数が非常に多く、しかも熟練技術を要し、製造コストが嵩むといった多くの問題を抱えている。
国際競争力を強化する観点から、鋳鋼製の大型製品を対象とした新たな鋳造技術の提案が切望されている。
【0012】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは鋳鋼の鋳造手段としてフルモールド法を適用できる鋳鋼の鋳造技術を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は大型製品の製造に好適な鋳鋼の鋳造技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の第1発明は、消失模型を埋設した鋳物砂内に湯道を通じて溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する鋳型であって、密封構造の鋳枠と、排気管を介して鋳枠の下部に連通し、鋳込み時に消失模型の消失により発生する分解ガスを吸引して鋳枠外へ排気可能に設けた負圧発生源と、消失模型の上部に配置し、鋳枠内へ外部気体を供給する送気管と、全体を鋳物砂に埋設して消失模型の上部に設けた排気ダクトとを具備し、前記負圧発生源を通じて鋳枠を減圧しながら、前記送気管を通じて消失模型に外部気体を供給可能に構成したことを特徴とする。
本願の第2発明は、前記鋳枠の底部に通気性を有する仕切板を設け、該仕切板と鋳枠の底面との間に減圧補助室を形成し、排気管を介して該減圧補助室に前記負圧発生源を接続したことを特徴とする。
本願の第3発明は、前記消失模型は複数の通気孔と排気孔と、前記通気孔および排気孔を連通する連絡孔を穿設し、前記通気孔の延長線上に送気管を設け、前記排気孔の延長線上に該排気孔より大径の排気ダクトを設けたことを特徴とする。
本願の第4発明は、溶湯と外部気体の流れる向きが同じ方向となるように、前記通気孔を湯道の近傍に設けることを特徴とする。
本願の第5発明は、前記送気管の露出端に給気管を接続し、該給気管に加熱手段を配設し、該加熱手段により外部気体を鋳枠内へ圧送可能に構成したことを特徴とする。
本願の第6発明は、鋳物砂内に消失模型を埋設してなる鋳型に溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する消失模型鋳造法であって、前記請求項1乃至請求項4に記載した何れかの鋳型を使用し、負圧発生源を通じて、消失模型を通過するように密封構造の鋳枠内に強制的に一方向へ向けた気体流を形成して鋳枠を減圧し、送気管を通じて消失模型に外部気体を供給して消失模型を熱分解し、前記送気管を通じて供給される外部気体と共に、消失模型の分解ガスを負圧発生源の負圧吸引力により鋳枠外へ排気することを特徴とする。
本願の第7発明は、鋳物砂内に消失模型を埋設してなる鋳型に溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する消失模型鋳造法であって、前記請求項5に記載した鋳型を使用し、負圧発生源を通じて、消失模型を通過するように密封構造の鋳枠内に強制的に一方向へ向けた気体流を形成して鋳枠を減圧し、給気管に配設した加熱手段により加熱した外部気体を、送気管を通じて消失模型に供給して消失模型を熱分解し、前記送気管を通じて供給される外部気体と共に、消失模型の分解ガスを負圧発生源の負圧吸引力により鋳枠外へ排気することを特徴とする。
本願の第8発明は、消失模型を埋設した鋳物砂内に湯道を通じて溶融した鋳鋼を注湯して鋳鋼製の製品を鋳造する鋳型の製造方法であって、有底構造の箱体からなる鋳枠内に鋳物砂を充填しながら消失模型を埋設し、前記消失模型の上面に送気管と排気ダクトとを搭載し、前記送気管の上部を鋳物砂の上面から突出させるとともに、前記排気ダクトを消失模型とともに鋳物砂に埋設し、前記鋳物砂内に前記消失模型を貫通した湯道と逃がし孔とを形成し、前記鋳枠の上口を非通気性のシート又は密封蓋で覆って封止することを特徴とする。

【発明の効果】
【0014】
本発明では、負圧発生源を通じて鋳枠を減圧しながら、送気管を通じて消失模型に外部気体を供給して消失模型を瞬時に熱分解できるので、消失模型の分解ガスを溶融した鋳鋼に巻き込ませずに負圧吸引して排気することができる。
したがって、フルモールド法の特性を活かしながら高品質の鋳鋼製品を製造することができる。
さらに、消失模型の消失時に生じる分解ガスの圧力を緩和できるので、鋳造製品が大型であっても安全に鋳造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る鋳鋼の製造方法に使用する鋳型の概要図
【図2】他の実施例に係る鋳型の概要図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。

【0017】
<1>鋳型の概要
図1に本発明に係る鋳鋼の製造方法に使用する鋳型の概要図を示す。
鋳型は、減圧可能な密封構造の鋳枠(フラスコ)10と、鋳枠10に充填する鋳物砂20と、鋳物砂20に埋設する消失模型30と、排気管41を介して鋳枠10の下部に連通して設けた真空ブロワ等の負圧発生源40と、消失模型30の上部と鋳枠10外との間に設けた送気管50と、全体を鋳物砂20に埋設して消失模型30の上部に設けた排気ダクト51とを具備する。以下に各部について詳述する。

【0018】
<2>鋳枠
鋳枠10は有底構造の箱体で、本例では気密性を高めるために箱体の上口を非通気性のシート11と密封蓋12とにより封止する形態を示すが、何れか一方だけでもよい。

【0019】
鋳枠10内の底部近くに横架して設けた通気性を有する仕切板13と鋳枠10の底面との間には減圧補助室14を形成している。
減圧補助室14は仕切板13を介して鋳物砂20と通気可能であり、減圧補助室14は鋳物砂20の底面全域を通じて効率の良い負圧吸引を行うことができる。

【0020】
<3>鋳物砂
鋳枠10内に充填された鋳物砂20は適度の通気性が付与してある。
鋳造に用いる鋳物砂20としては、石英質を主成分とする珪砂の他、ジルコン砂、クロマイト砂、合成セラミック砂等の新砂又は再生砂を使用することができる。

【0021】
<4>消失模型
消失模型30は消失性物質を鋳造製品の形状に合わせて成形した模型であり、必要に応じてその表面に塗型剤により通気性を有する塗型層が形成してある。
消失性物質としては、例えば発泡ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の発泡体が用いられ、消失模型30の形状や大きさ等を考慮して適宜公知の素材を選択する。

【0022】
消失模型30はその全体に亘って縦方向または斜め方向に貫通した複数の通気孔31と排気孔32と、消失模型30の底部位置で両孔31,32の間を横方向に連通する連絡孔33を穿設している。
連絡孔33はその一端が湯道21と連通しており、他端が押湯用の逃がし孔22と連通している。

【0023】
<4.1>通気孔
通気孔31は外部気体を鋳造空間内へ導入して消失模型30の燃焼時間の短縮と燃焼効率を高めるため通気路である。
溶湯と外部気体の流れる向きが同じ方向となるように、通気孔31を湯道21の近傍に設けることが好ましい。
なお、外部気体とは酸素、または酸素を含んだ気体、若しくは酸素を含まない気体を意味する。

【0024】
<4.2>排気孔
排気孔32は排気ダクト51と協働して消失模型30の消失時に生じる分解ガス等を周囲の鋳物砂20へ排気するための排気路として機能する。

【0025】
<4.3>連絡孔
連絡孔33は送気管50と通気路31を通じて導入した外部気体を排気孔32へ案内する通気路として機能する。
連絡孔33を消失模型30の底部に水平に設けることで、注湯した溶湯を消失模型30の底部に沿ってきれいに流すことができる。

【0026】
<4.4>逃がし孔
逃がし孔22は、収縮分の溶融金属を補給して鋳引けや収縮割れを防ぐための「押し湯」として機能する。
逃がし孔22がないと溶湯が通気孔31と排気孔32の下部で反射して乱れを生じるが、逃がし孔22は溶湯の乱れ防止機能を併有する。

【0027】
<5>負圧発生源
鋳枠10の下部には減圧補助室14と連通して排気管41が接続している。
排気管41の他端には真空ブロワ等の負圧発生源40が接続してあって、排気管41を通じて減圧補助室14内を負圧吸引し得るようになっている。
排気管41には流速計42と制御弁43が付設してあって、負圧発生源40を通じた排気(吸引)量を制御できるようになっている。

【0028】
<6>送気管
送気管50は鋳枠10の鋳造空間内へ外部気体を導入するための管である。送気管50は、消失模型30の上面であって、各通気孔31の延長線上に位置する。
本例では送気管50の上端開口が密封蓋12の外部に露出している。

【0029】
<7>排気ダクト
排気ダクト51は消失模型30の消失時に発生する分解ガスと、送気管50を通じて導入した外部気体とを集めて周囲の鋳物砂20へ排出するためのものである。
排気ダクト51は、消失模型30の上面であって、各排気孔32の延長線上に位置する。
分解ガスと外部気体の吸引排出効率を高めるため、排気ダクト51の内径が排気孔32の径より大径に形成してある。

【0030】
[鋳造方法]
つぎに既述した鋳型を用いた鋳鋼製品の製造方法について説明する。

【0031】
<1>鋳型の製作
鋳枠10内に鋳物砂20を充填しながら消失模型30を埋設する。
この際、消失模型30の上面に送気管50と排気ダクト51を搭載する。
送気管50の上部は鋳物砂20の上面から突出させ、排気ダクト51は消失模型30とともに鋳物砂20に埋設する。
鋳物砂20内には従来と同様に湯道21と逃がし孔22を形成する。
鋳枠10はその上口を非通気性のシート11と密封蓋12で覆って封止する。

【0032】
<2>鋳枠の減圧
鋳込み作業に先行して、消失模型30を通過するように密封構造の鋳枠10内に強制的に一方向へ向けた気体流を形成することで、鋳枠10内を所定の圧力に減圧しておく。

【0033】
すなわち、負圧発生源40を稼働すると、減圧補助室14内が負圧状態となる。減圧補助室14内の圧力が低下することで、送気管50、消失模型30の各通気孔31および鋳物砂20を経由して外部気体が取り込まれて鋳枠10の外部へ排気される。
したがって、鋳枠10内の減圧補助室14および鋳物砂20の粒子間が減圧される。
このとき、鋳枠10の内圧は、鋳枠10の全域を吸引可能な圧力に設定しておくことが好ましい。
このように本発明では、流速計42と制御弁43とにより、送気管50から消失模型30を通じて排気管41へ排気される外部気体の流量を予め正確に求めておくことができるし、鋳枠10の内圧を所望の圧力に制御することも可能である。

【0034】
<3>鋳込作業
鋳枠10内の減圧状態を維持した状態で、湯道21を通じて鋳鋼が溶融した溶湯を注湯する。
溶湯を注湯するに際し、充填不良を起さずに、かつ溶湯の流れに乱れが生じない速度で注湯することが肝要である。

【0035】
<3.1>消失模型の消失
従来のフルモールド法では、溶湯の放射熱により消失模型30を消失していた。
本例では溶湯の溶融熱を、送気管50を通じて吸引される外部気体の加熱に利用し、加熱した外部気体の熱で消失模型30を消失するようにした。

【0036】
本例では、消失模型30に形成する通気孔31の位置と送気管50の設置位置を湯道21の近傍にするとともに、溶湯と外部気体の流れる向きを同じ方向としてある。
さらに注湯前から送気管50を通じて外部気体が消失模型30内に連続して取り込まれている。

【0037】
そのため、湯道21に連通した注湯口から溶湯を流入すると、送気管50を通じて導入した外部気体が溶湯に衝突して高温の熱風へと変化する。熱風が消失模型30に触れると、急激に燃焼分解し瞬間的に消失模型30を消失させることができる。

【0038】
以下に消失模型30の消失について詳しく説明する。
高温の熱風に接した消失模型30は、始めに液状化し、その一部がガス化する。
高温の外部気体と分解ガスとにより燃焼が開始し、燃焼に伴い、分解ガスはさらに高温化して400~800℃の高温に達する。
高温環境により液状化した消失模型30は、分解ガスとなり、その一部は燃焼し、そのまた一部は不完全燃焼により煤、ガスの状態で排気される。

【0039】
高温環境下でこれらが瞬時に進行することから、消失模型30は固体状態または液状態から、ガス状態や比重の小さい煤状態に変化しているから、これらが溶湯に溶け込むことはなく、導入した外部気体と共に鋳枠10の外部へ排出される。

【0040】
更に、送気管50を通じた外部気体の導入と、分解ガスの発生圧力とにより、加炭要因である分解ガスの希釈化と、消失模型30消失によって形成される空洞部での分解ガスの滞留時間が大幅に短縮されるので、溶湯への加炭を効果的に抑制することができる。

【0041】
このように本発明では、溶湯が消失模型30に触れる前に、加熱された外部気体を利用して消失模型30を熱分解して分解ガスを排気することができる。
したがって、従来の溶湯の放射熱で溶融する場合よりも早い時期に消失模型30を消失させることが可能である。

【0042】
<3.2>分解ガスの排出
加熱された外部気体(熱風)によって消失模型30が一瞬にして熱分解されて消失する際に分解ガスが発生する。
消失模型30から発生した分解ガスは、排気ダクト51で効率よく集められ、その後に鋳物砂20を経て減圧補助室14へ排気される。減圧補助室14へ集められた分解ガスは最終的に排気管41を通じて鋳枠10外へ効率よく排気される。
消失模型30から発生した分解ガスは、排気ダクト51の排気と並行して、逃がし孔22を通じても排気される。

【0043】
従来のように透過性が悪い塗型を通じて分解ガスを吸引排出する場合には、分解ガスの排出性が悪い。
本発明では分解ガスを鋳枠10内の消失模型30以外で鋳物砂20と接している場所から吸引して排出できる。
鋳枠10内での吸引排気は、外部気体の吸引に伴う排出による場合よりも排出能力と除去能力が大きい。

【0044】
既述したように、本発明に係る鋳型は送気管50から消失模型30を通じて排気管41へ排気される外部気体の流量を予め求めておくことができるから、消失模型30を分解燃焼させて、瞬間的に消失模型30を消失させるために必要な最適な気体導入流量を確保しながら鋳造をすることが可能となる。

【0045】
鋳込みにあたっては、注湯速度(V)を遅くし、排気管41における排気流体の排気速度(Q)をできるだけ増して、V/Q<6とすることが好ましい。

【0046】
<3.3>分解ガスの圧力上昇について
従来は鋳込み中に鋳型内において分解ガスの圧力が急激に上昇して爆発する危険があった。
これに対して、本例では注湯前から送気管50を通じて鋳枠10の内部が一定の圧力に減圧してある。
そのため、消失模型30が急激に燃焼して分解ガスの圧力が上昇しても、分解ガスの圧力を鋳枠10の内圧で減圧することができる。
特に本例では、分解ガスの圧力上昇が、分解ガスの排気促進に大きく役立つため、鋳込み中における鋳型の爆発を効果的に防止することができる。

【0047】
<3.4>鋳造製品の品質について
既述したように、本発明では溶湯が消失模型30に触れる前に消失し、消失模型30から発生した分解ガスを強制排気するので、溶湯が発生ガス層と触れる時間が短くなって、分解ガスが溶湯中に巻き込んだり混入したりすることを確実に防止できる。
したがって、加炭を抑制して、炭素偏析がない高品質の鋳鋼製の鋳物製品を得ることができる。
以上説明したように、本発明では従来まで困難とされていた鋳鋼を対象としたフルモールド法の適用を実現することができる。

【0048】
[他の実施例]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。

【0049】
図2は溶湯の放射熱によらないで鋳枠10内に強制的に高温の外部気体を供給する他の実施例を示す。
本例では、送気管50の露出端に給気管52を接続し、この給気管52に加熱手段53と送風機54を直列に配設した形態を示す。
加熱手段53は消失模型30を瞬時に加熱可能な温度まで外部気体を加熱できる手段で、例えばヒータや燃焼装置を適用できる。
また高温の外部気体の供給量を計測し得るように、給気管52に流速センサ55を設けることが好ましい。
なお、送風機54は必須ではなく、負圧発生源40で代用できる場合には省略してもよい。

【0050】
本例にあっては、溶湯の鋳込み時に負圧発生源40を稼働して減圧補助室14内を負圧状態にすることは既述した実施例と同様であるが、これと並行して、加熱手段53と送風機54とにより、給気管52および送気管50を経て鋳枠10内へ加熱流体を圧送することで、消失模型30を急激に燃焼分解して瞬間的に消失させることができる。

【0051】
本例にあっては、溶湯温度の影響を受けずに外部気体を安定した任意の温度に加温できるので、消失模型30の形状的な要因で、送気管50と湯道21との間の距離が離れていて、溶湯の放射熱で送気管50内の外部気体を十分に加熱できない場合に好適である。

【0052】
また、図2に示すように制御部60と排気管41に設けた流速計42、制御弁43および負圧発生源40を電気的に接続し、さらに制御部60と給気管52に設けた加熱手段53、送風機54および流速センサ55を電気的に接続し、制御部60で以て、流速計42から得た流速情報を基に、制御弁43および負圧発生源40を制御することで、減圧補助室14の内圧を鋳造に適切な圧力に調節することができる。
さらに、流速センサ55から得た流速情報を基に、加熱手段53および送風機54を制御することで、消失模型30の温度分解に最適な外部気体の温度と単位時間当たりの送風量(供給量)に調節することができる。
【符号の説明】
【0053】
10・・・・・鋳枠
11・・・・・シート
12・・・・・密封蓋
13・・・・・仕切板
14・・・・・減圧補助室
20・・・・・鋳物砂
21・・・・・湯道
22・・・・・逃がし孔
30・・・・・消失模型
31・・・・・通気孔
32・・・・・排気孔
33・・・・・連絡孔
40・・・・・負圧発生源
41・・・・・排気管
42・・・・・流速計
43・・・・・制御弁
50・・・・・送気管
51・・・・・排気ダクト
52・・・・・給気管
53・・・・・加熱手段
54・・・・・送風機
60・・・・・制御部
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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