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明細書 :半導体基板の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6399600号 (P6399600)
公開番号 特開2016-147787 (P2016-147787A)
登録日 平成30年9月14日(2018.9.14)
発行日 平成30年10月3日(2018.10.3)
公開日 平成28年8月18日(2016.8.18)
発明の名称または考案の名称 半導体基板の製造方法
国際特許分類 C30B  29/38        (2006.01)
C30B  25/16        (2006.01)
C30B  25/12        (2006.01)
C23C  16/34        (2006.01)
C23C  16/44        (2006.01)
H01L  21/205       (2006.01)
FI C30B 29/38 D
C30B 25/16
C30B 25/12
C23C 16/34
C23C 16/44 G
H01L 21/205
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2015-026211 (P2015-026211)
出願日 平成27年2月13日(2015.2.13)
審査請求日 平成29年11月17日(2017.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】岡田 成仁
【氏名】只友 一行
【氏名】山根 啓輔
個別代理人の代理人 【識別番号】110001427、【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
審査官 【審査官】森坂 英昭
参考文献・文献 特公昭49-003228(JP,B1)
特開昭63-129616(JP,A)
特開平08-243380(JP,A)
調査した分野 C30B 1/00 - 35/00
C23C 16/00 - 16/56
H01L 21/205

特許請求の範囲 【請求項1】
ベース基板に半導体を気相成長法により結晶成長させて半導体基板を製造する方法であって、
前記ベース基板の一方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる一の工程と、
前記ベース基板の他方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる他の工程と、
を含み、
前記ベース基板を、前記ベース基板の法線方向に対して垂直な軸を中心として回動可能に設け、
前記ベース基板を、前記一の工程では、前記一方の主面が前記原料ガスに対向し、且つ前記他の工程では、前記他方の主面が前記原料ガスに対向するように、前記軸を中心として反転させ、
前記原料ガスを継続的に供給しながら、前記ベース基板を、その回転数を0.1~100rpmとして、前記軸を中心として連続的に回転させることにより前記一の工程と前記他の工程とを交互に行う半導体基板の製造方法。
【請求項2】
ベース基板に半導体を気相成長法により結晶成長させて半導体基板を製造する方法であって、
前記ベース基板の一方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる一の工程と、
前記ベース基板の他方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる他の工程と、
を含み、
前記ベース基板を、前記ベース基板の法線方向に対して垂直な軸を中心として回動可能に設け、
前記ベース基板を、前記一の工程では、前記一方の主面が前記原料ガスに対向し、且つ前記他の工程では、前記他方の主面が前記原料ガスに対向するように、前記軸を中心として反転させ、
前記原料ガスを継続的に供給しながら、前記一の工程において、静止した前記ベース基板の一方の主面に前記原料ガスを当て、所定時間経過した時点で前記ベース基板を反転させた後、前記他の工程において、静止した前記ベース基板の他方の主面に前記原料ガスを当て、所定時間経過した時点で前記ベース基板を再び反転させる操作を繰り返し、前記ベース基板の反転を、前記ベース基板の両面の半導体の膜厚差が50%に達する前までに行い、
前記一の工程と前記他の工程とを交互に行う半導体基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された半導体基板の製造方法において、
前記軸が前記ベース基板の重心を通る半導体基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載された半導体基板の製造方法において、
前記ベース基板がサファイア基板であり、且つ前記半導体がGaNである半導体基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載された半導体基板の製造方法において、
前記半導体が前記ベース基板とは熱膨張係数が異なる半導体基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載された半導体基板の製造方法において、
前記気相成長法がハイドライド気相成長法である半導体基板の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の両面にGaNを結晶成長させる技術は公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、オートクレーブ中にアルカリ金属イオンを含有する超臨界アンモニア溶媒を形成し、その超臨界アンモニア溶媒中にGa含有フィードストックを溶解させ、超臨界溶媒へのGa含有フィードストックの溶解時よりも高温条件において、フィードストックが溶解した超臨界溶液からシード基板の両面にGaNを結晶成長させる技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、反応容器内にGaとアルカリ金属又はアルカリ土類金属からなるフラックスとを含む混合融液を形成し、その混合融液と窒素含有物質とからGaNを結晶成長させるに際し、混合融液中に複数枚の種結晶基板を投入してそれらの両面にGaNを結晶成長させる技術が開示されている。
【0005】
非特許文献1には、GaAs(111)基板の両面にMOHVPE法によりGaNを結晶成長させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2004-168656号公報
【特許文献2】特開2007-254161号公報
【0007】

【非特許文献1】第50回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集(2003.3 神奈川大学) 29p-V-14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
GaN系半導体の優れたポテンシャルを発揮させるためには、GaN基板上にGaN系半導体をホモエピタキシャル成長させることが好ましい。そのためGaN基板に対する需要は非常に高い。ところが、実際には、その普及はあまり進んでいない。その理由としては、GaN基板が高価であること、及び現状のGaN基板の品質が十分でないことが挙げられる。
【0009】
現在、最も主流のGaN基板の製造方法は、HVPE法によりサファイア基板等のベース基板上にGaNをヘテロエピタキシャル成長させた後、結晶成長したGaNの単結晶をGaN基板としてベース基板から剥離するというものである。
【0010】
しかしながら、この方法では、GaNとベース基板の物性定数(特に熱膨張係数)が大きく異なるため、得られるGaN基板に反りが発生するという問題がある。そして、このGaN基板の反りの問題が、低歩留まりによる高コスト化、及び低結晶品質・小面積の低品質を招き、その結果、GaN基板の普及を妨げる最大の要因となっている。
【0011】
本発明の課題は、気相成長法により反りの小さい半導体基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ベース基板に半導体を気相成長法により結晶成長させて半導体基板を製造する方法であって、前記ベース基板の一方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる一の工程と、前記ベース基板の他方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる他の工程とを含み、前記ベース基板を、前記ベース基板の法線方向に対して垂直な軸を中心として回動可能に設け、前記ベース基板を、前記一の工程では、前記一方の主面が前記原料ガスに対向し、且つ前記他の工程では、前記他方の主面が前記原料ガスに対向するように、前記軸を中心として反転させ、前記原料ガスを継続的に供給しながら、前記ベース基板を、その回転数を0.1~100rpmとして、前記軸を中心として連続的に回転させることにより前記一の工程と前記他の工程とを交互に行う。
【0013】
本発明は、ベース基板に半導体を気相成長法により結晶成長させて半導体基板を製造する方法であって、前記ベース基板の一方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる一の工程と、前記ベース基板の他方の主面に原料ガスを接触させて前記ベース基板上に前記半導体を結晶成長させる他の工程とを含み、前記ベース基板を、前記ベース基板の法線方向に対して垂直な軸を中心として回動可能に設け、前記ベース基板を、前記一の工程では、前記一方の主面が前記原料ガスに対向し、且つ前記他の工程では、前記他方の主面が前記原料ガスに対向するように、前記軸を中心として反転させ、前記原料ガスを継続的に供給しながら、前記一の工程において、静止した前記ベース基板の一方の主面に前記原料ガスを当て、所定時間経過した時点で前記ベース基板を反転させた後、前記他の工程において、静止した前記ベース基板の他方の主面に前記原料ガスを当て、所定時間経過した時点で前記ベース基板を再び反転させる操作を繰り返し、前記ベース基板の反転を、前記ベース基板の両面の半導体の膜厚差が50%に達する前までに行い、前記一の工程と前記他の工程とを交互に行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ベース基板の両面に、交互に半導体を気相成長法により結晶成長させるので、ベース基板及び半導体の熱膨張係数等の物性定数の相違に起因した反りが両面間で相殺され、その結果、反りの小さい半導体基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】気相成長装置の一例の要部構成を示す図である。
【図2】(a)は一の工程を示す説明図であり、(b)は他の工程を示す説明図である。
【図3】ベース基板の反転の説明図である。
【図4】時間とベース基板及び半導体の一方の主面側の反り量との関係を示すグラフである。
【図5】(a)は実施例の断面図であり、(b)は比較例の断面図である。
【図6】(a)は実施例のGaN層のロッキングカーブを示す図であり、(b)は比較例のGaN層のロッキングカーブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について詳細に説明する。

【0018】
本実施形態に係る半導体基板の製造方法は、ベース基板に半導体を気相成長法により結晶成長させる。そして、本実施形態に係る半導体基板の製造方法は、ベース基板の一方の主面に原料ガスを接触させてベース基板上に半導体を結晶成長させる一の工程と、ベース基板の他方の主面に原料ガスを接触させてベース基板上に半導体を結晶成長させる他の工程とを含み、これらの一の工程と他の工程とを交互に行う。

【0019】
この本実施形態に係る半導体基板の製造方法によれば、ベース基板の両面に、交互に半導体を気相成長法により結晶成長させるので、ベース基板及び半導体の熱膨張係数等の物性定数の相違に起因した反りが両面間で相殺され、その結果、反りの小さい半導体基板を製造することができる。そして、従来の低歩留まりによる高コスト化、及び低結晶品質・小面積の低品質の問題が解消し、半導体基板の低コスト化、及び大口径化等の高品質化が可能となる。

【0020】
(ベース基板)
本実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いるベース基板は、特に限定されるものではないが、例えば、サファイア基板(Alのコランダム構造の単結晶基板)、ZnO基板、SiC基板等が挙げられる。これらのうち、汎用性の観点からサファイア基板が好ましい。なお、ベース基板の熱膨張係数は、結晶面方位等に依存するため、ある程度の幅を有するが、例えば、サファイア基板では4.3~9.2×10-6-1、ZnO基板では2.9~4.8×10-6-1、SiC基板では2.5~5.5×10-6-1である。

【0021】
ベース基板の直径は、例えば50~100mmであるが、大口径の半導体基板を製造する観点からは100~200mmであることが好ましい。ベース基板の厚さは、例えば100μm~2mmである。

【0022】
ベース基板は、主面にエッチング等により微細凹凸を形成していてもよく、また、主面に酸化窒化ケイ素(SiON)或いは窒化アルミニウム(AlN)等を部分的に設けて微細凹凸を形成していてもよい。

【0023】
ベース基板の主面は、a面<{11-20}面>、c面<{0001}面>、m面<{1-100}面>、及びr面<{1-102}面>のいずれであってもよく、また、他の面方位の結晶面であってもよい。ベース基板の主面は、極性面であってもよく、また、非極性面であってもよく、更に、半極性面であってもよい。

【0024】
ベース基板の結晶成長面はベース基板の表面に含まれる主面及び/又は凹部側面若しくは凸部側面であるが、この結晶成長面は、a面<{11-20}面>、c面<{0001}面>、m面<{1-100}面>、及びr面<{1-102}面>のいずれであってもよく、他の面方位の結晶面であってもよい。また、この結晶成長面は、極性面であってもよく、非極性面であってもよく、半極性面であってもよい。

【0025】
ベース基板の一方の表面及び他方の表面は同一構成を有することが好ましい。

【0026】
なお、ベース基板は、MOVPEやスパッタリング等により、反りを発生しない範囲で、表面にGaN等の半導体層を予め結晶成長させたテンプレートであってもよい。

【0027】
(半導体)
本実施形態に係る半導体基板の製造方法においてベース基板上に結晶成長させる半導体は、ベース基板とは熱膨張係数等の物性定数が異なる半導体であって、特に限定されるものではないが、例えば、GaN、AlGaN、InGaN、InAlGaN、InAlN、InN等が挙げられる。これらのうち、GaNが好ましい。

【0028】
半導体の熱膨張係数は、一般的にはベース基板の熱膨張係数よりも小さい。半導体の熱膨張係数は、結晶面方位等に依存するため、ある程度の幅を有するが、例えば、GaNでは2.8~5.6×10-6-1、AlGaNでは4.15~5.6×10-6-1、InGaNでは2.7~5.7×10-6-1、InAlGaNでは2.7~5.7×10-6-1、InAlNでは2.7~5.7×10-6-1、InNでは2.7~5.7×10-6-1である。

【0029】
(気相成長法)
本実施形態に係る半導体基板の製造方法において用いる気相成長法としては、HVPE法(ハイドライド気相成長法:Hydride Vapor Phase Epitaxy)、MOHVPE法( 有機金属ハイドライド気相成長法:Metal-Organic Halide Vapor Phase Epitaxy)、MOVPE法(有機金属気相成長法:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)等が挙げられる。これらのうちHVPE法が好ましい。

【0030】
(一の工程及び他の工程)
本実施形態に係る半導体基板の製造方法においては、気相成長装置を用い、一の工程では、気相成長法により、反応室でベース基板の一方の主面に原料ガスを接触させてベース基板上に半導体を結晶成長させ、また、他の工程でも、同じく気相成長法により、反応室でベース基板の他方の主面に原料ガスを接触させてベース基板上に同じ半導体を結晶成長させ、これらの一の工程と他の工程とを交互に行う。このとき、半導体は、ベース基板の一方の表面及び他方の表面のそれぞれの結晶成長面を起点として結晶成長する。なお、半導体を結晶成長させる前に、ベース基板の結晶成長面上に膜厚20~30nm程度の低温バッファ層を設けてもよい。

【0031】
ベース基板の両面のそれぞれに法線方向に積層されるように結晶成長する半導体の主面は、a面<{11-20}面>、c面<{0001}面>、m面<{1-100}面>、及びr面<{1-102}面>のいずれであってもよく、また、他の面方位の結晶面であってもよい。ベース基板10の主面は、極性面であってもよく、非極性面であってもよく、半極性面であってもよい。

【0032】
ベース基板としてのサファイア基板上に半導体のGaNをHVPE法により結晶成長させてGaN基板を製造する場合を例にとると、原料ガスには、Ga源ガスとして例えばGaClガスが挙げられ、N源ガスとして例えばNHガスが挙げられ、及び、キャリアガスとして例えばHガスやNガスが挙げられる。Ga源ガス流量は例えば0.1~2slmであり、N源ガスの流量は例えば0.1~40slmであり、及びキャリアガスの流量は例えば5~50slmである。また、反応室内の圧力は例えば80~101.3kPaであり、及びサファイア基板の温度は例えば900~1150℃である。

【0033】
本実施形態に係る半導体基板の製造方法では、一の工程と他の工程とを交互に繰り返し行う。その好ましい態様は、ベース基板を、その法線方向に対して垂直な軸を中心として回動可能に設け、一の工程では、一方の主面が原料ガスに対向し、且つ他の工程では、他方の主面が原料ガスに対向するように当該軸を中心として反転させるものである。また、この軸はベース基板の重心を通ることが好ましい。なお、ベース基板の軸は、原料ガスの流動方向に対しても垂直であってもよい。

【0034】
このとき、原料ガスを継続的に供給しながら、ベース基板を軸を中心として連続的に回転させることにより、一の工程と他の工程とを交互に行ってもよい。この場合、ベース基板の回転数は、好ましくは0.1~100rpm、より好ましくは5~100rpmである。

【0035】
また、原料ガスを継続的に供給しながら、一の工程において、静止したベース基板の一方の主面に原料ガスを当て、所定時間経過した時点でベース基板を反転させた後、他の工程において、静止したベース基板の他方の主面に原料ガスを当て、所定時間経過した時点でベース基板を再び反転させる操作を繰り返してもよい。この場合、ベース基板の反転を、ベース基板の両面の半導体層の膜厚差が50%に達する前までに行うことが好ましい。ここで、「膜厚差」とは、厚い方の半導体層と薄い方の半導体層との膜厚差を厚い方の半導体層の膜厚で除した百分率である。

【0036】
更に、一の工程において、静止したベース基板の一方の主面に原料ガスを当て、一旦、原料ガスを停止し、ベース基板を反転させた後、原料ガスの供給を再開し、他の工程において、静止したベース基板の他方の主面に原料ガスを当ててもよい。

【0037】
図1は、本実施形態に係る半導体基板の製造に用いることができる気相成長装置10の一例の要部構成を示す。

【0038】
この気相成長装置10は、反応室11内に設けられた基板支持部12を備える。基板支持部12は、ベース基板20の側部が取り付けられる基板取付具12aの下端にギア12bが設けられていると共に、そのギア12bに噛み合うように設けられたフェースギア12cが図示しない回転駆動源に結合した構成を有しており、ベース基板20を、その法線方向及び原料ガスGの流動方向に対して垂直な軸Aを中心として回動可能に保持し、そして、ベース基板20を、一の態様では、図2(a)に示すように、ベース基板20の法線方向が原料ガスGの流動方向に一致すると共に、一方の主面20aが原料ガスGに対向し、且つ他の態様では、図2(b)に示すように、ベース基板20の法線方向が原料ガスGの流動方向に一致すると共に、他方の主面20bが原料ガスGに対向するように、図3に示すように、軸Aを中心として反転させるように構成されている。なお、軸Aは、ベース基板20の内部及び外部のいずれに存在してもよいが、ベース基板20の重心を通っていることが好ましい。なお、気相成長装置10は、ベース基板20を面内回転させる面内回転機構(図示せず)も備えていてもよい。

【0039】
本実施形態に係る半導体基板の製造において、この気相成長装置10を用いれば、ベース基板20を、ベース基板20の法線方向及び原料ガスGの流動方向に対して垂直な軸Aを中心として回動可能に設け、そして、ベース基板20を、一の工程では、図2(a)に示すように、ベース基板20の一方の主面20aが原料ガスGに対向し、且つ他の工程では、図2(b)に示すように、ベース基板20の他方の主面20bが原料ガスGに対向するように、図3に示すように、軸Aを中心として断続的又は連続的に回転させて反転させることにより、原料ガスGを継続的に供給しながら、一の工程と他の工程とを交互に行うことができる。

【0040】
ここで、一の工程及び他の工程のそれぞれにおいて、ベース基板20上に半導体が結晶成長すると、ベース基板20及び半導体の熱膨張係数等の物性定数の相違に起因してベース基板20及び半導体が一方に反るように変形し、結晶成長に伴ってその反り量が大きくなると、半導体に生じる欠陥が著しく増大する。このため、反り量が過大とならないようにベース基板20を反転させて、一の工程から他の工程に、又は、他の工程から一の工程に、切り替えを行う。

【0041】
具体的には、まず最初はベース基板20の両面の反り量は0であるが、一の工程において、ベース基板20の一方の主面20aに半導体が結晶成長すると、ベース基板20及び半導体の熱膨張係数等の物性定数の相違に起因して、例えば半導体の膨張が大きいと、図4に示すように、一方の主面20a側が凸となるように反る。このとき、反り量が過大とならないようにベース基板20を反転させて、一の工程から他の工程に切り替える。

【0042】
続く他の工程では、ベース基板20の他方の主面20bに同一の半導体が結晶成長するが、ベース基板20及び半導体の熱膨張係数等の物性定数の相違に起因して、一旦、前の一の工程で生じた反りを相殺するように変形した後、逆に他方の主面20a側が凸となるように、従って、図4に示すように、一方の主面20a側が凹となるように反る。このとき、反り量が過大とならないようにベース基板20を反転させて、他の工程から一の工程に切り替える。

【0043】
以降、必要に応じて、反り量が過大とならないようにベース基板20の反転を繰り返し、最終的には、ベース基板20の両面に形成された半導体層がそれぞれ十分な膜厚を有し、しかもそれらの膜厚がほぼ同一となったときに原料ガスGの供給を停止する。ベース基板20の両面のそれぞれの半導体層の膜厚は、好ましくは1μm~5cm、より好ましくは50μm~5cmである。ここで、従来、ベース基板の片面ずつに半導体を結晶成長させて両面に半導体層を形成した場合、膜厚が厚くなると半導体膜が砕けて粉々になってしまうため、ベース基板の両面に膜厚が50μm以上の半導体層を得ることができなかった。しかしながら、本実施形態に係る半導体基板の製造方法によれば、ベース基板20の両面のそれぞれに同一の半導体が結晶成長して膜厚が50μm以上の半導体層が形成された半導体基板を得ることができる。ベース基板20の両面に形成された半導体層の膜厚差は、好ましくは50%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは0%である。ベース基板20の両面に半導体層が形成された半導体基板の反り量は、非常に小さいが、曲率半径に換算すると、好ましくは10m以上、より好ましくは100m以上である。

【0044】
そして、最後に、気相成長装置10からベース基板20の両面に半導体層が形成された半導体基板を回収する。回収した半導体基板は、そのまま使用に供して、例えば両面にLEDを作り込んでもよく、また、必要に応じて研磨等の加工を施してもよい。得られた半導体基板は、反りが小さく、LED、LD、太陽電池等のすべての電子デバイスの生産に有効に利用することができる。また、レーザリフトオフ装置、ワイヤーソー、ダイシング装置等を用いて、ベース基板20から半導体層を剥離し、それを半導体基板として回収してもよい。かかる半導体基板のうち特にGaN基板は、その大口径化が図られれば、現在急速に発展している電子デバイスの基板としての利用価値が非常に高まるため、市場価値が極めて高い。
【実施例】
【0045】
(GaNの結晶成長)
<実施例>
厚さ430μm及び直径2インチの主面がc面のサファイア基板を図1に示す構成のハイドライド気相成長装置の反応室内の基板支持部に取り付けた。
【実施例】
【0046】
次いで、反応室内にNHガスを8slmの流量で供給しながら、反応室内の圧力を100kPaとし、また、反応室内及びサファイア基板を昇温した。
【実施例】
【0047】
その後、基板温度が1050℃を超えた時点で、その状態を10分間保持して基板温度を安定させた。
【実施例】
【0048】
続いて、Hガスをキャリアガスとして継続して供給しながら、GaClガスを0.8slm及びNHガスを8slmのそれぞれの流量で継続的に供給し、併せて、サファイア基板を回転数20rpmで連続的に回転させ、1時間をかけて、図5(a)に示すように、その両面にGaNを結晶成長させた。
【実施例】
【0049】
その後、GaClガス及びNHガスの供給を止め、Nガスを20slmの流量で供給した。
【実施例】
【0050】
そして、基板温度が100℃に達した後、反応室内の圧力を101.3kPaにして取り出した試料を実施例とした。なお、各GaN層の膜厚は約150μmであった。GaN層に割れは確認されなかった。
【実施例】
【0051】
<比較例>
サファイア基板の回転を行わず、1時間をかけて、図5(b)に示すように、その片面にGaNを結晶成長させたことを除いて実施例と同様にして得られた試料を比較例とした。なお、GaN層の膜厚は100μmであった。GaN層に割れは確認されなかった。
【実施例】
【0052】
(試験評価方法)
実施例及び比較例のそれぞれの試料のGaN層について、X線ロッキングカーブ回折法(XRC)による測定を行った。
【実施例】
【0053】
(試験評価結果)
図6(a)及び(b)は、それぞれ実施例及び比較例のGaN層のロッキングカーブを示す。なお、ロッキングカーブのωのずれの差が大きいほど基板の反りが大きく、その差が小さいほど基板の反りが小さい。
【実施例】
【0054】
図6(a)及び(b)より明らかであるが、サファイア基板の両面にGaNを結晶成長させた実施例では、ωのずれがほとんどなく、従って、基板の反りが非常に小さいのに対し、サファイア基板の片面にGaNを結晶成長させた比較例では、ωのずれが大きく、従って、基板の反りが大きいことが分かる。
【実施例】
【0055】
また、実施例の曲率半径は180mであり、一方、比較例の曲率半径は4.5mであった。なお、曲率半径が100m以上ではほとんど反りはないことを意味し、サファイア基板の両面にGaNを結晶成長させた実施例の有用性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、半導体基板の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0057】
A 軸
G 原料ガス
10 気相成長装置
11 反応室
12 基板支持部
12a 基板取付具
12b ギア
12c フェースギア
20 ベース基板
20a 一方の主面
20b 他方の主面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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