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明細書 :化合物、表面処理剤、及び表面処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6727643号 (P6727643)
公開番号 特開2016-210778 (P2016-210778A)
登録日 令和2年7月3日(2020.7.3)
発行日 令和2年7月22日(2020.7.22)
公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
発明の名称または考案の名称 化合物、表面処理剤、及び表面処理方法
国際特許分類 C07F   9/38        (2006.01)
FI C07F 9/38 CSPB
C07F 9/38 C
C07F 9/38 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 37
出願番号 特願2016-094826 (P2016-094826)
出願日 平成28年5月10日(2016.5.10)
優先権出願番号 2015096874
優先日 平成27年5月11日(2015.5.11)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成31年4月16日(2019.4.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】山口 和夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
【識別番号】100120891、【弁理士】、【氏名又は名称】林 一好
審査官 【審査官】早川 裕之
参考文献・文献 国際公開第94/006808(WO,A1)
特開昭60-237094(JP,A)
特開2008-111710(JP,A)
特開2003-292496(JP,A)
特開2006-010876(JP,A)
特開2010-024194(JP,A)
特開2009-215197(JP,A)
特開2004-051624(JP,A)
特開2003-092181(JP,A)
特開2007-314773(JP,A)
国際公開第2015/029981(WO,A1)
米国特許出願公開第2009/0098347(US,A1)
特表2012-522824(JP,A)
調査した分野 C07F 9/38
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表される化合物(但し、N-nitroveratryloxycarbonyl-aminomethylphosphonic acidを除く。)
【化1】
JP0006727643B2_000048t.gif
(R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
は、水素原子又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1~6であるアルキル基であり、
Xは、以下の式(II)~(VIII)のいずれかで表される基であり、
は、前記Xが以下の式(II)~(VII)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、前記Xが以下の式(VIII)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。)
【化2】
JP0006727643B2_000049t.gif
【化3】
JP0006727643B2_000050t.gif
【化4】
JP0006727643B2_000051t.gif
【化5】
JP0006727643B2_000052t.gif
【化6】
JP0006727643B2_000053t.gif
【化7】
JP0006727643B2_000054t.gif
【化8】
JP0006727643B2_000055t.gif

【請求項2】
前記Rが、イソプロピル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記式(I)で表される化合物を含有する表面処理剤。
【化9】
JP0006727643B2_000056t.gif
(R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
は、水素原子又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1~6であるアルキル基であり、
Xは、以下の式(II)~(VIII)のいずれかで表される基であり、
は、前記Xが以下の式(II)~(VII)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、前記Xが以下の式(VIII)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。)
【化10】
JP0006727643B2_000057t.gif
【化11】
JP0006727643B2_000058t.gif
【化12】
JP0006727643B2_000059t.gif
【化13】
JP0006727643B2_000060t.gif
【化14】
JP0006727643B2_000061t.gif
【化15】
JP0006727643B2_000062t.gif
【化16】
JP0006727643B2_000063t.gif

【請求項4】
下記式(I)で表される化合物を用いて処理対象物の表面を処理する工程を有する、表面処理方法。
【化17】
JP0006727643B2_000064t.gif
(R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
は、水素原子又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1~6であるアルキル基であり、
Xは、以下の式(II)~(VIII)のいずれかで表される基であり、
は、前記Xが以下の式(II)~(VII)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、前記Xが以下の式(VIII)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。)
【化18】
JP0006727643B2_000065t.gif
【化19】
JP0006727643B2_000066t.gif
【化20】
JP0006727643B2_000067t.gif
【化21】
JP0006727643B2_000068t.gif
【化22】
JP0006727643B2_000069t.gif
【化23】
JP0006727643B2_000070t.gif
【化24】
JP0006727643B2_000071t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、表面処理剤、及び表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無機材料等の表面を化学的修飾による表面処理を行うことで、無機材料等の表面に様々な特性を与えることができる表面処理剤が開発されている。中でも、光分解性の保護基を有する表面処理剤は、光照射により脱保護ができるため、表面の修飾を容易に行うことができ、また、マスキングによって位置選択性を容易にすることができるため、表面改質の時空間的制御が可能である。
【0003】
一方、ホスホン酸誘導体は、表面処理剤として使用した場合に、安定な自己組織化単分子膜(SAM)を形成できることから、近年注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、光分解性の2-ニトロベンジルエステルとしてカルボン酸を保護したベンジルホスホン酸誘導体が開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】米国特許第7732119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたホスホン酸誘導体は、SAMの密度、安定性という点では改善の余地があった。
【0007】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、表面処理剤としての使用に適した、安定性の高い新規な化合物、このような化合物からなる表面処理剤、及び表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、所定の構造を有する化合物が、表面処理剤として使用した場合に、安定なSAMを形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) 下記式(I)で表される化合物。
【化01】
JP0006727643B2_000002t.gif
(R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、
は、水素原子又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1~6であるアルキル基であり、
Xは、以下の式(II)~(VIII)のいずれかで表される基であり、
は、前記Xが以下の式(II)~(VII)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、前記Xが以下の式(VIII)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。)
【0010】
【化02】
JP0006727643B2_000003t.gif

【0011】
【化03】
JP0006727643B2_000004t.gif

【0012】
【化04】
JP0006727643B2_000005t.gif

【0013】
【化05】
JP0006727643B2_000006t.gif

【0014】
【化06】
JP0006727643B2_000007t.gif

【0015】
【化07】
JP0006727643B2_000008t.gif

【0016】
【化08】
JP0006727643B2_000009t.gif

【0017】
(2) 前記Rが、イソプロピル基である、(1)に記載の化合物。
【0018】
(3) (1)又は(2)に記載の化合物を含有する表面処理剤。
【0019】
(4) (1)又は(2)に記載の化合物を用いて処理対象物の表面を処理する工程を有する、表面処理方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、表面処理剤としての使用に適した、安定性の高い新規な化合物、このような化合物を含有する表面処理剤、及び表面処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の式(I)で表される化合物により表面処理が施され、表面が修飾された処理対象物に対して、光照射を行った場合の光分解反応を示す図である。(a)は、式(I)におけるXが、式(VIII)で表される基である場合の反応を示す。(b)は、式(I)におけるXが、式(IV)又は式(VII)で表される基である場合の反応を示す。(c)は、式(I)におけるXが、式(III)又は式(VI)で表される基である場合の反応を示す。(d)は、式(I)におけるXが、式(II)又は式(V)で表される基である場合の反応を示す。
【図2】本発明の合成例に係る化合物を用いて、ITO基板に対して表面処理を施した後に、光照射を行った後の基板の表面についてXPS測定を行った際の測定結果を示す図である。
【図3】画像を示す図である。(a)は、フォトマスクの画像を示す。(b)は、本発明の合成例に係る化合物を用いて表面修飾を行った基板表面に対して、フォトマスクで固定した状態で光照射を行い、次いで蛍光試薬による処理を行った後に、基板表面を蛍光顕微鏡により観察した画像の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は特にこれに限定されない。

【0023】
<化合物>
本発明の化合物は、以下の式(I)で表される。
【化09】
JP0006727643B2_000010t.gif
(式(I)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であり、Rは、水素原子又は置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1~6であるアルキル基であり、Rは、アルキレン基であり、Xは、式(II)~(VIII)のいずれかで表される基である。)

【0024】
【化10】
JP0006727643B2_000011t.gif

【0025】
【化11】
JP0006727643B2_000012t.gif

【0026】
【化12】
JP0006727643B2_000013t.gif

【0027】
【化13】
JP0006727643B2_000014t.gif

【0028】
【化14】
JP0006727643B2_000015t.gif

【0029】
【化15】
JP0006727643B2_000016t.gif

【0030】
【化16】
JP0006727643B2_000017t.gif

【0031】
本発明の式(I)で表される化合物は、光分解性の保護基として、ニトロベンジル基を有するため、光分解性カップリング剤として機能する。そのため、光照射により脱保護ができるため、表面の修飾を容易に行うことができ、また、マスキングによって位置選択性を容易にすることができるため、表面改質の時空間的制御が可能である。そのため、本発明の式(I)で表される化合物は、表面処理剤としての使用に適している。そして、本発明の式(I)で表される化合物は、ホスホン酸誘導体であるところ、表面処理剤として使用した場合、安定なSAMを形成することができるため、高い安定性を有する。その理由は、以下のとおりであると推測される。

【0032】
特許文献1に記載されたような、従来のホスホン酸誘導体の表面処理剤は、本発明の式(I)で表される化合物におけるホスホン酸基とXとに直接結合するRに相当する炭化水素基が、ベンゼン環を含むものである。これに対し、本発明は、Rがアルキレン基であるため、化合物の構造が密になり、結果として、安定なSAMを形成することができるものと推測される。

【0033】
式(I)におけるR~Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であれば、特に限定されない。これらは、式(I)で表される化合物の光の吸収波長を調整するために、適宜選択することができる。

【0034】
~Rのアルキル基は、直鎖であってもよく、分鎖であってもよい。また、R~Rのアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、アルキル基が長すぎると、化合物同士の相互作用が強くなってSAMの構造が密になって安定化するが、逆に光照射に対する感度が低下する可能性がある。つまり、SAMの安定化と光照射に対する感度の向上のバランスという観点では、R~Rのアルキル基は一定程度短い方が好ましい。より具体的には、R~Rのアルキル基の炭素数は、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、12以下であることがより一層好ましく、6以下であることが最も好ましい。また、アルキル基の炭素数の下限は、特に限定されず、例えば、1以上(2以上、4以上、8以上、10以上、15以上等)であってもよい。

【0035】
~Rのアルコキシ基は、上述のとおり、置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよく、有さなくてもよい。つまり、本明細書において、「置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基」とは、置換基としてパーフルオロアルキル基を有するアルコキシ基又は非置換のアルコキシ基の何れであってもよいことを意味する。

【0036】
~Rのアルコキシ基の炭素数は、特に限定されず、例えば、アルコキシ基がパーフルオロアルキル基を有するか否かや、パーフルオロアルキル基を有する場合のパーフルオロアルキル基の炭素数等に応じで、適宜設定することができ、例えば、1以上(2以上、4以上、6以上、8以上、10以上等)であってもよく、25以下(20以下、18以下、15以下、10以下、8以下、4以下等)であってもよい。また、アルコキシ基の炭素鎖は、直鎖であってもよく、分鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。

【0037】
アルコキシ基が有してもよいパーフルオロアルキル基の炭素数は、特に限定されず、例えば、上記アルコキシ基の炭素数の数等に応じて、適宜設定することができ、例えば、1以上(2以上、4以上、6以上、8以上、10以上等)であってもよく、20以下(18以下、14以下、10以下、8以下、6以下、4以下等)であってもよい。

【0038】
式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、パーフルオロアルキル基が長すぎると、化合物同士の相互作用が強くなってSAMの構造が密になって安定化するが、逆に光照射に対する感度が低下する可能性があるため、SAMの安定化と光照射に対する感度の向上のバランスという観点では、R~Rのアルコキシ基と、該アルコキシ基が有するパーフルオロアルキル基との合計の長さが一定程度短い方が好ましい。より具体的には、R~Rのアルコキシ基と、該アルコキシ基が有するパーフルオロアルキル基との合計の炭素数は、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、12以下であることがより一層好ましく、6以下であることが最も好ましい。また、R~Rのアルコキシ基と、該アルコキシ基が有するパーフルオロアルキル基との合計の炭素数の下限は、特に限定されず、例えば、1以上(2以上、4以上、8以上、10以上、15以上等)であってもよい。また、アルコキシ基が有してもよいパーフルオロアルキル基の炭素鎖は、直鎖であってもよく、分鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。

【0039】
式(I)におけるR~Rの組合せとして、化合物を表面処理剤として使用した場合、高い安定性を有することができることから、R、Rがいずれも水素原子であり、R、Rがいずれも、置換基としてパーフルオロアルキル基を有してもよいアルコキシ基であることが好ましい。

【0040】
は、水素原子又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数が1~6であるアルキル基であれば、特に限定されないが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、高い安定性を有することから、Rがアルキル基であるときは、炭素数が1~6の範囲であれば、目的に応じて炭素数を適宜変更してもよい。例えば、2以上(3以上、4以上、5以上等)であってもよく、5以下(4以下、3以下、2以下等)であってもよい。また、Rはアルキル基であるとき、直鎖であっても、分鎖であってもよいが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、光照射に対する感度が高いことから、分鎖であることが好ましい。Rがアルキル基であるときは、イソプロピル基、t-ブチル基であることが最も好ましい。また、Rが有してもよいハロゲン原子は、特に限定されず、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等であってもよい。また、置換されるハロゲン原子の数は特に限定されず、1級炭素に結合した水素原子を、1、2又は3つのハロゲン原子に置換してもよく、2級炭素に結合した水素原子を、1又は2つのハロゲン原子に置換してもよい。

【0041】
は、Xが式(II)~(VII)のいずれかで表される基である場合、アルキレン基であり、Xが式(VIII)で表される基である場合、単結合又はアルキレン基である。

【0042】
におけるアルキレン基は、特に限定されず、例えば、炭素数は1~50であってもよいが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、アルキレン基が長ければ長いほど、アルキレン基の表面積が大きくなり、化合物同士の相互作用が強くなるため、分子間の距離が短くなり、結果的により化合物同士が密な構造となって、安定性の高いSAMを形成することができる。このことから、アルキレン基の炭素数は、多いほど好ましく、より具体的には、5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましく、16以上であることが最も好ましい。他方、別の観点で、アルキレン基が長すぎると、疎水性が強くなるため、表面処理剤と使用する際に、高い親水性を必要とする場合は、短い方が好ましい。例えば、アルキレン基の炭素数は、40以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、20以下であることが最も好ましい。また、Rは、直鎖であっても、分鎖であってもよいが、式(I)で表される化合物を表面処理剤として使用した場合、アルキレン基の表面積が大きくなり、結果的により高い安定性を有することができることから、直鎖であることが好ましい。

【0043】
Xが式(VIII)で表される基である場合、ホスホン酸に炭素原子が直接結合できることから、Rは単結合であってもよい。

【0044】
Xは、式(II)~(VIII)のいずれかで表される基であれば、特に限定されず、用途や目的に応じて、式(II)~(VIII)の官能基を使い分けることができる。

【0045】
なお、本願明細書における他の式中のR~R、R、R、Xは、上記の式(I)中のR~R、R、R、Xと同様である。

【0046】
<化合物の製造方法>
本発明の上記式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の工程(A)又は(B)により、式(5)で表される化合物を合成した後に、工程(C)により、式(5)で表される化合物におけるホスホン酸エステルの部分を分解し、式(I)で表される化合物を製造することができる。その合成工程を以下に示す。

【0047】
【化17】
JP0006727643B2_000018t.gif

【0048】
式(1)、(3)、(5)中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、トリメチルシリル基、t-ブチル基、その他のアルキル基等が挙げられる。これらは、必要に応じて、適宜好ましいものを選択することができ、例えば、式(5)で表される化合物の合成を行いやすいという観点からは、Rは、エチル基であることが好ましい。他方、最終的に得られる式(I)で表される化合物を得る際に、弱酸で加水分解できることから、t-ブチル基であることが好ましく、あるいは、中性条件で加水分解又は加アルコール分解できることから、トリメチルシリル基であることが好ましい。なお、本明細書における他の式中のRは、上記の式(1)、(3)、(5)中のRと同様である。

【0049】
式(3)中のXは、第1級アミノ基、チオール基、ヒドロキシ基、又はカルボキシ基のいずれかである。最終的に得られる式(I)で表される化合物におけるXが式(II)及び式(V)で表される基である場合、Xは第1級アミノ基であり、式(I)で表される化合物におけるXが式(III)及び式(VI)で表される基である場合、Xはチオール基であり、式(I)で表される化合物におけるXが式(IV)及び式(VII)で表される基である場合、Xはヒドロキシ基であり、式(I)で表される化合物におけるXが式(VIII)で表される基である場合、Xはカルボキシ基である。

【0050】
式(4)中のYは、以下の式(IX)で表される基か、ヒドロキシ基のいずれかである。式(3)中のXが、第1級アミノ基、チオール基、又はヒドロキシ基のいずれかである場合、Yは、式(IX)で表される基を用いることが好ましい。式(3)中のXが、カルボキシ基である場合、Yは、ヒドロキシ基であることが好ましい。

【0051】
【化18】
JP0006727643B2_000019t.gif

【0052】
以下に、本発明の式(I)で表される化合物のより具体的な製造方法を説明する。

【0053】
(工程(A))
工程(A)の合成方法は、例えば、あらかじめニトロベンジル基で保護した臭化物(式(2)で表される化合物)を合成した後に、Arbuzov反応(P-C結合生成反応)により、ホスホン酸エステル(式(5)で表される化合物)を合成することができる。この式(5)で表される化合物を用いて、工程(C)により、式(I)で表される化合物を製造することができる。

【0054】
工程(A)の具体的操作としては、Arbuzov反応(P-C結合生成反応)を生ずるような操作を用いることができ、例えば、式(1)で表される化合物であるトリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリストリメチルシリルホスファイト等)と式(2)で表される化合物を加熱させることにより行うことができる。

【0055】
Xが、式(II)~(IV)で表される基であった場合、工程(A)の前に、例えば、以下のような工程により、式(2-1)で表される化合物を合成し、それを用いて、式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5-1)で表される化合物)を製造することができる。

【0056】
【化19】
JP0006727643B2_000020t.gif

【0057】
上記(a)の工程は、芳香環のニトロ化を行う操作であり、その具体的方法は、例えば式(6)で表される化合物に濃硝酸(例えば、70%硝酸等)を作用させることにより行うことができる。

【0058】
上記(b)の工程は、工程(a)で得られたニトロ化合物のカルボニル基の還元によりアルコールへと変換し、式(7)で表される化合物の合成を行う操作であり、その具体的方法は、例えば水素化ホウ素ナトリウムにより行うことができる。また、溶媒としては、メタノール、THF(テトラヒドロフラン)等を用いてもよい。

【0059】
上記(c)の工程は、式(8)で表される活性カーボナートの合成を行う操作であり、その具体的方法は、例えば式(7)で表される化合物とジ-N-スクシニミジルカーボナートの反応により行うことができる。また、溶媒としては、TEA(トリエチルアミン)、乾燥アセトニトリル等を用いてもよい。

【0060】
上記(d)の工程は、末端にブロモ基をもつ式(2-1)で表される化合物を合成するための反応を行う操作であり、その具体的方法は、例えば塩基としてのトリエチルアミン存在下で、乾燥された溶媒(例えば、ドライ-THF(テトラヒドロフラン)等)を用いて、式(9)で表される臭化物と式(8)で表される活性カーボナートとの反応により行うことができる。

【0061】
Xが、式(VIII)で表される基であった場合、例えば、以下のような工程により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5-2)で表される化合物)を製造することができる。

【0062】
【化20】
JP0006727643B2_000021t.gif

【0063】
上記(e)の工程は、式(9-1)で表されるブロモカルボン酸と式(10)で表されるアルコールとの脱水縮合反応を行う操作であり、その具体的方法は、例えば脱水縮合剤として水溶性のカルボジイミド(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、EDC・HCl)、塩基としてN,N-ジエチルアミノピリジン(DMAP)を用いることにより行うことができる。

【0064】
(工程(B))
工程(B)の合成方法は、特に限定されないが、末端に一級アミン、アルコール、チオール、又はカルボン酸の官能基を有するホスホン酸エステル(式(3)で表される化合物)を合成した後に、この化合物に対して、式(4)で表される化合物を用いてニトロベンジル基を導入することによって、式(5)で表される化合物を合成することができる。この式(5)で表される化合物を用いて、工程(C)により、式(I)で表される化合物を製造することができる。

【0065】
工程(B)の操作は、式(3)で表される化合物に対して、式(4)で表される化合物を用いてニトロベンジル基を導入する操作を用いることができ、具体的には、例えば、上記(d)と同様に、例えば塩基としてのトリエチルアミン存在下で、乾燥された溶媒(例えば、乾燥THF(テトラヒドロフラン)等)として式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物との反応により行うことができる。

【0066】
Xが、式(II)で表される基であった場合、工程(B)も含め、例えば、以下のような方法により式(I)で表される化合物を製造することができる。また、この合成工程は、式(I)で表される化合物が具体的には式(I-1)で表される化合物である場合の合成工程であり、つまり、Rがt-ブチル基である場合の合成工程である。Rがt-ブチル基である場合、特に効率的に、最終的な目的である式(I)で表される化合物を得られることから、この合成工程は好ましい。また、式(4-1)で表される化合物は、式(4)で表される化合物におけるYが、式(IX)で表される基である場合の化合物である。なお、以下の方法における工程(j)は、工程(C)(詳細は後述する)の一つの工程である。

【0067】
【化21】
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【0068】
上記(f)の工程は、上述の工程(A)と同様に、Arbuzov反応によりホスホン酸を形成する反応を行う操作であり、その具体的方法は、例えば式(1-1)で表されるトリエチルホスファイトと式(11)で表される臭化物を加熱させることにより行うことができる。

【0069】
上記(g)の工程は、式(12)で表されるホスホン酸ジエチルエステルの式(13)で表されるホスホン酸への変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばトリメチルブロモシランを作用させて一旦トリメチルシリルエステルへ変換した後、加メタノール分解により行うことができる。

【0070】
上記(h)の工程は、上記(g)の工程により得られた式(13)で表されるホスホン酸を式(14)で表されるt-ブチルエステルへの変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばt-ブチル2,2,2-トリクロロアセトイミダートを反応させることにより行うことができる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン等を用いることができる。

【0071】
上記(i)の工程は、式(14)で表されるガブリエル合成の中間体であるフタルイミドの式(3-1)で表されるアミンへの変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばフタルイミドのヒドラジン分解により行うことができる。また、溶媒としては、例えば、エタノール等を用いることができる。

【0072】
上記(j)の工程は、後述する工程(C)の方法を用いることができ、例えば、希塩酸分解を用いることができる。溶媒としては、例えば、メタノール等を用いてもよい。

【0073】
Xが式(III)で表される基であった場合、例えば、以下のような方法により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5-4)で表される化合物)を合成することができる。

【0074】
【化22】
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【0075】
上記(k)の工程は、前述した工程(A)の方法と同様の方法を用いることができる。つまり、(k)の工程は、Arbuzov反応(P-C結合生成反応)を生ずるような操作を用いることができる。例えば、トリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリストリメチルシリルホスファイト等)と式(9-2)で表される化合物を加熱させることにより行うことができる。

【0076】
Xが式(IV)で表される基であった場合、例えば、以下のような方法により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5-5)で表される化合物)を合成することができる。

【0077】
【化23】
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【0078】
上記(l)の工程は、式(9-3)で表されるアルコールに保護基を導入し、式(15)で表される化合物であるテトラヒドロピラニルエーテルの合成を行う操作であり、その具体的方法は、例えば酸触媒の存在下ジヒドロピランを作用させることにより行うことができる。

【0079】
上記(m)の工程は、前述した工程(A)の方法と同様の方法を用いることができる。つまり、(m)の工程は、Arbuzov反応(P-C結合生成反応)を生ずるような操作を用いることができる。例えば、トリアルキルホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリストリメチルシリルホスファイト等)と式(15)で表される化合物を加熱させることにより行うことができる。

【0080】
上記(n)の工程は、式(16)で表される化合物の保護基であるテトラヒドロピラニルエーテルの除去を行う操作であり、その具体的方法は、例えばテトラヒドロフラン—水を溶媒とした酢酸による加水分解により行うことができる。

【0081】
Xが、式(V)、(VI)、又は(VII)で表される基である場合に、上述の述べた工程(B)と同様の方法で、式(3)で表される化合物に対して、ニトロベンジル基を導入することによって、式(5)で表される化合物を製造可能である。ただし、Xが、式(V)、式(VI)、又は(VII)で表される基である場合、上述の式(4)で表される化合物の代わりに、式(4’)で表される化合物を用いることができる。式(4’)で表される化合物は、式(4)で表される化合物におけるYをYに置き換えたものである。また、工程(B)の前に、工程(o)又は工程(p)を行ってもよい。以下に、かかる場合における工程(B)の具体的態様である工程(B-1)、(B-2)及び(B-3)と、これらの前工程である工程(o)、工程(p)を用いることで、式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5-6)、(5-7)、又は(5-8)で表される化合物)を製造するための反応スキームを示す。

【0082】
【化24】
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【0083】
上記の工程(o)及び(p)は、式(7)で表される化合物を、アミン化合物(式(3-1)で表される化合物、チオール化合物(式(3-2)で表される化合物)又はアルコール化合物(式(3-3)で表される化合物)と反応させるための中間体(例えば、式(4’)で表される化合物のような塩化物、臭化物、p-トルエンスルホナート等)に導くための工程である。より具体的には、工程(o)では、例えば、式(7)で表される化合物を三塩化リン又は三臭化リンと反応させることで、式(4’-1)で表される化合物を得ることができる。工程(p)では、例えば、式(7)で表される化合物を塩化p-トルエンスルホニル(式(17)で表される化合物)と反応させることにより式(4’-2)で表される中間体を得ることができる。なお、Yの一つであるTsOとは、以下の式(X)で表される基である。

【0084】
【化25】
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【0085】
工程(B-1)は、式(3-1)で表されるアミン化合物と式(4’)で表される化合物をカップリングさせて、式(5-6)で表される化合物を合成する操作であり、その具体的な方法は、例えば、水素化ナトリウムにより式(3-2)の化合物をナトリウムアミドとした後、式(4’)で表される化合物と反応させることにより、式(5-6)で表される化合物を得ることができる。

【0086】
工程(B-2)は、式(3-2)で表されるチオール化合物と式(4’)で表される化合物をカップリングさせて、式(5-7)で表される化合物を合成する操作であり、その具体的な方法は、例えば、水素化ナトリウムにより式(3-2)の化合物をナトリウムチオラートとした後、式(4’)で表される化合物と反応させることにより、式(5-7)で表される化合物を得ることができる。

【0087】
工程(B-3)は、式(3-3)で表されるアルコール化合物と式(4’)で表される中間体をカップリングさせて、式(5-8)で表される化合物を合成する操作であり、その具体的な方法は、水素化ナトリウムにより式(3-3)で表される化合物をナトリウムアルコラートとした後、式(4’)で表される化合物と反応させることにより、式(5-8)で表される化合物を得ることができる。

【0088】
Xが式(VIII)で表される基であった場合、例えば、以下のような方法により式(5)で表される化合物(以下の工程では、式(5-2)で表される化合物)を合成することができる。

【0089】
【化26】
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【0090】
上記(q)の工程は、式(18)で表されるカルボン酸エチルエステルの加水分解を行う操作であり、その具体的方法は、例えばテトラヒドロフラン中アルカリ水溶液により行うことができる。その後、工程(B)を経ることにより、式(5)で表される化合物を合成することができる。

【0091】
(工程(C))
工程(C)は、式(5)で表される化合物におけるホスホン酸エステルの部分を分解して、式(I)を得る方法であり、Rの種類に応じて適宜選択することができる。

【0092】
上記(C)の工程は、式(5)で表される化合物におけるホスホン酸エステルの部分を分解して、式(I)で表される化合物を得る操作であれば、特に限定されず、例えば、酸加水分解、シリルエステルに変換後の加アルコール分解により行うことができる。これらの方法の中から、合成に使用する材料や、目的とする化合物の性質に応じて、適切な方法を選択することができる。

【0093】
式(5)中のRが、エチル基である場合(以下の工程における式(5-a)で表される化合物)、工程(C)としては、以下の示す工程(C-1)により、式(I)で表される化合物を合成することができる。

【0094】
【化27】
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【0095】
上記(C-1)の工程は、上記(C)の工程を用いることができるが、クロロトリメチルシラン(TMS-Cl)とアルカリ金属ヨウ化物又はブロモトリメチルシランにより行うことが好ましい。また、溶媒として、例えば、メタノール等を用いてもよい。

【0096】
式(5)中のRが、トリメチルシリル基である場合(以下の工程における式(5-b)で表される化合物)、工程(C)としては、以下の示す工程(C-2)により、式(I)で表される化合物を合成することができる。

【0097】
【化28】
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【0098】
上記(C-2)の工程は、上記(C)の工程を用いることができるが、メタノール処理により行うことが好ましい。

【0099】
式(5)中のRが、t-ブチル基である場合(以下の工程における式(5-c)で表される化合物)、以下の示す工程により、式(I)で表される化合物を合成することができる。また、必要に応じて、以下に示すように、工程(r)、上述の工程(B)を経て、以下の式(5-c)で表される化合物を合成してもよい。

【0100】
【化29】
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【0101】
上記(r)の工程は、式(19)で表される化合物のジt-ブチルエステルへの変換を行う操作であり、その具体的方法は、例えばt-ブチル2,2,2-トリクロロアセトイミダートでの処理により行うことができる。また、溶媒として、例えば、ジクロロメタン等を用いてもよい。

【0102】
上記(C-3)の工程は、上記(C)の工程を用いることができるが、希塩酸処理により行うことが好ましい。また、溶媒として、例えば、メタノール等を用いてもよい。

【0103】
<表面処理剤>
本発明は、上記で述べた式(I)で表される化合物を含有する表面処理剤を包含する。式(I)におけるRが、アルキレン基であるため、安定なSAMを形成することができる。

【0104】
本発明の表面処理剤は、処理対象物の表面を処理して修飾するために用いられるものであれば、その用途は特に限定されない。例えば、上記で述べた式(I)で表される化合物におけるホスホン酸基と、処理対象物の表面にあるヒドロキシ基とを脱水縮合反応させて、その表面を修飾するために用いることができる。

【0105】
<表面処理方法>
本発明は、上記式(I)で表される化合物を用いて処理対象物の表面を処理する工程を有する、表面処理方法を包含する。

【0106】
(表面処理工程)
本発明の表面処理方法における表面処理工程は、上記式(I)で表される化合物を用いて処理対象物の表面を処理する工程を有する。

【0107】
処理対象物とは、上記式(I)で表される化合物が処理される対象の物を指し、より具体的には、その表面に、上記式(I)におけるホスホン酸基と、例えば、脱水縮合反応等を行うことで表面が修飾されるものである。上記式(I)におけるホスホン酸基と脱水縮合反応をする基とは、例えば、ヒドロキシ基のことを指す。

【0108】
処理対象物の処理される対象となる表面は、無機材料であってもよく、有機材料であってもよいが、無機材料であることが好ましい。無機材料としては、金属(表面の酸化層との反応による)及び金属酸化物、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、シリコン、シリカゲル、ガラス、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、マイカ等が挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリエステル、ポリカ—ボナート、ポリイミド、カーボンナノチューブ、グラフェン等が挙げられる。

【0109】
処理対象物の表面を処理する方法は、特に限定されず、上記式(I)で表される化合物を直接処理対象物の表面に塗布してもよく、あるいは、化合物が溶解する溶媒(例えば、エタノール、2—プロパノール、テトラヒドロフラン等)に溶かした状態で、処理対象物の表面に塗布してもよい。また、上記式(I)で表される化合物を直接処理対象物の表面に塗布等を行って表面を修飾した後に、その表面に対して光照射を行い表面から光分解性基を脱離させ、表面に官能基を導入してもよい。更に、表面に導入された官能基に対して、官能基と反応可能な基を反応させ、更に表面を修飾してもよい。

【0110】
処理対象物の処理される表面の形状は、特に限定されないが、平面状であってもよく、球面状であってもよく、あるいはこれらのいずれの部分も含んでいてもよい。

【0111】
(その他)
本発明の表面処理方法は、上記の表面処理工程以外の従来の公知の工程を含んでもよく、含まなくてもよい。

【0112】
例えば、上記の表面処理工程の前に、処理対象物を洗浄(液体による洗浄、超音波洗浄等)、乾燥、UV照射等の前処理を行う工程があってもよい。

【0113】
図1に、式(I)で表される化合物により表面処理が施され、表面が修飾された処理対象物(図1の左側)に対して、光照射を行った後(図1の右側)の光分解反応を示す。図1中、(a)は、式(I)におけるXが、式(VIII)で表される基である場合の反応を示す。(b)は、式(I)におけるXが、式(IV)又は式(VII)で表される基である場合の反応を示す。(c)は、式(I)におけるXが、式(III)又は式(VI)で表される基である場合の反応を示す。(d)は、式(I)におけるXが、式(II)又は式(V)で表される基である場合の反応を示す。また、図1の左側に示される処理対象物の表面は、式(I)で表される化合物におけるホスホン酸と、処理対象物の表面にあるヒドロキシ基とが表面処理により脱水縮合されたものである。
【実施例】
【0114】
<合成例>
[1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル N-スクシニミジル カ—ボナートの合成]
窒素雰囲気下で、100mL二口ナスフラスコに1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロパノール2.79g(10.9mmol,1.0eq.)(式(20)で表される化合物)、ドライ-アセトニトリル45mL、トリエチルアミン3.31g(4.55mL,32.7mmol,3.0eq.)、ジ(N-スクシニミジル)カ—ボナート4.10g(16.0mmol,1.5eq.)(式(21)で表される化合物)を入れ、室温で16時間攪拌を行った。HO100mL,2NHCl 17mLを加えた後、酢酸エチル100mLを加えて分液を行ったがエマルジョンが起きたため、sat.NaClaq.(飽和塩化ナトリウム水溶液)15mLを加えた。その後、更に酢酸エチル100mLを一回、50mLを一回加えて、計250mLの有機層を抽出し、乾燥(無水MgSO)を行った。その後、濃縮、再結晶(酢酸エチル,室温)、吸引ろ過、真空乾燥を行い、1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル N-スクシニミジル カ—ボナート(式(4-a)で表される化合物)を得た。得られた結晶は、淡黄色結晶であった。収量は、3.16g(7.92mmol)であり、収率73%であった。式(4-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
Rf 0.40(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)
1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=1.04and1.10(6H,d,J=6.8)
=2.28(1H,m)
=2.79(4H,s)
=3.96and4.06(6H,s)
=6.41(1H,d,J=4.8)
=6.98(1H,s)
=7.67(1H,s)

FT-IR(KBr)
1747cm-1(C=O)
1783cm-1(C=O,スクシニミジル)
1521,1374cm-1(NO

【実施例】
【0115】
【化30】
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【実施例】
【0116】
[1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル(3-(ジエトキシホスホリル)プロピル)カルバマートの合成]
30mL二口ナスフラスコにジ-tert-ブチル 3-アミノプロピルホスホナート(式(3-a-1)で表される化合物)0.552g(2.20mmol,1.2eq.)、ドライ-THF(テトラヒドロフラン)2mL,1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル N-スクシニミジル カ—ボナート(式(4-a)で表される化合物)0.737g(1.83mmol,1.0eq.)を加えて35℃で4時間攪拌した。水30mLを加えクロロホルム30mLで3回で抽出した。その後、乾燥(無水MgSO4)、カラムクロマトグラフィー(条件:ジクロロメタン:メタノール=19:1,直径4.5cm,高さ25cm)、濃縮、真空乾燥を行い、黄色粘体の1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル N-(3-(ジ-tert-ブチルホスホリル)プロピル)カルバマート(式(5-c-1)で表される化合物)を得た。収量832mg(1.56mmol)であり、収率85%であった。式(5-c-1)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
Rf0.43(ジクロロメタン:メタノール=19:1)
H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=0.973(3H,d,J=6.1)and0.992(3H,d,J=6.1)
=1.47(9H,s) and 1.49(9H,s)
=1.64(2H,m)
=1.76(2H,m)
=2.14(1H,m)
=3.23(2H,m)
=3.93 and 3.95(3H×2,s×2)
=5.36(1H,s)
=6.24(1H,d,J=5.6)
=6.92(1H,s)
=7.60(1H,s)

13C-NMR(CDCl3/TMS)100MHz
δ=17.2,19.4(s)
=23.7(d,J=5.5)
=27.5(d,J=146)
=30.4(t,J=3.3)
=33.4(s)
=41.1(d,J=14.3)
=56.3,56.4(s)
=75.6(s)
=81.8(q,J=5.5)
=107.9(s))
=109.0(s)
=132.1(s)
=140.7(s)
=147.7(s)
=153.0(s)
=155.8(s)
31P-NMR(CDCl3/85%PO4H3)160MHz
δ=23.5
FT-IR
3271cm-1(NH
1723cm-1(C=O)
15
【実施例】
【0117】
【化31】
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【実施例】
【0118】
[(3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)アミノ)プロピル)ホスホン酸の合成]
25mLナスフラスコに1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル N-(3-(ジ-tert-ブチルホスホリル)プロピル)カルバマート(式(5-c-1)で表される化合物)101mg(1.90×10-4mol),メタノール5mL,2N HCL水溶液11mLの順に加え、室温で24時間攪拌させた。水10mL,5%NaHCO水溶液30mLを加え溶液が塩基性になっていることを確認してからクロロホルム100mLを加え、水層を洗浄した。次に、塩基性の水層を2N HCl水溶液で酸性にしてから、酢酸エチル100mLで5回抽出し、乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮、真空乾燥(70℃)を行い、(3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)アミノ)プロピル)ホスホン酸(式(I-a)で表される化合物)の黄色固体を得た。収量69mg(1.48×10-4mol)、収率69%であった。式(I-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
H-NMR(MeOH-d/TMS)400MHz
δ=0.971(3H, d, J=2.8)and 0.988(3H,d,J=3.1)
=1.58-1.78(4H,m)
=2.21(1H,sept)
=3.11(2H,t)
=3.90-3.92(6H,s)
=6.61(1H,d,J=5.4)
=7.05(1H,s)
=7.67(1H,s)

13C-NMR(MeOH-d4/TMS)400 MHz
δ=17.6,19.8(s)
=24.6(d,J=4.3)
=25.5(d,J=140)
=34.6(s)
=42.2(d,J=19.2)
=56.8,56.9(s)
=76.8(s)g
=109.1(s)
=110.4(s)
=132.9(s)
=142.0(s)
=149.6(s)
=154.9(s)
=158.4(s)

31P-NMR(MeOH-d/85%PO4H3)160MHz
δ=28.3
FT-IR
3600-2000cm-1(OH)
3384cm-1(NH)
1698cm-1(C=O)
1522cm-1(NO

元素分析
Found;C: 44.97 H: 6.08 N: 6.40
Calcd;C: 45.72 H: 5.99 N: 6.66
【実施例】
【0119】
【化32】
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【実施例】
【0120】
<感光性SAMの調製と評価>
上記式(I-a)で表されるホスホン酸誘導体((3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)アミノ)プロピル)ホスホン酸)を用いて、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)基板にSAMを調製した。SAMの調製方法として、ITO基板に直接表面修飾する方法を行った。調製したSAMに光照射し、光照射前後のSAMについて、水の静的接触角測定(液滴法)、X線光電子分光法(XPS)、パターニングを行い評価した。以下に、具体的な操作を示す。
【実施例】
【0121】
[ITOへの表面修飾及び光照射]
(前処理)
ITO基板を純水、メタノール、アセトンの順で各5分間ずつ超音波洗浄を行い、窒素気流により乾燥させた後、UVオゾンクリーナーを用いて酸素注入6L/minで3分間、UV照射時間1時間30分、窒素注入6L/minで10分間の条件で前処理を行った。
【実施例】
【0122】
(3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)アミノ)プロピル)ホスホン酸による表面修飾と光分解反応)
【実施例】
【0123】
表面修飾
前処理したITO基板を式(I-a)で表される化合物の1mMエタノール溶液に室温で24時間浸漬させた後、エタノール、クロロホルムでリンスして窒素気流により乾燥させた。120℃のホットプレートで180分アニーリングを行い、その後、エタノール、クロロホルムでリンスして窒素気流で乾燥、接触角測定とXPS測定を行った。
【実施例】
【0124】
光分解反応
超高圧水銀灯を起動し、光量が安定するまで30分暖気した後、照度計で25mW/cmの位置に調製した基板を固定し、90秒間光照射を行った。光照射後、基板をエタノールとクロロホルムでリンスし窒素気流で乾燥してから接触角,XPS測定を行った。
【実施例】
【0125】
測定結果を表1に、XPS(N1s)の重ね書き(表面処理後(modified)、照射後(irradiatied))を図2に示す。なお、表1中、矢印の左側の数値が、光照射前の基板の表面についての数値であり、矢印の右側の数値が、光照射後の基板の表面についての数値である。
【実施例】
【0126】
【表1】
JP0006727643B2_000034t.gif
【実施例】
【0127】
表1及び図2の結果より、3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)アミノ)プロピル)ホスホン酸による表面修飾と、光照射による光分解性基の光分解反応が生じたことが確認された。
【実施例】
【0128】
[カルボン酸塩系蛍光試薬によるパターニング]
前述と同じ操作により調製したSAMを使用して、カルボン酸塩系蛍光試薬によるパターニングを行った。まず、超高圧水銀灯を起動し、光量が安定するまで30分暖気した後、照度計で25mW/cmの位置に調製した基板をフォトマスク(線幅20μm)を介して固定し、90秒間光照射を行った。光照射後、基板をクロロホルムでリンスし窒素気流で乾燥させた。続いて、基板を1M HCl溶液に1分間浸漬、純水で洗浄、蛍光試薬FluoSoheres carboxylate,0.5μm,yellowgreen(1drop/10mL water)に50分間浸漬、純水で洗浄、窒素気流で乾燥の順で処理を行い、蛍光顕微鏡で観察した。
【実施例】
【0129】
[観察結果]
蛍光顕微鏡で観察した結果を図3に示す。図3中、(a)は、フォトマスクの画像を示し、(b)は、表面修飾後の基板表面に対してフォトマスクで固定した状態で光照射を行い、次いで蛍光試薬による処理を行った後の基板表面を、蛍光顕微鏡で観察した画像を示す。
【実施例】
【0130】
図3の結果から、露光した部分のみに蛍光試薬がのっていることにより、露光部分がアミンになっていることが確認出来た。この結果より、表面修飾が正常に行われたことが確認された。
【実施例】
【0131】
<合成例2>
[3-(ジエトキシホスホリル)プロパン酸の合成] 100 mLナスフラスコにエチル 3-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート((式18-a)で表される化合物、分子量:238.22)2.89g(12.1mmol,1.0eq.)をいれHO20mLに溶かした。さらに0.74M KOHaq.(0.830g,14.8mmol,1.2eq.)をHO20mLで調製し、加えた後に室温で3時間攪拌した。2N HClでpH=1にし、CHClで(100mL×3回)で抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い透明粘体の式(3-4-a)で表される化合物(3-(ジエトキシホスホリル)プロパン酸、分子量:210.17)を得た。収量は2.12g(10.1mmol)、収率は83%であった。式(3-4-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。なお、式中、「Et」は、エチル基を意味する。
1H-NMR(CDCl3/TMS,400MHz)
δ=1.33(6H,t,J=7.2Hz)
=2.10(2H,m)
=2.65(2H,m)
=4.11(4H,m)

【実施例】
【0132】
【化33】
JP0006727643B2_000035t.gif
【実施例】
【0133】
[1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル 3-(ジエトキシホスホリル)プロパノエートの合成]
窒素雰囲気下、30ml二口ナスフラスコにEDC・HCl228mg(1.19mmol,1.5eq.)を入れ、ドライ-THF8mLで溶かし、氷浴で10分攪拌した。その後、式(4-b)で表される化合物(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロパン-1-オル、分子量:255.27)199mg(0.780mmol,1.0eq.)、式(3-4-a)で表される化合物(3-(ジエトキシホスホリル)プロパン酸、分子量:210.17)348mg(1.66mmol,2.1eq.)をドライ-THF4mLに溶かし滴下し、さらにDMAP114mg(0.933mmol,1.2eq.)を入れた。10分攪拌後、氷浴をはずし室温で17時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、酢酸エチル(10mL×4回)、HO12mL、2N HCl4mLを加え酸性にして抽出、5%NaHCO(10mL×2回)で洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥、ろ過、濃縮をした。カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1,半径2.15cm,高さ15cm)で単離精製、濃縮、真空乾燥し黄色粘体の式(5-2-a)で表される化合物(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル 3-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート、分子量:447.42)を得た。収量は341mg(0.762mmol)、収率は97%であった。式(5-2-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。なお、式中、「Pr」は、イソプロピル基を意味する。
Rf値(クロロホルム:メタノール=9:1)(12モリブド(IV)リン酸n水和物)
目的物(式(5-2-a)で表される化合物):0.45
原料(式(3-4-a)で表される化合物(3-(ジエトキシホスホリル)プロパン酸)):0.17
1H-NMR(methanol-D4/TMS,400MHz)
δ=1.01(6H,d,J=7.0Hz)
=1.24(6H,m)
=2.10(2H,m)
=2.24(1H,m)
=2.64(2H,m)
=3.89(3H,s)
=3.94(3H,s)
=4.02(4H,m)
=6.22(1H,d,J=6.8Hz)
=7.03(1H,s)
=7.60(1H,s)
【実施例】
【0134】
【化34】
JP0006727643B2_000036t.gif
【実施例】
【0135】
[(3-(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)-3-オキソプロピル)ホスホン酸の合成]
10mLすり付き試験管に式(5-2-a)で表される化合物(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル 3-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート、分子量:447.42)113mg(0.253mmol,1.0eq.)を入れ,ドライ-アセトニトリル1mLを入れ、ブロモトリメチルシラン0.10mL(0.758mmol,3eq.)を添加し、窒素雰囲気下室温で19時間撹拌した。濃縮後、メタノール1mLを入れ、室温で2時間撹拌した。濃縮、真空乾燥し、黄色オイルの式(1-b)で表される化合物((3-(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)-3-オキソプロピル)ホスホン酸、分子量:391.31)を得た。収量は102mg(0.261mmol)、収率は約100%であった。式(1-b)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
Rf値(クロロホルム:メタノール=9:1)
目的物(式(1-b)で表される化合物):0.00
原料(式(5-2-a)で表される化合物) 0.65
1H-NMR(methanol-D4/TMS,400MHz)
δ=0.96(3H,d,J=7.0Hz)
=1.05(3H,d,J=6.8Hz)
=1.92-2.06(2H,m)
=2.18-2.30(1H,m)
=2.55-2.75(2H,m)
=3.89(3H,s)
=3.94(3H,s)
=6.23(1H,d,J=6.5Hz)
=7.02(1H,s)
=7.60(1H,s)

【実施例】
【0136】
【化35】
JP0006727643B2_000037t.gif
【実施例】
【0137】
<合成例3>
[ジエチル(3-ブロモプロピル)ホスホネートの合成]
200mLナスフラスコに式(22)で表される化合物(1,3-ジブロモプロパン、分子量:201.89)30.0g(149mmol,5.0eq.)、式(1-1)で表される化合物(トリエチルホスファイト、分子量:166.16)5.03g(31.4mmol,1.0eq.)を加えて、3時間還流を行った。その後、減圧留去を行い、透明粘体の式(23)で表される化合物(ジエチル(3-ブロモプロピル)ホスホネート、分子量:259.08)を得た。収量は6.44g(24.9mmol)、収率は79%であった。式(23)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(CDCl3/TMS,400MHz)
δ=1.34(6H,m)
=1.90(2H,m)
=2.16(2H,m)
=3.48(2H,t,J=5.6)
=4.10(4H,m)

【実施例】
【0138】
【化36】
JP0006727643B2_000038t.gif
【実施例】
【0139】
[S-(3-(ジエトキシホスホリル)プロピル)エタンチオエートの合成]
100mLナスフラスコに式(23)で表される化合物(ジエチル(3-ブロモプロピル)ホスホネート、分子量:259.08)3.00g(11.7mmol,1.0eq.)、ジクロロメタン24mL、トリエチルアミン1.29g(12.7mmol,1.1eq.)、に式(24)で表される化合物(チオ酢酸、分子量:76.11)0.981g(12.9mmol,1.1eq.)を加えて、室温で3時間撹拌した。ジエチルエーテル25mLを加えて、生じた沈殿を吸引ろ過を行い除去し、ろ液を濃縮した。この操作をもう一度行った後、真空乾燥を行った。1H-NMRで反応の進行を確認した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:3 then 酢酸エチルonly,直径:5cm,高さ:20cm)、濃縮、真空乾燥を行い、黄色粘体の式(25)で表される化合物(S-(3-(ジエトキシホスホリル)プロピル)エタンチオエート、分子量:254.28)を得た。収量は2.45g(8.81mmol)、収率は75%であった。式(25)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
Rf値=0.17(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)
1H-NMR(CDCl3/TMS,400MHz)
δ=1.32(6H,t,J=7.1)
=1.76-1.96(4H,m)
=2.34(3H,s)
=3.48(2H,t,J=7.1)
=4.10(4H,m)

【実施例】
【0140】
【化37】
JP0006727643B2_000039t.gif
【実施例】
【0141】
[ジエチル(3-メルカプトプロピル)ホスホネートの合成]
100mLナスフラスコに式(25)で表される化合物(S-(3-(ジエトキシホスホリル)プロピル)エタンチオエート、分子量:254.28)1.96g(7.71mmol)のTHF溶液20mL、とNaOHmg(12.7mmol)の水溶液20mLを加え、室温で3時間撹拌した。2N HCl7mLを加え、減圧下THFを留去したのち、水相からクロロホルム(20mL,10mL,10mL)で抽出し、有機相をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧か濃縮した。残渣を減圧蒸留し、目的物(bp=93-98℃/0.1mmHg)である式(3-2-a)で表される化合物(ジエチル(3-メルカプトプロピル)ホスホネート、分子量:212.24)を得た。収量は1.07g(5.05mmol)、収率は65%であった。式(3-2-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(CDCl3/TMS,400MHz)
δ=1.32(6H,t,J=7.1)
=1.36(1H,t,J=8.1)
=1.82-1.95(4H,m)
=2.62(2H,m)
=4.10(4H,m)

31P-NMR-decoupling(CDCl3/H3PO4,160MHz)
δ=31.4
【実施例】
【0142】
【化38】
JP0006727643B2_000040t.gif
【実施例】
【0143】
[ジエチル(3-((2-ニトロベンジル)チオ)プロピル)ホスホネートの合成]
50mLナスフラスコに式(3-2-a)で表される化合物(ジエチル(3-メルカプトプロピル)ホスホネート、分子量:212.24)1.024g(4.83mmol)、式(4’a)で表される化合物(2-ニトロベンジルブロミド)1.035g(4.80mmol),セシウムカルボネート1.67g(5.76mmol),ドライ・アセトニトリル20mLを加え、60℃で15時間撹拌した。沈殿をろ過し、アセトニトリルで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて減圧下濃縮した。これをシリカゲルカラム(50g)で分離し(溶出液:酢酸エチル)、目的物である式(5-7-a)で表される化合物(ジエチル(3-((2-ニトロベンジル)チオ)プロピル)ホスホネート、分子量:347.37)を得た。収量は0.829g(2.39mmol)、収率は49%であった。式(5-7-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
Rf値=0.2(酢酸エチル)
1H-NMR(CDCl3/TMS,400MHz)
δ=1.31(6H,td,J=7.1、1.6Hz)
=1.75-1.92 (4H,m)
=2.53(2H,t,J=6.2Hz)
=4.00-4.15(6H,m)
=7.42(1H,t,J=7.8Hz)
=7.47(1H,d,J=7.8Hz)
=7.56(1H,t,J=7.6Hz)
=7.96(1H,d,J=8.1Hz)

【実施例】
【0144】
【化39】
JP0006727643B2_000041t.gif
【実施例】
【0145】
[(3-((2-ニトロベンジル)チオ)プロピル)ホスホン酸の合成]
30mLナスフラスコに式(5-7-a)で表される化合物(ジエチル(3-((2-ニトロベンジル)チオ)プロピル)ホスホネート、分子量:347.37)114mg(0.329mmol)をとり、窒素下でドライCHCl5mLを加え、さらにブロモチリメチルシラン0.20mL(1.6mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌した。減圧下ブロモトリメチルシランと溶媒を留去した後、メタノール10mLを加え、さらに室温で18時間撹拌した後、減圧下メタノールを留去し、粘性の液体として、式(1-c)で表される化合物((3-((2-ニトロベンジル)チオ)プロピル)ホスホン酸、分子量:291.26)を得た。収量は0.101g(0.347mmol)、収率は約100%であった。式(1-c)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(CD3OD/TMS,400MHz)
δ=1.72-1.88 (4H,m)
=2.53(2H,t,J=6.6Hz)
=4.07(2H,s)
=7.47(1H,t,J=7.7Hz)
=7.52(1H,d,J=7.6Hz)
=7.61(1H,t,J=7.4Hz)
=7.95(1H,d,J=8.0Hz)

【実施例】
【0146】
【化40】
JP0006727643B2_000042t.gif
【実施例】
【0147】
<合成例4>
[2-(3-ブロモプロポキシ)テトラヒドロ-2H-ピランの合成]
300mL二口ナスフラスコに式(9-3-a)で表される化合物(3-ブロモ-1-プロパノール、分子量:138.99)6.089g(43.8mmol,1.0eq.)、ジクロロメタン(Super Dehydrated)250mL、ジヒドロピラン(DHP)4.464g(53.1mmol,1.22eq.)、ピリジニウムp-トルエンスルフォネート2.20g(8.75mmol,0.20eq.)を加え、室温、窒素下で18時間攪拌した。攪拌終了後、濃縮、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により目的物のみ単離した。その後、濃縮、真空乾燥により溶媒を取り除き、無色のオイル状体の式(15-a)で表される化合物(2-(3-ブロモプロポキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン、分子量:222.11)6.555gを得た。収量は6.555g(25.2mmol)、収率は67%であった。式(15-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(400MHz,Chloroform-D,TMS)
δ=1.50~1.63 (4H,m)
=1.69~1.85 (2H,m)
=2.10~2.67 (2H,q)
=3.49~3.55 (4H,m)
=3.84~3.90 (2H,m)
=4.60~4.61 (1H,t)
【実施例】
【0148】
【化41】
JP0006727643B2_000043t.gif
【実施例】
【0149】
[ジエチル3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロピルホスホネートの合成]
100mLナスフラスコに式(15-a)で表される化合物(2-(3-ブロモプロポキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン、分子量:222.11)6.487g(29.2mmol,1.0eq.)、トリエチルホスファイト62.843g(376.7mmol,12.9eq.)を加え、約165℃のオイルバスで4時間還流した。その後、過剰なトリエチルホスファイトを減圧留去(100℃)により取り除き、無色のオイル状の目的物の式(16-a)で表される化合物(ジエチル3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロピルホスホネート、分子量:280.30)7.53g(26.9mmol)を得た。収量は7.53g(26.9mmol)、収率は92%であった。式(16-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(400MHz,Chloroform-D,TMS)
δ=1.31~1.35 (6H,t)
=1.51~1.60 (4H,m)
=1.68~1.92 (6H,m)
=3.41~3.52 (2H,m)
=3.74~3.86 (2H,m)
=4.05~4.15 (4H,m)
=4.58~4.59 (1H,t)
【実施例】
【0150】
【化42】
JP0006727643B2_000044t.gif
【実施例】
【0151】
[ジエチル(3-ヒドロキシプロピル)ホスホネートの合成]
500mLナスフラスコに式(16-a)で表される化合物(ジエチル 3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)プロピルホスホネート、分子量:280.30)2.038g(1.45mmol,1.0eq.)、ピリジニウム p-トルエンスルフォネート(PPTS)0.186g(0.14mmol,0.1eq.)、エタノール500mLを加え、約100℃のオイルバスで3時間還流した。その後濃縮、真空乾燥により過剰なエタノールを取り除き、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)により目的物のみ単離した。無色のオイル状の目的物の式(3-3-a)で表される化合物(ジエチル(3-ヒドロキシプロピル)ホスホネート、分子量:196.18)1.34g(6.83mmol)得た。収量は1.34g(6.83mmol)、収率は93%であった。式(3-3-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(400MHz,Chloroform-D,TMS)
δ=1.32~1.35 (6H,t)
=1.81~1.91 (4H,m)
=2.74~2.77 (1H,t)
=3.69~3.73 (2H,m)
=4.06~4.16 (4H,m)
【実施例】
【0152】
【化43】
JP0006727643B2_000045t.gif
【実施例】
【0153】
[3-(ジエトキシホスホリル)プロピル(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル)カルボネートの合成]
100mL二口ナスフラスコに、上述の合成例1における式(4-a)で表される化合物(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル N-スクシニミジル カ—ボナート、分子量:396.35)0.301g(0.76mmol,、1.0eq.)、ドライ-THF30mL、式(3-3-a)で表される化合物(ジエチル(3-ヒドロキシプロピル)ホスホネート)0.307g(1.57mmol、2.0eq.)、DMAP0.187g(1.53mmol、2.0eq.)を加え、室温、窒素下で約4日間撹拌した。濃縮後カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により目的物の単離を行った。その後、濃縮、真空乾燥を行い、黄褐色の粘体として、式(5-5-a)で表される化合物(3-(ジエトキシホスホリル)プロピル(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル)カルボネート、分子量:477.45)0.210g(0.44mmol)を得た。収量は0.210g(0.44mmol)、収率は57%であった。式(5-5-a)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(400MHz,Chloroform-D,TMS)
δ=0.99(3H,d,J=6.8Hz)
=1.05(3H,d,J=6.7Hz)
=1.31(6H,td,J=7.0,0.8Hz)
=1.71~1.82(2H,m)
=1.89~2.00(2H,m)
=2.15~2.25(1H,m)
=3.95(3H,s)
=3.97(3H,s)
=4.03~4.19(6H,m)
=6.22(1H,d,J=6.2Hz)
=6.95(1H,s)
=7.60(1H,s)

【実施例】
【0154】
【化44】
JP0006727643B2_000046t.gif
【実施例】
【0155】
[(3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)オキシ)プロピル)ホスホン酸の合成]
50mLナスフラスコに式(5-5-a)で表される化合物(3-(ジエトキシホスホリル)プロピル(1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロピル)カルボネート、分子量:477.45)168mg(0.367mmol)をとり、窒素下でドライCHCNmLを加え、さらにブロモトリメチルシラン0.20mL(1.6mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。減圧下ブロモトリメチルシランと溶媒を留去した後、メタノール5mLを加え、さらに室温で4時間撹拌した後、減圧下メタノールを留去し、粘性の液体として、式(1-d)で表される化合物(3-(((1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)-2-メチルプロポキシ)カルボニル)オキシ)プロピル)ホスホン酸、分子量:421.34)を得た。収量は164mg(0.390mmol)、収率は約100%であった。式(1-d)で表される化合物の物性及びこの反応スキームを以下に示す。
1H-NMR(400MHz,CD3OD,TMS)
δ=0.97(3H,d,J=7.0Hz)
=1.05(3H,d,J=6.7Hz)
=1.66~1.78 (2H,m)
=1.84~1.97 (2H,m)
=2.18~2.28 (1H,m)
=3.91(3H,s)
=3.93(3H,s)
=4.14(2H,td,J=6.4,1.9Hz)
=6.11(1H,d,J=6.4Hz)
=7.03(1H,s)
=7.63(1H,s)

【実施例】
【0156】
【化45】
JP0006727643B2_000047t.gif
【符号の説明】
【0157】
1 処理対象物の表面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2