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明細書 :森林資源情報算定方法及び森林資源情報算定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-084472 (P2018-084472A)
公開日 平成30年5月31日(2018.5.31)
発明の名称または考案の名称 森林資源情報算定方法及び森林資源情報算定装置
国際特許分類 G01C  15/00        (2006.01)
G01C   7/04        (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
G06T   5/00        (2006.01)
FI G01C 15/00 103A
G01C 7/04
G06T 1/00 285
G06T 5/00 705
請求項の数または発明の数 26
出願形態 OL
全頁数 30
出願番号 特願2016-227207 (P2016-227207)
出願日 平成28年11月22日(2016.11.22)
発明者または考案者 【氏名】加藤 正人
【氏名】トウ ソウキュウ
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100104709、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 誠剛
審査請求 未請求
テーマコード 5B057
Fターム 5B057AA13
5B057AA14
5B057AA15
5B057CE02
5B057CE05
5B057CE06
5B057CE08
5B057DA08
5B057DA16
5B057DC19
5B057DC32
要約 【課題】各樹木に対応する樹冠を高精度に抽出することによって、森林資源情報を高精度に算定できる森林資源情報算定方法を提供する。
【解決手段】レーザー計測データと地理的情報とに基づいて作成された調査対象森林域画像データに基づいて樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理(ステップS30)と、樹冠高画像データに含まれるノイズ除去処理を施す樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)と調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の抽出が可能な精密樹冠画像データを、ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて作成する精密樹冠画像データ作成処理(ステップS50)と、精密樹冠画像データから各樹木に対応する樹冠に関する樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理(ステップS60)と、精密樹冠情報に基づいて調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理(ステップS70)とを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定方法であって、
前記レーザー計測データと地理的情報とに基づいて、調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理ステップと、
前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理ステップと、
前記樹冠高画像データに含まれるノイズを除去するためのノイズ処理を施してノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データノイズ処理ステップと、
前記調査対象森林域に存在する植生のうち調査対象となる調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の抽出が可能な精密樹冠画像データを、前記ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて作成する精密樹冠画像データ作成処理ステップと、
前記精密樹冠画像データから前記各樹木に対応する樹冠に関する樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理ステップと、
前記精密樹冠情報に基づいて前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理ステップと、
を有し、
前記樹冠高画像データに含まれるノイズには、前記レーザー計測データに含まれるレーザー計測ノイズ、前記調査対象樹木よりも下層に存在している下層植生と、前記レーザー光が前記樹冠を透過して地表に達することによって生じた樹冠透過パルスと、前記樹冠から局部的に突出している徒長枝葉及び樹冠輪郭不明瞭部と、が含まれており、
前記樹冠高画像データノイズ処理ステップは、前記樹冠高画像データがメッシュ化された各メッシュのメッシュデータを用い前記ノイズ処理を行い、当該樹冠高画像データノイズ処理ステップには、
前記レーザー計測ノイズを除去するレーザー計測ノイズ処理ステップと、
前記樹冠高画像データから前記下層植生を除去した下層植生処理画像データを作成する下層植生処理ステップと、
前記下層植生処理画像データに対し、前記各樹木の平均的な樹冠直径に基づいて設定されている平均化フィルターを用いて前記各樹木の樹冠高の平均化処理を行うことにより平均化処理画像データを作成する平均化処理ステップと、
前記平均化処理画像データと前記下層植生処理画像データとの差分をとる差分処理ステップと、
前記差分処理ステップにより得られた差分の結果に基づいて、前記樹冠透過パルスを除去した樹冠透過パルス処理画像データを作成する樹冠透過パルス処理ステップと、
前記差分処理ステップにより得られた差分の結果に基づいて、前記徒長枝葉を除去するとともに前記樹冠輪郭不明瞭部を改善した樹冠輪郭処理画像データを作成する樹冠輪郭処理ステップと、
が含まれていることを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の森林資源情報算定方法において、
前記樹冠高画像データ作成処理ステップは、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータを作成し、各メッシュにおいて前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、前記樹冠高画像データを作成することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の森林資源情報算定方法において、
前記下層植生処理ステップは、前記下層植生の樹冠高のうちの最大樹冠高を入力して、当該最大樹冠高以下の樹冠高を有するメッシュの画素値をゼロとすることを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の森林資源情報算定方法において、
前記平均化処理ステップは、前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに前記平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の森林資源情報算定方法において、
前記差分処理ステップは、前記平均化処理画像データから下層植生処理画像データを差し引くことによって前記平均化処理画像データと下層植生処理画像データとの差分値を求める差分処理を各メッシュにおいて行うことを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の森林資源情報算定方法において、
前記樹冠透過パルス処理ステップは、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値を横軸とし、当該差分値に対応するメッシュの数を縦軸とし、前記差分値がゼロ(0)を平均値として作成されたヒストグラムを用い、当該ヒストグラムにおいて、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値をDとし、前記平均値よりもプラス側の標準偏差をSDとし、前記平均値よりもマイナス側の標準偏差を-SDとし、現時点で処理対象とするメッシュを処理対象メッシュとしたとき、
当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとし、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≦SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠透過パルス処理画像データを生成することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の森林資源情報算定方法において、
前記樹冠輪郭処理ステップは、前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを平滑化処理して平滑化処理画像を作成し、
前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≧-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠輪郭処理画像データを生成することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の森林資源情報算定方法において、
前記精密樹冠画像データ作成処理ステップは、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して前記精密樹冠画像データを作成することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の森林資源情報算定方法において、
前記精密樹冠情報作成処理ステップは、前記精密樹冠画像データを用いて、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積を前記精密樹冠情報として算定することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項10】
請求項9に記載の森林資源情報算定方法において、
前記森林資源情報算定処理ステップは、
前記各樹木の樹高を算定する樹高算定処理ステップと、
前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理ステップと、
前記各樹木の材積を算定する材積算定処理ステップと、
前記各樹木の樹高、前記各樹木の胸高直径及び前記各樹木の材積と前記精密樹冠情報作成処理ステップで算定された前記精密樹冠情報とを集計する処理を行う森林資源情報集計処理ステップと、
を有することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項11】
請求項10に記載の森林資源情報算定方法において、
前記各樹木の樹高は、前記樹冠高画像データ作成ステップによって求められた樹冠高のうち、各樹冠内において最大の樹冠高を当該樹冠における樹高とすることを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の森林資源情報算定方法において、
前記各樹木の胸高直径は、前記当該樹木の樹冠面積及び前記樹冠直径の少なくとも一方と、当該樹木の樹高とから重回帰式で算定することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれかに記載の森林資源情報算定方法において、
前記森林資源情報算定処理ステップにおける前記森林資源情報集計処理ステップは、
前記調査対象樹木の本数、前記各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、前記各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値と、前記各樹木に対して算定された樹高の平均値、前記各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された材積の平均値、前記各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定する処理をさらに有するとともに、前記調査対象樹木の単位面積当たりの本数及び材積を算定する処理をさらに有することを特徴とする森林資源情報算定方法。
【請求項14】
上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定装置であって、
前記レーザー計測データと地理的情報とに基づいて、調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理部と、
前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理部と、
前記樹冠高画像データに含まれるノイズを除去するためのノイズ処理を施してノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データノイズ処理部と、
前記調査対象森林域に存在する植生のうち調査対象となる調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の抽出が可能な精密樹冠画像データを、前記ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて作成する精密樹冠画像データ作成処理部と、
前記精密樹冠画像データから前記各樹木に対応する樹冠に関する樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理部と、
前記精密樹冠情報に基づいて前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理部と、
を有し、
前記樹冠高画像データに含まれるノイズには、前記レーザー計測データに含まれるレーザー計測ノイズ、前記調査対象樹木よりも下層に存在している下層植生と、前記レーザー光が前記樹冠を透過して地表に達することによって生じた樹冠透過パルスと、前記樹冠から局部的に突出している徒長枝葉及び樹冠輪郭不明瞭部と、が含まれており、
前記樹冠高画像データノイズ処理部は、前記樹冠高画像データがメッシュ化された各メッシュのメッシュデータを用い前記ノイズ処理を行い、当該樹冠高画像データノイズ処理部には、
前記レーザー計測ノイズを除去するレーザー計測ノイズ処理部と、
前記樹冠高画像データから前記下層植生を除去した下層植生処理画像データを作成する下層植生処理部と、
前記下層植生処理画像データに対し、前記各樹木の平均的な樹冠直径に基づいて設定されている平均化フィルターを用いて前記各樹木の樹冠高の平均化処理を行うことにより平均化処理画像データを作成する平均化処理部と、
前記平均化処理画像データと前記下層植生処理画像データとの差分をとる差分処理部と、
前記差分処理部により得られた差分の結果に基づいて、前記樹冠透過パルスを除去した樹冠透過パルス処理画像データを作成する樹冠透過パルス処理部と、
前記差分処理部により得られた差分の結果に基づいて、前記徒長枝葉を除去するとともに前記樹冠輪郭不明瞭部を改善した樹冠輪郭処理画像データを作成する樹冠輪郭処理部と、
が含まれていることを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項15】
請求項14記載の森林資源情報算定装置において、
前記樹冠高画像データ作成処理部は、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータを作成し、各メッシュにおいて前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、前記樹冠高画像データを作成することを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項16】
請求項14に記載の森林資源情報算定装置において、
前記下層植生処理部は、前記下層植生の樹冠高のうちの最大樹冠高を入力して、当該最大樹冠高以下の樹冠高を有するメッシュの画素値をゼロとすることを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項17】
請求項16に記載の森林資源情報算定装置において、
前記平均化処理部は、前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに前記平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項18】
請求項17に記載の森林資源情報算定装置において、
前記差分処理装置は、前記平均化処理画像データから下層植生処理画像データを差し引くことによって前記平均化処理画像データと下層植生処理画像データとの差分値を求める差分処理を各メッシュにおいて行うことを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項19】
請求項18に記載の森林資源情報算定装置において、
前記樹冠透過パルス処理部は、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値を横軸とし、当該差分値に対応するメッシュの数を縦軸とし、前記差分値がゼロ(0)を平均値として作成されたヒストグラムを用い、当該ヒストグラムにおいて、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値をDとし、前記平均値よりもプラス側の標準偏差をSDとし、前記平均値よりもマイナス側の標準偏差を-SDとし、現時点で処理対象とするメッシュを処理対象メッシュとしたとき、
当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとし、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≦SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠透過パルス処理画像データを生成することを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項20】
請求項19に記載の森林資源情報算定装置において、
前記樹冠輪郭処理部は、前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを平滑化処理して平滑化処理画像を作成し、
前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≧-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠輪郭処理画像データを生成することを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項21】
請求項20に記載の森林資源情報算定装置において、
前記精密樹冠画像データ作成部は、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して前記精密樹冠画像データを作成することを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項22】
請求項21に記載の森林資源情報算定装置において、
前記精密樹冠情報作成部は、前記精密樹冠画像データを用いて、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積を前記精密樹冠情報として算定することを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項23】
請求項22に記載の森林資源情報算定装置において、
前記森林資源情報算定部は、
前記各樹木の樹高を算定する樹高算定処理部と、
前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理部と、
前記各樹木の材積を算定する材積算定処理部と、
前記各樹木の樹高、前記各樹木の胸高直径及び前記各樹木の材積と前記精密樹冠情報作成処理部で算定された前記精密樹冠情報とを集計する処理を行う森林資源情報集計処理部と、
を有することを特徴とする
森林資源情報算定装置。
【請求項24】
請求項23に記載の森林資源情報算定装置において、
前記各樹木の樹高は、前記樹冠高画像データ作成部によって求められた樹冠高のうち、各樹冠内において最大の樹冠高を当該樹冠における樹高とすることを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の森林資源情報算定装置において、
前記各樹木の胸高直径は、前記当該樹木の樹冠面積及び前記樹冠直径の少なくとも一方と、当該樹木の樹高とから重回帰式で算定することを特徴とする森林資源情報算定装置。
【請求項26】
請求項23~25のいずれかに記載の森林資源情報算定装置において、
前記森林資源情報算定処理部における前記森林資源情報集計処理部は、
前記調査対象樹木の本数、前記各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、前記各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値と、前記各樹木に対して算定された樹高の平均値、前記各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された材積の平均値、前記各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定する処理をさらに有するとともに、前記調査対象樹木の単位面積当たりの本数及び材積を算定する処理をさらに行うことを特徴とする森林資源情報算定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、森林資源情報算定方法及び森林資源情報算定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
森林資源に関する情報(森林資源情報という。)は、森林管理において重要な基礎情報である。森林資源情報は、従来においては、地上調査によって、調査員が標準的な森林と思われる箇所に小面積の調査地を設定して、当該調査地における樹木の位置、胸高直径、樹高を測定し、その結果に管理面積を乗ずることで、全体の森林資源情報を推定する方法が広く行われている。
【0003】
しかしながら、森林は一様でないため、小面積の測定結果に管理面積を乗ずる方法では精度の点で問題がある。森林資源情報の推定精度を上げるためには、現地調査箇所の数を増やすことが考えられるが、現地調査箇所の数を増やすと、多大な労力と費用を要する。
【0004】
一方、近年、上空から調査対象となる森林域にレーザー光を照射することよって得られたレーザー計測データ(3次元の点群データ)に基づいて樹木(単木)単位で森林資源情報を算定することも行われる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第4946072号公報
【特許文献2】特許第4279894号公報
【特許文献3】特許第5507418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2は、レーザー計測データに基づいて樹木の頂点(樹木頂点という。)を抽出するものであり、特許文献3はレーザー計測データに基づいて樹木の位置(樹木位置という。)を抽出するものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に記載されている発明は、いずれも、調査対象となる森林域(調査対象森林域という。)において、調査対象となる樹木(調査対象樹木という。)の各樹木(単木)に対応する樹冠を高精度に抽出していない。
【0008】
このため、上記特許文献1及び2に記載された発明を用いて樹木頂点を抽出しようとすると、樹木頂点が過剰抽出されてしまう場合があり、各樹木の樹木頂点を正しく抽出できないこととなる。また、特許文献3に記載された発明を用いて樹木位置を抽出しようとすると、特許文献1及び2に記載された発明と同様に、樹木頂点が過剰抽出されてしまう場合があるため、樹木位置を正しく抽出できないこととなる。これは特許文献1~3に記載されている発明においては、上記したように、各樹木に対応する樹冠を高精度に抽出していないためであり、1つの樹冠の中に、複数の樹木頂点が存在してしまうことによるものである。なお、この明細書において、「樹冠」とは森林を構成する各樹木を上部から見たときに各樹木の枝と葉で構成された部分をいう。
【0009】
さらに、森林資源情報の1つとして各樹木の材積を求める場合、各樹木の胸高直径と樹高の2変数材積式から求めるのが一般的であるが、特許文献1~3に記載されている発明においては、上記したように樹木頂点が過剰抽出されてしまう場合があるため、各樹木の樹高を高精度に求めることができず、また、特許文献1~3に記載されている発明においては、胸高直径は求めてはいない。このため、仮に、各樹木の樹高が求められたとしても、樹高のみで材積を求めた場合には、林分の立木本数や樹冠疎密度の違いから、樹高が同じでも胸高直径の異なる樹木が多く存在するため、材積を高精度に求めることができない。
【0010】
このように、上記特許文献1~3においては、各樹木の樹冠を高精度に抽出していないため、各樹木の樹高、胸高直径及びこれら樹高と胸高直径とから得られる材積などの森林資源情報を高精度に算定できないといった問題がある。
【0011】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠を高精度に抽出することによって、森林資源情報を高精度に算定できる森林資源情報算定方法及び森林資源算情報定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]本発明の森林資源情報算定方法は、上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定方法であって、前記レーザー計測データと地理的情報とに基づいて、調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理ステップと、前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理ステップと、前記樹冠高画像データに含まれるノイズを除去するためのノイズ処理を施してノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データノイズ処理ステップと、前記調査対象森林域に存在する植生のうち調査対象となる調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の抽出が可能な精密樹冠画像データを、前記ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて作成する精密樹冠画像データ作成処理ステップと、前記精密樹冠画像データから前記各樹木に対応する樹冠に関する樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理ステップと、前記精密樹冠情報に基づいて前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理ステップと、を有し、前記樹冠高画像データに含まれるノイズには、前記レーザー計測データに含まれるレーザー計測ノイズ、前記調査対象樹木よりも下層に存在している下層植生と、前記レーザー光が前記樹冠を透過して地表に達することによって生じた樹冠透過パルスと、前記樹冠から局部的に突出している徒長枝葉及び樹冠輪郭不明瞭部と、が含まれており、前記樹冠高画像データノイズ処理ステップは、前記樹冠高画像データがメッシュ化された各メッシュのメッシュデータを用い前記ノイズ処理を行い、当該樹冠高画像データノイズ処理ステップには、前記レーザー計測ノイズを除去するレーザー計測ノイズ処理ステップと、前記樹冠高画像データから前記下層植生を除去した下層植生処理画像データを作成する下層植生処理ステップと、前記下層植生処理画像データに対し、前記各樹木の平均的な樹冠直径に基づいて設定されている平均化フィルターを用いて前記各樹木の樹冠高の平均化処理を行うことにより平均化処理画像データを作成する平均化処理ステップと、前記平均化処理画像データと前記下層植生処理画像データとの差分をとる差分処理ステップと、前記差分処理ステップにより得られた差分の結果に基づいて、前記樹冠透過パルスを除去した樹冠透過パルス処理画像データを作成する樹冠透過パルス処理ステップと、前記差分処理ステップにより得られた差分の結果に基づいて、前記徒長枝葉を除去するとともに前記樹冠輪郭不明瞭部を改善した樹冠輪郭処理画像データを作成する樹冠輪郭処理ステップと、が含まれていることを特徴とする。
【0013】
このように、本発明の森林資源情報算定方法においては、上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて調査対象森林域画像データを作成し、当該調査対象森林域画像データに基づいて樹冠高画像データを作成して、当該樹冠高画像データからノイズを除去するためのノイズ処理を施すことによって、ノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成し、当該ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて精密樹冠画像データを作成する。このようにして作成された精密樹冠画像データは、調査対象樹木の各樹木に対応した各樹冠を高精度に抽出可能な精密樹冠画像データとなる。このため、当該精密樹冠画像データに基づいて作成した精密樹冠情報は、調査対象樹木の各樹木に対応した高精度な樹冠情報となり、当該精密樹冠情報に基づいて、森林資源に関する情報(森林資源情報)を算定することにより、高精度な森林資源情報を得ることができる(例えば、図18~図20参照。)。これにより、計測誤差が少なく客観性の高い高精度な森林資源情報を調査対象森林域の全域、小班ごと、任意の範囲において提供できることから、間伐などの森林施業立案などの森林管理に活用できる。
【0014】
[2]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータを作成し、各メッシュにおいて前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、前記樹冠高画像データを作成することが好ましい。
【0015】
これにより、樹冠高を高精度に算定することができる。なお、この場合、デジタル表層モデルデータというのは、樹木などの表層の標高を表すデータを指し、デジタル標高モデルデータというのは、地表の標高を表すデータを指している。従って、デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって樹冠高(地表からの樹冠の高さ)を求めることができる。
【0016】
[3]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記下層植生処理ステップは、前記下層植生の樹冠高のうちの最大樹冠高を入力して、当該最大樹冠高以下の樹冠高を有するメッシュの画素値をゼロとすることが好ましい。
【0017】
これにより、下層植生をノイズとして確実に除去でき、ディスプレイ上に表示される樹冠高画像においては、下層植生を黒表示することができる。
【0018】
[4]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記平均化処理ステップは、前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに前記平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことが好ましい。
【0019】
このような平均化処理を行うことにより、樹冠透過パルスは、周囲に存在する樹冠などの影響を受けて、より高い樹冠高として認識され、逆に、徒長枝葉は、周囲の地表などの影響を受けて、より低い樹冠高として認識される。このため、元画像データ(この場合、下層植生を除去処理した下層植生処理画像データ)との差分を取ると、差分値が樹冠部分に比べて大きくなるため、樹冠透過パルス及び徒長枝葉の存在を確実に認識することができる。これにより、樹冠透過パルス及び徒長枝葉をノイズとして除去する処理を確実に行うことができる。
【0020】
[5]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記差分処理ステップは、前記平均化処理画像データから下層植生処理画像データを差し引くことによって前記平均化処理画像データと下層植生処理画像データとの差分値を求める差分処理を各メッシュにおいて行うことが好ましい。
【0021】
このように、平均化処理画像データから下層植生処理画像データを差し引いて、平均化処理画像データと下層植生処理画像データ(元画像データ)との差分値を求めることにより、樹冠透過パルスに対応するメッシュにおいて求められる差分値及び徒長枝葉に対応するメッシュにおいて求められる差分値を、樹冠部分のメッシュにおいて求められる差分値に比べてより大きな値として得ることができる。
【0022】
[6]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記樹冠透過パルス処理ステップは、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値を横軸とし、当該差分値に対応するメッシュの数を縦軸とし、前記差分値がゼロ(0)を平均値として作成されたヒストグラムを用い、当該ヒストグラムにおいて、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値をDとし、前記平均値よりもプラス側の標準偏差をSDとし、前記平均値よりもマイナス側の標準偏差を-SDとし、現時点で処理対象とするメッシュを処理対象メッシュとしたとき、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとし、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≦SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠透過パルス処理画像データを生成することが好ましい。
【0023】
このように作成されたヒストグラムを用いて、処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDであるか否かを判断して、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとし、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≦SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、樹冠透過パルス処理画像データを生成することにより、生成された樹冠透過パルス処理画像データにおいては、樹冠透過パルスが除去されたものとなる。
【0024】
[7]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記樹冠輪郭処理ステップは、前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを平滑化処理して平滑化処理画像を作成し、前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≧-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠輪郭処理画像データを生成することが好ましい。
【0025】
この場合も、上記ヒストグラムを用いて、処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、当該処理対象メッシュを平滑化処理し、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≧-SDである場合には、処理対象メッシュに対応する樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして樹冠輪郭処理画像データを生成することにより、生成された樹冠輪郭処理画像データにおいては、徒長枝葉が除去されたものとなるとともに樹冠の輪郭を滑らかなものとなる。
【0026】
[8]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記精密樹冠画像データ作成ステップは、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して前記精密樹冠画像データを作成することが好ましい。
【0027】
これにより、調査対象樹木の各樹木に対応した樹冠を高精度に抽出できる。なお、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して精密樹冠画像データを作成することは、単木樹冠抽出のインディヴィジュアル・ツリー・ディテクション法(Individual tree detection method)を用いて自動抽出することができる。
【0028】
[9]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記精密樹冠情報作成処理ステップは、前記精密樹冠画像データを用いて、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積を前記精密樹冠情報として算定することが好ましい。
【0029】
これにより、調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の情報として、高精度な精密樹冠情報を得ることができ、当該精密樹冠情報に基づいて森林資源に関する情報(森林資源情報)を算定することにより、高精度な森林資源情報を得ることができる。
【0030】
[10]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記各樹木の樹高を算定する樹高算定処理ステップと、前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理ステップと、前記各樹木の材積を算定する材積算定処理ステップと、前記各樹木の樹高、前記各樹木の胸高直径及び前記各樹木の材積と前記精密樹冠情報作成処理ステップで算定された前記精密樹冠情報とを集計する処理を行う森林資源情報集計処理ステップと、を有することが好ましい。
【0031】
このような処理を行うことによって、調査対象樹木の各樹木の樹高、胸高直径、材積を算定することができるとともに、算定された樹高、胸高直径、材積と、精密樹冠情報作成ステップで算定された精密樹冠情報(各樹木に対応する樹冠のラベル番号、各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、各樹木に対応する樹冠の樹冠面積、各樹木に対応する樹冠の樹冠直径など)とを、各樹木の資源情報(単木資源情報という。)として集計することができる。そして、集計した単木資源情報を属性データベースに登録し、当該属性データベースに登録されている単木資源情報を、一覧表としてディスプレイ上に表示することができる。
【0032】
[11]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記各樹木の樹高は、前記樹冠高画像データ作成ステップによって求められた樹冠高のうち、各樹冠内において最大の樹冠高を当該樹冠における樹高とすることが好ましい。
【0033】
これにより、各樹冠に対応した樹高を得ることができ、それによって、調査対象樹木の各樹木の高さ(樹高)を高精度に算定することができる。
【0034】
[12]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記各樹木の胸高直径は、前記当該樹木の樹冠面積及び前記樹冠直径の少なくとも一方と、当該樹木の樹高とから重回帰式で算定することが好ましい。
【0035】
胸高直径は、樹冠面積や樹冠直径、樹高と強い相関がある。このため、樹冠面積及び樹冠直径の少なくとも一方と、樹高とから重回帰式で胸高直径を算定することができる。また、内挿法で未測定木の胸高直径を算定することができる。これによって、調査対象森林域に存在する調査対象樹木すべての胸高直径を算定することができる。なお、重回帰式を求める場合、樹種ごとに現地調査において標準木を10数本程度選び、選んだ標準木の樹冠面積、樹冠直径及び樹高を測定することから重回帰式の変数を求めることが好ましい。
【0036】
[13]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記森林資源情報算定処理ステップにおける前記森林資源情報集計処理ステップは、前記調査対象樹木の本数、前記各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、前記各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値と、前記各樹木に対して算定された樹高の平均値、前記各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された材積の平均値、前記各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定する処理をさらに有するとともに、前記調査対象樹木の単位面積当たりの本数及び材積を算定する処理をさらに有することが好ましい。
【0037】
これによって得られた算定結果を森林資源の概要を示す森林資源概要情報として属性データベースに登録する処理を行い、当該属性データベースに登録されている森林資源概要情報を、一覧表としてディスプレイ上に表示することによって、調査対処森林域の森林資源の概要を把握することができる。
【0038】
[14]本発明の森林資源情報算定装置は、上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定装置であって、前記レーザー計測データと地理的情報とに基づいて、調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理部と、前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理部と、前記樹冠高画像データに含まれるノイズを除去するためのノイズ処理を施してノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データノイズ処理部と、前記調査対象森林域に存在する植生のうち調査対象となる調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の抽出が可能な精密樹冠画像データを、前記ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて作成する精密樹冠画像データ作成処理部と、前記精密樹冠画像データから前記各樹木に対応する樹冠に関する樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理部と、前記精密樹冠情報に基づいて前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理部と、を有し、前記樹冠高画像データに含まれるノイズには、前記レーザー計測データに含まれるレーザー計測ノイズ、前記調査対象樹木よりも下層に存在している下層植生と、前記レーザー光が前記樹冠を透過して地表に達することによって生じた樹冠透過パルスと、前記樹冠から局部的に突出している徒長枝葉及び樹冠輪郭不明瞭部と、が含まれており、前記樹冠高画像データノイズ処理部は、前記樹冠高画像データがメッシュ化された各メッシュのメッシュデータを用い前記ノイズ処理を行い、当該樹冠高画像データノイズ処理部には、前記レーザー計測ノイズを除去するレーザー計測ノイズ処理部と、前記樹冠高画像データから前記下層植生を除去した下層植生処理画像データを作成する下層植生処理部と、前記下層植生処理画像データに対し、前記各樹木の平均的な樹冠直径に基づいて設定されている平均化フィルターを用いて前記各樹木の樹冠高の平均化処理を行うことにより平均化処理画像データを作成する平均化処理部と、前記平均化処理画像データと前記下層植生処理画像データとの差分をとる差分処理部と、前記差分処理部により得られた差分の結果に基づいて、前記樹冠透過パルスを除去した樹冠透過パルス処理画像データを作成する樹冠透過パルス処理部と、前記差分処理部により得られた差分の結果に基づいて、前記徒長枝葉を除去するとともに前記樹冠輪郭不明瞭部を改善した樹冠輪郭処理画像データを作成する樹冠輪郭処理部と、が含まれていることを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0039】
[15]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータを作成し、各メッシュにおいて前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、前記樹冠高画像データを作成することが好ましい。
【0040】
[16]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記下層植生処理部は、前記下層植生の樹冠高のうちの最大樹冠高を入力して、当該最大樹冠高以下の樹冠高を有するメッシュの画素値をゼロとすることが好ましい。
【0041】
[17]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記平均化処理部は、前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに前記平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことが好ましい。
【0042】
[18]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記差分処理装置は、前記平均化処理画像データから下層植生処理画像データを差し引くことによって前記平均化処理画像データと下層植生処理画像データとの差分値を求める差分処理を各メッシュにおいて行うことが好ましい。
【0043】
[19]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記樹冠透過パルス処理部は、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値を横軸とし、当該差分値に対応するメッシュの数を縦軸とし、前記差分値がゼロ(0)を平均値として作成されたヒストグラムを用い、当該ヒストグラムにおいて、前記差分処理によって得られた各メッシュの差分値をDとし、前記平均値よりもプラス側の標準偏差をSDとし、前記平均値よりもマイナス側の標準偏差を-SDとし、現時点で処理対象とするメッシュを処理対象メッシュとしたとき、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとし、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≦SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠透過パルス処理画像データを生成することが好ましい。
【0044】
[20]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記樹冠輪郭処理部は、前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを平滑化処理して平滑化処理画像を作成し、前記処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D≧-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する前記樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとして、前記樹冠輪郭処理画像データを生成することが好ましい。
【0045】
[21]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記精密樹冠画像データ作成部は、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して前記精密樹冠画像データを作成することが好ましい。
【0046】
[22]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記精密樹冠情報作成部は、前記精密樹冠画像データを用いて、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積を前記精密樹冠情報として算定することを特徴とすることが好ましい。
【0047】
[23]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記森林資源情報算定部は、前記各樹木の樹高を算定する樹高算定処理部と、前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理部と、前記各樹木の材積を算定する材積算定処理部と、前記各樹木の樹高、前記各樹木の胸高直径及び前記各樹木の材積と前記精密樹冠情報作成処理部で算定された前記精密樹冠情報とを集計する処理を行う森林資源情報集計処理部と、を有することが好ましい。
【0048】
[24]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記各樹木の樹高は、前記樹冠高画像データ作成部によって求められた樹冠高のうち、各樹冠内において最大の樹冠高を当該樹冠における樹高とすることが好ましい。
【0049】
[25]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記各樹木の胸高直径は、前記当該樹木の樹冠面積及び前記樹冠直径の少なくとも一方と、当該樹木の樹高とから重回帰式で算定することが好ましい。
【0050】
[26]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記森林資源情報算定処理部における前記森林資源情報集計処理部は、前記調査対象樹木の本数、前記各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、前記各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、前記各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値と、前記各樹木に対して算定された樹高の平均値、前記各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値、前記各樹木に対して算定された材積の平均値、前記各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定する処理をさらに有するとともに、前記調査対象樹木の単位面積当たりの本数及び材積を算定する処理をさらに行うことが好ましい。
【0051】
なお、[14]~[26]に記載した本発明の森林資源情報算定装置においても、[1]~[13]に記載したそれぞれ対応する本発明の森林資源情報算定方法で得られる効果と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係る森林資源情報算定方法を説明するために示すフローチャートである。
【図2】ディスプレイ上に表示されたレーザー計測画像を示す図である。
【図3】ディスプレイ上に表示された調査対象森林域画像を示す図である。
【図4】ディスプレイ上に表示された樹冠高画像の拡大図である。
【図5】樹冠高画像データに含まれているノイズを説明するための模式図である。
【図6】樹冠高画像データノイズ処理について説明するために示すフローチャートである。
【図7】ディスプレイ上に表示されたレーザー計測ノイズ処理画像を示す図である。
【図8】ディスプレイ上に表示された下層植生処理画像を示す図である。
【図9】ディスプレイ上に表示された平均化処理画像を示す図である。
【図10】ディスプレイ上に表示された差分処理画像を示す図である。
【図11】差分処理により得られた差分結果に基づいて作成されたヒストグラムを示す図である。
【図12】ディスプレイ上に表示された樹冠透過パルス処理画像を示す図である。
【図13】ディスプレイ上に表示された平滑化処理画像を示す図である。
【図14】ディスプレイ上に表示された樹冠輪郭処理画像を示す図である。
【図15】ディスプレイに表示された精密樹冠画像を示す図である。
【図16】ディスプレイに表示された各樹冠にラベル番号が付されたラベル番号付与画像を示す図である。
【図17】ディスプレイに表示された樹高算定画像を示す図である。
【図18】ディスプレイ上に表示された単木資源情報の一覧表を示す図である。
【図19】ディスプレイ上に表示された森林資源概要情報の一覧表を示す図である。
【図20】ディスプレイに表示された間伐計画のシミュレーションの一例を示す図である。
【図21】実施形態に係る森林資源情報算定装置1を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、実施形態に係る森林資源情報算定方法を説明するために示すフローチャートである。実施形態に係る森林資源情報算定方法は、上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて、調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定方法である。なお、実施形態においては、ドローンを用いて調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射するものとする。

【0054】
実施形態に係る森林資源情報算定方法において行われる処理は、図1に示すように、レーザー計測データ(3次元点群データ)をパーソナルコンピュータなどの情報処理装置のデータ入力部に入力するデータ入力処理(ステップS10)と、レーザー計測データと地理情報システム(GIS)100から得られる地理的情報とに基づいて、調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ処理(ステップS20)と、調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理(ステップS30)と、樹冠高画像データに含まれるノイズを除去するためのノイズ処理を施してノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)と、調査対象森林域に存在する植生のうち調査対象となる調査対象樹木の各樹木に対応する樹冠の抽出が可能な精密樹冠画像データを、ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて作成する精密樹冠画像データ作成処理(ステップS50)と、精密樹冠画像データから各樹木(調査対象樹木の各樹木)に対応する樹冠に関する樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理(ステップS60)と、精密樹冠情報に基づいて調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理(ステップS70)と、を有する。なお、「調査対象樹木」を一本ごとの樹木として説明する場合には、単に「各樹木」と略記する場合もある。

【0055】
なお、実施形態に係る森林資源情報算定方法において、調査対象樹木というのは、例えば、カラマツ、アカマツ、スギ、ヒノキなどの高木となる植栽木を指しており、調査対象森林域というのは、これらの樹木によって形成される林が所定の広さを有して存在する森林域であるとする。

【0056】
ここで、樹冠高画像データに含まれるノイズには、レーザー計測データに含まれるレーザー計測ノイズ、調査対象樹木よりも下層に存在している低木などの下層植生と、レーザー光が樹冠を透過して地表に達することによって生じた樹冠透過パルスと、樹冠から局部的に突出している徒長枝葉及び複数の樹冠が重なり合って各樹冠の輪郭が不明瞭となっている樹冠輪郭不明瞭部と、が含まれている。これらの各ノイズについては後に詳細に説明する。

【0057】
また、樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)は、樹冠高画像データをメッシュ化した各メッシュのメッシュデータとしてノイズ処理を行う。そして、当該樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)には、レーザー計測ノイズを除去するレーザー計測ノイズ処理(ステップS41)と、樹冠高画像データから下層植生を除去した下層植生処理画像データを作成する下層植生処理(ステップS42)と、下層植生処理画像データに対し、各樹木の平均的な樹冠直径に基づいて設定されている平均化フィルターを用いて各樹木の樹冠高の平均化処理を行うことにより平均化処理画像データを作成する平均化処理(ステップS43)と、平均化処理画像データと下層植生処理画像データとの差分をとる差分処理(ステップS44)と、差分処理により得られた差分の結果に基づいて、樹冠透過パルスを除去した樹冠透過パルス処理画像データを作成する樹冠透過パルス処理(ステップS45)と、差分処理により得られた差分の結果に基づいて、徒長枝葉を除去するとともに樹冠輪郭不明瞭部を改善した樹冠輪郭処理画像データを作成する樹冠輪郭処理(ステップS46)と、が含まれている。これら各処理(ステップS41~S46)の具体的な処理内容については後述する。

【0058】
精密樹冠情報作成処理(ステップS60)は、精密樹冠画像データを用いて、少なくとも、各樹木に対応する樹冠の通し番号としてのラベル番号、各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、各樹木に対応する樹冠の樹冠面積を精密樹冠情報として算定する。また、精密樹冠情報として、各樹木に対応する樹冠の樹冠形状を算定することも可能である。

【0059】
また、森林資源情報算定処理(ステップS70)には、各樹木の樹高を算定する樹高算定処理(ステップS71)と、各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理(ステップS72)と、各樹木の材積を算定する材積資源算定処理(ステップS73)と、各樹木の樹高、各樹木の胸高直径及び各樹木の材積と精密樹冠情報作成処理(ステップS60)で算定された精密樹冠情報とを集計する処理を行う森林資源情報集計処理(ステップS74)とが含まれている。これら各処理(ステップS71~S74)の具体的な処理については後述する。

【0060】
また、森林資源情報算定処理(ステップS70)における森林資源情報集計処理(ステップS74)は、調査対象樹木の本数、各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された樹高の平均値、各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値と、各樹木に対して算定された材積の平均値、各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定する処理をさらに有するとともに、調査対象樹木の単位面積当たりの本数及び材積を算定する処理をさらに有する。

【0061】
ところで、上記した「樹冠直径」は、樹冠を平面視したときの樹冠の水平方向の広がりの大きさを表すものであり、また、「胸高直径」は、樹木の幹の太さを表すものであるが、樹冠及び樹木の幹は実際には真円ではないため、厳密には「直径」とは言えないが、この明細書においては、樹冠の水平方向の広がりの大きさを表すものとして「樹冠直径」と表記し、幹の太さを表すものとして「樹冠直径」と表記するものとする。

【0062】
以下、実施形態に係る森林資源情報算定方法を処理の手順に沿って詳細に説明する。

【0063】
実施形態に係る森林資源情報算定方法は、図1に示すように、レーザー計測データをパーソナルコンピュータなどの情報処理装置のデータ入力部に入力して(ステップS10)、ディスプレイ上にレーザー計測データによって得られた画像(レーザー計測画像という。)を表示させる。

【0064】
図2は、ディスプレイ上に表示されたレーザー計測画像を示す図である。図2に示すレーザー計測画像において、白で表示されている部分が調査対象樹木(カラマツとする。)の樹冠を示している。なお、以降の各ステップ及び各構成要素においてそれぞれの処理を行う際には、レーザー計測データに対し、森林域を一辺が例えば数センチメートルから1メートル程度にメッシュ化し、各メッシュにおいて得られたデータ(メッシュデータ)を用い処理を行う。なお、メッシュのサイズは、サイズを大きくし過ぎると、算定される森林資源情報の精度に課題が生じる場合もあり、また、逆にサイズを小さくし過ぎると、処理すべきデータ量が多くなる。このため、メッシュのサイズは、調査対象森林域の面積、当該調査対象森林域における森林の状況及び算定される森林資源情報の精度などを考慮して最適なサイズに設定することが好ましい。

【0065】
そして、入力されたレーザー計測データに、地理情報システム(GIS)100から得られる地理的情報(この場合、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などに登録されている森林域の境界データ)を重ね合わせることによって、調査対象森林域画像データを作成して(ステップS20)、当該調査対象森林域画像データに対応する調査対象森林域画像をディスプレイ上に表示する。

【0066】
図3は、ディスプレイ上に表示された調査対象森林域画像を示す図である。図3に示す調査対象森林域画像は、調査対象森林域画像データに対応する画像であり、GIS100から抽出された調査対象森林域をレーザ計測データに重ねることによって作成することができる。

【0067】
続いて、樹冠高画像データ作成処理(ステップS30)を行う。当該樹冠高画像データ作成処理(ステップS30)は、調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高(地表からの樹冠の高さ)を表す樹冠高画像データを作成する。具体的には、調査対象森林域画像データ作成処理(ステップS20)によって作成された調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータ(樹木などの表層の標高を表すデータ)とデジタル標高モデルデータ(地表の標高を表すデータ)を作成し、各メッシュにおいてデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、各メッシュの樹冠高(地表からの樹冠の高さ)を表す樹冠高画像データを作成する。そして、このようにして作成された当該樹冠高画像データに対応する樹冠高画像をディスプレイ上に表示する。

【0068】
図4は、ディスプレイ上に表示された樹冠高画像の拡大図である。図4に示す樹冠高画像における黒から白のグラデーションは、地表を基準(0.0メートル)としたときの当該基準に対する高さの変化(例えば、0.0メートル(黒)~33.1メートル(白))を表している。なお、図4に示す樹冠高画像に対応する樹冠高画像データは、様々なノイズ(後述する。)を含むとともに、複数の樹木の樹冠が重なり合っていて、各樹木に対応する樹冠として抽出しにくいものとなっている。

【0069】
ここで、樹冠高画像データに含まれている様々なノイズとしては、上記したように、レーザー計測ノイズ、樹冠透過パルス、樹冠輪郭不明瞭部、樹冠における徒長枝葉、下層植生を例示できる。これらのノイズは、各樹木に対応する樹冠を高精度に抽出する際に障害となるノイズであり、図4に示す樹冠項画像において、符号a~eで示されている。以下、レーザー計測ノイズ、樹冠透過パルス、樹冠輪郭不明瞭部、徒長枝葉、下層植生に符号a~eを付して、レーザー計測ノイズa、樹冠透過パルスb、樹冠輪郭不明瞭部c、徒長枝葉d、下層植生eというように表記する場合もある。なお、レーザー計測ノイズa、樹冠透過パルスb、樹冠輪郭不明瞭部c、樹冠における徒長枝葉d、下層植生eは、図4においては、代表的な箇所として、それぞれ1箇所ずつが示されているが、実際には、それぞれが多数箇所に存在する。

【0070】
図5は、樹冠高画像データに含まれているノイズを説明するための模式図である。図5は人間が地表Lに立って、ほぼ横方向に見たきの森林の様子を模式図として示すものであり、樹冠高画像データに含まれているレーザー計測ノイズa、樹冠透過パルスb、樹冠輪郭不明瞭部c、樹冠における徒長枝葉d、下層植生eを例示している。

【0071】
レーザー計測ノイズa、樹冠透過パルスb、樹冠輪郭不明瞭部c、樹冠における徒長枝葉d、下層植生eについて、図4及び図5を参照して詳細に説明する。

【0072】
レーザー計測ノイズaは、例えば、センサーの計測エラーなどによってレーザー計測データの画素値がゼロ以下になる場合であり、図4においては白点で示されている。

【0073】
樹冠透過パルスbは、樹冠に存在する空間や枝葉の層が薄い箇所(例えば、図4及び図5において符号bで示す箇所)をレーザー光が樹冠を透過して地表に達することによって生じる情報(地表の情報)であり、図4に示す樹冠高画像においては黒点で示されている。

【0074】
樹冠輪郭不明瞭部cは、複数の樹木の各樹冠が重なり合っていて(例えば、図4及び図5において符号cで示す箇所)、全体的に輪郭が不明瞭で各樹木に対応する樹冠の区別がつけにくい領域である。

【0075】
徒長枝葉dは、樹冠において枝が突出している部分(例えば、図4及び図5において符号dで示す箇所)であり、このような徒長枝葉は、図4に示す樹冠高画像において水平方向に突出している局部的な凸部として表わされている。

【0076】
下層植生eは、調査対象樹木よりも下層に存在する草本及び低木(例えば、図4及び図5において符号eで示す箇所)などである。

【0077】
図4及び図5において説明したレーザー計測ノイズa、樹冠透過パルスb、樹冠輪郭不明瞭部c、徒長枝葉d、下層植生eは、ノイズとして扱い、樹冠高画像データノイズ処理S40においては、これらのノイズを除去するためのノイズ処理を行う。

【0078】
樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)は、樹冠高画像データ作成処理(ステップS30)で作成された樹冠高画像データに対して行うものであり、精密樹冠画像データを作成する処理の前処理として行う。当該樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)ついて説明する。

【0079】
図6は、樹冠高画像データノイズ処理について説明するために示すフローチャートである。図6において破線枠で囲まれた処理が、図1における樹冠項画像データノイズ処理(ステップS40)である。

【0080】
図6に示すように、まずは、樹冠高画像データ作成処理(ステップS30)で作成された樹冠高画像データに対して、レーザー計測ノイズ処理(ステップS41)を行い、当該レーザー計測ノイズ処理が行われたレーザー計測ノイズ処理画像をディスプレイ上に表示する。

【0081】
図7は、ディスプレイ上に表示されたレーザー計測ノイズ処理画像を示す図である。レーザー計測ノイズ処理は、マイナスの値(画素値がゼロ以下)となっているレーザー計測ノイズの画素をゼロに補正する処理であり、このような補正を行うことにより、図4に示す樹冠高画像に存在しているレーザー計測ノイズを除去することができる。

【0082】
続いて、レーザー計測ノイズ処理が行われたレーザー計測ノイズ処理画像データに対して、下層植生が除去された下層植生処理画像データを作成するための下層植生処理を行う(ステップS42)。そして、当該下層植生処理がなされた下層植生処理画像データに対応する下層植生処理画像をディスプレイ上に表示する。

【0083】
図8は、ディスプレイ上に表示された下層植生処理画像を示す図である。下層植生処理は、下層植生の樹冠高のうちの最大樹冠高を入力して、当該最大樹冠高以下の樹冠高を有するメッシュの画素値をゼロとする。このような下層植生除去処理を行うことによって、下層植生が除去された下層植生処理画像データが作成され、当該下層植生処理画像データに対応する下層植生処理画像がディスプレイ上に表示される。図8において、各樹冠(白からグレーのグラデーションで表わされている領域)の周辺に存在する黒で示す領域は、下層植生が除去された領域である。なお、図8において、各樹冠内に存在する多数の黒点部分は、樹冠透過パルスbあり、この段階では、樹冠透過パルスbを除去する処理は行われていないので、樹冠透過パルスがノイズとして存在している。

【0084】
図6に戻って、続いて、下層植生処理画像データに対して平均化処理(ステップS43)を行う。平均化処理(ステップS43)によって行われる平均化処理は、各メッシュにおいて平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターによって得られた樹冠高の平均値を当該メッシュの樹冠高とする処理を各メッシュにおいて行う。

【0085】
平均化処理を簡単化して具体的に説明する。例えば、平均化フィルターが森林域における一辺が5メートルの広さに対応するフィルターであるとし、1つのメッシュのサイズを仮に一辺が1メートルとした場合においては、平均化処理の対象となる1つのメッシュ(処理対象メッシュという。)が中心となるように平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行う。例えば、平均化フィルターに重ね合わせられている範囲(平均化処理範囲という。)に含まれる各メッシュ(例えば5メッシュ×5メッシュの合計25メッシュとする。)の各樹冠高を積算して、その合計値を25で割った値を当該平均化処理範囲の平均値として、その平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする。このような処理を樹冠高画像データに含まれるすべてのメッシュにおいて行う。なお、ここでは、平均化処理の説明を簡単化するために、メッシュサイズを一辺が1メートルとして説明したが、実施形態においては、メッシュのサイズは、前述したように、一辺が数センチメートルから1メートル程度としている。

【0086】
なお、平均化フィルターは、調査対象森林域に存在する調査対象樹木の平均的な樹冠直径に基づいて設定されている。例えば、調査対象森林域に存在する調査対象樹木が主にカラマツであれば、平均化フィルターは一辺が7メートル程度とし、調査対象森林域に存在する調査対象樹木が主にアカマツであれば、平均化フィルターは一辺が10メートル程度とし、調査対象森林域に存在する調査対象樹木が主にスギであれば、平均化フィルターは一辺が5メートル程度とするというように設定する。

【0087】
図9は、ディスプレイ上に表示された平均化処理画像を示す図である。なお、図9に示す平均化処理画像は、下層植生処理(ステップS42)で作成された下層植生処理画像データを平均化処理して得られた平均化処理画像である。

【0088】
なお、図9では識別しにくいが、下層植生除去処理画像データに対して平均化処理を行うことにより、元々の高さが周囲に比べて高い箇所(例えば樹冠の頂点部及び徒長枝葉など)は当該頂点の周辺の低い部分に影響されて、元々の高さよりも低く表わされ、逆に、元々の高さが周囲に比べて低い箇所(例えば、樹冠透過パルスなど)は、周辺の高い樹冠部などに影響されて、元々の高さよりも高く表わされた画像となる。

【0089】
続いて、差分処理(ステップS44)を行う。この差分処理は、平均化処理(ステップS43)によって平均化された平均化処理画像データから下層植生処理(ステップS42)によって下層植生処理された下層植生処理画像データを各メッシュにおいて差し引く処理である。このため、元々はゼロ又はゼロに近い値を有する樹冠透過パルスbのメッシュにおいては、前述したように、平均値が高い値となっていることから、当該樹冠透過パルスbのメッシュにおいて得られた差分値は、樹冠部分において得られ差分値に比べてプラス方向に、より大きな値となる。逆に、徒長枝葉dのメッシュにおいては、前述したように、平均値が低い値となっていることから、当該徒長枝葉dのメッシュにおいて得られた差分値は、樹冠部分において得られた差分値に比べてマイナス方向に、より大きくなる。

【0090】
図10は、ディスプレイ上に表示された差分処理画像を示す図である。なお、図10に示す差分処理画像は、差分処理画像データに対応する画像である。図10において、白で表わされている部分(例えば、矢印bの部分)は樹冠透過パルスbのメッシュであり、黒で表わされている部分(例えば、矢印dの部分)は徒長枝葉dのメッシュである。なお、樹冠透過パルスbのメッシュ及び徒長枝葉dのメッシュは、図10において、1箇所ずつのみしか示されていないが、実際には多数存在する。

【0091】
図11は、差分処理により得られた差分結果に基づいて作成されたヒストグラムを示す図である。図11に示すヒストグラムは、差分処理によって得られた各メッシュの差分値を横軸とし、当該差分値に対応するメッシュの数を縦軸とし、差分値がゼロ(0)を平均値として作成されたヒストグラムである。なお、このヒストグラムにおいて、差分処理によって得られた各メッシュの差分値をDとし、平均値よりもプラス側の標準偏差をSDとし、平均値よりもマイナス側の標準偏差(マイナス標準偏差とする。)を-SDとする。ここでは、データの個数(メッシュ数)が55,229個、差分値Dの最大値が24.96(メートル)、差分値Dの最小値が-14.61(メートル)、差分値の平均値がゼロ、標準偏差SDが3.53、マイナス標準偏差-SDが-3.53である。

【0092】
図11におけるヒストグラムにおいては、平均値0を中心に、標準偏差(SD)、マイナス標準偏差(-SD)の間に属するメッシュは、樹冠に相当するメッシュであるとみなすことができ、標準偏差(SD)よりもプラス側に外れるメッシュは、樹冠透過パルスbなどのノイズとみなすことができ、マイナス標準偏差(-SD)よりもマイナス側に外れるメッシュは、徒長枝葉dなどのノイズとみなすことができる。

【0093】
続いて、樹冠透過パルス処理(ステップS45)を行う。この樹冠透過パルス処理(ステップS45)は、図6において、一点鎖線枠で囲まれている処理である。なお、現時点で処理対象とするメッシュを処理対象メッシュとする。

【0094】
樹冠透過パルス処理(ステップS45)は、処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dと標準偏差SDとの比較、すなわち、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDか否かを判定する処理(ステップS451)を行い、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値が、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする(ステップS452)。一方、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDでない場合(D≦SDである場合)には、当該処理対象メッシュに対応する下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする(ステップS453)。

【0095】
具体的には、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D>SDである場合には、当該処理対象メッシュは、樹冠透過パルスが存在するメッシュであるとして、当該処理対象メッシュに対応する平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする。すなわち、D>SDと判定された処理対象メッシュに対応するメッシュの平均化処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする。一方、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値が、D>SDでない場合(D≦SDである場合)には、樹冠透過パルスではないとして、当該処理対象メッシュに対応する下層植生処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする(ステップS453)。
そして、ステップS452により得られたデータとステップS453により得られたデータとを組み合わせて樹冠透過パルス処理画像データを生成する(ステップS454)。

【0096】
ステップS451~ステップS454の処理をすべてのメッシュについて行うことによって、樹冠透過パルス処理が行われた樹冠透過パルス処理画像データを生成することができる。そして、このように生成された樹冠透過パルス処理画像データに対応する樹冠透過パルス処理画像をディスプレイ上に表示する。

【0097】
図12は、ディスプレイ上に表示された樹冠透過パルス処理画像を示す図である。図12に示す樹冠透過パルス処理画像は、図8に示す下層植生除去画像から樹冠透過パルスb(図8において樹冠に存在する黒点の部分)が除去された画像となっている。

【0098】
続いて、徒長枝葉dを除去するとともに樹冠輪郭不明瞭部cを改善するための樹冠輪郭処理を行う(ステップS46)。この樹冠輪郭処理(ステップS46)は、図6において、二点鎖線枠で囲まれている処理である。なお、この場合も現時点で処理対象とするメッシュを処理対象メッシュとする。

【0099】
すなわち、樹冠輪郭処理は、樹冠透過パルス処理と同様に、各メッシュの差分値Dと標準偏差SDとの比較を行うが、樹冠輪郭処理においては、処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDであるか否かを判定する処理(ステップS461)を行う。ここで、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、当該処理対象メッシュに対応する樹冠透過パルス処理画像データを平滑化処理して(ステップS462)、平滑化処理画像データを作成する。一方、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDでない場合(D≧-SDである場合)には、当該処理対象メッシュに対応する樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする(ステップS463)。

【0100】
具体的には、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDである場合には、徒長枝葉dが存在するメッシュであるとして、当該処理対象メッシュにおいて平滑化処理(ステップS453)を行う。ここで行う平滑化処理は、徒長枝葉や樹冠の凹凸をスムージングすることが可能な平滑化フィルターを用いて行う。これにより、徒長枝葉や樹冠の凹凸などが除去される。そして、このように生成された平滑化処理画像データに対応する平滑化処理画像をディスプレイ上に表示する。

【0101】
図13は、ディスプレイ上に表示された平滑化処理画像を示す図である。ステップS454で生成された樹冠透過パルス処理画像データの該当メッシュにおいて平滑化処理することによって、図13に示すように、ノイズとなる徒長枝葉が削除されるとともに、樹冠の凹凸などが除去される。

【0102】
一方、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDであるか否かを判定する処理(ステップS461)を行った結果、当該処理対象メッシュにおいて求められた差分値Dが、D<-SDでない場合(D≧-SDである場合)には、徒長枝葉ではないとして、当該処理対象メッシュに対応する樹冠透過パルス処理画像データを当該処理対象メッシュのデータとする(ステップS463)。
そして、ステップS462により得られたデータとステップS463により得られたデータとを組み合わせて樹冠透過パルス処理画像データを生成する(ステップS464)。

【0103】
ステップS461~ステップS464の処理をすべてのメッシュについて行うことによって、樹冠輪郭処理が行われた樹冠輪郭処理画像データを生成することができる。そして、このように生成された樹冠輪郭処理画像データに対応する樹冠輪郭処理画像をディスプレイ上に表示する。

【0104】
図14は、ディスプレイ上に表示された樹冠輪郭処理画像を示す図である。図14に示す樹冠輪郭処理画像によれば、樹冠透過パルスが除去され、さらに、徒長枝葉なども除去された画像となり、また、樹冠輪郭不明瞭部(例えば、図4における樹冠輪郭不明瞭部c)の輪郭が強調される。これにより、図14に示す樹冠輪郭処理画像は、図12に示す樹冠透過パルス処理画像に比べて各樹冠の凸部が減って全体に丸みを帯びたものとなる。

【0105】
以上により、樹冠高画像データノイズ処理が終了する。続いて、精密樹冠画像データ作成処理を行う(ステップS50)。この精密樹冠画像データ作成処理は、各樹木に対応する樹冠の抽出が可能となるような精密樹冠画像データ作成する処理である。当該精密樹冠画像データ作成処理(ステップS50)は、樹冠高画像データノイズ処理(ステップS40)によって生成された樹冠輪郭処理画像データに基づいて精密樹冠画像データを生成する。

【0106】
精密樹冠画像データ作成処理(ステップS50)は、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して行うものであり、下記に示す公知文献1に記載されている単木樹冠抽出のインディヴィジュアル・ツリー・ディテクション法(Individual tree detection method)を用いて精密樹冠画像データを作成して、当該精密樹冠画像データに対応する精密樹冠画像をディスプレイ上に表示する。

【0107】
公知文献1:J Hyypp・ M Inkinen,”Detecting and estimating attributes for single trees using laser scanner“, The photogrammetric journal of Finland 16 (2), 1999年、27-42

【0108】
図15は、ディスプレイに表示された精密樹冠画像を示す図である。図15において、白抜きで表示されている領域が樹冠である。図15に示す精密樹冠画像における各樹冠の領域の画素数を積算することで、樹冠面積及び樹冠直径を求めることができる。また、図15において、黒で示されている領域は非樹冠領域であり、当該非樹冠領域は、上空から見た場合、上層樹冠の樹木がない箇所であり、陰部や高木の樹木がない下層植生に覆われている箇所(ギャップ)である。

【0109】
このようにして、精密樹冠画像データ作成処理(ステップS50)を行うことによって精密樹冠画像データが作成されると、当該精密樹冠画像データに基づいて精密樹冠情報作成処理(ステップS60)を行い、各樹木の樹冠に関する精密な情報、すなわち、精密樹冠情報を作成する。精密樹冠情報作成処理(ステップS60)において作成される精密樹冠情報としては、各樹木に対応する樹冠のラベル番号(通し番号)、各樹木に対応する樹冠の樹冠位置(樹冠の中心位置)、各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、各樹木に対応する樹冠の樹冠面積などを例示することができ、この他に、各樹木に対応する樹冠の樹冠形状なども精密樹冠情報として得ることができる。

【0110】
図16は、ディスプレイに表示された各樹冠にラベル番号が付されたラベル番号付与画像を示す図である。図16に示すように、各樹冠に1,2,・・・というようなラベル番号が自動ラベリングによって付されている。このラベル番号により、当該調査対象森林域において、樹冠として認識された樹冠の数(樹冠数)を求めることができ、それにより、当該調査対象森林域における調査対象樹木の本数を求めることができる。

【0111】
続いて、森林資源情報算定処理(ステップS70)を行う。当該森林資源情報算定処理は、精密樹冠情報作成部60で作成された精密樹冠情報に基づいて、森林資源に関する情報を算定する。当該森林資源情報算定処理(ステップS70)において算定する森林資源に関する情報としては、各樹木の樹高、各樹木の胸高直径、各樹木の材積を例示できる。

【0112】
これら森林資源に関する情報を算定するために、森林資源情報算定処理(ステップS70)においては、各樹木の樹高を算定する樹高算定処理(ステップS71)と、各樹木の胸高直径を算定する胸高直径算定処理(ステップS72)と、各樹木の資源としての材積を算定する材積算定処理(ステップS73)と、森林資源情報を集計する森林資源情報集計処理(ステップS74)とを行う。

【0113】
ここで、各樹木の樹高を算定する樹高算定処理(ステップS71)は、精密樹冠画像データ作成部50によって作成された精密樹冠画像データに基づいて、各樹冠に対応する樹冠高画像データの最大値を当該樹木の樹高とする。

【0114】
図17は、ディスプレイに表示された樹高算定画像を示す図である。図17においては、各樹冠において得られた樹高を小数点第1位までをメートル単位で示している。図17に示すように、各樹冠において得られた樹高を表示することで、1つの樹冠(樹木)に対して1つの樹高を求めることができる。

【0115】
胸高直径算定処理(ステップS72)は、樹冠面積及び樹冠直径の少なくとも一方と、樹高とから重回帰式で胸高直径を算定することができる。また、内挿法で未測定木の胸高直径を算定することができる。これによって、調査対象森林域に存在する調査対象樹木すべての胸高直径を算定することができる。なお、重回帰式を求める場合、樹種ごとに現地調査において標準木を10数本程度選び、選んだ標準木の樹冠面積、樹冠直径及び樹高を測定することから重回帰式の変数を求めることが好ましい。

【0116】
材積算定処理(ステップS73)は、胸高直径と樹高の2変数材積式から材積を求める。なお、胸高直径と樹高とから材積が求められている早見表が公知であり、このような早見表から木資源(材積)を求めることができる。当該早見表については、下記文献(公知文献2及び公知文献3)に記載されている。

【0117】
公知文献2:林野庁計画課、立木幹材積表 東日本編、日本林業調査会、334ページ、2003年
公知文献3:林野庁計画課、立木幹材積表 西日本編、日本林業調査会、320ページ、1970年

【0118】
森林資源情報集計処理(ステップS74)は、調査対象樹木の本数、各樹木についての樹冠直径、樹冠面積、胸高直径、樹高及び材積などの各樹木の資源情報、すなわち、単木資源情報を集計する。そして、集計した単木資源情報を属性データベースに登録する。属性データベースに登録されている単木資源情報は、一覧表としてディスプレイ上に表示することができる。なお、一覧表として表示される単木資源情報には、樹冠の中心位置を表すXY座標も含まれている。また、調査対象樹木の本数は、精密樹冠情報作成処理(ステップS60)によって得られたラベル番号に基づいて、当該調査対象森林域における調査対象樹木の本数を求めることができる。

【0119】
図18は、ディスプレイ上に表示された単木資源情報の一覧表を示す図である。図18に示すように、調査対象森樹木の単木資源情報として、各樹木に対応する樹冠のナンバー(ラベル番号)と、各樹冠の中心位置を表すXY座標、樹冠直径、樹冠面積、胸高直径(図18においては「DBH」と表記されている。)、樹高、材積が、樹冠のナンバー(ラベル番号)に対応付けられて表示される。

【0120】
また、森林資源情報集計処理(ステップS74)は、調査対象樹木の本数とともに、各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された樹高の平均値、各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値と、各樹木に対して算定された材積の平均値、各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定するとともに、材積については合計値をも算定し、さらに、森林経営で使用する1ヘクタール(ha)当りの森林資源量(ここでは、樹木の本数及び材積とする。)を算定し、これら算定した結果を、森林資源の概要を示す情報(森林資源概要情報)として属性データベースに登録する処理も行う。属性データベースに登録されている森林資源概要情報は、一覧表としてディスプレイ上に表示することができる。

【0121】
図19は、ディスプレイ上に表示された森林資源概要情報の一覧表を示す図である。図19に示すように、調査対象樹木の本数、樹冠直径の平均値、樹冠直径の最大値及び最小値、樹冠面積の平均値、樹冠面積の最大値及び最小値、胸高直径の平均値、胸高直径の平均値、胸高直径の最大値及び最小値、樹高の平均値、樹高の最大値及び最小値と、材積の平均値、材積の最大値及び最小値、材積の合計値が表示され、さらに、森林経営で使用する1ヘクタール(ha)当りの森林資源量(ここでは、樹木の本数及び材積とする。)が表示されている。ディスプレイ上にこのような森林資源概要情報を表示することによって、調査対処森林域の森林資源の概要を把握することができる。

【0122】
なお、この明細書においては、図18に示す単木資源情報と図19に示す森林資源概要情報とを合わせて森林資源情報とする。このような森林資源情報と既存の森林調査簿データとを組み合わせることで、森林現況の把握及び間伐などの森林施業立案などの森林管理に活用できる。例えば、森林の間伐を行うおうとする際に、間伐計画のシミュレーションを立てる場合に役立つものとなる。

【0123】
図20は、ディスプレイに表示された間伐計画のシミュレーションの一例を示す図である。図20に示すように、机上で間伐木の配置や間伐割合を決め、伐採量を計算できる。ここでは列条間伐の配置図を示しており、図20においては、樹冠がグレーで示されている樹木を間伐木とした場合が示されている。

【0124】
以上説明したように、実施形態に係る森林資源情報算定方法によれば、上空から調査対象森林域を含む地域にレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて調査対象森林域画像データを作成し、当該調査対象森林域画像データに基づいて樹冠高画像データを作成して、当該樹冠高画像データからノイズを除去するためのノイズ処理を施すことによって、ノイズ処理済みの樹冠高画像データを作成し、当該ノイズ処理済みの樹冠高画像データに基づいて精密樹冠画像データを作成する。

【0125】
このようにして作成された精密樹冠画像データは、調査対象樹木の各樹木に対応した各樹冠を高精度に抽出可能な精密樹冠画像データとなる。このため、当該精密樹冠画像データに基づいて作成した精密樹冠情報は、調査対象樹木の各樹木に対応した高精度な樹冠情報となり、当該精密樹冠情報に基づいて、森林資源に関する情報(森林資源情報)を算定することにより、高精度な森林資源情報を得ることができる(例えば、図18及び図19参照。)。これにより、計測誤差が少なく客観性の高い高精度な森林資源情報を、調査対象森林域の全域、小班ごと、任意の範囲において提供できることから、間伐などの森林施業立案などの森林管理に活用できる。

【0126】
図21は、実施形態に係る森林資源情報算定装置1を説明するために示す図である。実施形態に係る森林資源情報算定装置1は、図1及び図6に示した各ステップの処理を行うための装置であり、図1におけるステップS10の処理を行うための機能を有するデータ入力部10と、図1におけるステップS20の処理を行うための機能を有する調査対象森林域画像データ作成部20と、図1におけるステップS30の処理を行うための機能を有する樹冠高画像データ作成部30と、図1におけるステップS40の処理を行うための機能を有する樹冠高画像データノイズ処理部40と、図1におけるステップS50の処理を行うための機能を有する精密樹冠画像データ作成部50と、図1におけるステップS60の処理を行うための機能を有する精密樹冠情報作成部60と、図1におけるステップS70の処理を行うための機能を有する森林資源情報算定部70と、を有する。

【0127】
また、上記樹冠高画像データノイズ処理部40は、図1におけるステップS41の処理を行うレーザー計測ノイズ処理部41と、図1におけるステップS42の処理を行うための機能を有する下層植生処理部42と、図1におけるステップS43の処理を行うための機能を有する平均化処理部43と、図1におけるステップS44の処理を行うための機能を有する差分処理部44と、図1におけるステップS45の処理を行うための機能を有する樹冠透過パルス処理部45と、図1におけるステップS46の処理を行うための機能を有する樹冠輪郭処理部46と、が含まれている。

【0128】
また、森林資源情報算定部70は、図1におけるステップS71の処理をための機能を有する樹高算定部71と、図1におけるステップS72の処理を行うための機能を有する胸高直径算定部と、図1におけるステップS73の処理を行うための機能を有する材積算定部73と、図1におけるステップS74の処理を行うための機能を有する森林資源情報集計処理部74と、が含まれている。

【0129】
このように、図21に示す実施形態に係る森林資源情報算定装置1の各構成要素は、前述した実施形態に係る森林資源情報算定方法の各ステップの処理を行う機能を有しているため、実施形態に係る森林資源情報算定装置1は、前述した実施形態に係る森林資源情報算定方法で得られる効果と同様の効果が得られる。なお、実施形態に係る森林資源情報算定装置1の処理の内容についての説明は省略する。

【0130】
また、実施形態に係る森林資源情報算定装置1は、当該当該森林資源情報算定装置1に含まれる上記各構成要素(図2参照。)が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。

【0131】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。例えば、下記に示すような変形実施も可能である。

【0132】
(1)上記実施形態においては、調査対象樹木は、例えば、カラマツ、アカマツ、スギ、ヒノキなどの植栽木とした場合を例示したが、調査対象樹木としては、上記した植栽木に限られるものではなく、例えば、ブナやナラなどが所定の広さの範囲にまとまって群生している林が存在する場合においては、当該ブナやナラを調査対象樹木とすることも可能である。

【0133】
(2)上記実施形態においては、ドローンを用いてレーザー計測データを照射する場合を例示したが、ドローンに限られるものではなく、例えば、航空機を使用してレーザー計測データを照射することも可能である。
【符号の説明】
【0134】
1・・・森林資源情報算定装置、10・・・データ入力部、2・・・調査対象森林域画像データ作成部、30・・・樹冠高画像データ作成部、40・・・樹冠高画像データノイズ処理部、41・・・レーザー計測ノイズ処理部、42・・・下層植生処理部、43・・・平均化処理部、44・・・差分処理部、45・・・樹冠透過パルス処理部、46・・・樹冠輪郭処理部、50・・・精密樹冠画像データ作成部、60・・・精密樹冠情報作成部、70・・・森林資源情報算定部、71・・・樹高算定部、72・・・胸高直径算定部、73・・・材積算定部、74・・・森林資源情報集計部、a・・・レーザー計測ノイズ、b・・・樹冠透過パルス、c・・・樹冠輪郭不明瞭部、d・・・徒長枝葉、e・・・下層植生、S10・・・レーザー計測データ入力処理、S20・・・調査対象森林域画像データ作成処理、S30・・・樹冠高画像データ作成処理、S40・・・樹冠高画像データノイズ処理、S41・・・レーザー計測ノイズ処理、S42・・・下層植生処理、S43・・・平均化処理、S44・・・差分処理、S45・・・樹冠透過パルス処理、S46・・・樹冠輪郭処理、S50・・・精密樹冠画像データ作成、S60・・・精密樹冠情報作成処理、S70・・・森林資源情報算定処理、S71・・・樹高算定処理、S72・・・胸高直径算定処理、S73・・・材積算定処理、S74・・・森林資源情報集計処理、S454・・・D>SDの判定処理、S461・・・D<-SDの判定処理、S462・・平滑化処理
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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