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明細書 :フェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6473080号 (P6473080)
登録日 平成31年2月1日(2019.2.1)
発行日 平成31年2月20日(2019.2.20)
発明の名称または考案の名称 フェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチド
国際特許分類 C07K  14/47        (2006.01)
C12Q   1/48        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
C12N  15/12        (2006.01)
FI C07K 14/47 ZNA
C12Q 1/48 Z
C12Q 1/02
G01N 33/50 Z
C12N 15/12
請求項の数または発明の数 16
全頁数 23
出願番号 特願2015-511267 (P2015-511267)
出願日 平成26年4月8日(2014.4.8)
国際出願番号 PCT/JP2014/060185
国際公開番号 WO2014/168143
国際公開日 平成26年10月16日(2014.10.16)
優先権出願番号 2013080738
優先日 平成25年4月8日(2013.4.8)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年3月31日(2017.3.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】大場 雄介
個別代理人の代理人 【識別番号】100090251、【弁理士】、【氏名又は名称】森田 憲一
【識別番号】100139594、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 健次郎
審査官 【審査官】竹内 祐樹
参考文献・文献 特開2009-278942(JP,A)
生化学,2012年 5月25日,Vol.84, No.5,P.359-365
Clinical Cancer Research,2010年 8月 1日,Vol.16, No.15,P.3964-3975
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq


特許請求の範囲 【請求項1】
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、カルボキシル末端側から1~81個のアミノ酸が欠失しており、且つ91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は
(3)前記ポリペプチド(1)又はポリペプチド(2)のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかもフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した場合に、BCR-ABLによるリン酸化に伴いフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する活性を示すポリペプチド、
であって、91番~97番のアミノ酸が置換されていないポリペプチドと比較して切断が抑制され、そしてチロシンキナーゼの基質となるポリペプチド。
【請求項2】
前記91番~97番のアミノ酸の置換が、94番のアミノ酸の置換である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記91番~97番のアミノ酸の置換が、94番のアスパラギン酸からアラニンへの置換である、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
フェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記ドナーとして蛍光タンパク質若しくは生物発光タンパク質が、又は前記ドナーの結合タグとして蛍光化合物結合ポリペプチドが、前記ポリペプチドのN末端又はC末端の一方に結合し、そして前記アクセプターとして蛍光タンパク質が、又は前記アクセプターの結合タグとして蛍光化合物結合ポリペプチドが、前記ポリペプチドのN末端又はC末端の他方に結合している、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記ドナー及びアクセプターの蛍光タンパク質がGFP、eGFP、YFP、CFP、DsRed、MiCy、mKO、及びそれらの変異体からなる群から選択される、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
核外搬出シグナルを更に含む、請求項5又は6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号4、6、8、又は19で表されるアミノ酸配列からなる請求項5又は6に記載のポリペプチド。
【請求項9】
配列番号4で表されるアミノ酸配列における545番~547番の少なくとも1つのアミノ酸、配列番号6で表されるアミノ酸配列における464番~466番の少なくとも1つのアミノ酸、配列番号8で表されるアミノ酸配列における464番~466番の少なくとも1つのアミノ酸、又は配列番号19で表されるアミノ酸配列における468番~470番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されている請求項5又は6に記載のポリペプチド。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか一項に記載のポリペプチドと、患者由来の細胞とを接触させる工程、及び
前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を検出する工程、
を含む、チロシンキナーゼ活性の測定方法。
【請求項11】
前記チロシンキナーゼ活性が、BCR-ABL、c-Abl、又は上皮増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞が腫瘍細胞である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
チロシンキナーゼ阻害剤、請求項4~9のいずれか一項に記載のポリペプチドと、患者由来の細胞とを接触させる工程、及び
前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を検出する工程、
を含む、前記細胞のチロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認する方法。
【請求項14】
前記細胞が腫瘍細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
試験化合物の存在下で、請求項4~9のいずれか一項に記載のポリペプチドと、BCR-ABL、c-Abl、若しくは上皮増殖因子受容体とを接触させる工程、及び
前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を測定する工程、
を含む、チロシンキナーゼ活性に対する阻害剤をスクリーニングする方法。
【請求項16】
前記ポリペプチド、及びBCR-ABL、c-Abl、若しくは上皮増殖因子受容体の接触が、細胞内で行われる請求項15に記載のスクリーニング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチド及びそれを用いたチロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性確認方法に関する。本発明によれば、プロテアーゼにより切断されないため、解析した細胞のほとんどをFRETの評価に用いることができ、従って効率のよいチロシンキナーゼ活性の測定が可能である。
【背景技術】
【0002】
白血病は、これを放置すると重大な合併症により死に至る血液腫瘍性疾患である。白血病の一種である慢性骨髄性白血病(CML)及び一部の急性リンパ性白血病(ALL)においては、9・22番染色体の相互転座により生じる特徴的なフィラデルフィア(Ph)染色体転座によりbcr-abl融合遺伝子が形成され、この遺伝子から恒常的なチロシンキナーゼ活性をもつ細胞質タンパク質(BCR-ABL)が発現されること、そしてこのBCR-ABLのチロシンキナーゼ活性によって種々のタンパク質がリン酸化されることが発症に関連していること、等が知られている。
【0003】
白血病の治療法としては、一般に、抗癌剤等の投与による薬学的治療又は造血幹細胞移植等の移植治療のいずれか、あるいはその両方が選択される。特に、CMLの薬学的治療は、2-フェニルアミノピリミジン系化合物であるチロシンキナーゼ阻害剤の投与を中心に行われており、現在では、登録商標名「イマチニブ」(imatinib、STI-571又は登録商標名グリーベック(Gleevec)とも呼ばれる)の投与が標準的な薬学的治療法となりつつある。
【0004】
イマチニブは、BCR-ABLのキナーゼドメインにおけるATP結合部位を標的とする、選択性の高い分子標的薬物の一種である。一般に、分子標的薬物の使用は、その特異性から高い安全性と効果が期待される、理想の治療法の一つである。しかし同時に、分子標的薬物の使用は、突然変異を有する標的分子を持つ患者に対してはその期待される薬効が発揮され難いという問題を伴うことが多く、イマチニブを代表とするBCR-ABLを標的分子とした2-フェニルアミノピリミジン系化合物であるチロシンキナーゼ阻害剤もその例外ではない。
【0005】
従って、BCR-ABLのキナーゼドメインの変異により、イマチニブ(チロシンキナーゼ阻害剤)などの効果が得られない患者を発見するために、薬剤耐性を検査することは重要である。従来、白血病患者のイマチニブ耐性の検査は、主に、患者のbcr-abl遺伝子の塩基配列を決定してBCR-ABLの変異の種類を確認する方法(例えば非特許文献1)又はBCR-ABLの基質タンパク質であるCrkLのリン酸化をイムノブロッティングで検出する方法(例えば非特許文献2)によって、行われていた。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2009-278942号公報
【0007】

【非特許文献1】Shahら、Cancer cell、2002年、第2巻、第2号、第117-125頁
【非特許文献2】ten Hoeveら、Cancer Res.、1994年、第54巻、第10号、第2563-2567頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、CML患者におけるBCR-ABLのチロシンキナーゼ活性の測定について、鋭意研究した結果、2種の蛍光マーカーで修飾したCrkLを、フェルスター共鳴エネルギー移動(以下、FRETと称することがある)用ポリペプチドとして、BCR-ABLに作用させることによって、BCR-ABLのチロシンキナーゼ活性を検出できることを見いだした(特許文献1)。すなわち、このポリペプチドを用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによって、チロシンキナーゼ阻害剤に対する薬剤耐性を検査することが可能となった。
しかしながら、本発明者らは前記フェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチドを用いて、細胞内のチロシンキナーゼ活性の測定を行った場合に、ドナーとアクセプターの蛍光強度が異なり、正しいFRETの評価ができない細胞があることを見出した。そのため、チロシンキナーゼ活性の測定を行う場合、多数の細胞を解析し、そしてFRETの評価ができる細胞を選択する必要があり、解析の効率が悪かった。
従って、本発明の目的は、FRETの評価ができない細胞を減少させ、効率のよいチロシンキナーゼ活性の測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、効率のよいチロシンキナーゼ活性の測定方法を構築することについて、鋭意研究した結果、驚くべきことに、FRET用ポリペプチドのCrkLのアミノ末端側、及びカルボキシル末端側に切断される箇所があることを見出した。そのため、一部の細胞においては、FRET用ポリペプチドが2つ又は3つの断片に切断され、FRETの評価ができないことがわかった。本発明者は、プロテアーゼなどに切断されるアミノ酸配列の領域のアミノ酸を置換することにより、プロテアーゼなどによる切断を抑制できることを見出した。すなわち、解析した細胞の多くをFRETの評価に用いることができるようになった。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸及び/又は201番~222番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド、(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、カルボキシル末端側から1~81個のアミノ酸が欠失しており、且つ91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸及び/又は201番~222番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は(3)前記ポリペプチド(1)又はポリペプチド(2)のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかもフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した場合に、BCR-ABLによるリン酸化に伴いフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する活性を示すポリペプチド、であって、91番~97番及び201番~222番のアミノ酸が置換されていないポリペプチドと比較して切断が抑制されるポリペプチド、
[2]前記91番~97番のアミノ酸の置換が、94番のアミノ酸の置換である、[1]に記載のポリペプチド、
[3]前記91番~97番のアミノ酸の置換が、94番のアスパラギン酸からアラニンへの置換である、[1]又は[2]に記載のポリペプチド、
[4]フェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した、[1]~[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
[5]前記ドナーとして蛍光タンパク質若しくは生物発光タンパク質が、又は前記ドナーの結合タグとして蛍光化合物結合ポリペプチドが、前記ポリペプチドのN末端又はC末端の一方に結合し、そして前記アクセプターとして蛍光タンパク質が、又は前記アクセプターの結合タグとして蛍光化合物結合ポリペプチドが、前記ポリペプチドのN末端又はC末端の他方に結合している、[1]~[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
[6]前記ドナー及びアクセプターの蛍光タンパク質がGFP、eGFP、YFP、CFP、DsRed、MiCy、mKO、及びそれらの変異体からなる群から選択される、[5]に記載のポリペプチド、
[7]核外搬出シグナルを更に含む、[5]又は[6]に記載のポリペプチド、
[8]配列番号4、6、8、又は19で表されるアミノ酸配列からなる[5]又は[6]に記載のポリペプチド、
[9]配列番号4で表されるアミノ酸配列における545番~547番の少なくとも1つのアミノ酸、配列番号6で表されるアミノ酸配列における464番~466番の少なくとも1つのアミノ酸、配列番号8で表されるアミノ酸配列における464番~466番の少なくとも1つのアミノ酸、又は配列番号19で表されるアミノ酸配列における468番~470番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されている[8]に記載のポリペプチド、
[10][4]~[9]のいずれかに記載のポリペプチドと、患者由来の細胞とを接触させる工程、及び前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を検出する工程、を含む、チロシンキナーゼ活性の測定方法、
[11]前記チロシンキナーゼ活性が、BCR-ABL、c-Abl、又は上皮増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性である、[10]に記載の方法、
[12]前記細胞が腫瘍細胞である、[10]又は[11]に記載の方法、
[13]チロシンキナーゼ阻害剤、[4]~[9]のいずれかに記載のポリペプチドと、患者由来の細胞とを接触させる工程、及び前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を検出する工程、を含む、前記細胞のチロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認する方法、
[14]前記細胞が腫瘍細胞である、[13]に記載の方法、
[15]試験化合物の存在下で、[4]~[9]のいずれかに記載のポリペプチドと、BCR-ABL、c-Abl、若しくは上皮増殖因子受容体とを接触させる工程、及び
前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を測定する工程、を含む、チロシンキナーゼ活性に対する阻害剤をスクリーニングする方法、及び
[16]前記ポリペプチド、及びBCR-ABL、c-Abl、若しくは上皮増殖因子受容体の接触が、細胞内で行われる[15]に記載のスクリーニング方法、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチドによれば、プロテアーゼなどによる切断がないため、解析した細胞のほとんどをFRETの評価に用いることができる。従って、従来のチロシンキナーゼ活性の測定方法と比較して、効率のよいチロシンキナーゼ活性の測定が可能である。すなわち、少数の細胞でも、チロシンキナーゼ阻害剤に対する薬剤耐性を検査することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】293F細胞にpPickles_2.31をトランスフェクションした場合の、細胞ごとのCFP及びYFPの蛍光強度の比率をプロットしたグラフである。
【図2】Pickles 2.31の構造を模式的に示した図である。
【図3】Flag-pPickles_2.0から得られるポリペプチドの模式図と、それを用いたウエスタンブロットによるポリペプチドの切断部位の解析結果を示した図である。
【図4】Flag-pPickles_2.0、及びFlag-pPickles_2.31から得られるポリペプチドの模式図と、それを用いたウエスタンブロットによるポリペプチドの切断部位の解析結果を示した図である。
【図5】Flag-pPickles_2.31-D94A及びFlag-pPickles_1.0-D94Aから得られるポリペプチドの模式図と、それを用いたウエスタンブロットによるポリペプチドの切断部位の解析結果を示した図である。
【図6】本発明のPickles 4.31を、CML患者由来の骨髄単核球にエレクトロポレーションし、Imatinib又はNilotonibを作用させた後の細胞のYFP及びCFPの蛍光強度をプロットしたグラフである。
【図7】293F細胞にpPickles 4.31、又はpFX-Pickles 4.31NESをトランスフェクションし、細胞ごとのCFP及びYFPの蛍光強度の比率をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1]フェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチド
本発明のフェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチドは、(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸及び/又は201番~222番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド、(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、カルボキシル末端側から1~81個のアミノ酸が欠失しており、且つ91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸及び/又は201番~222番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は(3)前記ポリペプチド(1)又はポリペプチド(2)のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかもフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した場合に、BCR-ABLによるリン酸化に伴いフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する活性を示すポリペプチド、であって、91番~97番及び201番~222番のアミノ酸が置換されていないペプチドと比較して切断が抑制されるポリペプチドである。

【0013】
(フェルスター共鳴エネルギー移動)
本発明のポリペプチドは、フェルスター共鳴エネルギー移動(Forster Resonance Energy Transfer:FRET)に用いるものである。FRETは、電子励起状態の異なる2種以上の分子間の相互作用であり、一方の分子(ドナー分子)が外部の光源による励起の後、他方の分子(アクセプター分子)にそのエネルギーが転移される現象である。フェルスター共鳴エネルギー移動には、ドナー分子及びアクセプター分子として蛍光分子を用いる蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer)、及びドナー分子及びアクセプター分子としてそれぞれ生物発光分子及び蛍光分子を用いる生物発光共鳴エネルギー移動(Bioluminescence Resonance Energy Transfer:以下BRETと称することがある)が含まれる。

【0014】
本発明のポリペプチドは、そのアミノ末端側及びカルボキシル末端側のいずれか一方に、FRETを誘導することのできるドナー分子が結合しているか又は結合することができ、他方にアクセプター分子が結合しているか又は結合することができる。本発明のポリペプチドは、このドナー分子及びアクセプター分子によって誘導されるFRETを利用して、BCR-ABLによるリン酸化を測定することができる。BCR-ABLはチロシンキナーゼであり、細胞内の種々のタンパクのチロシン残基をリン酸化する機能を持っている。本発明のポリペプチドは、BCR-ABLによるリン酸化を受けるタンパク質の1つであるCrkLの誘導体を含んでいる。このCrkLの誘導体がBCR-ABLによってリン酸化されることによって、BCR-ABLのリン酸化活性のレベルを測定することが可能である。
CrkL(又はCrkLの誘導体)がBCR-ABLによるリン酸化を受けた場合、CrkL(又はCrkLの誘導体)の3次元構造が変化すると考えられる。CrkL(又はCrkLの誘導体)の3次元構造が変化することによって、ドナー分子及びアクセプター分子が、FRETが可能となる距離に近接する。例えば、ドナー分子及びアクセプター分子がともに蛍光分子の場合、このポリペプチドに励起光を照射することによりFRETが観察される。

【0015】
(CrkL)
CrkLは、RAS及びJUNのリン酸化酵素の情報伝達経路を活性化すると考えられている。特にRAS依存型においては、線維芽細胞を形質転換することが示されている。前記CrkLは、1つのSH2領域と2つのSH3領域を含んでおり、BCR-ABLによってリン酸化されるチロシンは2つのSH3領域間の介在配列に存在する207番目のチロシンである。

【0016】
(CrkLの誘導体)
本発明のポリペプチドは、前記CrkLの誘導体を含む。CrkLの誘導体は、BCR-ABLによりリン酸化されるものであり、具体的には、(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸及び/又は201番~222番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド(以下、ポリペプチド1と称することがある)、(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、カルボキシル末端側から1~81個のアミノ酸が欠失しており、且つ91番~97番の少なくとも1つのアミノ酸及び/又は201番~222番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチド(以下、ポリペプチド2と称することがある)、又は(3)前記ポリペプチド(1)又はポリペプチド(2)のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかもフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した場合に、BCR-ABLによるリン酸化に伴いフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する活性を示すポリペプチド(以下、ポリペプチド3と称することがある)である。これらのポリペプチドは、91番~97番及び201番~222番のアミノ酸が置換されていないポリペプチドと比較して切断が抑制される。

【0017】
(1)ポリペプチド1
ポリペプチド1は、CrkLの全長の303アミノ酸からなるポリペプチドにおいて、N末アミノ酸置換領域(例えば、91番~97番)の少なくとも1つのアミノ酸及び/又はC末アミノ酸置換領域(例えば、201番~222番)の少なくとも1つのアミノ酸が親のアミノ酸から他のアミノ酸に置換されているポリペプチドである。CrkLは細胞内のプロテアーゼなどによって、アミノ末端側の切断領域(以下、N末切断領域と称することがある)において切断されることがある。更に、CrkLは細胞内のプロテアーゼなどによって、カルボキシル末端側の切断領域(以下、C末切断領域と称することがある)において、切断されることがある。

【0018】
N末アミノ酸置換領域の少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸に置換されることによって、切断を抑制することができる。アミノ酸が置換されることによって、プロテアーゼなどによる切断部位が認識されなくなるためである。N末アミノ酸置換領域は、CrkLの91番~97番のアミノ酸配列「HYLDTTT(配列番号9)」からなる領域であってもよく、CrkLの91番~96番のアミノ酸配列「HYLDTT(配列番号10)」からなる領域であってもよく、CrkLの92番~97番のアミノ酸配列「YLDTTT(配列番号11)」からなる領域であってもよく、CrkLの92番~96番のアミノ酸配列「YLDTT(配列番号12)」からなる領域であってもよく、92番~95番のアミノ酸配列「YLDT(配列番号13)」からなる領域であってもよく、93番~96番のアミノ酸配列「LDTT(配列番号14)」からなる領域であってもよく、93番~95番のアミノ酸配列「LDT」からなる領域であってもよく、93番~94番のアミノ酸配列「LD」からなる領域であってもよく、94番~95番のアミノ酸配列「DT」からなる領域であってもよいが、最も好ましくは94番の「D」である。

【0019】
C末アミノ酸置換領域の少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸に置換されることによって、切断を抑制することができる。アミノ酸が置換されることによって、プロテアーゼなどによる切断部位が認識されなくなるためである。

【0020】
本発明のポリペプチドにおけるアミノ酸の置換は、親のアミノ酸から他のアミノ酸に置換されるものである限りにおいて、限定されるものではない。例えば、94番のD(アスパラギン酸)においては、例えばメチオニン(M)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、システイン(S)、グリシン(G)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、アルパラギン(N)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、アルギニン(R)、又はヒスチジン(H)を挙げることができ、アラニン、又はグリシンが好ましく、A(アラニン)が最も好ましい。
また、アミノ酸が置換されていない親のポリペプチドと比較して、プロテアーゼなどによる切断が抑制されるものが好ましい。すなわち、アミノ酸が置換されていない親のポリペプチドと同程度、又はそれ以上に、プロテアーゼによって切断される置換は、本発明の効果が得られないため、本発明から除くことが好ましい。

【0021】
(2)ポリペプチド2
ポリペプチド2は、CrkLの全長の303アミノ酸からなるポリペプチドにおいて、カルボキシル末端側から1~81個のいずれかの数の連続するアミノ酸が欠失したものであり、且つN末アミノ酸置換領域(例えば、91番~97番)の少なくとも1つのアミノ酸及び/又はC末アミノ酸置換領域(例えば、201番~222番)の少なくとも1つのアミノ酸が親のアミノ酸から他のアミノ酸に置換されているポリペプチドである。すなわち、CrkLの全長の303アミノ酸からなるポリペプチドにおいて、N末側から222~302のいずれかの長さのポリペプチドであって、N末アミノ酸置換領域(例えば、91番~97番)の少なくとも1つのアミノ酸及び/又はC末アミノ酸置換領域(例えば、201番~222番)の少なくとも1つのアミノ酸が親のアミノ酸から他のアミノ酸に置換されているポリペプチドである。
CrkLのN末側から222~302のいずれかの長さのポリペプチド、すなわちトランケートCrkLは、BCR-ABLによってリン酸化される207番目のチロシンを含んでいる。また、N末端から、少なくとも1~222番のアミノ酸を含むことによって、FRETを誘導することが可能であるが、最も好ましくは1~222番のアミノ酸配列からなるポリペプチドが好ましい。本ポリペプチドを用いた場合のBCR-ABLのチロシンキナーゼ活性の検出感度は、CrkLの全長を用いたポリペプチド1と比較して、向上するからである。

【0022】
ポリペプチド2におけるN末アミノ酸置換領域及びC末アミノ酸置換領域、並びにアミノ酸の置換は、前記ポリペプチド1と同じである。

【0023】
(3)ポリペプチド3
ポリペプチド3は、前記ポリペプチド1及びポリペプチド2において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたポリペプチドからなり、しかもフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導するドナー及びアクセプターが結合した場合に、BCR-ABLによるリン酸化に伴いフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する活性を示すポリペプチドである。すなわち、ポリペプチド3は、欠失、置換、挿入、及び/又は付加が発生している。しかしながら、BCR-ABLによってリン酸化される207番目のチロシンを含んでおり、且つ欠失、置換、挿入、及び/又は付加によって、FRETの誘導能が阻害されないものである。

【0024】
本発明において、「アミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の方法により、又は天然に生じ得る程度の数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされたことを意味する。アミノ酸の改変の個数は、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、更に好ましくは1~5個、更により好ましくは1~3個、最も好ましくは1個である。
本発明のポリペプチドの改変アミノ酸配列の例は、好ましくは、そのアミノ酸が、1又は数個(好ましくは、1、2、3又は4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であることができる。

【0025】
本明細書において「保存的置換」とは、1若しくは数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置き換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことでできる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。非極性(疎水性)アミノ酸としては、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、例えば、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。また、化学的に類似していない場合でも、アミノ酸の構造が類似したアミノ酸残基で置き換えてもよい。例えばアスパラギン酸(D)からアラニン(A)への置換、アスパラギン(E)からアラニン(A)への置換、チロシン(Y)からフェニルアラニン(F)への置換などを挙げることができる。

【0026】
本発明のポリペプチド3は、前記のようにフェルスター共鳴エネルギー移動の誘導活性を有する。ポリペプチドの欠失、置換、挿入、及び/又は付加による改変は、改変前のポリペプチドのフェルスター共鳴エネルギー移動の誘導活性を改良する改変(改良改変)でもよく、フェルスター共鳴エネルギー移動の誘導活性を維持する改変(維持改変)でもよい。
欠失、置換、挿入、及び/又は付加による改変が、改良改変であることは、親のポリペプチドのフェルスター共鳴エネルギー移動の誘導活性と比較して、前記活性が向上していることによって確認することができる。また、改良改変に用いられる置換は、保存的置換でもよいが、結晶化促進活性が向上する限りにおいて、保存的置換でなくてもよい。

【0027】
また、維持改変は親ポリペプチドのフェルスター共鳴エネルギー移動の誘導活性を維持する改変である。維持改変に用いられる置換は、保存的置換が好ましい。欠失、置換、挿入、及び/又は付加による改変が、維持改変であることは、親のポリペプチドのフェルスター共鳴エネルギー移動の誘導活性と比較して、前記活性が同等又は顕著な低下がないことによって確認することができる。
本発明のポリペプチド3は、常法、例えば部位特異的突然変異誘発法(site-specific mutagenesis)により、ポリペプチド1又は2をコードするポリヌクレオチドに変異を導入し、改変体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを取得し、そのポリヌクレオチドを発現させることによって取得することができる。

【0028】
更に、ポリペプチド3は、ポリペプチド1及びポリペプチド2において、欠失、置換、挿入、及び/又は付加されているため、N末アミノ酸置換領域及びC末アミノ酸置換領域、並びにアミノ酸の置換は、前記ポリペプチド1又はポリペプチド2と同じである。特に、本発明のポリペプチド3のN末アミノ酸置換領域及びC末アミノ酸置換領域におけるアミノ酸の置換は、親のアミノ酸(欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸)から他のアミノ酸に置換されるものである限りにおいて、限定されるものではないが、アミノ酸が置換されていない親のポリペプチドと比較して、プロテアーゼなどによる切断が抑制されるものが好ましい。すなわち、アミノ酸が置換されていない親のポリペプチドと同程度、又はそれ以上に、プロテアーゼなどによって切断される置換は、本発明の効果が得られないため、本発明から除くことが好ましい。

【0029】
(フェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する2つの分子)
本発明のポリペプチドは、前記CrkL誘導体のN末端側及びC末端側に、それぞれフェルスター共鳴エネルギー移動を誘導する分子が1つ以上結合していることが好ましい。これらの分子は、前記のようにドナー分子及びアクセプター分子である。前記ドナー分子とアクセプター分子は互いに異なる分子が用いられる。この場合、FRETは、例えばアクセプターの増感蛍光の出現によって、又はドナー分子からの蛍光消光によって検出される。また、FRETを達成するためには、ドナー分子は、光を吸収するとともにアクセプター分子に対して励起された電子の共鳴を通じて転移させることのできる分子であることが必要である。更に、FRETを生じさせるために、ドナー分子の発光波長はアクセプター分子の励起波長よりも低いことが必要である。ドナー分子としては蛍光化合物、蛍光タンパク質又は生物発光タンパク質を用いることができ、アクセプター分子としては蛍光化合物、又は蛍光タンパク質を用いることができる。すなわち、ドナー分子及びアクセプター分子の組み合わせとしては、蛍光化合物及び蛍光化合物、蛍光化合物及び蛍光タンパク質、蛍光タンパク質及び蛍光化合物、蛍光タンパク質及び蛍光タンパク質、生物発光タンパク質及び蛍光化合物、又は生物発光タンパク質及び蛍光タンパク質の組み合わせを用いることができる。

【0030】
(蛍光化合物)
蛍光化合物としては、例えばカルボキシフルオレセイン、6-(フルオレセイン)-5,6-カルボキサミドヘキサン酸又はフルオレセインイソチオシアネート等のフルオレセイン、Alexa Fluor 488又はAlexa Fluor 594等のAlexa Fluor色素、Cy2、Cy3、Cy5又はCy7などのシアニン色素、クマリン、R-フィコエリトリン、アロフィコエリトリン、XL665などの修飾アロフィコシアニン、テキサスレッド、プリンストンレッド、フィコビリプロテイン、ユーロピウムクリプテート、XL665、アビジン、ストレプトアビジン、ローダミン、エオシン、エリスロシン、ナフタレン、ピレン、ピリジルオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール及びスルホインドシアニン、それらの誘導体又はそれらの複合体等を挙げることができる。本発明においては、これらに代表されるドナー分子とアクセプター分子の中からFRETを可能とする上記の要件を満たす組合せを選択して使用することができる。

【0031】
本発明で使用される前記蛍光化合物の適当な組合せの例としては、ローダミンBスルホニルクロリド及びフルオレセインマレイミド、N-ヨードアセチル-N′-(5-スルホ-1-ナフチル)エチル-エンジアミン(1,5-IAEDANS)又はヨードアセトアミドとスシンイミジル6-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)ヘキサノエート(NBD-X,SE)、(ジエチルアミノ)クマリン(DEAC)又はN-メチル-アントラニロイルデオキシグアニンヌクレオチド(例えばMantdGDP又はMantdGTP)とsNBD(スクシンイミジル6-[(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ]ヘキサノエート)などを挙げることができる。これらの蛍光化合物による、前記CrkL誘導体への結合(修飾)は、当業者に知られたタンパク質の化学修飾法(例えば、架橋)に従って行うことができる。

【0032】
《融合ポリペプチド》
本発明のポリペプチドは融合ポリペプチドでもよく、前記CrkL誘導体に蛍光タンパク質などが結合した本発明のポリペプチドを融合ポリペプチドと称することがある。融合ポリペプチドは、前記ドナー又はドナー結合タグとして、蛍光タンパク質生物発光タンパク質、又は蛍光化合物結合ポリペプチドが前記CrkL誘導体のN末端又はC末端の一方に結合し、前記アクセプター又はアクセプター結合タグとして、蛍光タンパク質、又は蛍光化合物結合ポリペプチドが、前記CrkL誘導体のN末端又はC末端の他方に結合している。
本明細書において、「ドナー結合タグ」又は「アクセプター結合タグ」とは、蛍光化合物が結合することのできるポリペプチド(アミノ酸配列)を意味する。蛍光化合物のタグへの結合は限定されるものではなく、例えば蛍光化合物が特異的に結合するポリペプチド(アミノ酸配列)をタグとして用い、蛍光化合物をタグに結合させてもよく、ポリペプチド(アミノ酸配列)に結合する抗体(例えばモノクローナル抗体)を蛍光化合物で標識し、蛍光化合物をタグ(ポリペプチド)に結合させてもよい。

【0033】
(蛍光タンパク質)
本発明の融合タンパク質に用いる蛍光タンパク質としては、種々の生物由来の蛍光タンパク質を利用することができるが、特に発光クラゲの一種であるイクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)に由来する蛍光タンパク質、いわゆるGFP(Green Fluorescent Protein)が好ましい。

【0034】
GFPは、395nmに励起極大を示す励起スペクトルと509nmに発光極大を示す発光スペクトルを有し、緑色に発光するタンパク質である(Chalfieら、Science、1994年、第263巻、第802-805頁)が、特定のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換させた、GFPとは異なる励起・発光極大を有する人為的変異体であるBFP(Heimら、1994年、Proc.Nat1.Acad.Sci.USA、第91巻、第12501-12504頁)、CFP(Heimら、Curr.Biol.、1996年、第6巻、第178-182頁)、YFP(Ormoら、1994年、Science、第273巻、第1392-1395)などが開発されている。また、それぞれの蛍光強度が高められたさらなる変異体も開発されている。更に、発光クラゲとは異なる種由来の蛍光タンパク質としてDsRed(Terskikhら、2000年、Science、第290巻、第1585-1588頁)も単離されている。また、蛍光タンパク質として、Midoriishiの触手からクローニングされたMidoriishi-Cyan(MiCy)(Karasawaら、Biochem J.2004年、第381巻、第307-12頁)、KusabiraishiからクローニングされたKusabira-Orange(KO)及びその単量体であるmKOを用いることもでき、MiCy及びmKOの組み合わせで、FRETを誘導することができる。

【0035】
本発明の融合ポリペプチドにおいては、前記の蛍光タンパク質の中から、前記のFRETを可能とする要件を満たす組合せを選択して使用することが好ましい。本発明の融合ポリペプチドにおいて最も好ましい蛍光タンパク質の組合せは、CFP(ドナー分子)とYFP(アクセプター分子)である。本発明のポリペプチドにおいては、N末端とC末端に連結させる蛍光タンパク質は、相互に位置を入れ替えて使用してもよい。
更に、蛍光タンパク質は、アミノ酸配列の順序を変更されたものでもよい。例えば、CFPの1~172番目までのアミノ酸配列と173~238番目までのアミノ酸配列を前後するように入れ替えたcpCFP(circular permutated CFP)、すなわちCFPの173番目のアミノ酸が新たにN末端となり、172番目のアミノ酸が新たにC末端となる様にアミノ酸配列が入れ替えたCFPの変異体(以下、CFP173変異体とする)を用いることができる。前記CFP173変異体を用いることによって、検出感度が上昇させることができる。

【0036】
(生物発光タンパク質)
本発明の融合タンパク質に用いる生物発光タンパク質は、生物由来の生物発光タンパク質である限りにおいて限定されるものではないが、例えばホタルルシフェリン、ウミホタルルシフェリン、ウミシイイタケルシフェリン、バクテリアルルシフェリン、オキアミルシフェリン、過鞭毛藻ルシフェリン、ラチアルルシフェリン、若しくはミミズルシフェリン、又はこれらのルシフェリンの誘導体を挙げることができる。

【0037】
(蛍光化合物結合ポリペプチド)
本発明の融合タンパク質に用いる蛍光化合物結合ポリペプチドは、蛍光化合物が結合する限りにおいて限定されるものではない。例えば、1つの態様として、蛍光化合物が特異的に結合するアミノ酸配列を含むポリペプチド(例えば、Halo Tag)を挙げることができる。また、別の態様としてポリペプチドに特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)に蛍光化合物を標識したものを用いることもできる。この場合、蛍光化合物結合ポリペプチドとして、抗体が結合するポリペプチドを用いることができる。

【0038】
更に、FRETを誘導することのできるドナー及びアクセプターの蛍光タンパク質、蛍光化合物、又は生物発光タンパク質の組み合わせとしては、例えばSirius及びmseCFP、EBFP及びC-S65T、mTFP1及びeYFP、T-Sapphire及びmOrange、mAmetrine及びtdTomato、T-Sapphire及びPSmOrange2、mCellurian及びmCitrine、mTurquoise及びeYFP、eCFP及びtdTomato、eCFP及びmDsRed、eCFP及びYPet、CyPet及びYPet、LSSmOrange及びLSSmKate2、mTurquiose及びcpVenus、CFP及びYFP、CFP及びcpVenus、mseCFP及びPA-GFP、mTFP1及びmCitrine、GFP及びTMR、GFP及びAlexa546、eGFP及びmStrawberry、eGFP及びHalo-TMR、Alexa488及びAlexa594、Alexa488及びTMR、eGFP及びmDsRed、eGFP及びmRFP、sYFP及びmRFP、TagGFP及びTagRFP、TMR及びAtto647、Cy3及びAtto647N、TMR及びCy5、TMR及びIC5、Clover及びmRuby2、Cy3及びCy5、mKO及びmCherry、tagRFP及びmPlum、mOrange2及びmKate2、mOrange及びmCherry、Qdot及びCy3、QDot525及びCy3、RLuc及びEYFP、RLuc8及びEYFP、RLucX及びVenus、又はcpeCFP及びmVenus等を挙げることができる。

【0039】
(融合ポリペプチド)
本発明の融合ポリペプチドは、前記CrkLの誘導体のC末端又はN末端に、直接又はペプチドリンカーを介して、蛍光タンパク質、発光タンパク質及び蛍光化合物結合ポリペプチドから選択される2つの組み合わせを結合させることにより得ることができる。融合ポリペプチドとしては、前記のCrkL誘導体と、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質又は蛍光化合物(蛍光化合物結合ポリペプチド)の2つの組み合わせとを限定することなく用いることができるが、例えば全長のCrkL誘導体のN末端にYFPが結合し、そしてC末端にCFPが結合した本発明のポリペプチド1に属する融合ポリペプチド(配列番号4)を挙げることができる。また、CrkLの1~222番の鎖長のCrkL誘導体のN末端にYFPが結合し、そしてC末端にCFPが結合した本発明のポリペプチド2に属する融合ポリペプチド(配列番号6)を挙げることができる。更に、CrkLの1~222番の鎖長のCrkL誘導体のN末端にYFPが結合し、そしてC末端にCFP173変異体が結合した本発明のポリペプチド2に属する融合ポリペプチド(配列番号8)を挙げることができる。また、CrkLの1~222番の鎖長のCrkL誘導体のN末端にYFPが結合し、そしてC末端にCFP173変異体が結合させ、更にYFPのN末端にプロテイン・カイネースA・インヒビター(Protein kinase A inhibitor:PKI)の核外搬出シグナル(Nuclear export signal:NES)、すなわち「LALKLAGLDI」(配列番号22)を有する本発明のポリペプチド2に属する融合ポリペプチド(配列番号19)を挙げることができる。

【0040】
(リンカーペプチド)
本発明の融合ポリペプチドにおいて、例えばCrkL誘導体及び蛍光タンパク質は、リンカーペプチドによって結合することができる。すなわち、CrkL誘導体のN末端(アミノ末端)側、又はC末端(カルボキシル末端)側において、リンカーペプチドを介して蛍光タンパク質を結合することができる。リンカーペプチドは、本発明のポリペプチドのFRETを極端に阻害しないものが好ましい。リンカーペプチドの鎖長は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。具体的なアミノ酸配列としては、「GGS」、「RGR」、「CGR」、「GGR」、「LE」、又は「GGSGG(配列番号15)」を挙げることができる。

【0041】
本発明の融合ポリペプチドは、好ましくは配列番号4で表されるアミノ酸配列における545番~547番の少なくとも1つのアミノ酸、配列番号6で表されるアミノ酸配列における464番~466番の少なくとも1つのアミノ酸、配列番号8で表されるアミノ酸配列における464番~466番の少なくとも1つのアミノ酸、又は配列番号19で表されるアミノ酸配列における468番~470番の少なくとも1つのアミノ酸が置換されている。この置換により、プロテアーゼなどによる切断が抑制される。
更に、本発明の融合ポリペプチドの1つの態様においては、核外搬出シグナル(NES)を含むことができる。NESを有することによって、ポリペプチドを核外に移行させ、核のプロテアーゼの影響を受けにくくすることができる。従って、核外搬出シグナル(NES)を有する融合ポリペプチドは、プロテアーゼによる切断が抑制される。核外搬出シグナル(NES)のペプチドは、「LxxxLxxLxL」の配列を有するペプチドであり、「L」は疎水性アミノ酸を意味し、xは任意のアミノ酸を意味する。疎水性アミノ酸は、通常ロイシン(L)が多いが、イソロイシン(I)又はバリン(V)でもよい。本発明の融合ポリペプチドに含むことのできる核外搬出シグナル(NES)のペプチドは、前記「LxxxLxxLxL」の構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。

【0042】
前記融合ポリペプチドは、本分野において公知の遺伝子工学の技術を用いて発現及び精製させ、チロシンキナーゼ活性の測定方法に用いることができる。
(融合ポリヌクレオチド)
前記融合ポリペプチドの発現に用いるポリヌクレオチドは、本発明の融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、融合ポリヌクレオチドと称することがある)である。融合ポリヌクレオチドは、CrkL誘導体をコードするポリヌクレオチド(以下、CrkL誘導体ポリヌクレオチドと称することがある)、及び蛍光タンパク質をコードするポリヌクレオチド(以下、蛍光タンパク質ポリヌクレオチドと称することがある)、生物発光タンパク質をコードするポリヌクレオチド(以下、物発光タンパク質ポリヌクレオチドと称することがある)及び蛍光化合物結合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、蛍光化合物結合ポリヌクレオチドと称することがある)から選択される2つが結合したものである。蛍光タンパク質ポリヌクレオチド、生物発光タンパク質ポリヌクレオチド又は蛍光化合物認識ポリペプチドは、CrkL誘導体ポリヌクレオチドの3’末端及び5’末端に結合することができる。その組み合わせは、蛍光タンパク質ポリヌクレオチド及び蛍光タンパク質ポリヌクレオチド、蛍光タンパク質ポリヌクレオチド及び蛍光化合物結合ポリヌクレオチド、蛍光化合物結合ポリヌクレオチド及び蛍光化合物結合ポリヌクレオチド、蛍光タンパク質ポリヌクレオチド及び生物発光タンパク質ポリヌクレオチド、又は蛍光化合物結合ポリヌクレオチド及び生物発光タンパク質ポリヌクレオチドを挙げることができる。
更に、融合ポリヌクレオチドは、リンカーポリペプチドをコードするヌクレオチド(以下、リンカーヌクレオチドと称することがある)を含んでもよい。

【0043】
(組換えベクター)
前記融合ポリヌクレオチドは、発現ベクターに組み込むことによって、融合ポリペプチドとして、発現させることができる。前記発現ベクターに融合ポリヌクレオチドを組み込むことによって、組換えベクター(以下、融合ポリペプチドベクターと称することがある)を得ることができる。
前記組換えベクターに用いることのできるベクターとしては、宿主細胞において複製可能である限り、プラスミド、ファージ、又はウイルス等のいかなるベクターも用いることができる。例えば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pKC30、pCFM536等の大腸菌プラスミド、pUB110等の枯草菌プラスミド、pG-1、YEp13、YCp50等の酵母プラスミド、λgt110、λZAPII等のファージのDNA等が挙げられ、哺乳類細胞用のベクターとしては、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス等のウイルスDNA、SV40とその誘導体等が挙げられる。ベクターは、複製開始点、選択マーカー、プロモーターを含み、必要に応じてエンハンサー、転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル等を含んでいてもよい。

【0044】
(形質転換細胞)
前記組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより、形質転換細胞を得ることができる。すなわち、形質転換細胞は、前記融合ポリペプチドベクターを含む。
本発明の組換えベクターを含む宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌等の細菌細胞、アスペルギルス属菌株等の真菌細胞、パン酵母、メタノール資化性酵母等の酵母細胞、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞、CHO、COS、BHK、3T3、C127等の哺乳類細胞等を用いることができる。

【0045】
[2]チロシンキナーゼ活性の測定方法
本発明のBCR-ABLのチロシンキナーゼ活性の測定方法は、(1)本発明のポリペプチド(融合ポリペプチドを含む)及び患者由来の細胞を接触させる工程、及び(2)前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を検出する工程、を含む。本明細書において「蛍光発光」とは、BRETにおいて、励起光を与えることなく、基質からのエネルギー移動による発光を含むものである。
また、通常アクセプターの蛍光発光を測定することによって、FRETを測定することが可能であるが、アクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光の比を測定すること、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの蛍光発光の比を測定することによって、より確実にFRETを測定することもできる。
また、本発明のポリペプチドとして、ドナー結合タグ(蛍光化合物結合ポリペプチド)又はアクセプター結合タグ(蛍光化合物結合ポリペプチド)を有するポリペプチドを用いる場合、患者由来細胞との接触工程(1)において、これらのタグと結合する蛍光化合物を細胞と接触させることが好ましい。
本発明のチロシンキナーゼ活性の測定方法によって測定することのできるチロシンキナーゼは、CrkL(又はCrk)を基質とするチロシンキナーゼである限りにおいて、限定されるものではないが、BCR-ABL、上皮増殖因子受容体(Epidermal growth factor receptor;EGFR)、又はc-Ablを挙げることができる。
本発明のポリペプチドに含まれるCrkL誘導体が、例えばBCR-ABLによってリン酸化されることによって、FRETが誘導される。従って、FRETを測定することによって、BCR-ABLによるリン酸化を測定することができる。
BCR-ABLは、フィラデルフィア(Ph)染色体転座の結果として得られるbcr-abl融合遺伝子にコードされる、恒常的なチロシンキナーゼ活性をもつ細胞質タンパク質である。生体内の種々のタンパク質を基質として認識してそのチロシン残基をリン酸化する、チロシンキナーゼ活性を有する。CrkLは、BCR-ABLによってリン酸化される基質タンパク質の代表例である。

【0046】
本発明のポリペプチドと患者由来の細胞との接触は、特に限定されるものではなく、細胞内での接触でもよく、細胞外での接触でもよい。例えば、細胞内での接触の場合、タンパク質が細胞内に取り込まれることにより、細胞内で接触してもよく、細胞内に発現ベクターをトランスフェクションして細胞内で本発明のポリペプチドを発現させることによって、細胞内で接触してもよい。また、細胞外での接触の場合、本発明のポリペプチドと細胞膜とが接触してもよい。また、細胞を溶解して細胞抽出物と接触させることも、細胞外での接触に含まれる。本発明のBCR-ABLのチロシンキナーゼ活性の測定方法によって、チロシンキナーゼ活性を測定される細胞は、CrkL(又はCrk)を基質とするチロシンキナーゼを有する限りにおいて、限定されるものではないが、腫瘍細胞が好ましく、特には慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)の患者、頭頸部癌患者、大腸癌患者、乳癌患者、腎癌患者、胃癌患者、卵巣癌患者、又は肺癌患者の細胞が好ましい。

【0047】
[3]チロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認する方法
本発明のチロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認する方法は、(1)チロシンキナーゼ阻害剤、本発明のポリペプチド、及び患者由来の細胞を接触させる工程、及び(2)前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を検出する工程、を含む。前記接触工程(1)において、チロシンキナーゼ阻害剤を存在させることを除いては、前記のチロシンキナーゼ活性の測定方法と同じように実施することができる。すなわち、チロシンキナーゼ阻害剤によって、抑制された細胞のチロシンキナーゼ活性を測定することによって、チロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認することが可能である。
具体的には、例えばBCR-ABL又はEGFRが含まれると想定される患者から採取された検体とチロシンキナーゼ阻害剤とを共存させると、チロシンキナーゼ阻害剤がBCR-ABL又はEGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害するものである場合には、CrkL誘導体のチロシン残基のリン酸化が阻害される結果、FRETによる蛍光(発光)強度が減少あるいは観測されなくなる。したがって、このFRETを測定することで、患者から採取された検体に含まれると想定されるBCR-ABL又はEGFRが前記チロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性を示すか否かを確認することができる。
また、前記チロシンキナーゼ活性の測定方法と同様に、本発明のポリペプチドとして、ドナー結合タグ(蛍光化合物結合ポリペプチド)又はアクセプター結合タグ(蛍光化合物結合ポリペプチド)を有するポリペプチドを用いる場合、患者由来細胞との接触工程(1)において、これらのタグと結合する蛍光化合物を細胞と接触させることが好ましい。

【0048】
本発明のチロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認する方法において、用いられるチロシンキナーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、例えば、イマチニブ(imatinib)、ダサチニブ(dasatinib)、ゲフェチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib、ニロチニブ(nilotinib)、又はボスチニブ(bosutinib)を、挙げることができる。

【0049】
[4]チロシンキナーゼ活性に対する阻害剤をスクリーニングする方法
本発明のチロシンキナーゼ活性に対する阻害剤をスクリーニングする方法は、(1)試験化合物の存在下で、本発明のポリペプチド及びBCR-ABL又はEGFRを接触させる工程、及び(2)前記アクセプターの蛍光発光、又はアクセプターの蛍光発光及びドナーの生物発光若しくは蛍光発光を測定する工程、を含む。
前記チロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を確認する方法における、チロシンキナーゼ阻害剤を、試験化合物に置き換えることによって、試験化合物のスクリーニングを行うことができる。すなわち、チロシンキナーゼ活性を阻害すると期待される物質のBCR-ABL又はEGFRのチロシンキナーゼ活性に対する阻害作用を検出することができる。このチロシンキナーゼ活性に対する阻害作用は定量化することもできる。
また、本発明のポリペプチドとして、ドナー結合タグ(蛍光化合物結合ポリペプチド)又はアクセプター結合タグ(蛍光化合物結合ポリペプチド)を有するポリペプチドを用いる場合、BCR-ABL又はEGFRとの接触工程(1)において、これらのタグと結合する蛍光化合物を細胞と接触させることが好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0051】
《参考例1》
本参考例では、CrkLの1~222番のポリペプチドのN末端にYFP(単量体型Venus;m1Venus)及びC末端にCFP173変異体が結合したFRET用ポリペプチドを発現する発現ベクターpPickles_2.31を構築した。
【実施例】
【0052】
pPickles_2.3(特許文献1に記載)のYFP(Venus)の207番のアラニン(A)をリシン(K)に置換させ、pPickles_2.31を得た。
具体的には、pCRII-TOPO-Venusを鋳型として、2 step PCR-mediated mutagenesisを用いて、207番のアラニン(A)をリシン(K)に変異させるプライマーによってPCRを行なった。DNA断片の末端には、EcoRI及びNotIサイトを導入するようにプライマーを設計した。pPickles_2.3及び得られたDNA断片をEcoRI及びNotIで消化し、pPickles_2.3のEcoRI/NotIサイトに、前記DNA断片をライゲーションにより結合させ、pPickles_2.31を得た。
【実施例】
【0053】
《解析例1》
本解析例では、前記pPickles_2.31を用いて、細胞内における従来のフェルスター共鳴エネルギー移動用ポリペプチドの蛍光の測定を行った。
293F細胞に、参考例1で得たpPickles_2.31を、293fectin(Invitrogen)を用いて遺伝子導入した。24時間後に細胞を低速遠心で回収し、フェノールレッド不含RPMI培地(Gibco)に再懸濁し、35mmガラス底ディッシュ(IWAKI)に播種した。以下の構成のイメージングワークステーションを用いてCFP及びYFPの蛍光画像を取得した。バックグラウンド除去後、それぞれの細胞の有するCFPとYFP蛍光強度データをマイクロソフトエクセルに書き出し、プロットした。結果を図1に示す。
ワークステーション構成
顕微鏡:オリンパスIX71
CCDカメラ:CoolSNAP HQ(日本ローパー)
フィルターホイル:Mac 5000(Ludl)
フィルター:すべてOmega社
CFP励起,XF1071;CFP吸収,XF3075;YFP励起,XF1068;YFP吸収,XF3079
制御及び解析ソフト:MetaMorph(モレキュラーデバイスジャパン)
【実施例】
【0054】
図1は、293F細胞を蛍光顕微鏡で観察・撮像し、CFPの蛍光強度を横軸、YFPの蛍光強度を縦軸にプロットしたものである。Pickles 2.31はCFPとYFPを1:1で含むため、理論上は、CFPとYFPの蛍光強度は比例関係になり直線上に分布するはずである。しかしながら、Pickles 2.31は、CFPとYFPの値にばらつきが見られ、YFPあるいはCFPが著しく過多の細胞も少なくない。この結果は、細胞内において発現したPickles 2.31が複数箇所で切断され、細胞ごとにYFP又はCFPを含む断片の分解が異なるために、それぞれの細胞における蛍光強度がばらついているものと考えられた。
【実施例】
【0055】
《解析例2》
本解析例では、Pickles 2.31の切断部位の解析に用いるため、Pickles 2.0(特許文献1に記載)のYFPをFlagペプチドに入れ換えたポリペプチドをコードするベクターFlag-pPickles_2.0を構築し、ウエスタンブロットにより切断部位を解析した。
(1)Flag-pPickles_2.0の構築
pPickles_2.0(特許文献1に記載)を鋳型として、CrkLの1~222番のアミノ酸配列を含み、増幅後のDNA断片が、5’及び3’末端にそれぞれ制限酵素XhoIとNotIの認識配列が導入された塩基配列を有するように設計・合成されたプライマーDNAを用いてPCR反応を行って増幅DNA断片を得た。得られた増幅DNA断片を、制限酵素XhoIとNotIで開環させたpCXN2-Flag-CFPCベクター(5‘側にFlagを有し、3’側にCFPを有するベクター)に組み換えて、Flag-pPickles_2.0(pCXN2-Flag-CrkL-CFPC)を得た。
【実施例】
【0056】
(2)ウエスタンブロットによる解析
前記Flag-pPickles_2.31及びBCR-ABLを、293fectinを用いて293F細胞にトランスフェクションした。48時間後に、細胞を回収し、1×SDSサンプルバッファー(60mM Tris-HCl pH6.6、12%(v/v)glycerol、2%SDS、0.004%ブロモフェノールブルー、5%(v/v)2-メルカプトエタノール)を用いて可溶化した。超音波処理後の組織懸濁液を10000rpmで5分遠心後、上清をサンプルとして使用した。95℃で5分インキュベートした。12%のSDSポリアクリルアミドゲルを用いて、サンプルを電気泳動後、PVDF膜に転写し、抗ABL抗体、抗リン酸化CrkL(pCekL)抗体(#3181 Cell Signaling Technology)、抗CrkL抗体(#3182 Cell Signaling Technology)、抗Flag抗体(Sigma)、又は抗GFP抗体(松田道行博士より分与)を反応させた。二次抗体としてはHRP標識抗マウスIgG抗体を反応させ、ECL Western Blotting DetectionPlus(GE HealthCare社)を用い、シグナルを検出した。結果を図3に示す。
図3に示すように、抗リン酸化CrkL(pCrkL)抗体は、CrkLの207番目のリン酸化されたチロシンを認識し、抗CrkL抗体は、CrkLのSH2領域を認識する。また、Flag抗体は、Flagの検出に用い、抗GFP抗体はCFPの検出に用いた。抗ABL抗体はBCR-ABLの検出に用いたが、図3に示すようにBCR-ABLをトランスフェクションした細胞では、BCR-ABLが検出された。
写真中の(A)で示した切断断片の分子量から、SH2領域とSH3領域の結合部分付近の切断部位の存在が推定された。また、写真中の(B)で示した切断断片の分子量から、SH3領域とCFPの結合部分付近の切断部位の存在が推定された。
【実施例】
【0057】
《解析例3》
本解析例では、Pickles 2.31の切断部位、特に前記解析例1における(B)の切断部位の解析に用いるため、Flag-pPickles_2.0(pCXN2-Flag-CrkL-CFPC)のCFPをCFP174変異体(cpCFP)に入れ換えたポリペプチドをコードするベクターFlag-pPickles_2.31を構築し、ウエスタンブロットにより切断部位を解析した。
(1)Flag-pPickles_2.31の構築
pPickles_2.31を制限酵素NotI及びBglIIで消化し、CFP174変異体(cpCFP)を含むDNA断片を切り出した。得られたDNA断片を、制限酵素NotI及びBglIIで開環させた、前記Flag-pPickles_2.0(pCXN2-Flag-CrkL-CFPC)ベクターに組み換えて、Flag-pPickles_2.0を得た。
(2)ウエスタンブロットによる解析
Flag-pPickles_2.0、及びFlag-pPickles_2.31を用い、解析例2(2)の操作を繰り返してウエスタンブロットを行った。抗体は、抗CrkL抗体のみを用いた。結果を図4に示す。
本解析例の目的は、(B)示した切断部位が、CFPのアミノ酸配列に存在するか、又はCrkLのアミノ酸配列に存在するかを確認することである。Flag-pPickles_2.31に含まれるcpCFPは、CFPの173番目のアミノ酸からはじまり、1番目のメチオニンは矢頭の位置にあるので、もし切断部位がCFP内部であれば、切断された断片の分子量が変わるはずである。Flag-pPickles_2.0、及びFlag-pPickles_2.31のいずれを用いた場合も、同じサイズのバンドが検出されたため、切断部はCFPのアミノ酸配列には存在しないことがわかった。
【実施例】
【0058】
《解析例4》
本解析例では、Pickles 2.31の切断部位(B)の切断を抑制するために、94番目のアスパラギン酸(D)をアラニン(A)に置換した。切断の抑制の確認のために、前記解析例1で構築したFlag-pPickles_2.31に、変異を導入したFlag-pPickles_2.31-D94Aを作成した。更に、CrkLの1~222番目のポリペプチドを、CrkLの全長のポリペプチドに置き換えたFlag-pPickles_1.0-D94Aを作成し、ウエスタンブロットにより解析した。
(1)Flag-pPickles_2.31-D94A及びFlag-pPickles_1.0-D94Aの構築
前記94番目のアスパラギン酸(D)をアラニン(A)への置換は、QuickChange(Agilent Technologies)を用いて行った。Flag-pPickles_2.31を鋳型として、以下の2つのプライマーを用い、添付のプロトコールに従って、置換を導入した。
hCrkL_D94A_F:AGATCCACTACCTGGCCACCACCACCCTCAT(配列番号16)
hCrkL_D94A_R:ATGAGGGTGGTGGTGGCCAGGTAGTGGATCT(配列番号17)
得られたベクターをFlag-pPickles_2.31-D94Aと称する。
【実施例】
【0059】
Flag-pPickles_1.0-D94Aは、以下の通り構築した。
pCR2.1-CrkLベクターを鋳型として、QuickChange(Agilent Technologies)を用いて、94番目のアスパラギン酸(D)をアラニン(A)に置換されたCrkLの全長を含むベクターを得た。具体的には、前記hCrkL_D94A_Fプライマー及びhCrkL_D94A_Rプライマーを用いて、添付のプロトコールに従って、pCR2.1-CrkLベクターに置換を導入した。得られたベクターをXhoI及びNotIで消化し、DNA断片を得た。また、Flag-Pickles_2.3-(CFPC)をXhoI及びNotIで消化し開環させた。得られたベクターに、前記DNA断片をライゲーションにより結合させ、Flag-pPickles_1.0-D94Aを得た。
【実施例】
【0060】
(2)ウエスタンブロットによる解析
Flag-pPickles_2.31-D94A、及びFlag-pPickles_1.0-D94Aを用い、解析例2(2)の操作を繰り返してウエスタンブロットを行った。コントロールとして、Flag-pPickles_2.31を用いた。抗体は、抗CrkL抗体及び抗GFP抗体を用いた。結果を図5に示す。
【実施例】
【0061】
抗CrkL抗体でのウエスタンブロットの写真から、Flag-pPickles_2.31-D94A、及びFlag-pPickles_1.0-D94Aを導入した細胞では、「(A切断無し)」の矢印で示したCrkLのN末側の切断が阻害されたバンドが検出された。また、抗GFP抗体でのウエスタンブロットの写真では、Flag-pPickles_2.31を導入した細胞では、「(A)」の矢印で示したCrkLのN末側が切断されたバンドが、Flag-pPickles_2.31-D94A、及びFlag-pPickles_1.0-D94Aを導入した細胞では、消失しており(サイズが大きくなり)切断が阻害されたことが分かった。限定されるものではないが、CrkLは91番のヒスチジン(H)及び97番のスレオニン(T)の間で切断されているものと推定される。
更に、抗GFP抗体でのウエスタンブロットの写真では、Flag-pPickles_1.0-D94Aを導入した細胞において、(B)及び(B‘)で示す2つのバンドが出現した。これはC末側の(B)の切断部位が2箇所あり、1箇所はSH3領域内に、もう1箇所はリンカー部分に存在すると推定された。
【実施例】
【0062】
《実施例1》
本実施例では、Pickles_2.31において、94番目のアスパラギン酸(D)をアラニン(A)への置換を行った。
前記94番目のアスパラギン酸(D)をアラニン(A)への置換は、QuickChange(Agilent Technologies)を用いて行った。pPickles_2.31を鋳型として、以下の2つのプライマーを用い、添付のプロトコールに従って、置換を導入した。
hCrkL_D94A_F:AGATCCACTACCTGGCCACCACCACCCTCAT(配列番号16)
hCrkL_D94A_R:ATGAGGGTGGTGGTGGCCAGGTAGTGGATCT(配列番号17)
得られたベクターをpPickles_4.31と称する。
【実施例】
【0063】
《実施例2》
本実施例では、CML患者由来の骨髄単核球におけるPickles 4.31のN末側での切断の抑制を検討した。
実施例1で得られたpPickles_4.31及びコントロールとしてpPickles 2.31を、CML患者由来の保存骨髄単核球に電気穿孔法で導入した。24時間後に、Imatinibを2μM、又はNilotonibを4μMを添加し、更に24時間培養した。フローサイトメーター(三井造船社製、Flicyme 300)を用いて各細胞の蛍光強度を取得し、データをFlowJoにインポートした後FL1とFL2の蛍光強度に基づき2次元プロットした。結果を図6に示す。
Imatinib添加、及びNilotonib添加のいずれにおいても、Pickles 2.31では、YFP過剰細胞(左上点線枠内)が存在した。一方、Pickles 4.31では、YFP過剰細胞が有意に減少した。
すなわち、94番目のアスパラギン酸(D)をアラニン(A)への置換により、Pickles 2.31において見られたN末側の切断が抑制された。
【実施例】
【0064】
更に、実際の解析細胞数、評価対象細胞数、CFP切断細胞数、及びYFP切断細胞数を計数した。結果を表1に示す。
【表1】
JP0006473080B2_000002t.gif
【実施例】
【0065】
CML薬効検査では、総解析細胞数(データをとりこんだ全ての細胞)のうち、図2に示したCFP過剰細胞とYFP過剰細胞を評価対象から除外し、残った細胞で薬効評価を行なっている。評価対象細胞数は患者により様々である。表1に示した患者においては特にCFP切断細胞及びYFP切断細胞が多く、Pickles 2.31では100個以上の評価対象細胞を確保するために1000個近い細胞の観察及び解析が必要であった。Pickles 4.31によりYFP切断細胞数は0となった。評価対象細胞%は、Pickles 2.31の15%から35%に向上した。今回の患者では300個程度の解析で、評価対象細胞数を得ることができるものと推定できた。
【実施例】
【0066】
《実施例3》
本実施例では、Pickles 4.31に、プロテイン・カイネースA・インヒビター(Protein kinase A inhibitor:PKI)の核外搬出シグナル(Nuclear export signal:NES)を導入した。
具体的には、Venusの遺伝子を含むpFX-Venus-FATベクターを鋳型として、Venusの全長のアミノ酸配列を含み、増幅後のDNA断片が、5’末端にそれぞれ制限酵素XbaIの認識配列とPKIのNES配列に相当する107~141番のアミノ酸および制限酵素EcoRIとBamHIの認識配列を、及び3’末端に制限酵素BglIIの認識配列が導入された塩基配列を有するように設計及び合成された以下のプライマーDNAを用いてPCR反応を行って増幅DNA断片を得た。
【化1】
JP0006473080B2_000003t.gif
reverse primer(CFP-STOP-PspOMI-BglII-rv):CCAGATCTGGGCCCTCAGGCGGCGGTCACGAAC(配列番号21)
得られた増幅DNA断片を、制限酵素XbaIとBglIIで開環させたpFX-Pickles3.31ベクターに組み換えて、pFX-NES-Venusベクターを得た。なお、前記pFX-Pickles3.31ベクターは、pPickles2.31ベクターのCrkL内のEcoRI切断部位を、アミノ酸を変異させずに、点突然変異により欠失させ、更にプロモーターをCMVプロモーターに変更したベクターである。
前記実施例1で得たpPickles4.31から制限酵素EcoRIとBglIIで抜き出したPickles4.31を、制限酵素EcoRIとBglIIで開環させたpFX-NES-Venusベクターに組み換えて、pFX-Pickles4.31NESベクターを得た。
【実施例】
【0067】
《実施例4》
本実施例では、実施例1で得られたpPickles4.31ベクター、及び実施例3で得たpFX-Pickles4.31NESベクターを用い、解析例1に従って、評価可能な細胞数を解析した。
CML患者由来の骨髄単核球に、pPickles4.31ベクター又はpFX-Pickles4.31NESベクターを、293fectin(Invitrogen)を用いて遺伝子導入した。24時間後に細胞を低速遠心で回収し、フェノールレッド不含RPMI培地(Gibco)に再懸濁し、35mmガラス底ディッシュ(IWAKI)に播種した。以下の構成のイメージングワークステーションを用いてCFP及びYFPの蛍光画像を取得した。バックグラウンド除去後、それぞれの細胞の有するCFPとYFP蛍光強度データをマイクロソフトエクセルに書き出し、プロットした。結果を図7に示す。
ワークステーション構成
顕微鏡:オリンパスIX71
CCDカメラ:CoolSNAP HQ(日本ローパー)
フィルターホイル:Mac 5000(Ludl)
フィルター:すべてOmega社
CFP励起,XF1071;CFP吸収,XF3075;YFP励起,XF1068;YFP吸収,XF3079
制御及び解析ソフト:MetaMorph(モレキュラーデバイスジャパン)
【実施例】
【0068】
図7に示すように、Pickles 4.31はCFPとYFPとの蛍光強度が比例関係にある細胞が多く、評価対象細胞数%が13.7%であった。一方、Pickles4.31NESは、更に解析可能な細胞が増加し、評価対象細胞数%は35.6%であった。Pickles4.31NESは、核外搬出シグナル(NES)を含むため、核のプロテアーゼの影響を受けにくくなり、解析可能な細胞が増加したものと考えられる。なお、実施例2で、CML患者由来の骨髄単核球におけるpPickles_4.31を用いた評価対象細胞%が35%であるのに対し、本実施例ではpPickles4.31を用いた評価対象細胞%が13.7%であった。これはCML患者ごとに、骨髄単核球中のプロテアーゼ活性等が大きく異なり、ばらつきがあるためである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のポリペプチドは、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)に用いることができる。具体的にはCML患者におけるBCR-ABLのチロシンキナーゼ活性を測定することが可能である。従って、CML患者の治療に用いるチロシンキナーゼ阻害剤、CML患者の細胞、及び本発明のポリペプチドを共存させることによって、チロシンキナーゼ阻害剤による薬剤耐性を測定することもできる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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