TOP > 国内特許検索 > ファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントム > 明細書

明細書 :ファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-041055 (P2018-041055A)
公開日 平成30年3月15日(2018.3.15)
発明の名称または考案の名称 ファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントム
国際特許分類 G09B  23/28        (2006.01)
C08F   2/44        (2006.01)
FI G09B 23/28
C08F 2/44 B
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2016-206251 (P2016-206251)
出願日 平成28年10月20日(2016.10.20)
優先権出願番号 2016173217
優先日 平成28年9月5日(2016.9.5)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】菅 幹生
出願人 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
審査請求 未請求
テーマコード 2C032
4J011
Fターム 2C032CA00
4J011PA07
4J011PA25
4J011PB23
4J011PC02
4J011PC08
要約 【課題】グリセリンの含有量を少なくし、より均一性の高いファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントムを提供する。
【解決手段】本発明に係るファントムの製造方法は、水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤を混合してアクリルアミドモノマー及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドを共重合させるファントムの製造方法であって、アクリルアミドモノマーの添加重量を1とした場合に、N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で含ませる。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤を混合して前記アクリルアミドモノマー及び前記N,N’-メチレンビスアクリルアミドを共重合させるファントムの製造方法であって、
前記アクリルアミドモノマーの添加重量を1とした場合に、前記N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で含ませるファントムの製造方法。
【請求項2】
前記グリセリンを、前記ファントムの全重量に対し70重量%以下の範囲で含ませる請求項1記載のファントムの製造方法。
【請求項3】
緩和時間調整剤を含む請求項1記載のファントムの製造方法。
【請求項4】
水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤、及び重合促進剤を、前記アクリルアミドモノマーの添加重量を1とした場合に前記N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で混合して前記アクリルアミドモノマー及び前記N,N’-メチレンビスアクリルアミドを共重合させて製造されたファントム。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファントムとは、電磁波や放射線が人体に及ぼす影響を推定するために用いられる人体模型であって、より生体に近い特性となるよう様々な技術が検討されている。
【0003】
例えば下記特許文献1では、寒天やゼラチンを用い、生体に近い粘弾性を実現するために油を付加する技術が開示されている。
【0004】
ところで、エラストグラフィの評価に利用するファントムには、長期安定性、作製再現性、均一性、生体組織に近い粘弾性、利用装置での撮像に耐えうる強度を満たす必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の従来ファントムで利用している寒天やゼラチンなどの天然高分子から形成されるゲルは水素結合とイオン結合などの相互作用が高分子鎖間の架橋を支える力となっているため、長期安定性が小さいといった課題がある。また,水素結合とイオン結合は結合力が弱いため、外力により潰れやすいといった課題がある。
【0006】
また、下記非特許文献1には、ポリアクリルアミドゲルを用いたファントムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】米国特許第7462488号明細書
【0008】

【非特許文献1】http://posterng.netkey.at/esr/viewing/index.php?module=viewing_poster&pi=128661
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記非特許文献1で開示されているようなポリアクリルアミドゲルのような合成高分子は、共有結合によって高分子鎖間の架橋が形成されているため長期安定性が高く非常に丈夫であり好ましい。
【0010】
しかしながら、高分子ゲルの溶媒として水を利用した場合、生体組織に対して粘性率が低く、粘性率を高くするために溶媒にグリセリンのような高粘性物質の含有量を多くする必要があるため、製品として再現良く均一なゲルを製造することが困難であるといった課題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、グリセリンの含有量を少なくし、より均一性の高いファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の一観点に係るファントムの製造方法は、水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤、及び重合促進剤、を混合してアクリルアミドモノマー及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドを共重合させるファントムの製造方法であって、アクリルアミドの添加重量を1とした場合に、N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で含ませるものである。
【0013】
また、本発明の他の一観点に係るファントムは、水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤、及び重合促進剤を、アクリルアミドの添加重量を1とした場合に、N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で混合してアクリルアミドモノマー及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドを共重合させて製造されたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明により、グリセリンの含有量を少なくし、より均一性の高いファントムの製造方法及びこれにより製造されるファントムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る製造方法により作製されるファントムの網目構造のイメージを示す図である。
【図2】実施例に係るファントムの写真図である。
【図3】実施例に係るファントムのT1緩和時間測定の結果を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0017】
(ファントムの製造方法)
まず、本実施形態に係るファントムの製造方法(以下「本製造方法」という。)は、水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤、重合促進剤、及び緩和時間調整剤を混合してアクリルアミドモノマー及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドを共重合させるファントムの製造方法であって、アクリルアミドの添加重量を1とした場合に、N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で含ませることを特徴とする。
【0018】
本製造方法において水は、本製造方法において上記各要素を溶解させるための溶媒として用いられるものである。水の量は、上記の各要素すなわちアクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤、重合促進剤、及び緩和時間調整剤を混合させることができる限りにおいて適宜調整可能であり、これらの添加重量をそれぞれ求めた後、ファントム全体の重量を勘案して定めることができる。
【0019】
本製造方法においてアクリルアミドモノマーは、アクリル酸を母体とするアミドであって、重合させることでポリアクリルアミドとなることができるものである。本製造方法においてアクリルアミドモノマーは、N,N’-メチレンビスアクリルアミドと共重合することにより、網目状の立体構造を形成することが可能であり、ファントムの貯蔵弾性率の増加のために用いられる。なお、図1に、本製造方法によって製造されるファントム中における網目構造のイメージ図を示しておく。
【0020】
本製造方法において、アクリルアミドモノマーの量は、製造するファントムのパラメータに応じて適宜調整可能であるが、より生体に近い粘弾性を実現するためには、例えばファントム全体の重量を1とした場合に、5以上30以下であることが好ましく、より好ましくは20以下である。5以上とすることで十分な貯蔵弾性率を得ることができ、30以下とすることで、必要以上の貯蔵弾性率になってしまうことを防ぐことが可能である。
【0021】
また、本製造方法において、N,N’-メチレンビスアクリルアミドは、重合したアクリルアミド間をつなぐ架橋剤として用いられるものであり、この架橋剤の量を調整することで、ファントムをより生体に近い粘弾性を備えたものとさせる。N,N’-メチレンビスアクリルアミドの量としては、上記アクリルアミドモノマーの添加重量を1とした場合に、0.001以上0.009以下となるようにするが、好ましくは0.0015以上0.006以下の範囲、より好ましくは0.003以上0.006以下の範囲である。0.001未満の場合、ファントム形状を維持することが困難であって、0.009より大きくなると架橋剤による効果として網目が密となりすぎ、十分な粘性値を得ることができない。
【0022】
また、本製造方法においてグリセリンは、粘性(損失弾性率)及び緩和時間を調整するために用いられるものである。
【0023】
本製造方法において、グリセリンの添加量としては、本ファントムの全重量に対し70重量%以下の範囲で含ませることが好ましく、より好ましくは60重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下である。70重量%以下とすることでグリセリンを添加しすぎることによる粘度上昇に起因する不均一性を抑制することが可能となる。
【0024】
また、本製造方法において重合開始剤は、上記N,N’-メチレンビスアクリルアミド、アクリルアミドモノマーの共重合を開始させるために用いられるものである。
【0025】
重合開始剤としては、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えばラジカル重合剤、具体的にはペルオキソ二硫酸アンモニウム等を例示することができる。
【0026】
また重合開始剤の添加量としては、重合を限定されるわけではないが、重合対象となるアクリルアミドモノマーの添加量を1とした場合に、0.005以上0.05以下であることが好ましい。重合開始剤の重量を0.005以上とすることで安定的に重合を開始することができ、0.05以下とすることで不必要な不純物となることを防ぐことができる。
【0027】
また、本製造方法において重合促進剤は、上記N,N’-メチレンビスアクリルアミド、アクリルアミドモノマーの共重合を効率的に行わせるために用いられるものである。
【0028】
この重合促進剤は、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えばN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等を例示することができる。
【0029】
また、本製造方法において、重合促進剤は、重合をより効率的に促進させたい場合に添加するものであって、重合を促進することができる限りにおいて限定されるわけではないが、添加する場合、上記重合開始剤と同様の範囲、すなわち重合対象となるアクリルアミドモノマーの添加量を1とした場合に、0.005以上0.05以下であることが好ましい。重合開始剤の重量を0.005以上とすることで安定的に重合を促進することができ、0.05以下とすることで不必要な不純物となることを防ぐことができる。
【0030】
また、本製造方法において、必要に応じて緩和時間調整剤を添加することも好ましい。緩和時間調整剤は、エラストグラフィ(超音波組織弾性映像法)におけるT、T緩和時間を調整することができるものである。上記グリセリンも緩和時間調整剤としての機能を有するが、これを別途添加することでより効率的に緩和時間を調整することができる。
【0031】
緩和時間調整剤としては、上記機能を有するものである限りにおいて限定されるわけではないが、例えば塩化ニッケル(II)六水和物等を例示することができる。
【0032】
(ファントム)
上記の記載から明らかであるが、上記製造方法の結果、グリセリンの含有量を少なくし、より均一性の高いファントムを製造することができる。具体的に、本実施形態に係るファントムは、水、アクリルアミドモノマー、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、重合開始剤、及び重合促進剤を、N,N’-メチレンビスアクリルアミドの添加重量を1とした場合にアクリルアミドモノマーを、アクリルアミドの添加重量を1とした場合に、N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.001以上0.009より小さい範囲で含ませることを特徴とする。
【0033】
以上、本製造方法は、グリセリンの含有量を少なくし、より均一性の高いファントムの製造方法となる。より具体的には、本製造方法によると、従来は達成できなかった長期安定性、作製再現性、均一性、生体組織に近い粘弾性、利用装置での撮像に耐えうる強度といった全ての条件を満たすファントムを作製可能になる。
【実施例】
【0034】
ここで、上記実施形態に係るファントムについて、実際に製造し、本発明の効果について確認した。以下具体的に説明する。
【0035】
(ファントムA)
まず、下記の組み合わせにて組成物(総重量4kg)を配合し、重合を行った。
【表1】
JP2018041055A_000003t.gif

【0036】
具体的な手順としては、まず、ビーカーに蒸留水と撹拌子を入れ、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(ナカライテスク株式会社:Code:22402-02)をいれ、スターラーにて撹拌、溶解させた。
【0037】
次に、架橋剤N,N’-メチレンビスアクリルアミドと、アクリルアミドモノマーと、を順次加え、スターラーにて撹拌、溶解させた。
【0038】
次に、グリセリンを少しずつ加えて十分撹拌する。均一に混ざった後、ビーカーにラップをかけて蓋をした。
【0039】
その後、溶液温度を5℃に冷却し、重合開始剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウムを加えて撹拌しつつ、重合促進剤としてN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを混ぜながら加えた。
【0040】
そして、十分に重合したことを確認した後、乾燥しないようにラップで蓋をして、5℃にて半日程度冷却し、ファントムを完成させた。
【0041】
なおこの完成したファントムAの貯蔵弾性率G’は約1.41kPa、損失弾性率G’’は約512Paであり、このtanδ(G’’/G’)は、0.36であった。この値は生体の損失正接(tanδ)値0.25~0.3の近傍であり、十分生体に近いものとなっていることを確認した。
【0042】
(ファントムB)
次に、組成物の配合を下記表のように変化させた以外は、上記ファントムAと同様の手順で作製した。なおこの完成したファントムBの貯蔵弾性率G’は約3.08kPa、損失弾性率G’’は約816Paであり、このtanδは0.27であった。この値は生体の損失正接(tanδ)値0.25~0.3の近傍であり、十分生体に近いものとなっていることを確認した。
【表2】
JP2018041055A_000004t.gif

【0043】
(ファントムC)
次に、組成物の配合を下記表のように変化させた以外は、上記ファントムAと同様の手順で作製した。なおこの完成したファントムCの貯蔵弾性率G’は約4.48kPa、損失弾性率G’’は約1130Paであり、このtanδは0.25であった。この値は生体の損失正接(tanδ)値0.25~0.3の近傍であり、十分生体に近いものとなっていることを確認した。
【表3】
JP2018041055A_000005t.gif

【0044】
(架橋剤量の変化(1))
また、上記作製したファントムCにおいて、アクリルアミドモノマーに対する架橋剤の割合を変化させて上記ファントムCを種々作製した。具体的には、アクリルアミドモノマーの重量を1とした場合に、0.001、0.0015、0.002、0.003にそれぞれ変化させて同様のファントムを4種類追加で作製した。なお、上記表で示されるファントムCは、0.0045のものである。
【0045】
図2は、ここで作製したファントムCの形状評価を行った際の写真図である。なお、本図で示す値において、アクリルアミドモノマーの重量を1ではなく100%とした場合の%で表示している。すなわち、図中の0.1は0.001を意味し、図中の0.15は0.0015を示し、図中の0.2は0.002を意味し、図中の0.3は0.003をそれぞれ意味する。
【0046】
本図で示すように、アクリルアミド量に対するN,N’-メチレンビスアクリルアミドの量が図中0.2、図中0.3の場合ではビーカーの形状からほとんど歪むことなく円柱形を保つことができる。図中0.15の場合は、下に少しふくらみが生じているが概ね円柱形を保つことができていることが確認できた。なお図中0.1の場合は、自重に耐えられず崩れかけてしまっていた。すなわち、アクリルアミド量を1とした場合におけるN,N’-メチレンビスアクリルアミドの量は、0.001以上であることが重要であり、好ましくは0.0015、更に好ましくは0.2以上であることを確認した。
【0047】
また、このサンプルに関するレオメーター測定による評価(MRE変換)を下記表に示す。表中では、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’及びこれらの比であるtanδについて示してある。
【表4】
JP2018041055A_000006t.gif

【0048】
(架橋剤量の変化(2))
またここで、上記ファントムAの組成において、アクリルアミドモノマーをファントム全体の量に対し11重量%とし、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンの量を、アクリルアミドモノマーの量を1とした場合に0.009(ファントム全体の量としては0.099重量%)としたうえで、グリセリンの重量%を35重量%、40重量%、45重量%として3種のファントムを作製した。この結果、作製されたファントムの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’、及びこのtanδについて下記表に示す。
【表5】
JP2018041055A_000007t.gif

【0049】
上記の結果、架橋剤が、アクリルアミドモノマーの重量を1とした場合に0.009となっていると、損失弾性率(粘性)が上昇しにくくなり、生体の損失正接(tanδ)値0.25~0.3の近傍より大きく離れてしまっていた。すなわち、架橋剤の量は、アクリルアミドモノマーの重量を1とした場合に0.009よりも小さいことが好ましいことが分かった。
【0050】
また、上記ファントムAの組成において、アクリルアミドモノマーをファントム全体の量に対し11重量%とし、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンの量を、アクリルアミドモノマーの量を1とした場合に0.0045(ファントム全体の量としては0.0495重量%)としたうえで、グリセリンの重量%を35重量%、40重量%、45重量%として3種のファントムを作製した。この結果、作製されたファントムの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’、及びこのtanδについて下記表に示す。この値は生体の損失正接(tanδ)値0.25~0.3の近傍であり、十分生体に近いものとなっていることを確認した。
【表6】
JP2018041055A_000008t.gif

【0051】
(T1緩和時間)
なお、ここで、上記ファントムA乃至Cについて、T1緩和時間の測定を行った。本測定は、IR法(SE)で400~3000の8点で画像を取得し、非線形最小二乗法を用いてそれぞれの画素でカーブフィッティングを行い求めた。なおこの場合において、モデルとした信号値の式(数1)、誤差を比較した式(数2)は下記のとおりとした。また、下記式では、αとβを変更させながら上式が最小となるときのパラメータを採用し、モデルとした信号の式のT1値となるベータを求めT1Mapを作製した。この結果を図3に示しておく。
【数1】
JP2018041055A_000009t.gif
【数2】
JP2018041055A_000010t.gif

【0052】
この結果、ファントムで求められるT1緩和時間は、臨床で使用できるよう800ms以下である必要があるところ、作製したファントムA乃至Cはいずれも800ms以下となっており、十分な性能を有していることを確認した。
【0053】
以上、本実施例により、本発明の効果について確認できた。本発明は、架橋剤(例えば,N,N'-メチレンビスアクリルアミド)の配合量を最適化することにより、低グリセリン濃度でも生体組織に近い粘弾性を実現するとともに、1年以上の長期利用に耐えうる安定性と強度を有するなど、従来の問題を解決することができる。また、薬品配合量を調整することで、生体組織と同等の様々な粘弾性率を実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ファントムの製造方法及びファントムとして産業上の利用可能性がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2