TOP > 国内特許検索 > 太陽電池の性能劣化回復装置および方法 > 明細書

明細書 :太陽電池の性能劣化回復装置および方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-143047 (P2018-143047A)
公開日 平成30年9月13日(2018.9.13)
発明の名称または考案の名称 太陽電池の性能劣化回復装置および方法
国際特許分類 H02S  40/30        (2014.01)
FI H02S 40/30
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2017-036400 (P2017-036400)
出願日 平成29年2月28日(2017.2.28)
発明者または考案者 【氏名】吉田 弘樹
【氏名】野々村 修一
【氏名】大橋 史隆
【氏名】志知 拓弥
出願人 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100147038、【弁理士】、【氏名又は名称】神谷 英昭
審査請求 未請求
テーマコード 5F151
Fターム 5F151KA07
要約 【課題】PID現象により出力低下したモジュールの出力を回復する方法であって、既設の太陽電池モジュールを接地した状態のままで処理することが可能な方法を提案すること。
【解決手段】太陽電池セルの電極間に対して-3~-15Vの範囲で逆電圧を印加する電源を有し、発電効率の劣化を回復する劣化太陽電池の回復装置およびそれを利用した劣化太陽電池の回復方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
太陽電池セルの電極間に対して-3~-15Vの範囲で逆電圧を印加する電源を有し、発電効率の劣化を回復する劣化太陽電池の回復装置。
【請求項2】
前記太陽電池パネルの電極と電源との間に、電流を連続的に通電するか、断続的に通電するかを制御可能な電流制御装置を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
(1)太陽電池モジュールを構成する太陽電池パネル間の接続を解放し、各パネルに並列に接続されているダイオードに対する電気的回路を遮断するステップ、
(2)電流を連続的に通電するか断続的に通電するかを制御可能な電流制御装置を介して、前記太陽電池パネルのプラス電極にマイナスの電位を、マイナス電極にプラスの電位を接続するステップ、
(3)前記太陽電池セルに対して-3~-15Vの範囲で、逆方向の電圧を印加するステップ、を含むことを特徴とする劣化太陽電池の回復方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システム設置後のPID(potential-induced degradation)現象などによる出力低下を回復する装置およびそれを用いた回復方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、設置後十年前後でようやく設置コストの回収ができると言われており、長期間の安定した出力が求められている。しかし太陽光発電で先行するヨーロッパ等では、PID現象とよばれる太陽電池モジュールシステムの性能劣化が発生するという問題が報告されている。PID現象とは、太陽電池モジュール内部回路で電荷の分極が生じ、セル内部での電子の移動が妨げられることで出力の著しい低下が起こる現象である。
【0003】
PID現象は、高電圧化した太陽光発電設備において、接地されたフレームと太陽電池モジュール内部回路との間に大きな電位差が発生するようになり、これに湿度、温度等の外部要因が作用し、或いはモジュールに用いられるガラス基板からのアルカリ金属イオンが拡散して、モジュールの内部回路とフレーム間に漏れ電流が生じることが原因といわれている。
【0004】
本明細書において、太陽電池の基本単位で太陽電池素子そのものを太陽電池セルといい、このセルを必要枚数配列して、屋外で利用できるように樹脂や強化ガラスなどで保護し、パッケージ化したものを太陽電池パネルという。また太陽電池パネルを複数枚並べて接続したものを太陽電池モジュールと定義する。太陽電池セル単位でみると、該セルの一部分に劣化現象が発生し、それが太陽電池パネル一枚の性能劣化へとつながり、さらに太陽電池モジュールを構成する直列に接続された太陽電池パネルのうち、一枚でもこのような性能劣化を起こすと、システム全体の発電効率の低下を招いてしまう。
【0005】
このようなPID現象を抑制する方法として種々の提案がなされている。例えば、所定レベル以上の高い絶縁性を有する太陽電池用封止膜を利用するもの(特許文献1)、環状オレフィン系樹脂のフィルムと、エチレン・α-オレフィンゴム共重合体(A)とエチレン・アクリル酸共重合体(B)を所定の配合比でブレンドした組成物に有機過酸化物課教材を含む材料でモジュールを封止するもの(特許文献2)、エチレン・極性モノマー共重合体と、シランカップリング剤と、ヒンダードアミン系光安定剤を含む封止用樹脂を提供するもの(特許文献3)などがある。これらの技術は、封止膜により結晶シリコン等のセルを保護しようとするものである。
【0006】
また、太陽光発電システムに使用する電力変換装置に絶縁トランスを追加し、かつ負極に接地することによりPIDの発生を防止する方法(特許文献4)や、太陽電池モジュールとパワーコンディショナの間に出力低下予防回復装置と発電回路との切り替え手段を設けて、太陽電池モジュール内部に正電圧を印加する電源と前記モジュールを接地する接地手段を備えた装置(特許文献5)などの提案もある。これらの技術はPID現象を効果的に抑制するものではあるが、既に設置済みの太陽電池モジュールに適用することは困難である。
【0007】
一方、既設の太陽電池モジュールの劣化を回復する手段として、例えば40℃で1000Vの電圧を100時間かけることでPIDを起こさせたのち、逆の電圧を同温度、同時間かけることでPIDが回復したという結果(非特許文献1)や、600Vの逆電圧あるいは250℃で2.5時間の処理により回復するという報告(非特許文献2)がある。これらの方法によれば回復可能であるかも知れないが、太陽電池モジュールを再利用する場合のように、一旦設備を分解するなどして回収することが必要となる。
【0008】
なお、一定期間使用された太陽電池パネルについて出力を回復するための補修装置として、直流通電により太陽電池パネルに発生した発熱箇所を赤外線カメラで撮影・解析し、レーザーを照射して加熱する方法(特許文献6)があるが、熱疲労によるはんだクラックにより出力低下した太陽電池パネルの回復手段に関するものであり、同じ手法がPIDの回復に適用できるか否かは不明である。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2014-27035号公報
【特許文献2】特開2015-179827号公報
【特許文献3】特開2016-12643号公報
【特許文献4】特開2011-103497号公報
【特許文献5】特開2014-99438号公報
【特許文献6】特開2014-82366号公報
【0010】

【非特許文献1】S.Pingel,S.Janke,O.Frank, EU PVSEC 2012
【非特許文献2】D.Lausch,V.Naumann et al,Energy Procedia 55,486-493,2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、既設の太陽電池モジュールを設置した状態のままで、PID現象により出力低下したモジュールの出力を回復する装置およびその方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は発電効率が劣化したと判断された太陽電池セルの電極間に対して-3~-15Vの範囲で逆電圧を印加する電源を有し、発電効率の劣化を回復する劣化太陽電池の回復装置を提供する。劣化しているか否かは、太陽電池セルに対して逆方向の一定電圧をかけたときの抵抗値を測定することにより判別することができる。劣化判定に際して印加する電圧は通常0.01V~0.2V、一般的には0.01~0.05Vの範囲内で印加したときの測定電流から判定する。
【0013】
本発明では、劣化判定と効率回復に際して印加する電圧に大きな差異があるものの、出力電圧の変更が可能な装置を使用することで、発電効率の検査と回復を一つの装置として兼用することができる。現地に赴くことは必要になるが、簡易的な装置を持ち運びすることで、設置状態のまま発電効率の点検及び劣化の回復をすることが可能となるのである。
【0014】
前記回復時の通電に際しては、連続的に通電するか、断続的に通電するかを制御可能な電流制御装置を有していることが好ましい。前記の通り、PID現象による太陽電池セルの劣化は部分的であると考えられるので、未劣化の状態である部分が殆どを占めることとなる。そのような未劣化部分に対して、逆方向の高電圧を印加すると発熱等により却ってセルの損傷を招くことになる。そこで、断続的に通電することで未劣化部分への悪影響を抑えつつ、劣化部分の修復を図るのである。
【0015】
本発明の発電効率の劣化を回復する方法は、(1)太陽電池モジュールを構成する太陽電池パネル間の接続を解放し、各パネルに並列に接続されているダイオードに対する電気的回路を遮断するステップ、(2)電流を連続的に通電するか断続的に通電するかを制御可能な電流制御装置を介して、前記太陽電池パネルのプラス電極にマイナスの電位を、マイナス電極にプラスの電位を接続するステップ、(3)前記太陽電池セルに対して-3~-15Vの範囲で、逆方向の電圧を印加するステップ、を含むことを特徴とする。
【0016】
太陽電池セルの電極は、受光面側の電極と、それとは反対側の電極(裏面側電極)が形成されている。これらの各セルを直列に配列して太陽電池パネルが構成されるのであるが、その際には、ダイオードがパネル裏面に接続されている。これは、各パネルにおける非発電時の電力消費や電流の逆流を防止するためのものである。従って、この接続を解放しなければ、逆電圧の印加効果が発現できない。このような簡易的な操作によって、現地において、殆ど設置状態のままで発電効率を回復させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の発電効率の劣化回復装置は、太陽光発電システムが設置されている現地において、設置された状態を殆ど維持したままで処理することができる装置である。従って、太陽光発電のメンテナンスが容易になるとともに、安定した発電量を長期に渡って維持できることが期待される。また本発明の装置は、従来から汎用されている簡便な電源を使用することができるので、コストを極めて低く抑えることができ、処理に特別な技術・知識を必要としないので、広く普及させるのに好適である。
【0018】
さらに、印加電圧の範囲内においてより高電圧の逆電流を使用する際には、特に断続的に通電することにより、未劣化の部分に対して悪影響を抑えることができる。このような電流制御装置の使用により、極めて短時間で回復させることが可能となる。
【0019】
本発明の方法によれば、これから設置される太陽光発電システムに対しては勿論であるが、既存の設備に対して適用できることが極めて大きな経済効果を有している。仮にPID現象を効果的に予防することができる新規な材料からなる太陽電池セルが開発されたとしても、その導入には、安定性、安全性、経済性などクリアすべき課題が多いので、直ぐには対応できないだけでなく、既存設備のセルの交換等のコストが伴うことが予想されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、発電効率が劣化した太陽電池パネル(黒丸)と、未劣化の太陽電池パネル(白丸)の電圧-電流特性を示す図である。
【図2】図2は、本発明の回復装置と太陽電池パネルとを接続した概観を示す図である。
【図3】図3は、太陽電池パネルのエレクトロルミネッセンス画像である。
【図4】図4は、図3のS-S’直線上の距離と輝度の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、太陽電池パネルに逆電圧をかけたときの、蛍光強度を示すグラフである。
【図6】図6は、太陽電池パネルの並列抵抗値と、劣化太陽電池パネルに逆電圧をかけて通電した時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係わる発電効率回復装置は、太陽電池パネルに対して-3~-15Vの範囲で逆電圧を印加するだけで、PID現象によって効率が劣化したと見られる症状が改善・回復するというものである。詳細なメカニズムについては未だ解明できてはいないが、原因と思われるナトリウムの電気的な排除または、逆電圧印加時の発熱がその作用効果を現していると考えられる。

【0022】
PID現象による出力低下は、例えばドイツの研究機関フラウンホーファーCSPの実験(http://www.en.csp.fraunhofer.de/press-and-events/details/id/857/)によれば、商用太陽電池モジュールを、温度50℃、湿度50%で48時間1000V印加することで確認されたという。これまで日本では目立った報告はされていないようであるが、メガソーラーと称される大規模な発電施設が建設され、高温多湿のような環境下では今後顕在化する可能性が高いと言われている。特にPIDは最も広く使用されている結晶シリコン系の太陽電池で生じるので、既設の太陽光発電システムや、PID防止効果に劣る太陽電池モジュールが使用されれば、必然的に本発明のような回復装置が求められるのである。

【0023】
PID現象は発電効率の低下を意味するが、太陽電池モジュールの全体が出力低下の原因になるというよりも、その一部(例えば太陽電池セル或いはセルの一部分)の欠陥が全体の出力低下を引き起こすことが多い。

【0024】
前記のように、PID現象は太陽電池モジュールの一部の欠陥である場合が多いので、修復(逆電圧を印加)する場合には欠陥部分に集中させることが望ましい。しかし、集中させるには当該一部を抜き出して、例えばセル単位で回復処理を行うこととなるが、それはすなわち太陽電池モジュールの分解を意味することになる。簡単な操作で分解することは不可能に近く、まして太陽光発電の現場にてそのような修理を行うことは現実的ではない。

【0025】
本発明では、通常パネル一枚の裏面側に並列に配線されているダイオードの電気的接続を遮断することが好ましい。ダイオードは前記の通り一部の太陽電池パネルが非発電或いは低発電時において、他の通常に発電している太陽電池パネルからの発電損失を回避するためのバイパス用として、及び逆電流の防止のために接続されているものである。本発明では太陽電池パネルの設けられたプラス電極とマイナス電極に逆電圧を印加するのであるが、その際にはダイオードの配線側にも同様に電圧がかかることになるので劣化部分の回復効果が低下する。従って電気的な接続を遮断することが好ましいのである。この程度の操作であれば、それ程の手間も掛からず現場にて行うことが可能である。

【0026】
また、発電効率回復時には正常な部分にも逆電圧が印加されることとなるので、逆電圧により却って正常部分に損傷を与えたりすることがないように、本発明では通電を連続的にするか断続的にするかを制御可能な電流制御装置を併用することが好ましい。

【0027】
連続的に通電することによる発熱等によって正常な部分への悪影響が発生する事態を、断続的に通電して緩和することができる。特に処理時間の短縮化には、ある程度の高電圧を印加することが好ましいので、正常部分への影響を無視することができない。このような観点から、本発明装置の印加電圧は、-3~-15Vの範囲内で設定することが好ましい。

【0028】
図1には、劣化したと判断された太陽電池セルの電圧-電流特性を示している。図中、黒丸は発電効率が劣化したと思われる太陽電池セルで、白丸が未劣化の太陽電池セルに係わる。縦軸が電流、横軸が電圧を示し、-15V辺りを超える逆電圧を印加すると未劣化の太陽電池セルにも急に電流が流れるようになることが分かる。このような高電圧になるとその電流によりパネルの発熱が加速され、損傷に繋がるのである。本発明では、前記の通り-15Vよりも低い電圧に設定することで、未劣化部分への逆電流が流れることを防止しているが、電圧を低くすることで劣化部分の回復スピードが低下することが判っている。従って、より迅速に処理を進めるためには、前記範囲内(-3~-15V:図1では四角形の網掛け部分に相当する)で高い電圧を印加し、そのような場合には、電流制御装置により制御する(連続的に通電するのではなく、断続的に通電する)ことが好ましいのである。太陽電地モジュール内では劣化セルと未劣化セルとが直列に接続されているが劣化セルに-3~-15Vの範囲で電圧印加する条件では、未劣化セルは-15V辺りを超える逆電圧が自動的に印加されて通電状態となることが分かっている。

【0029】
図2には、本発明の回復装置1と太陽電池パネル3とを電流制御装置2を介して接続されている状態の概観が示されている。太陽電池パネルは、複数の太陽電池セル4を接続して形成され、パネルは一対の電極5を備えている。回復装置から電流制御装置を通して当該電極に電気的に接続されるのである。

【0030】
ところで、太陽電池の製品検査の一つとして、クラックや断線等の有無の確認のためEL(エレクトロルミネッセンス)検査法がある。EL検査法とは、太陽電池パネルに対して順方向に電流を流したときに太陽電池が発光する現象を利用するものであるが、これを応用して、発光状態を解析することで太陽電池パネルの性能が評価できる(例えば国際公開WO2006/059615号等参照)。

【0031】
すなわち、シリコン半導体からなる太陽電池セルに対して、p型領域側に正、n型領域側に負の極性の外部電圧を印加することにより、順方向に直流電流を導入するのである。この時の電流強度は、太陽電池セルの作動電流と略同じ強度であることが好ましい。なお、作動電流とは、評価対象の太陽電池セルに太陽光を照射した際に、実際に光電変換により発生する電流のことをいう。例えば、シリコン半導体からなる太陽電池セルであれば5~40mA/cm程度が適当である。

【0032】
こうして順方向電流を流した後、ルミネッセンス強度をCCDカメラなどで直接画像データとして収集し、その画像データを解析すれば、どこに欠陥があるのかが特定できる。具体的には、図3に劣化したと認められるパネルのEL画像を示す。この図だけでは客観的に劣化か否かの判別がし難いので、図3に示すS-S’の直線に沿って測定した発光輝度(Grayvalue[a.u.])を縦軸とし、図3のS側からの距離(Distance[mm])を横軸として、EL画像の発光強度を測定したグラフを図4に示す。なお図3中に示す3本のライン6は、太陽電池セルの境界が写っているのであり、劣化したか否かとは関係のない部分である。

【0033】
図4の3本の縦列プロット7は、図3のライン6に対応している。また、下側のプロット9は本発明の回復装置で処理する前、上側のプロット8は本発明の装置で、-14Vの逆電圧を40秒間印加した後のものを示す。図4の両方向矢印10は特にこの距離範囲内に劣化部分が存在し、その範囲内でプロット9(未処理)とプロット8(回復処理後)を比較すると、明らかに発光輝度の向上が認められていることが判る。なお、これまでの知見からパネル内において劣化しやすいとされる部分は端部に多く、さらにパネルから電力を取り出す電極の近傍はより劣化が進み易いことが判っている。

【0034】
図4に示すように単に画像だけの外観からは識別し難い劣化も、発光強度で示すことで違いがより鮮明になる。

【0035】
図5には逆電圧をかけた際の、劣化太陽電池セルからの蛍光強度を示している。劣化セルは図に示す×(バツ)、△(三角)、□(四角)で示す3つのサンプルである。図に示すように、逆電圧が負に大きいほど蛍光強度が強いことがわかる。また、劣化していない新品の太陽電池パネルに対して同様に逆電圧をかけて蛍光強度を測定した結果が○(丸)で示されている。

【0036】
また、前記3つのサンプルについて、それぞれ、-15Vの逆電圧を40秒印加した後、再度逆電圧をかけて蛍光強度を測定した結果、○(丸)で示されている未劣化のパネルと同様の蛍光強度を示した。すなわち、本発明の回復装置は劣化しているか否かの検査用としても使用できること、逆電圧を印加することで劣化を回復することが判る。

【0037】
図6には、太陽電池パネルの並列抵抗値(Rsh)と-15Vの逆電圧をかけて電流を流した時間との関係を示している。点線で示す水平のラインは未劣化の太陽電池パネルの並列抵抗値(Rsh)であり、○印で示す折れ線は劣化した太陽電池パネルの並列抵抗値が通電時間と共に上昇していくことが判る。

【0038】
図6に示すように40秒程度では、未劣化の1/4程度の抵抗値まで戻っているだけのように見えるが、この程度の抵抗値があれば未劣化の太陽電池パネルと同等の発電効果が得られるので、必ずしも完全に元の抵抗値に戻るまで通電する必要はないと思われる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明の太陽電池の劣化回復装置は、太陽電池パネルの電極に逆電圧を印加するだけで良いので、極めて簡単な装置・構成で複雑な手順も必要ない。従って、既設の太陽光発電システムにPID現象が生じた場合のメンテナンスに最適であり、設置された状態のままその処理が行えるので、市場導入が容易な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 回復装置
2 電流制御装置
3 太陽電池パネル
4 太陽電池セル
5 電極
7 縦列プロット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5