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明細書 :集束音場形成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-065116 (P2018-065116A)
公開日 平成30年4月26日(2018.4.26)
発明の名称または考案の名称 集束音場形成装置
国際特許分類 B06B   1/02        (2006.01)
B06B   1/06        (2006.01)
H04R   1/02        (2006.01)
B06B   1/08        (2006.01)
FI B06B 1/02 K
B06B 1/06 Z
H04R 1/02 330
B06B 1/08
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-207007 (P2016-207007)
出願日 平成28年10月21日(2016.10.21)
発明者または考案者 【氏名】三浦 光
【氏名】淺見 拓哉
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
審査請求 未請求
テーマコード 5D019
5D107
Fターム 5D019FF01
5D107CC04
5D107CC07
5D107FF03
5D107FF06
要約 【課題】集束音場形成装置において、プラント等の配管中の気体の流れを阻害せず、かつ、筒状の振動板の中央部に強い音圧領域を形成可能とする。
【解決手段】気体が通過可能とされた筒形状の円筒振動板3aと、円筒振動板3aの軸芯Lに沿った定在波が形成されるように円筒振動板3aを共振させる振動子ユニット2と、円筒振動板3aの振動の節であって円筒振動板3aの軸芯Lに沿う方向の端部に設けられる第1フランジ3b及び第2フランジ3cとを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
気体が通過可能とされた筒形状の筒振動板と、
前記筒振動板の軸芯に沿った定在波が形成されるように前記筒振動板を共振させる振動子ユニットと、
前記筒振動板の前記振動の節であって前記筒振動板の前記軸芯に沿う方向の端部に設けられる剛壁と
を有することを特徴とする集束音場形成装置。
【請求項2】
前記剛壁は、前記筒振動板の前記軸芯に沿う方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の集束音場形成装置。
【請求項3】
前記剛壁は、前記筒振動板の軸芯を中心とする環状形状であって前記筒振動板から前記筒振動板の径方向に突出するフランジからなることを特徴とする請求項1または2記載の集束音場形成装置。
【請求項4】
前記筒振動板の軸芯に沿う方向の前記フランジの長さ寸法は、前記筒振動板の径方向の厚み寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3記載の集束音場形成装置。
【請求項5】
前記振動子ユニットと前記筒振動板との間に介挿されると共に前記筒振動板と同一材料からなるシムを備えることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の集束音場形成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、集束音場形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、集束音場形成装置は、気体中の塵埃の捕集するための集塵装置として用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。このような集束音場形成装置では、空間内に強力な空中超音波による集束音場を形成し、集束音場により浮遊微粒子を凝集させる。例えば、特許文献1では、振動子ユニットに円筒型の振動板(以下、円筒振動板と称する)を取り付け、振動子ユニットの振動により円筒振動板を共振させることにより集束音場を形成している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平06-47346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された集束音場形成装置をプラント等に設置する場合には、振動する円筒振動板をプラントの配管等に直接固定することができないため、配管の内部に円筒振動板を設置することになる。このように円筒振動板が配管の内部に設置されると、配管の圧力損失が高まる。このため、集束音場形成装置を設置することにより、気体の配管中の流れを阻害する可能性がある。
【0005】
さらに、特許文献1に開示された集束音場形成装置では、円筒振動板の径方向の中心部に音圧の弱い領域が形成される。この音圧の弱い領域は、円筒振動板が周方向に定在波が形成されるように振動し、軸芯を上記径方向において挟んで対向する箇所から放射される音波同士が打ち消し合うことによって形成されていると考えられる。このような音圧の弱い領域は円筒振動板の軸芯に沿う方向に連続するように形成されるため、円筒振動板の中心部では例えば浮遊微粒子が補足されることなく通過してしまう。
【0006】
なお、集束音場形成装置は、集塵装置に限られず、液体を集束音場により霧化させる霧化装置や消臭装置として用いられる場合もある。このような場合も同様の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、集束音場形成装置において、プラント等の配管中の気体の流れを阻害せず、かつ、筒状の振動板の中央部に強い音圧領域を形成可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、気体が通過可能とされた筒形状の筒振動板と、上記筒振動板の軸芯に沿った定在波が形成されるように上記筒振動板を共振させる振動子ユニットと、上記筒振動板の上記振動の節であって上記筒振動板の上記軸芯に沿う方向の端部に設けられる剛壁とを有するという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記剛壁が、上記筒振動板の上記軸芯に沿う方向の両端部に設けられているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記剛壁が、上記筒振動板の軸芯を中心とする環状形状であって上記筒振動板から上記筒振動板の径方向に突出するフランジからなるという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記筒振動板の軸芯に沿う方向の上記フランジの長さ寸法が、上記筒振動板の径方向の厚み寸法よりも大きく設定されているという構成を採用する。
【0013】
第5の発明は、上記第1~第4いずれかの発明において、上記振動子ユニットと上記筒振動板との間に介挿されると共に上記筒振動板と同一材料からなるシムを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筒形状の筒振動板の振動の節の位置となる端部に剛壁が設けられている。このため、剛壁は、筒振動板が振動しても変位せず、外部の部材に対して固定させることができる。したがって、例えば剛壁をプラントの配管の一部に接続し、筒振動板を配管の一部とすることにより、プラント等の配管中の気体の流れを阻害せずに配管に取り付けることができる。さらに、本発明によれば、振動子ユニットによって、筒振動板の軸芯に沿った定在波が形成されるように筒振動板が共振される。このように振動する筒振動板では、径方向における中心部に音圧が強い領域が形成される。よって、本発明によれば、集束音場形成装置において、プラント等の配管中の気体の流れを阻害せず、かつ、筒状の振動板の中央部に強い音圧領域を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における集束音場形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における集束音場形成装置の正面図である。
【図3】図2の領域αの拡大模式図である。
【図4】本発明の一実施形態における集束音場形成装置が備える配管部の縦断面図である。
【図5】本発明の集束音場形成装置の実施例に用いた配管部の寸法を説明するための説明図である。
【図6】本発明の集束音場形成装置の実施例で得られたたわみ振動変位の片振幅を示すグラフである。
【図7】本発明の集束音場形成装置の実施例で得られた音圧分布を示す白黒マップである。
【図8】本発明の集束音場形成装置の実施例で得られた音圧分布を示すグラフである。
【図9】本発明の集束音場形成装置の実施例における入力電力と音圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る集束音場形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。

【0017】
図1は、本実施形態の集束音場形成装置1の斜視図である。また、図2は、本実施形態の集束音場形成装置1の正面図である。また、図3は、図2の領域αの拡大模式図である。本実施形態の集束音場形成装置1は、例えば、微粒子(煙霧質)を含む気体を処理して微粒子を凝集させる集塵装置に適用されるものであり、超音波による集束音場を形成する。なお、本実施形態の集束音場形成装置1において扱う超音波とは、人間には聞こえない高い周波数の音のみならず、人の可聴域(20Hz~20kHz程度)であっても聞くことを目的としない音波を含むものとする。

【0018】
本実施形態の集束音場形成装置1は、図1及び図2に示すように、集束音場形成装置1は、振動子ユニット2と、配管部3と、ネジ4と、外側シム5(シム)と、内側シム6とを備えている。振動子ユニット2は、振動子2aと、エキスポネンシャルホーン2bと、共振棒2cとを備えている。

【0019】
振動子2aは、例えば圧電素子や磁歪素子、電歪素子などの電気機械変換素子から構成されている。その中でも、強力な超音波を発生させる振動子2aとして、ボルト締めランジュバン型振動子(BLT:Bolt-clamped Langevin type Transducer)が好適に用いられる。なお、振動子2aは、不図示の電源装置から駆動電力が供給されることによって駆動される。

【0020】
エキスポネンシャルホーン2bは、振動子2aに取り付けられて、振動子2aによる振動を増幅させる(振幅を拡大させる)ものである。共振棒2cは、エキスポネンシャルホーン2bと配管部3が備える後述の円筒振動板3aとの間を連結し、円筒振動板3aの共振周波数を調整すると共にエキスポネンシャルホーン2bにより増幅された振動を円筒振動板3aへ伝達する直線状の棒部材である。

【0021】
配管部3は、円筒振動板3a(筒振動板)と、第1フランジ3bと、第2フランジ3cとを備えている。本実施形態においては、円筒振動板3aと第1フランジ3bと第2フランジ3cとは、同一材料(例えばジュラルミン)によって一体的に形成されている。このような配管部3は、例えば、単一のブロックから削り出しによって形成される。

【0022】
円筒振動板3aは、円筒形状とされた振動板であり、振動子2aの振動が伝達されることにより共振する部位である。図4は、円筒振動板3aの縦断面図である。この図に示すように、円筒振動板3aは、軸芯Lに沿った方向の中央部に円筒振動板3aの径方向に貫通する貫通孔3a1を有している。この貫通孔3a1は、円筒振動板3aの下部に形成されており、ネジ4が挿通される。また、円筒振動板3aは、ネジ4により振動子ユニット2の共振棒2cに固定されており、軸芯Lが共振棒2cの軸芯に対して直交するように振動子ユニット2に対して姿勢設定されている。このような円筒振動板3aは、振動子ユニット2から付与される振動に共振することによって、音波を発生する。

【0023】
本実施形態の集束音場形成装置1においては、円筒振動板3aは、軸芯Lに沿った定在波状に振動するように振動子ユニット2から付与される振動に共振する。つまり、円筒振動板3aは、軸芯Lに沿った定在波が形成されるように振動子2aによって共振させられる。このように共振する円筒振動板3aが、軸芯Lに沿った定在波状に振動するモードを、以下、節円筒モードと称する。なお、円筒振動板3aの軸芯Lに沿った方向の長さ寸法(以下、長さ寸法d1と称する)は、節円筒モードで共振するように、振動子2aから付与される振動の半波長の奇数倍となるように設定されている。また、円筒振動板3aの内径寸法(以下、内径寸法d2と称する)は、節円筒モードで共振するように、振動子2aから付与される振動の波長の整数倍となるように設定されている。さらに、円筒振動板3aの径方向の厚さ寸法(以下、厚さ寸法d3と称する)は、振動子2aから付与される振動によって円筒振動板3aの全体が振動しやすいよう、薄く設定されている。

【0024】
節円筒モードで振動する円筒振動板3aでは、軸芯Lに沿った方向に等間隔で定常的に変位しない部位(振動の節)が形成される。なお、本実施形態においては、円筒振動板3aの軸芯Lに沿う方向の一方の端部に剛壁として第1フランジ3bが接続され、軸芯Lに沿う方向の他方の端部に剛壁として第2フランジ3cとが接続されており、円筒振動板3aの軸芯Lに沿う方向の両端位置が、節円筒モードで共振する場合における振動の節となる。

【0025】
第1フランジ3b(剛壁)は、円筒振動板3aの軸芯Lに沿った方向の一方の端部に一体的に取り付けられた円環状の部位である。第1フランジ3bは、内径寸法が円筒振動板3aと同一に設定され、円筒振動板3aと同軸上に配置されている。この第1フランジ3bの軸芯Lに沿った方向の長さ寸法(以下、長さ寸法daと称する)は、円筒振動板3aの厚さ寸法d3に対して十分に大きく設定されている。さらに、第1フランジ3bの径方向の厚さ寸法(以下、厚さ寸法dbと称する)は、円筒振動板3aの長さ寸法d1よりも短く、第1フランジ3bの長さ寸法daよりも長く設定されている。

【0026】
第2フランジ3c(剛壁)は、円筒振動板3aの軸芯Lに沿った方向の他方の端部に一体的に取り付けられた円環状の部位である。第2フランジ3cは、内径寸法が円筒振動板3aと同一に設定され、円筒振動板3aと同軸上に配置されている。この第2フランジ3cは、第1フランジ3bと同一形状に設定されている。つまり、第2フランジ3cは、軸芯Lに沿った方向の長さ寸法が第1フランジ3bの長さ寸法daと同一とされ、径方向の厚さ寸法が第1フランジ3bの厚さ寸法dbと同一に設定されている。

【0027】
これらの第1フランジ3bと第2フランジ3cとは、円筒振動板3aと比較して剛性が高く、円筒振動板3aが振動子2aから付与される振動に共振する場合の振動の節の位置に配置されている。このため、円筒振動板3aが共振する場合であっても、第1フランジ3bと第2フランジ3cとは振動しない、若しくは、振動が極めて小さい。これらの第1フランジ3bと第2フランジ3cとは、本実施形態の集束音場形成装置1をプラント等の配管に取り付ける場合に、当該配管に対して直接的に固定される部位として用いられる。

【0028】
このような配管部3は、本実施形態の集束音場形成装置1がプラント等の配管に取り付けられた場合に、円筒振動板3aに囲まれた領域と、第1フランジ3bに囲まれた領域と、第2フランジ3cに囲まれた領域とに、配管に流れる気体(水蒸気等の液体が混合された気体を含む)を通過可能としている。

【0029】
ネジ4は、図3に示すように、円筒振動板3aの貫通孔3a1に円筒振動板3aの径方向内側から挿入され、先端部が振動子ユニット2の共振棒2cの先端部に螺合されており、円筒振動板3aを共振棒2cに対して固定している。外側シム5は、振動子ユニット2の共振棒2cの先端面と、円筒振動板3aの外周面との間に介挿されており、共振棒2cの先端面と円筒振動板3aの外周面との隙間を埋めている。この外側シム5は、上面が円筒振動板3aの外周面に沿って湾曲されており、下面が共振棒2cの先端面に沿った平面とされている。つまり、外側シム5は、共振棒2cの先端面と円筒振動板3aの外周面との両方に対して面接触されている。このような外側シム5は、共振棒2cから円筒振動板3aに伝わる振動の伝達面積を広げ、より確実かつ安定的に円筒振動板3aに振動を伝達可能とする。

【0030】
なお、外側シム5は、円筒振動板3aと同一材料によって形成されていることが好ましい。つまり、本実施形態において外側シム5は、例えばジュラルミンによって形成されている。外側シム5を円筒振動板3aと同一材料で形成することで、外側シム5と円筒振動板3aとの境界面における振動波の反射を防ぐことができ、より確実かつ安定的に円筒振動板3aに振動を伝達することができる。

【0031】
内側シム6は、ネジ4の頭部と円筒振動板3aの内周面との間に介挿されており、ネジ4の頭部と円筒振動板3aの内周面との隙間を埋めている。この内側シム6は、上面がネジ4の頭部の表面に沿った平面とされており、下面が円筒振動板3aの内周面に沿って湾曲されている。つまり、内側シム6は、ネジ4の頭部と円筒振動板3aの内周面との両方に対して面接触されている。このような内側シム6も、外側シム5と同様に、円筒振動板3aと同一材料によって形成されていることが好ましい。

【0032】
このような構成を有する本実施形態の集束音場形成装置1では、振動子2aが振動すると、振動子2aで発生した振動がエキスポネンシャルホーン2b及び共振棒2cを通じて円筒振動板3aに伝達される。円筒振動板3aに振動が伝達されると、円筒振動板3aが共振し、超音波(音波)が円筒振動板3aから発せられる。このような超音波が円筒振動板3aの径方向内側に向けてされると、円筒振動板3aの周方向の異なる部位から発生した超音波同士や反射した超音波同士が干渉し、円筒振動板3aの中心部に音圧が高い領域が形成される。例えば、このような音圧が高い領域に浮遊微粒子を含む気体が通過すると、浮遊微粒子同士が凝集されて補足される。この結果、気体から浮遊微粒子が除去される。

【0033】
以上のような本実施形態の集束音場形成装置1においては、振動の節の位置となる円筒振動板3aの端部に第1フランジ3b及び第2フランジ3cが設けられている。このため、第1フランジ3b及び第2フランジ3cは、円筒振動板3aが振動しても変位せず、外部の部材に対して固定させることができる。したがって、例えば第1フランジ3b及び第2フランジ3cをプラントの配管の一部に接続し、円筒振動板3aを配管の一部とすることにより、プラント等の配管中の気体の流れを阻害せずに配管に取り付けることができる。さらに、本実施形態の集束音場形成装置1によれば、振動子ユニット2によって、円筒振動板3aの軸芯Lに沿った定在波が形成されるように円筒振動板3aが共振される。このように振動する円筒振動板3aでは、径方向における中心部に音圧が強い領域が形成される。よって、本実施形態の集束音場形成装置1によれば、円筒振動板3aの径方向の中心部における音場作用を高めることが可能となる。

【0034】
また、本実施形態の集束音場形成装置1においては、剛壁となる第1フランジ3bが円筒振動板3aの軸芯Lに沿う方向の一方側の端部に設けられ、剛壁となる第2フランジ3cが、円筒振動板3aの軸芯Lに沿う方向の他方側の端部に設けられている。つまり、本実施形態の集束音場形成装置1では、円筒振動板3aの両端に振動しない剛壁が設けられている。このため、配管部3の両側をプラント等の配管に直接固定することができ、容易にプラント等の配管の一部に組み付けることが可能となる。

【0035】
また、本実施形態の集束音場形成装置1においては、剛壁として、円筒振動板3aの軸芯Lを中心とする環状形状であって円筒振動板3aから円筒振動板3aの径方向に突出するフランジ(第1フランジ3b及び第2フランジ3c)とされている。このため、配管部3がプラント等で用いられる一般的な配管と同様の形状とすることができ、本実施形態の集束音場形成装置1の使い勝手を向上させることが可能となる。

【0036】
また、本実施形態の集束音場形成装置1においては、第1フランジ3b及び第2フランジ3cの長さ寸法daが、円筒振動板3aの径方向の厚み寸法dbよりも大きく設定されている。このため、第1フランジ3b及び第2フランジ3cの剛性を円筒振動板3aよりも極めて高めることができ、円筒振動板3aの共振により、第1フランジ3b及び第2フランジ3cが振動することをより確実に防止することができる。

【0037】
また、本実施形態の集束音場形成装置1においては、振動子ユニット2と円筒振動板3aとの間に介挿されると共に円筒振動板3aと同一材料からなるシム5を備える。このため、振動子ユニット2と円筒振動板3aとの間に空間が発生することを抑止し、振動の電動面積を広く確保することができる。

【0038】
以下、上記実施形態の集束音場形成装置1の実施例について、図5~図9を参照して説明する。

【0039】
本実施例では、エキスポネンシャルホーン2b、共振棒2c、配管部3及びシム5がジュラルミンによって形成され、振動子2aとして27kHz用のボルト締めランジュバン型振動子を用いる構成とした。また、配管部3の各箇所の寸法は、図5に示す通りとした。つまり、本実施例では、円筒振動板3aの長さ寸法d1が109mm、円筒振動板3aの内径寸法d2が105.2mm、円筒振動板3aの厚さ寸法d3が4.3mm、第1フランジ3b及び第2フランジ3cの長さ寸法daが25mm、第1フランジ3b及び第2フランジ3cの厚さ寸法dbが40mm、貫通孔3a1の直径寸法が5mmの配管部3を用いる構成とした。なお、本実施例では、図5に示すように、円筒振動板3aの軸芯Lに沿う方向をY軸方向とし、Y軸に直交する水平方向をX軸方向とし、X軸及びY軸と直交する方向をZ軸方向としている。

【0040】
円筒振動板3aの振動モードを明らかにするために円筒振動板3aの外径部のY軸上におけるたわみ振動変位分布の測定を行った。測定条件は、振動子2aへの供給電力を1W一定とし、駆動周波数27.383kHzで行った。なお、たわみ振動変位の測定は、レーザードップラ振動計(小野測器、LV-1610)を用いて行った。

【0041】
図2に、たわみ振動変位分布の測定位置を示す。本実施例では、図2の矢印A~Dで示す円筒振動板3a、第1フランジ3b及び第2フランジ3cの外周面上の箇所のたわみ振動変位分布をY軸に沿って測定した。図6は、たわみ振動変位分布の測定結果を示すグラフである。なお、図6では、横軸にY軸の座標、縦軸にたわみ振動変位の片振幅をとっている。また、図6においては、図2の矢印Aで示す箇所での測定結果を四角形状のポイントで示し、図2の矢印Bで示す箇所での測定結果をひし形状のポイントで示し、図2の矢印Cで示す箇所での測定結果を三角形状のポイントで示し、図2の矢印Dで示す箇所での測定結果を丸形状のポイントで示している。

【0042】
図6に示すように、まず厚さ寸法d3が4.3mmの円筒振動板3aのたわみ振動変位は、いずれの測定位置においても6つの節位置がある分布となることが分かった。また、たわみ振動変位の節位置は、いずれの測定位置においてもほぼ同じY軸の座標となることが分かった。これより、たわみ振動変位の節位置は、6つの節円の形状となっていることが分かった。これは、円筒振動板3aが図6に示すように軸芯Lに沿った定在波状となるように共振し、円筒振動板3aから径方向内側に放射された音波同士が打消し合うことなく干渉した結果生じたものと考えられる。

【0043】
また、たわみ振動変位の大きさは、共振棒2cから見て反対の部分において最も変位が大きくなり、それ以外の部分においてはほぼ同じとなった。これは、実施例で用いた配管部3の形状誤差に起因するものと考えられ、形状誤差がない場合には全ての部分において、たわみ振動変位の大きさが同じになると考えられる。

【0044】
また、第1フランジ3b及び第2フランジ3cにおいて、たわみ振動変位は、いずれの測定位置においても、円筒振動板3aと比較して小さい値となっていることが分かった。これより、第1フランジ3b及び第2フランジ3cが剛壁として働いていることが分かる。以上より、円筒振動板3aが6つの節円をもつ節円筒モードで共振すること、さらに第1フランジ3b及び第2フランジ3cの振動変位振幅は非常に小さいことが明らかになった。

【0045】
次に、円筒振動板3aにより形成される音場を明らかにするために円筒振動板3aの内部(YZ平面(X=0mm))の音圧分布の測定を行った。測定条件は、振動子2aへの供給電力を0.5W一定とし、駆動周波数27.383kHzで行った。なお、音圧の測定は、プローブ付きマイクロフォンを用いて行った。

【0046】
図7は音圧分布の結果である。図7では、横軸をY軸の座標、縦軸をZ軸の座標とし、音圧をマイクロフォン出力電圧の最大値で規格化した値の白黒マップで示している。この図に示すように、音圧分布は、Z軸方向に16の節線があることが分かる。これは、音圧の節は、円筒振動板3aの内部に同心円筒状に8つあるためと考えられる。また、測定範囲において、音圧分布の節はY軸方向に1つ確認できた。これより、Y軸方向の音圧の節は、円筒振動板3aの全体において2つあると考えられる。また、音圧は、Z軸の内径中央部分において、Y軸方向に極大値があることがわかる。これは、円筒振動板3aから放射された音波が、Z軸の内径中央部分において重なりあって、強め合ったためと考えられる。

【0047】
図8は、図7より抽出したY=79.5mmにおけるZ軸方向の音圧分布の結果を示すグラフである。図8では、横軸をZ軸の座標、Y軸を抽出した範囲の最大値で規格化した音圧とした。図8より、Z軸方向の音圧分布は、円筒振動板3aの内径中央部分で非常に高い値となっていること、また円筒振動板3aの付近の方が低い値となっていることが分かった。また、音圧の極大値は、円筒振動板3aの付近と比較して、円筒振動板3aの内径中央部分において約5倍の値が得られていことが分かった。また、図7に示す結果と同様に、音圧の節は、Z軸方向に16あり、同心円状の節円が8つあると考えられる。

【0048】
次に、集束音場形成装置1の基礎特性として、振動子2aへの入力電力に対する音圧の測定を行った。測定は、振動子2aへの入力電力を変化させた場合のYZ平面(X=0mm)におけるY=54.5mm、Z=52.6mm位置の音圧をマイクロフォンで求める方法で行った。

【0049】
図9は、その結果である。図9では、横軸を音源への入力電力、縦軸を音圧としている。この図より、音圧は、振動子2aへの入力電力の増加と共に上昇していることがわかる。音圧は、入力が9Wの際に約7kPaとなった。なお、これ以上の入力電力においては、音圧がマイクロフォンの定格を超えてしまうため、測定を行っていない。従来の集束音場形成装置1では、振動子2aへの入力電力が9W程度で音圧が7kPaとなることはなかった。本実施例においては、マイクロフォンの定格を超えてしまうことから振動子2aへの入力電力を9Wに抑えたが、振動子2aへはさらに大きな電力を入力することができる。このため、集束音場形成装置1は、極めて大きな音圧の音場を小さな入力電力で形成することが可能であることが分かった。

【0050】
以上のような実施例により、円筒振動板3aの端部に剛壁である第1フランジ3b及び第2フランジ3cを設置しても、円筒振動板3aを節円筒モードで共振させることが可能であることが分かった。また、円筒振動板3aの内部にて得られる音場は、音圧の節が同心円状に8つあることが分かった。円筒振動板3aの径方向中央部にて入力電力9Wの際、約7kPaが得られることが分かった。

【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。

【0052】
例えば、上記実施形態においては、本発明の筒振動板として円筒振動板3aを用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、軸芯に沿う方向から見て多角形状の筒振動板を用いることも可能である。

【0053】
また、上記実施形態においては、本発明の剛壁として、円筒振動板3aの全周に設けられた第1フランジ3bと第2フランジ3cとを備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、円筒振動板3aの周方向に一部が破断されたフランジを剛壁として用いることも可能である。または、ブロック状の部位を設けて剛壁とすることも可能である。

【0054】
また、上記実施形態においては、本発明の集束音場形成装置を集塵装置として用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、霧化装置や脱臭装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1……集束音場形成装置、2……振動子ユニット、2a……振動子、2b……エキスポネンシャルホーン、2c……共振棒、3……配管部、3a……円筒振動板(筒振動板)、3b……第1フランジ(剛壁)、3c……第2フランジ(剛壁)、4……ネジ、5……外側シム(シム)、6……内側シム
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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