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明細書 :電波暗箱

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6786106号 (P6786106)
公開番号 特開2018-107270 (P2018-107270A)
登録日 令和2年10月30日(2020.10.30)
発行日 令和2年11月18日(2020.11.18)
公開日 平成30年7月5日(2018.7.5)
発明の名称または考案の名称 電波暗箱
国際特許分類 H05K   9/00        (2006.01)
G01R  29/10        (2006.01)
G01R  31/00        (2006.01)
FI H05K 9/00 N
G01R 29/10 E
G01R 31/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 23
出願番号 特願2016-251748 (P2016-251748)
出願日 平成28年12月26日(2016.12.26)
審査請求日 令和元年9月25日(2019.9.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】三枝 健二
【氏名】小林 一彦
【氏名】村山 健太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100161207、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 和純
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
審査官 【審査官】小林 大介
参考文献・文献 特開2010-019691(JP,A)
実開平05-084713(JP,U)
実開平01-107200(JP,U)
米国特許出願公開第2011/0279301(US,A1)
特開2003-086989(JP,A)
特開2014-017425(JP,A)
調査した分野 H05K 9/00
G01R 29/10
G01R 31/00
特許請求の範囲 【請求項1】
シールド箱と、
前記シールド箱の内壁に取り付けられる電波吸収体と
を備え、
前記シールド箱の一面は、アンテナが放射する電波が入射する開口部を有し、
前記開口部から入射する電波のうち、前記シールド箱の内部に置かれた通信装置へ直接到達する直接波以外の電波が到達する第1の領域及び前記直接波以外の電波のうち前記第1の領域で反射した電波が到達する第2の領域のいずれか一方又は両方に、前記第1の領域と前記第2の領域以外の領域より電波の吸収率を高くした電波吸収体が取り付けられ、
前記電波吸収体は、錐体であり、
前記第1の領域の少なくとも一部の領域に取り付けられる前記電波吸収体は、前記開口部を有する前記シールド箱の一面に垂直な方向をX軸とし、前記一面から該一面に対向する面へ下した垂線方向をプラス側とした場合に、該電波吸収体の頂点が、X軸のマイナス方向へ移動した斜方錐の形状である、電波暗箱。
【請求項2】
前記第1の領域の少なくとも一部の領域に取り付けられる前記電波吸収体の底面と、前記電波吸収体の頂点と前記底面の重心とを結ぶ直線とのなす角度が50度以上である、請求項1に記載の電波暗箱。
【請求項3】
前記第2の領域に取り付けられる前記電波吸収体は、該電波吸収体の高さが、前記第2の領域以外の領域に取り付けられる前記電波吸収体の高さよりも高い、請求項1又は請求項2に記載の電波暗箱。
【請求項4】
前記アンテナは、ホーンアンテナである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電波暗箱。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電波暗箱に関する。
【背景技術】
【0002】
移動無線通信、取分けセルラー通信においては、音声中心の時代からデータ通信の時代へと変遷していく中、ほぼ5年ごとの周期で新しい通信方式の採用により、通信速度の高速化が進められている。
現在、中心となる通信方式LTE(Long Term Evolution)(「LTE」は登録商標)は、ピークで150Mbpsの通信速度である。また、LTEの発展系であるLTE-Advancedは、ピークで600Mbpsの通信速度である。また、2020年に商用サービスを開始する5Gシステムは、IoT(Internet of Things)、ICT(Information and Communication Technology)、M2M(Machine to Machine)を意識したシステムで、最終的にピークデータレート10Gbps以上を目指している。
【0003】
通信速度の高速化により、近年、普及が目覚ましい高機能を有する無線携帯端末であるスマートフォン、タブレットに向けた高精細動画ストリーミングやビデオ通話などの情報量の多いサ—ビスが広がり、国内移動通信のトラヒック量が、平成27年3月現在のデータから約1.4倍のペースで増加し、ひっ迫した状態となっている。このため、更なる通信速度の高速化は必須である。
【0004】
通信速度の改善には、多値変調の採用、通信帯域の拡大などが考えられる。4GシステムであるLTE-Advancedでは、既存の周波数帯で纏まった帯域を確保することが困難である。このため、LTE-Advancedでは、複数のキャリアを束ねることで広帯域化を行い、通信速度の高速化を実現するCA(Carricr Aggregation)技術が採用されている。LTE-Advancedでは、2つのキャリアを束ねまとめた2DL(Down Link)CAにより受信信号の高速化が実用されている。更なる高速化を目的に、3GPPにおいて、受信側で、3DL、4DL、また、送信側で、2UL(Up Link)の仕様化が、それぞれされている。
【0005】
5Gシステムでは、マクロセルの基地局とスモールセルの基地局に、異なる別の周波数で、それぞれ制御信号、データ信号を割当て、同時に通信を行う方式の概念が検討されている。
このように高速移動通信を実現する手段として、バンドが違う複数の周波数を同時に受信する評価環境の必要性が高まりつつある。ケーブルを使用した無線携帯端末の送受信評価方法では、実運用時と同等の評価結果を得ることが難しい。実際には、アンテナ特性も含めた受信特性評価が必要である。通常、アンテナ特性も含めた評価は、伝搬特性が理想的なフィールドに近いと考えられている電波暗室で行われるが、利便性が高く、低コストの点から簡易的な環境として電波暗箱で行われる場合がある。
【0006】
アンテナ特性も含めた評価を行う技術に関して、対向する2平面とその他の面とから形成され、送受信アンテナを有する無線端末機を格納する導電性の格納手段と、格納手段の2平面部の内面に貼付された電波吸収手段と、格納手段内に取り付けられ無線端末機を載置する載置手段と、単一の指向性を有し指向性軸が送受信アンテナならびに2平面と交差する測定用アンテナと、格納手段の一端面に取り付けられ測定用アンテナと接続された高周波端子とを具備するシールドボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平9-318689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無線携帯端末は、内壁(内部)に電波吸収体が形成された電波暗箱の内部に載置される。そして、電波暗箱の内部に電波が放射され、無線携帯端末の受信特性が評価される。電波吸収体の高さによって吸収できる電波の周波数が異なるため、放射する電波の周波数に応じて、電波吸収体の高さを変える必要がある。具体的には、高周波数帯から低周波数帯になるにしたがって、電波吸収体の高さを高くする必要がある。したがって、電波暗箱の内側の空間の寸法を維持して、低周波数帯の受信特性を評価する場合には、電波暗箱のサイズを大きくする必要がある。
【0009】
特に、次世代の無線携帯端末の評価を行う場合には、単一の周波数での評価ではなく、多周波数帯の受信特性を評価するニーズが高まることが予想される。つまり、電波暗箱には、多周波数帯で、且つ同時に評価ができる広帯域化に対応することが要求される。現状、使用する最低周波数帯で、電波暗箱のサイズが決まる。このため、受信特性を評価する電波の周波数帯が低周波数帯となるにしたがって、電波暗箱が非常に大きくなることが想定される。電波暗箱のサイズが大きくなることによって、その利便性が損なわれる。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サイズを維持しつつ、評価できる電波の周波数帯を広帯域化できる電波暗箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様に係る電波暗箱は、シールド箱と、前記シールド箱の内壁に取り付けられる電波吸収体とを備え、前記シールド箱の一面は、アンテナが放射する電波が入射する開口部を有し、前記開口部から入射する電波のうち、前記シールド箱の内部に置かれた通信装置へ直接到達する直接波以外の電波が到達する第1の領域及び前記直接波以外の電波のうち前記第1の領域で反射した電波が到達する第2の領域のいずれか一方又は両方に、前記第1の領域と前記第2の領域以外の領域より電波の吸収率を高くした電波吸収体が取り付けられ、前記電波吸収体は、錐体であり、前記第1の領域の少なくとも一部の領域に取り付けられる前記電波吸収体は、前記開口部を有する前記シールド箱の一面に垂直な方向をX軸とし、前記一面から該一面に対向する面へ下した垂線方向をプラス側とした場合に、該電波吸収体の頂点が、X軸のマイナス方向へ移動した斜方錐の形状である。
【0013】
)上記態様にかかる電波暗箱において、前記第1の領域の少なくとも一部の領域に取り付けられる前記電波吸収体の底面と、前記電波吸収体の頂点と前記底面の重心とを結ぶ直線とのなす角度が50度以上であってもよい。
【0014】
)上記態様にかかる電波暗箱において、前記第2の領域に取り付けられる前記電波吸収体は、該電波吸収体の高さが、前記第2の領域以外の領域に取り付けられる前記電波吸収体の高さよりも高くてもよい。
【0015】
)上記態様にかかる電波暗箱において、前記アンテナは、ホーンアンテナであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記態様にかかる電波暗箱によれば、サイズを維持しつつ、評価できる電波の周波数帯を広帯域化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る電波暗箱の一例を示す外観図である。
【図2】実施形態に係る電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。
【図3】実施形態に係る電波吸収体の一例を示す模式図である。
【図4】比誘電率の周波数特性を示す図である。
【図5】第1の領域に形成される電波吸収体の一例を示す模式図である。
【図6】第2の領域に形成される電波吸収体の一例を示す模式図である。
【図7】実施形態に係る電波暗箱の電界分布を示す図である。
【図8】電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。
【図9】電波暗箱の電界分布を示す図である。
【図10】電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。
【図11】電波暗箱の電界分布を示す図である。
【図12】実施形態に係る電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。
【図13】実施形態に係る電波吸収体の一例を示す模式図である。
【図14】実施形態に係る電波暗箱の電界分布を示す図である。
【図15】電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。
【図16】電波暗箱の電界分布を示す図である。
【図17】電波暗箱の体積とQZの割合との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。

【0019】
(第1の実施形態)
(電波暗箱)
図1は、実施形態に係る電波暗箱の一例を示す外観図である。実施形態に係る電波暗箱1は、無線携帯端末の受信特性を評価するときに使用される。
電波暗箱1は、金属板10aと金属板10bと金属板10cと金属板10dと金属板10eと金属板10fとを備える。金属板10aと金属板10cとが対向し、金属板10bと金属板10dとが対向し、金属板10eと金属板10fとが対向する。金属板10aと金属板10bと金属板10cと金属板10dと金属板10eと金属板10fとによって、シールド箱が構成される。

【0020】
シールド箱によって、該シールド箱の外部の電波は該シールド箱の内部へ影響を与えず、且つシールド箱の内部の電波は該シールド箱の外部へ漏れることがない。さらに、金属板10aには、開口部20が形成される。この開口部20には、ホーンアンテナの導波管の開口端が取り付けられる。さらに、電波暗箱1の内部には、無線端末装置50を載置する台(図示なし)が設置され、該台に無線端末装置50が載置される。
以下、金属板10aと金属板10bと金属板10cと金属板10dと金属板10eと金属板10fとを区別しない場合には、金属板10と記載する。金属板10の材料の一例は、アルミニウムである。

【0021】
図2は、実施形態に係る電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。図2は、図1に示した電波暗箱1の内部を示す。
図2において、電波暗箱1の金属板10a及び金属板10cに垂直な方向をX軸と定義する。また、金属板10b及び金属板10dに垂直な方向をY軸と定義する。また、金属板10e及び金属板10fに垂直な方向をZ軸と定義する。そして、X軸において、金属板10aから金属板10cへ下した垂線方向をプラス側とする。また、Y軸において、金属板10dから金属板10bへ下した垂線方向をプラス側とする。また、Z軸において、金属板10dから金属板10fへ下した垂線方向をプラス側とする。
電波暗箱1のサイズの一例は、X軸方向の長さが1000mmであり、Y軸方向の長さが1050mmであり、Z軸方向の長さが1050mmである。
図2は、図1において、金属板10fを取り去り、Z軸のプラス側からマイナス側を見た図である。

【0022】
電波暗箱1を構成する金属板10のうち、金属板10a以外の金属板10bの内壁と金属板10cの内壁と金属板10dの内壁と金属板10eの内壁と金属板10fの内壁には、電波吸収体が形成される。電波吸収体について説明する前に、図2に示される第1の領域、第2の領域、及び第3の領域について説明する。
第1の領域は、金属板10aに形成された開口部20から入射する電波のうち、電波暗箱1の内部に載置された無線携帯端末(図示なし)へ直接到達する電波(直接波)以外の電波が到達する領域をいう。具体的には、開口部20から入射した電波は、電波暗箱1の内部で広がる。そして、その電波は、無線携帯端末へ直接到達する電波(直接波)と、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波に分けられる。無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波は、主に、金属板10cへ到達する電波と金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cに近い領域とへ到達する電波に分けられる。本実施形態では、金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cに近い領域、例えば、Xが400mm-800mmの領域を第1の領域とする。

【0023】
第2の領域は、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波のうち、第1の領域で反射した電波が到達する領域をいう。具体的には、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波は、主に、金属板10cへ到達する電波と第1の領域へ到達する電波に分けられる。第1の領域へ到達した電波の一部は、第1の領域に形成された電波吸収体によってその一部が吸収され、該電波吸収体によって吸収されない電波は、第1の領域で反射し、金属板10cへ到達すると想定される。金属板10cのうち、第1の領域で反射した電波が到達すると想定される領域を第2の領域とする。本実施形態では、金属板10cの全域を第2の領域とする。金属板10cの全域を第2の領域とすることによって、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波のうち、金属板10cへ到達する電波も、該金属板10cに形成された電波吸収体によって吸収されると想定される。

【0024】
第3の領域は、金属板10aに形成された開口部20から入射する電波が到達しないと想定される領域のうち、金属板10a以外の領域をいう。具体的には、開口部20から入射した電波は、電波暗箱1の内部で広がり、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波は、主に金属板10cへ到達する電波と金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cに近い領域へ到達する電波とに分けられる。つまり、金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cから遠い領域へは到達しないと想定される。本実施形態では、金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cから遠い領域、例えば、Xが50mm-400mmの領域を第3の領域とする。

【0025】
図2に示すように、電波暗箱1の金属板10bの内壁の第1の領域に電波吸収体30b1が形成され、金属板10bの内壁の第3の領域に電波吸収体30b3が形成されている。図2には、第1の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「30b1」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「30b1」によって説明される。同様に、第3の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「30b3」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「30b3」によって説明される。

【0026】
また、金属板10cの内壁の第2の領域に電波吸収体30c2が形成されている。図2には、第2の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「30c2」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「30c2」によって説明される。
また、金属板10dの内壁の第1の領域に電波吸収体30d1が形成され、金属板10dの内壁の第3の領域に電波吸収体30d3が形成されている。図2には、第1の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「30d1」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「30d1」によって説明される。同様に、第3の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「30d3」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「30d3」によって説明される。

【0027】
金属板10eの内壁の第1の領域に電波吸収体30e1が形成され、金属板10eの内壁の第3の領域に電波吸収体30e3に形成されている。なお、金属板10fの内壁にも、第1の領域に電波吸収体30f1(図示なし)が形成され、第3の領域に電波吸収体30f3(図示なし)が形成されている。
なお、金属板10aの内壁には電波吸収体30が形成されない。
以下、電波吸収体30b1と電波吸収体30b3と電波吸収体30c2と電波吸収体30d1と電波吸収体30d3と電波吸収体30e1と電波吸収体30e3と電波吸収体30f1と電波吸収体30f3とを区別しない場合には、電波吸収体30と記載する。

【0028】
(電波吸収体)
図3は、実施形態に係る電波吸収体の一例を示す模式図である。図3には、第2領域と第3の領域に形成される電波吸収体が示される。電波吸収体30は、錐体の形状を有する。実施形態では、一例として、電波吸収体が四角錐(ピラミッド型)の形状を有する場合について説明を続ける。図3に示すように、電波吸収体30は、金属板10の上に形成されたベース15の上に形成される。
電波吸収体30のサイズの一例は、底面が75mm×75mmの正方形で高さが150mmである。なお、ベース15は、底面が75mm×75mmの正方形で高さが50mmの直方体である。
電波吸収体30は、理想的な入射角である垂直入射において、3GHz以上の周波数では-50dB以下の反射係数が得られ、700MHzの周波数では-20dB程度の反射係数が得られることが期待される。また、2GHzの周波数では-44dB程度の反射波のレベル低下が期待できる。目標とする電波暗箱の性能が、この反射係数以下まで必要な場合、所望の反射係数を有した電波吸収体を選択することになる。

【0029】
(電波吸収体の材料定数)
シミュレーションにより電波暗箱1の特性を得るには、電波暗箱1の内部に用いるウレタンフォームに基づいて、カーボンを浸透させた電波吸収体30の材料定数である比誘電率の周波数特性が必要である。そこで、電波吸収体30を使用して、比誘電率を求め、分散性媒質のDebye型緩和式を適用して比誘電率の周波数特性を導出した。尚、電波暗箱1に用いる電波吸収体30は、適用周波数範囲及びサイズを考慮し、ピラミッド型の電波吸収体を選択し、材料定数を求める実験でもこれを使用した。
実験では、表1に示すビーム幅のホーンアンテナを適用した。表1には、周波数が1.0GHzと2.0GHzと3.0GHzの各々について、E-planeの3dBのバンド幅とH-planeの3dBのバンド幅とが示される。

【0030】
【表1】
JP0006786106B2_000002t.gif

【0031】
材料定数を求める実験において、ホーンアンテナと評価対象物との距離は、500mmである。評価対象物が有限寸法であることやアンテナ間距離等の影響を軽減するため、同寸法の金属板(アルミ板、厚み:1.5mm)を基準として複素反射係数を求めた。また、タイムドメイン法を適用することによって、他の反射波の影響を軽減した。測定周波数は、測定に用いたホーンアンテナの動作が保証される周波数範囲と測定環境の制限から1.5GHzから4.5GHzの範囲で実験を行った。

【0032】
簡単のため、図3に示す電波吸収体30の裏面の平面部分、つまりベース15を使って測定を行った。尚、この電波吸収体30は四角錐側に青色の塗装がなされ、裏面は塗装がされていない。この塗料の影響がないことは、四角錐の形状の電波吸収体と同じウレタンフォームの一層型平板の電波吸収体とを用いて、実験により確認を行っている。
求めた反射係数を下記の式(1)に代入して、比誘電率を求めた。この際の反射係数は、電波吸収体30をもう一つ用意して、四角錐の部分を重ね合わせて厚い平板としたときと測定結果が変わらなかったため、電波吸収体は無限の厚みを有すると仮定している。
εr=((1-Γ)/(1+Γ))^2 (1)
ただし、式(1)において、「Γ」はReflection Coefficientであり、「εr」はRelative Permittivityである。

【0033】
比誘電率の周波数特性は、測定値から求めた比誘電率を適用して、最小二乗法で、Debye型緩和式によく当てはまるデータを選択することによって、電波吸収体30の材料定数として比誘電率を決定した。Debye型緩和式で表現された比誘電率は、式(2)で表現される。
εr(ω)=(ε∞+(εs-ε∞)/(1+ω^2×τe^2))-j((σe/ω×ε0)+((εs-ε∞)×ω×τe)/(1+ω^2×τe^2)) (2)
ただし、式(2)において、τe、ε∞、εs、ε0、σeは、媒質によって異なる定数である。具体的には、「τe」はDielectric Relaxation Timeであり、「ε∞」はRelative Optical Permittivityであり、「εs」はRelative Static Permittivityであり、「ε0」はFree-space Permittivityであり、「σe」はStatic Electric Conductivityであり、「ω」はAngular Frequencyである。

【0034】
図4は、比誘電率の周波数特性を示す図である。図4において、横軸は周波数[GHz]であり、縦軸は比誘電率である。各定数の周波数特性を考慮に入れ、これらの値を最小二乗法により曲線近似を行うことによって、式(2)に当てはまるデータを選択することによって、比誘電率を求めた。
以上により、電波暗箱1の内部に用いるウレタンフォームに基づいて、カーボンを浸透させた電波吸収体30の材料定数である比誘電率の周波数特性が求められた。

【0035】
(第1の領域に形成される電波吸収体)
図5は、第1の領域に形成される電波吸収体の一例を示す模式図である。第1の領域は、電波暗箱1の側面(金属板10b、金属板10d、金属板10e、金属板10f)の一部の領域である。図5に示すように、電波吸収体30b1は、頂点Pと点A、点B、点C及び点Dのそれぞれとを結ぶ直線によって表される。そして、電波吸収体30b1は、正四角錐と比較して、頂点Pが、マイナスX方向に移動した斜方錐の形状を有する。つまり、電波吸収体30b1は、金属板10a側へ傾斜している。そして、電波吸収体30b1の底面である四角形ABCDの重心をOとし、頂点Pと四角形ABCDの重心とを結んだ直線と底面である四角形ABCDとのなす角をθとすると、θは50度以上である。例えば、金属板10aは、頂点Pと四角形ABCDの重心とを結んだ直線の延長線上にあるのが好ましい。また、開口部20は、頂点Pと四角形ABCDの重心とを結んだ直線の延長線上にあるのがより好ましい。
なお、電波吸収体30d1と電波吸収体30e1と電波吸収体30f1とについては、電波吸収体30b1を適用できる。以下、開口部20を有する金属板10aは、開口面とも呼ぶ。

【0036】
(第2の領域に形成される電波吸収体)
図6は、第2の領域に形成される電波吸収体の一例を示す模式図である。第2の領域は、電波暗箱1の開口面に対する対面(金属板10c)の一部の領域である。図6に示すように、電波吸収体30c2は、頂点Paと点Aa、点Ba、点Ca及び点Daのそれぞれとを結ぶ直線によって表される。そして、電波吸収体30c2は、正四角錐の形状を有する。つまり、電波吸収体30c2の底面である四角形AaBaCaDaの重心をOaとし、頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心Oaとを結んだ直線と底面である四角形AaBaCaDaとのなす角をθとすると、θは90度である。例えば、開口面は、頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心とを結んだ直線の延長線上にある。

【0037】
(第3の領域に形成される電波吸収体)
第3の領域に形成される電波吸収体30b3の一例を示す模式図は、図6を適用できる。電波吸収体30b3は、頂点Paと点Aa、点Ba、点Ca及び点Daのそれぞれとを結ぶ直線によって表される。そして、電波吸収体30b3は、正四角錐の形状を有する。つまり、電波吸収体30b3の底面である四角形AaBaCaDaの重心をOaとし、頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心Oaとを結んだ直線と底面である四角形AaBaCaDaとのなす角をθとすると、θは90度である。例えば、金属板10dは、電波吸収体30b3の頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心とを結んだ直線の延長線上にある。
なお、電波吸収体30d3と電波吸収体30e3と電波吸収体30f3とについては、電波吸収体30b3を適用できる。例えば、金属板10bは、電波吸収体30d3の頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心とを結んだ直線の延長線上にある。例えば、金属板10fは、電波吸収体30e3の頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心とを結んだ直線の延長線上にある。例えば、金属板10eは、電波吸収体30f3の頂点Paと四角形AaBaCaDaの重心とを結んだ直線の延長線上にある。

【0038】
(電界分布)
図7は、実施形態に係る電波暗箱の電界分布を示す図である。この電界分布は、自由空間の放射レベルで正規化したものである。以下、自由空間の放射レベルで正規化した電界分布を、正規化反射波レベルという。図7は、電波暗箱1の開口部20にホーンアンテナを取り付けて、該ホーンアンテナから1.5GHzの電波をプラスX軸方向へ放射した場合の電界分布のシミュレーション結果である。
図7は、電波暗箱1のX軸方向が50mm-1000mmで、Y軸方向が0mm-1050mmのうち、X軸方向が50mm-800mmで、Y軸方向が200mm-900mmの範囲の電界分布を示す。

【0039】
波源であるホーンアンテナの開口部20は、図2において、金属板10aの中心であるY軸方向とZ軸方向が50mmに配置した。ホーンアンテナの各周波数における3dB bandwidth E-Plane[°]と3dB Bandwidth H-Plane[°]は、0.7GHzの場合に74.0と70.0であり、1.5GHzの場合に34.0と44.0であり、3.0GHzの場合に16.0と20.0である。なお、開口部20の寸法は、300mm×300mmの固定値とした。ホーンアンテナを使用することによって、斜入射を削減でき、電波暗箱1の側面(金属板10b、金属板10d、金属板10e、金属板10f)の反射波を抑え、対面(金属板10c)に形成された電波吸収体による反射波を主とすることができる。

【0040】
図7によれば、電波暗箱1の内壁(内部)に形成された電波吸収体30によって、開口部20から放射された電波が減衰するのが分かる。仮に、無線携帯端末の評価に必要な環境の正規化反射波レベルの上限を-30dBとすると、該正規化反射波レベル-30dB以下となる領域は、電波暗箱1の全域ではなく、X軸方向が50mm-700mmで、Y軸方向が400mm-650mmの範囲であるのが分かる。無線携帯端末の受信特性を評価する場合には、この正規化反射波レベル-30dB以下となる領域に無線携帯端末を載置することが、誤差の少ない評価を行うために必要である。
図7では、正規化反射波レベル-30dB以下となる領域として、650mm×250mmの領域が得られている。この領域は、スマートフォンクラスのサイズを評価するのに十分な領域である。更に、個の領域は、タブレットサイズを評価するのにも適用の可能性がある。

【0041】
(比較例(その1))
(電波暗箱)
実施形態に係る電波暗箱1の効果を示すために、斜方錐の形状を有する電波吸収体を形成しない電波暗箱について、電界分布を求めた。
図8は、電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。図8に示す電波暗箱1aは、図2に示した電波暗箱1と、第1の領域に、電波吸収体30b1と電波吸収体30d1と電波吸収体30e1と電波吸収体30f1の代わりに、電波吸収体30b3と電波吸収体30d3と電波吸収体30e3と電波吸収体30f3を形成した点で異なる。つまり、電波暗箱1aは、電波暗箱1において、斜方錐の形状を有する電波吸収体の代わりに、四角錐の形状を有する電波吸収体を形成したものである。

【0042】
(電界分布)
図9は、電波暗箱の電界分布を示す図である。この電界分布は、自由空間の放射レベルで正規化したものである。図9は、電波暗箱1aの開口部20にホーンアンテナを取り付けて、該ホーンアンテナから1.5GHzの電波をプラスX軸方向へ放射した場合の電界分布のシミュレーション結果である。
図9は、電波暗箱1aのX軸方向が50mm-1000mmで、Y軸方向が0mm-1050mmのうち、X軸方向が50mm-800mmで、Y軸方向が200mm-900mmの範囲の電界分布を示す。

【0043】
図9によれば、電波暗箱1aの内壁(内部)に形成された電波吸収体30によって、開口部20から放射された電波が減衰するのが分かる。仮に、無線携帯端末の評価に必要な環境の正規化反射波レベルの上限を-30dBとすると、該正規化反射波レベル-30dB以下となる領域は、電波暗箱1aの全域ではなく、X軸方向が50mm-700mmでY軸方向が450mm-600mmの範囲であるのが分かる。無線携帯端末の受信特性を評価する場合には、この正規化反射波レベル-30dB以下となる領域に無線携帯端末を載置することが、誤差の少ない評価を行うために必要である。
図9では、正規化反射波レベル-30dB以下となる領域として、650mm×150mmの領域が得られている。この領域は、スマートフォンクラスのサイズを評価するのに十分な領域である。更に、個の領域は、タブレットサイズを評価するのには狭いと考えられる。

【0044】
図7に示した実施形態に係る電波暗箱1の電界分布と図9に示す電波暗箱1aとを比較する。図7に示した電波暗箱1の電界分布では、X軸方向が50mm-700mmでY軸方向が400mm-650mmの範囲で正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られている。これに対し、図9に示した電波暗箱1aの電界分布では、X軸方向が50mm-700mmでY軸方向が450mm-600mmの範囲で、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られているのに過ぎない。
つまり、図7に示した電波暗箱1の電界分布は、図9に示した電波暗箱1aの電界分布と比較して、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られる範囲が広がっている。これによって、電波暗箱1は、電波暗箱1aと比較して、より大きなサイズの無線携帯端末の受信特性を評価するのに使用できる。

【0045】
(比較例(その2))
(電波暗箱)
実施形態に係る電波暗箱1の効果を示すために、斜方錐の形状を有する電波吸収体を形成しない電波暗箱について、電界分布を求めた。
図10は、電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。図10に示す電波暗箱1aaは、図2に示した電波暗箱1と、X軸方向の長さを長くし、第1の領域に、電波吸収体30b1と電波吸収体30d1と電波吸収体30e1と電波吸収体30f1の代わりに、電波吸収体30b3と電波吸収体30d3と電波吸収体30e3と電波吸収体30f3とを形成した点で異なる。つまり、電波暗箱1aaは、電波暗箱1において、X軸方向の長さを長くし、且つ斜方錐の形状を有する電波吸収体の代わりに、四角錐の形状を有する電波吸収体を形成したものである。
電波暗箱内の反射波は、寸法を大きくするほど側面による影響が低下するため、自由空間放射電界が対面の電波吸収体に入射して生じる反射波が支配的となる。このときの電界強度は、電波吸収体の垂直入射の反射係数の値で一定となる。

【0046】
(電界分布)
図11は、電波暗箱の電界分布を示す図である。この電界分布は、自由空間の放射レベルで正規化したものである。図11は、電波暗箱1aaの開口部20にホーンアンテナを取り付けて、該ホーンアンテナから1.5GHzの電波をプラスX軸方向へ放射した場合の電界分布のシミュレーション結果である。
図11は、電波暗箱1aaのX軸方向が50mm-1150mmで、Y軸方向が0mm-1050mmのうち、X軸方向が50mm-950mmで、Y軸方向が200mm-850mmの範囲の電界分布を示す。

【0047】
図11によれば、電波暗箱1aaの内壁(内部)に形成された電波吸収体30によって、開口部20から放射された電波が減衰するのが分かる。仮に、無線携帯端末の評価に必要な環境の正規化反射波レベルの上限を-30dBとすると、該正規化反射波レベル-30dB以下となる領域は、電波暗箱1aaの全域ではなく、X軸方向が50mm-250mmでY軸方向が400mm-650mmの範囲であるのが分かる。無線携帯端末の受信特性を評価する場合には、この正規化反射波レベル-30dB以下となる領域に無線携帯端末を載置することが、誤差の少ない評価を行うために必要である。
図11では、正規化反射波レベル-30dB以下となる領域として、200mm×250mmの領域が得られている。この領域は、スマートフォンクラスのサイズを評価するのに十分な領域である。更に、個の領域は、タブレットサイズを評価するには狭いと考えられる。

【0048】
図7に示した実施形態に係る電波暗箱1の電界分布と図11に示す電波暗箱1aaとを比較する。図7に示した電波暗箱1の電界分布は、X軸方向が50mm-700mmでY軸方向が400mm-650mmの範囲で正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られている。これに対し、図11に示した電波暗箱1aaの電界分布では、X軸方向が50mm-250mmでY軸方向が400mm-650mmの範囲で、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られているのに過ぎない。
つまり、図7に示した電波暗箱1の電界分布は、図11に示した電波暗箱1aaの電界分布と比較して、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られる範囲が広がっている。これによって、電波暗箱1は、電波暗箱1aaと比較して、より大きなサイズの無線携帯端末の受信特性を評価するのに使用できる。

【0049】
前述した実施形態では、電波暗箱の金属板の開口部にホーンアンテナの導波管が取り付けられる場合について説明したが、この例に限られない。例えば、ホーンアンテナの代わりにモノポールアンテナや、リッジホーンアンテナを用いてもよい。ただし、斜入射を低減する観点からは、ホーンアンテナや、リッジホーンアンテナを用いるのが好ましい。
前述した実施形態では、電波吸収体の形状が四角錐である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、電波吸収体の形状が三角錐、八角錐等の角錐であってもよいし、円錐であってもよい。
前述した実施形態では、電波暗箱1のサイズが、X軸方向の長さが1000mmであり、Y軸方向の長さが1050mmであり、Z軸方向の長さが1050mmである場合について説明したが、この例に限られない。例えば、受信特性を評価するスマートフォン、タブレット端末等の端末装置のサイズに応じて、適宜設定可能である。
また、電波吸収体の数についても、電波吸収体の底面積と電波吸収体の大きさに応じて、適宜変更可能である。

【0050】
前述した実施形態では、第1の領域が、金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cに近い領域、例えば、Xが400mm-800mmの領域である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第1の領域は、開口部20から放射される電波の指向性等によって、適宜設定されてもよい。
前述した実施形態では、第3の領域が、金属板10b、金属板10d、金属板10e、及び金属板10fの金属板10cから遠い領域、例えば、Xが50mm-400mmの領域である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第3の領域は、開口部20から放射される電波の指向性等によって、適宜設定されてもよい。

【0051】
前述した実施形態では、第2の領域が、金属板10cの内壁の全域である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第2の領域は、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波のうち、金属板10cへ到達する電波が到達すると想定される領域と第1の領域で反射した電波が到達すると想定される領域とに基づいて、設定されてもよい。

【0052】
前述した実施形態では、第1の領域に形成される電波吸収体において、該電波吸収体の底面である四角形ABCDの重心をOとし、頂点Pと四角形ABCDの重心とを結んだ直線と底面である四角形ABCDとのなす角度が同じである場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第1の領域に形成される電波吸収体において、該電波吸収体の底面である四角形ABCDの重心をOとし、頂点Pと四角形ABCDの重心とを結んだ直線と底面である四角形ABCDとのなす角度が異なっていてもよい。具体的には、金属板10aに近づくにしたがって、角度が大きくなるようにしてもよい。
前述した実施形態では、第1の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体を形成した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第1の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体と四角錐の形状を有する電波吸収体とを混在させてもよい。

【0053】
前述した実施形態では、第1の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体を形成した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第2の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体を形成してもよい。この場合、第2の領域に形成される電波吸収体において、該電波吸収体の底面である四角形ABCDの重心をOとし、頂点Pと四角形ABCDの重心とを結んだ直線と底面である四角形ABCDとのなす角度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前述した実施形態では、金属板10aの内壁には電波吸収体30が形成されない場合について説明したが、この例に限られない。例えば、金属板10aの内壁にも電波吸収体30が形成されていてもよい。具体的には、金属板10aの内壁には、四角錐の形状を有する電波吸収体が形成されてもよい。このように構成することによって、電波暗箱1は、高い電波吸収特性を得ることができる。
前述した実施形態では、斜方錐の形状を有する電波吸収体を形成する第1の領域が、電波暗箱1の側面(金属板10b、金属板10d、金属板10e、金属板10f)の内壁の一部の領域である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、電波暗箱1の側面のうち、一つ以上の側面の一部の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体が形成されてもよい。具体的には、上下の面(金属板10e、金属板10f)以外の面(金属板10b、金属板10d)の内壁の一部の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体が形成されてもよい。この場合、斜方錐の形状を有する電波吸収体が形成されていない領域には、四角錐の形状を有する電波吸収体が形成される。
前述した実施形態では、電波暗箱について説明したが、電波暗室にも適用できる。

【0054】
これまで、電波暗箱の内壁(内面)には、同一の電波吸収体を形成していた。電波吸収体には、四角錐型(ピラミッド型)の電波吸収体を用いることが多く、その構造は、吸収する電波の周波数、電波の吸収特性等によって高さ方向を変化させていた。低周波、或いは、高い電波吸収特性を得るには、より高さが高い電波吸収体を用いていた。電波暗箱の内部の空間を広げるには、電波暗箱の外寸法を広げる必要があった。このため、低周波域での評価では電波暗箱の外寸法が、必然的に大きくなっていた。

【0055】
実施形態に係る電波暗箱1では、電波暗箱の波源面(金属板10a)に対して90°をなす側面(金属板10b、金属板10d、金属板10e、金属板10f)に形成される電波吸収体の一部を波源面側に傾ける。このように構成することによって、電波暗箱の外寸法を、大きくすることなく、高い電波吸収特性を得ることができる。
さらに、波源をホーンアンテナとすることによって、側面への入射を軽減し、対面への入射を主にすることができるため、側面の電波吸収体特性を所望の特性から軽減することが可能となった。評価環境の特性を維持して、側面の電波吸収特性を軽減することが可能であるので、側面に用いるピラミッド型の電波吸収体の高さ方向の寸法を抑えることができる。電波吸収体の高さ方向の寸法を抑えることができることによって、電波暗箱を小型化できる。

【0056】
(第2の実施形態)
(電波暗箱)
実施形態に係る電波暗箱の一例は、図1を適用できる。
図12は、実施形態に係る電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。第1の実施形態と同様に、図12において、金属板10a及び金属板10cに垂直な方向をX軸と定義する。また、金属板10b及び金属板10dに垂直な方向をY軸と定義する。また、金属板10e及び金属板10fに垂直な方向をZ軸と定義する。そして、X軸において、金属板10aから金属板10cへ下した垂線方向をプラス側とする。また、Y軸において、金属板10dから金属板10bへ下した垂線方向をプラス側とする。また、Z軸において、金属板10dから金属板10fへ下した垂線方向をプラス側とする。
電波暗箱2のサイズの一例は、X軸方向の長さが1400mmであり、Y軸方向の長さが1050mmであり、Z軸方向の長さが1050mmである。
図12は、図1において、金属板10fを取り去り、Z軸のプラス側からマイナス側を見た図である。

【0057】
電波暗箱1を構成する金属板10のうち、金属板10a以外の金属板10bの内壁と金属板10cの内壁と金属板10dの内壁と金属板10eの内壁と金属板10fの内壁には、電波吸収体が形成される。
図12に示される第1の領域、第2の領域、及び第3の領域の各々は、第1の実施形態を適用できる。
図12に示すように、電波暗箱2の金属板10bの内壁の第1の領域に電波吸収体40b1が形成され、金属板10bの内壁の第3の領域に電波吸収体40b3が形成されている。
図12には、第1の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40b1」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40b1」によって説明される。同様に、第3の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40b3」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40b3」によって説明される。

【0058】
また、金属板10cの内壁の第2の領域に電波吸収体40c2が形成されている。図12には、第2の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40c2」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40c2」によって説明される。
また、金属板10dの内壁の第1の領域に電波吸収体40d1が形成され、金属板10dの内壁の第3の領域に電波吸収体40d3が形成されている。図12には、第1の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40d1」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40d1」によって説明される。同様に、第3の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40d3」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40d3」によって説明される。

【0059】
金属板10eの内壁の第1の領域に電波吸収体40e1が形成され、金属板10eの内壁の第3の領域に電波吸収体40e3に形成されている。図12には、第1の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40e1」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40e1」によって説明される。同様に、第3の領域に形成される電波吸収体のうち、最前列の電波吸収体のみに符号「40e3」が付されているが、Z軸方向に並んだ全ての電波吸収体が符号「40e3」によって説明される。なお、金属板10fの内壁にも、第1の領域に電波吸収体40f1(図示なし)が形成され、第3の領域に電波吸収体40f3(図示なし)が形成されている。
なお、金属板10aの内壁には電波吸収体30が形成されない。
以下、電波吸収体40b1と電波吸収体40b3と電波吸収体40c2と電波吸収体40d1と電波吸収体40d3と電波吸収体40e1と電波吸収体40e3と電波吸収体40f1と電波吸収体40f3とを区別しない場合には、電波吸収体40と記載する。

【0060】
(電波吸収体)
電波吸収体40b1と電波吸収体40b3と電波吸収体40d1と電波吸収体40d3と電波吸収体40e1と電波吸収体40e3と電波吸収体40f1と電波吸収体40f3とは、図6を参照して説明した電波吸収体30b3を適用できる。
図13は、実施形態に係る電波吸収体の一例を示す模式図である。第2の領域に形成される電波吸収体40c2は、錐体の形状を有する。実施形態では、一例として、電波吸収体が四角錐の形状を有する場合について説明を続ける。図13に示すように、電波吸収体40c2は、金属板10の上に形成されたベース15の上に形成される。

【0061】
電波吸収体40c2のサイズの一例は、底面が150mm×150mmの正方形で高さが360mmである。なお、ベース15は、底面が150mm×150mmの正方形で高さが90mmの直方体である。
電波吸収体40c2は、図6を参照して説明した電波吸収体30b3と比較して、X軸方向の長さが長くなっている点で異なる。X軸方向の長さが長くすることで、電波の吸収率を高くすることができる。
電波吸収体40c2は、理想的な入射角である垂直入射において、700MHzの周波数では-40dB程度の反射係数が得られることが期待される。

【0062】
(電波吸収体の材料定数)
シミュレーションにより電波暗箱1の特性を得るには、電波暗箱1の内部に用いるウレタンフォームに基づいて、カーボンを浸透させた電波吸収体30の材料定数である比誘電率の周波数特性が必要である。電波吸収体40の材料定数である比誘電率の周波数特性は、第1の実施形態で求めた図4を適用できる。
(第1の領域-第3の領域に形成される電波吸収体)
第1の領域に形成される電波吸収体40b1と電波吸収体40d1と電波吸収体40e1と電波吸収体40f1と第3の領域に形成される電波吸収体40b3と電波吸収体40d3と電波吸収体40e3と電波吸収体40f3の一例は、図6を適用できる。また、第2の領域に形成される電波吸収体40c2の一例は、図13を適用できる。

【0063】
(電界分布)
図14は、実施形態に係る電波暗箱の電界分布を示す図である。この電界分布は、自由空間の放射レベルで正規化したものである。図14は、電波暗箱1の開口部20にホーンアンテナを取り付けて、該ホーンアンテナから700MHzの電波をプラスX軸方向へ放射した場合の電界分布のシミュレーション結果である。
図14は、電波暗箱2のX軸方向が50mm-1400mmで、Y軸方向が0mm-1050mmのうち、X軸方向が50mm-950mmで、Y軸方向が200mm-900mmの範囲の電界分布を示す。

【0064】
図14によれば、電波暗箱2の内壁(内部)に形成された電波吸収体30によって、開口部20から放射された電波が減衰するのが分かる。仮に、無線携帯端末の評価に必要な環境の正規化反射波レベルの上限を-30dBとすると、該正規化反射波レベル-30dB以下となる領域は、電波暗箱2の全域ではなく、X軸方向が50mm-500mmで、Y軸方向が200mm-900mmの範囲であるのが分かる。無線携帯端末の受信特性を評価する場合には、この正規化反射波レベル-30dB以下となる領域に無線携帯端末を載置することが、誤差の少ない評価を行うために必要である。
図14では、正規化反射波レベル-30dB以下となる領域として、450mm×700mmの領域が得られている。この領域は、スマートフォンクラスのサイズを評価するのに十分な領域である。更に、個の領域は、タブレットサイズを評価するのにも適用の可能性がある。

【0065】
(比較例)
(電波暗箱)
実施形態に係る電波暗箱2の効果を示すために、高さが低い電波吸収体を形成しない電波暗箱について、電界分布を求めた。
図15は、電波暗箱の内部の一例を示す模式図である。図15に示す電波暗箱2aは、図12に示した電波暗箱2aと、第1の領域に、電波吸収体40b1と電波吸収体40d1と電波吸収体40e1と電波吸収体40f1の代わりに、電波吸収体40b2と電波吸収体40d2と電波吸収体40e2と電波吸収体40f2を形成した点で異なる。また、図15に示す電波暗箱2aは、図12に示した電波暗箱2aと、第3の領域に、電波吸収体40b3と電波吸収体40d3と電波吸収体40e3と電波吸収体40f3の代わりに、電波吸収体40b2と電波吸収体40d2と電波吸収体40e2と電波吸収体40f2を形成した点で異なる。

【0066】
電波吸収体40b2と電波吸収体40d2と電波吸収体40e2と電波吸収体40f2は、図13を参照して説明した電波吸収体を適用できる。つまり、電波暗箱2aは、電波暗箱2において、高さの低い電波吸収体の代わりに、高さの高い電波吸収体を形成したものである。
電波暗箱2のサイズの一例は、X軸方向の長さが1400mmであり、Y軸方向の長さが1550mmであり、Z軸方向の長さが1550mmである。金属板10bと金属板10dと金属板10eと金属板10fとに高さの高い電波吸収体を形成したことによって、Y軸方向の長さが長くなっている。

【0067】
(電界分布)
図16は、電波暗箱の電界分布を示す図である。この電界分布は、自由空間の放射レベルで正規化したものである。図16は、電波暗箱2aの開口部20にホーンアンテナを取り付けて、該ホーンアンテナから700MHzの電波をプラスX軸方向へ放射した場合の電界分布のシミュレーション結果である。
図16は、電波暗箱2aのX軸方向が50mm-1400mmで、Y軸方向が0mm-1550mmのうち、X軸方向が50mm-950mmで、Y軸方向が450mm-1100mmの範囲の電界分布を示す。

【0068】
図16によれば、電波暗箱2aの内壁(内部)に形成された電波吸収体40によって、開口部20から放射された電波が減衰するのが分かる。仮に、無線携帯端末の評価に必要な環境の正規化反射波レベルの上限を-30dBとすると、該正規化反射波レベル-30dB以下となる領域は、電波暗箱2aの全域ではなく、X軸方向が50mm-600mmでY軸方向が450mm-1100mmの範囲であるのが分かる。無線携帯端末の受信特性を評価する場合には、この正規化反射波レベル-30dB以下となる領域に無線携帯端末を載置することが、誤差の少ない評価を行うために必要である。
図16では、正規化反射波レベル-30dB以下となる領域として、550mm×650mmの領域が得られている。この領域は、スマートフォンクラスのサイズを評価するのに十分な領域である。更に、個の領域は、タブレットサイズを評価するのにも適用の可能性がある。

【0069】
図14に示した実施形態に係る電波暗箱2の電界分布と図16に示す電波暗箱2aとを比較する。図14に示した電波暗箱2の電界分布は、X軸方向が50mm-250mmでY軸方向が400mm-650mmの範囲で正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られている。これに対し、図16に示した電波暗箱2aの電界分布では、X軸方向が50mm-600mmでY軸方向が450mm-1100mmの範囲で、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られている。
つまり、図14に示した電波暗箱2の電界分布は、図16に示した電波暗箱2aの電界分布と比較して、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られる範囲が狭くなっている。
しかし、電波暗箱2のサイズを小さくする観点からは、図14に示した電波暗箱2の電界分布でも十分な特性が得られている。

【0070】
(電波暗箱の体積とQZの割合との関係)
実際に無線携帯端末の受信特性を評価するには、どのような環境が必要かを明らかにするために、電波暗箱の一般的な性能指標の一つであるQZに注目して、無線携帯端末の評価に必要なQZをシミュレーションにより求めた。ここで、直接波に対する反射波の振幅比が、ある一定値以下になる領域をQZと定義する。
図17は、電波暗箱の体積とQZの割合との関係を示す図である。図17において、横軸は、電波暗箱の体積を示し、縦軸はQZの割合を示す。

【0071】
本実施形態では、無線携帯端末の受信特性に影響を与えない直接波に対する反射波の振幅比以下の領域をQZ、その振幅比をQZレベルと定義する。シミュレーションは、一般的な変調方式であるQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を選択し、反射波による影響を受信特性の一つの指標であるビット誤り率(BER:Bit Error Rate)特性で評価した。受信特性の劣化要因である反射波の表現方法は、一般に移動通信等のシミュレーションで適用される伝搬路モデルを適用するのが通常であるが、伝搬距離等を考慮すると電波暗箱内の伝搬路を通常の伝搬路モデルに適用するのは、適切でない。このため、反射波を直接波に対し、4波の遅延波と仮定して、QZレベルの逆数をこれら反射波に与える減衰量で表現したモデルを適用してシミュレーションを行った。

【0072】
所望の最小BER値を得るために、評価環境による測定誤差を軽減するために必要となるQZレベルは、例えば、1.0×E^-5レベル以下のBER特性を評価するためには、QZレベルが-35dB以下の環境であることが必要となる。或いは、評価する際、理論値との差分を補正するキャリブレーション等を前提とした場合、反射波による誤差変動の小さいQZレベル-30dBからも多少の精度が落ちるが評価可能な環境と考える。
一般的に無線携帯端末の誤り訂正を考慮した場合、誤り訂正が可能なBER値は、1.0×E^-4以下なので、この値を基準にすると、キャリブレーションの実施を前提とする場合は、QZレベル-30dB以下、キャリブレーションの実施を前提としない場合は、QZレベル-35dB以下が必要である。

【0073】
図17において、「□」は、第1の領域-第3の領域に、図3に示した電波吸収体を形成した電波暗箱1aの特性である。また、「△」は、第1の領域及び第3の領域に図3に示した電波吸収体を形成し、且つ第2の領域に図13に示した高さが高い電波吸収体を形成した電波暗箱2の特性である。また、「○」は、第1の領域-第3の領域に、図13に示した高さが高い電波吸収体を形成した電波暗箱2aの特性である。
図17によれば、電波暗箱1aの特性と電波暗箱2の特性と電波暗箱2aの特性とを比較すると、電波暗箱1a、電波暗箱2、電波暗箱2aの順に、QZの割合、換言すればQZレベルが-30dB以下である割合が増加しているため、特性がよくなっていることが分かる。

【0074】
電波暗箱1aと電波暗箱2と電波暗箱2aとを比較する。
まず、電波暗箱1aと電波暗箱2とを比較すると、体積が2倍になっているのに対し、QZの割合は2倍になっている。これに対し、電波暗箱2と電波暗箱2aとを比較すると、体積が2.2倍になっているのに対し、QZの割合は1.5倍になっている。電波暗箱2から電波暗箱2aとしても、体積が増加する割には、QZの割合は増加しないことが分かる。
したがって、第1の領域及び第3の領域に図3に示した電波吸収体を形成し、且つ第2の領域に図13に示した高さが高い電波吸収体を形成した電波暗箱の方が、第1の領域-第3の領域に図13に示した電波吸収体を形成した電波暗箱よりも効果が大きいことを示している。

【0075】
(変形例)
前述した実施形態に係る電波暗箱1と電波暗箱2とを組み合わせてもよい。つまり、図2に示した電波暗箱1の第2の領域に、図13に示した電波吸収体を形成する。この場合、X軸方向の長さを増加させてもよい。
電波暗箱1の第2の領域に、図13に示した高さの高い電波吸収体を形成することによって、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波のうち、第1の領域で反射した電波の吸収率を高めることができる。このように構成することによって、正規化反射波レベルが-30dB以下の値が得られている領域をさらに広げることができる。

【0076】
前述した実施形態では、電波暗箱の金属板の開口部にホーンアンテナの導波管が取り付けられる場合について説明したが、この例に限られない。例えば、ホーンアンテナの代わりにモノポールアンテナや、リッジホーンアンテナを用いてもよい。ただし、斜入射を低減する観点からは、ホーンアンテナや、リッジホーンアンテナを用いるのが好ましい。
前述した実施形態では、電波吸収体の形状が四角錐である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、電波吸収体の形状が三角錐、八角錐等の角錐であってもよいし、円錐であってもよい。
前述した実施形態では、電波暗箱2のサイズが、X軸方向の長さが1400mmであり、Y軸方向の長さが1050mmであり、Z軸方向の長さが1550mmである場合について説明したが、この例に限られない。例えば、受信特性を評価するスマートフォン、タブレット端末等の端末装置のサイズに応じて、適宜設定可能である。
また、電波吸収体の数についても、電波吸収体の底面積と電波吸収体の大きさに応じて、適宜変更可能である。

【0077】
前述した実施形態では、第2の領域が、金属板10cの内壁の全域である場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第2の領域は、無線携帯端末へ直接到達する電波以外の電波のうち、金属板10cの内壁へ到達する電波が到達すると想定される領域と第1の領域で反射した電波が到達すると想定される領域とに基づいて、設定されてもよい。
前述した実施形態では、第2の領域に、高さの高い電波吸収体を形成した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第2の領域に、高さの異なる二種類の電波吸収体を形成してもよい。
前述した実施形態では、第2の領域に、高さの高い電波吸収体を形成した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、第2の領域に、斜方錐の形状を有する電波吸収体が形成されてもよい。

【0078】
前述した実施形態では、高さの異なる二種類の電波吸収体を金属板の形成した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、高さの異なる三種類以上の電波吸収体を金属板に形成してもよい。
前述した実施形態では、金属板10aの内壁には電波吸収体30が形成されない場合について説明したが、この例に限られない。例えば、金属板10aの内壁にも電波吸収体30が形成されていてもよい。具体的には、金属板10aの内壁には、四角錐の形状を有する電波吸収体が形成されてもよい。このように構成することによって、電波暗箱1は、高い電波吸収特性を得ることができる。
前述した実施形態では、電波暗箱について説明したが、電波暗室にも適用できる。
前述した実施形態において、無線携帯端末は通信装置の一例である。

【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1、1a、1aa、2、2a・・・電波暗箱、10、10b、10c、10d、10e、10f・・・金属板、15・・・ベース、20・・・開口部、50・・・無線端末装置、30、30b1、30b3、30c2、30d1、30d3、30e1、30e3、30f1、30f3・・・電波吸収体、40、40b1、40b3、40c2、40d1、40d3、40e1、40e3、40f1、40f3・・・電波吸収体
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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