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明細書 :原位置測定装置及び原位置測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-076674 (P2018-076674A)
公開日 平成30年5月17日(2018.5.17)
発明の名称または考案の名称 原位置測定装置及び原位置測定方法
国際特許分類 E02D   1/00        (2006.01)
G01L   5/00        (2006.01)
FI E02D 1/00
G01L 5/00 Z
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-217828 (P2016-217828)
出願日 平成28年11月8日(2016.11.8)
発明者または考案者 【氏名】小林 泰三
【氏名】青山 直樹
【氏名】内山 裕二
【氏名】吉光 徹雄
【氏名】大槻 真嗣
【氏名】石上 玄也
【氏名】尾崎 伸吾
出願人 【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
個別代理人の代理人 【識別番号】100110814、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 敏郎
審査請求 未請求
テーマコード 2D043
2F051
Fターム 2D043AA01
2D043AB03
2D043AB04
2D043BA01
2D043BA03
2D043BB01
2D043BB02
2D043BB04
2D043BB05
2D043BB08
2F051AA06
2F051BA07
要約 【課題】 車輌等に搭載して多点で同時に載荷荷重とせん断力とを求めることができる原位置試験装置を提供する。
【解決手段】 せん断部材16及び載荷部材13と、載荷部材13を取り付ける第一の軸体11と、せん断部材16を取り付ける第二の軸体12と、第二の軸体12に軸荷重を付与する第一の駆動手段及び前記第二の軸体に回転力を付与する第二の駆動手段と、第一の軸体11の軸荷重及び回転力を検出する第一の検出手段14と、第二の軸体12の軸荷重及び回転力を検出する第二の検出手段15とを有する。第一の軸体11に軸荷重を付与したときの第一の検出手段14の検出結果から載荷部材13の載荷荷重を求め、第二の軸体12に軸荷重を付与しつつ回転力を付与したときの第二の検出手段15の検出結果と第一の検出手段14の検出結果との差分からせん断部材16のせん断力を求める演算部を有していてもよい。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
地表面における地盤の変形パラメータ及び強度パラメータを得るための原位置測定装置において、
前記地表面に接地して前記地表面に載荷荷重を付与するための載荷部材と、
前記載荷部材と同心状に配置され、前記地表面に接地して前記地表面にせん断力を付与するせん断部材と、
前記載荷部材を一端に取り付け、前記載荷部材に載荷荷重を付与する第一の軸体と、
この第一の軸体と同一の軸線上に配置され、前記せん断部材を一端に取り付けて前記せん断部材に載荷荷重及び回転力を付与するための第二の軸体と、
前記第二の軸体に軸線方向の軸荷重を付与する第一の駆動手段及び前記第二の軸体に前記軸線回りの回転力を付与する第二の駆動手段と、
前記第二の軸体を回転自在及び軸線方向に進退自在に支持して固定部に固定させる固定手段と、
前記第一の軸体に作用する軸荷重及び回転力を検出する第一の検出手段と、
前記第二の軸体に作用する軸荷重及び回転力を検出する第二の検出手段と、
を有することを特徴とする原位置測定装置。
【請求項2】
前記第二の軸体を介して前記第一の軸体に軸荷重を付与したときの前記第二の検出手段の検出結果から前記載荷部材に作用する載荷荷重を求める演算部及び前記第二の軸体に軸荷重を付与しつつ回転力を付与したときの前記第二の検出手段の検出結果と前記第一の検出手段の検出結果との回転力の差分から前記せん断部材に作用するせん断力を求める演算部の少なくとも一つをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の原位置測定装置。
【請求項3】
地表面における地盤の変形パラメータ及び強度パラメータを測定するための原位置測定装置において、
地表面に接地して前記地表面に載荷荷重を付与するための載荷部材と、
前記載荷部材と同心状に配置され、前記地表面に接地して前記地表面にせん断力を付与するせん断部材と、
前記載荷部材を一端に取り付け、前記載荷部材に載荷荷重を付与する第一の軸体と、
この第一の軸体と同一の軸線上に配置されるとともに、前記第一の軸体に対して相対的に回転自在で、前記せん断部材を一端に取り付けて前記せん断部材に回転力を付与するための第二の軸体と、
前記第二の軸体に軸線方向の軸荷重を付与する第一の駆動手段及び前記第二の軸体に前記軸線回りの回転力を付与する第二の駆動手段と、
前記第二の軸体を回転自在及び軸線方向に進退自在に支持して固定部に固定させる固定手段と、
前記第一の軸体に作用する軸荷重を検出する第一の検出手段と、
前記第二の軸体に作用する軸荷重及び回転力を検出する第二の検出手段と、
を有すること特徴とする原位置測定装置。
【請求項4】
前記第二の軸体を介して前記第一の軸体に軸荷重を付与したときの前記第二の検出手段の検出結果から前記載荷部材に作用する載荷荷重を求める演算部及び前記第二の軸体に軸荷重を付与しつつ回転力を付与したときの前記第二の検出手段の検出結果から前記せん断部材に作用するせん断力を求める演算部の少なくとも一つをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の原位置測定装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記載荷荷重と前記載荷部材の沈下量とから変形パラメータを求めること及び/又は前記せん断力と前記第一の検出手段及び前記第二の検出手段の軸荷重の差分とから強度パラメータを求めることを特徴とする請求項2又は4に記載の原位置測定装置。
【請求項6】
前記せん断部材のグラウサの外周囲に、土逃げ防止用のリング状部材を設けたことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の原位置測定装置。
【請求項7】
前記第一の軸体及び第二の軸体の軸線方法の移動量及び前記第一の軸体及び第二の軸体の軸線周りの回転移動量の少なくとも一つを検出するための移動量検出手段を設けたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の原位置測定装置。
【請求項8】
前記第二の検出手段が、前記第二の軸体に軸荷重又は回転力を付与する前記第一の駆動手段又は第二の駆動手段の駆動力を検出する駆動力検出手段であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の原位置測定装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の原位置測定装置を用いた原位置測定方法において、
前記載荷荷重を増加又は減少させる過程で、前記載荷荷重が予め設定された値になったときに、前記第二の軸体に回転力を付与して前記せん断部材に作用するせん断力を求めることを特徴とする原位置測定方法。
【請求項10】
原位置測定を行う測定位置を予め複数設定しておき、
前記原位置測定装置を搬送手段に搭載し、一の測定位置で載荷荷重とせん断力とを求めた後、前記搬送手段によって別の測定位置まで前記原位置測定装置を移動させ、当該別の測定位置で載荷荷重及びせん断力の少なくとも一方を求めることを特徴とする請求項9に記載の原位置測定方法。
【請求項11】
前記載荷荷重と前記載荷部材の沈下量とから変形パラメータを求め、前記せん断力と前記第一の検出手段及び前記第二の検出手段の軸荷重の差分とから強度パラメータを求めることを特徴とする請求項9又は10に記載の原位置測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、原位置における地表面(地盤)の載荷荷重、沈下量及びせん断力を測定し、これらから地盤の変形パラメータや強度パラメータを得るための原位置測定装置及び原位置測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設・建築分野における地盤の原位置測定法としては、地盤に所定の大きさの載荷板を載置し、この載荷板に一定の荷重をかけて沈下量を測定する載荷試験法や、例えば先端にコーンを取り付けたロッドをハンマの自由落下により地盤に連続的に打ち込み、貫入長毎の打撃回数を求めるサウンディング法が知られている(非特許文献1,2参照)。なお、地盤の載荷試験についてはJIS1521-2012に、せん断試験についてはJIS1433-2012に規定されている。
【0003】
しかし、従来の原位置測定方法は大掛かりな試験装置を必要とするため多点で計測を行うことが困難であるものが多く、また土質パラメータ(地盤反力係数などの変形パラメータや、粘着力及び内部摩擦角などの強度パラメータを含む)は、得られた結果から経験式等を用いて間接的に推定しているに過ぎないものが多い。さらに、取得できる土質パラメータは試験機に応じて限定されていることが多く、地盤構造物の設計や安定解析において最も重要となる変形パラメータと強度パラメータとを多点で簡便に得ることのできる原位置試験法や装置が求められていた。
【0004】
このような要求に応えるべく、1980年代にT.B.Golobによって、図7に示すような原位置測定装置(Bevameter)が提案された(非特許文献3参照)。
この原位置測定装置では、地表面に接地されるフレーム100に載荷荷重と回転力とを付与できる駆動体101を備え、この駆動体101の駆動軸102の先端に載荷試験を行う載荷プレート103とせん断リング104とを交換可能に取り付けて、図7(a)(b)に示すように載荷プレート103とせん断リング104とを交換しながら載荷試験とせん断試験とを行えるようにしたものである。
【0005】
この原位置測定装置(Bevameter)は、従来のものに比して装置が小型化され、載荷プレート103とせん断リング104とを交換することで、現地の多点で計測を行うことも容易になったものの、未だ装置が大型で、かつ、載荷プレート103とせん断リング104とを交換しなければならない煩わしさがあった。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】地盤工学会土質調査法改訂編集委員会編集、岸田英明発行「地盤調査法」(平成7年9月1日第1刷発行)343頁~381頁の記載参照
【非特許文献2】地盤工学会室内試験規格・基準委員会編集 社団法人地盤工学会発行 丸善株式会社出版事業部発売 「地盤材料試験の方法と解説 二分冊の2」798頁~801頁の記載参照
【非特許文献3】Theodore B. Golob 著「SOIL STRENGTH INSTRUMENTATION AND METHODOLOGY OF MEASUREMENTS」(T.B.Environment Canada, Canadian Forestry Service, Petawawa National Forestry Institute, Chalk River, Ontario.Information Report PI-X-2. 26 p. (1982))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、原位置測定装置を小型軽量化することができて持ち運びに便利で、載荷プレートとせん断リングとを交換する必要がなく、車輌等に搭載して多点で同時に載荷荷重とせん断力とを得ることができ、かつ、その場で正確な変形パラメータと強度パラメータを得ることのできる原位置試験装置及び原位置試験方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の第一の原位置測定装置は、請求項1に記載するように、地表面における地盤の変形パラメータ及び強度パラメータを得るための原位置測定装置において、前記地表面に接地して前記地表面に載荷荷重を付与するための載荷部材と、前記載荷部材と同心状に配置され、前記地表面に接地して前記地表面にせん断力を付与するせん断部材と、前記載荷部材を一端に取り付け、前記載荷部材に載荷荷重を付与する第一の軸体と、この第一の軸体と同一の軸線上に配置され、前記せん断部材を一端に取り付けて前記せん断部材に回転力を付与するための第二の軸体と、前記第二の軸体に軸線方向の軸荷重を付与する第一の駆動手段及び前記第二の軸体に前記軸線回りの回転力を付与する第二の駆動手段と、前記第二の軸体を回転自在及び軸線方向に進退自在に支持して固定部に固定させる固定手段と、前記第一の軸体に作用する軸荷重及び回転力を検出する第一の検出手段と、前記第二の軸体に作用する軸荷重及び回転力を検出する第二の検出手段とを有する構成としてある。
前記載荷部材とせん断部材とは、円盤状又はリング状のものを同心に配置するのが好ましく、円盤状の前記載荷部材の外側にリング状の前記せん断部材を同心に配置するのがよい。
【0009】
この構成によれば、載荷部材及びせん断部材を地表面に接地させた状態で第一の駆動手段を駆動させると、第一の駆動手段は固定部に固定されていることから第二の軸体の軸線方向に軸荷重が作用し、前記載荷部材及び前記せん断部材を地表面に押し付ける。前記載荷部材及び前記せん断部材に作用する載荷荷重は第二の検出手段によって検出される。
また、一定の載荷荷重を付与した状態で第二の駆動体を駆動させると、第二の軸体の回転力はせん断部材と載荷部材とに分配付与されるが、第一の検出手段が検出した回転力と第二の検出手段が検出した回転力との差分から、せん断部材に作用するせん断力を求めることができる。
載荷荷重やせん断力は、請求項2に記載するようにパーソナルコンピュータ(PC)等の演算手段で求めることができる。
【0010】
本発明の第二の原位置測定装置では、請求項3に記載するように、上記の発明において同一の軸線上に配置される第一の軸体と第二の軸体とを相対的に回転自在とし、第二の軸体の回転が第一の軸体に伝達されないようにしてある。このようにすれば、第一の検出手段は、軸荷重のみを検出するものであればよい。
この第二の方法では、前記第二の軸体を介して前記第一の軸体に軸荷重を付与したときの前記第二の検出手段の検出結果から前記載荷部材に作用する載荷荷重を求めることができる。また、前記第二の軸体に軸荷重を付与しつつ回転力を付与したときの前記第二の検出手段の回転力の検出結果から、前記せん断部材に作用するせん断力を求めることができる。載荷荷重やせん断力の演算は、請求項4に記載するようにパーソナルコンピュータ(PC)等の演算手段で行うことができる。
【0011】
また、前記第一及び第二の原位置測定装置のいずれにおいても、請求項5に記載するように、一定の載荷荷重のときの当該載荷荷重と前記載荷部材の沈下量(第一の軸体及び第二の軸体の軸線方向の移動量)とから、地盤の変形パラメータを得ることができる。また、せん断力と第一の軸体及び第二の軸体の軸荷重の差分とから、地盤の強度パラメータを得ることができる。これら変形パラメータや強度パラメータの演算は、パーソナルコンピュータ(PC)などの演算手段を用いて行うことができる。
請求項6に記載するように、前記せん断部材のグラウサの外周囲に、土逃げ防止用のリング状部材を設けてもよい。
【0012】
前記第一の軸体及び第二の軸体の軸線方向の移動量及び前記第二の軸体の軸線周りの回転移動量の少なくとも一方は、目盛りなどを設けて目視で測定するようにしてもよいが、項請求項7に記載するようにこれらを検出する移動量検出手段を設けることで、一定の載荷荷重のときの第二の軸体の沈下量や一定のせん断力のときの第二の軸体の回転移動量を自動的に検出することが可能になる。このような移動量検出手段としては、リニアゲージなどを挙げることができる。
なお、前記第二の検出手段は、請求項8に記載するように、前記第一の駆動手段又は第二の駆動手段の駆動力を検出する駆動力検出手段とすることも可能である。
上記構成の本発明の原位置測定装置は、地中に打ち込まれたアンカーや架台、建設物の壁面などの固定部に固定して使用することができるが、ショベルカーやブルドーザなどの建設機械や台車その他の車輌のほか、被災地や火口付近を探査する無人探査車、月や火星などの衛星・惑星探査車などの特殊車輌にも搭載することが可能である。
【0013】
上記構成の原位置測定装置を用いた本発明の原位置測定方法は、請求項9に記載するように、前記載荷荷重を増加又は減少させる過程で、前記載荷荷重が予め設定された値になったときに、前記第二の軸体に回転力を付与して前記せん断部材に作用するせん断力を求めるように構成してある。
また、請求項10に記載するように、前記原位置測定装置を搬送手段に搭載し、一の測定位置で載荷荷重とせん断力とを求めた後、前記搬送手段によって別の測定位置まで前記原位置測定装置を移動させ、当該別の測定位置で載荷荷重とせん断力とを求める方法である。そして、請求項12に記載するように、前記載荷荷重と載荷部材の沈下量とから変形パラメータを求めたり、前記せん断力と前記第一の検出手段及び前記第二の検出手段の軸荷重の差分とから強度パラメータを求めたりすることができる。
前記搬送手段としては、ショベルカーやブルドーザなどの建設車輌や台車その他の車輌のほか、被災地や火口付近を探査する無人探査車、月や火星などの衛星・惑星探査車などの特殊車輌であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車輛等に搭載して搬送が容易な小型軽量の原位置測定装置を得ることができる。また、載荷部材とせん断部材とを併せ持っているので、これらを交換する必要がなく、両者を常に地表面に接地させた状態で測定作業を行うことができるので、載荷荷重の測定とせん断力の測定を同時に行うことが可能になる。さらに、第一の軸体を第二の軸体に対して回転自在とすることで、第一の検出手段は軸荷重のみを検出するものであればよく、装置構成を簡素にして装置のより小型化を図ることができ、装置価格も低廉にすることができる。
【0015】
このように本発明の原位置測定装置によれば、変形パラメータと強度パラメータの二つのパラメータをその場で同時に得ることができる。また、車輛等に搭載することで測定位置を変えながら測定作業を行うことができるので、地盤の多点での測定を短時間で効率よく、かつ、正確に行うことができる。また、原位置測定を行う現地で、正確な変形パラメータや強度パラメータをただちに得ることができる。
特に、被災地や火口周辺などの無人探査、月面探査などの衛星探査や火星などの惑星探査のように、未知の地盤で車輌を走行させる必要がある場合には、これら車輛に本発明の原位置測定装置を搭載することで、地盤の状況を確認しながら安全に走行させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の原位置測定装置の一実施形態にかかり、その構成を説明する全体概略図、図2(a)は、測定部を説明する一部を破断した斜視図、(b)は、測定部の他の例を示す断面図、図3は図2の測定部を底面側から見た図、図4はせん断部材のグラウサの周囲に土逃げ防止用のリング状部材を設けたせん断部材の斜視図である。
【0017】
原位置測定装置Sは、地表面の載荷荷重及びせん断力を測定する測定部1と、この測定部1に軸荷重又は回転力を付与する駆動部2と、駆動部2に駆動指令を出力し、測定部1から入力された検出信号と移動量(沈下量)とから載荷荷重、せん断力、変形パラメータ及び強度パラメータを求める図示しない演算部とを有する。
駆動部2は、測定部1に載荷荷重を付与する第一の駆動体としての昇降駆動体21と、測定部1に対して回転力を付与する第二の駆動体としての回転駆動体22とを有している。これら駆動体の種類は特に限定されるものではなく、油圧モータや電動モータを用いることができる。
【0018】
昇降駆動体21は、各種車輌のシャーシや地中に打ち込まれたアンカー、架台、建設物の壁面などの固定部に取り付けられるベースプレート1に設けられている。ベースプレート1には昇降ガイド23が上下方向に敷設され、この昇降ガイド23に沿って昇降するスライド24にブラケット25が取り付けられている。ブラケット24は昇降駆動体21の進退する昇降ロッド22aに連結され、昇降駆動体21の駆動により昇降する。回転駆動体22はブラケット25に取り付けられ、回転駆動体22の駆動によって回転する回転ロッド22aが、測定部1の第二の軸体12に連結されている。
【0019】
図2(a)に示すように測定部1は、円筒状の胴部10bとこの胴部10bの上部開口に設けられた天板部10aとを有する筐体10と、この筐体10と同軸上に配置されて筐体10の天板部10aの上面に一端が取り付けられた第二に軸体12と、胴部10bの内部で第二の軸体12と同軸上に配置され、天板部10aの下面に上端が取り付けられた第一の軸体11と、第一の軸体11と同軸上に配置されて第一の軸体11の下端に取り付けられた載荷部材としての内部円盤13と、筐体10の胴部10bの下端開口の外側周縁に張り出して設けられたせん断部材としての外部リング16とを有している。
【0020】
図3に示すように、地表面と接する外部リング16の底面には、フィン状のグラウサ17が円周方向に均等間隔で複数(図示の例では12個)設けられていて、原位置測定装置1を地表面に接地したときに、グラウサ17が地表面に食い込むようになっている。内部円盤13と外部リング16との間の隙間sは、内部円盤13及び外部リング16に載荷荷重を付与した際に土砂の一部が隙間sに入り込まないように、内部円盤13と外部リング16との間で回転力が伝達されない範囲内で可能な限り小さくするのが好ましい。
また、図4に示すように、外部リング16の底面外周には、グラウサ17,17の間から地表面の土が逃げないように抑制するリング状の土逃げ防止部材18を設けてもよい。
【0021】
また、第一の軸体11には、第一の軸体11に作用する軸線方向の載荷荷重と回転力とを検出する第一のセンサ14が設けられ、第二の軸体12には、第二の軸体12に作用する軸線方向の載荷荷重と回転力とを検出する第二のセンサ15が設けられる。
【0022】
また、この実施形態の原位置測定装置1は、第一の軸体11及び第二の軸体12の軸線方法の移動量を検出するための移動量検出手段が設けられていて、原位置測定装置1の沈下量を計測できるようになっている。この移動量検出手段は、第一の軸体11及び第二の軸体12の軸線方法の移動量を検出するものであれば移動量測定ゲージであってもよいし、移動量を目視で測定するための目盛であってもよい。
【0023】
次に、上記構成の原位置測定装置1の作用を、図5を参照しながら説明する。
まず、変形・強度パラメータを得ようとする地表面に原位置測定装置1を接地させる(START)。前記地表面は、原位置測定装置1を接地できる面であればよく、斜面や掘った穴の底面であってもよい。また、原位置測定装置1を接地させる位置は、予め位置決めして特定された場所であってもよいし、GPS(全世界測位システム)を用いた場合は、原位置測定装置1の接地位置の位置情報を取得しながら以下のステップを実行すればよい。
【0024】
次に昇降駆動体21を駆動させて第二の軸体12の軸線方向に軸荷重を付与する(ステップS1)。この軸荷重は、第二の軸体12から筐体10及び第一の軸体11に伝達され、載荷部材としての内部円盤13及びせん断部材としての外部リング16が地表面を押圧する。第二の軸体12に作用する軸荷重は、第二のセンサ15によって検出される(ステップS2)。また、第一の軸体12に作用する軸方荷重は第一のセンサ14によって検出される(ステップS3)。第二のセンサ15によって検出された軸荷重が、内部円盤13及び外部リング16に作用する載荷荷重である(ステップS4)。そして、載荷荷重が予め設定された値になったときに(ステップS5)、前記載荷荷重と第二の軸体12の移動量、すなわち外部リング16及び内部円盤13の沈下量とから、変形パラメータが得られる(ステップS6)。
【0025】
また、第二のセンサ15によって検出された第二の軸体12の軸方向の荷重が予め設定された一定の値に達すると(ステップS5)、回転駆動体が駆動して第二の軸体12に回転力を付与する(ステップS7)。この回転力は、第二の軸体12から筐体10を経てせん断部材としての外部リング16に伝達されるほか、第一の軸体11を介して載荷部材としての内部円盤13にも伝達される。
【0026】
第二の軸体12に作用する回転力は第二のセンサ15によって検出され(ステップS8)、内部円盤13に作用する回転力は第一の軸体12に作用する回転力として第一のセンサ14によって検出される(ステップS9)。
従って、せん断部材としての外部リング16に作用するせん断力は、第二のセンサ15が検出した回転力から第一のセンサ14が検出した回転力を差し引くことで求めることができる(ステップS10)。
また、このせん断力と第一の軸体11と第二の軸体12とに作用する軸荷重の差分とから、地盤の強度パラメータを得ることができる(ステップS11)。
上記したS1~S11のステップは、所定回数の載荷荷重の検出及びせん断力の検出が終了するまで継続される(ステップS12)。
【0027】
このように本発明では、同一の測定地点において軸荷重を変えて複数回載荷荷重及び沈下量の検出を行い、一定の載荷荷重ごとにせん断力の検出を同時に行うことができるわけである。
さらに、原位置測定を行う測定位置を予め多点設定しておくか、GPS等によって原位置測定装置Sの位置情報を取得できるようにしておき、原位置測定装置Sを車輌等の搬送手段に搭載することで、測定位置を変えながら多点で載荷荷重とせん断力とを求めることが容易にできるようになる。
【0028】
[測定部1の他の実施形態]
図2(b)に測定部の他の実施形態を断面で示す。図2(b)において図2(a)の測定部と同一箇所、同一部位には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図2(a)の測定部1では、第一の軸体11は天板部10aに取り付けられていて、第一の軸体11と第二の軸体12とは一体になって回転する。
図2(b)の測定部1′では、第一の軸体11は、天板部10aに軸受26を介して第二の軸体12に対して相対的に回転自在に設けられている。
このようにすることで、第二の軸体12に付与された回転力は外部リング16のみに伝達され、内部円盤13には伝達されないよう。そのためこの実施形態の第一のセンサ14′は、第一の軸体11に作用する軸力のみを検出するものであればよい。
【0029】
図2(b)に示す測定部1′の作用は、基本的には先の実施形態の測定部1と同じであるが、この実施形態の測定部1′において外部リング16に作用するせん断力は、第二の軸体12に作用する回転力のみから求めることができるため、図5のステップS9は不要になる。
この実施形態の測定部1′によれば、第一の軸体11に作用する回転力を検出するセンサが不要となるため、先の実施形態の測定部1よりも小型化することができ、装置価格を低廉にできるという利点がある。
【0030】
[本発明の効果]
上記構成の本発明の原位置測定装置及び方法について、従来の方法による原位置測定との比較を行い、本発明の効果を検証した。その結果を図6(a)(b)のグラフに示す。図6(a)は第二の軸体12の回転角(回転移動量)と、せん断応力との関係を示すグラフ、(b)は載荷荷重とせん断応力との関係を示すグラフで、それぞれにおいて従来の測定装置・方法と本願発明の測定装置・方法との試験結果を示している。このグラフからわかるように、本発明の原位置試験装置・方法によれば、従来と同等の正確な試験結果を得ることができた。
【0031】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の原位置測定装置は上記構成のものに限定されない。
例えば、第二の軸体12に作用する載荷荷重と回転力とを検出する第二の検出手段は、第二のセンサ15に限らず、第二の軸体12に軸荷重又は回転力を付与する駆動手段の駆動力を検出する駆動力検出手段であってもよい。また、上記の実施形態では載荷荷重、変形パラメータ、せん断荷重及び強度パラメータの全てを求める手順を説明しているが、本発明の装置及び方法ではこの中のいずれか一つ又は複数を選択的に求めるようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、地盤の硬さや強さに関するパラメータを求めるための原位置測定に広く適用が可能である。また、走行中の車輪下部に発生する垂直応力とせん断応力とから車両の駆動力を推定するBekker-Wong-Reeceモデルなどのモデルにも適用が可能であり、特に月や火星などの衛星、惑星探査における車両型移動ロボットへの適用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の原位置測定装置の一実施形態にかかり、その構成を説明する全体概略図である。
【図2】(a)は測定部を説明する一部を破断した斜視図、(b)は測定部の他の実施形態にかかり、その断面図である。
【図3】図2の測定部を底面側から見た図である。
【図4】せん断部材のグラウサの周囲に土逃げ防止用のリング状部材を設けたせん断部材の斜視図である。
【図5】本発明の原位置測定装置の作用を説明するフロー図である。
【図6】本発明の効果を検証した結果を示すグラフである。
【図7】本発明の従来例にかかり、原位置測定装置(Bevameter)を説明する図で、(a)は載荷プレートを用いて載荷荷重を測定する場合を示し、(b)はせん断プレートを用いてせん断力を測定する場合を示している。
【符号の説明】
【0034】
1,1′ 測定部
10 筐体
11 第一の軸体
12 第二の軸体
13 内部円盤(載荷部材)
14,14′ 第一のセンサ
15 第二のセンサ
16 外部リング(せん断部材)
17 グラウサ
2 駆動部
20 ベースプレート
21 昇降駆動体(第一の駆動体)
21a 昇降ロッド
22 回転駆動体(第二の駆動体)
22a 回転ロッド
23 昇降ガイド
24 スライダ
25 ブラケット
26 軸受
S 原位置測定装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6