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明細書 :術具操作装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-094024 (P2018-094024A)
公開日 平成30年6月21日(2018.6.21)
発明の名称または考案の名称 術具操作装置
国際特許分類 A61B  17/94        (2006.01)
FI A61B 17/94
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2016-240701 (P2016-240701)
出願日 平成28年12月12日(2016.12.12)
発明者または考案者 【氏名】中西 淳
【氏名】長谷川 泰久
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100085361、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 治幸
【識別番号】100147669、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 光治郎
審査請求 未請求
テーマコード 4C160
Fターム 4C160MM32
要約 【課題】頭部鏡視下手術において術具を好適に操作することができる術具操作装置を提供する。
【解決手段】術具54は術具保持部12に保持され、術具操作装置10の把持部14が操作者に把持され、平行リンク機構部20およびスライダ部22によって把持部14に加えられた操作力に基づいて術具保持部12の姿勢が変化させられる。術具保持部12の姿勢が変化させられ、スライダ部22により術具保持部12が術具54の挿入方向に沿って平行移動させられる。平行リンク機構部20の姿勢にかかわらず、予め設定された不動点を術具54が通過するように術具保持部12の姿勢が変化させられるとともに、把持部14は術具保持部12の後端縁と不動点との間に設けられるので術者が術具の操作をする際の違和感が低減されるとともに、術具54に加わる力が術具54から把持部14へ機構的に伝達されるので、把持部14を介して術者が認識できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
頭部鏡視下手術用術具を操作するための術具操作装置であって、
該術具を保持するための術具保持部と、
該術具保持部と一体的に構成され、操作者によって把持される把持部と、
該把持部に加えられた操作力に基づいて前記術具保持部の姿勢を変化させる位置決め部と、
を有し、
前記位置決め部は、前記術具保持部の姿勢を変化させる姿勢制御部と、前記術具保持部を前記術具の被術者への挿入方向に沿って平行移動させるスライダ部と、を含んで構成され、
前記姿勢制御部は、前記術具の移動空間内に予め設定された不動点を前記術具が前記姿勢制御部の姿勢にかかわらず通過するように、前記術具保持部の姿勢を変化させるものであり、
前記把持部は、前記術具保持部の後端縁と前記不動点との間に設けられ、該把持部が操作されることにより生ずる操作力を前記位置決め部に機構的に伝達可能とされているとともに、前記術具に加わる力を該術具から機構的に伝達可能とされていること、
を特徴とする術具操作装置。
【請求項2】
前記姿勢制御部および前記スライダ部の少なくとも一方は、その動作を停止可能とするブレーキを有すること、
を特徴とする請求項1に記載の術具操作装置。
【請求項3】
前記位置決め部は前記術具保持部に4自由度を与えつつ該術具保持部の姿勢を制御するものであること、
を特徴とする請求項1または2に記載の術具操作装置。
【請求項4】
前記姿勢制御部は平行リンク機構を有するものであること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の術具操作装置。
【請求項5】
前記術具操作装置は、前記術具保持部に保持された前記術具の先端に設けられた機能部を操作するために機能部用操作部を含み、
該機能部用操作部は、操作者が把持部を把持したまま操作可能となる位置に設けられること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の術具操作装置。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
内視鏡などを用いた鏡視下での手術が広く行われている。かかる内鏡視下での手術においては、体表から開けられた穴から内視鏡や術具が挿入されて手術対象部位付近にその先端部が位置させられる。そのため、術具としては、例えば、棒状などの長手形状を有しているとともに、その長手形状の先端部には鉗子などの手術のための機能部が設けられる一方、基端部には、その機能部に所望の動作をさせるために操作者(術者)によって操作される操作部が設けられる。操作部と機能部とは機械的に連結されており、操作部における術者の操作が機能部の動作に反映されるようになっている。かかる術具は、前記穴から体内に挿入され、先端部が手術対象部位に位置させられる一方、基端部は体外にあることとなる。
【背景技術】
【0002】
このような術具を用いる場合、術具の先端部に設けられる機能部と基端部に設けられる操作部とが離れていることから、術者はその操作の熟練が求められる。さらに、術具が前記穴を通して体内に挿入される場合、術具の動きは前記穴によって拘束されなければならないが、動きが拘束される結果、操作部が設けられた基端部の動きと機能部が設けられた先端部の動きとが、動きが拘束される点について対称に動くこととなる。すなわち、前記穴近傍が不動点とされる必要がある。そのため、術具の操作にはより困難性が増すこととなる。
【0003】
かかる場合において、術具の端部ではなく、より先端部に近い部分を術者によって把持されることで操作性を向上させることも考えられるが、一般的に、術具においては、予め術者が触れる部分以外においては衛生上の観点から清潔を保つことが必要とされ、術者は操作部以外を持つことができないという困難もある。
【0004】
一方、内視鏡下での手術を、ロボットの支援により行なう方法も提案されている。例えば特許文献1および2に記載の技術がそれである。特許文献1および2に記載されたようにロボットを用いることにより、スレーブ側の操作装置を術者が操作する一方、マスター側に設けられた術具をロボット等により動作させる。これにより、術具を遠隔制御することが可能になるとともに、前記不動点による拘束など、術具が満たすべき動作上の制約に反して操作装置が操作された場合でも、術具がそのまま動くことを防止することができる、などの利点がある。しかしながら、術具を術者が直接操作する場合に比べて、術具が受ける力や感触などを術者が感じることが困難であるという問題がある。後述するように頭部を対象とする鏡視下手術においては、より繊細な術具の動きが求められるところ、術者が術具に加わった力を得ることはその操作上重要な意味を持つため、術者が術具を直接操作することが望ましい。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第5757955号公報
【特許文献2】特許第5327687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、頭部を対象とする鏡視下手術に用いられる術具には、腹部などを対象とする鏡視下手術と比べてその用いられる環境が異なることから、特有の要求がある。具体的には例えば、腹部の内視鏡手術においては、起腹と呼ばれるように腹部に気体を充填して手術用の空間を確保するなどされるとともに、手術対象部位も比較的大きい臓器であることなどから、比較的術具全体あるいは術具先端部が大きく動くものである。一方、頭部を対象とする場合、術具先端部が動くことができる空間は限られたものであるため、また、手術対象以外の部位を傷つけることのないよう、術具先端部が繊細な動きをすることが求められる。また、例えば脳外科分野については、鼻腔を通して術具が患部に挿入されることがあり、前述のように不動点が設けられるのに加え、術具は鼻腔内の範囲でしか動けず、より制約が大きいという課題もある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、頭部鏡視下手術において術具を好適に操作することができる術具操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a)頭部鏡視下手術用術具を操作するための術具操作装置であって、(b)該術具を保持するための術具保持部と、(c)操作者によって把持される把持部と、(d)該把持部に加えられた操作力に基づいて前記術具保持部の姿勢を変化させる位置決め部と、を有し、(e)前記位置決め部は、前記術具保持部の姿勢を変化させる姿勢制御部と、前記術具保持部を前記術具の被術者への挿入方向に沿って平行移動させるスライダ部と、を含んで構成され、(f)前記姿勢制御部は、前記術具の移動空間内に予め設定された不動点を前記術具が前記姿勢制御部の姿勢にかかわらず通過するように、前記術具保持部の姿勢を変化させるものであり、(g)前記把持部は、前記術具保持部の後端縁と前記不動点との間に設けられ、該把持部が操作されることにより生ずる操作力を前記位置決め部に機構的に伝達可能とされているとともに、前記術具に加わる力を該術具から機構的に伝達可能とされていることにある。
【発明の効果】
【0009】
このようにすれば、頭部鏡視下手術用術具は、術具操作装置における術具保持部によって保持され、術具操作装置はその把持部によって操作者によって把持され、位置決め部によって前記把持部に加えられた操作力に基づいて前記術具保持部の姿勢が変化させられる。ここで前記把持部は前記術具保持部と一体的に構成され、前記位置決め部は、前記姿勢制御部と前記スライダ部とを含んで構成されるので、前記姿勢制御部により術具保持部の姿勢が変化させられ、前記スライダ部により前記術具保持部が前記術具の被術者への挿入方向に沿って平行移動させられることができる。また、前記姿勢制御部の姿勢にかかわらず、前記術具の移動空間内に予め設定された不動点を前記術具が通過するように前記術具保持部の姿勢が変化させられるとともに、前記把持部は前記術具保持部の後端縁と前記不動点との間に設けられるので、術者が術具の操作をする際に違和感を感じることが低減されるとともに、該把持部が操作されることにより生ずる操作力によって前記位置決め部を動かすことができる一方、前記術具に加わる力が該術具から把持部へ機構的に伝達されるので、把持部を介して術者が認識することができる。すなわち、本発明の術具操作装置によれば、頭部鏡視下手術用術具を好適に操作することが可能となる。なお、本明細書において、機構的に伝達されるとは、前記操作力がエネルギー変換されることなく運動エネルギーの形態のまま伝達されることを意図しており、例えば、ワイヤやリンクなどの様々な機構によって伝達されるものである。
【0010】
ここで好適には、前記姿勢制御部および前記スライダ部の少なくとも一方は、その動作を停止可能とするブレーキを有するものである。このようにすれば姿勢制御部およびスライダ部の少なくとも一方の姿勢を固定することができ、ひいては術具保持部の姿勢、言い換えれば自由度を固定することができる。
【0011】
また好適には、前記位置決め部は前記術具保持部に4自由度を与えつつ該術具保持部の姿勢を制御するものである。このようにすれば、該術具保持部に保持された術具を4自由度にて位置決めすることができる。
【0012】
また好適には、前記姿勢制御部は平行リンク機構を有する。このようにすれば、平行リンク機構の動きに基づいて該姿勢制御部および術具保持部を介して術具の姿勢を好適に変更しうる。
【0013】
また好適には、前記術具操作装置は、前記術具保持部に保持された前記術具の先端に設けられた機能部を操作するために機能部用操作部を含み、該機能部用操作部は、操作者が把持部を把持したまま操作可能となる位置に設けられるものである。このようにすれば、操作者が把持部を把持したまま、機能部用操作部により前記術具の先端に設けられた機能部を操作することができる。なお、機能部とは、術具の機能(目的・用途)に応じて術具先端に設けられる機構であって、対象部位を挟む、保持する、引張る、切断・切除する、縫合する、などのそれぞれの機能を実行するために必要な機構である。
【0014】
さらに好適には、前記姿勢制御部はロボットアームである。このようにすれば、ロボットアームの自由度を利用して術具の姿勢を制御することができる。
【0015】
また好適には、前記術具保持部は、前記術具を取り替え可能に保持することを特徴とする。このようにすれば、様々な種類の術具を取り替え可能に術具保持部に保持させることができるので、複数の用途に応じて術具を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の術具操作装置が好適に適用される実施態様を示したものであり、本実施例の術具操作装置の構成を説明する図である。
【図2】本実施例の術具操作装置の構成を説明するための図である。
【図3】本実施例の術具操作装置における取付部および位置決め部のうち平行リンク機構部の構成を説明する図である。
【図4】本実施例の術具操作装置における取付部および位置決め部である平行リンク機構部およびスライド部の構成を説明する図である。
【図5】本実施例の術具操作装置における術具保持部および把持部について説明する図である。
【図6】本実施例の術具操作装置とともに用いられる術具の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の術具操作装置が好適に適用される実施態様を示したものであり、図1(a)は斜視図を、(b)は正面図、すなわち被術者に正対する位置から見た図、言い換えれば術者から見た図を、また、(c)は側面図、すなわち被術者の右側面を見た図である。本実施例においては、本発明の術具操作装置10は、その取付部18を介してロボットアーム50の先端部に取り付けられている。このとき、ロボットアーム50はその姿勢が固定されており、術具操作装置10の動きによって動くことがない。
【実施例】
【0019】
図1の各図において、術具操作装置10に保持された術具54は、鼻腔を介して挿入されてその先端が脳内に達している。すなわち、術具54は、本実施例の術具操作装置10を用いてその位置が、例えば、術具54の先端部が手術対象部位の近傍となるように操作される。そして術具54の先端に設けられた機能部が操作されて、手術が行なわれる。ここで術具54は、鉗子や剥離子、キュレット、吸引管、シザーズ、バイポーラインスツルメンツ、持針器などの様々な術具を含むものであって、手術の目的等によって選択される。機能部の操作とは鉗子の開閉操作などを意味している。
【実施例】
【0020】
ここで、術具54は前述のように鼻腔を通り挿入されることから、術具54そのものの位置、あるいは術具54の先端の位置を変更しようとする場合においては、鼻孔あるいは鼻腔の範囲を超えて動かすことができないという制約が生ずる。
【実施例】
【0021】
図2は、本実施例の術具操作装置10の構成を説明するための図であって、図2(a)は斜視図を、(b)は上面図、(c)は左側面図、すなわち被術者の右側面を見た図、(d)は正面図、すなわち被術者に正対する位置から見た図、(e)は右側面図、すなわち被術者の左側面を見た図である。なお、図2の術具操作装置10においては、術具54は取り付けられていない状態であり、また、保持部18によって保持される相手(図1におけるロボットアーム50に相当するもの)の記載は省略されている。
【実施例】
【0022】
図2に示すように、術具操作装置10は、取付部18、位置決め部16、術具保持部12、把持部14を含んで構成されている。このうち、取付部18は、ベースプレート18aと、取付台座18bとを含んで構成されている。また、位置決め部16は後述する術具保持部12の位置決めをするためのものであって、平行リンク機構部20とスライダ部22とを含んで構成されている。取付部18の取付台座18bと位置決め部16の平行リンク機構部20とは、回転軸58を介してその回転軸58の軸方向Cを中心として相対回転可能に接続されている。また、スライダ部22は平行リンク機構部20のリンク先端部に取り付けられており、術具保持部12はスライダ部22を介して前記平行リンク機構部20に対してスライド、すなわち、平行移動可能に取り付けられている。把持部14は術具保持部12に取り付けられており、術具保持部12と一体的に動くものとされている。
【実施例】
【0023】
図3は、術具操作装置10を構成する取付部18、および、位置決め部16のうち平行リンク機構部20の構成を説明するために、必要な部材のみを記載した図である。ここで図3(a)は斜視図を、(b)は上面図、(c)は左側面図、すなわち被術者の右側面を見た図、(d)は正面図、すなわち被術者に正対する位置から見た図、(e)は右側面図、すなわち被術者の左側面を見た図である。
【実施例】
【0024】
取付部18の板状のベースプレート18aには、例えば複数の孔が設けられておりボルトおよびナット等の取付手段などによって、取付部18が動くことがないように、例えば図1のロボットアーム50先端などの固定部材に相対移動不能に取り付けられる。取付台座18bは、ベースプレート18aと略平行で相互に離間した2枚の板状部材とそれら2枚の板状部材を連結するための部材とを含んで、略コの字型に構成されている。それら2枚の板状部材にはそれぞれ、後述する位置決め部16の平行リンク機構部20を取り付けるために挿通される軸58を受ける、軸受け部材としての凸部18cを有しており、凸部18cには該軸58を挿通するための孔が設けられている。なお、図3の例においては、前記ベースプレート18aも同様の凸部18cを有している。取付部18は、軽量且つ撓み等の小さい剛性の高い素材、例えば、アルミ等の軽金属や、樹脂などを用いて構成される。なお、取付台座18bの形状はコの字型に限定されるものではなく、平行リンク機構部20を後述する軸58に対して回転可能に、すなわち1自由度にて連結可能であれば、その形状は問わない。
【実施例】
【0025】
位置決め部16に含まれる平行リンク機構部20は、2対の相互に平行なリンク(節)である30a、30b、および、30c、30d、30eと、それらのリンクを相互に相対回転可能に連結するジョイント(関節)32a、32b、32c、32d、32eとを含む平行リンク機構と、その平行リンク機構を前記取付部18に取り付けるためのリンク取付部20aと、後述するスライダ部22を取り付けるためのスライダ部取付部20cとを含んで構成されている。
【実施例】
【0026】
ここで、リンク30eは後述するリンク取付部20aに固定されていることから、リンク30eとリンク30aとを連結するジョイント32a、およびリンク30eとリンク30bとを連結するジョイント32bは、両者リンクを相互に回転可能とするものであるものの、リンク30eの動きが固定されているので、固定ジョイントとして機能している。一方で、その他のジョイント、すなわち、リンク30aとリンク30cとを連結するジョイント32c、リンク30bとリンク30dとを連結するジョイント32d、リンク30bとリンク30cとを連結するジョイント32eは、いずれもジョイントが連結するリンクの両方が自由に動くように連結している。
【実施例】
【0027】
スライダ部取付部20cは、ジョイント32fおよびジョイント32gにそれぞれ回転可能に連結される。したがって、前記平行リンク機構におけるリンクの一つとして機能する。そのため、前記平行リンク機構によって許容される動き、すなわち、リンクの配設された平面内での動きを行うことができる。
【実施例】
【0028】
また、リンク取り付け部20aは、本実施例においては、リンク30eの長手方向に直交する2本の板材からなる。2本の板材にはそれぞれリンク30eが一体的に取り付けられる。そして、その2本の板材のそれぞれの一端には軸受けとしての穴が設けられ、前記取付台座18bの凸部18cに挿通されるものと共通の軸58が挿通される。本実施例においては、前記リンク取り付け部20aとしての2本の板材の間隔は、前記取付台座18bを構成する2枚の板状部材の間隔と同程度とされている。図3などに示すように、リンク取り付け部20aとしての2本の板材のそれぞれと、前記取付台座18bを構成する2枚の板状部材のそれぞれとが互い違いに並ぶように配設された状態で軸58が挿入されることでリンク取り付け部20aと取付台座18bとは回転可能とされる。このとき、リンク取り付け部20aとしての2本の板材のそれぞれと、前記取付台座18bを構成する2枚の板状部材のそれぞれとの間には、ベアリング27が設けられ、両者の相対回転を滑らかなものとされる。また、図示はしないが、リンク取り付け部20aと取付台座18bとが軸58の方向(図の上下方向)にがたつくことがないように、それらの軸方向への動きを規制する手段を設けてもよい。
【実施例】
【0029】
なお、平行リンク機構においては、後述するスライダ部22が取り付けられ、スライダ部22にはさらに術具保持部12が取り付けられ、術具保持部12には術具54が保持されることから、それらを安定して操作させるために、各リンク30a~30eは幅d(図3(d)参照)だけ離間してそれぞれ一対の対応するリンクが平行して設けられている。言い換えれば、同じ構成の(すなわち、大きさおよび形状が同じである)2つの平行リンク機構のそれぞれにおいて、固定リンク30eおよび30e’が側面視(例えば図3の(c)または(e))において重なる位置となるように、間隔dだけ離間して、かつ、両者が平行となるように設けられている。そして、これら2つの平行リンク機構における固定ジョイントを除く各ジョイントは、対応するジョイントどうしが相互に連結され、2つの平行リンク機構の両者における対応するジョイントの位置がそれぞれ同じになるものとされている。すなわち、2つの平行リンク機構は常に同一の姿勢をとるものとされている。図3においては、2つの平行リンク機構において対応するリンクには同一の符号を付しており、説明のため一方の平行リンク機構(図3(a),(d)においてそれぞれ奥側、右側)のリンクには、さらにその符号に’を付して区別している。
【実施例】
【0030】
前述のように、これら2つの平行リンク機構における各ジョイントは対応するジョイントどうしが相互に連結されているが、この連結は各ジョイントが連結する2つのリンクの相対回転を阻害しない態様で行なわれる。なお、対応するジョイントとは、2つの平行リンク機構が同一の姿勢を取った場合に同一の位置となるジョイントを意図している。例えばジョイント32c~32eおよび32c’~32e’は、それら一対のジョイントが、長手形状の部材31c~31eによって連結されており、かかる長手形状の部材31c~31eにより一対のジョイントのそれぞれは前記間隔dを保持することができ、結果として一対の平行リンク機構全体の間隔がdとなるように保持される。なお、ジョイント32fおよび32gについては、それぞれジョイントが一対のリンクに加え後述するスライダ部取付部20cを相互に回転可能に接続しているため、前記長手形状の部材31に相当する部材は設けられていない。また、リンク30e、30e’が前述のリンク取付部20aに固定されることから、リンク30e、30e’に取り付けられる2対のジョイント32a、32a’、および、ジョイント32b、32b’については、それぞれ前述の長手形状の部材31によって連結される必要がない。すなわち、対応するジョイントの間隔を保持するために設けられる部材は、前述の長手形状の部材31に限定されるものではない。また、すべての対応する一対のジョイントに対して長手形状の部材31が設けられる必要はない。
【実施例】
【0031】
また、ジョイント32a’~32g’においては、その少なくとも一部にブレーキ26が設けられることができる。このブレーキ26は各ジョイントが連結する2つのリンクの相対回転の許容および禁止を切り換えるものである。図3においては、ジョイント32a’~32g’ごとにブレーキ26a~26gが設けられている。具体的には、ジョイントが連結する2つのリンクの摩擦力を増加させるものであってもよいし、それら2つのリンクに嵌合することによりジョイント周りの回転を阻止するものであってもよい。このようにすれば、平行リンク構造部20の各リンク30a~30eおよび20cの形状、特にリンク20cの姿勢を任意の状態で保持することが可能になる。ブレーキ26は、平行リンク機構部20の作動時において各ジョイントに加わるトルクに対しても、ジョイントが連結する2本のリンクの回転を阻止しうるものであればよく、好適には小型軽量な励磁作動型のブレーキ装置などが用いられる。また、本実施例においては、対応するジョイント32a~32gおよび32a’~32g’のうち、ジョイント32a’~32g’側のみにブレーキ26a~26gが設けられたが、このような態様に限られるものではなく、かかるブレーキに代えて、もしくは加えて、ジョイント32a~32g側にブレーキが設けられてもよい。また、ジョイント32a’~32g’の一部についてブレーキが設けられてもよい。なお、図3以外の図においては、ブレーキ26の記載を省略している。
【実施例】
【0032】
なお、前述のベアリング27の近傍においてもブレーキ29が設けられる。このブレーキ29は、ベアリング27を介して相対回転する一対の部材、すなわち、リンク取り付け部20aとしての2本の板材のそれぞれと、前記取付台座18bを構成する2枚の板状部材のそれぞれにおける相対回転を阻止するためのものである。ブレーキ29は、前述のブレーキ26と同様に、例えば電磁式の励磁作動型ブレーキが用いられ、制御信号としての電圧の印加もしくは電圧の停止によってベアリング27を介して相対回転する一対の部材の回転を阻止する状態とすることができる。
【実施例】
【0033】
図4は、術具操作装置10を構成する取付部18、および、位置決め部16である平行リンク機構部20およびスライド部22の構成を説明するために、必要な部材のみを記載した図である。ここで図4(a)は斜視図を、(b)は上面図、(c)は左側面図、すなわち被術者の右側面を見た図、(d)は正面図、すなわち被術者に正対する位置から見た図、(e)は右側面図、すなわち被術者の左側面を見た図である。
【実施例】
【0034】
以下、図4を用いてスライド部22の構成を説明する。スライド部22は、スライド部本体22a、スライドレール22b、スライダ22c、ガイドケーブル22d、および、ケーブル巻き取り部22eを含んで構成されている。
【実施例】
【0035】
スライド部本体22aは、図4(b)に示すように長手形状の板材から構成されており、長手方向の一端側が他端側よりも幅広の形状を有している。この幅広形状の部分(以下、「幅広部」という)22fは、前述のスライダ部取付部20cに一体となるように固定される。すなわち、幅広部22fは、それぞれ一対のリンクである一対のリンク30cおよび一対のリンク30dによって挟まれる空間に位置させられるので、一対のリンク30cおよび一対のリンク30dのそれぞれの一方が挿通されるための孔22gがスライド部本体22aに設けられている。この孔22gは、その幅は、挿通されるリンク30cおよびリンク30dよりも大きくなるように、また、長さは、前記平行リンク機構部20の動作に伴ってリンク30cおよびリンク30dの動きに差し支えないように、すなわち、リンク30cおよびリンク30dの可動範囲において孔22gの端部に接触することがないように、それぞれ決定される。前述のように、スライダ部取付部20cは平行リンク機構部20におけるリンクとして機能するので、そのスライダ部取付部20cと一対となるように取り付けられたスライド部本体22aは、前記平行リンク機構部20の動きに伴って動くことができる。
【実施例】
【0036】
スライドレール22bは、取り付けられる術具54の被術者への挿入方向、すなわち、本実施例においてはスライド部本体22aの長手方向に渡って取り付けられたレールであり、後述するスライダ22bと嵌合可能となるように、その長手方向と直交する断面形状において対応する凹凸形状などを有するとともに、その嵌合した部分がスライドレール22bにそって摺動可能となるようにされている。なお、摺動時になめらかに動くことができるよう、スライドレール22bは後述するスライダ22cとともに、摩擦抵抗が小さい素材が選択されるか、表面が研磨されるか、あるいは表面に潤滑油などの潤滑材が塗布されてもよい。スライドレール22bの長手方向両端にはそれぞれストッパーが設けられ、スライダ22bが飛び出すことが防止される。
【実施例】
【0037】
スライダ22cはスライドレール22bの長手方向に沿って摺動可能な摺動子であり、断面が、スライドレール22bの長手方向と直交する断面と対応する凹凸形状を有している。対応する凹凸形状とは、たとえば、両者が略同一であるが、わずかなクリアランスが設けられる程度に異なる形状をいう。なお、本実施例のように、スライダ22cがスライド部本体22aの下側面に設けられる場合には、前記凹凸形状においては、凸部が張り出すことなどにより、スライダ22cのスライドレール22bからの脱落を防ぐものとなっていることが望ましい。
【実施例】
【0038】
なお、スライドレール22bは、スライドレール22bと前記リンク機構のリンク30dとの距離l(図4(d)参照)が、前記リンク機構のリンク30aと軸58との距離l(図3(d)参照)と略等しくなるように配設される。これにより、スライドレール22bの延長線、ひいてはスライドレール22bを摺動するスライダ22c、さらにはスライダ22cに取り付けられる術具保持部12および術具54の延長線が、軸58の延長線と交点を有する関係となる。すなわち、術具54は、前記リンク機構により、前記リンク機構と平行かつ軸58を含む平面内において動くことが許容される。また、各リンク30a~30eおよび20cの長さは、後述する術具保持部12に保持される術具54が前記リンク機構によって動かされる場合に、その不動点Pが、軸58の延長線C上(図1(b)、図4(c)などに示す軸58の下方)に位置するように設計されている。
【実施例】
【0039】
この不動点Pは、平行リンク機構が不動点を有することに基づくものであって、平行リンク機構部20のリンクでもあるスライダ部取付部20cと略平行にスライダ部22が、さらに、スライダ部22と術具保持部12とが略平行に取り付けられることから、該術具保持部12に保持される術具54も、平行リンク機構部20の動きに関わらず不動点Pを有している。従って、不動点Pの位置は、平行リンク機構部20の各リンク30の長さやジョイント32の位置などに基づいて、また、スライダ部22や術具保持部12の大きさに基づいて、術具54が移動可能な空間内に予め設定されるものである。さらに、前述のように、平行リンク機構部20は、取付部18と軸58を介して相対回転可能に取り付けられるものであるところ、前述のように不動点Pは軸58の延長線C上に位置することから、術具54は、平行リンク機構部20の軸58周りの回転に対しても不動点となる。
【実施例】
【0040】
また、スライダ22cにはガイドケーブル22dの一端が取り付けられており、ガイドケーブル22dの他端は、スライド部本体22aの一端に設けられたケーブル巻き取り部22eに巻き取り可能とされている。ケーブル巻き取り部22eは、スライド部本体22aの一端で、後述する術具取付部12に術具54を取り付けた際に術具の基端となる側に設けられている。ガイドケーブル22dは、たとえば弦巻状の金属からなっており、ガイドケーブル22dをケーブル巻き取り部22eに巻き取る方向、すなわち、図4の例においては、スライダ22cをケーブル巻き取り部22e方向に引っ張る方向に張力を生じさせるものであってもよい。この張力が、スライダ22cおよびそのスライダ22cに取り付けられる術具保持部12および術具54に加わる重力と釣り合う程度のものとされることにより、術具54をスライダ部22のスライド方向における任意の位置に保持することが容易になる。
【実施例】
【0041】
さらにケーブル巻き取り部22eにおいては、その巻き取り機構にブレーキ41を含むものであってもよい。このブレーキ41を作動させることにより、巻き取ったケーブル22dが放出されたり、勝手に巻き取ったりすることを防ぐことができ、スライダ22cを任意の位置に停止させることができる。このブレーキ41はたとえば、巻き取り機構における摩擦抵抗を増加させたり、あるいは嵌合により機構を停止させるものであってもよい。このブレーキ41は、前述のブレーキ26と同様に、例えば励磁作動型のブレーキが用いられ得る。さらに、ブレーキ41に代えて、あるいは加えてラチェット機構を設けることにより、たとえば、ケーブル22dを巻き取ることはできるが放出することはできないという機能をケーブル巻き取り部22eに持たせることができる。
【実施例】
【0042】
図5は、本実施例の術具操作装置10のうち、術具保持部12および把持部14について説明するために、術具保持部12が取り付けられる位置決め部16のスライド部22とともに示した図である。図5(a)は斜視図を、(b)は上面図、(c)は左側面図、すなわち被術者の右側面を見た図、(d)は正面図、すなわち被術者に正対する位置から見た図、(e)は右側面図、すなわち被術者の左側面を見た図である。
【実施例】
【0043】
術具保持部12は、術具保持部12を前述のスライド部22のスライダ22cに連結するためのスライダ連結部12cと、術具54を保持するためのホルダ12b、後述する把持部14を取り付けるための把持部取付部12aとを含んで構成される。これらスライダ連結部12c、ホルダ12b、および把持部取付部12aは一体に構成されていてもよいし、それぞれ別部材からなり、一体となるように組み合わされていてもよい。
【実施例】
【0044】
スライダ連結部12cは、前記スライド部22のスライダ22cと一体となるように固定され、スライダ22cと一体となってスライドレール22bに沿って直線運動が可能とされている。すなわち、後述するように術具保持部12に術具54が取り付けられる結果、術具54もスライドレール22bと平行に直線運動が可能とされている。
【実施例】
【0045】
ホルダ12bは、後述する術具54の基端部を収容するための断面がコの字、もしくはU字状の長溝形状を有しており、たとえば直方体状とされた術具54の基端部を好適に収容することができるものとされている。また、把持部取付部12aは、後述する把持部14を取り付けるための部位である。把持部取付部12aを介して把持部14が設けられる結果、術具54の不動点付近に把持部を設けることができるようにされている。その結果、術者が把持部14を把持して本実施例の術具操作装置10を操作した場合に、把持部14が術具の不動点近傍に位置することから、術具54を操作する際の違和感が軽減するという利点がある。特に、術具54の不動点付近を把持して操作する場合は、細かい手首運動のみで術具を操作できるため、本実施例の術具操作装置を用いず術者が基端部のみを把持して操作する場合に比べて、本実施例の術具操作装置を用いて術具を操作することで術具の操作性が大幅に向上する。
【実施例】
【0046】
把持部14は把持部本体14aと指先操作部14bとを含んで構成されている。把持部本体14aは、術者の手で握って持つためのグリップ形状を有しており、前述のように、術具保持部12の把持部取付部12aに一体に取り付けられている。ここで、一体的に取り付けるとは、具体的には例えば、ネジ留め、接着、対応する凹凸形状の嵌合などであるが、把持部本体14aと把持部取付部12aとがともに樹脂で構成される場合には、一体成形されることも可能である。このようにすれば、把持部14は術具保持部12およびスライド部22を介して平行リンク構造部20におけるリンクとしてのスライダ部取付部20cと連結されていることになる。そのため、把持部14を把持した術者は、把持部14を動かすことにより前記平行リンク構造部20を動かし、術具保持部12に保持された術具54が被術者の挿入方向を向くようにその位置を決定することができる。そして、術具54が被術者の挿入方向を向くように平行リンク構造部20の状態が決定された後、把持部14をスライド部22のスライドレール22bの方向に移動させることで前記挿入方向に術具54が挿入されるので、挿入時の動作が安定する。
【実施例】
【0047】
指先操作部14bは、把持部本体14を把持した術者の指先によって操作されるものである。本実施例においては、指先操作部14bは二自由度の動きをすることができる。たとえば把持部本体14aを把持した術者の手の指のうち、一本の指を二次元に動かし、その動きを他の装置に機構的に伝達可能とされている。本実施例においては、指先操作部14bには図示しない二本のワイヤケーブルが連結されており、指先操作部14bの動きに合わせてワイヤケーブルが引っ張られたり押し出されたりするものとされている。そのワイヤケーブルは前述の術具保持部12のホルダ12bまで引き回されている。
【実施例】
【0048】
図6は、本実施例の術具操作装置10とともに用いられる術具54の一例を説明する図である。術具54は長手棒形状の筒部54bと、その先端側に設けられた機能部54aと、先端側とは反対側の端部である基端側に設けられた基端部54cとを有している。
【実施例】
【0049】
機能部54aは術具54の機能(目的・用途)に応じたさまざまな形状を有しており、本実施例においては鉗子の例を説明するが、これに限定されるものではない。本実施例の機能部54aは、後述する基端部54bにおける操作に基づいて開閉する一対の鉗子先端部54eと、その鉗子先端部54eの筒部54に対する向きを変更するための曲げ機構54bとを有している。鉗子先端部54eはたとえば通常時、すなわち後述する基端部54bにおける操作が行われていない場合に、バネなどの付勢手段により開かれた状態とされており、後述する基端部54bにおける操作が行われた場合に閉じるようにされている。曲げ機構54dは、鉗子先端部54eと筒部54bとを2つのリンクと見た場合にそれら2つを相対回転可能に接続するジョイントであって、その相対回転の向きはたとえば筒部54bの長手方向(軸方向)と直交する向きである。
【実施例】
【0050】
筒状部54bは筒状かつ長手形状をしており、前記鉗子先端部54eを開閉操作するためのに一対の鉗子先端部54eに接続されたワイヤケーブルと、曲げ機構54bを介して鉗子先端部54eを筒部54bに対して任意の角度に屈曲させるために機能部54aに接続されたワイヤケーブルとが筒状部54bの内部を挿通されている。これらのワイヤケーブルは基端部54cまで引き回されている。
【実施例】
【0051】
基端部54cは面取りされた直方体形状をしており、前述の術具保持部12のホルダ12bが有するU字状の溝に好適に収容されることでホルダ12bによって保持される。基端部54cの内部には、前記ワイヤケーブルを巻き取るための巻き取り部がワイヤケーブルのそれぞれに対して設けられている。
【実施例】
【0052】
一方、前述の把持部14における指先操作部14bから引き回されたワイヤケーブルは、基端部54cに設けられた前記巻き取り部のそれぞれに連結されている。これにより、指先操作部14bによって検出された指先による操作に基づくワイヤケーブルの動きと、術具54の鉗子先端部54eあるいは曲げ機構54dを作動させるためのワイヤケーブルの動きとが対応するものとなる。したがって、指先操作部14bにより術具54の鉗子先端部54eあるいは曲げ機構54dを操作することができる。したがって、指先操作部14bは機能部用操作部として機能する。
【実施例】
【0053】
なお、平行リンク機構部20、スライド部22、術具保持部12、把持部14などについては、軽量の金属や樹脂などによって構成されうる。
【実施例】
【0054】
このように、本実施例によれば、頭部鏡視下手術用術具54は、術具操作装置10における術具保持部12によって保持され、術具保持部12と一体に構成された把持部14が操作者によって把持され、位置決め部である平行リンク機構部20およびスライダ部22によって把持部14に加えられた操作力に基づいて、すなわち、把持部14に加えられた操作力が術具保持部12に伝達されて、術具保持部12の姿勢が変化させられる。ここで位置決め部は、姿勢制御部である平行リンク機構部20とスライダ部22とを含んで構成されるので、平行リンク機構部20により術具保持部12の姿勢が変化させられ、スライダ部22により術具保持部12が術具54の被術者への挿入方向に沿って平行移動させられることができる。また、平行リンク機構部20によれば、その姿勢にかかわらず、術具54の移動空間内に予め設定された不動点を前記術具54が通過するように術具保持部12の姿勢が変化させられるとともに、把持部14は術具保持部12の後端縁と不動点との間に設けられるので術者が術具の操作をする際に違和感を感じることが低減されるとともに、把持部14が操作されることにより生ずる操作力によって位置決め部である平行リンク機構部20およびスライダ部22を動かすことができる一方、術具54に加わる力が術具54から把持部14へ機構的に伝達されるので、把持部14を介して術者が認識することができる。このように、術具操作装置10によれば、頭部鏡視下手術用術具を好適に操作することが可能となる。
【実施例】
【0055】
また、本実施例の術具操作装置10によれば、平行リンク機構部20およびスライダ部22の少なくとも一方は、その動作を停止可能とするブレーキ26、29、41を有するので、平行リンク機構部20およびスライダ部22の少なくとも一方の姿勢を固定することができ、ひいては術具保持部の姿勢、言い換えれば自由度を固定することができる。
【実施例】
【0056】
また本実施例の術具操作装置10によれば、位置決め部である平行リンク機構部22およびスライダ部22は術具保持部12に4自由度を与えつつ術具保持部の姿勢を制御するものであるので、術具保持部12に保持された術具54を4自由度にて位置決めすることができる。
【実施例】
【0057】
また本実施例の術具操作装置10によれば、平行リンク機構部20を有するので、平行リンク機構の動きに基づいて術具保持部12を介して術具54の姿勢を好適に変更しうる。
【実施例】
【0058】
また本実施例の術具操作装置10によれば、術具操作装置10は、術具保持部12に保持された術具54の先端に設けられた機能部54aを操作するために指先操作部14bを含み、機能部用操作部14bは、術者が把持部14を把持したまま操作可能となる位置に設けられるものので、術者が把持部14を把持したまま、指先操作部14bにより前記術具の先端に設けられた機能部54aを操作することができる。
【実施例】
【0059】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【実施例】
【0060】
例えば、前述の実施例では、術具操作装置10の術具保持部12には術具54が保持されるものとされたが、これに限定されるものではない。すなわち、術具54のみならず、腹腔鏡、胸腔鏡、脳外科用内視鏡などの内視鏡を保持させることも可能である。かかる場合においては、所望の画像を得るために好適に内視鏡を操作することができ、その際に、内視鏡をその体内への挿入部を不動点としつつ動かすことができるという効果が得られる。
【実施例】
【0061】
また、前述の実施例においては、術具操作装置10は、その動きを術者よって把持部14に加えられる力に基づいて制御されるものとされたが、かかる態様に限定されない。たとえば、電気モータや空気圧アクチュエータなどによる動力を利用して術具操作装置10の平行リンク機構部20やスライダ部22の動きを補助してもよい。かかる場合において、術具54が受ける負荷や振動、衝撃などを術者が感じ取れるものであればさらに好ましい。
【実施例】
【0062】
また、前述の実施例においては、術具操作装置10はロボットアーム50に取り付けられていたが、そのような態様に限られず、壁面など十分な剛性を有する物体に取り付けられればよい。
【実施例】
【0063】
また、前述の実施例においては、位置決め部16として平行リンク機構部20およびスライダ部22が用いられたが、かかる構成に限定されるものではない。すなわち、7自由度などの多自由度のロボットアーム50が位置決め部16とされてもよい。かかる場合においては、位置決め部16としての平行リンク機構20およびスライダ部22の少なくとも一方が設けられることなく術具保持部12が取付部18を介してロボットアーム50に取り付けられる。この場合、ロボットアーム50は、例えば7自由度のように多くの自由度を持った動きを実現可能とされているので、前述した平行リンク機構20が実現する術具54の動き、すなわち、鼻腔のような体内への挿入部分近傍を不動点としたピボット運動を再現することができる。また、ロボットアームのアクチュエータ部分に負荷センサを取り付けることにより、術具54を動かした際に例えば被術者52の体内に接触などした際の感触を検出し、アクチュエータの作動を制御することにより、術者にその感触を伝達することができる。
【実施例】
【0064】
また、前述の実施例においては、取付部18は、予め設けられた孔にボルトが通されてナットで取付相手と締めつけられることにより取り付けられたが、これに限られず、例えば、形状が対応するように設けられた一対の嵌合部材によってとりつけられてもよい。また、取付部18におけるベースプレート18aと取付台座18bとの取り付けや、スライダ部取付部20cとスライダ部22との取り付け、スライダ22bと術具保持部12との取り付け、術具保持部12の把持部取付部12aと把持部14との取り付けなどは、相互に対応する形状を有した嵌め合い構造であってもよいし、ネジなどによる締めつけであってもよいし、接着であってもよい。すなわち、両者が一体となって動くことがができればその手段を問わない。
【実施例】
【0065】
また、前述の実施例においては、術具54の例として鉗子を挙げたがこれに限られない。剥離子、キュレット、吸引管、シザーズ、バイポーラインスツルメンツ、持針器などであってもよい。
【実施例】
【0066】
また、前述の実施例においては、術具54は鉗子先端部54eの開閉、および、曲げ機構54dにおける機能部54aの筒部54bに対する曲げの2自由度を有するものとされたが、これに限られない。たとえば筒部54bそのものが基端部54cに対して回転する機構を加えて有することも可能である。この場合、術具54は3つの自由度を有することになるため、把持部14における指先操作部14bに3つの自由度を検出可能な機構とすることができる。あるいは、述部54の1自由度ごとに1自由度を検出可能な指先操作部14bを複数設けることもできる。
【実施例】
【0067】
また、前述の実施例においては、指先操作部14bの動きはワイヤケーブルで鉗子先端部54e、曲げ機構54dに伝達されたが、かかる機構に限定されない。具体的には例えば、指先操作部14bにエンコーダやセンサが設けられる一方、鉗子先端部54eや曲げ機構54dの駆動には電動モータなどのアクチュエータが用いられ、両者が電気的に接続されるものであってもよい。
【実施例】
【0068】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施され得るものである。
【符号の説明】
【0069】
10:術具操作装置
12:術具保持部
14:把持部
14b:指先操作部(機能部用操作部)
16:位置決め部
20:姿勢制御部(平行リンク機構部)
22:スライダ部
26、29、41:ブレーキ
54:術具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5