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明細書 :熱発電素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-073596 (P2018-073596A)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
発明の名称または考案の名称 熱発電素子
国際特許分類 H01M  10/054       (2010.01)
H01M  10/052       (2010.01)
H01M  10/36        (2010.01)
H01M  10/0585      (2010.01)
FI H01M 10/054
H01M 10/052
H01M 10/36 A
H01M 10/0585
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2016-211227 (P2016-211227)
出願日 平成28年10月28日(2016.10.28)
発明者または考案者 【氏名】守友 浩
【氏名】小林 航
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100169764、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 雄一郎
審査請求 未請求
テーマコード 5H029
Fターム 5H029AJ01
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL12
5H029AL13
5H029AM00
5H029AM03
5H029AM07
5H029HJ14
要約 【課題】素子全体の温度変化を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーへ変換することが可能であり、かつ薄型化が可能である熱発電素子を提供する。
【解決手段】第1の電極2と第2の電極3が、単一の電解質4を介して対向してなる熱発電素子1であって、第1の電極2および第2の電極3は、同一の金属イオンが可逆的に出入りする材料を含むことを特徴とする熱発電素子1。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の電極と第2の電極が、単一の電解質を介して対向してなる熱発電素子であって、
前記第1の電極および前記第2の電極は、同一の金属イオンが可逆的に出入りする材料を含むことを特徴とする熱発電素子。
【請求項2】
前記第1の電極は温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aを含み、前記第2の電極は温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱発電素子。
【請求項3】
前記第1の電極は温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aまたは温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含み、前記第2の電極はアルカリ金属Cを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱発電素子。
【請求項4】
前記材料Aは-20℃以上で負の起電力を生じる材料であり、前記材料Bは-20℃以上で正の起電力を生じる材料であることを特徴とする請求項2または3に記載の熱発電素子。
【請求項5】
前記第1の電極は温度の上昇に伴って構造相転移する材料Dを含み、前記第2の電極はアルカリ金属Cを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱発電素子。
【請求項6】
前記第1の電極、前記第2の電極および前記電解質を有するユニットが、一方のユニットの前記第1の電極と、他方のユニットの前記第2の電極とが隣り合うように複数積層されてなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の熱発電素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱発電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国の未利用の産業排熱は、国内で利用されている電力量の2倍以上である。また、我が国に降り注ぐ太陽熱エネルギーは、国内で利用されている電力量の1000倍以上である。これらの熱エネルギーの一部を電気エネルギーに変換できれば、化石エネルギーの消費が抑えられ、二酸化炭素の削減に貢献することができる。
【0003】
また、人体も熱エネルギーを発散しているため、この熱エネルギーを電気エネルギーに変換できれば、モバイル機器の充電が不要になる。そのためには、室温付近の熱エネルギーを安価に電気エネルギーに変換することができる「熱発電システム」が求められる。
【0004】
温度差を電気エネルギーに変換する技術としては、例えば、半導体のゼーベック係数を利用した熱発電素子が知られている。この熱発電素子では、室温付近で性能が高い材料(BiTe)が用いられる。しかしながら、この材料は、高価である上に、有毒な元素を含むという問題がある。また、この熱発電素子は、温度勾配をつけるために嵩高いものとなる。
【0005】
これに対して、特許文献1では、電気化学ゼーベック効果を利用した二次電池に類似する熱発電素子が開示されている。この熱発電素子では、正極と負極に同一の活物質が用いられている。この熱発電素子では、温度差によって両電極間に起電力の差を生じさせることにより、外部回路に電流を流すことができる。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2012/140856号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の温度差変換型の熱発電素子では、素子内に大きな温度差をつける必要がある。そのためには、熱伝導度が小さい材料を用いる必要がある。熱エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が高い半導体熱電変換素子を実現するためには、大きな電気伝導度と小さな熱伝導度を両立させる必要があることから、温度差変換型の熱発電素子の開発を難しくしている。また、シート状の温度差変換型の熱発電素子は、電圧を上げるために、一対の電極と、これらの間に介在する電解質とを有するシート状のセルを直列に接続する(セルを重ねる)必要がある。そうすると、各セルの表面と裏面の温度差が減少する。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、素子全体の温度変化を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーへ変換することが可能であり、かつ薄型化が可能である熱発電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]第1の電極と第2の電極が、単一の電解質を介して対向してなる熱発電素子であって、前記第1の電極および前記第2の電極は、同一の金属イオンが可逆的に出入りする材料を含むことを特徴とする熱発電素子。
【0010】
[2]前記第1の電極は温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aを含み、前記第2の電極は温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含むことを特徴とする[1]に記載の熱発電素子。
【0011】
[3]前記第1の電極は温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aまたは温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含み、前記第2の電極はアルカリ金属Cを含むことを特徴とする[1]に記載の熱発電素子。
【0012】
[4]前記材料Aは-20℃以上で負の起電力を生じる材料であり、前記材料Bは-20℃以上で正の起電力を生じる材料であることを特徴とする[2]または[3]に記載の熱発電素子。
【0013】
[5]前記第1の電極は温度の上昇に伴って構造相転移する材料Dを含み、前記第2の電極はアルカリ金属Cを含むことを特徴とする[1]に記載の熱発電素子。
【0014】
[6]前記第1の電極、前記第2の電極および前記電解質を有するユニットが、一方のユニットの前記第1の電極と、他方のユニットの前記第2の電極とが隣り合うように複数積層されてなることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の熱発電素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、素子全体の温度変化を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーへ変換することが可能であり、かつ薄型化が可能である熱発電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態における熱発電素子の断面図である。
【図2】実験例で用いた熱起電力測定装置の模式図である。
【図3】実験例1の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を示す図である。
【図4】実験例1の電気化学セルの電気化学ゼーベック係数を評価した結果を示す図である。
【図5】実験例2の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を示す図である。
【図6】実験例2の電気化学セルの電気化学ゼーベック係数を評価した結果を示す図である。
【図7】実験例3の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を示す図である。
【図8】実験例3の電気化学セルの電気化学ゼーベック係数を評価した結果を示す図である。
【図9】実験例で用いた電気化学セルの模式図である。
【図10】実験例4の電気化学セルにおいて、第1の電極と第2の電極の間の温度差に対する、第1の電極と第2の電極の間の起電力差を示す図である。
【図11】実験例で用いた熱起電力測定装置の模式図である。
【図12】実験例5において第1の電極と第2の電極の温度差と熱起電力差を測定した結果を示す図である。
【図13】実験例6において第1の電極と第2の電極の温度差と熱起電力差を測定した結果を示す図である。
【図14】実験例7において第1の電極と第2の電極の温度差と熱起電力差を測定した結果を示す図である。
【図15】実験例8において第1の電極と第2の電極の温度差と熱起電力差を測定した結果を示す図である。
【図16】実験例9の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を示す図である。
【図17】実験例9においてLiCo[Fe(CN)0.9におけるLi濃度と格子定数の関係を示す図である。
【図18】実験例10においてNaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度と格子定数の関係を示す図である。
【図19】実験例10においてNaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度と温度の関係を示す図である。
【図20】実験例11の電気化学セルの電極の容量と放電電圧の関係を示す図である。
【図21】x=1/2の場合のP2-NaCoOにおけるナトリウムイオンの配列を示す模式図である。
【図22】x=2/3の場合のP2-NaCoOにおけるナトリウムイオンの配列を示す模式図である。
【図23】X線回折により、27℃、127℃および227℃にて、P2-Na0.59CoOの結晶構造を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の熱発電素子の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。

【0018】
[熱発電素子]
以下、本実施形態の熱発電素子について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の熱発電素子の断面図である。
本実施形態の熱発電素子1は、第1の電極2と、第2の電極3と、電解質4とを有するユニット5を備える。
熱発電素子1において、第1の電極2は集電極6の一方の面6aに設けられ、第2の電極3は集電極6の他方の面6bに設けられており、第1の電極2と第2の電極3は、集電極6を介して対向して配置されている。また、第1の電極2と第2の電極3は、セパレータ7を介して対向して配置されている。また、第1の電極2と第2の電極3は、セパレータ7に含浸させた単一の電解質4を介して、所定の間隔を置いて対向して配置されている。また、第1の電極2、第2の電極3および電解質4を有するユニット5が、一方のユニット5の第1の電極2と、他方のユニット5の第2の電極3とが隣り合うように複数積層されている。また、第1の電極2と第2の電極3は、リード線8を介して電気的に接続されている。また、リード線8の途中には、熱発電素子1で発生した電流を取り出すための回路(図示略)や装置(図示略)が設けられていてもよい。また、第1の電極2には、ヒーター(図示略)が取り付けられている。さらに、これらの構成要素は、ラミネートフィルム9で封止されている。

【0019】
なお、ここでは、第1の電極2にヒーターが取り付けられている場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の熱発電素子1において、ヒーターは、第2の電極3に取り付けられていてもよく、第1の電極2と第2の電極3の両方に取り付けられていてもよく、ラミネートフィルム9内に設けられていてもよく、ラミネートフィルム9の外面に設けられていてもよい。

【0020】
ヒーターとしては、例えば、一般的な抵抗加熱式のヒーター等が用いられる。また、ヒーターとしては、太陽熱エネルギーを利用したヒーターを用いてもよい。太陽熱エネルギーを利用したヒーターとは、屋外に設置された太陽熱エネルギーを集める装置から送られてくる熱エネルギーを加熱に用いるヒーターである。このようなヒーターを用いることにより、第1の電極2や第2の電極3を加熱するために、化石エネルギーを利用した熱源が不要となる。

【0021】
第1の電極2および第2の電極3は、同一の金属イオンが可逆的に出入りする材料を含む。また、第1の電極2および第2の電極3は、同一の金属イオンが析出または合金化する材料を含んでいてもよい。

【0022】
第1の電極2は温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aを含み、第2の電極3は温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含むことが好ましい。あるいは、第1の電極2は温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aまたは温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含み、第2の電極3はアルカリ金属Cを含むことが好ましい。第2の電極3がアルカリ金属Cを含む場合、第2の電極3はほぼアルカリ金属Cのみから構成される。

【0023】
材料Aとしては、温度の上昇に伴って負の起電力を生じるものであれば特に限定されないが、例えば、-20℃以上で負の起電力を生じる材料であることが好ましく、0℃以上で負の起電力を生じる材料であることがより好ましく、0℃~200℃で負の起電力を生じる材料であることがさらに好ましい。
材料Aとしては、-20℃以上で負の起電力を生じる材料を用いれば、起電力を生じさせるために大きな熱エネルギーが必要でないため、より効率的に熱エネルギーから電気エネルギーへの変換を行うことができる。

【0024】
材料Aとしては、具体的に、P2-NaCoO(0.5≦x≦1.0)等の層状酸化物、NaCo[Fe(CN)0.81、NaNi[Fe(CN)0.68等のプルシアンブルー型錯体が挙げられる。P2-NaCoOにおける「P2」とは、結晶構造の名前である。P2-NaCoOは、層状の物質であるが、積層パターンがABBAABBAとなっている。

【0025】
材料Bとしては、温度の上昇に伴って正の起電力を生じるものであれば特に限定されないが、例えば、-20℃以上で正の起電力を生じる材料であることが好ましく、0℃以上で正の起電力を生じる材料であることがより好ましく、0℃~200℃で正の起電力を生じる材料であることがさらに好ましい。
材料Bとしては、-20℃以上で正の起電力を生じる材料を用いれば、起電力を生じさせるために大きな熱エネルギーが必要でないため、より効率的に熱エネルギーから電気エネルギーへの変換を行うことができる。

【0026】
材料Bとしては、具体的に、NaCo[Fe(CN)0.9、NaMn[Fe(CN)0.84等のプルシアンブルー型錯体、コバルト酸リチウム(LiCoO(0.5≦x≦1.0))等が挙げられる。

【0027】
アルカリ金属Cとしては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)等が挙げられる。

【0028】
また、第1の電極2は温度の上昇に伴って構造相転移する材料Dを含み、第2の電極3はアルカリ金属Cを含むことが好ましい。第2の電極3がアルカリ金属Cを含む場合、第2の電極3はほぼアルカリ金属Cのみから構成される。

【0029】
材料Dとしては、温度の上昇に伴って構造相転移する材料が好ましい。
材料Dとしては、温度の上昇に伴って構造相転移する材料を用いれば、効率的に熱エネルギーから電気エネルギーへの変換を行うことができる。

【0030】
材料Dとしては、具体的に、P2-NaCoO(0.5≦x≦1.0)等の層状酸化物、LiCo[Fe(CN)0.9等が挙げられる。

【0031】
第1の電極2および第2の電極3は、上記の材料A、材料B、材料D以外に、バインダー樹脂(結着剤)や導電助剤を含んでいてもよい。
バインダー樹脂として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、フッ素ゴム等が挙げられる。
導電助剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等が挙げられる。

【0032】
電解質4としては、アルカリ金属塩を溶媒に溶解してなる電解液が用いられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、塩化ナトリウム(NaCl)、過塩素酸リチウム(LiClO)等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、水、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。
電解質4としては、安価である点から、水系電解質が好ましく、塩化ナトリウム水溶液がより好ましい。

【0033】
また、図1には、熱発電素子1において、第1の電極2、第2の電極3および電解質4を有するユニット5が、一方のユニット5の第1の電極2と、他方のユニット5の第2の電極3とが隣り合うように複数積層されている場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の熱発電素子1が、第1の電極2、第2の電極3および電解質4を有する1つのユニット5から構成されていてもよい。

【0034】
本実施形態の熱発電素子1によれば、素子全体の温度変化を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーへ変換することが可能であり、かつ薄型化が可能である。また、水系電解質を用いることにより、より安価で、かつ廃棄する際に環境負荷が少ない熱発電素子1が得られる。

【0035】
詳細には、第1の電極2が温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aを含み、第2の電極3が温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含む場合、あるいは、第1の電極2が温度の上昇に伴って負の起電力を生じる材料Aまたは温度の上昇に伴って正の起電力を生じる材料Bを含み、第2の電極3がアルカリ金属Cを含む場合、次のようにして、熱発電素子1は発電することができる。
すなわち、第1の電極2の温度を上昇させて、第1の電極2と第2の電極3との間に温度差を設けるとともに、第1の電極2に負の起電力を生じさせることにより、熱発電素子1は発電することができる。また、第2の電極3の温度を上昇させて、第1の電極2と第2の電極3との間に温度差を設けるとともに、第2の電極3に正の起電力を生じさせることにより、熱発電素子1は発電することができる。また、第1の電極2と第2の電極3の温度を上昇(または、下降)させて、第1の電極2に負の(正の)起電力を生じさせるとともに、第2の電極3に正の(負の)起電力を生じさせることにより、熱発電素子1は発電することができる。

【0036】
また、第1の電極2が温度の上昇に伴って構造相転移する材料Dを含み、第2の電極3がアルカリ金属Cを含む場合、次のようにして、熱発電素子1は発電することができる。
すなわち、第1の電極2の温度を上昇(または、下降)させ、第1の電極2に含まれる材料Dを構造相転移させて、第1の電極2に負の起電力を生じさせることにより、熱発電素子1は発電することができる。また、第1の電極2の温度を上昇(または、下降)させ、第1の電極2に含まれる材料Dを構造相転移させて、第1の電極2に正の起電力を生じさせることにより、熱発電素子1は発電することができる。
また、第1の電極2と第2の電極3は、単一の電解質4を介して配置されているため、熱発電素子1を小型化することができる。
【実施例】
【0037】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
[実験例1]
「電気化学セルの作製」
図2に示す電気化学セル100を用いて、電極の熱起電力を測定した。
電気化学セル100は、第1の電極101と、第2の電極102と、電解質103とを備える。
電気化学セル100において、第1の電極101と第2の電極102は、ケース104内に収容された単一の電解質103を介して、所定の間隔を置いて対向して配置されている。また、第1の電極101と第2の電極102は、リード線105を介して電気的に接続されている。また、ケース104がヒーター106上に配置されている。
【実施例】
【0039】
P2-NaCoO粉末としては、原料酸化物を混合し、空気中で700℃にて、24時間焼成することにより得られたものを用いた。
P2-NaCoO粉末と、ポリフッ化ビニリデンと、ケッチェンブラックとを、質量比で、8:1:1で混合し、その混合物を、アルミニウム電極板上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥して、アルミニウム電極板上にP2-NCoOを含む電極合剤層を有する電極を得た。この電極を第1の電極101とした。
第2の電極102としては、金属ナトリウムを用いた。
電解質103としては、過塩素酸ナトリウム濃度が1mol/Lのプロピレンカーボネート溶液を用いた。
これらの第1の電極101、第2の電極102および電解質103を用いて、実験例1の電気化学セル100を作製した。
【実施例】
【0040】
「放電曲線の温度依存性の評価/起電力の評価」
実験例1の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を評価した。
評価の手順は次の通りである。
ケース104全体の温度を35℃または55℃に制御し、この状態で、第1の電極101から第2の電極102に電流を流して、第1の電極101と第2の電極102の間に生じた起電力を測定した。
放電曲線を35℃と55℃で測定した結果を図3に示す。図3において、横軸のxは、P2-NaCoOのxを示す。すなわち、横軸のxは、P2-NaCoOにおけるNa濃度(モル比)を示す。
図3において、x=1/2と2/3において、起電力が大きく変化している理由は、P2-NaCoOが構造相転移しているからである。
【実施例】
【0041】
図3に示す放電曲線から、電気化学ゼーベック係数を評価した。
評価の手順は次の通りである。
電気化学ゼーベック係数は、起電力差を温度差で除したものである。55℃の放電曲線から35℃の放電曲線を引いて起電力差を算出し、その起電力差を温度差(15℃)で除して、電気化学ゼーベック係数を得た。
結果を図4に示す。図4において、横軸のxは、P2-NaCoOのxを示す。すなわち、横軸のxは、P2-NaCoOにおけるNa濃度(モル比)を示す。
図4の結果から、負の起電力が観測されることが分かった。また、図4の結果から、P2-NaCoOは、室温付近において、半導体熱電材料(BiTe)の室温付近における熱起電力(0.2mV/K)と比べて、熱起電力の絶対値が大きいことが分かった。
【実施例】
【0042】
[実験例2]
「電気化学セルの作製」
NaCo[Fe(CN)0.9からなる薄膜を、電解析出法により、酸化インジウムスズ(ITO)電極板上に形成し、ITO電極板上にNaCo[Fe(CN)0.9からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極101とした。
この第1の電極101を用いたこと以外は実験例1と同様にして、実験例2の電気化学セルを作製した。
【実施例】
【0043】
「放電曲線の温度依存性の評価/起電力の評価」
実験例1と同様にして、実験例2の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を評価した。
放電曲線を35℃と55℃で測定した結果を図5に示す。図5において、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9のxを示す。すなわち、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度(モル比)を示す。
【実施例】
【0044】
実験例1と同様にして、図5に示す放電曲線から、電気化学ゼーベック係数を評価した。
結果を図6に示す。図6において、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9のxを示す。すなわち、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度(モル比)を示す。
図6の結果から、正の起電力が観測されることが分かった。また、図6の結果から、NaCo[Fe(CN)0.9は、室温付近において、半導体熱電材料(BiTe)の室温付近における熱起電力(-0.2mV/K)と比べて、熱起電力の絶対値が大きいことが分かった。
【実施例】
【0045】
[実験例3]
「電気化学セルの作製」
NaMn[Fe(CN)0.84からなる薄膜を、電解析出法により、酸化インジウムスズ(ITO)電極板上に形成し、ITO電極板上にNaMn[Fe(CN)0.84からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極2とした。
この第1の電極2を用いたこと以外は実験例1と同様にして、実験例3の電気化学セルを作製した。
【実施例】
【0046】
「放電曲線の温度依存性の評価/起電力の評価」
実験例1と同様にして、実験例3の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を評価した。
放電曲線を35℃と55℃で測定した結果を図7に示す。図7において、横軸のxは、NaMn[Fe(CN)0.84のxを示す。すなわち、横軸のxは、NaMn[Fe(CN)0.84におけるNa濃度(モル比)を示す。
【実施例】
【0047】
実験例1と同様にして、図7に示す放電曲線から、電気化学ゼーベック係数を評価した。
結果を図8に示す。図8において、横軸のxは、NaMn[Fe(CN)0.84のxを示す。すなわち、横軸のxは、NaMn[Fe(CN)0.84におけるNa濃度(モル比)を示す。
図8の結果から、正の起電力が観測されることが分かった。また、図8の結果から、NaMn[Fe(CN)0.84は、室温付近において、半導体熱電材料(BiTe)の室温付近における熱起電力(-0.2mV/K)と比べて、熱起電力の絶対値が大きいことが分かった。
【実施例】
【0048】
[実験例4]
「電気化学セルの作製」
図9に示す電気化学セル200を用いて、電極の熱起電力を測定した。
電気化学セル200は、セル210と、セル210内に収容された第1の電極301、第2の電極302および電解質303を固定する一対の固定板220,220と、セル210内に挿入された一対の熱電対230,230と、セル210に螺合される一対のヒーター240,240とを備える。
【実施例】
【0049】
セル200内に収容された第1の電極301と第2の電極302は、電解質303を介して対向して配置されている。第1の電極301と第2の電極302の距離は2mmである。
【実施例】
【0050】
熱電対230の一方は、その先端がセル200内に収容された第1の電極301の近傍に配置され、第1の電極301の温度を測定する。また、熱電対230の他方は、その先端がセル200内に収容された第2の電極302の近傍に配置され、第2の電極3022の温度を測定する。
【実施例】
【0051】
ヒーター240は、セル200に螺合される結合部241と、結合部241から順に積層されたペルチェ素子242およびヒートシンク243とを備える。
【実施例】
【0052】
P2-NaCoO粉末としては、原料酸化物を混合し、空気中で700℃にて、24時間焼成することにより得られたものを用いた。
P2-NaCoO粉末と、ポリフッ化ビニリデンと、ケッチェンブラックとを、質量比で、8:1:1で混合し、その混合物を、アルミニウム電極板上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥して、アルミニウム電極板上にP2-NCoOを含む電極合剤層を有する電極を得た。この電極を第1の電極301および第2の電極302とした。
電解質303としては、過塩素酸ナトリウム濃度が1mol/Lのプロピレンカーボネート溶液を用いた。
これらの第1の電極301、第2の電極302および電解質303を用いて、実験例1の電気化学セル200を作製した。
【実施例】
【0053】
「起電力差の評価」
第1の電極301と第2の電極302の間に温度差を設けて、その温度差と、第1の電極301と第2の電極302の間の起電力差を実測し、第1の電極301と第2の電極302の間の温度差に対する、第1の電極301と第2の電極302の間の起電力差を算出した。
結果を図10に示す。図10において、xは、P2-NaCoOのxを示す。すなわち、xは、P2-NaCoOにおけるNa濃度(モル比)を示す。
図10の結果から、Na濃度が1/2では、電気化学ゼーベック係数が-0.720mV/K、Na濃度が2/3では、電気化学ゼーベック係数が-0.167mV/Kであることが分かった。これらの値は、半導体熱電材料の電気化学ゼーベック係数と同等であることが分かった。例えば、半導体熱電材料がBiTeである場合、電気化学ゼーベック係数は-0.2mV/K(300K)、半導体熱電材料がNa1/2CoOである場合、電気化学ゼーベック係数は0.2mV/K(300K)である。
【実施例】
【0054】
[実験例5]
「熱起電力測定装置の作製」
図11に示す熱起電力測定装置400を用いて、電極の熱起電力を測定した。
熱起電力測定装置400は、第1の電極401と、第2の電極402と、電解質403とを備える。
熱起電力測定装置400において、第1の電極401と第2の電極402は、ケース404内に収容された単一の電解質403を介して、所定の間隔を置いて対向して配置されている。また、第1の電極401と第2の電極402は、リード線405を介して電気的に接続されている。また、第1の電極401には、ヒーター406が取り付けられている。また、第1の電極401と第2の電極402には、熱電対407,407が取り付けられている。さらに、ケース404がマグネチックスターラー本体408上に配置され、ケース404内に収容された電解質403内に回転子409が配置されている。
【実施例】
【0055】
NaCo[Fe(CN)0.9からなる薄膜を、電解析出法により、酸化インジウムスズ(ITO)電極板上に形成し、ITO電極板上にNaCo[Fe(CN)0.9からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極401および第2の電極402とした。
電解質403としては、1mol/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いた。
これらの第1の電極401、第2の電極402および電解質403を用いて、実験例5の熱起電力測定装置400を作製した。
【実施例】
【0056】
「熱起電力差の評価」
第1の電極401と第2の電極402の間に温度差を設けて、その温度差と、第1の電極401と第2の電極402の間の熱起電力差を実測した。
結果を図12に示す。
図12の結果から、電気化学ゼーベック係数が0.7mV/Kであることが分かった。
【実施例】
【0057】
[実験例6]
「熱起電力測定装置の作製」
NaCo[Fe(CN)0.81からなる薄膜を、電解析出法により、酸化インジウムスズ(ITO)電極板上に形成し、ITO電極板上にNaCo[Fe(CN)0.81からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極401および第2の電極402として用いたこと以外は実験例5と同様にして、実験例6の熱起電力測定装置400を作製した。
【実施例】
【0058】
「起電力差の評価」
第1の電極401と第2の電極402の間に温度差を設けて、その温度差と、第1の電極401と第2の電極402の間の熱起電力差を実測した。
結果を図13に示す。
図13の結果から、電気化学ゼーベック係数が-0.85mV/Kであることが分かった。
【実施例】
【0059】
[実験例7]
「熱起電力測定装置の作製」
NaNi[Fe(CN)0.68からなる薄膜を、電解析出法により、酸化インジウムスズ(ITO)電極板上に形成し、ITO電極板上にNaNi[Fe(CN)0.68からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極401および第2の電極402として用いたこと以外は実験例5と同様にして、実験例7の熱起電力測定装置400を作製した。
【実施例】
【0060】
「起電力差の評価」
第1の電極401と第2の電極402の間に温度差を設けて、その温度差と、第1の電極401と第2の電極402の間の熱起電力差を実測した。
結果を図14に示す。
図14の結果から、電気化学ゼーベック係数が-0.70mV/Kであることが分かった。
【実施例】
【0061】
[実験例8]
「熱起電力測定装置の作製」
LiCoO粉末としては、原料酸化物を混合し、空気中で900℃にて、10時間焼成することにより得られたものを用いた。
LiCoO粉末と、ポリフッ化ビニリデンと、ケッチェンブラックとを、質量比で、8:1:1で混合し、その混合物を、アルミニウム電極板上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥して、アルミニウム電極板上にLiCoOを含む電極合剤層を有する電極を得た。この電極を第1の電極401および第2の電極402として用いた。
電解質403としては、過塩素酸リチウム濃度が1mol/Lのエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液を用いた。
これらの第1の電極401、第2の電極402および電解質403を用いこと以外は実験例5と同様にして、実験例8の熱起電力測定装置400を作製した。
【実施例】
【0062】
「起電力差の評価」
第1の電極401と第2の電極402の間に温度差を設けて、その温度差と、第1の電極401と第2の電極402の間の熱起電力差を実測した。
結果を図15に示す。
図15の結果から、電気化学ゼーベック係数が1.0mV/K(x=1.0)であることが分かった。
【実施例】
【0063】
「実験例9」
「電気化学セルの作製」
図2に示す電気化学セル100を用いて、電極の熱起電力を測定した。
LiCo[Fe(CN)0.9からなる薄膜を、電解析出法により、ITO電極板上に形成し、ITO電極板上にLiCo[Fe(CN)0.9からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極101とした。
第2の電極102としては、金属リチウムを用いた。
電解質103としては、過塩素酸リチウム濃度が1mol/Lのエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液を用いた。
これらの第1の電極101、第2の電極102および電解質103を用いて、実験例9の電気化学セル100を作製した。
【実施例】
【0064】
「起電力の評価/格子定数の評価」
実験例1と同様にして、実験例9の電気化学セルの放電曲線の温度依存性を評価した。
放電曲線を測定した結果を図16に示す。図16において、横軸のxは、LiCo[Fe(CN)0.9のxを示す。すなわち、横軸のxは、LiCo[Fe(CN)0.9におけるLi濃度(モル比)を示す。
図16において、低スピン相(LS)と高スピン相(HS)において、約0.1Vの起電力の変化がある理由は、LiCo[Fe(CN)0.9が構造相転移しているからである。
また、LiCo[Fe(CN)0.9におけるLi濃度と格子定数との関係を評価した。
評価の手順は次の通りである。
各xにおいて、グローブボックス内で電気化学セルを解体し、LiCo[Fe(CN)0.9粉末をキャピラリーに封入した。放射光X線を光源として、X線回折パターンを測定した。得られた回折パターンを回折角2θから、ブラックの式(2dsinθ=λ:dは面間隔、λはX線の波長)を用いて格子定数を決定した。
結果を図17に示す。図17において、横軸のxは、LiCo[Fe(CN)0.9のxを示す。すなわち、横軸のxは、LiCo[Fe(CN)0.9におけるLi濃度(モル比)を示す。
図17の結果から、低スピン相(LS)から高スピン相(HS)へ相転移すると、格子定数が0.2Å(0.02nm)程度大きくなることが分かった。
【実施例】
【0065】
「実験例10」
「電気化学セルの作製」
図2に示す電気化学セル100を用いて、電極の熱起電力を測定した。
NaCo[Fe(CN)0.9からなる薄膜を、電解析出法により、ITO電極板上に形成し、ITO電極板上にNaCo[Fe(CN)0.9からなる電極層を有する電極を得た。この電極を第1の電極101とした。
第2の電極102としては、金属ナトリウムを用いた。
電解質103としては、過塩素酸リチウム濃度が1mol/Lのエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液を用いた。
これらの第1の電極101、第2の電極102および電解質103を用いて、実験例9の電気化学セル100を作製した。
【実施例】
【0066】
「格子定数の評価/Na濃度の温度依存性の評価」
実験例9と同様にして、実験例10のNaCo[Fe(CN)0.9のNa濃度と格子定数との関係を評価した。
結果を図18に示す。図18において、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9のxを示す。すなわち、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度(モル比)を示す。
図18の結果から、低スピン相(LS)から高スピン相(HS)へ相転移すると、格子定数が0.2Å(0.02nm)程度大きくなることが分かった。
また、NaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度と温度との関係を評価した。
評価の手順は次の通りである。
各xにおいて、グローブボックス内で電気化学セルを解体し、NaCo[Fe(CN)0.9粉末をキャピラリーに封入した。放射光X線を光源として、X線回折パターンを測定した。測定温度を100K(-173℃)と300K(27℃)とした。得られた回折パターンを回折角2θから、ブラックの式(2dsinθ=λ:dは面間隔、λはX線の波長)を用いて格子定数を決定した。
結果を図19に示す。図19において、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9のxを示す。すなわち、横軸のxは、NaCo[Fe(CN)0.9におけるNa濃度(モル比)を示す。
図19の結果から、200Kを境にして、低スピン相(LS)から高スピン相(HS)へ相転移することが分かった。この相転位により、約0.1Vの起電力の変化があることが期待される。
【実施例】
【0067】
[実験例11]
「電気化学セルの作製」
図2に示す電気化学セル100を用いて、電極の容量と放電電圧の関係を評価した。
P2-NaCoO粉末としては、原料酸化物を混合し、空気中で700℃にて、24時間焼成することにより得られたものを用いた。
P2-NaCoO焼成粉末と、ポリフッ化ビニリデンと、ケッチェンブラックとを、質量比で、8:1:1で混合し、その混合物を、アルミニウム電極板上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥して、アルミニウム電極板上にP2-NaCoOを含む電極合剤層を有する電極を得た。この電極を第1の電極101とした。
第2の電極102としては、金属ナトリウムを用いた。
電解質103としては、過塩素酸ナトリウム濃度が1mol/Lのプロピレンカーボネート溶液を用いた。
これらの第1の電極101、第2の電極102および電解質103を用いて、実験例11の電気化学セル100を作製した。
【実施例】
【0068】
「電極の容量と放電電圧の関係を評価」
実験例11の電気化学セルの電極の容量と放電電圧の関係を評価した。
評価の手順は次の通りである。
ケース104全体の温度を35℃または55℃に制御し、この状態で、第1の電極101から第2の電極102に電流を流して、第1の電極101と第2の電極102の間に生じた起電力を測定した。
結果を図20に示す。図20において、横軸のxは、P2-NaCoOのxを示す。すなわち、横軸のxは、P2-NaCoOにおけるNa濃度(モル比)を示す。
図20において、x=1/2と2/3において、起電力が大きく変化している理由は、P2-NaCoOが構造相転移しているからである。
計算から予測されるx=1/2の場合のP2-NaCoOにおけるナトリウムイオン(Na)の配列を図21に示す。また、計算から予測されるx=2/3の場合のP2-NaCoOにおけるナトリウムイオンの配列を図22に示す。図21および図22において、Na1はコバルト原子直上に位置し、Na2はコバルト原子隙間の上に位置する。また、図21および図22において、xは、P2-NaCoOのxを示す。すなわち、xは、P2-NaCoOにおけるNa濃度(モル比)を示す。
このナトリウムイオンの配列により、起電力が大きく変化する。100℃~200℃程度の高温において、ナトリウムイオンの配列が消失すると期待される。
また、X線回折により、27℃、127℃および227℃にて、P2-Na0.59CoOの結晶構造を評価した。結果を図23に示す。図23の結果から、指数を付したNaの秩序に関するピークが、227℃で消失していることが確認された。
以上のことから、P2-NaCoOの温度上昇に伴う構造相転移により、巨大な起電力を期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の熱発電素子は、設置型熱発電機、モバイル発電機、ハイブリッド太陽エネルギー発電機等として利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・熱発電素子、2・・・第1の電極、3・・・第2の電極、4・・・電解質、5・・・ユニット、6…集電極、7・・・セパレータ、8・・・リード線、9・・・ラミネートフィルム。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22