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明細書 :フコース検出用電極

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-128310 (P2018-128310A)
公開日 平成30年8月16日(2018.8.16)
発明の名称または考案の名称 フコース検出用電極
国際特許分類 G01N  27/416       (2006.01)
G01N  27/327       (2006.01)
G01N  27/30        (2006.01)
FI G01N 27/416 336G
G01N 27/327 353S
G01N 27/30 A
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2017-020395 (P2017-020395)
出願日 平成29年2月7日(2017.2.7)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 平成28年8月12日 ウェブサイトのアドレス(URL) http://jointsympo.csj.jp/index.php http://jointsympo.csj.jp/Program(poster).pdf 〔刊行物等〕 ウェブサイトの掲載日 平成28年11月7日 ウェブサイトのアドレス(URL) http://asbic8.nz/wp-content/uploads/2016/11/ASBIC8-Programme-FINAL.pdf http://asbic8.nz/programme/
発明者または考案者 【氏名】楠岡 諒
【氏名】武田 康太
【氏名】中村 暢文
【氏名】大野 弘幸
出願人 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100128381、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 義憲
【識別番号】100126653、【弁理士】、【氏名又は名称】木元 克輔
審査請求 未請求
要約 【課題】簡便にフコースを検出する方法及び簡便にフコースの濃度を測定する方法を提供する。
【解決手段】フコースを検出する、電気化学測定用電極であって、前記電極は、表面に、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、前記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、電極。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
フコースを検出する、電気化学測定用電極であって、
前記電極は、表面に、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、
前記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、電極。
【請求項2】
作用極及び対極を含む電極系を備え、
前記作用極は、表面に、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、
前記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、
フコース濃度測定用バイオセンサ。
【請求項3】
電極系に電圧を印加するステップと、
前記電圧に応じて前記電極系に流れる電流値に基づいて被検試料中のフコースを検出するステップとを含む、フコース検出方法であって、
前記電極系は作用極及び対極を含み、
前記作用極は、表面に、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、
前記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、方法。
【請求項4】
前記電圧が、-50~+150mV vs.標準水素電極(NHE)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
電極系に電圧を印加するステップと、
前記電圧に応じて前記電極系に流れる電流値に基づいて被検試料のフコース濃度を測定するステップとを含む、フコース濃度測定方法であって、
前記電極系は作用極及び対極を含み、
前記作用極は、表面に、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、
前記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、方法。
【請求項6】
前記電圧が、-50~+150mV vs.標準水素電極(NHE)である、請求項5に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フコースを検出するための電気化学測定用電極、フコース濃度測定用バイオセンサ、フコース検出方法及びフコース濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フコース(fucose)は、デオキシ糖の一種である6-デオキシ-ガラクトースであり、六炭糖、単糖に分類される。天然にはL型が動植物に幅広く存在し、L-フコースは生体内で複合糖鎖の非還元末端に結合している。肝臓癌又は嚢胞性線維症等の疾患を持つ患者においては、L-フコースの代謝経路が異常となり、L-フコースが尿中に遊離して尿中のL-フコース濃度が上昇することが知られている。したがって、尿等の体液中のL-フコースを検出し、濃度を測定することは癌等の疾患の判定に役立てられる。
【0003】
従来、L-フコースの濃度を測定する方法としては、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を補酵素とする脱水素酵素(NADPH依存型フコース脱水素酵素)を用いた分光学的な測定法(非特許文献1~4)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた定量法(非特許文献5)、さらに、NADPH依存型フコース脱水素酵素を用いた電気化学的フコース測定法(非特許文献6)が知られている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】M.A.Cohenfordら、Analytical Biochemistry、1981年、112巻、76-81頁
【非特許文献2】M.A.Cohenfordら、Analytical Biochemistry、1989年、177巻、172-177頁
【非特許文献3】T.Sakaiら、Clinical Chemistry、1990年、36巻、474-476頁
【非特許文献4】V.Djurdjicら、Analytical Biochemistry、1990年、188巻、222-227頁
【非特許文献5】K.R.Anumulaら、Analytical Biochemistry、1994年、220巻、275-283頁
【非特許文献6】C.G.Tsiafoulisら、Biosensors and Bioelectronics、2004年、20巻、620-627頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記分光学的な測定法を行うためには、高価な装置が必要であったり、測定に時間がかかったり、尿検体に含まれる測定の妨害となる夾雑物質を除去するための前処理に時間がかかったりする等の問題があった。また、上記高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたフコース定量法は、pMレベルの微量のL-フコースを検出することができる反面、50pM以上の濃度のL-フコースを測定しようとすると測定の際にピークが振り切れてしまい、定量することができないという問題があった。また、上記NADPH依存型フコース脱水素酵素を用いた電気化学的フコース測定法では、高価なNADPHが必要であったり、酵素と電極間の電子移動反応を仲介するメディエータとしてヘキサシアノ鉄酸塩を必要とし、反応系が複雑となったり、さらに尿中夾雑物質を除去するための前処理が必要であったりする等の問題があった。
【0006】
そこで本発明は、簡便にフコースを検出する方法及び簡便にフコースの濃度を測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者らは、電極触媒として担子菌の一種であるコプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を用い、さらに前記酵素の電子伝達ドメインであるシトクロムbドメインを欠損させて、電極触媒として使用することにより、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、フコースを検出する、電気化学測定用電極であって、上記電極は、表面に、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、上記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、電極を提供する。
【0009】
上記コプリノプシス・シネレア由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持する電極は、酵素と電極間の電子移動反応を仲介するメディエータを用いることなく、フコースから直接的に電子の移動を行うことができる直接電子移動型の酵素電極である。さらに、上記酵素のうち、電子伝達ドメインであるシトクロムbドメインを欠損させることにより、電子移動の際に電子伝達部位を介すことで生じる電位のロスがなくなり、被検試料中の夾雑物質よりも低電位で酵素から電流が電極に流れ、被検試料中の夾雑物質から流れる電流の影響を排除し、フコースを検出するために十分な感度を得ることが可能となる。すなわち、本発明の電極によれば、フコースを電気化学的に十分な感度で検出することができる。電気化学的な検出は、測定時間が短く、操作が容易であるため、簡便にフコースを検出することができる。また低コストで検出を行えるという利点もある。
【0010】
また、本発明は、作用極及び対極を含む電極系を備え、上記作用極は、表面に、コプリノプシス・シネレア由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、上記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、フコース濃度測定用バイオセンサを提供する。
【0011】
上記バイオセンサは、作用極として、上記本発明の電極を備え、電子メディエータを必要としない直接電子移動型のバイオセンサとなる。したがって、上記バイオセンサによれば、フコース濃度の測定に際し複雑な反応系を必要とせず、簡便に測定を行うことができる。
【0012】
また、本発明は、電極系に電圧を印加するステップと、上記電圧に応じて上記電極系に流れる電流値に基づいて被検試料中のフコースを検出するステップとを含む、フコース検出方法であって、上記電極系は作用極及び対極を含み、上記作用極は、表面に、コプリノプシス・シネレア由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、上記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、方法を提供する。
【0013】
上記方法は、上記本発明の電極を作用極として使用し、フコースを電気化学的に検出する方法であり、この方法によれば、被検試料中のフコースを十分な感度で検出することができる。また電気化学的な方法であるため、短い測定時間及び容易な操作で、簡便にフコースを検出することができる。さらに低コストで検出を行える。
【0014】
上記フコース検出方法において、上記電圧が、-50~+150mV vs.標準水素電極(NHE)であることが好ましい。電極系に印加する電圧が上記範囲であることにより、フコースの検出感度がより高くなり、フコースを検出する被検試料中に含まれる夾雑物質の影響をより受け難くなる。すなわち、被検試料によっては前処理を行わずともフコースの検出が可能となる。
【0015】
また、本発明は、電極系に電圧を印加するステップと、上記電圧に応じて上記電極系に流れる電流値に基づいて被検試料のフコース濃度を測定するステップとを含む、フコース濃度測定方法であって、上記電極系は作用極及び対極を含み、上記作用極は、表面に、コプリノプシス・シネレア由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持しており、上記酵素は、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、方法を提供する。
【0016】
上記方法は、上記本発明の電極を作用極として使用し、フコース濃度を電気化学的に測定する方法であり、この方法によれば、溶液のフコース濃度を十分な感度で測定することができる。また電気化学的な方法であるため、短い測定時間及び容易な操作で、簡便にフコース濃度を測定することができる。さらに低コストで測定を行える。
【0017】
上記フコース濃度測定方法において、上記電圧が、-50~+150mV vs.標準水素電極(NHE)であることが好ましい。電極系に印加する電圧が上記範囲であることにより、フコースに対する測定感度がより高くなり、フコース濃度を測定する被検試料中に含まれる夾雑物質の影響をより受け難くなる。すなわち、被検試料によっては前処理を行わずともフコース濃度の測定が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電極を用いることにより、フコースを簡便に検出することができる。また、本発明の電極を用いることにより、電子メディエータを必要としない直接電子移動型のバイオセンサを構築することができ、フコース濃度の測定に際し複雑な反応系を必要とせず、簡便に測定を行うことができる。また、本発明のフコース検出方法によれば、簡便に被検試料中のフコースを検出することができ、本発明のフコース濃度測定方法によれば、被検試料のフコース濃度を簡便に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、各電位におけるアンペロメトリー測定の結果を示す図である。図1Aは+500mV vs.NHE、図1Bは+200V vs.NHE、図1Cは+100mVvs.NHEの電圧で印加したときの結果である。
【図2】図2は、実施例1~3の電極を用いたアンペロメトリー測定の結果を示す図である。図2Aは、L-フコースを添加したときの電流密度の変化を表す図であり、図2Bは、L-フコース濃度に対する電流密度をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(電極)
本発明の電極は、フコースを検出する電気化学測定用電極であって、その表面に、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有している、コプリノプシス・シネレア由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素を担持している電極である。なお、以下場合により、「コプリノプシス・シネレア由来のピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素」を「CcPDH」と称する。本発明の電極は、酵素触媒機能を備えた酵素電極である。酵素電極とは、電極が酵素反応の電子受容体または供与体として機能し、酵素の基質が電気化学的に酸化または還元され生成物となる。酵素電極で得られる電流は、酵素反応の速度で規定され、酵素の基質に対して特有の濃度依存性を示す。本発明においては、フコースが電極表面に担持されたCcPDHの触媒ドメインにより酸化され、フコースから電極にメディエータを介さず直接電子が移動する。

【0021】
本発明で用いられるピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素は、コプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)由来のものである。「ピロロキノリンキノン依存性」とは、触媒時にピロロキノリンキノンを補酵素として必要とすることを意味する。したがって、本発明の電極は、使用する際に触媒ドメイン中にピロロキノリンキノンを含むものである。

【0022】
CcPDHは、N末端のシトクロムbドメイン、C末端の糖質結合モジュールドメイン、酵素反応時にピロロキノリンキノンを補酵素として含む触媒ドメイン(PQQドメイン)の3つのドメインを含む酵素である。本発明の電極表面に担持される酵素は、この3つのドメインのうち、シトクロムbドメインを欠損させたものである。シトクロムbドメインは、電子伝達部位であり、酵素から電極への電子の授受には必要不可欠な部位と予想された。しかしながら、本発明においては、意外なことに、シトクロムbドメインを欠損させることにより、電子移動の際に電子伝達部位を介すことで生じる電位のロスがなくなり、被検試料中の夾雑物質よりも低電位で酵素から電流が電極に流れ、被検試料中の夾雑物質から流れる電流の影響を排除し、フコースを検出するために十分な感度を得ることができる。

【0023】
本発明の電極表面に担持される酵素は、シトクロムbドメインを欠損しており、かつ触媒ドメインを有してさえいれば、十分に本発明の効果を奏することができ、糖質結合モジュールドメインについては欠損していてもいなくてもよい。しかしながら、フコースに対する感度がより上がるため、糖質結合モジュールドメインも欠損していることが好ましい。

【0024】
シトクロムbドメインを欠損させる前のCcPDHとして、例えば、配列暗号1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質を挙げることができ、このタンパク質をコードする遺伝子として、配列番号2記載の核酸配列によって表される核酸を挙げることができる。配列番号1記載のアミノ酸配列のうち、1~221番のアミノ酸配列からなるタンパク質がシトクロムbドメインであり、222~631番のアミノ酸配列からなるタンパク質が触媒ドメインであり、632~708番のアミノ酸配列からなるタンパク質が糖質結合モジュールドメインである。なお、シトクロムbドメインである1~221番のアミノ酸配列のうち、特に電子伝達効果を奏する部位を欠損していれば、本発明の効果を奏することができるため、電極表面に担持される酵素が1~221番のアミノ酸配列からなるシトクロムbドメイン全てを欠損している必要はない。同様に、触媒ドメインである222~631番のアミノ酸配列のうち、基質結合及び触媒活性を奏する部位を有していれば、触媒効果を奏することができるため、電極表面に担持される酵素が222~631番のアミノ酸配列からなる触媒ドメイン全てを有している必要はない。

【0025】
例えば、配列番号3記載のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、フコース脱水素活性を有するタンパク質を、本発明の電極表面に担持される酵素とすることができる。配列番号3記載のアミノ酸配列は、配列番号1記載のアミノ酸配列のうち、シトクロムbドメインを欠損させたものである。同一性は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。配列番号3記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子として、配列番号4記載の核酸配列によって表される核酸を挙げることができる。

【0026】
また例えば、配列番号5記載のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、フコース脱水素活性を有するタンパク質を、本発明の電極表面に担持される酵素とすることができる。配列番号5記載のアミノ酸配列は、配列番号1記載のアミノ酸配列のうち、シトクロムbドメインと糖質結合モジュールドメインの両方を欠損させたものである。同一性は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。配列番号5記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子として、配列番号6記載の核酸配列によって表される核酸を挙げることができる。なお、本発明において「核酸」とは、DNA又はRNAのことをいう。

【0027】
上記シトクロムbドメイン又は糖質結合モジュールドメインを欠損させた酵素は、例えば、これらのドメインを欠損させた酵素の遺伝子を、当業者には公知の方法により、酵母及び大腸菌等の微生物に形質転換させ、該形質転換された微生物の菌体又は培地から、酵素活性を指標に精製し、得ることができる。具体的には、例えば、実施例に記載の方法により、上記特定のドメインを欠損させた酵素を作製することができる。

【0028】
本発明の電極は、上記シトクロムbドメインを欠損させたCcPDHを電極表面上に担持させる(固定化する)ことにより製造できる。

【0029】
電極の材料としては、例えば、金、白金、カーボン、銀等を用いることができるがこの中でも金、白金、カーボンが好ましい。これらの導電材料からなる電極に酵素を固定化させてもよいが、これらの導電材料からなるナノ粒子を、基礎となる電極表面上に吸着させたナノ粒子修飾電極であってもよい。このようなナノ粒子の材料としては、金、白金、カーボンが好ましい。ナノ粒子の平均粒子径を、5~100nmとすることが、電極の感度向上の観点から好ましい。ナノ粒子を電極表面上に吸着させるには、自己集合法、キャスト法、電荷を持ったポリマーを用いた積層法等が挙げられるが、この中でもキャスト法により吸着させることが好ましい。キャスト法は、ナノ粒子分散溶液を、基礎となる電極表面上に塗布して溶媒を揮発させ、ナノ粒子を吸着させる手法であるが、ナノ粒子分散溶液を塗布する回数が多いほど、電極表面上のナノ粒子数が増え、電極の感度が向上し、検出限界も小さくなるので好ましい。キャスト法によりナノ粒子を電極表面上に吸着させる場合、例えば、1回の塗布に際し、1×10-7mol/l~5×10-6mol/lの濃度のナノ粒子分散溶液を、電極表面の単位面積あたり5~250μL/cm塗布することができ、好ましくは3回以上、より好ましくは5回以上、さらに好ましくは15回以上塗布することができる。電極としては、回転ディスク電極を用いてもよいし、静止電極を用いてもよい。

【0030】
酵素を電極表面上に担持させる(固定化する)には、当業者には公知の方法を用いることができ、例えば、物理的に吸着させる方法、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被膜する方法、光架橋ポリマー又は酸化還元ポリマーを用いて固定化する方法が例示でき、これらを組み合わせて用いてもよい。具体的には、例えば、電極を2-メルカプトエタノールに浸漬して、電極表面上に2-メルカプトエタノールの自己組織化単分子膜を形成させ、この自己組織化単分子膜修飾電極を、酵素を含む緩衝液中に浸漬することで、酵素が2-メルカプトエタノールの水酸基に結合し、電極表面上に酵素を担持させることができる。この方法では、2-メルカプトエタノール以外の化合物でも、酵素と結合できる官能基を有する化合物からなる膜を電極表面上に形成させて、該官能基と酵素とを結合させることにより、酵素を電極表面上に担持させることが可能である。このような化合物としては、例えば、末端に水酸基を有する化合物が挙げられる。

【0031】
上記電極を使用するには、上記電極を作用極として含む電極系に一定の電圧を印加する。電圧を印加すると、電極系に電流が流れる。電流値が定常になった後、被検試料を加えて電流値の増加を測定する。被検試料中にフコースが含まれていれば、フコースが電極表面上の酵素により酸化され、酵素を通じて電極(作用極)に電流が流れ、電流値が増加する。したがって、電流値が増加すれば、被検試料中にフコースが含まれていると判断することができ、被検試料中のフコースを検出することができる。
(バイオセンサ)
本発明のバイオセンサは、フコース濃度測定用のバイオセンサであって、作用極として上記本発明の電極、すなわち、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有しているCcPDHを表面に担持する電極を備えるものである。

【0032】
本明細書において「バイオセンサ」とは、酵素の基質認識能と触媒能とを利用して、目的とする被検物質の濃度を電気化学的に測定する測定系のことをいう。本発明においては、作用極と対極とから構成される2電極系であってもよく、作用極、対極及び参照極とから構成される3電極系であってもよい。また、バイオセンサは、緩衝液及び被検試料を入れる恒温セル、作用極に電圧を印加する電源、電流計、記録計等を備えていてもよく、バッチ型であってもフロー型であってもよい。恒温セル、電源、電流計、記録計は、公知のものを使用することができる。

【0033】
本発明におけるバイオセンサは、作用極として上記本発明の電極を用いるが、対極として白金電極を、参照電極として銀-塩化銀電極を用いる構成を例示できる。

【0034】
上記バイオセンサを用いて、被検試料中に含まれるフコース濃度を測定するには、例えば、恒温セルに緩衝液を入れ、電極系に一定の電圧を印加して、電流値が定常になった後、恒温セルに被検試料を加えて電流値の増加を測定する。被検試料中にフコースが含まれていれば、フコースが上記本発明の電極上の酵素により酸化され、酵素を通じて電極(作用極)に電流が流れ、電流値が増加する。標準濃度のフコースを含有する溶液による電流値の増加を同様に測定し、作製した標準曲線に基づいて、被検試料中のフコースの濃度を求めることができる。
(フコース検出方法)
本発明のフコース検出方法は、電極系に電圧を印加するステップと、前記電圧に応じて前記電極系に流れる電流値に基づいて被検試料中のフコースを検出するステップとを含み、前記電極系は作用極及び対極を含み、前記作用極として上記本発明の電極、すなわち、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有しているCcPDHを表面に担持する電極を用いるものである。

【0035】
上記方法において、電極系は作用極と対極とから構成される2電極系であってもよく、作用極、対極及び参照極とから構成される3電極系であってもよい。上記方法においては、作用極として上記本発明の電極を用いるが、対極として白金電極を、参照電極として銀-塩化銀電極を用いる構成を例示できる。また、上記方法において、電極系のほかに、緩衝液、緩衝液及び被検試料を入れる恒温セル、作用極に電圧を印加する電源、電流計、記録計等を用いてもよい。

【0036】
上記方法においては、例えば、恒温セルに緩衝液を入れ、電極系に一定の電圧を印加する。電圧を印加すると、電極系に電流が流れる。電流値が定常になった後、恒温セルに被検試料を加えて電流値の増加を測定する。被検試料中にフコースが含まれていれば、フコースが電極表面上の酵素により酸化され、酵素を通じて電極(作用極)に電流が流れ、電流値が増加する。したがって、電流値が増加すれば、被検試料中にフコースが含まれていると判断することができ、被検試料中のフコースを検出することができる。

【0037】
上記方法においては、印加する電圧が、-50~+150mV vs.標準水素電極(NHE)であることが好ましく、0~+120mV vs.NHEであることがより好ましく、+100~+120mV vs.NHEであることがさらに好ましい。電圧が上記範囲であることにより、夾雑物質から流れる電流の影響をより受け難くなる。したがって被検試料が夾雑物質を含む場合でも、前処理をせずに測定することができる。これは特に夾雑物質がアスコルビン酸、ドーパミン又は尿酸を含む場合に有効であり、この中でも夾雑物質がアスコルビン酸を含む場合に特に有効である。このような夾雑物質を含む被検試料としては、例えば、ヒトを含む動物の体液又は組織、植物体又は植物体の抽出液が挙げられる。

【0038】
上記方法においては、20~30℃の温度で測定を行うことが好ましい。また緩衝液としては、当業者には公知のものを使用することができるが、例えば酢酸緩衝液、MES緩衝液等を用いることができ、緩衝液の温度を20~30℃とし、濃度を50~100mMとし、pHを5.5~6.5とすることが好ましい。
(フコース濃度測定方法)
本発明のフコース濃度測定方法は、電極系に電圧を印加するステップと、前記電圧に応じて前記電極系に流れる電流値に基づいて被検試料のフコース濃度を測定するステップとを含み、前記電極系は作用極及び対極を含み、前記作用極として上記本発明の電極、すなわち、シトクロムbドメインを欠損し、触媒ドメインを有しているCcPDHを表面に担持する電極を用いるものである。

【0039】
上記フコース濃度測定方法において、フコース検出方法同様、電極系は作用極と対極とから構成される2電極系であってもよく、作用極、対極及び参照極とから構成される3電極系であってもよい。また、作用極として上記本発明の電極を用いるが、対極として白金電極を、参照電極として銀-塩化銀電極を用いる構成を例示できる。また、電極系のほかに、緩衝液、緩衝液及び被検試料を入れる恒温セル、作用極に電圧を印加する電源、電流計、記録計等を用いてもよい。

【0040】
上記フコース濃度測定方法においては、例えば、恒温セルに緩衝液を入れ、電極系に一定の電圧を印加する。電圧を印加すると、電極系に電流が流れる。電流値が定常になった後、恒温セルに被検試料を加えて電流値の増加を測定する。被検試料中にフコースが含まれていれば、フコースが電極表面上の酵素により酸化され、酵素を通じて電極(作用極)に電流が流れ、電流値が増加する。標準濃度のフコースを含有する溶液による電流値の増加を同様に測定し、作製した標準曲線に基づいて被検試料中のフコースの濃度を求めることができる。

【0041】
上記方法においては、印加する電圧が、-50~+150mV vs.標準水素電極(NHE)であることが好ましく0~+120mV vs.NHEであることがより好ましく、+100~+120mV vs.NHEであることがさらに好ましい。電圧が上記範囲であることにより、夾雑物質から流れる電流の影響をより受け難くなる。したがって被検試料が夾雑物質を含む場合でも、前処理をせずに測定することができる。これは特に夾雑物質がアスコルビン酸、ドーパミン又は尿酸を含む場合に有効であり、この中でも夾雑物質がアスコルビン酸を含む場合に特に有効である。このような夾雑物質を含む被検試料としては、例えば、ヒトを含む動物の体液又は組織、植物体又は植物体の抽出液が挙げられる。
(被検試料)
本発明においてフコースを検出またはフコース濃度を測定できる被検試料としては、固体でも液体でもよく、固体であれば緩衝液に溶解させて測定することが好ましい。被検試料としては特に限定されず、ヒトを含む動物の体液又は組織、植物体又は植物体の抽出液が挙げられる。例えば、癌等の疾病の診断に必要なデータ採取のためには、ヒトを含む動物の体液が被検試料として挙げられ、体液として血液、リンパ液、組織液、腹水、脳脊髄液、消化液、唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液、羊水、乳汁等が挙げられる。この中でも血液及び尿が、採取が容易であり、測定において前処理をせずとも夾雑物質の影響を受け難いことから好ましく、特に尿はアスコルビン酸、ドーパミン又は尿酸等の夾雑物質を含むことから前述した電圧の効果が最も高く奏される。

【0042】
なお、本発明によれば、動植物に存在するのは主にL体であるため、検出するフコースは通常L-フコースである。

【0043】
フコースの検出または濃度測定のために、被検試料の前処理をおこなってもよい。前処理の方法としては、例えば、破砕、抽出、濾過、濃縮、希釈、pH調整、透析、脱塩、塩析、分画、タンパク質沈殿等、測定する物質の性質に応じて、様々な方法を行うことができる。本発明の電極は、特にフコースが100μM~1.0mMの範囲で良好な測定感度を有するため、被検試料の濃度がこの範囲に入るように被検試料を適宜希釈又は濃縮することが好ましい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(シトクロムbドメイン欠損酵素の生産及び精製)
まず、発現ベクターを作製した。ピキア属(Pichia)発現ベクターpPICZα(Invitrogen社製、カリフォルニア州カールスバッド)のEcoRI部位及びNotI部位へのライゲーションのために、2つの異なるオリゴヌクレオチドプライマーを酵素タンパク質のヌクレオチド配列に基づいて設計した:5’プライマー(5’-TTGAATTCCAAGGCTCTCCCACTCAGTG-3’:配列番号7)及び3’プライマー(5’-TTGCGGCCGCTATGCAGGAACACACTGAGAGTACC-3’:配列番号8)。合成した第1鎖cDNAを鋳型として、プライマーペアとDNAポリメラーゼ(KOD-Plus-Ver.2、東洋紡社製、日本、大阪)を用いてPCRを行った。PCR産物を、pGEM(登録商標)-T Easy Vector(Promega社製、ウィスコンシン州マディソン)にサブクローニングした。続いてDNAシーケンサー(3130Genetic Analyzer、Applied Biosystem社製、カリフォルニア州フォスターシティ)を用いて塩基配列決定を行った。標的遺伝子をEcoRI部位及びNotI部位で切断し、pPICZαベクターの対応する制限部位に組み込んだ。組み込まれたcDNAのヌクレオチド配列を配列分析により確認した。ピキア酵母(Pichia pastoris)への形質転換の前に、pPICZα内のDNAコンストラクト約10μgを、Bpu1102I(タカラ社、日本)を用いて線状化した。エレクトロポレーション、形質転換体の選択、及び、組換えタンパク質の生産を、キット(EasySelect Pichia expression kit version G、Invitrogen社)を用いて、説明書に従って行った。完全長遺伝子を含むpPICZαを鋳型として用いたPCRによる酵素タンパク質の、シトクロムbドメイン及び糖質結合モジュールドメインのコード領域を削除することにより、酵素タンパク質の触媒ドメインを作製した。シトクロムbドメイン(N-末端から221アミノ酸)を切り捨てるために用いた2つのオリゴヌクレオチドプライマーは、5’-CGAGAAAAGAACCTTCGTCTCTTGC-3’(5’プライマー、配列番号9)及び5’-GCAAGAGACGGAAGGTTCTTTTCTCG-3’(3’プライマー、配列番号10)である。これらのプライマーは、pPICZαベクターのαファクターシグナル配列を、組換えタンパク質遺伝子の上流に含み、酵素タンパク質の遺伝子はT222残基以降のアミノ酸をコードする。糖質結合モジュールドメインを切り捨てるために停止コドンが以下のプライマーを用いて挿入された:5’-CATCATCAAGCGCTAGTCCGGCCCTATTGTTCAGC-3’(5’プライマー、配列番号11)及び5’-GCTGAACAATAGGGCCGGACTAGCGCTTGATGATG-3’(3’プライマー、配列番号12)。下線がされたコドンは、停止コドンを導入し、糖質結合モジュールドメインを含むC末端の77個のアミノ酸の翻訳を防ぐためのミスマッチを表している。DNA解析により変異を確認し、組換えプラスミドをピキア酵母に形質転換し、続いてタンパク質発現を行った。
【実施例】
【0045】
培養物を遠心(30分、1500×g)し、セルフリー培養物から硫酸アンモニウム(70%飽和水溶液)を用いて組換えタンパク質を含む粗タンパク質を沈殿させた。沈殿物を、1M硫酸アンモニウムを含む20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)に溶解した。20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)へのリニアリバースグラジエントで組換えタンパク質を溶出した。組換えタンパク質を含む画分を回収し、20mM Tris-HClバッファー(pH8.5)に対して平衡化した。同バッファーのリニアグラジエント溶出により酵素をカラムから溶出した(0~500mM NaCl)。1M硫酸アンモニウムを含む20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)で平衡化したPhenyl-Toyopearl 650S(カラム体積;75mL)に供した。組換えタンパク質を、20mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)の直線勾配で溶出した。目的タンパク質の画分を集めた後、酢酸緩衝液20mM(pH4.5)に置換した。組換えタンパク質の脱グリコシル化をエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(Endo-H)を用いて行った。この脱グリコシル化反応後の溶液を同緩衝液で置換したUNOS6カラム(カラム体積;6mL、Bio-Rad、Hercules、CA)に供し、0-400mM NaClの直線勾配により溶出し、組換えタンパク質を含む画分を集めた。12%ポリアクリルアミドゲル上へのSDS-PAGEにより純度を確認し、組換えタンパク質の濃度を波長280nmのUV吸光度により、吸光係数72.4mM-1cm-1を用いて決定した。
(実施例1)
(酵素電極の作製と電気化学測定)
クエン酸還元法により合成した金ナノ粒子(AuNP)溶液(平均粒子径14nm)を回転ディスク多結晶金電極上に塗布、風乾し、溶媒を揮発させた(キャスト法)。この塗布、風乾を3回繰り返し、AuNP修飾電極を作製した。これらの電極を20mMの2-メルカプトエタノールに1時間浸漬し、電極表面上に2-メルカプトエタノールによる自己組織化単分子膜を形成させ、自己組織化単分子膜修飾電極を作製した。上で作製したシトクロムbドメイン欠損酵素1.0μMを含む酢酸緩衝液20mM(pH6.0)中に自己組織化単分子膜修飾電極を浸漬することで酵素を固定し、酵素電極を作製した。
(酵素電極を用いたL-フコースの検出)
作製した酵素電極のL-フコースへの応答性を評価するため、酵素電極を作用極とし、対極として白金線、参照極として銀-塩化銀電極を用い、電極の回転速度を500rpmに設定して100mM酢酸緩衝液(pH6.0)中でアンペロメトリー測定を行い、L-フコース測定用バイオセンサとしての評価を行った。また、尿中夾雑物質であるアスコルビン酸(AA)、ドーパミン(DA)、尿酸(UA)の影響を検討するため、印加電圧を+500mV vs.標準水素電極(NHE)、+200mV vs.NHE、または+100mV vs.NHEとした。測定する物質の濃度をそれぞれ、L-フコース0.1mM、アスコルビン酸0.19mM、ドーパミン0.0046mM、尿酸1.9mMとした。その結果、どの電位を印加してもL-フコースの酸化触媒電流が観測され、上記酵素電極によりL-フコースの検出が可能であった(図1A~C)。しかしながら、+500mV vs.NHE(図1A)、+200mV vs.NHE(図1B)の電位を印加したときは尿中夾雑物質の酸化反応に由来する電流も観測された。一方で、+100mV vs.NHE(図1C)の電位を印加したときは尿中夾雑物質の酸化反応に由来する電流は観測されなかった。すなわち、作動電位を+100mV vs.NHEに設定すると、尿中夾雑物質の影響を排除しつつ、L-フコースの検出が可能であった。
(酵素電極を用いたL-フコースの濃度測定)
印加電圧を+100mV vs.NHEとし、作製した酵素電極のL-フコースへの応答性の検討を行ったところ、L-フコースに対して迅速に応答し、電流密度はL-フコースの添加に伴い階段状に増大した(図2A(実施例1))。L-フコースの酸化電流密度を測定し、L-フコース濃度に対してプロットしたところ、0.1mM~1.0mMの範囲において良好な直線性(決定係数r=0.9992)を示した(図2B(実施例1))。センサ感度は0.91±0.02mA・M-1cm-2、検出限界は5.52μMであった(表1)。
(実施例2及び3)
AuNP溶液の塗布、風乾を5回(実施例2)又は15回(実施例3)繰り返してAuNP修飾電極を作製した以外は、実施例1と同様の方法で酵素電極を作製し、印加電圧を+100mV vs.NHEとして、アンペロメトリー測定を行った。その結果、0.1mM~1.0mMの範囲において良好な直線性(r=0.9983(実施例2)、r=0.9996(実施例3))を示した(図2B)。センサ感度は2.38±0.09mA・M-1cm-2(実施例2)、3.12±0.05mA・M-1cm-2(実施例3)、検出限界は4.06μM(実施例2)、0.61μM(実施例3)であり、AuNP溶液の塗布回数が多いほど、センサ感度及び検出限界ともに向上した(表1)。実施例1~3のいずれの結果も、L-フコースバイオセンサとして十分使用可能な値であった。
【実施例】
【0046】
【表1】
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【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の電極、バイオセンサ、フコース検出方法、フコース濃度測定方法によれば、簡便に感度よくフコースを検出し、濃度を測定することが可能である。したがって、ヒトの体液を被検試料として、癌等の疾患の診断に用いるデータ採集を簡単に行うことが可能となる。
図面
【図1】
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【図2】
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