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明細書 :血管新生阻害剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6562416号 (P6562416)
公開番号 特開2017-081851 (P2017-081851A)
登録日 令和元年8月2日(2019.8.2)
発行日 令和元年8月21日(2019.8.21)
公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 血管新生阻害剤
国際特許分類 A61K  38/02        (2006.01)
A61K  38/01        (2006.01)
A61K  35/60        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  27/02        (2006.01)
A61P  27/06        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  17/06        (2006.01)
A61P   1/02        (2006.01)
FI A61K 38/02
A61K 38/01
A61K 35/60
A61P 43/00 105
A61P 35/00
A61P 27/02
A61P 27/06
A61P 29/00
A61P 29/00 101
A61P 17/06
A61P 1/02
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2015-212047 (P2015-212047)
出願日 平成27年10月28日(2015.10.28)
審査請求日 平成30年9月18日(2018.9.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
発明者または考案者 【氏名】小林 孝
【氏名】柿崎 育子
【氏名】野坂 大喜
【氏名】中村 敏也
個別代理人の代理人 【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
審査官 【審査官】渡邉 潤也
参考文献・文献 特開2008-247803(JP,A)
特開2007-131548(JP,A)
特開2010-126461(JP,A)
特開2015-182960(JP,A)
国際公開第2014/017570(WO,A1)
有機合成化学協会誌,2003年,61(3),p.246-248
Biochem Biophys Res Commun.,2006年,351,p.1005-1010
BioMed Research International,2014年,2014,Article ID 406453,p.1-9
調査した分野 A61K 38/00
A61K 35/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンおよび/またはその酵素分解産物を有効成分とする血管新生阻害剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、天然由来の物質を有効成分とする血管新生阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
固形腫瘍、糖尿病性網膜症や緑内障や黄斑変性症をはじめとする眼科疾患、炎症、慢性関節リウマチ、尋常性乾癬、歯周病などの発症や進展に、血管新生が関与していることが知られている。従って、こうした疾患を予防や治療するための薬剤として、血管新生阻害剤の研究開発が古くから盛んに行われている中(例えば特許文献1)、近年、安全性が高い天然由来の物質を有効成分とする血管新生阻害剤が望まれている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第3135616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、天然由来の物質を有効成分とする血管新生阻害剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンやその酵素分解産物が、優れた血管新生阻害作用を持つことを見出した。
【0006】
上記の知見に基づいてなされた本発明の血管新生阻害剤は、請求項1記載の通り、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンおよび/またはその酵素分解産物を有効成分とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、天然由来の物質としてサケ軟骨に含まれるプロテオグリカンやその酵素分解産物を有効成分とする血管新生阻害剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1における、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンがヒト血管内皮細胞の管腔形成に対して優れた阻害作用を持つことを示す写真である。
【図2】同、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンのヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する阻害作用が濃度依存的であることを示すグラフである。
【図3】比較例1における、ヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する阻害作用はサメ軟骨に由来するコンドロイチン硫酸よりもサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの方が優れていることを示すグラフである。
【図4】実施例2における、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンのヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する阻害作用は熱処理によって低下しないことを示すグラフである。
【図5】実施例3における、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンがヒト血管内皮細胞の生育に影響を及ぼさないことを示すグラフである。
【図6】実施例4における、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンがマトリックスメタロプロテアーゼ遺伝子の発現を低下させる作用を持つことを示すグラフである。
【図7】実施例5における、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを酵素分解することでヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する阻害作用が高まることを示すグラフである。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の血管新生阻害剤は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンやその酵素分解産物を有効成分とするものである。プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸とともに動物の軟骨を構成する主成分であり、保水性に優れるといった作用を持つことが古くから知られている。また、本発明者らの研究グループは、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンが、細胞増殖促進作用やヒアルロン酸合成促進作用を持つことを見出している(特許第5194253号公報)。しかしながら、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンやその酵素分解産物が持つ薬理作用の全容は未だ明らかにされていない。
【0010】
本発明の血管新生阻害剤の有効成分としてのサケ軟骨に含まれるプロテオグリカンは、例えば、サケの鼻軟骨から分離精製されるものであってよい。サケの鼻軟骨からプロテオグリカンを分離精製する方法は特段限定されるものではなく、例えば、特許第3731150号公報に記載の方法に従い、ミンチにしたサケの鼻軟骨から溶出溶媒として酢酸を用いて粗プロテオグリカンを溶出した後、得られる溶出液を濾過してから遠心分離し、その上澄液に食塩飽和エタノールを加えて遠心分離することにより得られる粗プロテオグリカンを含む半固形沈殿物を酢酸に溶解し、次いで透析することにより分離精製することで調製されるものであってよい。このようにして調製されるサケの鼻軟骨に由来するプロテオグリカンは、約250~450kDaの分子量を有する高度に精製されたものであり、本発明の血管新生阻害剤の有効成分として好適である。なお、特許第3731150号公報に記載の方法に従って調製されるサケの鼻軟骨に由来するプロテオグリカンは、凍結乾燥粉末として既に市販もされている。また、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンは、特許第5252623号公報に記載の方法に従い、凍結させたサケの鼻軟骨を破砕し、これに水を加え、温度0~20℃、pH4.8~7で処理する工程、得られた固液混合物を遠心分離し、最上部の脂質層と中間層の水層を取り除き、沈殿物を回収する工程、得られた沈殿物を乾燥し、微粉末化する工程、得られた乾燥微粉末に、溶媒としてエタノールを加え、残存脂質を抽出除去する工程、最後にエタノールを除去する工程によって調製されるものでもよい。
【0011】
また、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの酵素分解産物としては、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの、糖鎖分解酵素やタンパク質分解酵素による分解産物が挙げられる。ここで、糖鎖分解酵素としては、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、精巣性ヒアルロニダーゼなどの、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンが有するグリコサミノグリカンを分解することができる公知の酵素が挙げられる。また、タンパク質分解酵素としては、アクチナーゼE、プロティナーゼK、トリプシン、パパインなどの、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンが有するコアタンパク質を分解することができる公知の酵素が挙げられる。こうした酵素を用いたサケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの分解は、用いる酵素について知られている至適条件下において行えばよい。得られる酵素分解産物は、精製してもよいし、精製しなくてもよい(例えば糖鎖分解産物にコアタンパク質が含まれていたり、タンパク質分解産物にグリコサミノグリカンが含まれていたりする分解物の混合物であってもよい)。
【0012】
後述する実施例から明らかなように、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンやその酵素分解産物は、サメ軟骨に由来するコンドロイチン硫酸よりも優れた血管新生阻害作用を持つ。その作用は熱処理をしても低下することがなく、血管内皮細胞の生育に影響を与えない。また、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを酵素分解すると血管新生阻害作用が高まる。従って、本発明の血管新生阻害剤は、固形腫瘍、糖尿病性網膜症や緑内障や黄斑変性症をはじめとする眼科疾患、炎症、慢性関節リウマチ、尋常性乾癬、歯周病などの予防や治療に用いることができる。
【0013】
投与対象者への本発明の血管新生阻害剤の投与は、経口投与や非経口投与により行うことができる。投与に際してはそれぞれの投与方法に適した剤型に製剤化すればよい。製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、丸剤、トローチ剤、舌下錠、坐剤、軟膏、乳剤、懸濁剤、シロップ、点眼剤、眼軟膏などが挙げられ、これら製剤の調製は、無毒性の賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、防腐剤、等張化剤、安定化剤、分散剤、酸化防止剤、着色剤、矯味剤、緩衝剤などの添加剤を使用して自体公知の方法にて行うことができる。無毒性の添加剤としては、例えば、でんぷん、ゼラチン、ブドウ糖、乳糖、果糖、マルトース、炭酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ペトロラタム、グリセリン、エタノール、シロップ、塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸、ポリビニルピロリドン、水などが挙げられる。製剤中における有効成分の含有量は、その剤型に応じて異なるが、一般に0.01~100重量%の濃度であることが望ましい。製剤の投与量は、投与対象者の性別や年齢や体重の他、症状の軽重、医師の診断などにより広範に調整することができるが、一般に1日当り0.01~300mg/Kgとすることができる。上記の投与量は、1日1回または数回に分けて投与すればよい。また、本発明の血管新生阻害剤は、種々の形態の食品(サプリメントを含む)として食することもできる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。なお、実験は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンとして、特許第3731150号公報に記載の方法に従ってサケの鼻軟骨から分離精製されたプロテオグリカンの凍結乾燥粉末(分子量344kDa、ヘキソサミン:ウロン酸:硫酸=1.00:0.99:0.67、和光純薬株式会社、以下「サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン」と略称する)を用いて行った。
【0015】
実施例1:サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの血管新生モデルであるヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する作用
(実験方法)
不死化ヒト臍帯静脈内皮細胞株(EA.hy926)を、基底膜成分(BME)(Trevigen Inc.MD,USA)で作られたゲル上で培養することにより、管腔形成を誘導した。具体的には、0.05mLのBMEを96穴プレートの各ウェルに入れ、37℃で30分間保持してゲル化させた後、0.1mLの199培地に約5,000細胞数のEA.hy926を懸濁した液を、各ウェルのゲル上に重層した。この際、199培地に、水に溶解したサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で0から1mg/mLの各種の濃度になるように添加した。37℃で16~24時間培養した後、位相差顕微鏡にてゲル上に形成された血管様の管状網の写真を撮影し、画像分析プログラムImageJ(NIH,USA)とAngiogenesis-Analyzer plug-in(Gilles Carpentier.ImageJ contribution:Angiogenesis Analyzer.ImageJ News,5 October 2012.)を用いて管様構造の総数と総延長を測定した。
【0016】
(実験結果)
図1のAにサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを添加しない場合の血管様の管状網の写真を示し、Bにサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した場合の写真を示す。また、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で0から1mg/mLの各種の濃度になるように添加した場合の管様構造の総数と総延長の測定結果を図2のAとBにそれぞれ示す(被験物質を添加しない場合の測定結果を100%とした相対値)。図1から明らかなように、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンは、血管様の管状網の形成を効果的に阻害した。また、図2から明らかなように、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンのヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する阻害作用は濃度依存的であり、ウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した場合、血管新生を約70%阻害した。
【0017】
比較例1:サメ軟骨に由来するコンドロイチン硫酸のヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する作用
(実験方法)
サメ軟骨に由来するコンドロイチン硫酸(コンドロイチン硫酸C:生化学工業 Cat.No.400675)について、実施例1と同様にして血管新生阻害作用を調べた。
【0018】
(実験結果)
図3の右にサメ軟骨に由来するコンドロイチン硫酸をウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した場合の管様構造の総数と総延長の測定結果を示す(「コンドロイチン硫酸」のカラム)。また、図3の中央にサケ鼻軟骨プロテオグリカンをウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した場合の管様構造の総数と総延長の測定結果を示す(「プロテオグリカン」のカラム)。図3から明らかなように、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンは血管新生を約70%阻害したが、サメ軟骨に由来するコンドロイチン硫酸は血管新生を約35%しか阻害しなかった(被験物質を添加しない場合の測定結果を100%(左の「未処理」のカラム)とした相対値)。
【0019】
実施例2:熱処理したサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンのヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する作用
水に溶解して5分間煮沸したサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンについて、実施例1と同様にして血管新生阻害作用を調べたところ、熱処理による作用の低下は認められず、熱処理していないサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンと同程度の作用を持っていた(図4)。
【0020】
実施例3:サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンのヒト血管内皮細胞に対する安全性
(実験方法)
96穴プレートの各ウェルにて、約5,000細胞数のEA.hy926を、10%のウシ胎児血清(FBS)を含む199培地で、37℃で24時間培養した。培地を各ウェルより除去した後、水に溶解したサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で0から1mg/mLの各種の濃度になるように添加した199培地を各ウェルに入れ、さらに37℃で24時間培養した。その後、各ウェルに0.01mLのCell counting reagent SF(ナカライ)を加え、さらに37℃で1時間培養し、マイクロプレートリーダーにて450nmの吸光度を測定した。
【0021】
(実験結果)
図5にサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で0から1mg/mLの各種の濃度になるように添加した場合の細胞生存率を示す(被験物質を添加しない場合の細胞生存率を100%とした相対値)。図5から明らかなように、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加してヒト血管内皮細胞を培養しても、その生育に影響を与えることはなかった。
【0022】
実施例4:サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンのマトリックスメタロプロテアーゼ遺伝子の発現に対する作用
(実験方法)
12穴プレートの各ウェルにて、約760,000細胞数のEA.hy926を、10%のウシ胎児血清(FBS)を含む199培地で、37℃で24時間培養した。培地を各ウェルより除去した後、水に溶解したサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した、0.5%のFBSと0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を含む199培地を各ウェルに入れ、さらに37℃で24時間培養した。その後、細胞から全RNAをRNeasy mini kit(QIAGEN)を用いて抽出した。全RNAからHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits(Applied Biosystems)を用いてcDNAを合成し、このcDNAを鋳型としてFastStart Universal Probe Master(Roche)とTaqMan probe(Applied Biosystems)を用い、StepOne plusシステムによってリアルタイムPCRを行い、GAPDH遺伝子を内部標準遺伝子として各種のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)遺伝子の発現量を推定した。なお、実験に用いたTaqMan probeのIDは次の通りである。
MMP-1 :Hs00899658_m1
MMP-2 :Hs01548727_m1
MMP-3 :Hs00968305_m1
MMP-7 :Hs01042796_m1
MMP-9 :Hs00957555_m1
MMP-14:Hs01037009_g1
GAPDH :Hs02758991_g1
【0023】
(実験結果)
図6にMMP-1、MMP-2、MMP-14のmRNAの発現量を示す(被験物質を添加しない場合の発現量を1とした相対値)。図6から明らかなように、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンは、MMP-1、MMP-2、MMP-14のmRNAの発現量を20~25%低下させた。なお、MMP-3、MMP-7、MMP-9のmRNAの発現量は微量であり、解析が困難であった。
【0024】
実施例5:サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンの酵素分解産物のヒト血管内皮細胞の管腔形成に対する作用
(実験方法)
0.3mgのサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを、タンパク質分解酵素であるアクチナーゼE(1mg/mLアクチナーゼE(科研製薬)、100mM Tris-HCl,pH8.0、10mM CaCl)を用いて37℃で18時間処理し、コアタンパク質を分解した後、5分間煮沸することにより酵素反応を停止することで、タンパク質分解産物を得た。また、0.3mgのサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを、糖鎖分解酵素であるコンドロイチナーゼABC(300mUコンドロイチナーゼABC(Sigma-Aldrich)、50mM Tris-HCl,pH8.0、60mM CHCOONa、0.02%BSA)を用いて37℃で48時処理し、グリコサミノグリカンを分解した後、5分間煮沸することにより酵素反応を停止することで、糖鎖分解産物を得た。また、0.3mgのサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを、コンドロイチナーゼABCを用いて37℃で48時処理し、グリコサミノグリカンを分解した後、5分間煮沸することにより酵素反応を停止してから、引き続きアクチナーゼEを用いて37℃で18時間処理し、コアタンパク質を分解した後、5分間煮沸することにより酵素反応を停止することで、糖鎖・タンパク質分解産物を得た。それぞれの分解産物について、実施例1と同様にして血管新生阻害作用を調べた。
【0025】
(実験結果)
それぞれの分解産物をサケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した場合に相当する濃度で添加した場合の管様構造の総数と総延長の測定結果と、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンをウロン酸換算で1mg/mLの濃度になるように添加した場合の管様構造の総数と総延長の測定結果を、図7にそれぞれ示す(被験物質を添加しない場合の測定結果を100%とした相対値)。図7から明らかなように、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを酵素分解することで、血管新生阻害作用を高めることができることがわかった(酵素反応を停止するための熱処理によって作用は低下しない)。血管新生阻害作用の上昇の程度は、タンパク質分解産物よりも糖鎖分解産物の方が大きかった。糖鎖・タンパク質分解産物の血管新生阻害作用は、糖鎖分解産物の血管新生阻害作用と同程度であった。
【0026】
製剤例1:錠剤
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン、乳糖、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウムの各成分をよく混合してから打錠することで製造した。
【0027】
製剤例2:カプセル剤
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン、乳糖、でんぷん、ステアリン酸マグネシウムの各成分をよく混合してからカプセルに充填することで製造した。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、天然由来の物質としてサケ軟骨に含まれるプロテオグリカンやその酵素分解産物を有効成分とする血管新生阻害剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6