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明細書 :洗浄装置および洗浄方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6443992号 (P6443992)
登録日 平成30年12月7日(2018.12.7)
発行日 平成30年12月26日(2018.12.26)
発明の名称または考案の名称 洗浄装置および洗浄方法
国際特許分類 H01L  21/027       (2006.01)
B08B   3/02        (2006.01)
H01L  21/304       (2006.01)
B08B   3/08        (2006.01)
FI H01L 21/30 572B
B08B 3/02 A
H01L 21/304 647Z
H01L 21/304 642F
H01L 21/304 642A
B08B 3/08 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 18
出願番号 特願2015-534251 (P2015-534251)
出願日 平成26年8月27日(2014.8.27)
国際出願番号 PCT/JP2014/072383
国際公開番号 WO2015/030035
国際公開日 平成27年3月5日(2015.3.5)
優先権出願番号 2013177309
優先日 平成25年8月28日(2013.8.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年8月24日(2017.8.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】513218271
【氏名又は名称】合同会社アプテックス
発明者または考案者 【氏名】阿部 豊
【氏名】池 昌俊
個別代理人の代理人 【識別番号】100089118、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 宏明
審査官 【審査官】植木 隆和
参考文献・文献 特開2008-212788(JP,A)
特開2013-136024(JP,A)
特開2012-243950(JP,A)
特開2013-115357(JP,A)
特開2008-311256(JP,A)
調査した分野 H01L 21/027
B08B 3/02
H01L 21/304
特許請求の範囲 【請求項1】
水と反応性ガスであるオゾン含有ガスとが混合された気液混合体が導入される導入部と、
前記導入部の内部断面積よりも小さい内部断面積を有し、前記気液混合体が圧縮されて流速が高められる喉部と、
前記喉部から前記気液混合体の進行方向に向かって内部断面積が拡大する形状を有し、前記気液混合体に含まれる前記反応性ガスの気泡が崩壊してマイクロバブルが発生する拡大部と、
を有するベンチュリ管と、
前記気液混合体を噴出するための噴出口が設けられた噴射部を有する洗浄用治具と、
を備え、
前記噴射部は盤状に形成された盤状部であり、前記盤状部を前記洗浄対象の表面に近接させて、前記ベンチュリ管から噴出された前記マイクロバブルを含む気液混合体を前記噴出口から洗浄対象に噴射して前記洗浄対象を洗浄することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記気液混合体に含まれるオゾンガスの濃度が10ppm以上、50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄対象は平面状基板または前記洗浄用治具にて洗浄可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記平面状基板の表面に残留する油脂または形成されたフォトレジストもしくは形成された保護膜を前記洗浄により除去することを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記ベンチュリ管を複数備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記盤状部は、環状の外周部と、前記外周部に囲まれるように該外周部の内周側に位置し、該外周部に対して前記洗浄対象に対向する表面中央部が窪み、かつその窪みが該窪みの中央側から連続的に浅くなって前記外周部の内縁に繋がるように形成された内周部とを備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記内周部の外縁は、前記洗浄対象に対向する表面が前記外周部と前記内周部とで平坦である場合に前記盤状部と前記洗浄対象の表面との間に満たされた前記気液混合に渦流が発生する領域よりも内側に位置することを特徴とする請求項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
水と反応性ガスであるオゾン含有ガスとが混合された気液混合体をベンチュリ管に導入し、
前記ベンチュリ管の喉部にて前記気液混合体を圧縮して流速を高め、
前記ベンチュリ管の喉部から前記気液混合体の進行方向に向かって内部断面積が拡大する形状を有する拡大部にて、前記気液混合体に含まれる前記反応性ガスの気泡を崩壊させてマイクロバブルを発生し、
盤状に形成された盤状部を洗浄対象の表面に近接させて、前記ベンチュリ管から前記盤状部に設けられた噴射口を介して、前記マイクロバブルを含む気液混合体を前記洗浄対象に噴射して前記洗浄対象を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置および洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機械部品に付着した切削油などの機械油を除去するために、フロンガス、揮発性有機化合物、酸アルカリ洗浄剤などの洗浄剤が使用されている。一方、半導体製造工程におけるフォトリソグラフィ工程において半導体基板表面に形成されるフォトレジスト(以下レジストとする)を除去するために、熱濃硫酸などの洗浄剤が使用されている。しかしながら、これらの洗浄剤は環境負荷が大きく、かつ廃液の処理コストも高いという問題がある。これに対して、洗浄剤を使用しない、いわゆるノンケミカル洗浄技術の要求が高まっている。
【0003】
ノンケミカル洗浄技術の一つとして、特許文献1,2では、オゾン水と紫外線とを用いて、半導体基板表面に付着したレジストを除去する装置および方法が開示されている。また、非特許文献1では、オゾンガスを水に加圧溶解したオゾン水を用いて、半導体基板表面に付着したレジストを除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-311256号公報
【特許文献2】特開2008-311257号公報
【0005】

【非特許文献1】M.Takahashi et al.,”Effect of Microbubbles on Ozonized Water for Photoresist Removal”, J. Phys. Chem. C, 2012, 116 (23), 12578-12583.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオゾン水を用いた洗浄方法では、高濃度のオゾン水(たとえば、水に対するオゾン濃度が80ppm以上)を用いている。しかしながら、オゾン水を用いる場合にもオゾンの発生や洗浄処理後のオゾン水の処理にコストが掛るため、オゾンの使用量に対して洗浄力が高い洗浄技術が望まれている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オゾンの使用量に対して洗浄力が高い洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る洗浄装置は、水と反応性ガスであるオゾン含有ガスとが混合された気液混合体が導入される導入部と、前記導入部の内部断面積よりも小さい内部断面積を有し、前記気液混合体が圧縮されて流速が高められる喉部と、前記喉部から前記気液混合体の進行方向に向かって内部断面積が拡大する形状を有し、前記気液混合体に含まれる前記反応性ガスの気泡が崩壊してマイクロバブルが発生する拡大部と、を有するベンチュリ管と、前記気液混合体を噴出するための噴出口が設けられた噴射部を有する洗浄用治具と、を備え、前記ベンチュリ管から噴出された前記マイクロバブルを含む気液混合体を前記噴出口から洗浄対象に噴射して前記洗浄対象を洗浄することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記気液混合体に含まれるオゾンガスの濃度が10ppm以上、50ppm以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記洗浄対象は平面状基板または前記洗浄用治具にて洗浄可能に構成されているであることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記平面状基板の表面に残留する油脂または形成されたフォトレジストもしくは形成された保護膜を前記洗浄により除去することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記ベンチュリ管を複数備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記噴射部は盤状に形成された盤状部であり、前記盤状部を前記洗浄対象の表面に近接させて前記洗浄対象を洗浄することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記盤状部は、外周部と、前記外周部の内周側に位置し、該外周部に対して前記洗浄対象に対向する表面が窪むように形成された内周部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、前記内周部の外縁は、前記洗浄対象に対向する表面が前記外周部と前記内周部とで平坦である場合に前記盤状部と前記洗浄対象の表面との間に満たされた前記気液混合液に渦流が発生する領域よりも内側に位置することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る洗浄方法は、水と反応性ガスであるオゾン含有ガスとが混合された気液混合体をベンチュリ管に導入し、前記ベンチュリ管の喉部にて前記気液混合体を圧縮して流速を高め、前記ベンチュリ管の喉部から前記気液混合体の進行方向に向かって内部断面積が拡大する形状を有する拡大部にて、前記気液混合体に含まれる前記反応性ガスの気泡を崩壊させてマイクロバブルを発生し、前記ベンチュリ管から前記マイクロバブルを含む気液混合体を洗浄対象に噴射して前記洗浄対象を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オゾンの使用量に対して洗浄力が高い洗浄装置および洗浄方法を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施の形態に係る洗浄装置の模式的な全体構成図である。
【図2】図2は、図1に示すベンチュリ管の模式的な構成図である。
【図3】図3は、ベンチュリ管においてマイクロバブルを発生させる原理を説明する図である。
【図4A】図4Aは、ベンチュリ管におけるマイクロバブルの発生を確認する実験結果を説明する図である。
【図4B】図4Bは、ベンチュリ管におけるマイクロバブルの発生を確認する実験結果を説明する図である。
【図4C】図4Cは、ベンチュリ管におけるマイクロバブルの発生を確認する実験結果を説明する図である。
【図5】図5は、各洗浄時間における基板の表面の写真を示す図である。
【図6】図6は、液体流量10L/min時の基板表面上の位置と、各洗浄時間において残存するレジストの厚さとの関係を示す図である。
【図7】図7は、液体流量10L/min時の基板表面上の位置と、各洗浄時間におけるレジスト除去速度(Ashing rate)との関係を示す図である。
【図8】図8は、液体流量22L/min時の基板表面上の位置と、各洗浄時間において残存するレジストの厚さとの関係を示す図である。
【図9】図9は、液体流量22L/min時の基板表面上の位置と、各洗浄時間におけるレジスト除去速度(Ashing rate)との関係を示す図である。
【図10】図10は、図7と図9に示したレジスト除去速度を比較する図である。
【図11】図11は、空気を用いた場合のアクリル樹脂の洗浄実験の結果を示す図である。
【図12】図12は、オゾン含有ガスを用いた場合のアクリル樹脂の洗浄実験の結果を示す図である。
【図13】図13は、第1の洗浄用治具を用いて洗浄を行う場合を説明する図である。
【図14】図14は、第2の洗浄用治具を用いて洗浄を行う場合を説明する図である。
【図15】図15は、第1の洗浄用治具に従う洗浄用治具を用いて洗浄を行ったときに気液混合体に発生する流動場を示す図である。
【図16】図16は、第2の洗浄用治具に従う洗浄用治具を用いて洗浄を行ったときに気液混合体に発生する流動場および壁面せん断応力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明に係る洗浄装置および洗浄方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法や各要素間の寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。

【0020】
(実施の形態)
はじめに、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る洗浄装置は、水と反応性ガスであるオゾン含有ガスとが混合された気液混合体をベンチュリ管に導入し、ベンチュリ管の喉部にて気液混合体を圧縮して流速を高め、ベンチュリ管の喉部から気液混合体の進行方向に向かって内部断面積が拡大する形状を有する拡大部にて、気液混合体に含まれる反応性ガスの気泡を崩壊させてマイクロバブルを発生し、ベンチュリ管からマイクロバブルを含む気液混合体を洗浄対象に噴射して洗浄対象を洗浄する。ここで、マイクロバブルとは、直径が約1mm以下の微少気泡のことである。マイクロバブルは、界面における物理的吸着に必要な比表面積が広いことや、浮上速度が遅く水中の滞留時間が長いという特徴があり、洗浄においては、汚濁物質輸送の促進や洗浄液中の汚濁物質分離効率の向上が期待できるものである。

【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の模式的な全体構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係る洗浄装置100は、筐体10に設置された、ベンチュリ管1と、気液混合部2と、ベンチュリ管1と気液混合部2との接続する接続フランジ3と、止水ブーツ4と、洗浄槽5と、洗浄対象である平面状基板を保持する基板保持部6と、圧力ゲージ7と、分離槽8と、を備えている。また、洗浄装置100は、さらに、ガス流量計12と、ガス圧力調整器13と、ガス弁14と、これらを接続する配管を備えている。さらに、洗浄装置100は、貯水槽15と、ポンプ16と、水圧力計17と、水流量調整器/水流量計18と、給水フランジ19と、これらを接続する配管を備えている。図1中、片矢印は配管における水またはオゾン含有ガスの流れる方向を示している。

【0022】
ベンチュリ管1は、筐体10の内部に、その下側の一部が洗浄槽5に挿入されるように配置されている。ベンチュリ管1の洗浄槽5への挿入部は止水ブーツ4で保護されている。基板保持部6は、洗浄槽5の内部であってベンチュリ管1の下方に、不図示の保持部材によって配置されている。圧力ゲージ7は、洗浄槽5の下部であってベンチュリ管1の下方に設置されている。分離槽8の下部には貯水槽15に接続する配管が設けられている。

【0023】
気液混合部2は、筐体10の上部から内部に挿入されるように配置されており、接続フランジ3によってベンチュリ管1と接続している。気液混合部2は管状の部材であり、その側部にはガス弁14が接続されており、その上部には給水フランジ19が接続されている。また、給水フランジ19は支持部10aによって上下方向および上下方向に垂直な面方向に移動可能に支持されている。これによって給水フランジ19と気液混合部2との位置関係が最適になるように調整される。

【0024】
不図示のオゾンガス発生装置から供給されたオゾン含有ガスは、配管およびガス弁14を介して気液混合部2の管内部に供給される。配管の途中に設置されたガス流量計12およびガス圧力調整器13は、オゾン含有ガスの流量の測定と圧力の調整とをそれぞれ行う。ここでは、オゾン含有ガスとは、その成分の100%がオゾンガスであるガスや、オゾンガスと他のガス(たとえば酸素ガス)とを含むガスを意味する。オゾン含有ガスにおけるオゾンガスの成分比は、たとえば15%程度でもよい。

【0025】
貯水槽15は、水Wを貯留している。ここで、水とは、純水、蒸留水、水道水等の、水または、使用目的に対して問題にならない程度の不純物が水に混入したものである。ポンプ16は、貯水槽15から、貯留された水Wを供給され、配管および給水フランジ19を介して気液混合部2の管内部に水Wを供給する。配管の途中に設置された水流量調整器/水流量計18は、水の流量の調整と流量の測定とを行う。水圧力計17は水圧の測定を行う。

【0026】
気液混合部2は、上記のようにガス弁14を介して供給されたオゾン含有ガスと、給水フランジ19を介して供給された水Wとを、管内部において混合し、水の中にオゾン含有ガスの気泡が混入した状態の気液混合体を生成する。なお、気液混合部2は、水流量調整器/水流量計18と給水フランジ19の間に設置してもよい。

【0027】
つぎに、ベンチュリ管1の構成について説明する。図2は、ベンチュリ管1の模式的な構成図である。図1に示すように、ベンチュリ管1は、内部断面が矩形の管状体であって、導入部1aと、導入部1aにつづいて順次配置された縮小部1bと、喉部1cと、拡大部1dと、噴出口1eとを備えている。ベンチュリ管1は、たとえばアクリル樹脂などからなるが、含有ガスによって腐食しない材料で構成することができる。

【0028】
導入部1aは、気液混合部2側に接続されており、気液混合部2から気液混合体が導入される部分である。縮小部1bは、導入部1aから喉部1cに向かって内部断面積が徐々に縮小する部分である。喉部1cは、導入部1aの内部断面積よりも小さい内部断面積を有し、かつ導入部1a、縮小部1b、喉部1c、拡大部1d、および噴出口1eの中で最も内部断面積が小さい部分である。拡大部1dは、喉部1cから噴出口1eに向かって内部断面積が徐々に拡大する部分である。拡大部1dの開き角θは6度である。

【0029】
つぎに、本実施の形態に係る洗浄装置100の動作について説明する。まず、不図示のオゾンガス発生装置から供給されたオゾン含有ガスを、配管およびガス弁14を介して気液混合部2の管内部にオゾン含有ガスを供給する。このとき、ガス流量計12によってオゾン含有ガスの流量を測定し、測定値にもとづいてガス圧力調整器13によってオゾン含有ガスの圧力を調整する。これとともに、ポンプ16が、貯水槽15から水を供給され、配管および給水フランジ19を介して気液混合部2の管内部に水を供給する。このとき、水流量調整器/水流量計18によって水の流量の測定し、測定値にもとづいて水流量調整器/水流量計18またはポンプ16によって水の流量を調整する。

【0030】
気液混合部2は、ガス弁14を介して供給されたオゾン含有ガスと、給水フランジ19を介して供給された水Wとを管内部において混合し、気液混合体を生成し、ベンチュリ管1に供給する。

【0031】
ベンチュリ管1は、導入部1aに気液混合体が導入されると、オゾン含有ガスのマイクロバブルを発生させて、このマイクロバブルを含む気液混合体を噴出口1eから噴出する。ここで、ベンチュリ管1の下方には基板保持部6が配置されている。その結果、ベンチュリ管1の噴出口1eから噴出されたマイクロバブルを含む気液混合体は、基板保持部6に保持された洗浄対象である平面状基板の表面に噴射される。これによって平面状基板の表面に残留する油脂や形成されたフォトレジストが剥離される。なお、圧力ゲージ7は、平面状基板に噴射される気液混合体の噴射圧を測定するために使用することができる。

【0032】
ここで、ベンチュリ管1においてマイクロバブルを発生させる原理について詳述する。図3は、ベンチュリ管においてマイクロバブルを発生させる原理を説明する図である。まず、ベンチュリ管1に導入された、オゾン含有ガスの気泡Bを含む気液混合体OWは、ベンチュリ管1の縮小部1bにおいて、その進行方向に進むにつれて徐々に圧力および流速が高められ、内部断面積が最も小さい喉部1cにおいて音速を超える程度にまで流速が高められる。その後、気液混合体OWは、拡大部1dにおいては圧力が徐々に低下するので、領域A1では気泡Bは膨張するが、その後ある位置P1では急激な気泡崩壊が起こり、マイクロバブルMBが発生する。マイクロバブルMBを含む気液混合体OWはその後の領域A2を進行し、洗浄対象である基板20に噴射される。

【0033】
図4A、4B、4Cは、ベンチュリ管におけるマイクロバブルの発生を確認する実験結果を説明する図である。図4Aはベンチュリ管内でマイクロバブルが発生している状態をハイスピードビデオカメラで撮影した写真を示している。なお、撮影は、メタルハライドランプ(波長660nm)を用いたバックライト法にて行った。また、図4Aに示すベンチュリ管には管内の圧力を測定するための測定器が設けられている。図4Bは、これらの測定器により測定した管内の圧力分布を示している。ここで、横軸はベンチュリ管の長手方向での位置zを示し、縦軸は測定した圧力Pabsを示している。なお、z=0mmの位置は喉部の位置としている。また、図4Cは、撮影した写真において気泡が崩壊してマイクロバブルが発生する点(矢印で示す)を拡大して示している。

【0034】
図4Bに示すように、拡大部では、管内の圧力は一度低下したのち、急激に増大する。このとき、気泡が一旦拡大した後に縮小して崩壊し、マイクロバブルが発生するものと考えられる。なお、マイクロバブルが発生する位置は、ベンチュリ管の各部分の寸法、ベンチュリ管内での圧力分布や入口-出口間での圧力差、気液混合体における水の流量やオゾン含有ガスの濃度などの要素を調整することによって、適宜調整することができる。また、本実験では、気泡崩壊位置で圧力波が発生し、気液混合体の進行方向に向かって伝搬することも確認された。

【0035】
本洗浄装置100によれば、オゾンガスの酸化作用と、マイクロバブルの広い比表面積等の特徴との相乗効果によって、従来に比してオゾンの使用量に対して洗浄力が高いものとなる。その結果、従来よりも少ないオゾン使用量で、より高い洗浄力を実現できる。

【0036】
また、本発明者が鋭意検討して見出したところによれば、ベンチュリ管にてオゾン含有ガスのマイクロバブルを発生させる方式によれば、気液混合体の生成後に急激にマイクロバブルを発生させるので、オゾンガスが壊れにくいと考えられる。

【0037】
本洗浄装置100によれば、以上の効果が複合することによって、従来よりも少ないオゾン使用量で、より高い洗浄力を実現できる。たとえば、本洗浄装置100によれば、従来80ppm以上の高濃度オゾン水を用いて実現されていた洗浄力と同等以上の洗浄力を、たとえば50ppmまたはそれ以下であり、好ましくは10ppm以上の中濃度の気液混合体を用いて実現できる。

【0038】
このように、洗浄に使用する気液混合体のオゾン濃度が低くてもよい場合は、たとえば以下の利点がある。まず、オゾン発生装置において発生させるオゾン含有ガスのオゾン濃度や発生量が少なくて済むので、性能が低い安価な装置を用いて、より低い発生コストでオゾン含有ガスを準備できる。

【0039】
また、洗浄に使用する気液混合体を効率良く洗浄時に反応させるため、洗浄後の気液混合体のオゾン濃度が低くなる。たとえば、従来は80ppm以上の高濃度オゾン水を洗浄に使用した場合には、洗浄後のオゾン水のオゾン濃度も50ppm程度となる場合があった。しかしながら、後述するように、本洗浄装置100によれば、洗浄に使用する気液混合体のオゾン濃度が40ppmの場合に、洗浄後の気液混合体のオゾン濃度が10ppm程度以下、さらには1ppm程度以下となる場合もある。その結果、本洗浄装置100によれば、洗浄後の気液混合体に含まれるオゾンの処理コストが削減される。

【0040】
また、本洗浄装置100によれば、簡易な構成でかつメンテナンス性がよいベンチュリ管にてオゾン含有ガスのマイクロバブルを発生させることができるので、装置コストも低減できる。さらには、本洗浄装置100によれば、上述したように気液混合体内の溶存オゾン水濃度が低下しないので、水道水のような、純水に比べて純度が低い水を用いても、オゾン水濃度が低下せず、高い洗浄力が得られる。したがって、水の準備コストも低減できる。

【0041】
以上のように、本洗浄装置100は、従来の高濃度オゾン水を用いた洗浄装置よりも、装置の導入コストやランニングコストを低減できるので、より広範囲の産業分野における洗浄装置として活用されることが期待される。

【0042】
(洗浄実験)
つぎに、本実施の形態に従う洗浄装置を用いて行った洗浄実験について説明する。なお、ベンチュリ管としては、導入部から噴出口までの厚さが5mm、導入部の幅D1(図2参照)が14mm、喉部の幅D2が4mm、噴出口の幅D3が8.2mm、喉部から噴出口までの長さL1が40mm、拡大部の開き角θが6度のものを使用した。また、基板保持部には、平面状基板としての30mm×30mmのサイズのシリコン基板の表面に、ノボラック系のレジストを厚さ1000nmで均一に形成したものを洗浄対象として保持した。また、ベンチュリ管の噴出口からレジストまでの距離が25mmとなるように、基板保持部とベンチュリ管との位置関係を調整した。また、水としては水道水を使用し、オゾン含有ガスとしては、オゾンガスと酸素ガスとの成分比が最大約15:85のものを使用した。

【0043】
(洗浄実験1)
はじめに、洗浄実験1として、水道水の流量(Q)を10L/min、気液混合部において混合させるオゾン含有ガスと水道水との気液体積流量比βを5%とした。なお、βは、気体と液体の総体積流量に対する気体の体積流量の比を示す量である。このとき、ベンチュリ管に導入される気液混合体のオゾン濃度は約40ppmと考えられる。

【0044】
図5は、洗浄実験1の場合の各洗浄時間における基板の表面の写真を示す図である。「T」は洗浄時間、すなわち洗浄開始からの累積の経過時間を示しており、たとえば「T=1min」は洗浄時間が1分であることを示している。また、図中「C」は、所定の洗浄時間における洗浄に使用された後の気液混合体のオゾン濃度を測定した値である。なお、オゾン濃度の測定は、チオ硫酸ナトリウムの滴定により行った。また、T=10minの値については、測定サンプル数を2としたので、2つの写真を示している。

【0045】
図5に示すように、洗浄時間が増加するにつれてレジストが剥離除去されてその厚さが薄くなっていくので、各洗浄時間における写真において干渉縞が変化していく様子が現れている。特に、各写真の右側に位置する矩形の領域は、ベンチュリ管から噴射される気液混合体が直接当たる箇所であるが、この領域を中心に干渉縞の様子が変化している。

【0046】
図6は、洗浄実験1の場合の基板表面上の位置と、各洗浄時間において残存するレジストの厚さとの関係を示す図である。横軸は基板表面において直線に沿って厚さを測定した際の直線上の位置を示し、縦軸は各洗浄時間において残存するレジストの厚さを示している。図中矢印で示し、斜線を付した位置4mmから8mmの領域が、ベンチュリ管から噴射される気液混合体が直接当たる領域である。

【0047】
図6に示すように、洗浄時間が増加するにつれてレジストが剥離除去されてその厚さが薄くなっていき、洗浄時間13minでレジストが全て除去されたことが確認された。また、レジストの薄厚化は特に気液混合体が直接当たる領域で先行して進行することが確認された。

【0048】
図7は、洗浄実験1の場合の基板表面上の位置と、各洗浄時間におけるレジスト除去速度(Ashing rate)との関係を示す図である。なお、レジスト除去速度をV[nm/min]、洗浄時間をT[min]、洗浄時間において残存するレジストの厚さをL[nm]とすると、Vを以下の式で定義した:V=(1000-L)/T。

【0049】
図7に示すように、レジスト除去速度として、最大で0.133μm/min(133nm/min)と高い値が得られた。また、洗浄に使用された後の気液混合体のオゾン濃度Cは、0.90ppmから1.92ppmと低い値であった。

【0050】
(洗浄実験2)
つぎに、洗浄実験2として、水道水の流量(Q)を22L/minに増加させた。一方、気液混合部において混合させるオゾン含有ガスと水道水との気液体積流量比βは洗浄実験1と同様に5%とした。このときも、ベンチュリ管に導入される気液混合体のオゾン濃度は約40ppmと考えられる。その他の条件は洗浄実験1と同じとした。

【0051】
図8は、洗浄実験2の場合の基板表面上の位置と、各洗浄時間において残存するレジストの厚さとの関係を示す図である。なお、T=4minの値については、測定サンプル数を2としているので、2つのデータを示している。

【0052】
図8に示すように、洗浄時間が増加するにつれてレジストが剥離除去されてその厚さが薄くなっていき、洗浄時間5分でレジストがほぼ全て除去されたことが確認された。また、レジストの薄厚化は特に気液混合体が直接当たる領域で先行して進行することが確認された。

【0053】
図9は、洗浄実験2の場合の基板表面上の位置と、各洗浄時間におけるレジスト除去速度(Ashing rate)との関係を示す図である。図9に示すように、レジスト除去速度として、最大で0.387μm/min(387nm/min)と極めて高い値が得られた。また、洗浄に使用された後の気液混合体のオゾン濃度Cは、9.36ppmから10.8ppmと低い値であった。

【0054】
図10は、図7と図9に示したレジスト除去速度を比較する図である。図10に示すように、図9に示す洗浄実験2の水道水の流量(Q)を22L/minとした場合は、図7に示す洗浄実験1のQを10L/minとした場合の略2倍以上のレジスト除去速度が得られた。

【0055】
なお、たとえば非特許文献1では、レジスト除去速度として0.08~0.15μm/min程度が報告されているが、上述したように本実験ではそれを大幅に上回る0.387μm/minのレジスト除去速度が得られた。

【0056】
なお、上記洗浄実験では、洗浄対象を、表面にレジストが形成されたシリコン基板としているが、本実施の形態に係る洗浄装置は、シリコン基板の洗浄に限らず、他の平面状基板、たとえば、他の半導体基板の洗浄や、平面状基板等の洗浄対象の表面に形成された保護膜の除去のための洗浄や、油が付着した機械部品の洗浄にも適用できる。また、平面状基板の形状は、矩形や円形などであるが、特に限定はされない。

【0057】
(洗浄実験3)
つぎに、洗浄実験3として、平面状基板としてのアクリル樹脂板の表面に油(グリス)を付着させて汚染したものを洗浄対象として洗浄実験を行った。なお、洗浄条件としては、洗浄実験2と同様に、水道水の流量(Q)を22L/min、気液体積流量比βを5%とした。なお、比較として、オゾン含有ガスではなく空気を用いて気液混合体を生成したときの比較洗浄実験も行った。

【0058】
図11は、空気を用いた場合のアクリル樹脂の洗浄実験の結果を示す図である。図12は、オゾン含有ガスを用いた場合のアクリル樹脂の洗浄実験の結果を示す図である。図11、12は洗浄後のアクリル樹脂の表面の写真とその一部を拡大した写真を示している。図11、12に示すように、空気を用いた比較洗浄実験の場合には300μm以上のサイズの油が残存していたが、オゾン含有ガスを用いた洗浄実験3の場合には、残存する油のサイズは100μm程度と小さかった。

【0059】
つぎに、洗浄実験3および比較洗浄実験における洗浄率を算出した。ここで、洗浄率φを、φ=(M-M)/(M-M)で定義した。「M」は測定したアクリル樹脂の質量を示しており、添え字は、「O」は汚染前、「S」は汚染後、「W」は洗浄後を表す。したがって、洗浄率φが高いほど油汚れが除去されたことを示す。

【0060】
上記定義に従って洗浄率φを算出したところ、比較洗浄実験では29.19%であったところ、洗浄実験3では41.65%であり、オゾン含有ガスの使用により、より高い洗浄力が得られることが確認された。

【0061】
なお、上記実施の形態に係る洗浄装置100では、ベンチュリ管1から洗浄対象に直接気液混合体を噴射するようにしているが、下記に説明する洗浄用治具を用いてもよい。

【0062】
図13は、第1の洗浄用治具を用いて洗浄を行う場合を説明する図である。図13では第1の洗浄用治具である洗浄用治具30をその一部を切り欠いた状態で示している。洗浄用治具30は、たとえばガラスからなり、円筒部30aと、支持部30bと、噴射部である円板状の円盤部30cとを有している。円筒部30aは中空の円筒状であり、円盤部30cの略中央に形成された孔に挿入され、支持部30bによって支持された状態で固定されている。円盤部30cの略中心部には円筒部30aの内孔の端部が噴出口30caとして設けられる。

【0063】
洗浄用治具30を使用する場合は、まず、ベンチュリ管1の先端に洗浄用治具30の円筒部30aを接続する。一方、洗浄対象である基板20をターンテーブル40に、ターンテーブル40の回転軸と基板20の中心とが略一致するように載置し、ターンテーブル40を軸周りに回転させて基板20を回転させる。つぎに、洗浄用治具30の円盤部30cを基板20の表面に近接させる。そして、ベンチュリ管1からマイクロバブルを発生させた気液混合体OWを円筒部30aに導入し、円筒部30aを介して噴出口30caから基板20に噴射する。すると、気液混合体OWは円盤部30cと基板20との間の厚さTの空間に満たされ液膜状となり、この状態で基板20の表面を洗浄する。

【0064】
ここで、オゾンガスを含む気液混合体の場合、気液混合体と外気との気液界面において溶存オゾンガスが拡散しやすいため、オゾン濃度が低下しやすい。これに対して、本洗浄用治具30を使用すれば、円盤部30cによって、気液混合体OWと外気との気液界面の面積を極めて少なくすることができる。その結果、気液混合体OWのオゾン濃度の低下が抑制され、洗浄力の低下が抑制される。

【0065】
なお、厚さTはたとえばmm程度のオーダーであり、好ましくは1mm~2mmである。ただし、厚さTはこれに限られず、円盤部30cと基板20との間の厚さTの空間に気液混合体OWが満たされる程度の大きさであればよい。

【0066】
図14は、第2の洗浄用治具を用いて洗浄を行う場合を説明する図である。図14では第2の洗浄用治具である洗浄用治具30Aをその一部を切り欠いた状態で示している。洗浄用治具30Aは、たとえばガラスからなり、洗浄用治具30の噴射部である円盤部30cを円盤部30dに置き換えた構成を有する。円盤部30dは略円板状であるが、内周部30daと、傾斜部30dbと、外周部30dcとを備える。外周部30dcは、円状の外縁および内縁を有している。内周部30daは、円状の外縁を有しており、外周部30dcの内周側に位置し、外周部30dcに対して、洗浄対象である基板20に対向する表面が窪むように形成されている。このように、円盤部30dは、基板20に対向する表面が段差状になっている。また、円盤部30dの略中心部には円筒部30aの内孔の端部が噴出口30ddとして設けられる。

【0067】
洗浄用治具30Aを使用する場合は、洗浄用治具30の場合と同様に、まず、ベンチュリ管1の先端に洗浄用治具30Aの円筒部30aを接続する。一方、洗浄対象である基板20をターンテーブル40に、ターンテーブル40の回転軸と基板20の中心が略一致するように載置し、ターンテーブル40を軸周りに回転させて基板20を回転させる。つぎに、洗浄用治具30Aの円盤部30dを基板20の表面に近接させる。そして、ベンチュリ管1からマイクロバブルを発生させた気液混合体OWを円筒部30aに導入し、円筒部30aを介して噴出口30ddから基板20に噴射する。すると、気液混合体OWは円盤部30dと基板20との間の空間に満たされて液膜状になり、この状態で基板20の表面を洗浄する。

【0068】
洗浄用治具30Aを使用した場合、洗浄用治具30を使用した場合と同様に、気液混合体OWと外気との気液界面の面積を極めて少なくすることができるので、気液混合体OWのオゾン濃度の低下が抑制され、洗浄力の低下が抑制される。

【0069】
さらに、洗浄用治具30Aを使用した場合、円盤部30dと基板20との間の空間に満たされた気液混合体OW内に渦流が発生することを防止することができる。

【0070】
以下、具体的に説明する。本発明者らは、洗浄用治具30のような円板状の円盤部を有する洗浄用治具を用いた場合に、洗浄用治具30の外周側において洗浄力(たとえばレジストの除去速度)が低下する場合があることを実験により見出した。

【0071】
そこで、本発明者らは、円盤部と基板との間の空間に満たされた気液混合体内に発生する流動場の観測を試みたところ、円筒座標の3成分の流速の観測に成功した。

【0072】
図15は、第1の洗浄用治具に従う洗浄用治具を用いて洗浄を行ったときに気液混合体に発生する流動場を示す図である。符号50は洗浄対象である基板を示している。基板50の半径は62.5mmである。また、「inlet」とは噴出口の位置を示している。また、横軸は基板の動径方向の位置を示し、縦軸は基板と円盤部との間の空間における位置を示している。図15に示すように基板と円盤部との間の空間の厚さは2mmとしている。また、u、uθ、uはそれぞれ基板と円盤部との間の空間で円筒座標をとったときのr方向、θ方向、z方向の流速を示し、√(u+uθ+u)は流速の大きさを示している。

【0073】
図15に示すように、基板と円盤部との間の空間に満たされた気液混合体内には、外周側において渦流が発生していた。この渦流の発生領域では、反応や時間減衰によりオゾン濃度が低下した気液混合体が滞留するものと考えられる。なお、R=26.4mmは遷移半径を示している。

【0074】
そこで、本発明者らは、図中1点鎖線で示した領域外の右上に位置する渦流が発生している領域をカットすることによって、渦流の発生が防止され、洗浄用治具の外周側における洗浄力の低下を防止できることに想到した。

【0075】
図16は、第2の洗浄用治具に従う洗浄用治具を用いて洗浄を行ったときに気液混合体に発生する流動場および壁面せん断応力を示す図である。なお壁面せん断応力については、第1の洗浄用治具に従う洗浄用治具を用いて洗浄を行った場合の値も破線で示している。また、τ、τθ、τ、およびτmagは、それぞれr方向、θ方向、z方向の壁面せん断応力、および壁面せん断応力の大きさを示している。

【0076】
第2の洗浄用治具に従う洗浄用治具は、基板に対向する表面が外周部と内周部とで平坦である場合(すなわち第1の洗浄用治具に従う洗浄用治具)に、気液混合液に渦流が発生する領域をカットする形状を有している。具体的には、第2の洗浄用治具に従う洗浄用治具の内周部の外縁は、遷移半径に応じて、基板に対向する表面が外周部と内周部とで平坦である場合に渦流が発生する領域よりも内側に位置するように設定されている。この場合は、図16からわかるように渦流の発生が防止される。また、壁面せん断応力に関しては、第2の洗浄用治具に従う洗浄用治具の場合(実線で示す)の方が、第1の洗浄用治具に従う洗浄用治具の場合(破線で示す)よりも、特に傾斜部および外周部において値が大きくなっている。このことは、渦流の発生を防止したことによって、特に傾斜部および外周部において気液混合体の壁面せん断応力が向上し、洗浄力が向上することが期待されることを示している。

【0077】
なお、上記実施の形態に係る洗浄装置100では、ベンチュリ管1を一つ備えているが、複数のベンチュリ管1を備えていてもよい。また、上記の洗浄用治具30または30Aは、円筒部30aを一つだけ備えているが、複数の円筒部30aを備えていてもよい。そして、複数の円筒部30aのそれぞれにベンチュリ管1を接続して、複数の噴出口30caまたは30ddから気液混合体OWを噴射するようにしてもよい。さらには、洗浄用治具30、30Aは、円板状の円盤部30c、30dの代わりに、多角形等の円形以外の形状を有する盤状の噴射部(盤状部)を有していてもよい。また、円盤部30dの外周部30dcの外縁もしくは内縁、または内周部30daの外縁は円状に限られず、多角形等の円状以外の形状を有していてもよい。噴射部が円盤部30dと同様に内周部と傾斜部と外周部とを備える場合も、それらの外縁または内縁は円状に限られず、多角形等の円状以外の形状を有していてもよい。さらには、噴射部の形状は盤状に限られず、さまざまな形状を採用することができる。たとえば、噴射部の形状を洗浄対象の形状に合わせた形状とすることで、噴射部を洗浄対象の表面に近接させることができるので、洗浄対象は洗浄用治具にて効果的に洗浄可能になる。また、洗浄対象を、洗浄用治具にて効果的に洗浄可能な形状や大きさに構成し、噴射部を洗浄対象の表面に近接させることができるようにしてもよい。

【0078】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 ベンチュリ管
1a 導入部
1b 縮小部
1c 喉部
1d 拡大部
1e 噴出口
2 気液混合部
3 接続フランジ
4 止水ブーツ
5 洗浄槽
6 基板保持部
7 圧力ゲージ
8 分離槽
10 筐体
10a 支持部
12 ガス流量計
13 ガス圧力調整器
14 ガス弁
15 貯水槽
16 ポンプ
17 水圧力計
18 水流量調整器/水流量計
19 給水フランジ
20、50 基板
30、30A 洗浄用治具
30a 円筒部
30b 支持部
30c、30d 円盤部
30ca、30dd 噴出口
30da 内周部
30db 傾斜部
30dc 外周部
40 ターンテーブル
100 洗浄装置
A1、A2 領域
B 気泡
D1、D2、D3 幅
MB マイクロバブル
OW 気液混合体
P1 位置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図4C】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図11】
12
【図12】
13
【図13】
14
【図14】
15
【図15】
16
【図16】
17