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明細書 :表面形状可変構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-199181 (P2018-199181A)
公開日 平成30年12月20日(2018.12.20)
発明の名称または考案の名称 表面形状可変構造
国際特許分類 B25J  15/08        (2006.01)
B65G  15/58        (2006.01)
B65G  15/42        (2006.01)
E04F  15/10        (2006.01)
FI B25J 15/08 R
B65G 15/58 Z
B65G 15/42 Z
E04F 15/10 104E
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2017-104600 (P2017-104600)
出願日 平成29年5月26日(2017.5.26)
発明者または考案者 【氏名】村島 基之
【氏名】梅原 徳次
【氏名】吉野 笙太
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
審査請求 未請求
テーマコード 2E220
3C707
3F024
Fターム 2E220AA45
2E220AC13
2E220BA01
2E220BB14
2E220EA02
2E220GA06X
2E220GA26X
2E220GB01X
2E220GB32X
3C707DS01
3C707ES11
3C707EV10
3F024AA12
3F024DA01
3F024DA11
要約 【課題】汎用性の高い表面形状可変構造を提供する。
【解決手段】表面形状可変構造10は、窪み部20と、窪み部20を封止する湾曲形状の表面部22とを備える。表面部22は、窪み部20との間の内部空間24側から力を受けて、内部空間24に対して凸形状または凹形状に変化する。表面形状可変構造10を構成する表面部22は材料選択の自由度が高い。また、表面形状可変構造10が設けられている部材12の形状は変化しないので、さまざまな機械部品などに組み込み可能であり汎用性が高い。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
部材に形成された内部空間と、
前記内部空間の少なくとも一部を覆う表面部と、を備え、
前記表面部は、前記内部空間側から力を受けて、前記内部空間に対して、凸形状から凹形状に、または、凹形状から凸形状に変化する
ことを特徴とする表面形状可変構造。
【請求項2】
前記表面部は、前記内部空間において変化する圧力により形状が変化することを特徴とする請求項1に記載の表面形状可変構造。
【請求項3】
前記内部空間に設けられて前記表面部を押し引きするアクチュエータをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表面形状可変構造。
【請求項4】
前記表面部は、凸形状の状態で前記部材の表面から突出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表面形状可変構造。
【請求項5】
前記表面部は、凸形状の状態で前記部材の表面から突出しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表面形状可変構造。
【請求項6】
前記表面部は、中央部と、内周縁が前記中央部の外周縁につながる環状部と、を備え、
前記中央部および前記環状部は、それぞれ独立して前記内部空間に対して凸形状または凹形状に変化することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表面形状可変構造。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、表面の形状が変化する表面形状可変構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットハンドや、搬送用ベルト、建物の床など、用途や環境に応じて表面の摩擦特性を変えたい場合がある。摩擦制御に関して、外部からの力を受けて表面状態が変化する材料などの開発が進められている。
【0003】
非特許文献1には、母材となるゴムの表面に織布を埋め込んだ複合材が開示されている。この複合材は、母材のゴムが圧縮されると、表面に発生するシワ構造に布繊維の構造変化が重なって表面の摩擦力が変化する。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Kousuke Suzuki、 Yuji Hirai and Takuya Ohzono、“Oscillating Friction on Shape-Tunable Wrinkles”,Applied Materials and interfaces,2014年、Vol.6、No.13、p.10121-10131
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に係る複合材は、母材として伸縮する柔軟材料を用いる必要があり、摩耗しやすく、環境温度の影響を受けやすいといったことから、用途が制限される可能性がある。また、一般的な機械部品は、組み付けなどで寸法精度が求められるので、母材の変形は許容されにくい。本発明者らは、摩擦制御に用いる表面形状可変構造について、汎用性という点で改善の余地があると考えるに至った。
【0006】
本開示は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところの1つは、汎用性の高い表面形状可変構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の表面形状可変構造は、部材に形成された内部空間と、内部空間の少なくとも一部を覆う表面部と、を備える。表面部は、内部空間側から力を受けて、内部空間に対して、凸形状から凹形状に、または、凹形状から凸形状に変化する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、汎用性の高い表面形状可変構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係る表面形状可変構造を備える部材の斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る表面形状可変構造を備える部材の平面図である。
【図3】図3(a)~(b)は、図2のA-A断面図であり、表面部の形状が変化する様子を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る表面部の高さを測定した結果を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係る表面形状可変構造を備える部材の摩擦係数を測定した結果を示す図である。
【図6】図6(a)~(b)は、第2の実施の形態に係る表面形状可変構造を備える部材の断面図であり、表面部の形状が変化する様子を示す図である。
【図7】図7(a)~(b)は、第3の実施の形態に係る表面形状可変構造を備える部材の断面図であり、表面部の形状が変化する様子を示す図である。
【図8】第4の実施の形態に係る表面形状可変構造を備える部材の平面図である。
【図9】図9(a)~(c)は、図8の部材の断面図であり、表面部の形状が変化する様子を示す図である。
【図10】表面形状可変構造の変形例を示す平面図である。
【図11】図10のB-B断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。

【0011】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る表面形状可変構造を具体的に説明する前に、概要を説明する。第1の実施の形態に係る表面形状可変構造は、部材に形成された内部空間と、内部空間の少なくとも一部を覆う表面部とを備え、部材の表面近傍に形成される。表面部は、内部空間において変化する圧力を受けて、内部空間に対して凸形状または凹形状に変化する。内部空間における圧力は、例えばポンプにより制御される。内部空間の圧力が所定値を越えると、表面部が凹形状から凸形状に変化して部材から突出した状態となり、部材表面の摩擦係数が上がる。また、内部空間の圧力が所定値を下回ると、表面部が凸形状から凹形状に変化して部材から窪んだ状態となり、部材表面の摩擦係数が下がる。こうした構造により、内部空間の圧力に応じて表面部の形状を変化させることで、部材表面の摩擦特性を制御できる。

【0012】
図1は第1の実施の形態に係る表面形状可変構造10を備える部材12の斜視図、図2はその平面図である。図3(a)および(b)は、図2のA-A断面図であり、表面形状可変構造10の表面部22の形状が変化する様子を示す図である。各図に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系が規定される。x軸、y軸は、部材12の底面内で互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直な方向に延びる。x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。以下の説明で、x軸に平行な方向を「左右方向」、x軸の正方向側を「右側」、およびx軸の負方向側を「左側」という場合がある。y軸に平行な方向を「前後方向」、y軸の正方向側を「前側」、およびy軸の負方向側を「後側」という場合がある。また、z軸に平行な方向を「上下方向」、z軸の正方向側を「上側」、およびz軸の負方向側を「下側」という場合がある。

【0013】
部材12は、樹脂材料により直方体状に形成され、x軸に平行な方向およびy軸に平行な方向に3列ずつ並ぶ合計9個の表面形状可変構造10が設けられている。部材12を形成する樹脂材料は、JISK7161に準拠した引張強さが40~55MPa、引張弾性率が1800~2100MPa、および破壊伸び率が5~35%であることが好ましい。また、JISK7171に準拠した曲げ強さが60~80MPa、曲げ弾性率が1900~2400MPaであることが好ましい。さらに、JISK7181に準拠した圧縮強さが70~80MPaであることが好ましい。部材12を形成する樹脂材料の密度は、23℃で1111kg/mであった。部材12は、左右方向の幅および前後方向の奥行きを36mm、上下方向の高さを16mmとする。

【0014】
表面形状可変構造10は、図3に示すように、内部空間24を形成する窪み部20と、表面部22とを備える。窪み部20は、部材12の上面から下方に向かって円柱状に窪むように形成されている。表面部22は、z軸に平行な断面において湾曲形状、かつ、平面視で窪み部20と同径の円形状に形成されている。また、表面部22は、窪み部20の開口端に部材12と同じ樹脂材料で一体に形成され、窪み部20を覆って封止する。窪み部20および表面部22の平面視における直径は6mm、表面形状可変構造10の左右方向および前後方向の間隔は3mmとする。表面部22の厚さは0.2mm、中心を通る曲率半径は25mmとする。

【0015】
窪み部20と表面部22との間には内部空間24が形成される。部材12において隣り合う窪み部20の間には、内部空間24を連結する連結孔16が形成されている。また、右列中央の窪み部20から右側に向かって連結孔16が延びて、不図示のポンプに接続される接続口14が部材12の側面に形成される。こうした構成により、ポンプを接続口14に接続して各内部空間24の圧力を同時に調整できる。

【0016】
接続口14に接続したポンプにより内部空間24の圧力を下げると、表面部22に下向きの力が作用し、図3(a)に示すように表面部22は内部空間24に対して凹形状となる。また、内部空間24の圧力を上げると、表面部22に上向きの力が作用し、図3(b)に示すように表面部22は内部空間24に対して凸形状となる。このように、表面部22は、内部空間24における所定の圧力値を境に凹形状または凸形状に変化する。内部空間24の圧力が所定値未満の状態から所定値以上になると、表面部22は凹形状から凸形状に変化する。また、内部空間24の圧力が所定値以上の状態から所定値未満になると、表面部22は凸形状から凹形状に変化する。

【0017】
図4は、第1の実施の形態に係る表面部22の高さを測定した結果を示す図である。図4のグラフは、横軸が左右方向における位置、縦軸が上下方向において部材12の上面位置をゼロとした表面部22の高さを示す。表面部22は、凸形状の状態で部材12の上面から約300μm突出する。この状態では、部材12の上面から表面部22が突出するので、部材12の上面の摩擦係数が凹形状の状態に比べて高くなる。また、表面部22は、凹形状の状態で部材12の上面から約300μm窪む。この状態では、部材12の上面から表面部22が窪むので、部材12の上面の摩擦係数が凸形状の状態に比べて低くなる。

【0018】
図5は、第1の実施の形態に係る表面形状可変構造10を備える部材12の摩擦係数を測定した結果を示す図である。ブロックオンディスク摩擦試験機を用いて、部材12の上面を一定の荷重でガラス板に押し当て、ガラス板を回転させたときの摩擦係数を測定した。図5のグラフは、横軸が測定時間、縦軸が摩擦係数μを示す。測定開始から約70秒付近で、内部空間24の圧力を変えて表面部22を凸形状から凹形状に変化させた。表面部22を凸形状とした状態での摩擦係数μの平均値は0.55であった。また、表面部22を凹形状とした状態での摩擦係数μの平均値は0.33であった。この結果から、内部空間24の圧力により表面部22を凸形状または凹形状に変化させ、部材12の上面における摩擦係数を制御できることが分かる。

【0019】
以上、第1の実施の形態に係る表面形状可変構造10を説明した。この表面形状可変構造10は、内部空間24の圧力に応じて表面部22が凸形状または凹形状に変化する。これにより、部材12の表面の摩擦係数を制御できる。表面形状可変構造10を含む部材12は、樹脂材料以外にも金属材料などを用いて形成可能であり、先行技術に比べて材料選択の自由度が高い。また、部材12の形状は変化しないので、さまざまな機械部品などに組み込み可能である。

【0020】
例えば、ロボットハンドの把持面に表面形状可変構造10を設けてもよい。滑りやすい物体を持つ場合、表面部22を凸形状として把持面の摩擦係数を上げる。これにより、物体を落としにくくなる。滑りにくい物体を持つ場合、表面部22を凹形状として摩擦係数を下げる。これにより、表面部22の摩耗を抑制できる。

【0021】
搬送ベルトの搬送面に表面形状可変構造10を設けてもよい。滑りやすい物体が置かれる場合、表面部22を凸形状として摩擦係数を上げる。これにより、搬送ベルトから物体が滑り落ちにくくなる。滑りにくい物体が置かれる場合、表面部22を凹形状として摩擦係数を下げる。これにより、表面部22の摩耗を抑制できる。

【0022】
床材や靴底の表面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、温度や湿度、天候に応じて表面の摩擦係数を最適化し、環境に関わらず滑りにくく歩きやすくできる。

【0023】
部品の表面や部品間に挿入されるスペーサの表面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、部品間の隙間に応じて表面部22を凸形状または凹形状に変化させ、部品の寸法公差を吸収できる。

【0024】
ドアストッパの表面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、例えばスイッチにより表面部22の形状が変化する構成とする。これにより、ドアの開閉制限や開放といった操作を簡単に実行可能になる。

【0025】
家具などの転倒防止部材の表面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、設置した家具の天面と天井との間に転倒防止部材を挿入し、間隔に応じて表面部22の形状を変える。これにより、簡単に家具などの転倒を防ぐことができる。

【0026】
シャフトを支持する軸受けの内周面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、使用状況に応じて、表面部22を凸形状としてシャフトの回転にブレーキをかけたり、凹形状としてシャフトとの摩擦力を低減できる。

【0027】
流体が流れるパイプや流路の内周面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、表面部22の形状変化により流量を制御できる。

【0028】
アクチュエータの表面に表面形状可変構造10を設けてもよい。この場合、表面部22を凸形状としたときに他の部品を押し、精度良く微小距離だけ移動させることができる。

【0029】
なお、第1の実施の形態に係る部材12では、連結孔16により表面形状可変構造10の内部空間24が連結されるが、これに限らない。表面形状可変構造10のそれぞれまたは複数の構造群ごとに異なるポンプを接続し、内部空間の圧力を個別に変えてもよい。これにより、場所によって表面部22の形状を変えて、部材12の表面の摩擦係数を局所的に制御可能になる。

【0030】
第1の実施の形態に係る表面形状可変構造10では、ポンプを用いて内部空間24の圧力を調整したが、これに限らない。例えば、ポンプが水や油などの液体を流通させて内部空間24の圧力を調整してもよい。この場合にも同様に、表面部22の形状を変化させて、部材12の表面の摩擦係数を制御できる。

【0031】
第1の実施の形態に係る表面形状可変構造10では、表面部22を部材12と同じ材料で一体に形成したが、これに限らない。たとえば、表面部22を部材12とは異なる材料で形成して窪み部20の開口端に接合してもよい。この場合にも同様に、部材12の表面の摩擦係数を制御できる。部材12および表面部22の材料は樹脂材料に限られず、金属材料であってもよい。金属材料を用いた場合には、耐摩耗性が向上する。

【0032】
第1の実施形態に係る表面形状可変構造10では、表面部22を湾曲形状としたが、これに限らない。表面部22は、平面視で多角形として、凸形状および凹形状で錐体状もしくは多面体形状であってもよい。

【0033】
[第2の実施の形態]
図6(a)および(b)は、第2の実施の形態に係る表面形状可変構造30を備える部材12の断面図であり、表面部32の形状が変化する様子を示す図である。第2の実施の形態に係る表面形状可変構造30は、表面部32が凸形状の状態で窪み部20の開口および部材12の表面から突出しない位置に設けられている点で、第1の実施の形態と相違する。

【0034】
部材12の上面側が潤滑油により形成される油膜を介して他の部材と接触する場合、内部空間24の圧力を調整して表面部32を凸形状または凹形状に変化させると、部材間の油膜の厚さが変わる。表面部32が凸形状の状態では、潤滑油が窪み部20から押し出されるので、部材間の油膜が凹形状の状態より厚くなる。表面部32が凹形状の状態では、潤滑油が窪み部20に入り込むので、部材間の油膜が凸形状の状態より薄くなる。これにより、油膜厚さを調整して、部材間の接触状態を制御できる。

【0035】
以上、第2の実施の形態を説明した。第2の実施の形態に係る表面形状可変構造30は、第1の実施の形態と同様に、流体が流れるパイプや流路の内周面に設けられてもよい。この場合、表面部32の形状変化によりパイプなどを流れる流体の流量を制御できる。

【0036】
また、吸着パッドの吸着面に表面形状可変構造30を設けてもよい。この場合、吸着面を物体に押し当てた状態で、表面部32を凸形状から凹形状に変化させると、窪み部20において発生する負圧により物体に吸着する。各表面形状可変構造30において発生する負圧を利用して一様な負荷での全面吸着が可能であり、シリコンウエハなどの薄いワークを保持する際に破損しにくくなる。

【0037】
[第3の実施の形態]
図7(a)および(b)は、第3の実施の形態に係る表面形状可変構造40を備える部材12の断面図であり、表面部42が変形する様子を示す図である。第3の実施の形態に係る表面形状可変構造40は、内部空間24に設けられて表面部42を上下方向に押し引きするアクチュエータ46を備える点で、第1および第2の実施の形態と相違する。

【0038】
アクチュエータ46は、窪み部20の底部に設けられ、上端が表面部42の下側面に連結されたアーム48を備える。アクチュエータ46は、不図示の制御装置により制御され、アーム48を上下方向に移動させて表面部42を凸形状または凹形状に変化させる。アクチュエータ46がアーム48を上方に押し上げると、表面部42が凸形状となる。また、アーム48を下方に引き下げると、表面部42が凹形状となる。

【0039】
以上、第3の実施の形態を説明した。アクチュエータ46を用いることで、ポンプにより内部空間24の圧力を変化させる場合に比べて、表面部42の形状変化の応答速度が向上する。

【0040】
[第4の実施の形態]
図8は、第4の実施の形態に係る表面形状可変構造50を備える部材12の平面図である。また、図9(a)~(c)は、図8の部材12の断面図であり、表面部52が変形する様子を示す図である。第4の実施の形態に係る表面形状可変構造50は、表面部52が中央部54および環状部56を備える点で、第1から第3の実施の形態と相違する。

【0041】
中央部54および環状部56は、部材12と同じ樹脂材料により一体に形成されており、z軸に平行な断面においてそれぞれ湾曲形状を有する。中央部54は、円形状に形成されており、外周縁が環状部56の内周縁につながっている。環状部56は、円環状に形成されており、外周縁が窪み部20の開口端につながっている。中央部54の曲率半径は、環状部56の曲率半径より小さい。

【0042】
図9(a)は、中央部54および環状部56が、いずれも凹形状になっている状態を示す。この状態から、内部空間24の圧力が上がると、図9(b)に示すように、まず環状部56が内部空間24に対して凸形状に変化する。環状部56が部材12の表面から上方に突出したことで、図9(a)の状態に比べて部材12の表面の摩擦係数が大きくなる。内部空間24の圧力がさらに上がると、図9(c)に示すように、中央部54が内部空間24に対して凸形状に変化する。中央部54が環状部56から上方に突出したことで、図9(b)の状態に比べて部材12の表面の摩擦係数がさらに大きくなる。このように、表面部52がそれぞれ異なる圧力で変形する中央部54および環状部56を備え、部材12の表面の摩擦係数を3段階で制御できる。

【0043】
以上、第4の実施の形態を説明した。なお、環状部56の外周と窪み部20の開口端との間に1つ以上の環状部を設ければ、摩擦係数を4段階以上で制御できる。

【0044】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、図10示すように、表面形状可変構造60の間に柱体62を設け、複数の柱体62で表面部64を支持する構成であってもよい。図11は図10のB-B断面の概略図である。この場合、表面形状可変構造60をつなぐ連結孔が拡大した構成となり、内部空間24における圧力を均一に保ちやすくなるので、複数の表面形状可変構造60の同時制御を簡単にできる。

【0045】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の表面形状可変構造は、部材に形成された内部空間と、内部空間の少なくとも一部を覆う表面部と、を備える。表面部は、内部空間側から力を受けて、内部空間に対して、凸形状から凹形状に、または、凹形状から凸形状に変化する。

【0046】
この態様によると、内部空間側から力を受けて表面部が凸形状または凹形状に変化する。表面形状可変構造が設けられる部材は、樹脂材料以外にも金属材料などを用いて形成可能であり、材料選択の自由度が高い。また、部材自体の形状は変化しないので、さまざまな機械部品などに組み込み可能であり汎用性が高い。

【0047】
表面部は、内部空間において変化する圧力により形状が変化してもよい。この場合、簡易な構成で内部空間の圧力を変えて表面部の形状を制御できる。

【0048】
内部空間に設けられて表面部を押し引きするアクチュエータをさらに備えてもよい。この場合、表面部を変形させる応答速度を上げることができる。

【0049】
表面部は、凸形状の状態で部材の表面から突出してもよい。この場合、表面形状可変構造が設けられている部材表面の摩擦係数を制御できる。

【0050】
表面部は、凸形状の状態で部材の表面から突出しない位置に設けられてもよい。この場合、表面形状可変構造が設けられている部材が、潤滑油などの流体を介して他の部材と接触する構成において、表面部の形状変化により部材間の流体の厚さを調整して接触状態を制御できる。

【0051】
表面部は、中央部と、内周縁が中央部の外周縁につながる環状部とを備え、中央部および環状部は、それぞれ独立して内部空間に対して凸形状または凹形状に変化してもよい。この場合、表面部の形状が3段階で変化するので、表面の摩擦係数や部材間の流体の厚さを3段階以上で制御できる。
【符号の説明】
【0052】
10、30、40、50、60 表面形状可変構造、 20 窪み部、 22、32、42、52、64 表面部、 46 アクチュエータ、 54 中央部、 56 環状部。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10