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明細書 :酸化剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-070482 (P2018-070482A)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
発明の名称または考案の名称 酸化剤
国際特許分類 C07D 251/22        (2006.01)
FI C07D 251/22 CSPA
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2016-210433 (P2016-210433)
出願日 平成28年10月27日(2016.10.27)
発明者または考案者 【氏名】國嶋 崇隆
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100163658、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 順造
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100137729、【弁理士】、【氏名又は名称】赤井 厚子
【識別番号】100151301、【弁理士】、【氏名又は名称】戸崎 富哉
審査請求 未請求
要約 【課題】本発明は、酸化剤として有用な新規化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、式(I):
JP2018070482A_000018t.gif
[式中、各記号は本明細書中で定義した通りである。]
で表される化合物及びその製造方法に関し、また、該化合物を含有する酸化剤に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】
JP2018070482A_000015t.gif
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。]
で表される化合物。
【請求項2】
及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
及びRが、共に1乃至3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、共にフェニル基またはキシリル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式(I):
【化2】
JP2018070482A_000016t.gif
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。]
で表される化合物の製造方法であって、式(II):
【化3】
JP2018070482A_000017t.gif

[式中、Xは、脱離基を示し、R及びRは、前記と同義である。]
で表される化合物を、塩基存在下、酸化剤と反応させる工程を含む、製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物を含有する酸化剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なトリアジン化合物及びその製造方法に関する。本発明はまた、上記トリアジン化合物を含有する酸化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、過酸化物を用いた酸化剤として、過酸化水素、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、ジメチルジオキシラン(DMDO)等の数多くの酸化剤が開発されている。これらは、天然物の全合成等の有機合成化学の技術分野において、エポキシ化反応やBaeyer-Villigar酸化反応等に汎用されている(非特許文献1、2)。中でも、過カルボン酸は、一般に、対応するカルボン酸の酸性度が高いほど(すなわち、脱離能が高いほど)、酸素-酸素結合が開裂しやすくなるため、酸化剤としての反応性が向上することが知られている。しかし、過カルボン酸系酸化剤は、一般に用時調製する必要があると共に、酸化反応の進行と共にカルボン酸が発生し、反応系中が酸性になるため、酸に弱い官能基を有する化合物の酸化に用いることが困難である等の問題点を有していた。一方、過酸化水素は、対応する脱離基のpKaが高いため、過カルボン酸系酸化剤に比べ、反応性が低く、また、DMDOも用時調製する必要がある上に、DMDO自体の調製収率が低いため、多量の原料を必要とするという課題を有していた。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Ohyabu, N. et al., J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 8798.
【非特許文献2】Tony, K. M. S. et al., Tetrahedron Lett., 2001, 42, 8361.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、用時調製の必要がなく、中性緩和な条件下で酸化反応を進行させることができる実用的な酸化剤として有用な新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、トリアジン環上の炭素原子にヒドロペルオキシ基を導入した新規トリアジン化合物が、安定で取扱い易く、冷凍保存可能であると共に、酸化反応中に脱離するトリアジノン誘導体が中性分子であるため、使用する反応基質が制限されることなく、高収率で所望の酸化反応(エポキシ化反応やBaeyer-Villigar酸化反応等)を進行させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]式(I):
【0007】
【化1】
JP2018070482A_000002t.gif

【0008】
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。]
で表される化合物(以下、化合物(I)と称することもある。)。
[2]R及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール基である、上記[1]記載の化合物。
[3]R及びRが、共に1乃至3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である、上記[1]記載の化合物。
[4]R及びRが、共にフェニル基またはキシリル基である、上記[1]記載の化合物。
[5]式(I):
【0009】
【化2】
JP2018070482A_000003t.gif

【0010】
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。]
で表される化合物の製造方法であって、式(II):
【0011】
【化3】
JP2018070482A_000004t.gif

【0012】
[式中、Xは、脱離基を示し、R及びRは、前記と同義である。]
で表される化合物を、塩基存在下、酸化剤と反応させる工程を含む、製造方法。
[6]上記[1]~[4]のいずれかに記載の化合物を含有する酸化剤。
等に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、用時調製が不要で、安定で取扱い易く、且つ中性緩和な反応条件下で収率良く酸化反応を進行させることができる実用的な酸化剤として有用な新規トリアジン化合物(化合物(I))、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。

【0015】
(定義)

【0016】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。

【0017】
本明細書中、「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1以上のアルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C1-20アルキル基であり、中でも、C1-12アルキル基がより好ましく、C1-6アルキル基が更に好ましく、C1-4アルキル基が特に好ましい。

【0018】
本明細書中、「C1-20アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~20のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、エイコシル等が挙げられる。

【0019】
本明細書中、「C1-12アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~12のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられる。

【0020】
本明細書中、「C1-6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。

【0021】
本明細書中、「C1-4アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~3のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。

【0022】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1~6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C1-4アルコキシ基が好ましい。

【0023】
本明細書中、「置換されていてもよいアルキニル基」における「アルキニル基」としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数2以上のアルキニル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C2-10アルキニル基である。

【0024】
本明細書中、「C2-10アルキニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2~10のアルキニルを意味し、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、1-オクチニル等が挙げられる。中でも、C2-6アルキニル基が好ましい。

【0025】
本明細書中、「置換されていてもよいシクロアルキル基」における「シクロアルキル基」としては、環を構成する炭素原子数3以上のシクロアルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C3-10シクロアルキル基である。

【0026】
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C3-8シクロアルキル基が好ましく、C3-6シクロアルキル基がより好ましく、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が特に好ましい。

【0027】
上記のC3-10シクロアルキル基は、ベンゼン環と縮合して縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としては、例えば、インダニル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。

【0028】
また、上記のC3-10シクロアルキル基は、C7-10橋かけ式炭化水素基であってもよい。C7-10橋かけ式炭化水素基としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチル等が挙げられる。

【0029】
さらに、上記のC3-10シクロアルキル基は、C3-10シクロアルカンとスピロ環基を形成していてもよい。ここで、C3-10シクロアルカンとしては、上記のC3-10シクロアルキル基に対応する環が挙げられる。このようなスピロ環基としては、スピロ[4.5]デカン-8-イル等が挙げられる。

【0030】
本明細書中、「置換されていてもよいアリール基」における「アリール基」としては、芳香族性を示す単環式或いは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルナフチル、2-アンスリル、フェナントリル等のC6-22アリール基を示す。中でも、C6-10アリール基が好ましい。

【0031】
本明細書中、「C6-10アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチルが挙げられ、フェニルが特に好ましい。

【0032】
上記のC6-10アリール基は、C3-10シクロアルカンと縮合して縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としては、例えば、インダニル、テトラヒドロナフチル等が挙げられる。

【0033】
本明細書中、「アラルキル」とは、「アルキル基」に「アリール基」が置換した基を意味し、好ましくは、「C7-14アラルキル」である。

【0034】
本明細書中、「C7-14アラルキル」とは、「C1-4アルキル基」に「C6-10アリール基」が置換した基を意味し、例えば、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、(ナフチル-1-イル)メチル、(ナフチル-2-イル)メチル、1-(ナフチル-1-イル)エチル、1-(ナフチル-2-イル)エチル、2-(ナフチル-1-イル)エチル、2-(ナフチル-2-イル)エチル、ビフェニリルメチル等が挙げられる。

【0035】
本明細書中、「アルキルスルホニル基」とは、-S(O)-に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、ノニルスルホニル、デシルスルホニル、ウンデシルスルホニル、ドデシルスルホニル等のC1-20アルキルスルホニル基が挙げられる。中でも、ドデシルスルホニル基が好ましい。

【0036】
本明細書中、「アリールスルホニル基」とは、-S(O)-に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル基が挙げられる。中でも、フェニルスルホニル基が好ましい。

【0037】
本明細書中、「トリ置換シリル基」とは、同一又は異なる3個の置換基(例、C1-6アルキル基、C6-10アリール基等)により置換されたシリル基を意味し、当該基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。

【0038】
本明細書中、「脱離基」としては、ハロゲン原子、1~3個のC1-6アルキル基又はニトロ基で置換されていてもよいC6-10アリールスルホニルオキシ基(例、トルエンスルホニルオキシ、o-ニトロベンゼンスルホニルオキシ等)、1~3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等)等が挙げられるが、中でも、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。

【0039】
本明細書中、「アシル基」としては、、例えば、直鎖状または分岐鎖状のC1-6アルカノイル基、C7-13アロイル基等が挙げられる。具体的には、例えば、ホルミル、アセチル、n-プロピオニル、イソプロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニル等が挙げられ、これらはそれぞれ置換されていてもよい。

【0040】
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、特に規定する場合を除き、1個以上の置換基を有していてもよいことを意味し、該「置換基」としては、(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ基、(3)シアノ基、(4)ヒドロキシ基、(5)カルボキシ基、(6)アシル基で置換されたアミノ基、(7)C1-6アルキル基でモノ又はジ置換されていてもよいカルバモイル基、(8)C1-6アルキル基、(9)C3-8シクロアルキル基、(10)C2-6アルキニル基、(11)C1-6アルコキシ基、(12)C1-6アルキレンジオキシ基、(13)C6-10アリール基、(14)C7-14アラルキル基、(15)C1-6アルキルスルホニル基、(16)C6-10アリールスルホニル基、(17)トリ置換シリル基等が挙げられる。中でも、フッ素原子、ニトロ、シアノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル、ナフチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルが好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。

【0041】
上記置換基は、さらに上記(1)~(17)から選ばれる1個以上の置換基で置換されていてもよく、置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。

【0042】
(本発明の化合物)
本発明の化合物は、下記式(I)で表される化合物(化合物(I))である。

【0043】
式(I):

【0044】
【化4】
JP2018070482A_000005t.gif

【0045】
[式中、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。]
で表される化合物である。

【0046】
以下、本発明の化合物(I)の各基について説明する。

【0047】
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルキニル基又は置換されていてもよいアリール基を示す。

【0048】
及びRは、好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール基である。

【0049】
及びRは、より好ましくは、共に1乃至3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。

【0050】
及びRは、さらに好ましくは、共にフェニル基、トリル基(例、o-トリル、m-トリル、p-トリル)又はキシリル基(例、o-キシリル、m-キシリル、p-キシリル)であり、特に好ましくは、共にフェニル基又はキシリル基である。

【0051】
化合物(I)としては、以下の化合物が好適である。

【0052】
[化合物(IA)]
及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール基である、化合物(I)。

【0053】
[化合物(IB)]
及びRが、共に1乃至3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である、化合物(I)。

【0054】
[化合物(IC)]
及びRが、共にフェニル基、トリル基(例、o-トリル、m-トリル、p-トリル)又はキシリル基(例、o-キシリル、m-キシリル、p-キシリル)である、化合物(I)。

【0055】
[化合物(ID)]
及びRが、共にフェニル基又はキシリル基(例、o-キシリル、m-キシリル、p-キシリル)である、化合物(I)。化合物(ID)は、優れた結晶性を有する化合物である。

【0056】
特に好適な化合物(I)は、具体的には以下の化合物(化合物(I-1)、化合物(I-2)又は化合物(I-3))である。

【0057】
【化5】
JP2018070482A_000006t.gif

【0058】
(本発明の化合物(I)の合成)
本発明の化合物(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような反応を経て合成することができる。

【0059】
原料化合物は、特に述べない限り、市販品として容易に入手できるか、或いは、自体公知の方法(An, Zhong-Fu et al., Chem. Eur. J., 2011, 17, 10871-10878; 特開2010-138121号公報; Hintermann, Lukas et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 8246-8250)又はこれらに準ずる方法に従って製造することができる。

【0060】
本発明の化合物(I)は、例えば、以下の工程により製造することができる。

【0061】
【化6】
JP2018070482A_000007t.gif

【0062】
[式中、Xは、脱離基を示し、R及びRは、前記と同義である。]

【0063】
当該工程は、上記式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)と称することもある。)を、塩基存在下、酸化剤と反応させることにより、化合物(I)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。

【0064】
酸化剤としては、例えば、過酸化物(過酸化水素など)等を挙げることができる。中でも、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、mCPBA、過ホウ素酸ナトリウム(NaBO)又は過硫酸塩(例、ペルオキシ一硫酸カリウム(オキソン)、過硫酸カリウム(K)等)が好ましく、過酸化水素が特に好ましい。

【0065】
酸化剤の使用量は、使用する酸化剤の種類等により異なるが、化合物(II)1モルに対して、通常1~20モルであり、好ましくは、2~10モルである。

【0066】
塩基としては、例えば、無機塩基および有機塩基が挙げられる。無機塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物;酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物;炭酸リチウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩;リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等のアルカリ金属アミド;等が挙げられる。有機塩基の例としてはトリエチルアミン、ジメチルアミンなどのアミンやアンモニアが挙げられる。塩基としてはコストの点からアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩が好ましく、アルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物がさらに好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが最も好ましい。 該塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対して、通常1~20モルであり、好ましくは、2~10モルである。

【0067】
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム(diglyme))等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;水;上記溶媒の混合溶媒が挙げられ、中でも1,4-ジオキサン又はDMEと水の混合溶媒が特に好ましい。

【0068】
反応温度は、通常-20℃~30℃、好ましくは-10℃~10℃、より好ましくは0℃である。
反応時間は、使用する酸化剤の種類等により異なるが、通常0.1~6時間である。

【0069】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれの異性体もそれらの混合物も本発明の化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶)等によりそれぞれを光学的に純粋な化合物として得ることができる。

【0070】
化合物(I)は、溶媒和物であっても、無溶媒和物であってもよい。

【0071】
化合物(I)はまた、同位元素(例、H,14C等)などで標識されていてもよい。
さらに、化合物(I)は、重水素変換体であってもよい。

【0072】
化合物(I)は、単独で酸化剤として用いるのが好ましいが、他の酸化剤等と併用してもよい。また、化合物(I)としては、高純度のものを使用するのが好ましいが、反応に悪影響を及ぼさなければ、必ずしも高純度のものでなくてもよい。

【0073】
(本発明の化合物(I)を酸化剤として用いるエポキシ化反応)
本発明の化合物(I)は、種々のアルケン類(例、一置換アルケン、二置換アルケン、三置換アルケン等)のエポキシ化に好適に使用することができる。

【0074】
本発明の化合物(I)を酸化剤として用いるエポキシ化反応において、化合物(I)の種類は特に限定されない。化合物(I)の使用量としては、アルケン1モルに対して、通常1.0~2.0モル、好ましくは1.1~1.5モルである。

【0075】
エポキシ化反応の溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば、何等制限なく用いることができる。溶媒の具体例としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。中でも高い反応収率が期待できるという点で、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類が好適に使用される。これらの溶媒は単独で使用しても、二以上の溶媒を混合して使用してもよい。

【0076】
エポキシ化反応における反応温度は、使用するアルケンの種類により最適な温度は異なるが、通常-30~60℃、好ましくは室温である。

【0077】
エポキシ化反応における反応時間は、使用するアルケンの種類により異なるが、通常0.1~48時間、好ましくは0.5~36時間である。また、エポキシ化反応は、常圧、加圧、又は減圧のいずれでも実施できる。

【0078】
(本発明の化合物(I)を酸化剤として用いるBaeyer-Villiger酸化反応)
本発明の化合物(I)は、種々のカルボニル化合物のBaeyer-Villiger酸化に好適に使用することができる。当該Baeyer-Villiger酸化反応は、通常、塩基存在下で行われる。

【0079】
本発明の化合物(I)を酸化剤として用いるBaeyer-Villiger酸化反応において、化合物(I)の種類は特に限定されない。化合物(I)の使用量としては、カルボニル化合物1モルに対して、通常1.0~2.0モル、好ましくは1.1~1.5モルである。

【0080】
Baeyer-Villiger酸化反応に使用する塩基としては、例えば、無機塩基および有機塩基が挙げられる。無機塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物;酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物;炭酸リチウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩等が挙げられる。有機塩基の例としてはトリエチルアミン、ジメチルアミンなどのアミンやアンモニアが挙げられる。塩基としてはコストの点からアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩が好ましく、アルカリ金属重炭酸塩がさらに好ましく、炭酸水素ナトリウムが最も好ましい。 該塩基の使用量は、カルボニル化合物1モルに対して、通常1.0~2.0モル、好ましくは1.1~1.5モルである。

【0081】
Baeyer-Villiger酸化反応の溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば、何等制限なく用いることができる。溶媒の具体例としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。中でも高い反応収率が期待できるという点で、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類が好適に使用される。これらの溶媒は単独で使用しても、二以上の溶媒を混合して使用してもよい。

【0082】
Baeyer-Villiger酸化反応における反応温度は、使用するカルボニル化合物の種類により最適な温度は異なるが、通常-30~60℃、好ましくは室温である。

【0083】
Baeyer-Villiger酸化反応における反応時間は、使用するカルボニル化合物の種類により異なるが、通常0.1~60時間、好ましくは0.5~48時間である。また、Baeyer-Villiger酸化反応は、常圧、加圧、又は減圧のいずれでも実施できる。

【0084】
以下に実施例及び実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
反応は、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.25mm)を用いて、薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
H及び13C-NMRスペクトルは、JEOL ECS400またはECS600を用い、重クロロホルムまたは重メタノールを溶媒として測定した。H-NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット、sep=セプテット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
質量分析は、JEOL JMS-T100TD (DART)を用いて測定した。
分取薄層クロマトグラフィーは、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.5mm)を用いて行った。フラッシュクロマトグラフィーは、関東化学株式会社(日本、東京)のシリカゲル60Nを用いて行った。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約30℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。

【0085】
以下の実施例において、化合物(I-1)、化合物(I-2)、化合物(I-3)、化合物(II-1)、化合物(II-2)又は化合物(II-3)の合成に使用した原料化合物である2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(塩化シアヌル)は、市販品(東京化成工業株式会社製)をそのまま使用した。その他の原料化合物は、市販品をそのまま使用するか、又は自体公知の方法(例えば、An, Zhong-Fu et al., Chem. Eur. J., 2011, 17, 10871-10878; 特開2010-138121号公報; Hintermann, Lukas et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 8246-8250)若しくはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
メタノール、エタノール、クロロホルム及び1,4-ジオキサンは、試薬グレードのものを蒸留して用いた。ジクロロメタン、ヘキサン及びDMEは、無水溶媒グレードを購入し,そのまま用いた。その他の試薬は、市販品をそのまま使用するか、又は必要に応じて精製してから用いた。
【実施例】
【0086】
実施例1
2-ヒドロペルオキシ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物(I-1))の合成
【実施例】
【0087】
【化7】
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【実施例】
【0088】
水酸化カリウム水溶液(15.7mL,1.07M)、30%過酸化水素水(2.1mL,18.8mmol)、1,2-ジメトキシエタン(DME,20.9mL)の混合液を0℃(氷浴)に冷却し、文献記載(An, Zhong-Fu et al., Chem. Eur. J., 2011, 17, 10871-10878又は特開2010-138121号公報)の方法により合成した2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(化合物(II-1))(503mg,1.88mmol)のDME溶液(10.1mL)を同温で滴下し、同温で30分間撹拌した。その後、5%硫酸水溶液(40mL)を滴下し、更に水(150mL)を加えることで白色固体が析出した。この固体をろ取し、冷水で十分に洗浄後、減圧下乾燥させた。残渣をジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶することにより、標題化合物(化合物(I-1))(292.6mg,収率59%)を、無色の針状結晶として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 12.13 (s, 1H), 8.67-8.61 (m, 4H), 7.69-7.62 (m, 2H), 7.61-7.54 (m, 4H);
13C NMR (100 MHz,CDCl3): δ 173.7, 173.5, 134.5, 133.8, 129.5, 129.0;
HRMS (DART) Calcd for C15H12N3O2 ([M+H]+): 266.0930, Found: 266.0922.
【実施例】
【0089】
実施例2
2,4-ビス(2-メチルフェニル)-6-ヒドロペルオキシ-1,3,5-トリアジン(化合物(I-2))の合成
【実施例】
【0090】
【化8】
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【実施例】
【0091】
水酸化ナトリウム水溶液(44.3mL,60.9mmol)、30%過酸化水素水(7.66mL,67.6mmol)、1,4-ジオキサン(33.8mL)の混合液を0℃(氷浴)に冷却し、文献記載(An, Zhong-Fu et al., Chem. Eur. J., 2011, 17, 10871-10878)の方法により合成した2,4-ビス(2-メチルフェニル)-6-クロロ-1,3,5-トリアジン(化合物(II-2))(2g,6.76mmol)を加え、同温で1時間撹拌した後、1,4-ジオキサン(33.8mL)を追加して更に1時間撹拌した。反応液に20%硫酸水溶液(14mL)を加え、ジクロロメタンで抽出後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、標題化合物(化合物(I-2))(496mg(純度45%)、収率25%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.50-7.20 (m, 8H), 2.76 (s, 6H).
【実施例】
【0092】
実施例3
2,4-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-6-ヒドロペルオキシ-1,3,5-トリアジン(化合物(I-3))の合成
【実施例】
【0093】
【化9】
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【実施例】
【0094】
水酸化カリウム水溶液(2.6mL,1.07M)、30%過酸化水素水(351μL,3.1mmol)、1,2-ジメトキシエタン(DME,5.2mL)の混合液を0℃(氷浴)に冷却し、文献記載(特開2010-138121号公報)の方法により合成した2-クロロ-4,6-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(化合物(II-3))(100.4mg,0.31mmol)を加え、同温で1時間撹拌した。反応液に、20%硫酸水溶液(2mL)を滴下し、更に水(4mL)を加えることで白色固体が析出した。この固体をろ取し、冷水で十分に洗浄後、減圧下乾燥させた。残渣をジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶することにより、標題化合物(化合物(I-3))(7.7mg,収率8%)を、白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 11.98 (s, 1H), 7.30-7.24 (m, 4H), 7.16-7.11 (m, 2H), 2.21 (s, 12H).
【実施例】
【0095】
実験例1
化合物(I)を用いるエポキシ化反応:1-フェニル-1,2-エポキシシクロヘキサンの合成
【実施例】
【0096】
【化10】
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【実施例】
【0097】
1-フェニル-1-シクロヘキセン(32μL,0.20mmol)のジクロロメタン(1.0mL)に、窒素雰囲気下、化合物(I-1)(58.4mg,0.22mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応終了後、2-メチル-2-ブテン(212μL,2.0mmol)を加えて15分室温で撹拌した後,ヘキサン(1.0mL)を加えて0℃(氷浴)で冷却することで共生成物である4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンを析出させた。これをろ過により除去し,得られたろ液を濃縮後,残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=97:3)により精製することで、標題化合物(31.9 mg, 92%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.39-7.35 (m, 1H), 7.35-7.30 (m, 2H), 7.27-7.23 (m, 2H), 3.07 (m, 1H), 2.28 (ddd, J = 15.1, 8.6, 5.2 Hz, 1H), 2.12 (ddd, J = 15.1, 5.8, 5.8 Hz, 1H), 2.04-1.94 (m, 2H), 1.64-1.53 (m, 2H), 1.51-1.43 (m, 1H), 1.36-1.27 (m, 1H);
13C NMR (150 MHz,CDCl3): δ 142.7, 128.4, 127.3, 125.4, 162.0, 60.3, 29.0 24.9, 20.2, 19.9;
HRMS (DART) Calcd for C12H15O ([M+H]+): 175.1123, Found: 175.1130.
【実施例】
【0098】
化合物(I-1)又は化合物(I-2)を用いて、上記実験例1の方法に従い、種々のアルケンのエポキシ化反応を行った結果を表1に示す。
【実施例】
【0099】
【表1】
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【実施例】
【0100】
表1に示されるように、本発明の化合物(I)を酸化剤として用いることにより、種々のアルケン類のエポキシ化反応が大過剰量の酸化剤を必要とすることなく、比較的短時間且つ良好な収率で進行することが分かった。
【実施例】
【0101】
実験例2
化合物(I)を用いるBaeyer—Villiger酸化反応:ギ酸2-ナフチル及び2-ナフタレンカルボン酸の合成
【実施例】
【0102】
【化11】
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【実施例】
【0103】
炭酸水素ナトリウム(23mg,0.275mmol)を懸濁した、2-ナフトアルデヒド(39mg,0.25mmol)のジクロロメタン(1.3mL)溶液に、窒素雰囲気下、化合物(I-1)(73mg,0.275mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。反応終了後、2-メチル-2-ブテン(265μL,2.5mmol)を加えて20分間室温で撹拌した後、ヘキサン(2.0mL)を加えて0℃(氷浴)で4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンを析出させた。これをろ過により除去し,得られたろ液を濃縮した。残渣をメタノール(1.3mL)に溶解させた後、炭酸カリウム(35mg,0.25mmol)を加えて室温で30分撹拌した(この操作はギ酸ナフチルが分解し易いため、安定な2-ナフトールとして単離するために行った)。反応終了後、溶媒を減圧留去し、0℃(氷浴)中で1M塩酸を加えてジエチルエーテルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=3:2→ヘキサン:酢酸エチル=9:1→5:5)により精製することで、目的の2-ナフトール(28.2mg,78%)及び2-ナフタレンカルボン酸(5.2mg,12%)を得、原料の2-ナフトアルデヒド(3.7mg,9%)を回収した。
【実施例】
【0104】
化合物(I-1)又は化合物(I-2)を用いて、上記実験例2の方法に従い、種々のカルボニル化合物のBaeyer—Villiger酸化反応を行った結果を表2に示す。
【実施例】
【0105】
【表2】
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【実施例】
【0106】
表2に示すように、本発明の化合物(I)を酸化剤として用いることにより、種々のカルボニル化合物のBaeyer—Villiger酸化反応が大過剰量の酸化剤を必要とすることなく、良好な収率で進行することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の化合物(I)は、空気中で安定な結晶として単離可能で、保存安定性に優れ、用時調製が不要であり、取扱い易く、有機溶媒に可溶であり、且つ中性緩和な反応条件下で収率良く酸化反応を進行させることができる。本発明によれば、実用的な酸化剤として有用な新規トリアジン化合物(化合物(I))及びその製造方法を提供することができる。