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Specification :(In Japanese)炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法、炭素担持金ナノ粒子材料、及び触媒

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2019-025406A
Date of publication of application Feb 21, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法、炭素担持金ナノ粒子材料、及び触媒
IPC (International Patent Classification) B01J  27/04        (2006.01)
B01J  37/10        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  37/04        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
B01J  37/18        (2006.01)
FI (File Index) B01J 27/04 M
B01J 37/10
B01J 35/02 H
B01J 37/04 102
B01J 37/02 101D
B01J 37/18
Number of claims or invention 15
Filing form OL
Total pages 19
Application Number P2017-146699
Date of filing Jul 28, 2017
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大橋 弘範
【氏名】貝沼 修弥
【氏名】浅田 隆志
【氏名】杉森 大助
【氏名】石田 玉青
Applicant (In Japanese)【識別番号】505089614
【氏名又は名称】国立大学法人福島大学
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
Representative (In Japanese)【識別番号】110002527、【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4G169
F-term 4G169AA03
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4G169FB29
4G169FB44
4G169FC02
4G169FC04
4G169FC07
4G169FC10
Abstract (In Japanese)【課題】金ナノ粒子の微粒化を可能とする新規な炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法を提供する。
【解決手段】
炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法は、第一工程ないし第四工程を含む。第一工程では、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させ、乾燥して、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得る。第二工程では、金化合物溶液にカルコゲン化物を添加して、Au-カルコゲン錯体含有溶液を得る。第三工程では、Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加して、炭素担持金カルコゲナイドを得る。第四工程では、炭素担持金カルコゲナイドを加熱する。
【選択図】図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させ、乾燥して、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得る第一工程と、
金化合物溶液にカルコゲン化物を添加して、Au-カルコゲン錯体含有溶液を得る第二工程と、
前記Au-カルコゲン錯体含有溶液に前記アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加して、炭素担持金カルコゲナイドを得る第三工程と、
前記炭素担持金カルコゲナイドを加熱する第四工程と、を含むことを特徴とする炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項2】
前記カルコゲン化物が、硫黄原子を含む請求項1に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項3】
前記カルコゲン化物が、硫化水素ナトリウムを含む請求項2に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項4】
前記Au-カルコゲン錯体含有溶液の溶媒が、水であり、
前記アルカリ土類金属化合物分散炭素材料が、粉末であり、
前記第三工程において、前記Au-カルコゲン錯体含有溶液に前記アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加し、前記アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を前記Au-カルコゲン錯体含有溶液中に分散させる請求項1~3のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属イオン含有溶液が、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項6】
前記炭素材料が、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びグラファイトから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~5のいずれか1項に炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項7】
前記金化合物溶液の溶質が、四塩化金酸、四塩化金酸塩、三塩化金、シアン化金、シアン化金(III)酸カリウム、三塩化ジエチルアミン金、酢酸金、エチレンジアミン金錯体及びその誘導体、ジメチル金β-ジケトン誘導体金錯体、ジエチル金β-ジケトン誘導体金錯体、並びに金/アミノ酸系化合物錯体から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項8】
前記第四工程において、加熱温度が110~800℃である請求項1~7のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項9】
前記第四工程において、還元雰囲気下で加熱する請求項1~8のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法。
【請求項10】
炭素材料と、前記炭素材料に担持した複数の金ナノ粒子と、前記炭素材料に分散した複数のアルカリ土類金属化合物粒子と、を備えることを特徴とする炭素担持金ナノ粒子材料。
【請求項11】
前記複数の金ナノ粒子の平均粒子径が、20nm以下である請求項10に記載の炭素担持金ナノ粒子材料。
【請求項12】
前記複数の金ナノ粒子の担持量が、前記炭素材料に対して、0.01質量%~50質量%である請求項10又は11に記載の炭素担持金ナノ粒子材料。
【請求項13】
前記複数の金ナノ粒子の少なくとも一部が、前記複数のアルカリ土類金属化合物粒子上に配置されている請求項10~12のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料。
【請求項14】
前記複数のアルカリ土類金属化合物粒子の材質が、カルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を含む請求項10~13のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか1項に記載の炭素担持金ナノ粒子材料を含む触媒。

Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法、炭素担持金ナノ粒子材料、及び触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
担体の表面に金ナノ粒子を担持させた金ナノ粒子触媒は、低温CO酸化、プロピレンの気相一段エポキシ化、低温水性ガスシフト反応、酸素と水素からの直接過酸化水素合成、炭化水素類の部分酸化など、多くの反応に対して、他の貴金属よりも優れた触媒活性を発現することが知られている。さらに、金の粒子径が2nm以下、原子数で300個以内のクラスターになると、触媒特性がさらに激変する場合があることが知られている。
【0003】
粒径の小さい金ナノ粒子を担持させた金ナノ粒子触媒として、特許文献1には、活性炭担持金ナノ粒子が具体的に開示されている。この活性炭担持金ナノ粒子は、四塩化金酸水溶液に硫化ナトリウム水溶液を加えて黄橙色の溶液を得、得られた溶液に活性炭(関西熱化学(株)製の「マックスソーブ(登録商標)」)を加え、次いで濃塩酸を加えて溶液のpHをおよそ1にし、洗浄、吸引ろ過してろ取物を得、得られたろ取物を300℃でか焼して得られたものである。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2009-240951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法で得られた活性炭に担持した金ナノ粒子の粒子径は大きく、さらなる金ナノ粒子の微粒化が求められている。
【0006】
そこで、本発明の課題は、金ナノ粒子の微粒化を可能とする新規な炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法、炭素担持金ナノ粒子材料、及び触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下によって前記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
本発明の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法は、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させ、乾燥して、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得る第一工程と、金化合物溶液にカルコゲン化物を添加して、Au-カルコゲン錯体含有溶液を得る第二工程と、前記Au-カルコゲン錯体含有溶液に前記アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加して、炭素担持金カルコゲナイドを得る第三工程と、前記炭素担持金カルコゲナイドを加熱する第四工程と、を含む。
【0009】
本発明の炭素担持金ナノ粒子材料は、炭素材料と、前記炭素材料に担持した複数の金ナノ粒子と、前記炭素材料に分散した複数のアルカリ土類金属化合物粒子と、を備える。
【0010】
本発明の触媒は、前記炭素担持金ナノ粒子材料を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金ナノ粒子を微粒化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1~2の炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法の概略説明図である。
【図2】図2は、実施例1のアルカリ土類金属化合物分散炭素材料の蛍光X線分析(XRF:X‐ray Fluorescence、Cuターゲットで測定)結果を示す。
【図3】図3は、実施例1の第一乾燥物、比較例1の第二乾燥物、比較例2の金箔、及びAu-Sの結合を分析するための標本の動径構造関数(RSF:Radial Structure Function)を示す。
【図4】図4Aは、実施例1の第一乾燥物のXRF分析(Cuターゲットを使用)結果を示す。図4Bは、実施例1の第一乾燥物のXRF分析(RX-9ターゲット(株式会社リガク製)を使用)結果を示す。
【図5】図5は、実施例1の第一か焼物、比較例1の第五か焼物、比較例2の金箔の動径構造関数を示す。
【図6】図6Aは、実施例1の第一か焼物の表面の高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM:High-Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)画像(倍率:50万倍)を示す。図6Bは、実施例1の第一か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:70万倍)を示す。
【図7】図7Aは、実施例2の第二か焼物のXRF分析(Cuターゲットを使用)結果を示す。図7Bは、実施例2の第二か焼物のXRF分析(RX-9ターゲットを使用)結果を示す。
【図8】図8は、実施例2の第二か焼物、及び比較例2の金箔の動径構造関数を示す。
【図9】図9Aは、実施例3の第三か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:70万倍)を示す。図9Bは、実施例3の第三か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:50万倍)を示す。図9Cは、実施例3の第三か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:17万倍)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。

【0014】
[炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法]
本実施形態に係る炭素担持金ナノ粒子材料の製造方法は、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させ、乾燥して、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得る第一工程と、金化合物溶液にカルコゲン化物を添加して、Au-カルコゲン錯体含有溶液を得る第二工程と、Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加して、炭素担持金カルコゲナイドを得る第三工程と、炭素担持金カルコゲナイドを加熱する第四工程と、を含む。本実施形態では、第一工程、第二工程、第三工程、及び第四工程をこの順で行う。

【0015】
このように、本実施形態では、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させ、乾燥して得られるアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を、金ナノ粒子の担体に用いる。そのため、従来の製造方法の生産物よりも、金ナノ粒子を微粒化した炭素担持金ナノ粒子材料が得られる。これは、以下の理由によると推測される。すなわち、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させることで、炭素材料がアルカリ土類金属イオンを吸着し、次いで、乾燥により、アルカリ土類金属化合物が表面に固定・担持されたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料が得られる。このアルカリ土類金属化合物の存在が、粒子径がより小さい金ナノ粒子の生成を促進するためと推測される。

【0016】
なお、本実施形態では、第一工程、第二工程、第三工程、及び第四工程をこの順で行うが、本発明はこれに限定されない。その例として、本発明では、第二工程、第一工程、第三工程、及び第四工程をこの順で行ってもよい。

【0017】
〔第一工程〕
第一工程では、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液とを接触させ、乾燥して、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得る。すなわち、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液を混合して炭素材料含有溶液を得、得られる炭素材料含有溶液を乾燥させてアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得る。

【0018】
(炭素材料)
炭素材料は、金ナノ粒子の担体として主に機能する。炭素材料は、炭素を主成分として構成される。そのため、炭素材料は、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)などの無機酸化物を担体に用いる場合よりも、耐熱性、耐酸性、耐塩基性に優れる。

【0019】
炭素材料の形状は、炭素担持金ナノ粒子材料の使用用途などに応じて適宜調整すればよく、例えば、粉末状、板状、ロッド状などが挙げられる。粉末状とは、炭素材料の粒子の集合体である。粒子の形態は、中実体、中空体、多孔体などであってもよい。炭素材料が粉末状(以下、炭素材料粉末という場合がある)である場合、その平均粒子径は、好ましくは2nm~10mm、より好ましくは2nm~5mm、さらに好ましくは1μm~3mmである。炭素材料が板状である場合、その平均板厚は、好ましくは10nm以上10mm以下である。炭素材料粉末の平均粒子径の測定方法としては、球状粒子の場合は直径、楕円形粒子の場合は長径であり、例えば微細な粒子径を有する場合、走査型電子顕微鏡(SEM)観察又は透過型電子顕微鏡(TEM)観察から粒子径分布を作り、平均値を求める方法;ミクロンオーダーの粒子径については、コールターカウンターなどにより測定する方法;さらに大きい粒子径については、篩法で測定する方法を採用すればよい。

【0020】
炭素材料のBET比表面積は、好ましくは100~2000m2/g、より好ましくは300~1500m2/gである。炭素材料のBET比表面積が上記範囲内であれば、無数の細孔を有するので、金ナノ粒子を分散させるのにより適する。炭素材料の全細孔容積は、好ましくは0.05~0.8mL/gである。なお、炭素材料のBET比表面積及び全細孔容積は、実施例に記載の方法と同様に測定される値である。

【0021】
炭素材料の材質としては、例えば、非晶質(微結晶)炭素、ナノカーボン、3次元結晶などを用いることができる。これらの炭素材料は単独で用いられてもよいし、必要であれば2種以上を併用してもよい。非晶質(微結晶)炭素としては、活性炭、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、カーボンファイバーなどが挙げられる。ナノカーボンとしては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどが挙げられる。3次元結晶としては、グラファイトなどが挙げられる。なかでも、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びグラファイトから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、活性炭がより好ましい。

【0022】
炭素材料の材質として活性炭を用いれば、金ナノ粒子の粒子径がより小さい炭素担持金ナノ粒子材料が得られやすい。これは、活性炭は、多孔性で、大きな比表面積をもつからである。さらに、副要因として、その表面に酸素官能基であるカルボキシル基等を有するため、表面にアルカリ土類金属化合物が固定・担持されたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料が得られやすい。表面にアルカリ土類金属化合物が固定・担持されたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料が得られやすいのは、第一工程において、炭素材料含有溶液中で、活性炭の表面にアルカリ土類金属イオンが物理吸着し、また活性炭表面のカルボキシル基等に、炭素材料含有溶液中のアルカリ土類金属イオンが結合しやすいためと推測される。

【0023】
活性炭としては、特に限定されず、例えば、市販の活性炭や、木質バイオマスを400~1000℃で加熱処理して得られたものを用いることができる。木質バイオマスは、再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)であって木材からなる。木質バイオマスとしては、樹木の伐採や造材のときに発生する枝、葉などの林地残材;製材工場などから発生する樹皮、のこ屑;住宅の解体材;街路樹の剪定枝などを挙げることができる。このような木質バイオマスは、加熱処理を施す前に、100~120℃で8~48時間乾燥させることによって水分を除去しておくことが好ましい。加熱処理の処理時間は、0.5~3.0時間であることが好ましい。

【0024】
炭素材料は、必要に応じて過酸化水素水、水酸化ナトリウム水溶液などで前処理を行うこともできる。

【0025】
(アルカリ土類金属イオン含有溶液)
アルカリ土類金属イオン含有溶液は、アルカリ土類金属イオンを含有する溶液である。アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオンなどが挙げられる。なかでも、金粒子の微粒化の観点から、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含むことが好ましく、カルシウムイオンを含むことがより好ましい。

【0026】
アルカリ土類金属イオン含有溶液の濃度は、好ましくは0.1~20g/l、より好ましくは0.1~5g/lである。アルカリ土類金属イオン含有溶液の濃度が上記範囲内であれば、金ナノ粒子の粒子径がより小さい炭素担持金ナノ粒子材料が得られやすい。

【0027】
アルカリ土類金属イオン含有溶液の溶質としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いられてもよいし、必要であれば2種以上を併用してもよい。さらに、それらの複塩を用いてもよい。アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ラジウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ラジウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸ラジウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属の硝酸塩としては、例えば、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸ラジウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属の硫酸塩としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸ラジウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属の塩化物としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ラジウムなどが挙げられる。

【0028】
アルカリ土類金属イオン含有溶液の溶媒は、例えば、水、非水溶媒などを用いることができ、これらの混合物であってもよい。なかでも、コスト、環境汚染対策などの観点から水を用いることが好ましい。非水溶媒としては、例えば、水溶性有機溶剤などを用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、メタノールなどを用いることができる。溶媒に用いられる水は、蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などにより有機不純物、金属イオンが除去されていることが好ましい。

【0029】
<接触方法>
炭素材料をアルカリ土類金属イオン含有溶液と接触させる方法としては、例えば、アルカリ土類金属イオン含有溶液中に炭素材料を添加して炭素材料含有溶液を得、得られる炭素材料含有溶液を撹拌する方法などが挙げられる。撹拌時間は、特に限定されないが、例えば、1分~48時間である。撹拌時間が上記範囲内であれば、炭素材料がアルカリ土類金属イオンを吸着しやすくなる。炭素材料含有溶液を撹拌する際、炭素材料含有溶液の温度は、特に限定されないが、好ましくは5~70℃、より好ましくは5~40℃である。撹拌方法としては、撹拌装置を用いる方法などが挙げられる。撹拌装置としては、超音波照射装置、マグネチックスターラー、ディスパーザー、アトランタ—などを用いることができる。接触させる際の、炭素材料とアルカリ土類金属イオン含有溶液の量は特に限定されず、その付着量等にあわせて適宜調整できるが、例えば、炭素材料2gに対して、0.01mol/Lのアルカリ土類金属イオン含有溶液を0.2L用いる。

【0030】
<乾燥方法>
炭素材料含有溶液を乾燥させる方法としては、例えば、炭素材料含有溶液を蒸発乾固させる方法;炭素材料含有溶液を固液分離する方法などが挙げられる。蒸発乾固させる方法としては、例えば、炭素材料含有溶液の溶媒が水である場合、ホットプレート上や乾燥機内で炭素材料含有溶液を加熱し水分を蒸発させる第一の方法;炭素材料含有溶液を常温・常圧下で放置して、炭素材料含有溶液の溶媒を蒸発させる第二の方法;炭素材料含有溶液を溶媒が沸騰しない程度の温度に加熱して、炭素材料含有溶液の溶媒を蒸発させる第三の方法などが挙げられる。第一の方法において、ホットプレートや乾燥機内の設定温度は、ホットプレート・乾燥機と加熱容器の大きさなどに応じて適宜調整すればよく、具体的には例えば80~200℃である。第三の方法において、炭素材料含有溶液を加熱する方法として、例えば、エバポレーターなどを用いることができる。炭素材料含有溶液を蒸発乾固させた後、必要により、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料をさらに乾燥させてもよい。アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を乾燥させる方法としては、例えば、加熱乾燥;風乾;乾燥剤を備えた真空デシケータ内に静置し、油回転真空ポンプで真空デシケータ内を減圧することで、減圧乾燥する方法などが挙げられる。炭素材料含有溶液を固液分離する方法としては、例えば、濾過、デカンテーション、遠心分離などが挙げられる。また、固液分離後に得られたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料についても蒸発乾固させた場合と同様に、必要によりさらに乾燥させてもよい。

【0031】
以上により、アルカリ土類金属化合物を炭素材料に対するアルカリ土類金属の質量分の比率で、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.05質量%~10質量%、さらに好ましくは、0.1質量%~5質量%付着したアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得ることができる。

【0032】
[第二工程]
第二工程では、金化合物溶液にカルコゲン化物を添加して、Au-カルコゲン錯体含有溶液を得る。Au-カルコゲン錯体含有溶液中には、Au-カルコゲン結合をもつAu-カルコゲン錯体が形成される。これにより、第三工程において、金化合物溶液に含まれる金化合物と、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料との接触を抑制し、炭素の還元作用による粗大な金粒子の生成を抑制することができる。

【0033】
(金化合物溶液)
金化合物溶液は、金化合物を含有する溶液である。金化合物溶液の濃度は、得られる炭素担持金ナノ粒子材料の複数の金ナノ粒子の担持量などに応じて適宜調整すればよく、好ましくは0.01mg/L~1g/L、より好ましくは1~20mg/Lである。

【0034】
金化合物溶液の溶質である金化合物は、金ナノ粒子の前駆体であり、例えば、金の水酸化物、塩化物、カルボン酸塩、硝酸塩、塩化金酸、塩化金酸塩、酢酸金、金錯体化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独で用いられてもよいし、必要であれば2種以上を併用してもよい。具体的に、金化合物としては、例えば、四塩化金酸(HAuCl4)、四塩化金酸塩、三塩化金(AuCl3)、シアン化金(AuCN)、シアン化金(III)酸カリウム(K〔Au(CN)4〕)、三塩化ジエチルアミン金〔(C2H52NH・AuCl3〕、酢酸金、エチレンジアミン金錯体及びその誘導体、ジメチル金β-ジケトン誘導体金錯体、ジエチル金β-ジケトン誘導体金錯体、シアン化金(I)酸カリウム{K〔Au(CN)2〕}、(CH32Au(CF3COCHCOCH3)、(CH32Au(CF3COCHCOCF3)、(C2H52Au(CH3COCHCOCH3)、(CH32Au(C6H5COCHCOCF3)、金/アミノ酸系化合物錯体などを用いることができる。四塩化金酸塩としては、例えば、NaAuCl4などを用いることができる。エチレンジアミン金錯体としては、例えば、塩化物塩(Au[C2H4(NH222Cl3)などを用いることができる。ジメチル金β-ジケトン誘導体金錯体としては、例えば、ジメチル金アセチルアセトナート((CH32Au(CH3COCHCOCH3))などを用いることができる。金/アミノ酸系化合物錯体としては、例えば、金-グリシン錯体(Au(gly)(OH)2)などを用いることができる。金/アミノ酸系化合物錯体とは、金イオンを中心とし、配位子にアミノ酸系化合物を含む錯体である。アミノ酸系化合物とは、その分子構造内にアミノ基及びカルボキシル基の両方を含む有機化合物である。なかでも、四塩化金酸、四塩化金酸塩、三塩化金、シアン化金、シアン化金(III)酸カリウム、三塩化ジエチルアミン金、酢酸金、エチレンジアミン金錯体及びその誘導体、ジメチル金β-ジケトン誘導体金錯体、及びジエチル金β-ジケトン誘導体金錯体、並びに金/アミン酸系化合物錯体から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。

【0035】
金化合物溶液の溶媒は、アルカリ土類金属イオン含有溶液の溶媒として例示したものと同様の溶媒を用いることができる。

【0036】
(カルコゲン化物)
カルコゲン化物は、例えば、アルカリ金属のカルコゲン水素化物、カルコゲン水素化合物、金属カルコゲン化物、有機カルコゲン化物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いられてもよいし、必要であれば2種以上を併用してもよい。アルカリ金属のカルコゲン水素化合物としては、例えば、硫化水素ナトリウム(NaHS)、硫化水素カリウム(KHS)、セレン化水素ナトリウム(NaHSe)、セレン化水素カリウム(KHSe)、テルル化水素ナトリウム(NaHTe)、テルル化水素カリウム(KHTe)などが挙げられる。アルカリ金属の金属カルコゲン化物としては、例えば、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化カリウム(K2S)、セレン化ナトリウム(Na2Se)、セレン化カリウム(K2Se)、テルル化ナトリウム(Na2Te)、テルル化カリウム(K2Te)などが挙げられる。アルカリ金属の有機カルコゲン化物としては、例えば、チオアセトアミド(CH3CSNH2)、セレノアセトアミド(CH3CSeNH2)、テルロアセトアミド(CH3CTeNH2)、有機カルコゲン化物として、例えば、チオ尿素などが挙げられる。なかでも、カルコゲン化物は、硫黄原子を含むことが好ましく、カルコゲン化物が、硫化水素ナトリウムを含むことがより好ましい。カルコゲン化物として、硫化水素ナトリウム(NaHS)を用いることで、例えば、金属カルコゲン化物(例えば、硫化ナトリウム(Na2S))を用いる場合よりも、Au-S錯体含有溶液のpHの変動が緩慢となるため、後述する所望のpHに調整しやすくなる。さらに、得られる炭素担持金ナノ粒子材料の炭素材料に担持する複数の金ナノ粒子の粒径をより均一にすることができる。Au-S錯体含有溶液のpHの変動が緩慢となるのは、金属カルコゲン化物(例えば、硫化ナトリウム(Na2S))を用いると、水中で金属カルコゲン化物を構成する金属は全て解離してカルコゲンイオン(例えば、硫化物イオン(S2-))となり、このカルコゲンイオンのほとんどが加水分解してカルコゲン水素イオン(例えば、硫化水素イオン(HS))になるためと推測される。

【0037】
<添加方法>
金化合物溶液にカルコゲン化物を添加する方法としては、例えば、カルコゲン化物を金化合物溶液の溶媒と同一の溶媒に溶解させたカルコゲン化物含有溶液を得、得られるカルコゲン化物含有溶液を金化合物溶液に滴下する方法;カルコゲン化物がガス状である場合には、カルコゲン化物を金化合物溶液中に吹き込む方法などが挙げられる。金化合物溶液にカルコゲン化物を添加する際の金化合物溶液の温度は、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~30℃である。金化合物溶液にカルコゲン化物を添加した後、Au-カルコゲン錯体含有溶液を撹拌してもよい。金化合物溶液及びカルコゲン化物の使用量は、Au-カルコゲン錯体含有溶液のpHが後述する範囲内となるように調整すればよく、好ましくは、カルコゲン化物分子/Au原子=2~1000である。

【0038】
Au-カルコゲン錯体含有溶液のpHは、カルコゲン化物の種類などに応じて適宜調整すればよい。カルコゲンが硫黄である場合、Au-S錯体含有溶液のpHは、好ましくは3~14、より好ましくは6~13である。Au-S錯体含有溶液のpHが上記範囲内であれば、金ナノ粒子の粒子径がより小さい炭素担持金ナノ粒子材料が得られやすい。これは、Au-S錯体含有溶液のpHが上記範囲内であれば、硫化水素イオン(HS)の存在比率が高くなり、Au-S錯体の存在比率が支配的になるためと推測される。このAu-S錯体は、全体として疎水性を有し、疎水性を有する炭素材料との相性がよいため、金水酸化物(Au(OH)3)に比べて、炭素材料に吸着されやすい。そのため、本実施形態では、従来の製造方法のように、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液が酸性となるように調整して、炭素材料の表面に金カルコゲナイドを析出沈殿させなくとも、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料の表面に金カルコゲナイドを吸着させることができる。

【0039】
[第三工程]
第三工程では、Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加して、炭素担持金カルコゲナイドを得る。具体的には、Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加してアルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液を得、得られるアルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液から炭素担持金カルコゲナイドを分離する。炭素担持金カルコゲナイドは、その担体であるアルカリ土類金属化合物分散炭素材料の表面に金カルコゲン化物が担持されている。

【0040】
Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加する方法としては、例えば、Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を直接加える方法;Au-カルコゲン錯体含有溶液の溶媒と同一の溶媒にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を分散させたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料分散液を得、得られるアルカリ土類金属化合物分散炭素材料分散液にAu-カルコゲン錯体含有溶液を加える方法などが挙げられる。アルカリ土類金属化合物分散炭素材料の添加量は、炭素担持金ナノ粒子材料の使用目的、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料の形状などに応じて適宜調整すればよい。

【0041】
この際、Au-カルコゲン錯体含有溶液の溶媒が水であり、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料が粉末である場合、例えば、Au-カルコゲン錯体含有溶液にアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を添加した後、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料をアルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液中に分散させることが好ましい。これにより、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料の表面に金カルコゲナイドが吸着されやすくなる。アルカリ土類金属化合物分散炭素材料をAu-カルコゲン錯体含有溶液中に分散させる方法としては、撹拌装置を用いる方法などが挙げられる。撹拌装置としては、超音波照射装置、マグネチックスターラー、ディスパーザー、アトランタ—などを用いることができる。この際、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液の温度は、好ましくは10~80℃である。分散時間は、好ましくは10分~2時間、さらに好ましくは30分~1時間である。アルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液のpHは、Au-カルコゲン錯体含有溶液のpHと同等である。

【0042】
金カルコゲナイドの組成は、用いるカルコゲン化物の種類によって異なり、カルコゲン化物として硫黄原子を含むものを用いる場合には、例えば、Au2S3、Au2Sなどが挙げられ、カルコゲン化物としてセレン原子を含むものを用いる場合には、例えば、Au2Se3、Au2Seなどが挙げられる。

【0043】
得られるアルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液から炭素担持金カルコゲナイドを分離する方法としては、例えば、濾過法、遠心分離法などが挙げられる。濾過の場合、繰り返しデカンテーションを行った後に濾過するなど、分離の際に炭素担持金カルコゲナイドの洗浄を行うことが好ましい。

【0044】
アルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液から炭素担持金カルコゲナイドを分離した後、分離した炭素担持金カルコゲナイドを乾燥させることが好ましい。乾燥温度は、好ましくは80~110℃である。乾燥時間は、好ましくは1~24時間である。

【0045】
[第四工程]
第四工程では、炭素担持金カルコゲナイドを加熱する。これにより、金カルコゲナイドを金に熱還元し、炭素担持金ナノ粒子材料が得られる。

【0046】
加熱条件は、金カルコゲナイドを金に熱還元することができる条件であれば、特に限定されない。加熱する際の雰囲気として、例えば、大気雰囲気、還元雰囲気などが挙げられ、なかでも還元雰囲気が好ましい。還元雰囲気下で加熱することにより、大気雰囲気下で加熱する場合よりも、金カルコゲナイドの還元反応を促進させることができる。還元雰囲気としては、例えば、不活性ガス中に水素を混合した水素流通雰囲気などが挙げられる。水素の混合比は、体積比で好ましくは20~100%である。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴンなどが挙げられる。

【0047】
大気雰囲気下で加熱する場合、加熱温度は、好ましくは110~800℃、より好ましくは200~300℃であり、加熱時間は、好ましくは1~24時間、より好ましくは2~4時間である。還元雰囲気、例えば、水素流通雰囲気下で加熱する場合、加熱温度は、好ましくは110~800℃、より好ましくは110~300℃であり、加熱時間は、好ましくは1~24時間、より好ましくは2~4時間である。

【0048】
[炭素担持金ナノ粒子材料]
本実施形態に係る炭素担持金ナノ粒子材料は、炭素材料と、炭素材料に担持した複数の金ナノ粒子と、炭素材料に分散した複数のアルカリ土類金属化合物粒子と、を備える。

【0049】
本実施形態に係る炭素担持金ナノ粒子材料は、後述する触媒、導電性材料、がん治療用マーカー、高感度DNA検出素子、センサーなどとして好適に使用することができる。

【0050】
(炭素担持金ナノ粒子材料)
複数の金ナノ粒子の平均粒子径は、好ましくは20nm以下、より好ましくは0.8nm以上5nm以下、さらに好ましくは0.8nm以上2nm以下である。金ナノ粒子の平均粒子径は、実施例に記載の方法と同様に、X線吸収微細構造(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure)分析により測定される値である。

【0051】
各金ナノ粒子を構成する金原子の数(構成原子数)は、特に限定されないが、例えば、11、13、55、101、147、309、561からなる群より選択される1種以上である。

【0052】
複数の金ナノ粒子の担持量は、炭素材料に対して、好ましくは0.01質量%~50質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%、さらに好ましくは0.5質量%~5質量%である。複数の金ナノ粒子の担持量は、実施例に記載の方法と同様に測定される値である。

【0053】
COの低温酸化触媒等に用いる場合には、複数の金ナノ粒子の少なくとも一部が、複数のアルカリ土類金属化合物粒子上に配置されていることが好ましい。これにより、より優れた触媒活性を発現させることができる。また、複数の金ナノ粒子の形状は、特に限定されず、断面略半球状であることが好ましい。複数の金ナノ粒子は、各々均一であり、かつ炭素材料の表面に均一に分散して配置されていることが好ましい。

【0054】
(アルカリ土類金属化合物粒子)
本実施形態に係る炭素担持金ナノ粒子材料は、その表面に複数のアルカリ土類金属化合物粒子が分散して付着されている。

【0055】
複数のアルカリ土類金属化合物粒子の付着量は、炭素材料に対するアルカリ土類金属の質量分の比率で、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である。複数のアルカリ土類金属化合物粒子の付着量は、XRF分析等により測定される値である。

【0056】
複数のアルカリ土類金属化合物粒子の材質は、アルカリ土類金属化合物である。アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩などが挙げられる。なかでもカルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を含むことが好ましく、カルシウム化合物を含むことがより好ましい。これにより、金粒子の微粒化ができる。カルシウム化合物としては、例えば、カルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩などが挙げられる。

【0057】
なお、ここでいう第4工程後に炭素材料に分散されているアルカリ土類金属化合物は、第1工程におけるアルカリ土類金属化合物と同一のものでもよいし、第3工程及び/又は第4工程の熱還元反応等を経て別の化合物でもよいし、それらが混合しているものでもよい。

【0058】
(炭素材料)
炭素材料は、上述した本実施形態の製造方法の炭素材料として例示したものと同様のものを用いることができる。

【0059】
(その他の成分)
本実施形態に係る炭素担持金ナノ粒子材料は、炭素材料と、複数の金ナノ粒子と、複数のアルカリ土類金属化合物粒子とを備えれば、本発明の所望の効果を損なわない範囲で他の成分が配合されていてもよい。

【0060】
[触媒]
本実施形態に係る触媒は、炭素担持金ナノ粒子材料を含む。本実施形態に係る触媒は、様々な化合物の製造に際して使用することができ、例えば、一酸化炭素を二酸化炭素へ低温酸化する際の触媒;プロピレンの気相一段合成反応する際の触媒;グルコースをグルコン酸に酸化する際の触媒などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【実施例】
【0062】
[実施例1](「1wt%‐Au/Ca/AC(300℃ 4h)」)
図1に示す手順に従って、以下のように、第一か焼物を得た。
【実施例】
【0063】
(第一工程)
105℃で24時間乾燥機で乾燥した「粒状白鷺WH2c, 8/32SS」(大阪ガスケミカル(株)製)を活性炭担体として用いた。活性炭粉末の粒子径は、8~32mesh(約500μm~2.4mm)である。活性炭粉末の全細孔容積は、相対圧力0.98における窒素吸着量から求めたところ、0.559mL/gであった。活性炭粉末のBET比表面積は、BET比表面積測定装置(Quantachrome製、「AUTOSORB-1-C」)を用いて、吸着温度77.4K、相対圧力0.01~1.0の範囲で窒素の吸着等温線を作成し、BETプロットから測定したところ、1250m2/gであった。
【実施例】
【0064】
乾燥後の活性炭粉末 2gを200mLの三角フラスコにとり、これにCa(OH)2水溶液(濃度:0.01mol/l)200mlを添加して活性炭含有水溶液を得た。この活性炭含有水溶液を20℃で24時間浸漬した後、ろ別し、105℃に設定した乾燥機(アズワン株式会社製、「ONW-450S」)で24時間乾燥して、粉末状のアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を得た。得られたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料の蛍光X線分析(XRF、株式会社リガク製エネルギー分散型蛍光X線分析装置EDXL300、Cuターゲットで測定)を行った結果を図2に示す。この結果から、得られたアルカリ土類金属化合物分散炭素材料の表面にカルシウム元素があることを確認した。なお、それ以外のFe等のピークは、活性炭担体に由来するものである。
【実施例】
【0065】
(第二工程)
20ppm Au(0.1mmol/L)の四塩化金酸(H[AuCl4])水溶液 500mLに、1mol/Lの硫化水素ナトリウム(NaHS)水溶液(1M)を0.3mL(0.3mmol相当)加えてよく撹拌してAu-S錯体含有溶液を得た。このAu-S錯体含有溶液のpHはおよそ12であった。
【実施例】
【0066】
(第三工程)
このAu-S錯体含有溶液に、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を1.0g加えて、超音波をかけて、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料を溶液中に1時間分散させ、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液を得た。
【実施例】
【0067】
次いで、アルカリ土類金属化合物分散炭素材料含有溶液のデカンテーションを繰り返しながら洗浄し、吸引濾過によって第一濾取物を得た。
【実施例】
【0068】
得られた第一濾取物の一部を、大気雰囲気下、室温で24時間以上乾燥させて、第一乾燥物を得た。得られた第一乾燥物のX線吸収微細構造(XAFS)分析及びXRF分析(Cuターゲット、RX-9ターゲット(株式会社リガク製)を使用)を行った。測定結果を図3、図4A、及び図4Bに示す。
【実施例】
【0069】
このXAFS分析の際、振動抽出範囲は波数k=2~16、FEFF解析をするにあって、R空間はR=1.8-3.3とした。以下のXAFS分析も同じ条件で行った。図3中、「1wt%‐Au/Ca/AC(RT‐dry)」は第一乾燥物を指す。
【実施例】
【0070】
また、図3中、「Au‐S complex solution」はAu-Sの結合を分析するための標本である。具体的には、0.1mol/LのHAlCl4水溶液と1mol/LのNaOH水溶液を混合後16時間静置し、そこにさらに0.4mol/LのNaHS水溶液を加えて撹拌後、最後に1mol/LのHNO3水溶液を混合・撹拌して得られた、Au-S錯体含有水溶液の分析結果を示す。
【実施例】
【0071】
図3のグラフは動径構造関数であり、横軸(R(Å))は中心原子(金原子)に対する結合距離を意味し、縦軸(|χ(R)|(Å-4))の値はその配位数に依存する値である。
【実施例】
【0072】
また、図4A、及び図4BのXRF分析結果より、得られた第一乾燥物の表面にカルシウム元素、金元素、硫黄元素があることを確認した。なお、それ以外のFe、Cl等のピークは、活性炭担体に由来するものである。
【実施例】
【0073】
(第四工程)
得られた第一濾取物の一部を、大気雰囲気下、105℃で24時間乾燥させ、次いで電気炉で、大気雰囲気下、300℃、4時間か焼して、第一か焼物を得た。
【実施例】
【0074】
得られた第一か焼物の蛍光X線分析(XRF)及びXAFS分析を行った。XRF分析の結果から、第一か焼物の表面にカルシウム元素が存在していることを確認した。また、XAFS分析の測定結果を図5に示す。図5中、「1wt%‐Au/Ca/AC(300℃ 4h)」は、第一か焼物を指す。図5中のグラフは動径構造関数であり、横軸(R(Å))は中心原子(金原子)に対する結合距離を意味し、縦軸(|χ(R)|(Å-4))の値はその配位数に依存する値である。
【実施例】
【0075】
さらに、得られた第一か焼物を、高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM:High-Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)で観察した。第一か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:50万倍)を図6Aに示す。第一か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:70万倍)を図6Bに示す。図6A及び図6B中、白色部が金粒子を指す。
【実施例】
【0076】
一方、原子吸光分析(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)により、吸引濾過により得られた液体(濾液)の金濃度を決定し、元のH[AuCl4]水溶液との差分から金の担持量を見積もったところ、金の担持量は、担体(活性炭粉末)に対して1質量%であった。また、XRF分析によりカルシウム化合物の付着量を測定したところ、カルシウムとして、担体(活性炭粉末)に対して0.25質量%であった。
【実施例】
【0077】
〔触媒特性(CO酸化)〕
第一か焼物 150mgをガラス製U字型反応管(内径10mm)に充填して触媒層を形成し、窒素と酸素の混合ガスを流通しながら触媒層の温度が250℃となるように電気炉で加温し、30分間窒素と酸素の混合ガスを流通させた。次いで、室温~300℃の測定温度で、ガス組成が一酸化炭素/酸素/窒素=1/20/79(CO容積1%)の混合ガスを毎分50mLの流量で反応管に流通させた。反応開始後30分の反応器出口ガスの分析をガスクロマトグラフィーにて行ったところ、CO酸化反応に対する触媒活性が認められた。
【実施例】
【0078】
[実施例2](「Au/Ca/AC」)
第四工程において、得られた濾取物の一部を電気炉でか焼する代わりに、水素流通下、300℃、2時間の条件でか焼した他は、実施例1と同様にして、第二か焼物を得た。金の担持量は、担体(活性炭粉末)に対して1質量%であった。得られた第二か焼物のXRF分析(Cuターゲット、RX-9ターゲットを使用)及びXAFS分析を行った。測定結果を図7A、図7B、図8に示す。図7A、図7BのXRF分析結果より、得られた第二か焼物の表面にカルシウム元素、金元素、硫黄元素があることを確認した。なお、それ以外のFe、Si等のピークは活性炭担体に由来するものである。また、図8中、「Au/Ca/AC」は、第二か焼物を指す。図8中のグラフは動径構造関数であり、横軸(R(Å))は中心原子(金原子)に対する結合距離を意味し、縦軸(|χ(R)|(Å-4))の値はその配位数に依存する値である。
【実施例】
【0079】
[実施例3](「1wt%‐Au/Mg/AC(300℃ 4h)」)
第一工程において、水酸化カルシウム水溶液を用いる代わりに、水酸化マグネシウム水溶液(濃度:0.01mol/l)を用いた他は実施例1と同様にしてMg化合物粒子及び金ナノ粒子を備えた第三か焼物を得た。金の担持量は、担体(活性炭粉末)に対して1質量%であった。
【実施例】
【0080】
得られた第三か焼物を、HAADF-STEMで観察した。第三か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:70万倍)を図9Aに示す。第三か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:50万倍)を図9Bに示す。第三か焼物の表面のHAADF-STEM画像(倍率:17万倍)を図9Cに示す。図9Aないし図9C中、白色部が金粒子を指す。
【実施例】
【0081】
〔触媒特性(CO酸化)〕
第一か焼物150mgの代わりに第三か焼物150mgを用いた他は、実施例1と同様にして流通させたガスの分析を行ったところ、CO酸化反応に対する触媒活性が認められた。
【実施例】
【0082】
[実施例4](「1wt%‐Au/Sr/AC(300℃ 4h)」)
第一工程において、水酸化カルシウム水溶液を用いる代わりに、水酸化ストロンチウム水溶液(濃度:0.01mol/l)を用いた他は実施例1と同様にしてSr化合物粒子及び金ナノ粒子を備えた第四か焼物を得た。金の担持量は、担体(活性炭粉末)に対して1質量%であった。
【実施例】
【0083】
[比較例1](「1wt%‐Au/AC(300℃ 4h)」)
第一工程において水酸化カルシウム水溶液を用いず、第二工程においてアルカリ土類金属化合物分散炭素材料の代わりに第一工程で得られた活性炭粉末を用いた他は、実施例1と同様にして、第二濾取物を得た。
【実施例】
【0084】
第二濾取物の一部を、実施例1と同様に乾燥させて、第二乾燥物を得た。得られた第二乾燥物のXAFS分析を行った。測定結果を図3に示す。図3中、「1wt%‐Au/AC(RT‐dry)」は第二乾燥物を指す。
【実施例】
【0085】
次いで、第二濾取物の一部を、実施例1と同様にしてか焼して、第五か焼物を得た。金の担持量は、担体(活性炭粉末)に対して1質量%であった。
【実施例】
【0086】
得られた第五か焼物のXAFS分析を行った。測定結果を図5に示す。図5中、「1wt%‐Au/AC(300℃ 4h)」は、第五か焼物を指す。
【実施例】
【0087】
第一か焼物150mgの代わりに第五か焼物150mgを用いた他は、実施例1と同様にして流通させたガスの分析を行ったところ、CO酸化反応に対する触媒活性が認められなかった。
【実施例】
【0088】
[比較例2](Au‐foil)
金箔(厚み:5μm)のXAFS分析を行った。測定結果を図3、図5、及び図8に示す。図3、図5及び図8中、「Au-foil」は金箔を指す。
【実施例】
【0089】
[実施例及び比較例の結果]
図3から、実施例1の第一乾燥物(「1wt%‐Au/Ca/AC(RT‐dry)」)、及び比較例1の第二濾取物(「1wt%‐Au/AC(RT‐dry)」)では、Au-Sの結合を分析するための標本(「Au‐S complex solution」)と同様に、中心原子(金原子)に対する結合距離1.9Åの位置に、最大のピークを示した。実施例1の第一乾燥物、及び比較例1の第二濾取物は、各々の原料に硫黄原子を含むこと;Au-S結合の結合長は1.5~2Åであることから、実施例1の第一乾燥物、及び比較例1の第二濾取物は、Au-S結合を有することが確認できた。すなわち、実施例1の第一乾燥物(「1wt%‐Au/Ca/AC(RT‐dry)」)のXAFS分析の結果から、担体(アルカリ土類金属化合物分散炭素材料)の表面に金カルコゲナイドが支配的に存在していることがわかった。
【実施例】
【0090】
図5から、実施例1の第一か焼物(「1wt%‐Au/Ca/AC(300℃ 4h)」)、比較例1の第五か焼物(「1wt%‐Au/AC(RT‐dry)」)では、比較例2の金箔(「Au-foil」)と同様に、中心原子(金原子)に対する結合距離2.6Åの位置に、最大のピークを示した。比較例2の金箔は金を主成分とすること;Au-Au結合の結合長は2.8Åであることから、実施例1の第一か焼物、及び比較例1の第五か焼物は、Au-Au結合を有することが確認できた。さらに、中心原子(金原子)に対する結合距離2.6Åにおいて、実施例1の第一か焼物の金原子の配位数(金粒子の構成原子数)は8.1(粒子径1.29nmに相当)、比較例1の第五か焼物の金原子の配位数は11.1(粒子径5.75nmに相当)、比較例2の金箔の金原子の配位数は12であった。これらのXAFS分析の結果、XRF分析の結果及びHAADF-STEM分析の結果から、実施例1の第一か焼物は、金ナノ粒子を担持し、かつカルシウム化合物粒子が分散されており、その平均粒子径が1.29nmであることがわかった。さらに、比較例1の第五か焼物は、アルカリ土類金属化合物粒子が分散されておらず、金ナノ粒子のみを担持し、その平均粒子径が5.75nmであることがわかった。
【実施例】
【0091】
すなわち、実施例1では、活性炭粉末と水酸化カルシウム水溶液とを接触させ、乾燥して得られるアルカリ土類金属化合物分散炭素材料を金ナノ粒子の担体に用いたので、活性炭粉末をそのまま担体に用いた比較例1よりも、金ナノ粒子の平均粒子径が小さかった。
【実施例】
【0092】
また、図8から同様に、中心原子(金原子)に対する結合距離2.6Åにおいて、実施例2の第二か焼物の金原子の配位数(金粒子の構成原子数)は7.3(粒子径1.04nmに相当)であった。これらのXAFS分析の結果、XRF分析等の結果から、実施例2の第二か焼物は、金ナノ粒子を担持し、かつカルシウム化合物粒子が分散されており、その平均粒子径が1.04nmであることがわかった。

Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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