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明細書 :書き換え型ホログラフィック記録材料及びホログラム形成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6560234号 (P6560234)
登録日 令和元年7月26日(2019.7.26)
発行日 令和元年8月14日(2019.8.14)
発明の名称または考案の名称 書き換え型ホログラフィック記録材料及びホログラム形成装置
国際特許分類 C07D 209/88        (2006.01)
G03H   1/02        (2006.01)
FI C07D 209/88 CSP
G03H 1/02
請求項の数または発明の数 8
全頁数 21
出願番号 特願2016-545458 (P2016-545458)
出願日 平成27年8月19日(2015.8.19)
国際出願番号 PCT/JP2015/073261
国際公開番号 WO2016/031649
国際公開日 平成28年3月3日(2016.3.3)
優先権出願番号 2014171065
優先日 平成26年8月26日(2014.8.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成30年7月3日(2018.7.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】堤 直人
【氏名】木梨 憲司
【氏名】藪原 侑樹
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】東 裕子
参考文献・文献 特開2014-142401(JP,A)
特開平7-258563(JP,A)
特開2013-238845(JP,A)
IONITA,I. et al,REVISTA DE CHIMIE (BUCHAREST, ROMANIA),2013年,Vol.64, No.6,pp.612-619
調査した分野 C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)
【化1】
JP0006560234B2_000009t.gif
(式中、Rがヒドロキシル基(OH)、メトキシ基(OCH)、メチル基(CH)、トリメチルシリル基(Si(CH)又はフェニル基であり、Rは水素原子である)
で表される化合物。
【請求項2】
がヒドロキシル基又はメトキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物を含む、書き換え型ホログラフィック記録材料。
【請求項5】
さらにPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)を含む、請求項4に記載の記録材料。
【請求項6】
ホログラム像を記録かつ表示させるフォトリフラクティブ素子と、物体光及び参照光をフォトリフラクティブ素子に照射することによりホログラム像を記録する記録機構と、プローブ光をフォトリフラクティブ素子に照射することにより、記録機構で記録されたホログラム像を表示する表示機構を備え、前記フォトリフラクティブ素子の記録材料が請求項4又は5に記載の書き換え型ホログラフィック記録材料であり、前記記録機構は単一波長で赤画像(R)、緑画像(G)、青画像(B)からなる群から選ばれる少なくとも2つの色画像を角度多重記録することができ、前記表示機構は、前記記録色画像に対応する色成分を含むプローブ光で表示することができる、ホログラム形成装置。
【請求項7】
前記記録機構が、レーザ発振器、少なくとも3つの偏光ビームスプリッタ、少なくとも2つの空間光変調器(SLM)を備える、請求項6に記載のホログラム形成装置。
【請求項8】
物体光と参照光の波長は、前記記録材料の光吸収域の等吸収点に対応する、請求項6又は7に記載のホログラム形成装置。
【請求項9】
前記プローブ光の波長は、前記記録材料の透明域に設定されている、請求項6~8のいずれか1項に記載のホログラム形成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は書き換え型ホログラフィック記録材料及びホログラム形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の物質は良好な電荷輸送能を有することが知られており、その応用事例としてフォトリフラクティブ効果がある。フォトリフラクティブ効果とは、レーザーを照射するとポッケルス効果によって物質の屈折率が変化することである。具体的には2本のコヒーレントなレーザー光をクロスさせて媒体に照射する場合が挙げられる。クロスしたビームは互いに干渉し、媒体に周期的な干渉縞が形成される。この干渉縞においては、明所・暗所が交互に交差し、明所では媒体が光励起されて電荷キャリアが生成され、生成された電荷キャリアは、媒体に印加された外部電場によって明所からドリフト移動し、暗所でトラップされる。これにより、媒体には、周期的な電荷密度の分布が生じる。この周期的な電荷密度の分布は、ポッケルス効果を介して媒体に屈折率の周期的な変化を誘起する。
【0003】
このようなフォトリフラクティブ効果を用いることで、歪曲した媒体からのイメージング、実時間ホログラフィー、超多重ホログラム記録、3Dディスプレイ、3Dプリンター、更には光増幅、光ニュートラルネットワークを含む非線形光情報処理、パターン認識、光リミッティング、高密度光データの記憶等への応用が期待されている。
【0004】
しかしながら、フォトリフラクティブ効果では、数十V/μm(数MV/cm)の高電場を印加することが必要であり、高電場での絶縁破壊の欠点がある。
【0005】
無電場で、屈折率の周期的な変化を誘起する現象に光異性化によるフォトクロミック性を利用するものもあるが、安定性に問題があり短時間で記録した情報が消えてしまう欠点がある。特許文献1,2は高分子アゾベンゼン液晶や液晶成分とフォトクロミック成分を有するポリマーからなる書き換え型ホログラム材料を開示しているが、低分子のホログラム材料は開示していない。
【0006】
特許文献3、非特許文献1,2は、書き換え型ホログラフィックディスプレイ用のホログラム材料として、3-[(4-nitrophenyl)azo]-9H-carbazole-9-ethanol (NACzE)を開示しているが、この材料は吸収が長波長にあり、デバイスの色も赤色であった。このデバイスでは、561 nmや532 nmでのホログラムの書き込みには適しているが、デバイスの赤色の吸収のためにホログラムの読出しには580 nm以上の長波長しか用いることができず、光の3原色(RGB)のうち赤(R)での読出しにしか対応しない。従って、ホログラムのカラー化を狙うには、別の材料が必要となる。しかしながら、アゾベンゼンを有する材料は、赤色ないしオレンジ色の材料であり、緑(G)や青(B)を透過させるアゾベンゼン材料はない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2001-265199号公報
【特許文献2】特許2004-252327号公報
【特許文献3】WO2013/080883
【0008】

【非特許文献1】Opt. Mater. Express 2(8), 1003-1010 (2012)
【非特許文献2】Opt. Express 21 (17), 19880-19884 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ホログラムのカラー化に対応可能な書き換え型ホログラフィック記録材料及びホログラム形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、NACzEのニトロ基を吸収極大波長が短波長になる特定の基に変えることで、532 nmおよび491 nmで書き込みができ、630~640 nmの赤(R)、532 nm 緑(G)および515 nm 青緑(BG)を透過する理想的な書き換え型ホログラフィックデバイス用材料を開発でき、フルカラーのホログラフィックディスプレイが可能となることを見出した。
【0011】
本発明は、以下の化合物及び書き換え型ホログラフィック記録材料及びホログラム形成装置を提供するものである。
項1. 下記式(I)
【0012】
【化1】
JP0006560234B2_000002t.gif

【0013】
(式中R及びRは、同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、トリアルキルシリル基又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表される化合物。
項2. Rがヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、Rが水素原子である、項1に記載の化合物。
項3. Rがヒドロキシル基(OH)、メトキシ基(OCH)、メチル基(CH)、トリメチルシリル基(Si(CH)、フェニル基、フッ素原子または塩素原子であり、Rが水素原子である、項1に記載の化合物。
項4. 項1~3のいずれか1項に記載の化合物を含む、書き換え型ホログラフィック記録材料。
項5. さらにPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)を含む、項4に記載の記録材料。
項6. ホログラム像を記録かつ表示させるフォトリフラクティブ素子と、物体光及び参照光をフォトリフラクティブ素子に照射することによりホログラム像を記録する記録機構と、プローブ光をフォトリフラクティブ素子に照射することにより、記録機構で記録されたホログラム像を表示する表示機構を備え、前記フォトリフラクティブ素子の記録材料が項4又は5に記載の書き換え型ホログラフィック記録材料であり、前記記録機構は単一波長で赤画像(R)、緑画像(G)、青画像(B)からなる群から選ばれる少なくとも2つの色画像を角度多重記録することができ、前記表示機構は、前記記録色画像に対応する色成分を含むプローブ光で表示することができる、ホログラム形成装置。
項7. 前記記録機構が、レーザ発振器、少なくとも3つの偏光ビームスプリッタ、少なくとも2つの空間光変調器(SLM)を備える、項6に記載のホログラム形成装置。
項8. 物体光と参照光の波長は、前記記録材料の光吸収域の等吸収点に対応する、項6又は7に記載のホログラム形成装置。
項9. 前記プローブ光の波長は、前記記録材料の透明域に設定されている、項6~8のいずれか1項に記載のホログラム形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ベンゼンのオルト位(R)及び/又はパラ位(R)の基を図1における吸収極大波長が短波長になる置換基定数σの基にするのが好ましく、例えばハロゲン原子(F,Cl,Brなど)、フェニル、Si(CH3)3、CH3、CH3O、OH、Hなどにすることで、短波長化を達成し、その結果、532 nmおよび491 nmで書き込みができ、630~640 nmの赤(R)、532 nm 緑(G)および515 nm 青緑(BG)を透過する理想的な書き換え型ホログラフィックデバイス用材料を開発できた。その結果、本発明の材料を用いたホログラフィクディスプレイにより、フルカラーのホログラフィックディスプレイが可能となる。さらに、今回の発明による書き換え型ホログラフィックデバイスでは、メモリー効果が優れている特徴を有している。これをうまく使うことにより、マトリックスのガラス転移点を下げて、応答速度を速くしても、ホログラムのメモリー性が担保される特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】置換基定数σと吸収極大波長の関係を示す。本発明では、修正ハメット則が当てはまり、trans-cis等吸収点及び吸収極大波長において、V字型傾向を示す。置換基定数σがゼロ近くで吸収極大と等吸収点が一番短波長となる。青色レーザーに最大感度を持たせるにはフッ素や塩素などのハロゲン系置換基(σ=約0)が有効。赤色レーザーに最大感度を持たせるにはN(CH3)3+、S(CH3)2+、N2+などの電子吸引性の置換基が有効。
【図2】本発明の装置の1つの実施形態を示す。偏光ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter: PBS)。空間光変調器(SLM)は、空間的・時間的に振幅変調、位相変調、または偏光を変調。
【図3】NACzE、CACzE、MACzEの吸光特性を示す。(A):計算より得られたシス体の吸収をそのままトレース(シス体はどの材料も同じ位置と仮定)。計算結果と実測値(PMMA中)の吸収スペクトルは、ピークおよび等吸収点共にほぼ一致。最高のHolo特性を得るには、吸収点で書き込む。NA:最適な波長は561nmでOK。 CA:最適な波長は532nmでOK。 MA:最適な波長は473nmでOK。
【図4】本発明のフルカラーの装置の1つの実施形態を示す。
【図5】フルカラー装置に用いる表示機構(4)の1つの実施形態を示す。図2では、Laser(B) は使用していない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ及びヘキシルオキシなどのC1-6の直鎖又は分岐を有する低級アルコキシ基が挙げられる。

【0017】
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。

【0018】
トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリn-プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリn-ブチルシリルなどが挙げられる。

【0019】
アシルオキシ基としては、炭素数C1-6アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ又はアリール置換C1-4アルキルカルボニルオキシが挙げられる。

【0020】
1-6アルキルカルボニルオキシの具体例としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n-プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、n-ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、n-ペンチルカルボニルオキシ、イソペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシが挙げられる。

【0021】
アリールカルボニルオキシの具体例としては、フェニルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ、フルオレニルカルボニルオキシ、アントリルカルボニルオキシ、ビフェニリルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルカルボニルオキシ、クロマニルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルカルボニルオキシ、インダニルカルボニルオキシ及びフェナントリルカルボニルオキシが挙げられる。

【0022】
アリール置換C1-4アルキルカルボニルオキシの具体例としては、ベンジルカルボニルオキシ、ナフチルメチルカルボニルオキシ、フルオレニルメチルカルボニルオキシ、アントリルメチルカルボニルオキシ、ビフェニリルメチルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルメチルカルボニルオキシ、クロマニルメチルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチル、インダニルメチルカルボニルオキシ、フェナントリルメチルカルボニルオキシ、フェネチルカルボニルオキシ、ナフチルエチルカルボニルオキシ、フルオレニルエチルカルボニルオキシ、アントリルエチルカルボニルオキシ、ビフェニリルエチルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルエチルカルボニルオキシ、クロマニルエチルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルカルボニルオキシ、インダニルエチルカルボニルオキシ及びフェナントリルエチルカルボニルオキシが挙げられる。

【0023】
アリールの具体例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、ビフェニリル、テトラヒドロナフチル、クロマニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニル、インダニル、フェナントリルが挙げられる。

【0024】
モノ低級アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、n-ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ヘキシルアミノなどの炭素数1~6の直鎖又は分岐を有する低級アルキル基で置換されたアミノ基が挙げられる。

【0025】
ジ低級アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジtert-ブチルアミノ、ジn-ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ、ジヘキシルアミノなどの炭素数1~6の直鎖又は分岐を有するアルキル基でジ置換されたアミノ基が挙げられる。

【0026】
低級アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどの炭素数1~6の直鎖又は分岐を有するアルキル基が挙げられる。

【0027】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。

【0028】
本発明の化合物において、R及び/又はRで表される基は、置換基定数σが好ましくは-0.4~0.35、より好ましくは-0.3~0.3、さらに好ましくは-0.2~0.25、特に好ましくは-0.15~0.15である。R及び/又はRで表される好ましい基は、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、トリアルキルシリル基又はアルコキシカルボニル基であり、より好ましい基は水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、さらに好ましい基は、H、OH、OCH、CH、Si(CH、フェニル基、FまたはClである。

【0029】
図1は置換基定数σと吸収極大波長の関係を示すものであり、図2に示すように赤色レーザーに最大感度を持たせるには、R及び/又はRで表される置換基は置換基定数σが0.6以上、好ましくは0.7以上であることが有効であり、青色レーザーに最大感度を持たせるには、R及び/又はRで表される基は置換基定数σ=0付近の基が最も有効であると考えられる。2つのR基は同一であっても異なっていてもよい。

【0030】
及び/又はRで表される基が水素原子、ハロゲン系の置換基(F,Cl,Brなど)であれば短波長側の光を吸収し、カラー対応のリライタブルな無電界駆動のデバイスが得られるので特に好ましい。R及び/又はRで表される置換基は、より好ましくはフッ素原子である。

【0031】
1個のRと2個のRは、全てが水素原子以外の基でもよいが、2個以下の基が水素原子以外の基であるのが好ましく、2~3個が水素原子であり、0~1個が水素原子以外の置換基であるのが好ましい。また、Rが水素原子以外の置換基であり、Rはいずれも水素原子であるのが最も好ましい。なお水素原子以外の基は、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、トリアルキルシリル基又はアルコキシカルボニル基を指す。本発明の化合物は、以下のスキーム1~スキーム3に従い製造することができる。
<スキーム1>

【0032】
【化2】
JP0006560234B2_000003t.gif

【0033】
(式中、Rは前記に定義されるとおりである。Rは、同一または異なって、低級アルキル基を示す。)
化合物(1)をPd/Cを用いて接触水素化することにより、ニトロ基がアミノ基に変換された化合物(I-1)を得ることができる。反応は溶媒中で室温程度の温度下に触媒量から過剰量のPd/Cを用い、1~24時間反応させることで有利に進行する。溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール、水、テトラヒドロフラン、エーテルなどが挙げられる。

【0034】
化合物(I-1)1モルを1~1.2モルの炭素数1~6のケトン又はアルデヒド及び1当量から過剰量のNaCNBH3と溶媒中で反応させることにより、アミノ基をモノ低級アルキルアミノ基に変換した化合物(I-2)を得ることができる。溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール、水、テトラヒドロフラン、エーテルなどが挙げられる。炭素数1~6のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナールが挙げられ、炭素数1~6のケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタン-3-オンなどが挙げられる。

【0035】
化合物(I-2)1モルを1モルから過剰量の炭素数1~6のケトン又はアルデヒド及び1当量から過剰量のNaCNBH3と溶媒中で反応させることにより、ジ低級アルキル基を置換基として有する化合物(I-3)を得ることができる。或いは化合物(I-2)1モルを1モル程度のR-Br又はR-Iで表される化合物と塩基の存在下に溶媒中で反応させることにより、ジ低級アルキル化されたアミノ基を有する化合物(I-3)を得ることができる。溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール、水、テトラヒドロフラン、エーテルなどが挙げられる。塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。
<スキーム2>

【0036】
【化3】
JP0006560234B2_000004t.gif

【0037】
(式中、Rは前記に定義されるとおりである。Rは低級アルキル基又はアシル基を示す。)
化合物(2)とヨウ化ベンゼンをCuO/KOHと反応させて化合物(3)を得、化合物(3)をPd(AcO)2/AcOHと反応させて閉環することにより公知の化合物(4)を得る。化合物(4)1モルに対し化合物(5)を1モルから過剰量、Cs2O3を1モルから過剰量使用し、DMF中で反応させることにより化合物(6)を溶液中で生成させる。Cs2O3を濾過により除去し、メタノール及び触媒量から過剰量のpTSA(パラトルエンスルホン酸)を加えて撹拌することにより2-テトラヒドロピラニル保護基を脱保護して化合物(7)を得る。化合物(7)をPd/Cを用いて接触水素化することにより、ニトロ基がアミノ基に変換された化合物(8)を得ることができる。反応は溶媒中で室温程度の温度下に触媒量から過剰量のPd/Cを用い、1~24時間反応させることで有利に進行する。溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール、水、テトラヒドロフラン(THF)、エーテルなどが挙げられる。1モルの化合物(8)に対し1モル程度のフェノール化合物(9)及び1モルから過剰量のNaNO2と溶媒中で室温程度の温度下に1~12時間反応させることにより、アゾ化合物(I-4)を得ることができる。溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール、水、テトラヒドロフラン、エーテルなどが挙げられる。化合物(I-4)1モルに対し、1モル程度のRbI及び0.5モルから過剰量のK2CO3の存在下にDMF中で室温から100℃程度の温度下に1~24時間反応させることで、アルキル化された化合物(I-5)(ORb=低級アルコキシ基)を得ることができる。また、化合物(I-4)1モルに対し、1モルから過剰量のRbX(Xはハロゲン原子を示し、Rbはアシル基を示す)で表されるアシルハライド或いはRbOCOEt(Etはエチル基を示し、Rbはアシル基を示す)で表わされる混合酸無水物と必要に応じて1モルから過剰量のK2CO3、トリエチルアミンなどの塩基の存在下にテトラヒドロフランなどの溶媒中で室温から溶媒の沸騰する程度の温度下に1~12時間反応させることで、アシル化された化合物(I-5)(ORb=アシルオキシ基)を得ることができる。
<スキーム3>

【0038】
【化4】
JP0006560234B2_000005t.gif

【0039】
(式中、R、Rは前記に定義されるとおりである。)
化合物(10)1モルに対し2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロピランを1モルから過剰量、NaIを1モルから過剰量使用し、DMF中で反応させることにより化合物(11)を溶液中で生成させる。反応混合物にメタノール及び触媒量から過剰量のpTSAを加えて撹拌することにより2-テトラヒドロピラニル保護基を脱保護して化合物(12)を得る。1モルの化合物(12)に対し1モル程度の化合物(13)及び1モルから過剰量のNaNO2と触媒量のNaDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を加え、水と塩化メチレンの2相系で激しく撹拌しながら室温程度の温度下に1~12時間反応させることにより、アゾ化合物(14)を得ることができる。アゾ化合物(14)を原料として、式(I)の化合物を得ることができる。
(書き換え型ホログラフィック記録材料)
本発明の書き換え型ホログラフィック記録材料は、本発明の一般式(I)の化合物にポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)などのポリマーを配合することで得ることができる。用いるポリマーは、PMMAやPMAに限るものではなく、ポリエチルメタクリレート(PEMA)を含むポリアルキルメタクリレートやポリエチルアクリレート(PEA)を含むポリアルキルアクリレートやポリスチレンなどの光学的に透明なポリマー材料を含む。さらに、用いるポリマーは、本発明の一般式を側鎖に有するビニルモノマーとメチルメタクリレート(MMA)などのアルキルメタクリレートあるいはアルキルアクリレートとの共重合体(コポリマー)材料を含む。

【0040】
本発明の書き換え型ホログラフィック記録材料の膜厚は10~200μmが好適である。

【0041】
本発明の書き換え型ホログラフィック記録材料は、本発明の化合物、PMMA、PMAなどのポリマー等を溶媒に溶解させる溶解工程と、この溶媒を留去する溶媒留去工程と、サンドイッチ型デバイス作製工程とを含む製造方法によって製作される。溶媒としては特に限定されるものではなく、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)やジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が使用され、好ましくはTHFである。溶解温度は室温程度であればよく、必要に応じてスターラーチップにより溶液を撹拌してもよい。

【0042】
溶媒留去工程では、各成分が溶解された溶液の溶媒を除去する。溶媒を除去する方法としては特に限定されるものではなく、例えば板材上でキャストフィルムを得るようにすればよい。具体的には、ガラス板上に各成分が溶解された溶液を流延し、その後室温で溶媒を蒸発させ、続いてこれを一晩自然乾燥させる。その後真空乾燥器等に入れ約80℃で12時間減圧乾燥させ溶媒をさらに蒸発させる。

【0043】
サンドイッチ型デバイス作製工程では、溶媒を留去後、四隅にスペーサー(例えばポリイミド、厚み:50μm)を配置してその後もう一枚のガラス基材を上に乗せ、適度な温度をかけながら真空プレス機で圧着して、サンドイッチ型書き換え型ホログラム用デバイスを作製する。

【0044】
(ホログラム形成装置)
以下、フォトリフラクティブ素子材料として本発明の材料を使用したホログラム形成装置(1)の実施形態について説明する。図2は本発明の材料を使用した赤色(R)と緑色(G)の二色を使った3次元ホログラム形成装置の記録機構を主体とした概略構成図である。本発明のホログラム形成装置(1)は、ホログラム像を記録かつ表示させるフォトリフラクティブ素子(2) と、物体光(Object R & G)及び参照光(Reference R & Reference G)をフォトリフラクティブ素子(2)に照射することによりホログラム像を記録する記録機構(3)と、プローブ光(Reading R & G)をフォトリフラクティブ素子(2)に照射することにより、記録機構(3)で記録されたホログラム像を表示する表示機構(4)とで主に構成されている。

【0045】
図2に示す3次元ホログラム形成装置は、従来の赤色(R)一色のみを使った3次元ホログラム形成装置よりも自然な色あいの再生像を得ることができる。赤色(R)と青色(B)の二色、青色(B)と緑色(G)の二色、赤色(R)と緑色(G)と青色(B)の三色を使った3次元ホログラム形成装置も本発明に包含される。

【0046】
ホログラム像を記録する本実施形態の記録機構(3)は、レーザーを発振するレーザー発振器(4)と、このレーザー発振器(4)から発振されたレーザービームを反射させる第1の固定ミラー(5)と、この第1の固定ミラー(5)で反射したレーザービームの光軸上に配置された第1の偏光ビームスプリッター(PBS)(6)でレーザービームをPBSを直進するp-偏光の第1の偏光レーザービーム(B1)と、PBSで反射されるs-偏光の第2の偏光レーザービーム(B2)に2分割する。2分割されたレーザービームの一方であるB2は、半波長板(λ/2)を通り、第2のPBS(7)により直進するp-偏光のレーザービーム(B21)と、第2のPBS(7)で反射されるs-偏光のレーザービーム(B22) に2分割される。

【0047】
もう一方のレーザービーム(B1)は、第3の偏光ビームスプリッター(PBS, 8)、パーソナルコンピュータ(PC, 9)に保存された画像、ディバイダ(Divider)に接続された2つの空間光変調器(SLM-R, 10)と(SLM-G, 11)により、それぞれ赤色(R)に対応する物体光(B11)、緑色(G)に対応する物体光(B12)になり、これらが合わさった物体光(Object R & G)がディフュ-ザ(Diffuser)及びレンズ(L)を通ってフォトリフラクティブ素子(2)に照射される。

【0048】
2つのレーザービーム(B21、B22)は、それぞれ赤色の参照光(Reference R)と緑色の参照光(Reference G)になり、赤色(R)に対応する物体光(図2中ではObject R & Gと混合した形で表示されている。このうちのObject R)を構成する物体光(B11)、緑色(G)に対応する物体光(図2中ではObject R& Gと混合した形で表示されている。このうちのObject G)を構成する物体光(B12)とそれぞれ干渉してフォトリフラクティブ素子(2)に干渉縞を作る。すなわち、2つの物体光(B11、B12)が参照光(B21、B22)と共にフォトリフラクティブ素子(2)に照射され、物体光に含まれる空間的な強度分布及び位相分布を干渉縞として、物体光(B11、B12)の空間情報がフォトリフラクティブ素子(2)に記録される。この時、記録波長は図3に示す材料の光吸収域の等吸収点に選ぶことが好ましい。MACzEの場合は480nm近傍になり、CACzEの場合は510nm近傍になり、NACzEの場合は560nm近傍になる。

【0049】
記録されたホログラム像を表示する表示機構(4)は、赤色(R)と緑色(G)のレーザーを発振するレーザー発振器を持つ。ホログラム像を表示するためフォトリフラクティブ素子に照射するプローブ光(Reading R & G)の波長は、図3におけるフォトリフラクティブ素子材料の光吸収の少ない透明域を選択する。プローブ光の赤色(R)はp-偏光、緑色(G)はs-偏光であり、レーザー発振器からのレーザー光に対し1/2波長板あるいはPBSならびに同機能を有する光学素子を用いて偏光方向を変える。図2,4のプローブ光としては、例えばLED光源の光を単色光化する、或いはコヒレントなレーザー光を使用する、などが可能である。図5にフルカラー装置に用いる表示機構(4)の1つの実施形態を示す。本発明のホログラム形成装置が図2のように赤色(R)と緑色(G)の二色を使用する場合、図5のLaser(B)は使用せず、ホログラム形成装置が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色を使ったフルカラー3次元ホログラム形成装置(図4)の場合には、Laser(B)、Laser(G)、Laser(R)を全て使用する。

【0050】
レーザー発振器(5a)から発振されたレーザービームは、プローブ光(Reading R & G)としてフォトリフラクティブ素子(2)に照射される。記録機構(3)によって書き込まれた空間情報は、フォトリフラクティブ素子(2)に表示される。フォトリフラクティブ素子(2)は、電界印加がない状態で赤色(R)と緑色(G)を重ね合わせたホログラム像を記録及び表示できる。

【0051】
赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色を使ったフルカラー3次元ホログラム形成装置(図4)も同様に容易に実現可能である。フルカラー3次元ホログラム形成装置(図4)の場合、PBS(6)を直進した偏光レーザビ-ム(B1)は、PBS(8)、PC(9)に保存された画像、2つの空間光変調器(SLM-B, 10)と(SLM-G, 11)により青色(B)に対応する物体光(B11)、緑色(G)に対応する物体光(B12)になる。偏光レーザービーム(B2)は、半波長板(λ/2)を通り、次のPBS(6a)により直進するレーザービーム(B21)と、PBS(6a)で反射されるレーザービーム(B22) に2分割される。レーザービーム(B22)は、固定ミラー(M)で反射され、PBS(8a)、PC(9)に保存された画像、もう1つの空間光変調器(SLM-R, 12)により赤色(R)に対応する物体光(B13)になる。3つの物体光(B11、B12、B13)が合わさった物体光(Object RGB)がディフュ-ザ(Diffuser)を通ってフォトリフラクティブ素子(2)に照射される。

【0052】
偏光レーザービーム(B21)は、半波長板(λ/2)を通り、次のPBS(6b)により直進するレーザービーム(B211)と、PBS(6b)で反射されるレーザービーム(B212) に2分割される。2分割されたレーザービームの一方であるB212は、半波長板(λ/2)を通り、PBS(6c)により直進するp-偏光のレーザービーム(B2121)と、PBS(6c)で反射されるs-偏光のレーザービーム(B2122) に2分割される。3つのレーザービーム(B211、B2121、B2122)は、それぞれ青色の参照光(Reference B)と赤色の参照光(Reference R)と緑色の参照光(Reference G)になり、青色(B)に対応する物体光(B11)、緑色Gに対応する物体光(B12)、赤色(R)に対応する物体光(B13)とそれぞれ干渉してフォトリフラクティブ素子(2)に干渉縞を作る。

【0053】
記録されたホログラム像を表示する表示機構(4)は図5に示すような装置を用いることができる。赤色(R)と緑色(G)と青色(B)のレーザーを発振するレーザー発振器を持ち、赤色レーザー(R)は半波長板(λ/2)を通りミラーで進路を90度曲げられ、緑色レーザー(G)は半波長板(λ/2)を通りダイクロイックミラーで進路を90度曲げられ、青色レーザー(B)は半波長板(λ/2)を通りダイクロイックミラーで進路を90度曲げられる。赤色(R)と緑色(G)と青色(B)は一つにまとめられプローブ光(Reading RGB)になる。プローブ光(Reading RGB)の波長は図3におけるフォトリフラクティブ素子材料の透明域を選択する。

【0054】
図3はホログラフィック材料(NACzE、CACzE、MACzE)の吸光特性である。図3(a)はNACzE、CACzE、MACzEのトランス体とシス体の吸光特性の計算データであり、図3(b)はPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)中NACzE、CACzE、MACzEの吸光特性の実験データである。両図より、計算値と実験値は一致しており、思惑通りの材料が合成できていることがわかる。

【0055】
図3中の等吸収点とは各材料のトランス体とシス体との光吸収がほぼ同じになる光波長である。ホログラム形成装置において、記録は記録の特性が優れている光等吸収点近傍の波長の光(レーザー光)を用い、再生は吸収係数の小さい透明領域を用いることによって、効率と性能の向上を実現できる。従って、図3(b)よりNACzE、CACzE、MACzEの順に短波長化が実現できているので、これまでの赤のみの記録再生からより短波長の記録再生が可能である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
下記の反応式に従い、本発明の化合物であるHACzEとMACzEを調製した。
【実施例】
【0057】
化合物(4)は公知であり、化合物(2)とヨウ化ベンゼンをDMSO中、CuO/KOHの存在下に反応させて化合物(3)とし、化合物(3)を酢酸パラジウムと酢酸中で加熱することにより得た。化合物(4)が得られたことは、1H-NMRにより確認した。
【実施例】
【0058】
DMA(300 ml)中の化合物(4) (24 g)、化合物(5) (28.37 g)、Cs2O3(44.22 g)の反応混合物を60 ℃で8時間反応させて化合物(6)を生成させた。化合物(6)が生成したことは、薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応液を濾紙でろ過してCs2O3などの不溶物を除去し、pTSA(300 mg)とMeOH(400 ml)を加えて室温で30分時間反応させて化合物(7)を21.7 g得た。
【実施例】
【0059】
化合物(7) (21.5 g)、5%Pd/C(en)(4 g)をTHF(400 ml)中に溶解し、水素気流下に室温で24時間反応させて化合物(8)を19.36 g得た。
【実施例】
【0060】
化合物(8)(18 g)を水とDMSOの混合溶媒に溶解し、NaNO2(5.79 g)を加えて2℃で2時間反応させ、反応液にフェノール(14.97 g)を加えてさらに反応させて、HACzEを17.28 g得た。
【実施例】
【0061】
DMF(160 ml)にHACzE(16 g)、ヨウ化メチル(7,54 g)、炭酸カリウム(6.67 g)を加え、室温で18時間反応させてMaCzEを15.16 g得た。
【実施例】
【0062】
【化5】
JP0006560234B2_000006t.gif
【実施例】
【0063】
実施例2
下記の反応式に従い、本発明の化合物であるNACzEとCACzEを調製した。
【実施例】
【0064】
THF(1.8 L)と化合物(9)(108.7 g)の混合物に60%NaH(31.2 g)を加え室温で1時間反応させ、そこに2-(2-bromoethoxy)tetrahydropyrane(203.9 g)を加え60℃で8時間攪拌させ、化合物(10)が生成したことは、薄層クロマトグラフィーにより確認した。その後、化合物(10)の粗体をメタノール(1.5 L)に溶解させ、そこにパラトルエンスルホン酸(pTSA)(1.1 g)を加えて30分攪拌し化合物(11)を60.9 g得た。
【実施例】
【0065】
4-Nitroaniline(52.34 g)、水(1.6 L)、塩酸(270 ml)を混合し、2℃に保ちながら、NaNO2(27.44 g)を溶解させた水(200 ml)溶液を加え1時間反応させた。そこにジクロロメタン(1.6 L)に化合物(11)(80 g)を溶解させた混合液を加えて2℃で24時間反応させ、NACzEを116 g得た。
【実施例】
【0066】
4-Aminobenzonitrile(35.44 g)、水(1.2 L)、塩酸(240 ml)を混合し、2℃に保ちながら、NaNO2(21.75 g)を溶解させた水(250 ml)溶液を加え1時間反応させた。そこにジクロロメタン(1.2 L)に化合物(11)(63.4 g)を溶解させた混合液を加えて室温で24時間反応させ、CACzEを76.55 g得た。
【実施例】
【0067】
4-Aminoacetophenone(0.95 g)、水(100 ml)を混合し、4℃に保ちながら、NaNO2(21.75 g)を溶解させた水(250 ml)溶液を加え1時間反応させた。そこにジクロロメタン(100 ml)に化合物(11)(1.48 g)を溶解させた混合液を加えて室温で43時間反応させ、AACzEを0.23 g得た。
【実施例】
【0068】
【化6】
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【実施例】
【0069】
HACzE、MACzE、NACzE、CACzE、AACzEの同定は核磁気共鳴分光法(1H-NMR)で行った。

HACzE: 62.1% yield. Product: yellow crystal. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 10.14 (s, 1H, phenol), 8.76 (s, 1H, 4-Ph), 8.40 (d, 2H, 1′,4′-Ph), 8.21 (d, 1H, 5-Ph), 8.15 (d, 1H, 2-Ph), 8.07 (d, 1H, 2′,3′-Ph), 7.50 (t, 1H, 7,8-Ph), 4.50 (t, 2H, NCH2), 3.82 (q, 2H, HOCH2).

MACzE: 90.9% yield. Product: yellow crystal. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.71 (s, 1H, 4-Ph), 8.30 (d, 2H, 1′,4′-Ph), 8.21 (d, 1H, 5-Ph), 8.15 (d, 1H, 2-Ph), 8.07 (d, 1H, 2′,3′-Ph), 7.50 (t, 1H, 7,8-Ph), 4.50 (t, 2H, NCH2), 3.82 (s, 3H, CH3O), 3.82 (q, 2H, HOCH2)

NACzE: 85.1% yield. Product: yellow crystal. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.71 (s, 1H, 4-Ph), 8.76 (s, 1H, 5-Ph), 8.40 (d, 2H, J = 9.00 Hz, 2’,6’-Ph NO2), 8.21 (d, 1H, J = 9.00 Hz, 4-Ph), 8.18 (d, 1H, J = 9.00 Hz, 7-Ph,), 8.07 (d, 2H, J = 9.00 Hz, 3’,5’-Ph NO2) 7.59 (d, 1H, J = 9.00 Hz, 8-Ph) 7.53 (m, 2H, 1,2-Ph) 7.35 (t, 1H, J = 6.00 Hz, 9-Ph), 4.55 (t, 2H, J = 5.3 Hz, NCH2), 4.14 (m, 2H, J = 5.6 Hz, CH2OH), 1.73 (t,1H, J = 6.0 Hz, OH)

CACzE: 74.9% yield. Product: yellow crystal. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.74 (s, 1H, 4-Ph), 8.30 (d, 2H, 1′,4′-Ph), 8.21 (d, 1H, 5-Ph), 8.15 (d, 1H, 2-Ph), 8.07 (d, 1H, 2′,3′-Ph), 7.50 (t, 1H, 7,8-Ph), 4.56 (t, 2H, NCH2), 3.82 (q, 2H, HOCH2), 1.73 (t,1H, J = 6.0 Hz, OH)

AACzE: 9.0% yield. Product: yellow crystal. 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ: 8.72 (s, 1H, 4-Ph), 8.18 (t, 2H, J = 7.2 Hz, PhCOCH3), 8.10 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.99 (d, 2H, J = 8.5 Hz,), 7.57 (d, 1H, J = 8.9 Hz, j), 7.50 (m, 2H), 7.34 (m, 1H), 4.55 (t, 2H, J= 5.3 Hz, NCH2), 4.14 (m, 2H, J= 5.6 Hz, CH2OH), 2.65 (s, 1H, COCH3), 1.73 (t,1H, J = 6.0 Hz, OH)
試験例1
PMMAとMACzE、NACzE、CACzE、AACzEを用いて膜厚50~100μmの書き換え型ホログラフィック記録材料を作製し、回折応答特性を評価した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0070】
【表1】
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【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の化合物を用いたカラー対応のリライタブルな無電界駆動のデバイスを用いることで、大面積のリライタブルなホログラム記録再生消去を繰り返すことができ、3次元電子掲示板(デジタルサイネージ)、立体テレビジョンなどの分野での市場創出・市場拡大が見込まれる。
【符号の説明】
【0072】
M ミラー
λ/2 半波長板
L レンズ
B1 偏光レーザービーム
B2 偏光レーザービーム
B11 物体光
B12 物体光
B13 物体光
B21 参照光
B22 参照光
B211 参照光
B212 偏光レーザービーム
B2121 参照光
B2122 参照光
Reference R 赤色の参照光
Reference G 緑色の参照光
Reference B 青色の参照光
1 ホログラム形成装置
2 フォトリフラクティブ素子
3 記録機構
4 表示機構
5 レーザー発振器
6 偏光ビームスプリッター(PBS)
6a 偏光ビームスプリッター(PBS)
6b 偏光ビームスプリッター(PBS)
6c 偏光ビームスプリッター(PBS)
7 偏光ビームスプリッター(PBS)
8 偏光ビームスプリッター(PBS)
8a 偏光ビームスプリッター(PBS)
8b ビームスプリッター(BS)
9 パーソナルコンピュータ(PC)
10 空間光変調器
11 空間光変調器
12 空間光変調器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4