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明細書 :気泡除去装置及び気泡除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6381363号 (P6381363)
公開番号 特開2016-043301 (P2016-043301A)
登録日 平成30年8月10日(2018.8.10)
発行日 平成30年8月29日(2018.8.29)
公開日 平成28年4月4日(2016.4.4)
発明の名称または考案の名称 気泡除去装置及び気泡除去方法
国際特許分類 B01D  19/00        (2006.01)
B01F   1/00        (2006.01)
B01F  15/00        (2006.01)
B01F   3/04        (2006.01)
B01F  13/08        (2006.01)
FI B01D 19/00 B
B01D 19/00 E
B01F 1/00 A
B01F 15/00 Z
B01F 3/04 Z
B01F 13/08 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 26
出願番号 特願2014-168642 (P2014-168642)
出願日 平成26年8月21日(2014.8.21)
審査請求日 平成29年8月8日(2017.8.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
発明者または考案者 【氏名】林 嘉久
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100108578、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 詔男
【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
審査官 【審査官】小川 慶子
参考文献・文献 特開2013-184128(JP,A)
特開2011-26187(JP,A)
実開平1-163507(JP,U)
特開昭59-39308(JP,A)
調査した分野 B01D 19/00-19/04
B01F 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
溶媒に気体が溶解した溶液が流入する流入口が形成され、前記溶液を内部に収容する第1収容部と、
前記流入口よりも上方に配置され、前記流入口から上方に向けて流れてきた前記溶液を前記第1収容部から排出する排出路と、
前記排出路を通じて排出された前記溶液を内部に収容すると共に、収容した前記溶液を流出させる流出口が形成された第2収容部と、
前記排出路を通じて連通する前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する圧力調整部と、を備え、
前記第1収容部は、前記溶液を前記流入口から前記排出路まで上昇させるまでの間に、前記溶液に第1の気液分離を行わせ、
前記排出路は、前記第1収容部から排出した前記溶液を前記第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら前記第2収容部内に供給し、その間に前記溶液に第2の気液分離を行わせることを特徴とする気泡除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気泡除去装置において、
前記案内部材は、前記第2収容部の内壁面とされ、
前記排出路は、前記第1収容部から排出した前記溶液を前記第2収容部の内壁面を伝わせながら前記第2収容部内に供給することを特徴とする気泡除去装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気泡除去装置において、
前記第1収容部内には、前記排出路よりも上方に位置する部分に空間部が確保されていることを特徴とする気泡除去装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の気泡除去装置において、
前記流入口を通じて前記溶液を前記第1収容部内に連続的に供給する供給部を備えていることを特徴とする気泡除去装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の気泡除去装置において、
前記流入口を介して前記第1収容部に接続された攪拌容器と、前記攪拌容器内で前記溶媒及び前記気体を攪拌して前記溶液を作製する攪拌子と、を有する攪拌部を備え、
前記圧力調整部は、前記攪拌容器の内圧と同圧となるように、前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を調整することを特徴とする気泡除去装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の気泡除去装置において、
前記第2収容部には、前記第2収容部内で前記溶媒及び前記気体を攪拌して前記溶液を作製する攪拌子を有する攪拌部が設けられ、
前記第1収容部と前記第2収容部との間には、前記流出口を通じて前記第2収容部内から流出した攪拌後の前記溶液を、前記流入口を通じて前記第1収容部内に供給する送液部が設けられ、
前記攪拌子は、前記溶液の作製後、攪拌を停止することを特徴とする気泡除去装置。
【請求項7】
請求項6に記載の気泡除去装置において、
前記送液部は、前記第2の気液分離後の前記溶液を、前記流入口を通じて前記第1収容部内に供給することを特徴とする気泡除去装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の気泡除去装置において、
前記第2の気液分離後の前記溶液に含まれる気体成分の気体溶解度を測定する測定部を備えていることを特徴とする気泡除去装置。
【請求項9】
溶媒に気体が溶解した溶液が第1収容部内で上昇するように、前記第1収容部内に前記溶液を供給する工程と、
前記溶液が前記第1収容部内を上昇する間に、前記溶液に第1の気液分離を行わせる工程と、
前記第1収容部内を上昇してきた前記溶液を、排出路を通じて前記第1収容部から排出し、前記第2収容部内に供給する工程と、
前記排出路を通じて連通する前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する工程と、を備え、
前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を調整する工程を行った後、前記溶液を前記第1収容部内に供給する工程、前記第1の気液分離を行う工程、及び前記溶液を前記第2収容部内に供給する工程を行い、
前記溶液を前記第2収容部内に供給する際に、前記第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら前記第2収容部内に前記溶液を供給し、その間に前記溶液に第2の気液分離を行わせることを特徴とする気泡除去方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡除去装置及び気泡除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体を液体(溶媒)に溶解させる代表的な方法として、攪拌による気液混合が知られている。この気液混合を行うにあたって、加圧条件下で攪拌を行うことで気体を液体に効率良く溶解できることも知られている。例えば炭酸飲料を例に挙げると、炭酸ガスに圧力を加えて攪拌することで、水に対して炭酸ガスをより多量に溶解させることができる。
【0003】
ところで、一般的な攪拌操作で得られた溶液には気泡が混入してしまう。この気泡は様々な影響を及ぼすことが知られており、例えば流量計の測定精度の悪化や、塗装やインク印刷による塗装面や印刷面の仕上がり精度の悪化を招いてしまう。また、例えば溶液中の気体溶解度(濃度)を測定する場合には、測定結果のバラツキの原因となってしまい、測定精度の悪化を招いてしまう。従って、一般的には攪拌による気液混合を行った後、溶液中から気泡を除去する脱泡作業を行っている。
【0004】
脱泡及び脱気について定義する。
脱泡とは、溶液中に混合されている様々な大きさの気泡を除去することである。なお気泡は、周囲が液体に囲まれ、内部が気体とされている。
これに対して脱気とは、気体が飽和状態で溶解している溶液の温度環境又は圧力環境を変化させ、この変化によって溶液中に溶解している気体成分を気泡に戻し、その気泡を脱泡させることで溶液中の気体濃度を減少させることである。従って、脱気を行うことで、溶液中に溶解している気体成分を気泡に変化させて除去してしまうので、溶液の気体溶解度が低下してしまう。なお、気体が飽和状態で溶解している溶液の気体溶解度は、ヘンリーの法則にしたがっている。
【0005】
上述した脱泡を行う方法としては、例えば加熱沸騰を利用した方法、超音波を利用した方法、真空減圧を利用した方法、遠心力を利用した方法、ガス透過膜(気液分離膜)を利用した方法、及び静置法が知られている。
【0006】
加熱沸騰を利用した方法は、溶液を加熱することで、溶液の粘性の低下と気泡の膨張とにより気泡の上昇速度を増加させて、溶液から気泡を除去する方法である。しかしながら、溶液を加熱、沸騰させるので、温度環境が大きく変化してしまい、脱気作用が働いてしまう。そのため、溶液に溶解している気体成分までもが気化して気泡に変化し、溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。
【0007】
超音波を利用した方法として、例えば溶液が収容されている容器に超音波による振動を加えることで容積を変化させ、容器内の減圧及び加圧を交互に行う方法が知られている(特許文献1参照)。これにより、溶液に含まれる気泡の体積を膨張、収縮させて気泡の上昇速度を増加させることができ、溶液から気泡を除去することが可能とされている
しかしながら、超音波による振動を溶液に加えると、溶液中に高圧部分と低圧部分とが交互に存在してしまう。そのため、低圧部分において脱気作用が働いてしまい、溶液に溶解している気体成分が気泡に変化すると共に、膨張して大きな気泡となって溶液面に浮上して溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。
【0008】
真空減圧を利用した方法は、減圧によって溶液に含まれる気泡の体積を膨張させることにより気泡の上昇速度を増加させ、溶液から気泡を除去する方法である。しかしながら、減圧を行うことで、溶液に溶解している気体成分までもが気化して気泡に変化し、溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。このように、真空減圧を利用した方法は、脱泡と脱気とを同時に行う方法とされている。
【0009】
遠心力を利用した方法として、例えば回転体の遠心力を用いて溶液を減圧容器の内壁に衝突させることにより、溶液に含まれる気泡を除去する方法が知られている(特許文献2参照)。この方法では、溶液と気泡の密度差を利用し、遠心力により溶液から気泡を除去させ易くしている。しかしながら、遠心力を作用させた際に、溶液に減圧部分が発生してしまうので、脱気作用が働き、溶液に溶解している気体成分が気泡に変化して溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。
【0010】
ガス透過膜(気液分離膜)は、例えば細長いパイプ状に形成され、通常は複数本を束ねて使用される。このガス浸透膜は、溶液の組成を変えずに気泡を除去することが可能であるので、幅広い分野で使用されている。このような気液分離膜を用いた方法として、例えば溶液(処理液)を通過させる気液分離膜の内側に、溶液中の気泡と同じ成分の気体を存在させ、溶液に溶解している気体の飽和蒸気圧以下の圧力で溶液を移動させる方法が知られている(特許文献3参照)。この方法によれば、溶液の組成を変えずに気泡を除去することが可能とされている。
【0011】
しかしながら、この方法では、気液分離膜の内側の圧力を溶液の飽和蒸気圧以下の圧力にする必要があるので、脱泡作用の他に脱気が行われてしまい、気体溶解度が低下するおそれがあった。さらに、ガス透過膜という特殊な膜を使用する必要があり、高価になり易い。加えて、複数の圧力を制御する必要があるので、手間がかかり、扱い難いものであった。
【0012】
上述のように、加熱沸騰、超音波、真空減圧、遠心力、及びガス透過膜を利用した方法は、いずれも脱泡だけではなく、脱気を伴ってしまうので、溶液に溶解している気体成分が気泡となって除去され、気体溶解度が低下し易い。
【0013】
これに対して、静置法は、例えば溶解度測定実験において用いられる方法であり、脱気作用を生じさせることなく、脱泡だけを行うことができる方法として知られている。具体的に静置法は、液体と気体とを所定の温度及び圧力下で一定時間攪拌して、両者が混合した溶液を作製した後、攪拌時の温度条件及び圧力条件を維持した状態で、一定時間静置することで溶液から気泡を除去する方法である。このように、静置法では攪拌時点における温度条件及び圧力条件を維持するので脱気作用が生じない。従って、溶液の気体溶解度を低下させることなく脱泡だけを行うことが可能とされている。
【0014】
なお、攪拌後に溶液を静置する静置時間としては、例えば攪拌を行う容器の形状や攪拌方法等によって変化する。例えば、攪拌及び静置にそれぞれ18時間費やす方法(非特許文献1参照)や、攪拌に2時間、静置に一昼夜費やす方法(非特許文献2参照)や、攪拌及び静置にそれぞれ3時間費やす方法(非特許文献3参照)が知られている。
【先行技術文献】
【0015】

【特許文献1】特開2007-054680号公報
【特許文献2】特開2011-206673号公報
【特許文献3】特開平10-144604号公報
【0016】

【非特許文献1】染矢 聡著、他2名、「CO2の水への溶解度に対する圧力の影響」、日本機械学会論文集(B編)、71巻704号(2005-4)、論文No.04-1000、P1155-1160
【非特許文献2】Wei Yan著、他2名、「Measurement and modeling of CO2 solubility in NaCl brine and CO2-saturated NaCl brine density」、International Journal of Greenhouse Gas Control(2011)、IJGGC-486、No.of Pages 18
【非特許文献3】Yoshihisa HAYASHI著、「Direct Measurement of Solubility of Methane and Carbon Dioxide in High Pressure Water Using Gas Chromatography」、Journal of the Japan Petroleum Institute、Vol.57 No.3、May,2014、P125-132
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
静置法は、溶液の気体溶解度を低下させることなく脱泡だけを行うことが可能な方法であるが、攪拌作業と、攪拌により混合した溶液の静置作業とをそれぞれ交互に行う方式(いわゆるバッチ方式)である。そのため、手間及び時間が必要とされ、溶液から気泡を除去する作業(脱泡作業)を効率良く行うことが難しかった。
【0018】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、溶液中に溶解している気体成分に影響を与えることなく、気体溶解度を維持した状態で溶液中から気泡だけを効率良く除去することができる気泡除去装置及び気泡除去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)本発明に係る気泡除去装置は、溶媒に気体が溶解した溶液が流入する流入口が形成され、前記溶液を内部に収容する第1収容部と、前記流入口よりも上方に配置され、前記流入口から上方に向けて流れてきた前記溶液を前記第1収容部から排出する排出路と、前記排出路を通じて排出された前記溶液を内部に収容すると共に、収容した前記溶液を流出させる流出口が形成された第2収容部と、前記排出路を通じて連通する前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する圧力調整部と、を備え、前記第1収容部は、前記溶液を前記流入口から前記排出路まで上昇させるまでの間に、前記溶液に第1の気液分離を行わせ、前記排出路は、前記第1収容部から排出した前記溶液を前記第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら前記第2収容部内に供給し、その間に前記溶液に第2の気液分離を行わせることを特徴とする。
【0020】
この気泡除去装置によれば、流入口を通じて第1収容部内に溶液を流入させることで、第1収容部内で溶液を流入口から排出路に向かって上昇させることができる。すると、溶液が上昇する過程において、溶液中に含まれる気泡が溶液との密度差による浮力によって溶液よりも早く上昇するので、気泡を溶液から分離させることができる。
特に、溶液の液柱圧力は、流入口側から排出路側に向けて漸次低下するので、気泡の上昇に伴って、気泡の内側と外側との圧力差が徐々に大きくなり、気泡の体積が次第に膨張(増加)する。従って、気泡は上昇するにつれて速度がさらに増加するので、溶液から速やかに分離し易くなる。
このように、第1収容部内で溶液を上昇させることで、溶液に第1の気液分離を行わせることができ、溶液中に含まれる気泡を除去することができる。
【0021】
そして、第1収容部内を上昇した溶液は、排出路を通じて第1収容部から排出された後、第2収容部内に供給される。このとき排出路は、溶液を例えば滴下させることがなく、案内部材を伝わせながら第2収容部内に静かに供給する。すると、この過程において、たとえ溶液中に第1の気液分離では除去しきれずに気泡が残存していたとしても、この気泡を溶液から分離して逃がすことができる。このように、案内部材を伝わせながら溶液を第2収容部内に供給することで、溶液に第2の気液分離を行わせることができ、例えば細かな気泡についても最終的に除去することができる。そして、気泡が除去された溶液を第2収容部内に収容することができる。
【0022】
特に、圧力調整部が、排出路を通じて連通する第1収容部及び第2収容部の内圧を同圧に調整し、且つ任意の圧力に調整しているので、これら第1収容部、排出路及び第2収容部の内圧を溶液が作製された際の圧力に維持することができる。従って、圧力環境が変化することがないので、溶液に溶解している気体成分を気泡に変化させてしまう脱気作用を引き起こすことなく、気泡だけを溶液から除去することができる。従って、気体溶解度を維持した状態で、気泡だけが除去された溶液を第2収容部に収容することができる。
また、溶液を単に長時間静置する従来の静置法とは異なり、第1収容部内で溶液を上昇させることによる第1の気液分離と、第2収容部内で案内部材を伝わせながら溶液を供給することによる第2の気液分離とを積極的に行うことで、溶液から気泡を除去する作業を効率良く行える。従って、気泡が除去され、且つ気体溶解度が維持された溶液を第2収容部内に効率良く収容することができると共に、流出口を通じて溶液を容易に抜き出して利用することができる。
【0023】
(2)前記案内部材は、前記第2収容部の内壁面とされ、前記排出路は、前記第1収容部から排出した前記溶液を前記第2収容部の内壁面を伝わせながら前記第2収容部内に供給しても良い。
【0024】
この場合には、第2収容部の内壁面を案内部材として利用できるので、第2収容部とは別個に案内部材を用意する必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0025】
(3)前記第1収容部内には、前記排出路よりも上方に位置する部分に空間部が確保されていても良い。
【0026】
この場合には、第1収容部内での第1の気液分離によって溶液から分離した気泡を、液面で弾けさせることで空間部に放出し、取り除くことが可能である。従って、溶液から分離した気泡が、排出路を通じて第2収容部内に供給されてしまうことを抑制できる。よって、気泡の除去をより効率良く行うことができる。
【0027】
(4)前記流入口を通じて前記溶液を前記第1収容部内に連続的に供給する供給部を備えていても良い。
【0028】
この場合には、供給部が溶液を第1収容部内に連続的に供給するので、溶液から気泡を除去する作業をさらに効率良く行うことができる。
【0029】
(5)前記流入口を介して前記第1収容部に接続された攪拌容器と、前記攪拌容器内で前記溶媒及び前記気体を攪拌して前記溶液を作製する攪拌子と、を有する攪拌部を備え、前記圧力調整部は、前記攪拌容器の内圧と同圧となるように、前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を調整しても良い。
【0030】
この場合には、攪拌容器内で攪拌子が溶媒及び気体を攪拌することで溶液を作製でき、溶液の作製後、流入口を通じて第1収容部内に溶液を供給することができる。このように、攪拌によって溶液を作製する攪拌部を備えているので、気泡が除去され、且つ気体溶解度が維持された溶液をさらに効率良く且つ連続的に得ることができる。
【0031】
(6)前記第2収容部には、前記第2収容部内で前記溶媒及び前記気体を攪拌して前記溶液を作製する攪拌子を有する攪拌部が設けられ、前記第1収容部と前記第2収容部との間には、前記流出口を通じて前記第2収容部内から流出した攪拌後の前記溶液を、前記流入口を通じて前記第1収容部内に供給する送液部が設けられ、前記攪拌子は、前記溶液の作製後、攪拌を停止しても良い。
【0032】
この場合には、第2収容部内で攪拌子が溶媒及び気体を攪拌することで溶液を作製でき、溶液の作製後、送液部が攪拌後の溶液を第2収容部から第1収容部内に供給する。このように、攪拌によって溶液を作製する攪拌部を備えているので、気泡が除去され、且つ気体溶解度が維持された溶液をさらに効率良く且つ連続的に得ることができる。
特に、第2収容部を攪拌容器として最初に利用でき、その後、気泡が除去された溶液を収容する容器としても利用することができるので、攪拌容器を別個に用意する必要がなく、構成の簡略化を図ることができると共に、攪拌容器を設置するための余分な設置スペースを確保する必要もない。なお、攪拌子は、溶液の作製後に攪拌を停止するので、溶液の作製後に気泡が混入するおそれがない。
【0033】
(7)前記送液部は、前記第2の気液分離後の前記溶液を、前記流入口を通じて前記第1収容部内に供給しても良い。
【0034】
この場合には、第1収容部内での第1の気液分離と、第2収容部内での第2の気液分離とを繰り返し行うことができるので、さらに効率良く気泡を除去することができ、さらに品質の安定した溶液を得ることができる。
【0035】
(8)前記第2の気液分離後の前記溶液に含まれる気体成分の気体溶解度を測定する測定部を備えていても良い。
【0036】
この場合には、第2の気液分離後の溶液に含まれる溶液の気体溶解度を測定できるので、気体溶解度を必要に応じて適切に確認することができ、より安定した品質の溶液を得ることができる。
【0037】
(9)本発明に係る気泡除去方法は、溶媒に気体が溶解した溶液が第1収容部内で上昇するように、前記第1収容部内に前記溶液を供給する工程と、前記溶液が前記第1収容部内を上昇する間に、前記溶液に第1の気液分離を行わせる工程と、前記第1収容部内を上昇してきた前記溶液を、排出路を通じて前記第1収容部から排出し、前記第2収容部内に供給する工程と、前記排出路を通じて連通する前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する工程と、を備え、前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を調整する工程を行った後、前記溶液を前記第1収容部内に供給する工程、前記第1の気液分離を行う工程、及び前記溶液を前記第2収容部内に供給する工程を行い、前記溶液を前記第2収容部内に供給する際に、前記第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら前記第2収容部内に前記溶液を供給し、その間に前記溶液に第2の気液分離を行わせることを特徴とする。
【0038】
この気泡除去方法によれば、上述した気泡除去装置と同様の作用効果を奏功することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、溶液中に溶解している気体成分に影響を与えることなく、気体溶解度を維持した状態で溶液中から気泡だけを効率良く除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る気泡除去装置の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す溶解度測定装置の構成図である。
【図3】図1に示す気泡除去装置により、気泡を除去している状態を示す図である。
【図4】本発明に係る気泡除去装置の第2実施形態を示す構成図である。
【図5】本発明に係る気泡除去装置の第3実施形態を示す構成図である。
【図6】図5に示す状態から、攪拌子を回転させて水及びメタンを攪拌している状態を示す図である。
【図7】図6に示す状態から、攪拌子を停止させた後、攪拌によって作製した溶液から気泡を除去している状態を示す図である。
【図8】図7に示す状態から、送液ポンプを逆方向に駆動させて、溶解度測定装置により第2収容タンク内のメタンの組成分析を行っている状態を示す図である。
【図9】図1に示す気泡除去装置に相当する装置により実際に気泡除去を行い、メタン溶解度を複数回にわたって測定した際のメタン溶解度の数値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
(気泡除去装置の構成)
図1に示すように、本実施形態の気泡除去装置1は、脱気した純水等の水(溶媒)W及びメタン(気体)Mを攪拌し、水WにメタンMが溶解した溶液Sを作製する攪拌器(攪拌部)2と、攪拌器2で攪拌された溶液Sを内部に収容する第1収容タンク(第1収容部)3と、第1収容タンク3から溶液Sを排出する排出ライン(排出路)4と、排出ライン4で排出された溶液Sを内部に収容する第2収容タンク(第2収容部)5と、攪拌器2、第1収容タンク3、排出ライン4及び第2収容タンク5の内圧を調整する圧力調整部6と、を備えている。

【0042】
なお、本実施形態では、水W及びメタンMを例に挙げて説明するが、溶媒及び気体の種類はこの場合に限定されるものではなく、種々のものを採用することができる。これら溶媒及び気体は途等に応じて自由に選択して構わない。

【0043】
攪拌器2は、例えばマグネチックミキサー式の攪拌器であり、内部に水W及びメタンMが供給されると共に、攪拌によって作製された溶液Sを収容する攪拌タンク(攪拌容器)10と、攪拌タンク10内で水W及びメタンMを攪拌する攪拌子11と、磁力を利用して攪拌子11を回転させる駆動部12と、を備えている。

【0044】
攪拌タンク10は、図示しない地面または床面に対して立設した状態で配置され、図示しない架台を介して安定に支持されている。攪拌タンク10の上部には、水Wが供給される第1供給ライン20、及びメタンMが供給される第2供給ライン21が接続されている。これら第1供給ライン20及び第2供給ライン21は、例えば耐圧性のホース又はパイプ等で構成され、水W及びメタンMを一定の圧力を加えた状態で攪拌タンク10にそれぞれ供給することが可能とされている。
なお、攪拌タンク10内には、上部に空間部(気相スペース)R1が形成されている。

【0045】
第1供給ライン20は、水Wが収容されている原料タンク22にも接続されている。これにより、第1供給ライン20は、原料タンク22と攪拌タンク10とを互いに接続している。第1供給ライン20の途中には、原料タンク22内の水Wを攪拌タンク10に向けて加圧しながら供給する送液ポンプ23が設けられている。これにより、送液ポンプ23を作動させることで、水Wを加圧した状態で攪拌タンク10内に供給することが可能とされている。

【0046】
送液ポンプ23は、気泡除去装置1を総合的に制御する制御部7によって作動が制御されていると共に、水Wの供給量についても制御されている。
なお、第1供給ライン20には、送液ポンプ23と攪拌タンク10との間における第1供給ライン20の内圧を測定する圧力計24が設けられている。

【0047】
第2供給ライン21は、メタンMが収容されているガス供給部30にも接続されている。これにより、第2供給ライン21は、ガス供給部30と攪拌タンク10とを互いに接続している。
ガス供給部30は、内部にメタンMが加圧された状態で収容されたシリンダ部31と、シリンダ部31内のメタンMをシリンダ部31から第2供給ライン21に導入するピストン部32と、を備えている。これにより、ピストン部32を作動させることで、加圧されたメタンMを攪拌タンク10内の空間部R1に供給することが可能とされている。

【0048】
ピストン部32は、制御部7によって作動が制御されている。また、第2供給ライン21には、ガス供給部30と攪拌タンク10との間における第2供給ライン21の内圧を測定する圧力計33が設けられている。制御部7は、この圧力計33の測定値をモニタしている。

【0049】
上述のように、攪拌タンク10には、第1供給ライン20を通じて水Wが加圧された状態で供給されると共に、第2供給ライン21を通じてメタンMが加圧された状態で供給される。この攪拌タンク10の底壁10aの下部には、上述した駆動部12が収容された収容室15が設けられている。
駆動部12は、モータ12a、及びモータ12aの回転軸部に連結された磁石等の磁性体12bを備えている。モータ12aは、例えば回転速度が可変式のモータとされ、制御部7によって作動が制御されていると共に、回転速度も制御されている。磁性体12bは、モータ12aの作動に伴って攪拌タンク10の底壁10aと平行な面内で回転する。

【0050】
攪拌子11は、攪拌タンク10内における底壁10a側に配置され、磁性体12bからの磁力により、磁性体12bの回転に追従しながら底壁10aと平行な面内で回転する。これにより、攪拌タンク10内に供給された水W及びメタンMを攪拌することが可能とされている。
攪拌子11としては、例えば磁性を有する金属製としても構わないし、磁性を有する金属を樹脂材料で封止したものであっても構わない。また、攪拌子11の形状としては、例えば細長い棒形状でも良いし、風車のような羽根形状でも構わない。攪拌子11の材質や形状等は、攪拌効率や負荷等に応じて自由に選択して構わない。図示の例では、攪拌子11が羽根形状に形成されている場合を例にしている。

【0051】
上述のように攪拌器2が構成されているので、攪拌子11の回転により、攪拌タンク10内に供給された水W及びメタンMを加圧した状態で攪拌して気液混合させることができ、水WにメタンMを溶解した高圧の溶液Sを作製することができる。

【0052】
第1収容タンク3は、図示しない地面または床面に対して立設した状態で配置され、図示しない架台を介して安定に支持されている。この第1収容タンク3は、例えば攪拌タンク10と並んで配置されている。

【0053】
第1収容タンク3の底壁3aには、溶液Sが流入する流入口40が形成されていると共に、流入口40を介して接続ライン41が接続されている。この接続ライン41は、例えば耐圧性のホース又はパイプ等で構成され、攪拌タンク10にも接続されている。これにより、攪拌タンク10内の溶液Sは、攪拌タンク10内の溶液Sの液柱圧を受けて、接続ライン41及び流入口40を通じて第1収容タンク3内に流入する。
このとき、第1収容タンク3の底壁3aに流入口40が形成されているので、第1収容タンク3内に流入した溶液Sは、第1収容タンク3内を上方に向けて流れる。この過程で溶液Sに1回目の気液分離(第1の気液分離)を行わせることができ、溶液S中に含まれる気泡を除去することができる。これについては、後に詳細に説明する。

【0054】
なお、送液ポンプ23は、上述のように水Wを攪拌タンク10内に単に供給するだけでなく、攪拌タンク10内の溶液Sを、接続ライン41及び流入口40を通じて第1収容タンク3内に連続的に供給する供給部としても機能する。
また、第1収容タンク3内に流入した溶液Sは、第1収容タンク3内に収容される(貯留される)。この際、第1収容タンク3内に収容された溶液Sの液面は、攪拌タンク10内の溶液Sの液面(攪拌していない状態における溶液Sの液面)と同等の高さとされている。

【0055】
排出ライン4は、例えば耐圧性のホース又はパイプ等で構成され、流入口40よりも上方で第1収容タンク3に接続されている。図示の例では、排出ライン4は、溶液Sの液面と同等の位置で第1収容タンク3に接続されている。また、排出ライン4は、第2収容タンク5にも接続されている。これにより、排出ライン4は、流入口40から上方に向けて流れてきた溶液S(1回目の気液分離後の溶液S)を第1収容タンク3から排出し、第2収容タンク5内に供給する。
なお、第1収容タンク3内には、排出ライン4よりも上方に位置する部分に空間部(気相スペース)R2が形成されている。

【0056】
第2収容タンク5は、図示しない地面または床面に対して立設した状態で配置され、図示しない架台を介して安定に支持されている。この第2収容タンク5は、例えば攪拌タンク10及び第1収容タンク3と並んで配置されている。

【0057】
第2収容タンク5の底壁5aには、溶液Sが流出する流出口42が形成されていると共に、流出口42を介して流出ライン43が接続されている。この流出ライン43は、メインの流出ルートとして機能するものであり、例えば耐圧性のホース又はパイプ等で構成されている。流出ライン43の途中には、第1流出バルブ44が設けられている。第1流出バルブ44は、流出ライン43を開閉するバルブであり、制御部7によって作動が制御されている。これにより、第1流出バルブ44を開けることで、第2収容タンク5内に収容された溶液Sを流出口42及び流出ライン43を通じて第2収容タンク5から流出させて、抜き出すことが可能とされている。

【0058】
第2収容タンク5には、内部に収容された溶液Sの液面高さを測定する液面計50が設けられている。
この液面計50は、例えば静電容量式の液面計とされ、第2収容タンク5内に配置された内部電極51と、第2収容タンク5の内壁面5bに沿って設けられた外部電極52と、内部電極51と外部電極52との間の静電容量に基づいて液面高さを算出する算出部53と、を備えている。

【0059】
内部電極51は、第2収容タンク5のほぼ全長に亘って延びた棒状の電極であり、第2収容タンク5及び外部電極52に対して非接触状態で第2収容タンク5内に配置されている。外部電極52は、第2収容タンク5のほぼ全長に亘って内壁面5bに沿って形成された電極とされている。但し、第2収容タンク5が金属製の場合には、第2収容タンク5自身を外部電極52として利用しても構わない。
このように内部電極51及び外部電極52が配置されているので、第2収容タンク5内の溶液Sは内部電極51と外部電極52との間に溜まる。これにより、第2収容タンク5内に収容される溶液Sの量に応じて、内部電極51と外部電極52との間の静電容量が変化する。

【0060】
算出部53は、第2収容タンク5内に溶液Sが収容されていない空の状態(内部電極51と外部電極52との間に溶液Sが存在しない状態)における、内部電極51と外部電極52との間の静電容量と、第2収容タンク5内に溶液Sが満タンに収容されている状態における、内部電極51と外部電極52との間の静電容量と、を予め基準の静電容量として把握している。
これにより、算出部53は、測定した内部電極51と外部電極52との間の静電容量と、予め把握している基準の静電容量とに基づいて、溶液Sの収容率を算出することができる。例えば、第2収容タンク5の全容量のうち50%まで溶液Sが収容されていることを算出できる。これにより、算出部53は、第2収容タンク5の容量と溶液Sの収容率との関係から、溶液Sの液面高さを算出することが可能とされている。

【0061】
なお、制御部7は、算出部53で算出された第2収容タンク5内の溶液Sの液面高さが、第1収容タンク3内の溶液Sの液面高さよりも低い位置を常時維持するように、第1流出バルブ44による溶液Sの流出量、及び送液ポンプ23による水Wの供給量を総合的に制御している。これにより、第2収容タンク5内には、排出ライン4よりも上方に位置する部分に空間部(気相スペース)R3が形成されている。

【0062】
ところで、上述した排出ライン4は、第2収容タンク5の内壁面5bを案内部材として利用し、この内壁面5bを伝わせながら、溶液Sを第2収容タンク5内に供給する(図3参照)。これにより、溶液Sは、内壁面5bを伝わりながら流れ、例えば泡立つことなく第2収容タンク5内に収容される。この過程で溶液Sに2回目の気液分離(第2の気液分離)を行わせることができ、溶液S中に残存している気泡を除去することができる。これについては、後に詳細に説明する。

【0063】
ガス供給部30と攪拌タンク10とを接続する第2供給ライン21には、さらに圧力調整用の調整ライン35が接続されている。この調整ライン35は、第2供給ライン21と同様に例えば耐圧性のホース又はパイプ等で構成され、第1収容タンク3及び第2収容タンク5にそれぞれ接続されている。
これにより、攪拌タンク10内の上部に位置する空間部R1と、第1収容タンク3内の上部に位置する空間部R2と、第2収容タンク5内の上部に位置する空間部R3と、第1収容タンク3内の空間部R2と第2収容タンク5内の空間部R3とを接続する排出ライン4とは、第2供給ライン21及び調整ライン35を通じて互いに連通している。従って、攪拌タンク10、第1収容タンク3、第2収容タンク5及び排出ライン4の内圧は同圧とされている。

【0064】
また、第1収容タンク3の上部には、第1収容タンク3内の圧力を逃がす逃がしバルブ36が設けられている。また、第2供給ライン21には、第2供給ライン21内の圧力を逃がす逃がしバルブ37が設けられている。これら逃がしバルブ36、37は、制御部7によって作動が制御されている。
そして、制御部7は、ガス供給部30のピストン部32、及び2つの逃がしバルブ36、37を総合的に制御することで、攪拌タンク10、第1収容タンク3、第2収容タンク5及び排出ライン4の内圧を同圧に調整するだけでなく、任意の圧力に調整することが可能とされている。

【0065】
従って、第2供給ライン21、調整ライン35、ガス供給部30、2つの逃がしバルブ36、37及び制御部7は、上述した圧力調整部6として機能する。特に、圧力調整部6は、攪拌タンク10の内圧を攪拌に最適な圧力に調整するだけで、排出ライン4を通じて連通する第1収容タンク3及び第2収容タンク5の内圧についても、攪拌タンク10の内圧と同圧に調整できる。

【0066】
なお、調整ライン35には、該調整ライン35内の圧力を測定する圧力計38が設けられている。制御部7は、この圧力計38の測定値、及び第2供給ライン21に設けられた圧力計33の測定値をモニタしており、これらの測定値に基づいて攪拌タンク10、第1収容タンク3、第2収容タンク5及び排出ライン4の全体の内圧を正確に調整している。

【0067】
第2収容タンク5から溶液Sを抜き出す流出ライン43には、第1流出バルブ44よりも上流側に、例えば耐圧性のホース又はパイプ等で構成された分岐ライン45が接続されている。この分岐ライン45は、サブ(補助)の流出ルートとして機能するものである。従って、分岐ライン45は、例えばメインの流出ルートである流出ライン43よりも細径化され、流出量が抑制されていても構わない。そして、この分岐ライン45には、流出口42から流出した溶液Sに溶解しているメタン成分(気体成分)の溶解度を測定する溶解度測定装置(測定部)60が設けられている。

【0068】
溶解度測定装置60は、例えば特許第5004112号公報に記載の装置が挙げられ、本明細書内に組み入れることが可能である。具体的に溶解度測定装置60は、ガスクロマトグラフ61及びデータ処理部62を備えている。

【0069】
図1及び図2に示すように、ガスクロマトグラフ61は、溶液Sが導入されるサンプリングバルブ65と、溶液Sを加熱気化する加熱気化器66と、加熱気化された溶液Sをメタン成分と水Wとに分離するプレカラム67及びメインカラム68と、分離されたメタン成分及び水Wを検出する検出器69と、ガスクロマトグラフ61にキャリアガスを供給する第1供給部70と、加熱気化器66にキャリアガスを供給する第2供給部71と、を備えている。

【0070】
サンプリングバルブ65は、平面視リング状のバルブボディ65aと、バルブボディ65aの内側に配置されると共に、回転軸線O回りに回転可能とされた平面視円形状のバルブロータ65bと、を備えている。
バルブロータ65bの内壁には、2つのスロット72、73が形成されている。図示の例では、2つのスロット72、73は、回転軸線Oを間に挟んで向かい合うように配置されている。但し、スロット72、73の数は2つに限定されるものではなく、1つでも構わないし、3つ以上であっても構わない。

【0071】
バルブボディ65aには、スロット72に接続される2つの接続ポート75、76と、スロット73に接続される2つの接続ポート77、78とが、形成されている。
なお、バルブロータ65bを半回転させることで、スロット72、73の位置が入れ替わるので、スロット72と2つの接続ポート77、78とが接続し、且つスロット73と2つの接続ポート75、76とが接続した状態となる。

【0072】
上述した分岐ライン45は、接続ポート75、76に接続されている。これにより、分岐ライン45を流れる溶液Sをスロット72に導入することが可能とされている。分岐ライン45には、接続ポート75よりも上流側に位置する部分に第2流出バルブ46が設けられ、接続ポート76よりも下流側に位置する部分に第3流出バルブ47が設けられている。これら第2流出バルブ46及び第3流出バルブ47は、分岐ライン45を開閉するバルブであり、制御部7によって作動が制御されている。

【0073】
加熱気化器66は接続ポート78に接続され、第1供給部70は接続ポート77に接続されている。これにより、溶液Sが導入されたスロット72を、バルブロータ65bの回転により2つの接続ポート77、78側に位置させることで、キャリアガスを利用してスロット72から加熱気化器66に溶液Sを導入することが可能とされている。
なお、第1供給部70と接続ポート77との間には、例えば図示しない逆止弁等の弁部材が設けられており、第1供給部70から接続ポート77に向けて供給されるキャリアガスの逆流が防止されている。

【0074】
加熱気化器66は、溶液Sを急速に加熱する図示しないヒータを有している。上記プレカラム67及びメインカラム68は、この加熱気化器66に接続されている。また、上記第2供給部71も加熱気化器66に接続されている。これにより、キャリアガスを利用して加熱気化した溶液Sを加熱気化器66からプレカラム67及びメインカラム68に導入し、これらプレカラム67及びメインカラム68によって確実に水WとメタンMとに分離することが可能とされている。
なお、加熱気化器66と第2供給部71との間には、例えば図示しない逆止弁等の弁部材が設けられており、第2供給部71から加熱気化器66に向けて供給されるキャリアガスの逆流が防止されている。

【0075】
プレカラム67及びメインカラム68は、溶液Sに溶解されている被検出成分に応じて公知のものから適宜選択することができる。メインカラム68には、上記検出器69が接続されている。この検出器69も同様に、被検出成分に応じて公知の検出器を適宜採用することができる。

【0076】
データ処理部62は、上述のように構成されたガスクロマトグラフ61から出力されたデータを処理し、溶液Sに溶解されているメタン成分の溶解度を算出する。このようにして、溶解度測定装置60は溶液S中のメタン溶解度(気体溶解度)を測定することが可能とされている。なお、制御部7は測定したメタン溶解度をモニタしている。

【0077】
(気泡除去装置の作用)
次に、上述したように構成された気泡除去装置1を利用して、溶液S中に溶解しているメタン成分に影響を与えることなく、メタン溶解度を維持した状態で溶液S中から気泡だけを効率良く除去する方法(気泡除去方法)について説明する。

【0078】
なお、気泡除去装置1を構成する各構成部品は全て温度調整されており、同一又は同程度の温度になるように制御されている。また、気泡除去装置1の初期段階では、攪拌タンク10、第1収容タンク3及び第2収容タンク5は全て空の状態である。しかしながら以降の説明を分かり易くするため、攪拌タンク10内には、図1に示すように水W及びメタンMが供給されている状態とし、第1収容タンク3及び第2収容タンク5内には溶液Sが収容されている状態として説明する。

【0079】
はじめに、攪拌器2を作動させて攪拌タンク10内の水WとメタンMとの攪拌作業を開始する。具体的には、図3に示すように、モータ12aが制御部7からの指示を受けて駆動し、磁性体12bを回転させる。これにより、磁性体12bの磁力を利用して攪拌タンク10内に配置されている攪拌子11を磁性体12bに追従するように回転させることができる。攪拌子11が回転することで、攪拌タンク10内の水W及びメタンMを攪拌して気液混合させることができ、水WにメタンMが溶解した高圧の溶液Sを作製することができる。なお、攪拌によって、溶液Sには気泡が含まれた状態となる。

【0080】
攪拌によって溶液Sが作製されると、送液ポンプ23が制御部7からの指示を受けて作動し、新たな水Wを攪拌タンク10内に供給する。作製された溶液Sは、攪拌タンク10内の溶液Sの液柱圧を受けて接続ライン41側に流れ、流入口40を通じて第1収容タンク3内に流入する。
これ以降、送液ポンプ23は連続的に水Wを攪拌タンク10内に供給し続ける。これにより、攪拌タンク10内で連続的に溶液Sを作製し続けることができると共に、作製した溶液Sを、接続ライン41及び流入口40を通じて第1収容タンク3内に連続的に流入させることができる。

【0081】
第1収容タンク3内に流入した溶液Sは、流入口40から上方に向かって上昇する。すると、溶液Sが上昇する過程において、溶液S中に含まれる気泡が溶液Sとの密度差による浮力によって溶液Sよりも早く上昇するので、気泡を溶液Sから分離させることができる。

【0082】
特に、溶液Sの液柱圧力は、流入口40側(第1収容タンク3の底壁3a側)から排出ライン4側(液面側)に向けて漸次低下するので、気泡の上昇に伴って、気泡の内側と外側との圧力差が徐々に大きくなり、気泡の体積が次第に膨張(増加)する。従って、気泡は上昇するにつれて速度がさらに増加するので、溶液Sから速やかに分離し易くなる。
このように、第1収容タンク3内で溶液Sを上昇させることで、溶液Sに1回目の気液分離(第1の気液分離)を行わせることができる。

【0083】
そして、第1収容タンク3内を上昇した溶液Sは、排出ライン4を通じて第1収容タンク3から排出された後、第2収容タンク5内に供給される。このとき、排出ライン4は例えば溶液Sを滴下させることなく、第2収容タンク5の内壁面5bを伝わせながら溶液Sを第2収容タンク5内に静かに供給する。すると、この過程において、たとえ溶液S中に第1の気液分離では除去しきれずに溶液S中に気泡が残存していた場合であっても、この気泡を溶液Sからさらに分離させて空間部R3に放出することができる。

【0084】
このように、第2収容タンク5の内壁面5bを伝わせながら溶液Sを第2収容タンク5内に供給することで、溶液Sに2回目の気液分離(第2の気液分離)を行わせることができ、例えば細かな気泡についても最終的に除去することができる。そして、気泡が除去された溶液Sを第2収容タンク5内に収容することができる。
特に、第1収容タンク3内において、溶液Sから分離した気泡を液面で弾けさせることで空間部R2に放出し、取り除くことができるので、溶液Sから分離した気泡が排出ライン4を通じて第2収容タンク5内に供給されてしまうことを抑制できる。従って、気泡の除去を効率良く行うことができる。

【0085】
また、圧力調整部6が攪拌タンク10、排出ライン4、第1収容タンク3及び第2収容タンク5の内圧を同圧に調整しているので、攪拌タンク10内で溶液Sを作製した際の圧力を維持することができる。従って、圧力環境が変化することがないので、溶液Sに溶解しているメタン成分を気泡に変化させてしまう脱気作用を引き起こすことなく、気泡だけを溶液Sから除去することができる。従って、メタン溶解度を維持した状態で、気泡だけを溶液Sから除去することができる。
しかも、気泡除去装置1を構成する各構成部品は全て温度調整されているので、温度環境の変化も抑制することができ、溶液Sに溶解しているメタン成分を気泡に変化させてしまう脱気作用がより生じ難い。

【0086】
さらに、溶液Sを単に長時間静置する従来の静置法とは異なり、第1収容タンク3内で溶液Sを上昇させることによる第1の気液分離と、第2収容タンク5内で内壁面5bを伝わせながら溶液Sを供給することによる第2の気液分離とを積極的に行うことで、溶液Sから気泡を除去する作業を効率良く行える。従って、気泡が除去され、且つメタン溶解度が維持された溶液Sを第2収容タンク5内に効率良く収容することができる。
特に、送液ポンプ23が攪拌タンク10内に水Wを連続的に供給すると共に、攪拌タンク10内で作製された溶液Sを連続的に第1収容タンク3内に流入させるので、攪拌作業と静置作業とを交互に行う静置法に比べて、溶液Sから気泡を除去する作業を格段に効率良く行うことができる。

【0087】
以上説明したように、本実施形態の気泡除去装置1及び気泡除去方法によれば、溶液S中に溶解しているメタン成分に影響を与えることなく、メタン溶解度を維持した状態で溶液S中から気泡だけを効率良く除去することができる。
また、第1流出バルブ44を開けることで、流出口42及び流出ライン43を通じて、第2収容タンク5内の溶液Sを、連続的又は定期的に抜き出すことができる。従って、気泡が除去され、且つメタン溶解度が安定に維持された溶液Sを、品質を維持した状態で取り出すことができ、その後、様々な用途に利用することができる。

【0088】
ところで、溶解度測定装置60を備えているので、第2収容タンク5内から抜き出した溶液Sに含まれるメタン成分の溶解度を必要に応じて適切に確認することができ、より安定した品質の溶液Sを得ることができる。
メタン溶解度を測定する場合について、以下に簡単に説明する。

【0089】
この場合には、例えば第1流出バルブ44を閉じると共に、第2流出バルブ46を開け、且つ第3流出バルブ47を閉めることで、第2収容タンク5から流出口42を通じて流出ライン43に抜き出した溶液Sを、分岐ライン45に流すことができ、ガスクロマトグラフ61のスロット72に導入できる。
スロット72に溶液Sが導入されると、図2に示すように、バルブロータ65bが半回転してスロット72を接続ポート77、78側に位置させる。また、第1供給部70がキャリアガスを供給して、スロット72内の溶液Sを加熱気化器66に送る。これにより、溶液Sは加熱気化器66によって加熱気化される。

【0090】
加熱気化された溶液Sは、第2供給部71によるキャリアガスの供給により、プレカラム67及びメインカラム68に送られ、水W(水蒸気)とメタン成分とに分離される。そして、分離された水W及びメタン成分は、検出器69によって成分毎に検出される。この検出値は、例えば成分の濃度又は質量変化を保持時間と電圧値(或いは電流値等)の関係で表される。なお、この関係はガスクロマトグラムと呼ばれる。

【0091】
データ処理部62は、上記ガスクロマトグラム(検出値)に基づいて水Wに対するメタン成分の溶解度を算出する。例えば、メタン成分と同じ成分で且つ高純度の標準ガス及び水Wを準備し、予めこれらの検量線を作成しておくことにより、算出することができる。
このようにして、メタン溶解度を容易且つ簡便に測定することができる。従って、必要に応じて溶液Sのメタン溶解度を速やかに確認することができる。

【0092】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では攪拌タンク10、第1収容タンク3及び第2収容タンク5が別々のタンクとされていたが、第2実施形態では、攪拌タンク10、第1収容タンク3及び第2収容タンク5が一体とされている点である。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。

【0093】
図4に示すように、本実施形態の気泡除去装置70は、攪拌タンク10、第1収容タンク3及び第2収容タンク5が一体に接続されたユニットタンク71を備えている。なお、本実施形態では、液面計50の図示を省略している。
攪拌タンク10の空間部R1と第1収容タンク3の空間部R2とは第1接続管72を介して接続されている。また、第1収容タンク3の空間部R2と第2収容タンク5の空間部R3とは第2接続管73を介して接続されている。これにより、攪拌タンク10、第1収容タンク3及び第2収容タンク5の内部は、互いに連通している。

【0094】
第1接続管72及び第2接続管73は、第1収容タンク3内を上昇してきた溶液Sが攪拌タンク10側に流れることを規制し、且つ第2タンク内に流れることを許容するように配置されている。
第2接続管73は、第1収容タンク3内を上昇してきた溶液Sを、第2収容タンク5の内壁面5bを伝わせながら第2収容タンク5内に排出する排出路として機能する。

【0095】
このように構成された気泡除去装置70であっても、第1実施形態の気泡除去装置1と同様の作用効果を奏功することができる。
特に、本実施形態の場合には、攪拌タンク10、第1収容タンク3及び第2収容タンク5が一体に接続されたユニットタンク71とされているので、第1実施形態における調整ライン35が不要となる。従って、部品点数を減らすことができ、構成の簡略化を図ることができる。

【0096】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。
第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、攪拌タンク10を具備していたが、第3実施形態では第2収容タンクが攪拌タンクを兼用している点である。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。

【0097】
図5に示すように、本実施形態の気泡除去装置80は、第1収容タンク3と、第1収容タンク3から溶液Sを排出する排出ライン4と、排出ライン4で排出された溶液Sを内部に収容する第2収容タンク(第2収容部)81と、圧力調整部6と、を備えている。

【0098】
第2収容タンク81は、上述したように第1実施形態における攪拌タンク10を兼用している。従って、第2収容タンク81の上部には、水Wが供給される第1供給ライン20、及びメタンMが供給される第2供給ライン21が接続されている。なお、本実施形態では、原料タンク22、送液ポンプ23及び圧力計24の図示を省略している。
これにより、第2収容タンク81内には、第1供給ライン20及び第2供給ライン21を通じて水W及びメタンMが供給される。

【0099】
また、第2収容タンク81には、第2収容タンク81内で水W及びメタンMを攪拌して溶液Sを作製する攪拌子11を有する攪拌部82が設けられている。第2収容タンク81の底壁81aの下部には、攪拌子11を回転させる駆動部12が収容された収容室83が設けられている。
従って、攪拌子11を回転させることで、攪拌タンク10内に供給された水W及びメタンMを加圧した状態で攪拌して気液混合させることができ、水WにメタンMが溶解した高圧の溶液Sを作製することが可能とされている。なお、攪拌子11は、溶液Sの作製後に駆動部12のモータ12aが停止することに伴って攪拌を停止する。

【0100】
第2収容タンク81の周壁のうち底壁81a側に位置する部分には、溶液Sが流出する流出口84が形成されている。この流出口84には、第1収容タンク3の流入口40に接続されている接続ライン41が接続されている。接続ライン41には、流出口84を通じて第2収容タンク81内から流出した溶液Sを、流入口40を通じて第1収容タンク3内に供給する送液ポンプ(送液部)85が設けられている。

【0101】
送液ポンプ85は、制御部7によって作動が制御されると共に、図示しない内部モータが正逆回転するポンプとされている。従って、送液ポンプ85は、内部モータが正回転することで、上述のように第2収容タンク81内の溶液Sを第1収容タンク3に供給することができ、その反対に内部モータが逆回転することで、第1収容タンク3内の溶液Sを第2収容タンク81に供給することが可能とされている。

【0102】
また、接続ライン41には、第2収容タンク81と送液ポンプ85との間に位置する部分に、第1流出バルブ44が途中に設けられた流出ライン43が接続されている。これにより、例えば溶液Sからの気泡の除去が終了した後、第1流出バルブ44を開けることで、第2収容タンク81内に収容された溶液Sを流出口84及び流出ライン43を通じて外部に抜き出すことが可能とされている。

【0103】
排出ライン4は、第1収容タンク3の頂壁3bに接続されていると共に、第2収容タンク81の上部側の周壁に接続されている。これにより、排出ライン4は、流入口40から上方に向けて流れてきた溶液Sを第1収容タンク3から排出し、第2収容タンク81内に供給する。この際、排出ライン4は、第2収容タンク81の内壁面81bを伝わせながら、溶液Sを第2収容タンク81内に供給する(図6及び図7参照)。
なお、本実施形態では、排出ライン4が第1収容タンク3の頂壁3bに接続されているので、溶液Sが第1収容タンク3の内部を満たした後に、排出ライン4を通じて溶液Sを第1収容タンク3内から排出する。

【0104】
また、排出ライン4には、分岐ライン90及びリターンライン91が接続されている。分岐ライン90は、排出ライン4と溶解度測定装置60の接続ポート76との間に接続されている。リターンライン91は、排出ライン4のうち分岐ライン90の接続部分よりも第2収容タンク81側に位置する部分に接続されていると共に、溶解度測定装置60の接続ポート75に接続されている。

【0105】
さらに、排出ライン4には、分岐ライン90の接続部分と、リターンライン91の接続部分との間に、切替バルブ92が設けられている。この切替バルブ92は、排出ライン4を開閉するバルブであり、制御部7によって作動が制御されている。切替バルブ92を開けることで、溶液Sを第2収容タンク81に向けて優先的に排出でき、切替バルブ92を閉めることで、溶液Sを分岐ライン90側に排出することが可能となる。分岐ライン90側に溶液Sを排出することで、溶解度測定装置60を利用して溶液Sのメタン溶解度を測定できると共に、測定後の溶液Sを、リターンライン91を通じて第2収容タンク81に向けて流すことが可能となる。
このように、必要に応じて切替バルブ92を作動させることで、溶液Sの溶解度を測定することが可能である。

【0106】
ところで、第2収容タンク81内の上部に位置する空間部R3と第1収容タンク3の空間部R2とは排出ライン4を通じて連通している。従って、第1収容タンク3及び第2収容タンク81の全体の内圧は同圧とされている。なお、送液ポンプ85の駆動時、第1収容タンク3の内部は溶液Sによって満たされるので、第1収容タンク3の空間部R2は溶液Sによって埋まった状態となる(図6及び図7参照)。
第2供給ライン21には、第2収容タンク81内の圧力を逃がす逃がしバルブ36と、第2供給ライン21内の圧力を逃がす逃がしバルブ37とが設けられている。制御部7は、ガス供給部30のピストン部32、及び2つの逃がしバルブ36、37を総合的に制御することで、第1収容タンク3及び第2収容タンク81の全体の内圧を任意の圧力に調整することが可能とされている。

【0107】
(気泡除去装置の作用)
次に、上述したように構成された気泡除去装置80を利用して、溶液S中から気泡だけを除去する方法について説明する。
なお、気泡除去装置80の初期段階では、第1収容タンク3及び第2収容タンク81は全て空の状態である。しかしながら以降の説明を分かり易くするため、第2収容タンク81内には、図5に示すように水W及びメタンMが供給されている状態とし、第1収容タンク3は溶液Sが収容されている状態として説明する。

【0108】
はじめに、水WとメタンMとを攪拌して溶液Sを作製する工程について説明する。
この場合には、図6に示すように、駆動部12のモータ12aを駆動して攪拌子11を回転させる。これにより、第2収容タンク81内の水W及びメタンMを攪拌して気液混合させることができ、水WにメタンMが溶解した高圧の溶液Sを作製することができる。なお、攪拌によって、溶液Sには気泡が含まれた状態となる。

【0109】
また、攪拌と同時に送液ポンプ85の内部モータを正回転させることで、送液ポンプ85を駆動する。これにより、送液ポンプ85は、流出口84及び接続ライン41を通じて第2収容タンク81内から溶液Sを排出すると共に、流入口40を通じて第1収容タンク3内に溶液Sを供給する。これにより、第1収容タンク3内は溶液Sで満たされた状態となり、その後、溶液Sは排出ライン4を通じて第1収容タンク3内から排出される。そして、第1収容タンク3内から排出された溶液Sは、第2収容タンク81の内壁面81bを伝わりながら第2収容タンク81内に戻され、攪拌子11によって再び攪拌される。
このように、溶液Sを循環させながら攪拌作業を行うことができるので、気液混合をより適切に行うことができ、水WにメタンMが十分に溶解した溶液Sを作製することができる。

【0110】
なお、攪拌を行っている間、溶液Sは第1収容タンク3内を上昇し、且つ第2収容タンク81の内壁面81bを伝わりながら循環するので、第1収容タンク3内で第1の気液分離が行われ、第2収容タンク81内で第2の気液分離が行われる。しかしながら、攪拌子11による攪拌を行っているので、溶液S中に気泡が含まれることとなり、この段階では実質的には溶液Sから気泡が除去されることがない。

【0111】
次いで、溶液Sから気泡を除去する工程を行う。
図7に示すように、上述した攪拌を十分に行って溶液Sを作製した後、駆動部12のモータ12aを停止させる。これにより、攪拌子11の回転を止めて攪拌を停止することができる。なお、送液ポンプ85については、引き続き駆動したままの状態にしておく。

【0112】
これにより、送液ポンプ85は、流出口84及び接続ライン41を通じて第2収容タンク81内から溶液Sを排出すると共に、流入口40を通じて第1収容タンク3内に溶液Sを連続的に供給することができる。そして、第1収容タンク3内に流入した溶液Sは、流入口40から上方に向かって上昇するので、その上昇過程において、溶液S中に含まれる気泡が溶液Sとの密度差による浮力によって溶液Sよりも早く上昇する。これにより、気泡を溶液Sから分離させることができる(第1の気液分離)。

【0113】
なお、本実施形態では、第1収容タンク3内が溶液Sで満たされているので、第1収容タンク3内で溶液Sから分離した気泡は、排出ライン4を通じて第2収容タンク81の空間部R3に速やかに達し、該空間部R3に放出される。これにより、第2収容タンク81の空間部R3に、第1の気液分離で分離した気泡を放出して除去することができる。

【0114】
そして、第1収容タンク3内を上昇した溶液Sは、排出ライン4を通じて第1収容タンク3から排出された後、第2収容タンク81の内壁面81bを伝わりながら第2収容タンク81内に静かに供給される。これにより、この過程において、たとえ溶液S中に第1の気液分離では除去しきれずに気泡が残存していた場合であっても、この気泡を溶液Sからさらに分離させて空間部R3に放出することができる。この2回目の気液分離(第2の気液分離)によって、細かな気泡についても最終的に除去することができる。そして、気泡が除去された溶液Sを第2収容タンク81内に収容することができる。

【0115】
従って、本実施形態の気泡除去装置80であっても、溶液S中に溶解しているメタンM成分に影響を与えることなく、メタン溶解度を維持した状態で溶液S中から気泡だけを効率良く除去することができる。
特に、本実施形態では、第2収容タンク81を攪拌タンクとして最初に利用でき、その後、気泡が除去された溶液Sを収容するタンクとしても利用できるので、攪拌タンクを別個に用意する必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。また、攪拌タンクを設置するための余分なスペースを確保する必要もない。

【0116】
さらに、本実施形態の場合には、送液ポンプ85によって溶液Sを循環できるので、上述した第1の気液分離及び第2の気液分離を繰り返し行うことができる。従って、溶液Sから気泡を十分に除去することが可能である。
この際、図7に示すように、必要に応じて切替バルブ92を閉め、第1収容タンク3から排出した溶液Sを溶解度測定装置60に流すことができるので、メタン溶解度を速やかに測定することができ、例えば測定結果を適宜確認しながら、第1の気液分離及び第2の気液分離を繰り返し行うことができる。そのため、溶液Sから気泡を除去する作業を、より一層確実に行うことができる。

【0117】
なお、溶液Sから気泡を除去した後、第1流出バルブ44を開けることで、流出口84、接続ライン41及び流出ライン43を通じて、第2収容タンク81内の溶液Sを抜き出すことができる。従って、第1実施形態と同様に、気泡が除去され、且つメタン溶解度が安定に維持された溶液Sを、品質を維持した状態で取り出すことができ、様々な用途に利用することができる。

【0118】
ところで、本実施形態の場合には、気相組成分析を行うことが可能である。具体的には、気泡除去作業を行った後、第2収容タンク81の空間部R3に残存しているメタンMの組成を分析することができる。これにより、攪拌作業を行うにあたって第2収容タンク81の空間部R3に供給した初期段階のメタンMの組成との比較を行い、その比較結果から組成変化の状況を正確に把握することができる。

【0119】
この場合には、図8に示すように、溶液Sからの気泡除去が終了した後、送液ポンプ85の内部モータを逆回転させて、第1収容タンク3内の溶液Sを、流入口40、接続ライン41及び流出口84を通じて第2収容タンク81内に供給する。これにより、第1収容タンク3内の溶液Sの液面を下降させ、且つ第2収容タンク81内の溶液Sの液面を上昇させることができるので、第2収容タンク81の空間部R3内に残存しているメタンMを第2収容タンク81から押し出して、排出ライン4及びリターンライン91を通じて溶解度測定装置60側に流すことができる。その結果、溶解度測定装置60を利用して、溶液Sの場合と同様の原理により、メタンMの組成分析を行うことができる。

【0120】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。

【0121】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、攪拌器2及び溶解度測定装置60を具備した構成としたが、これらは必須な構成ではなく、具備しなくても構わない。
例えば、溶媒に気体が溶解した状態にある溶液を地層や海底等から採取し、採取した溶液を、流入口40を通じて第1収容タンク3内に流入させても構わない。この場合には、圧力調整部6により、溶液を採取した圧力環境に一致するように、第1収容タンク3、第2収容タンク5及び排出ライン4の内圧を調整すれば良い。

【0122】
また、攪拌器2を具備する場合、上記各実施形態ではマグネチックミキサー式の攪拌器を例に挙げて説明したが、この方式に限定されるものではない。いずれにしても、溶媒と気体とを攪拌により気液混合できれば良い。

【0123】
さらに、上記各実施形態では、第2収容タンク5の内壁面5bを伝わせながら溶液Sを第2収容タンク5に供給したが、第2収容タンク5の内壁面5bを利用するのではなく、専用の案内部材を第2収容タンク5内に配置し、この案内部材を伝わせながら溶液Sを第2収容タンク5内に供給しても構わない。
例えば、棒状部材や板状部材を案内部材として第2収容タンク5内に配置しても良い。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。

【0124】
但し、第2収容タンク5の内壁面5bを案内部材として利用することで、別個に案内部材を用意する必要がないので、部品点数を減らすることができ、構成の簡略化を図ることができる。なお、第2収容タンク5内に配置した内部電極51を案内部材として利用し、内部電極51を伝わせながら溶液Sを第2収容タンク5内に供給しても構わない。
また、第2収容タンク5の内壁面5bを案内部材として利用する場合、内壁面5bが垂直な壁面ではなく傾斜した壁面となるように、第2収容タンク5を斜めに傾斜した状態で設置しても良い。この場合には、溶液Sを第2収容タンク5内に供給する際に、より確実に内壁面5bを伝わせることができるので、溶液Sの滴下を効果的に防止することができる。

【0125】
また、上記第1及び第2実施形態において、攪拌タンク10と第1収容タンク3とを接続する接続ライン41にポンプをさらに設け、攪拌タンク10内の溶液Sを、流入口40を通じて第1収容タンク3内に供給しても構わない。この場合には、第1収容タンク3内への溶液Sの流入を補助できるので、より安定して溶液Sを第1収容タンク3内に供給することができる。

【0126】
さらに、上記第1実施形態では、排出ライン4を溶液Sの液面と同等の高さに配置したが、この場合に限定されるものではなく、液面よりも下方で第1収容タンク3に接続されていても構わない。
この場合、第1収容タンク3内に収容される溶液Sの容積や、流入口40と液面との間の距離等を考慮すると共に、溶液Sが流入口40から上昇する過程で気泡が溶液Sから分離する作用を阻害しないことを考慮して、排出ライン4の位置を決定すれば良い。
【実施例】
【0127】
次に、第1実施形態の気泡除去装置1と同様に構成され、且つ小スケールで構成した実験装置を利用して気泡の除去を行い、第2収容タンク5内に収容された高圧の溶液Sのメタン溶解度を、溶解度測定装置60により実際に測定した実施例について説明する。
なお、本実施例では、溶解度測定装置60を通過した溶液Sを、第3流出バルブ47及び送液ポンプ23を経由して再度攪拌タンク10内に流入させた。また、以下の条件のもと測定を行った。
【実施例】
【0128】
送液ポンプ23の流量は1cc/minに設定し、攪拌タンク10に連続的に水Wを供給した。溶解度測定装置60のスロット72に対して溶液Sを1μL導入して、メタン溶解度を測定した。
温度条件としては、45℃を維持した状態で行った。一方、圧力条件としては、攪拌容器、第1収容タンク3、第2収容タンク5及び排出ライン4の内圧を、23.0(atm)、89.0(atm)及び136.9(atm)に変化させた3つのパターンで測定を行った。23.0(atm)の圧力条件で行った結果を実施例Aとし、89.0(atm)の圧力条件で行った結果を実施例Bとし、136.9(atm)の圧力条件で行った結果を実施例Cとする。
上述した3つのパターンにおいて、メタン溶解度の測定を60分の時間間隔をあけながら複数回に亘ってそれぞれ行った。その結果を、表1及び図9に示す。
【実施例】
【0129】
また、測定結果を比較するために、従来の静置法を利用して溶液Sの気泡除去を行い、気泡が除去された静置後の溶液Sのメタン溶解度を測定し、その測定値との比較を行った。なお、静置法では、攪拌に2時間費やし、静置に2時間から一昼夜費やした。
また、静置法を行う場合の温度条件は同じとし、且つ、23.0(atm)、89.0(atm)及び136.9(atm)の圧力条件でそれぞれ測定を行った。この比較結果を表1に示す。
【実施例】
【0130】
【表1】
JP0006381363B2_000002t.gif
【実施例】
【0131】
測定した結果、図9から明らかなように、実施例A~実施例Cのいずれの場合であっても、複数回の測定において安定したメタン溶解度の数値を得ることができた。溶液Sに気泡が混入している場合には、メタン溶解度の測定値が急激に上昇し、異常なピークを示す特徴が現れるが、このような現象が現れなかった。また、表1に示すように、実施例Aにおいて複数回に亘る測定結果の変動係数は0.8%であり、実施例Bにおいて複数回に亘る測定結果の変動係数は3.0%であり、実施例Cにおいて複数回に亘る測定結果の変動係数は3.4%であり、いずれも低く良好であった。
これらの結果により、気泡が確実に除去された溶液Sを、第2収容タンク5内に安定して収容できること実際に確認することができた。
【実施例】
【0132】
なお、実施例Aにおけるメタン溶解度の平均値は0.52(cc/g)であり、実施例Bにおけるメタン溶解度の平均値は1.61(cc/g)であり、実施例Cにおけるメタン溶解度の平均値は2.20(cc/g)であった。
【実施例】
【0133】
さらに、実施例A~実施例Cにおけるメタン溶解度の平均値と、従来の静置法で測定したメタン溶解度とを比較した結果、静置法で測定したメタン溶解度との誤差は(-)8.5%~(+)0.9%であり、良好な結果が得られた。
つまり、本発明によれば、従来の静置法と同程度のメタン溶解度を維持することができることを実際に確認することができた。
【実施例】
【0134】
以上のことから、本発明によれば、溶液S中に溶解しているメタン成分に影響を与えることなく、メタン溶解度を従来の静置法と同程度に維持した状態で、溶液S中から気泡だけを確実に除去できることを実際に確認することができた。
そのうえで、本発明によれば、従来の静置法よりも効率良く気泡を除去する作業を行え、安定したメタン溶解度の溶液Sを連続的に得ることができるという優れた作用効果を奏功することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明によれば、溶液中に溶解している気体成分に影響を与えることなく、気体溶解度を維持した状態で溶液中から気泡だけを効率良く除去することができる。従って、産業上の利用可能性を有する。
【0136】
例えば、以下の用途に用いることも可能であるので産業上の利用可能性が大きい。
(1)製造プロセスにおける製造条件の最適化対策として、反応槽等に供給される揮発性物質を含む原料又は中間生成液中の不要な揮発性物質気泡の除去。
(2)フローコーター等の塗装装置を用いた塗装過程における揮発性物質を含む塗料中の気泡の除去。
(3)二酸化炭素の帯水層への地中貯蔵(CCS : Carbon Dioxide Capture & Storage)や、水にメタンガスが溶解している水溶性天然ガス田への二酸化炭素圧入による溶解メタンガスの回収方法の研究、等の高圧下における二酸化炭素、水に対するメタンガスの溶解度の基礎データを取得する溶解度測定装置において、気液攪拌によって混入する気泡の除去。
【符号の説明】
【0137】
M…メタン(気体)
W…水(溶媒)
S…溶液
R2…第1収容部内の空間部
1、70、80…気泡除去装置
2…攪拌器(攪拌部)
3…第1収容タンク(第1収容部)
4…排出ライン(排出路)
5、81…第2収容タンク(第2収容部)
5b…第2収容タンクの内壁面(第2収容部の内壁面)
6…圧力調整部
10…攪拌タンク(攪拌容器)
11…攪拌子
23…送液ポンプ(供給部)
40…流入口
42、84…流出口
60…溶解度測定装置(測定部)
73…第2接続管(排出路)
82…攪拌部
85…送液ポンプ(送液部)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8