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明細書 :通信システム及びそれを用いた移動装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6430747号 (P6430747)
公開番号 特開2016-039464 (P2016-039464A)
登録日 平成30年11月9日(2018.11.9)
発行日 平成30年11月28日(2018.11.28)
公開日 平成28年3月22日(2016.3.22)
発明の名称または考案の名称 通信システム及びそれを用いた移動装置
国際特許分類 H04B  10/114       (2013.01)
G05D   1/02        (2006.01)
FI H04B 10/114
G05D 1/02 H
請求項の数または発明の数 6
全頁数 19
出願番号 特願2014-160855 (P2014-160855)
出願日 平成26年8月6日(2014.8.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 平成26年2月6日岩手県立大学共通講義棟において開催された岩手県立大学ソフトウェア情報学部卒業研究成果発表会で発表
審査請求日 平成29年5月1日(2017.5.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】507234427
【氏名又は名称】公立大学法人岩手県立大学
発明者または考案者 【氏名】新井 義和
【氏名】猪股 俊光
【氏名】今井 信太郎
【氏名】菅原 誠
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
審査官 【審査官】鴨川 学
参考文献・文献 特開2007-194923(JP,A)
特開2000-349327(JP,A)
特開2004-235899(JP,A)
特開2000-201108(JP,A)
特開平09-171599(JP,A)
特開平05-268164(JP,A)
欧州特許出願公開第01545027(EP,A1)
特開平05-336045(JP,A)
特開昭61-236227(JP,A)
特開2005-229277(JP,A)
調査した分野 H04B 10/114
G05D 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
送信素子から発生される赤外線により送信データを送信する赤外線送信機と、
赤外線により送信された送信データを受信する赤外線受信機と、
前記赤外線送信機と前記赤外線受信機とをそれぞれの所定の回転数により回転させる駆動部と、
を備え、
前記赤外線送信機は、該赤外線送信機の回転情報を検知するセンサを有しており、該センサは、現在の前記送信素子が向いている方向に応じて変化する情報を検知し、該情報が前記赤外線送信機により送信され、
前記赤外線送信機と前記赤外線受信機の回転数は異なり、一方が他方より高速で回転するように設定される、通信システム。
【請求項2】
前記赤外線受信機は、該赤外線受信機の回転情報を検知するセンサを備える、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信素子は、前記回転情報を検出するセンサによって検知された該送信素子の現在向いている方向によらず、一定の強度で信号を送信する、請求項に記載の通信システム。
【請求項4】
前記赤外線送信機の送信データは、グレイコードを含む、請求項1~の何れかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記赤外線送信機と前記赤外線受信機は、ワイヤレス給電により電力が供給される、請求項1~の何れかに記載の通信システム。
【請求項6】
請求項1~の何れかに記載の通信システムを備えた、移動装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及びそれを用いたロボットや車両等の移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のロボットが同一環境内で活動する場合、互いの衝突回避の技術が必要不可欠である。効果的な回避を実現するためには、相手の行動を認識することが望ましく、ロボット間の通信によって各自の行動情報をそのまま交換する手法が適している。
【0003】
しかしながら、電波を利用した大局的な通信では、環境内のロボットの数が多くなるにしたがって通信の輻輳が発生し、リアルタイムな通信が困難になる。ロボット間の大局的な相互通信、即ち電波を用いた通信に起因する通信の輻輳を回避するために、局所的な通信によって隣接したロボット間のみで情報を交換するセンサシステムが報告されている(非特許文献1参照)。
【0004】
これに対して、局所的な通信によって隣接したロボット聞のみで情報を交換し、衝突回避を実現する研究が行われている。特許文献1には、平面を二次元的に移動するロボットの全周方向に対する通信を実現するため、複数の赤外線送信素子及び赤外線受信素子を放射状に配置する構成が開示されている。
【0005】
Kemppainenらはロボット間の位置関係を認識するために、個々のロボットから発信されたパルスをシームレスに検出するシステムを提案している(非特許文献2参照)。非特許文献2では、ロボット上に固定された赤外線送信素子から発せられたパルス光を、円錐ミラーを介して全周方向に発信するとともに、回転するミラーを介して全周方向からのパルス光を時分割に受信素子に入射することが報告されている。
【0006】
しかしながら、非特許文献2のシステムは、個々のロボットに固有の周波数のパルスを全周方向に発信するのみで、情報の伝送を意図していない。
【0007】
Miodragらは、同様の目的のために、周囲の環境に設置された個々のビーコンが固有のIDを赤外線送信素子によって送信し、ロボットでそれらを識別するシステムを提案している(非特許文献3参照)。
【0008】
しかし、非特許文献3の手法では送信機は固定であり、しかも送信方向に応じた情報を伝送することは想定されていない。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開平9-171599号公報
【0010】

【非特許文献1】鈴木昭三,新井義和,琴坂信哉,浅間一,嘉悦早人,遠藤勲、「マルチ移動ロボット環境における衝突回避のための局所的な通信を利用したセンサシステムの開発」、日本機械学会論文集(C編)62巻、602号、pp.14-20、1996
【非特許文献2】Anssi Kemppainen,Janne Haverinen,Juha Roning, “An Infrared Location System for Relative Pose Estimation of Robots”, Romansy 16 Robot Design Dynamics and Control, Springer, pp. 379-386, 2006
【非特許文献3】Brkic Miodrag, Milian Lukic, Jovan Bajic, Bojan Dakic, Milorad Vukadinovic: “Hardware realization of autonomous robot localization system”, Proceedings of the 35th International Convention on Information and Communication Technology, Electronics and Microelectronics, pp. 146-150, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、赤外線で双方向の通信をする特許文献1の手法では、複数の赤外線送受信素子を放射状に配置しており、隣り合う素子同士の指向性の谷間において不感帯が発生してしまう。また、送信方向に応じた情報を、素子の数分の分解能でしか送ることができないという課題があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑み、不感帯が生じ難く、全周方向でかつ通信距離を限定することにより局所通信が可能な通信システムを提供することを第1の目的とし、この通信システムを用いたロボットや車両などの移動装置を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、赤外線を通信媒体とし、赤外線送信機及び赤外線受信機をそれぞれ異なる速度で回転させることにより、全周方向に継ぎ目なく、かつ、情報の空間的分解能を向上できる通信システムが実現できるという知見を得て本発明に想到した。
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明の通信システムは、送信素子から発生される赤外線により送信データを送信する赤外線送信機と、赤外線により送信された送信データを受信する赤外線受信機と、赤外線送信機と赤外線受信機とをそれぞれの所定の回転数により回転させる駆動部と、を備え、赤外線送信機は、該赤外線送信機の回転情報を検知するセンサを有しており、該センサは、現在の送信素子が向いている方向に応じて変化する情報を検知し、該情報が赤外線送信機により送信され、赤外線送信機と赤外線受信機の回転数は異なり、一方が他方より高速で回転するように設定される。
【0015】
上記構成において赤外線受信機は、好ましくは、該赤外線受信機の回転情報を検知するセンサを備える。
ましくは信素子は、回転情報を検知するセンサによって検知された現在の送信素子が向いている方向によらず、一定の強度で信号を送信する。
外線送信機の送信データは、好ましくはグレイコードを含む。
赤外線送信機と赤外線受信機は、好ましくはワイヤレス給電により電力が供給される。
【0016】
本発明の移動装置は、上記何れかに記載の通信システムを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通信システムによれば、全周方向に継ぎ目なく、かつ、情報の空間的分解能を向上できる通信システムを提供することができる。
【0018】
本発明の通信システムを備えた移動装置によれば、全周方向に継ぎ目なく、かつ、情報の空間的分解能を向上できる通信システムを備えた移動装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図2】本発明の通信システムの赤外線送信機の構成を示すブロック図である。
【図3】送信回路の回路図の一例であり、(a)はオフ状態、(b)はオン状態を示している。
【図4】図3の可変抵抗の値と通信範囲との関係を示す図である。
【図5】送信パルスのフレーム構造を示す図である。
【図6】赤外線送信機の回路図の一例である。
【図7】赤外線受信機の構成を示すブロック図である。
【図8】ワンショット回路において、再トリガを用いる場合を説明する図である。
【図9】赤外線受信機の回路図の一例である。
【図10】モータを駆動するモータ駆動部のブロック図である。
【図11】ワイヤレス給電部を備えた通信システムの構成を示す図である。
【図12】ワイヤレス給電部のブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る通信システムを備えた移動装置の一例を示す図である。
【図14】送信方向に応じた情報の送信を示す図である。
【図15】10進数に対応する2進数と、3ビットのグレイコードとを示す図である。
【図16】送信方向に応じた情報の符号化にグレイコードを用いたときの受信信号を示す図である。
【図17】送信方向に応じた情報の符号化に2進数を用いたときの受信信号を示す図である。
【図18】ロボットの周辺物体の認識を模式的に説明する図である。
【図19】ロボットの周辺物体の認識を説明する図であり、(a)はロボットAからロボットBへの信号の伝達を、(b)はロボットA及びBの方向ベクトルと相対移動方向の関係を示している。
【図20】赤外線送信機と赤外線受信機の距離を、10cmから130cmまで、10cm毎に変化させたときの各受信状態の割合の変化を示す図である。
【図21】比較例において赤外線送信機と赤外線受信機の距離を、10cmから130cmまで、10cm毎に変化させたときの各受信状態の割合の変化を示す図である。
【図22】受信素子に設けた遮蔽フードの構成を示す斜視図である。
【図23】遮蔽フード未装着時の受信状態を示す図である。
【図24】遮蔽フードの装着時の受信状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1の構成を示す模式図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1は、赤外線により送信データを送信する赤外線送信機2と、赤外線により送信された送信データを受信する赤外線受信機3と、赤外線送信機2と赤外線受信機3とをそれぞれ所定の回転数により回転させる駆動部4と、減速機5とを、含んで構成されている。

【0021】
さらに、通信システム1には、赤外線送信機2が搭載される円盤4bの回転情報を検知するセンサ6が配設されてもよく、同様に、赤外線受信機3が搭載される円盤9の回転情報を検知するセンサ7が配設されてもよい。

【0022】
図1(a)に示すように、駆動部4は、モータ4aと、モータ4aに接続される赤外線送信機2を搭載する円盤4bと、フレーム8に配設され該円盤4bに接続される減速機5と、を含んで構成されている。モータ4aは、中空軸モータ等を用いることができる。減速機5は、図示の場合、歯車5a、ベアリング5b、シャフト5c等の部材により減速される。歯車5aの種類や数及び部材は、後述する減速比に応じて設定すればよい。

【0023】
赤外線送信機2はモータ4aの回転数で回転する。モータ4aの回転数が毎分100回~10000回転の場合、赤外線送信機2の回転数は100rpm~10000rpmとなる。

【0024】
一方、赤外線受信機3は、フレーム8に配設され、赤外線送信機2を搭載する円盤4bに接続される減速機5を介して接続される円盤9上に配設されている。従って、赤外線受信機3の回転数は、赤外線送信機2の回転数よりも小さくなる。赤外線受信機3の回転数は、モータ4aの回転数を減速機5の減速比で割った値となる。角度分解能を3°とした場合の減速比は、後述するように約3600となる。赤外線送信機2の回転数が10000rpm、減速比を3600とすると、赤外線受信機3の回転数は、2.78rpmとなる。

【0025】
本発明では、赤外線送信機2と赤外線受信機3の回転数は異なり、一方が他方より、非常に高速で回転するように設定する。ここで、第1の通信システム1と第2の通信システム1との2つの通信システムがあり、第1の通信システム1の赤外線送信機2と第2の通信システム1の赤外線受信機3との間で通信しようとする場合、赤外線送信機2と赤外線受信機3の回転数が同一である場合には、両者の回転の位相によっては、永遠に向かい合わないこともあり、通信ができなくなる。このように赤外線送信機2と赤外線受信機3の回転数を異ならせることで、赤外線送信機2と赤外線受信機3の回転数が同一である場合に生じる通信障害を、効果的に回避することができる。

【0026】
図1(b)に示すように、赤外線送信機2と赤外線受信機3とは、例えばプリント基板に形成され、このプリント基板は赤外線送信機2及び赤外線受信機3が搭載される円盤4b,9に配設されている。円盤4b,9が、赤外線送信機2及び/又は赤外線受信機3が搭載されるプリント基板を兼ねてもよい。赤外線送信機2の送信素子21は、円盤4bの外周近辺に配設されている。この送信素子21により発生される赤外線が、通信システム1の外部に送信される。

【0027】
送信素子21としては、赤外線を発光する発光ダイオードを使用することができ、発光ダイオードとしては、無機物の化合物半導体からなるGaAs等の発光ダイオードや、有機物半導体からなる発光ダイオード等を用いることができる。図1(b)では送信素子21を一つとして示しているが、送信素子21は複数設けてもよい。

【0028】
図1(b)に示すように、赤外線受信機3の受信素子31は、円盤9の外周近辺に配設されており、この通信システム1以外の通信システムから送信された赤外線が、受信素子31により受信される。

【0029】
受信素子31としては、赤外線を受光できるフォトダイオードを使用することができ、フォトダイオードとしては、Siからなるpnフォトダイオードやpinフォトダイオードを用いることができる。図1(b)では受信素子31を一つとして示しているが、受信素子31は複数設けてもよい。

【0030】
図1(b)に示すように、通信システム1において、赤外線送信機2は、モータ4aにより一定方向に一定速度で回転する。赤外線受信機3は、モータ4aと減速機5とにより一定方向に赤外線送信機2とは異なる一定速度で回転する。これにより、通信システム1において、全周方向で継ぎ目がなく、つまり、シームレスに通信を行うことができる。

【0031】
(赤外線送信機)
図2は、本発明の通信システム1の赤外線送信機2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、赤外線送信機2は、マイクロプロセッサー(マイコンとも呼ぶ)22と、搬送波用の発振器23と、論理回路24と、送信回路25と、電源回路26等を含んで構成されている。マイクロプロセッサー22は、後述する送信パルスを生成する。この送信パルスと搬送波用の発振器23で発生した、例えば455kHzの般送波とが論理回路24に入力されて変調される。これにより送信パルスのノイズ耐性が高まる。

【0032】
図3は送信回路25の回路図の一例であり、(a)はオフ状態、(b)はオン状態を示している。図3に示すように、送信回路25は、トランジスタ27と、トランジスタ27の主電極27aに接続される送信素子21と、一端が送信素子21に接続される可変抵抗素子28とからなる。トランジスタの他の主電極27bは接地され、トランジスタ27の制御電極27cには論理回路24の出力、つまり、変調した送信パルスが入力される。可変抵抗素子28の他端には電源が供給される。電源電圧は、VCCである。

【0033】
トランジスタ27は、バイポーラトランジスタやMOSFET等を用いることができる。バイポーラトランジスタの主電極、他の主電極及び制御電極は、それぞれコレクタ、エミッタ、ベースである。MOSFETの主電極、他の主電極及び制御電極は、それぞれドレイン、ソース、ゲートである。本発明では、トランジスタ27はバイポーラトランジスタとして説明する。

【0034】
図3(a)は、バイポーラトランジスタ27のベース27cに印加されるパルスが0(V)の場合、つまり、パルスがローベルであり、バイポーラトランジスタ27はオフ状態である。この場合、送信素子21には電流が流れないので発光しない。

【0035】
図3(b)は、バイポーラトランジスタ27のベース27cに印加される電圧がV(V)の場合、つまり、ハイレベルであり、バイポーラトランジスタ27はオン状態である。この場合、送信素子21には電流が流れるので発光する。送信素子21に流れる電流は、可変抵抗素子28の値、つまり可変抵抗の値を変化させることにより調整できる。

【0036】
図4は、図3の可変抵抗の値と通信範囲との関係を示す図である。図4に示すように、送信回路25において、可変抵抗素子28の値を小さくすれば、送信素子21に流れる電流が増大し、赤外線出力が増加するので、通信範囲は拡大する。一方、送信回路25において、可変抵抗素子28の値を大きくすれば、送信素子21に流れる電流が減少し、赤外線出力は減少するので、通信範囲は短くなる。

【0037】
図5は、送信パルスのフレーム構造を示す図である。図5に示すように、送信パルスは、ヘッダ部とデータ部で構成される(特許文献1参照)。ヘッダ部は、5a幅のONとa幅のOFFからなり、これらを検出することで通信における同期が確立される。ここで、aは単位パルス幅である。このように、ヘッダ部は、6パルスからなる。

【0038】
データ部は、送信データの1ビット毎に、2a幅のONとa幅のOFFでデータ「1」を表し、a幅のONと2a幅のOFFで、データ「0」を表現している。データ長のビット数だけこれらの3a幅のパルスを並べている。データが8ビット(1バイト)の場合には、データ部は3a幅のパルス×8=24a幅で表現される。つまり、データ部は、24パルスからなる。従って、送信パルスは、ヘッダ部の6パルスとデータ部の24パルスの合計の30パルスからなる。

【0039】
回転情報を検知するセンサ6は、現在の送信素子21が向いている方向に応じて変化する情報を検知し、この情報が赤外線送信機2により送信されてもよい。即ち、赤外線送信機2は、回転情報を検知するセンサ6によって検知された現在の送信素子21が向いている方向に応じて変化する情報、例えば角度や移動速度を送信することができる。

【0040】
このような送信パルスでは、複数の赤外線送信機2から発せられた信号が重なった場合に、一方のヘッダ部が他方の任意の場所に現れる。したがって、デコード中にヘッダ部を想定していない箇所で、5a幅以上のONが現れることによって、干渉を検出することもできる。

【0041】
赤外線受信機3が信号をデコードするためには、赤外線送信機2が回転していたとしても、すべての単位パルスにおけるON/OFF状態を観測する必要がある。したがって、各単位パルス中に少なくとも1回ずつ信号を観測するために、単位パルス幅aを送信機の1回転に要する時間と同じ時間とすることができる。例えば赤外線送信機2の回転数を10000rpmとしたとき単位パルス幅aは、6msである。

【0042】
(減速比)
赤外線送信機2がモータ4aの回転数(N)で回転しているときの赤外線受信機3の回転数(N)について説明する。
赤外線受信機3が特定の方向についてセンシングが可能な時間間隔は、モータ4aが1周に要する時間(T=60/N)と一致するため、それを、単位パルス幅a(T)とすればよい。一つの送信データを受信するのに要する時間(T)は、データ部が8ビット(1バイト)の場合には、30パルス分の時間となる。モータ4aの回転数(N)を10000rpmとした場合、モータ4aが1周に要する時間(T)は、6msとなり、一つの送信データを受信するのに要する時間(T)は、6ms×30=180msとなる。
赤外線受信機3が全周方向と通信するのに要する時間(Tall)は、角度分解能を3°とした場合には、Tall=360°/3°×180ms=21.6sとなる。従って、赤外線受信機3の回転数(N)は、60s/21.6s=2.78rpmとなる。
減速比は、モータ4aの回転数(N)/赤外線受信機3の回転数(N)である。この場合、減速比は、10000/2.78≒3600となる。減速比を非常に大きくした場合は、赤外線受信機3の回転数がゼロとなり、赤外線受信機3は、特定方向に固定された状態となる。

【0043】
図6は、赤外線送信機2の回路図の一例である。図6に示すように、赤外線送信機2は、電源の電圧を所定の電圧とする三端子レギュレータ(トレックス・セミコンダクター製、XC6202P332)32と、発振器23となるタイマー用IC(ナショナルセミコンダクタ製、LMC555)と、論理回路24となるNANDと、赤外線発光ダイオード(Vishay製、TSFF5210)21aと、可変抵抗器28aと、バイポーラトランジスタ27と、図示しない32ビットマイコン(ルネサスエレクトロニクス製、RX621)等から構成されている。搬送波を発生する発振器23においては、抵抗R、RB、の値を変えることにより周波数やデューティ比を調整することができる。

【0044】
赤外線送信機2は送信素子21を含み、回転情報を検知するセンサ6によって検知された現在の送信素子21が向いている方向によらず、一定の強度で信号を送信する。つまり、赤外線送信機2は、回転情報を検知するセンサ6によって検知された送信素子21が現在向いている方向によらず、一定の強度で信号を送信することができる。これにより、赤外線送信機2は、全周方向に継ぎ目のない通信可能範囲を持たせることができる。通信可能範囲は、可変抵抗器28aにより赤外線発光ダイオード21aに流す電流を調節することにより、調整することができる。

【0045】
(赤外線受信機)
次に、赤外線受信機3について説明する。
図7は、赤外線受信機3の構成を示すブロック図である。図7に示すように、赤外線受信機3は、受信素子31を含む受信回路35と受信回路35からの信号を復調するワンショット回路36と電源37等を含み構成される。ワンショット回路36等の出力を可視化するために、マイクロプロセッサー38やマイクロプロセッサーに接続されるモニタ等がさらに接続されてもよい。

【0046】
赤外線送信機2が、モータ4aにより一定速度で回転しているため、赤外線受信機3は赤外線送信機2と向き合っている間だけ信号を受信する。これにより、受信したパルスの幅は送信パルスと比較して極めて短い。この信号をワンショット回路36に通して、受信信号をトリガとして単位パルス幅aの時間だけONを出力し続けることによって元のパルスの形状に復元する。

【0047】
図8は、ワンショット回路36において、再トリガを用いる場合を説明する図である。図8に示すように、送信信号において単位パルス幅aのON信号が連続している場合は、受信素子31にはトリガとなる信号が単位パルス幅aの間隔で連続して受信される。これらの連続したトリガからなる受信信号を復元する際には、再トリガ機能を有するワンショット回路36を用いることで、途切れのない連続したON信号を安定して得ることができる。

【0048】
復元された受信パルスは、マイコン38に入力され、マイコン38はサンプリングを経てそれをデコードする。このとき、サンプリング間隔は単位パルス幅aの半分の3msとした。ワンショット回路36によるパルス形状の復元は、赤外線送信機2と赤外線受信機3が正対したときのみにトリガとなるパルスを受信することを前提としている。

【0049】
したがって、送信素子21の指向性が広い場合など、正対していないときに誤ったトリガを受信することを防ぐために、赤外線受信機3には、後述する遮蔽フード等を受信素子31に装着してもよい。

【0050】
図9は、赤外線受信機3の回路図の一例である。図9に示すように、赤外線受信機3は、電源の電圧を所定の電圧とする三端子レギュレータ(トレックス・セミコンダクター製、XC6202P332)32と、赤外線受信素子(Vishay製、TSOP7000)31aと、ワンショット回路36となるタイマー用IC(ナショナルセミコンダクタ製、LMC555)と、ワンショット回路36から出力される信号をデコードする図示しない32ビットマイコン(ルネサスエレクトロニクス製、RX621)と、マイコンの出力をシリアル信号に変換するインターフェイス回路41であるRS232Cラインドライバ(Sipex製、SP202ECP)等から構成されている。ワンショット回路36は、タイマー用ICのピン8に接続される抵抗39の値を変えることによりONを出力し続ける時間を調整することができる。

【0051】
(モータ駆動部)
図10は、モータ4aを駆動するモータ駆動部45のブロック図である。図10に示すように、モータ駆動部45は、赤外線送信機2を搭載する円盤4bを駆動するモータ4aと、モータ4aを一定回転速度に速度制御するために用いる該モータ4aの回転情報を検知するセンサ4fと、モータ駆動回路47を備えて構成されている。回転情報を検知するセンサ4fには、ロータリエンコーダや透過型のフォトセンサ等を用いることができる。透過型のフォトセンサの場合には、所定の方向に至ったことを検出し、そこを基準として経過時間と回転速度の関係から角度を割り出してもよい。

【0052】
赤外線送信機2を搭載する円盤4bは、モータ4aに接続される。赤外線送信機2を搭載する円盤4bの軸には、この円盤4bの回転情報、即ち、赤外線送信機の回転情報を検知するセンサ6を備えている。回転情報を検知するセンサ6には、ロータリエンコーダや透過型のフォトセンサ等を用いることができる。ここで、回転情報を検知するセンサ6と回転情報を検知するセンサ4fの何れか一方が他方を兼ねてもよい。

【0053】
赤外線受信機3を搭載する円盤9は、赤外線送信機2に接続する減速機5を介して接続される。赤外線受信機3を搭載する円盤9の軸には、この円盤9の回転情報、即ち、赤外線受信機の回転情報を検知するセンサ7を備えている。回転情報を検知するセンサ7には、ロータリエンコーダや透過型のフォトセンサ等を用いることができる。

【0054】
この赤外線送信機2を、モータ4aに設置し、例えば、回転速度10000rpmで回転させる。即ち、1回転に要する時間は、6msである。

【0055】
これにより、ロータリエンコーダ等を用いて速度制御を行うとともに、赤外線送信機2及び赤外線受信機3が向いている瞬間的な方向を逐次認識する。これにより、赤外線送信機2は送信方向に応じて送信情報を切り替えることが可能となるとともに、赤外線受信機3は信号を受信した方向を認識することが可能となる。

【0056】
送信方向に応じた情報は、グレイコード(Gray Code)を用いて符号化してもよい。つまり、赤外線送信機2の送信データは、グレイコードを含んでもよい。グレイコードは、数値の符号化の一つの手法であり、前後に隣接する符号間のハミング距離が1である特性を有している。従って、グレイコードを用いると、送信方向に応じた情報の変わり目において偽データが生成されないので、送信方向に応じた情報を正確に送出することができる。

【0057】
(ワイヤレス給電)
通信システム1の赤外線送信機2と赤外線受信機3は、ワイヤレス給電により電力が供給されてもよい。ここで、通信システム1に用いることができるワイヤレス給電について説明する。
非接触で電力を供給する非接触電力伝送方式を用いた受給電装置、所謂ワイヤレス給電装置が知られており、電力を供給する側は送電部、電力が供給される側は受電部とも呼ばれている。

【0058】
図11は、ワイヤレス給電部50を備えた通信システム60の構成を示す図であり、図12は、ワイヤレス給電部50のブロック図である。
図11に示すように、ワイヤレス給電のための送電コイル51は、通信システム1の下部に配設されている。赤外線送信機2は、ワイヤレス給電のための受電コイル55を備えている。同様に、赤外線受信機3は、ワイヤレス給電のための受電コイル56を備えている。

【0059】
図12に示すように、ワイヤレス給電部50は、送電部61と受電部65とから構成される。送電部61は、直流電源62と、直流電源62を交流に変換するインバータ63と、インバータ63に接続される送電コイル51とを含んで構成されている。

【0060】
受電部65は、受電コイル55と、受電コイル55に接続される整流回路67と、整流回路67に接続される負荷68を含んで構成されている。赤外線送信機2側に設けた受電コイル55には、負荷68として赤外線送信機2が接続される。赤外線受信機3側に設けた受電用コイル56には、負荷68として赤外線受信機3が接続される。

【0061】
このように構成された通信システム60によれば、赤外線送信機2及び赤外線受信機3には、ワイヤレス給電により電源電力が供給されるので、回転によってねじれてしまう余計な配線が不要となる。一方、赤外線送信機2又は赤外線受信機3に電源を搭載する必要がないことから、電源の搭載に起因する重量の増加ならびにそれらを回転するための所要トルクの増加を低減することが可能である。

【0062】
本発明の通信システム1,60によれば、赤外線送信機2及び赤外線受信機3がそれぞれ異なる回転速度で回転しているために、不感帯が生じ難く、全周方向でかつ通信距離を限定することが可能な局所通信が可能な通信システムを提供することができる。また、送信方向に応じた情報の空間的分解能を向上するとともに、送信方向に応じた情報の空間的分解能を、任意に設定することができる。

【0063】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る本発明の通信システムを備えた移動装置70の一例を示す図である。図13に示すように、通信システムを備えた移動装置70の一例は、ロボットであり、図11に示す通信システム60に、さらに、移動用の駆動部71と、移動用の駆動部71を制御する中央演算装置(以下、CPUと呼ぶ)73と、移動用の駆動部71及びCPU73の電源部75とを含んで構成されている。

【0064】
CPU73と、赤外線送信機2及び赤外線受信機3との通信は、別途配設される赤外線通信機による通信回線76等で行うことができる。赤外線送信機2及び赤外線受信機3は回転体であることから、固定されているCPUとの間の通信回線76は所謂有線で結ぶことはできない。同時に、多数のロボットによる同時通信に起因する通信の輻輳を回避するためにも、局所的通信であることが望ましい。一方、回転可能な有線接続手段としてスリップリングを用いてもよい。ロボットとしては、床等を走行する搬送用ロボットや掃除用ロボットが挙げられる。

【0065】
移動用の駆動部71は、床等を走行するための二次元駆動をする。移動用の駆動部71は、車輪と車輪を駆動するモータ等を含んで構成されている。

【0066】
(グレイコード)
図14は、送信方向に応じた情報の送信を示す図である。図14に示すように、例えば方向0~5・・・の番号を、それぞれの方向に受けて送信する情報に対応させる。

【0067】
図15は、10進数に対応する2進数と、3ビットのグレイコードとを示す図である。この図から、10進数と、2進数と、3ビットのグレイコードとの関係が分かる。

【0068】
図16は、送信方向に応じた情報の符号化にグレイコードを用いたときの受信信号を示す図である。図16に示すように、方向1及び方向2をグレイコードで表した場合、方向1は「001」であり、方向2は「011」である。このため、送信情報の変わり目においては、赤外線受信機3の個体差や回転数のむら等に起因して変化前の信号と変化後の信号のどちらが受信されるかわからない。この不確実性が観測毎に発生するため、結果として受信信号のビット毎に変化前後のどちらの信号が受信されるかわからない。従って、受信信号が「011」の場合、方向2と判別される。さらに、受信信号が「001」の場合、方向1と判別される。

【0069】
図17は、送信方向に応じた情報の符号化に2進数を用いたときの受信信号を示す図である。図17に示すように、方向1及び方向2を2進数で表した場合、方向1は「001」であり、方向2は「010」である。従って、受信信号が「011」の場合、方向3と誤って判別される。さらに、受信信号が「000」の場合、方向0と誤って判別される。これから、送信方向に応じた情報の伝送は、2進数ではなくグレイコードを使用することによって、送信情報の変わり目においてさえその前後のどちらかの情報が安定して受信できることが分かる。

【0070】
(送信データ)
赤外線送信機2は、送信データとして、ロボットの個体識別番号(以下、IDと呼ぶ)と、移動方向を示す角度情報等を、周囲のロボットに送信する。

【0071】
赤外線受信機3は、周囲のロボットのIDと、移動方向を示す角度情報等の送信データを他のロボットから受信する。

【0072】
本発明のロボットに用いる赤外線送信機2の送信出力の調整は、赤外線発光ダイオード21aに流れる電流を制御することで実現できる。このため、赤外線送信機2の送信出力、すなわち複数のロボットの間における赤外線の到達距離を自由に調節できる。さらに、赤外線送信機2及び赤外線受信機3がそれぞれ異なる回転数で回転しているので、通信範囲を全周方向に継ぎ目なく、局所化することが可能となる。

【0073】
これにより、通信帯域を圧迫することなく、隣接したロボットのみの問で赤外線による情報を交換することができる。

【0074】
(通信相手の識別及び行動認識)
以上説明したように、各ロボットは固有のIDを有しており、送信情報にその固有のIDを付加している。
図18は、ロボットの周辺物体の認識を模式的に説明する図である。図18に示すように、ロボットAとロボットBとは相互に通信することにより、近接するロボットに固有のIDと、このロボットの移動方向に関する送信データを受信する。これにより、受信した送信データに含まれるIDから、それを送信した相手のロボットを識別することができる。また、そのIDが自身のIDと一致する場合は、障害物に反射した自身の情報を取得したとみなし、障害物の存在を認識できる。

【0075】
赤外線送信機2及び赤外線受信機3がそれぞれ異なる回転数で回転しているので、信号を受信したロボットは受信した方向を通信相手または障害物が存在する相対的な方向として判別することができる。

【0076】
また、送信する送信データに、ロボットの移動方向を基準として現在どの方向に送信しているのかを表す相対的な方向情報を、移動方向を示す角度情報として付加することで、送信データとその受信した方向に基づいて相手のロボットの移動方向を算出することが可能となる。

【0077】
(ロボットの相対的な移動方向の算出)
次に、ロボットの通信相手の相対的な移動方向を算出する方法を説明する。
図19は、ロボットの周辺物体の認識を説明する図であり、(a)はロボットAからロボットBへの信号の伝達を、(b)はロボットA及びBの方向ベクトルと相対移動方向の関係を示している。図19(a)に示すように、ロボットAが移動方向に対して90°方向に送信する情報を、ロボットBが移動方向に対して45°方向から受信している。なお、方向は時計周りを正とする角度で表現する。

【0078】
図19(b)は、ロボットAの移動ベクトルVと、ロボットBの移動ベクトルVと、ロボットBが送信した方向情報θと、ロボットAがその信号を受信した方向θとの関係を示している。

【0079】
と始点を共有し、Vと方向および大きさが同じベクトルを、V’とする。このとき、VとV’のなす角、すなわちロボットAから見たロボットBの相対的な移動方向は、180°+θ°-θ°となる。図19(b)の場合、ロボットBの相対的な移動方向は、180°+90°-45°=225°となる。

【0080】
移動速度は、別途符号化して送信情報、即ち送信データに付加することで容易に伝送できる。従って、本発明の通信システムを備えた移動装置70としてのロボットは、互いに衝突回避をするために、相手の行動、つまり、移動方向や移動速度を認識することができる。

【0081】
本発明の通信システム1,60又は通信システムを備えた移動装置70は、道路を走行する自動車間の通信手段として用いることもできる。自動車間通信においては、相手の行動のみならず、将来的な車両間で映像情報を送受するアプリケーションの増加を想定して、見ず知らずの相手に対して高速通信機器のIDなどを交換することによって、すれ違いざまに大容量の通信路を確保することが必要である。本発明の局所的通信は、すれ違いざまに隣接する車両間のみでIDなどの情報を交換する手段にも使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0082】
実施例として、図1の通信システム1を作製した。通信システム1では、図6の赤外線送信機2と、図9の赤外線受信機3を作製した。赤外線送信機2の出力は、通信範囲が100cm程度となるように赤外線発光ダイオード21aに流す電流を調整した。
【実施例】
【0083】
実施例の通信システム1の性能評価を行った。1000rpmで回転する赤外線送信機2から固定された赤外線受信機3に片方向通信を行った。赤外線送信機2は同じデータを反復的に送信することとし、データ長を8ビット(bit)、データを2進数で「10101010」とした。
受信状態は、以下のように判定した。
正常受信:データを受信し、受信データが送信データと一致した状態。
異常受信:データを受信し、受信データが送信データと一致しない状態。
フレームエラー:信号は受信しているが、正しくデコードできない状態。
未受信:一定時間、信号を受信していない状態。
【実施例】
【0084】
図20は、赤外線送信機2と赤外線受信機3の距離を、10cmから130cmまで、10cm毎に変化させたときの各受信状態の割合の変化を示す図である。図20から明らかなように、100cmより長い距離で未受信の割合が大きくなっており、赤外線通信の局所性が確認できた。さらに、また、20cmから100cmまでは、正常受信ができることが分かった。なお、実施例においては、赤外線受信時に遮蔽フードは装着されていない。
【実施例】
【0085】
(比較例)
赤外線送信機2を固定して、実施例と同じ条件で実験した。
図21は、比較例において赤外線送信機2と赤外線受信機3の距離を、10cmから130cmまで、10cm毎に変化させたときの各受信状態の割合の変化を示す図である。図21から明らかなように、100cmより長い距離で未受信の割合が大きくなっており、通信の局所性が確認できる。
上記実施例及び比較例の結果から、実施例において赤外線送信機2を回転させたことによる正常受信の割合の低下は約20ポイント程度であることが分かった。
【実施例】
【0086】
赤外線送信機2を回転させた場合に、固定した場合よりも正常受信の割合が低下している原因として、回転の影響で受信したパルスが時間軸方向にぶれていることと、同パルスにノイズが混入していることが確認された。
【実施例】
【0087】
図22は、受信素子31に設けた遮蔽フード77の構成を示す斜視図である。図22に示すように、遮蔽フード77においては、その入り口77aと入り口から40mmの位置77bの2箇所に、1mm×5mmのスリット77a,77bを配設している。遮蔽フード77を設けることにより、素子同士が正対したときにのみ送信信号が受信素子31に照射される。
【実施例】
【0088】
遮蔽フード77の有無による受信信号の違いを測定した結果について説明する。
図23は、遮蔽フード未装着時の受信状態を、図24は遮蔽フード77の装着時の受信状態を示す図である。図23及び図24も何れも、それぞれ受信したパルスのヘッダ部からデータ部が始まる部分の受信波形を示している。各図において、上のパルスが受信素子31の出力、すなわち、ワンショット回路36のトリガ入力であり、下のパルスが、ワンショット回路36の出力、すなわち、復元した受信パルスである。各図において、横軸は100ms/div.であり、縦軸は2V/div.である。
【実施例】
【0089】
ここで、使用したワンショット回路36のトリガ入力は、アクティブローであるため、受信素子31の出力が反転した様子が示されている。単位パルス幅は60msであることから、ワンショット回路に入力される信号のヘッダ部は、「60ms毎の5回のトリガ+60ms分のトリガ無し」となる。また、データ部は、「10101010」であり、「1」と「0」を繰り返している。データ「1」は、「60ms毎の2回のトリガ+60ms分のトリガ無し」となる。データ「0」は、「60ms毎の1回のトリガ+120ms分のトリガ無し」となる。
【実施例】
【0090】
図23から明らかなように、遮蔽フード77が未装着時の受信状態は、トリガの幅が不安定であるとともに、部分的にノイズが見られる。結果として復元された信号は、送信パルスの形状と異なった形状となっており、フレームエラーとして認識される原因となる。
【実施例】
【0091】
図24から明らかなように、遮蔽フード77の装着時の受信状態は、トリガの幅がほぼ一定であり、ノイズも見られないことから、遮蔽フード77の効果が確認された。
【実施例】
【0092】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0093】
1:通信システム
2:赤外線送信機
3:赤外線受信機
4:駆動部
4a:モータ
4b:円盤
4f:モータの回転情報を検知するセンサ
5:減速機
5a:歯車
5b:ベアリング
5c:シャフト
6,7:センサ
8:フレーム
9:円盤
21:送信素子
21a:赤外線発光ダイオード
22,38:マイコン
23:発振器
24:論理回路
25:送信回路
26:電源回路
27:トランジスタ
28:可変抵抗素子
31:受信素子
31a:赤外線受信素子
32:三端子レギュレータ
35:受信回路
36:ワンショット回路
37:電源回路
41:インターフェイス回路
45:モータ駆動部
47:モータ駆動回路
50:ワイヤレス給電部
51:送電コイル
55,56:受電コイル
61:送電部
62:直流電源
63:インバータ
65:受電部
67:整流回路
68:負荷
70:通信システムを備えた移動装置
71:移動用の駆動部
73:CPU
75:電源部
76:CPUと赤外線送信機及び赤外線受信機との通信回線
77:遮蔽フード
77a,77b:スリット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23