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明細書 :情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-134051 (P2018-134051A)
公開日 平成30年8月30日(2018.8.30)
発明の名称または考案の名称 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
国際特許分類 C12M   1/34        (2006.01)
C12Q   1/04        (2006.01)
C12Q   1/68        (2018.01)
FI C12M 1/34 D
C12Q 1/04
C12Q 1/68 Z
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2017-032011 (P2017-032011)
出願日 平成29年2月23日(2017.2.23)
発明者または考案者 【氏名】神沼 英里
出願人 【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100161207、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 和純
【識別番号】100141139、【弁理士】、【氏名又は名称】及川 周
審査請求 未請求
テーマコード 4B029
4B063
Fターム 4B029AA07
4B029BB01
4B029BB20
4B029FA02
4B029FA10
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ05
4B063QQ20
4B063QR74
4B063QS07
4B063QS39
4B063QX01
要約 【課題】環境に存在している生物を容易に識別することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】学習部は、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う。画像取得部は、環境を撮像した撮像画像を取得する。生物特定部は、学習部による機械学習の結果に基づいて、取得部が取得した撮像画像に対応する生物を特定する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習部と、
環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記学習部による機械学習の結果に基づいて、前記画像取得部が取得した撮像画像に対応する生物を特定する生物特定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
生物毎に対応づけられた物質を示すデータを参照して、
前記生物特定部が特定した生物に対応する物質を特定する生物情報処理部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生物特定部は、所定時間毎に前記画像取得部が取得した撮像画像に対応する生物を特定し、
前記生物特定部が特定した生物の変化を検出するとき、前記生物特定部が特定した生物を示す生物情報を生物情報出力部に出力させる生物情報処理部を備える
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生物特定部は、所定時間毎に前記画像取得部が取得した撮像画像に対応する生物を特定し、
前記生物特定部が特定した生物の存在量が所定の存在量を超えるとき、前記生物特定部が特定した生物を示す生物情報を生物情報出力部に出力させる生物情報処理部を備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像取得部が取得した撮像画像が示す環境である設置環境の状態を示す検出情報と、前記生物特定部が特定した生物の存在量に基づいて、前記設置環境に設置された機器の制御量を定める生物情報処理部を備える
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習部と、
生物の識別情報を取得する生物識別情報取得部と、
前記学習部による機械学習の結果に基づいて、前記生物識別情報取得部が取得した生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置における情報処理方法であって、
生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習ステップと、
環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記学習ステップによる機械学習の結果に基づいて、前記画像取得ステップにより取得された撮像画像に対応する生物を特定する生物特定ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置における情報処理方法であって、
生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習ステップと、
生物の識別情報を取得する生物識別情報取得ステップと、
前記学習ステップによる機械学習の結果に基づいて、前記生物識別情報取得ステップにより取得された生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定ステップと、
を備える情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を遺伝子の塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習手順と、
環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得手順と、
前記学習手順による機械学習の結果に基づいて、前記画像取得手順により取得された撮像画像に対応する生物を特定する生物特定手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習手順と、
生物の識別情報を取得する生物識別情報取得手順と、
前記学習手順による機械学習の結果に基づいて、前記生物識別情報取得手順により取得された生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
アプリケーションプログラミングインタフェースに含まれるサブルーチンとして実装される請求項9又は請求項10に記載のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人工知能や画像認識技術を用いて、顕微鏡を通じて撮像された画像から微生物を識別することが提案されている。例えば、特許文献1には、顕微鏡カメラで撮像した処理水の画像データを取り込み、この画像データからモデルベースとマッチング方式による画像認識処理により微生物を同定及び計数する生物相診断支援システムについて記載されている。非特許文献1には、人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network、以下、単にニューラルネットワーク又はNNとも呼ぶ)を用いて顕微鏡の画像から、種々の菌類を分類する手法について記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平8-197084号公報
【0004】

【非特許文献1】Ayse Elif Ozturk, Sinan Alkan, and Celaleddin Ozturk, Classification of Fungus Spore Images Using Ridgelet Transform and ANN, Proceedings of the International Conference on Machine Vision and Machine Learning, Paper No. 130, August 14-15, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像を用いた検査方法は、識別対象の生物の形態学的特徴が視認可能でなければ適用できなかった。視認不可能な生物を、画像を用いて識別するためには、例えば、光学顕微鏡を利用して拡大像を得ることや、それらの生物が存在している環境から生物を採取したうえで培養することを要する。そのため、容易にそれらの生物を識別することができなかった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、環境に存在している生物を容易に識別することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習部と、環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、前記学習部による機械学習の結果に基づいて、前記画像取得部が取得した撮像画像に対応する生物を特定する生物特定部と、を備える情報処理装置である。
【0008】
本発明の一態様は、情報処理装置における情報処理方法であって、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習ステップと、環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記学習ステップによる機械学習の結果に基づいて、前記画像取得ステップにより取得された撮像画像に対応する生物を特定する生物特定ステップと、を有する情報処理方法である。
【0009】
本発明の一態様は、コンピュータに、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習ステップと、環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記学習ステップによる機械学習の結果に基づいて、前記画像取得ステップにより取得された撮像画像に対応する生物を特定する生物特定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、環境に存在している生物を容易に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の概要を示す概念図である。
【図2】第1の実施形態に係るコンピュータシステムの構成を示す概略ブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る情報処理装置機能構成を示す概略ブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係るニューラルネットワークの構成例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る教師データの例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る初期統合の一例を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る後期統合の一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態に係る後期統合の他の例を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係る薬剤データの一例を示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る生物情報の送信時点を示す説明図である。
【図12】第2の実施形態の変形例に係る制御データの一例を示す図である。
【図13】第3の実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図14】第3の実施形態に係る環境特定部の実装形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態の概要について説明する。図1は、本実施形態の概要を示す概念図である。
本実施形態に係る情報処理装置10(図3)は、主に2段階の処理を実行する。2段階の処理は、(I)学習ステップと、(II)生物特定(生物識別)ステップである。(I)学習ステップの処理を実行する前に、生物が存在する環境である生物存在部位から、その生物が含まれる環境試料を予め採取しておく。そして、採取した環境試料についてメタゲノム解析を実施しておく。メタゲノム解析では、環境試料からDNA(Deoxiribo Nucleic Acid)の塩基配列が得られる。メタゲノム解析により、環境試料に含まれる諸生物のDNA配列に基づいて生物の相対DNA量による組成が得られる。メタゲノム解析の他にも、メタトランスクリプトーム解析によるRNA(Ribonucleic Acid)配列からも、生物の相対RNA量による組成を得ることが可能である。このように相対DNA量や相対RNA量に基づいて、その環境に存在する生物が同定され、相対量が一番多い生物を優占生物として定義する。情報処理装置10には、その環境に存在する生物の生物情報として、少なくとも同定された生物相を示す情報が入力される。生物情報は、例えば、同定された生物毎の存在量を示す生物相情報、もしくは、存在量の比率が最も高い優占生物を示す情報である。他方、環境情報として、その生物存在部位の環境を表す画像をカメラで撮像しておく。撮像に用いられるカメラとして、例えば、携帯電話機、タブレット端末装置など、各種の電子機器に内蔵されたカメラが利用可能である。情報処理装置10には、生物が存在する環境に関連する環境情報として、少なくとも撮像された撮像画像が入力される。(I)学習ステップにおいて、情報処理装置10は、環境情報を入力とし、生物情報を出力とする教師データを用いて機械学習を行い、学習結果として生物情報モデルを生成する。教師データには、環境情報と生物情報とが含まれる。教師データとして、例えば、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)等で公開されている公共の塩基配列データベースを再解析した生物相データと、公共データベースのメタデータ中の環境情報と合致する環境画像を利用してもよい。機械学習の方法では、例えば、深層学習(deep learning)などの手法が利用可能である。

【0013】
(II)生物特定ステップにおいて、情報処理装置10には、解析対象の環境を表す撮像画像が入力される。(I)学習ステップにおいて入力される撮像画像とは異なる画像が、(II)生物特定ステップでは、一般に入力として用いられる。情報処理装置10は、(I)学習ステップにおいて生成された生物情報モデルに基づいて、入力された撮像画像に対応する生物を特定する。図1に示す例では、生物汚染を含む構造物壁面の環境が撮像画像として入力されるとき、情報処理装置10は、入力された撮像画像に対応する生物として藍藻類(Hassalia)を特定する。情報処理装置10は、特定された生物の名称やDNA解析で得られる生物相を出力してもよい。これにより、生物が存在している環境から生物を採取してDNA解析実験を行うことなく、撮像画像から、その生物の同定が可能となる。

【0014】
(コンピュータシステムの構成)
次に、本実施形態に係る情報処理装置10が備えるコンピュータシステム100の構成について説明する。
図2は、コンピュータシステム100の構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータシステム100は、通信部101と、入力部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU(Central Processing Unit)105と、を備える。これらの構成要素は、バスBを介して相互に通信可能に接続されている。

【0015】
通信部101は、通信用IC(Integrated Circuit)等の通信用モジュールである。
入力部102は、例えば、入力インタフェースである。入力部102は、マウス、タッチパッド等のポインティングデバイス、キーボード、マイクロホン、カメラ、を含む入力用モジュールであってもよい。入力部102は、タッチパネルとして、ディスプレイと一体に構成されてもよい。
出力部103は、例えば、出力インタフェースである。出力部103は、ディスプレイパネル、スピーカ、ウーファー等の出力用モジュールであってもよい。入力インタフェースと出力インタフェースは、一体に構成されていてもよい。

【0016】
記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む記憶用モジュールである。なお、記憶部104は、内蔵されるものに限らず、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶用モジュールであってもよい。
CPU105は、記憶部104に記憶された各種プログラムに記述された命令で指定される処理を実行し、コンピュータシステム100が備える各構成の動作を制御する。

【0017】
(情報処理装置の機能構成)
次に、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成を示す概略ブロック図である。
情報処理装置10は、環境情報取得部11と、生物情報取得部12と、画像取得部13と、生物情報出力部14と、データ記憶部15と、制御部16と、を含んで構成される。情報処理装置10は、これらの各部を備えるサーバ装置として構成される。環境情報取得部11と、生物情報取得部12と、画像取得部13と、生物情報出力部14と、データ記憶部15と、制御部16の機能は、CPU105がデータ記憶部15に予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。これらの各部の機能を実現するためのプログラムは、API(Application Programming Interface;アプリケーションプログラミングインタフェース)に含まれるサブルーチンとして実装されてもよい。サブルーチンは、他のプログラムに記述された命令に基づいて呼び出されたときに実行される処理を記述するプログラムである。サブルーチンに記述された処理が実行されるとき、その処理によって得られる処理結果の一部又は全部である情報が、返り値として呼出元のプログラムで指定される変数又は配列に返されるAPI関数として構成されてもよい。また、これらの各部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路により実現されてもよい。環境情報取得部11、生物情報取得部12、画像取得部13として、通信部101、入力部102、又はその両者を用いて実現される。生物情報出力部14として、通信部101、出力部103、又はその両者を用いて実現される。データ記憶部15として、記憶部104が用いられる。情報処理装置10は、これらの各部を備える専用の装置として構成されてもよい。

【0018】
環境情報取得部11は、環境情報を取得する。環境情報は、生物が存在する環境を示す情報である。環境情報取得部11が取得する環境情報は、主に教師データとして用いられる学習用環境情報である。環境情報には、少なくともその環境を表す撮像画像が含まれる。撮像画像は、その環境を撮像して得られる画像である。環境情報取得部11は、例えば、例えば、携帯電話機、タブレット端末装置、ディジタルカメラなどの他の機器から環境情報を受信する。環境情報には、撮像画像が表す環境に関する付帯情報が含まれていてもよい。環境情報取得部11は、取得した環境情報を制御部16に出力する。付帯情報の例については、後述する。

【0019】
生物情報取得部12は、生物情報を取得する。生物情報は、環境情報が示す環境に存在する生物の生物名を含む情報である。生物名は、その環境から採取された環境試料についてメタゲノム解析を行って得られた塩基配列から同定された生物の名称である。同定対象の生物は、顕微鏡を用いて拡大しなければ視認できない微生物も含む全ての生物である。微生物には、真正細菌(バクテリア)、古細菌(アーキア)等の原核生物の他、ウイルス、真菌などを含む真核生物も含まれる。生物の名称を同定する階級は、界、門、科、属、種など、いずれの階級であってもよい。以下の説明では、同定により得られる生物の区別を、生物の種類又は単に種類と呼ぶことがある。生物情報は、その環境における生物相を示す情報であってもよい。生物相とは、特定環境において存在する生物の全種類を意味し、生物名毎の存在量で表されることがある。存在量は、試料中の個体数、DNA密度、リード数のいずれ、又はそれらの構成比(例えば、相対DNA量)で表されてもよい。また、生物情報は、その環境における優占生物の名称である優占生物名を示す情報であってもよい。優占生物とは、その環境において他の生物よりも存在量が多い生物である。本実施形態では、特に、生物相を構成する生物のうち、相対DNA量が最大を示す生物である。生物情報取得部12は、取得した生物情報を制御部16に出力する。

【0020】
画像取得部13は、環境情報取得部11と同様に撮像画像が含まれる環境情報を取得する。画像取得部13が取得する環境情報は、主に生物を特定するための診断用環境情報である。診断用環境情報は、環境情報取得部11が取得する学習用環境情報とは独立に取得される。一般には、診断用環境情報に含まれる撮像画像は、学習用環境情報に含まれる撮像画像とは、別個の環境を表す画像となる。以下の説明では、画像取得部13が取得する環境情報を、診断用環境情報と呼んで、環境情報取得部11が取得する環境情報(学習用環境情報)と区別する。画像取得部13は、取得した診断用環境情報を制御部16に出力する。
生物情報出力部14は、制御部16から入力された生物情報を出力する。生物情報出力部14は、診断用環境情報の送信元である機器に、その応答として生物情報を送信してもよい。
データ記憶部15は、制御部16が用いる各種のデータ、制御部16が生成した各種のデータを記憶する。

【0021】
制御部16は、情報処理装置10の各構成を制御する。制御部16は、機械学習モデルの学習部161と、生物特定部162と、を備える。
学習部161には、環境情報取得部11から環境情報が入力され、生物情報取得部12から生物情報が入力される。学習部161は、環境に存在する生物を示す生物情報を目標出力とし、その環境に係る環境情報を入力とする教師データのセットとして対応付ける。学習部161は、所定の機械学習アルゴリズムを用いて入力に対応する出力として目標出力に写像する関数を示すモデルを求める(教師あり学習)。学習部161は、複数のセットの教師データを用い、入力に対応する出力と目標出力との差が小さくなるようにモデルを構成するパラメータを再帰的に算出する。学習部161は、モデルを取得する際、例えば、深層学習を行う。深層学習とは、多層構造、特に3層以上のニューラルネットワークを用いた機械学習である。多層構造のニューラルネットワークとして、例えば、畳み込みネットワークを用いることができる。畳み込みネットワークは、全結合していない順伝播型ニューラルネットワークの一種である。学習部161は、モデルの学習において、例えば、勾配降下法を用いる。学習部161は、入力に対応する出力と目標出力との差の大きさが所定の大きさ未満になるとき、モデルが収束したと判定し、学習結果として得られたモデルを生物情報モデルとしてデータ記憶部15に記憶する。生物情報モデルは、環境情報に対応する出力として生物情報に写像する関数を示すモデルである。

【0022】
生物特定部162は、データ記憶部15から生物情報モデルを読み出し、読み出した生物情報モデルが示す関数を用いて、画像取得部13から入力された診断用環境情報に対応する生物情報を求める。生物特定部162は、学習部161で採用される関数と共通の関数を用いる。例えば、学習部161において、多層構造のニューラルネットワークが用いられる場合には、生物特定部162も多層構造のニューラルネットワークを用いる。生物特定部162は、得られた生物情報を生物情報出力部14に出力する。

【0023】
生物特定部162は、単独の静止画像を含む診断用環境情報に対応する生物情報を生物情報出力部14に出力してもよいし、ある環境において一定時間毎に撮像(Time Lapse撮影、インターバル撮影)された撮像画像(時系列画像)に対応する生物情報出力部14に出力してもよい。これにより、各撮像時点における生物相を示す生物相の時間的変動が得られる。画像を撮像する時間間隔として、生物相の有意な時間的変動を観察するために十分なスケールの時間間隔が予め設定されていればよい。この時間間隔は、一般に、着目する生物相・優占生物の種類によって異なる。

【0024】
(ニューラルネットワークの構成例)
次に、本実施形態に係る学習部161及び生物特定部162で用いられるニューラルネットワークの構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係るニューラルネットワークの構成例を示す図である。
図4は、L+1(Lは、1以上の整数)層のニューラルネットワークを示す。図4に示すニューラルネットワークは、入力層、L層の中間層及び出力層を含んで構成される。入力層は、I(Iは、2以上の整数)個の入力端In-1~In-Iを含んで構成される。入力端In-1~In-Iには、それぞれ入力値xin_1~xin_Iがそれぞれ入力される。入力値xin_1~xin_Iは、それぞれ入力情報を構成する値である。各入力端は、それぞれの入力値に対応する出力値を中間層の第1層の各節点Md-1,1~Md-1,Kに出力する。第l(lは、1からLまでの整数)層は、K(Kは、2以上の整数)個の節点Md-l,1~Md-l,Kを含んで構成される。第l層の各節点には、第l-1層の各節点から出力される出力値が入力値として入力される。ここで、第0層の各節点は、入力端に相当する。第l層の各節点は、入力値に対する出力値を算出し、算出した出力値を第l+1層の節点に出力する。第L+1層の各節点は、出力端に相当する。出力層は、M(Mは、2以上の整数)個の出力端Out-1~Out-Mを含んで構成される。出力端Out-1~Out-Mには、それぞれ第L層の各節点から出力される出力値が入力値yin_1~yin_Mとして入力される。出力端Out-1~Out-Mは、入力値に対する出力値yout_1~yout_Mを算出し、算出した出力値yout_1~yout_Mを出力する。出力値yout_1~yout_Mは、それぞれ出力情報を構成する値である。

【0025】
学習ステップにおいて、学習部161は、入力端、節点、出力端のそれぞれにおいて入力値と出力値の関係を与える活性化関数のパラメータを算出する。算出されるパラメータが学習により得られるモデルを構成する値である。活性化関数として、例えば、ランプ関数、ソフトサイン、2次以上の多項式などのいずれかが用いられる。学習部161は、収束の判定において入力に対する出力と目標出力との差の大きさを示す誤差関数を用いる。誤差関数は、例えば、次のいずれかの関数である。(1)目標出力を構成する出力値と入力に対する出力とする出力値との差分の二乗和、(2)それらの差分のエントロピー、等。いずれの関数も、得られる値が大きいほど差が大きいことを示す関数である。生物特定部162は、得られたモデルを構成する活性化関数のパラメータを用いて、入力端、節点、出力端のそれぞれに与えられた入力値に対応する出力値を算出する。

【0026】
(教師データの例)
次に、教師データの例について説明する。本実施形態に係る教師データは、複数セットの環境情報と生物情報の組からなる。図5は、1セットの教師データの例を示す図である。環境情報には、その環境に関する付帯情報が含まれてもよい。付帯情報には、地理空間情報、周辺生物情報、気象情報、建造物・構造物情報、日時のいずれか、それらの一部又は全部が含まれる。地理空間情報は、その環境の地理的な位置を示す情報、例えば、緯度経度深度である。周辺生物情報は、その環境の周辺に存在する生物を示す情報である。気象情報は、その環境における気候、気温、降水量、相対湿度、日照時間、風向、風速、地温、水温、などを示す情報である。建造物・構造物情報は、その環境をなす建造物又は構造物における位置関係、空間の大きさ、日照状態、材質、経過年数、表面水分量、通風状態、方位などを示す情報である。位置関係として、室内外の区別、階数、部位などの情報が含まれる。部位は、例えば、天井、壁面、床面などである。日時は、画像が撮像された日時、時間帯、季節、等を示す。付帯情報は、所定の画像ファイルフォーマットのメタデータとして記述されてもよい。これらの情報は、その環境における生物の生育に影響を与える情報である。また、これらの情報は、塩基配列データベースにより、生物相注釈として、生物相の塩基配列と共に提供されてもよい。画像ファイルフォーマットとして、例えば、Exif(Exchangeable image file format)、XPM(Extensible Metadata Platform)などが用いられてもよい。更に、付帯情報には、画像品質を左右する撮影機器モデル情報、フラッシュの有無などの画像撮影条件や、マクロレンズ装着条件や倍率条件など顕微鏡の利用条件の情報が含まれてもよい。

【0027】
学習部161、生物特定部162がニューラルネットワークを用いる場合には、画像を示す画素毎の画素値が各入力端への入力値として用いられてもよい。また、その画像の形態的な特徴を示す特徴量を構成する各パラメータが各入力端への入力値として用いられてもよい。特徴量として、例えば、画像を区分してなるブロック毎の隆線の方向を示すコード値、画素毎に被写体の輪郭に属すか否かを示すフラグ値などが利用可能である。また、付帯情報を構成する要素情報を示すコード値又はフラグ値が、各入力端への入力値として用いられてもよい。

【0028】
他方、学習部161、生物特定部162がニューラルネットワークを用いる場合には、生物情報が示す生物相を構成する生物毎の存在量が各出力端からの出力値として用いられてもよい。生物情報に生物相の解析条件として生物名を識別する階級の情報が含まれている場合には、学習部161、生物特定部162は、その生物相注釈を参照して、その階級を判定してもよい。生物情報として、生物相に代えて優占生物名が用いられてもよい。その場合、学習部161は、各優占生物名に対応する目標出力の出力値として、所定の第1の値として1を与え、それ以外の生物名に対応する目標出力の出力値として、所定の第2の値として0を与えてモデル学習を行ってもよい。生物特定部162は、入力端への入力値に対する出力端からの出力値として、第2の値との差分である所定の閾値よりも高い正値が得られる出力値に対応する生物名を優占生物名として特定してもよい。環境には、多くの種類の生物が存在するため、一般に出力情報の次元数、即ち出力端の数が大きい。優占生物名が用いられることで出力値からの生物の識別に係る自由度が少なくなる。上述した例では、出力端毎の出力値と第2の値との有意な差分が判別されれば足りる。そのため、モデル学習に係る演算量が低減する。なお、上述では各1個の出力端の出力値が1種類の生物に対応付けられる場合を例にしたが、これには限られない。1個の出力端の出力値は、複数の種類の生物に対応付けられてもよい。複数の種類の生物として、例えば、同一の環境において共存する共生生物が採用されてもよい。

【0029】
また、学習部161は、生物情報モデルを生成する際、アンサンブル学習を行ってもよい。アンサンブル学習とは、複数の異なるモデルを独立に学習し、各モデルに基づく出力値を統合し、最終出力値を得る処理である。各モデルの学習に用いる入力値として、環境情報を表すパラメータの一部が用いられてもよい。但し、モデル間で学習に用いられる入力値のセットが異なり、モデル毎の入力値のセットで環境情報を表すパラメータの全てが網羅されるものとする。出力値の統合において各出力値について重み付き平均がなされる。重み付き平均に用いられる各モデルでの重み係数も学習対象となる。生物特定部162は、モデル毎に学習されたモデルに基づいて入力値に対応する出力値を算出し、モデル毎に算出した出力値とその重み係数を乗じて得られた乗算値の総和を最終出力値として算出する。これにより、最終出力値に基づく生物情報をより正確に定めることができる。

【0030】
生物特定部162は、環境を表す画像を含む診断用環境情報に基づいて、その環境に存在している生物を定めることができる。そのため、従来技術とは異なり顕微鏡により画像を拡大しなくても環境に存在する微生物を識別することができる。また、環境に存在する生物が視認できない視認不可生物であっても、生物特定部162は、その生物を識別することができる。視認不可生物とは、例えば、各個体が微細であるために、そのままでは視認できない細菌などの生物である。このような生物でも、本実施形態によれば、識別可能とするために、環境から採取した生物を培養して視認可能なコロニーを形成させることや、顕微鏡により拡大することを要しない。なお、本実施形態では、視認可能生物、視認不可生物の区別は、生物学的な分類に基づくものではなく、その環境において視認可能であるか否か、即ち画像として表現されるか否かに基づく。例えば、単体では視認不可生物である菌類であっても、繁殖することにより形成されたコロニーは視認可能生物として扱われる。なお、生物特定部162は、カメラにマクロレンズを装着して撮影された顕微鏡拡大画像を診断用環境情報として利用して撮像された生物を特定してもよい。

【0031】
(生物特定部の実装形態)
次に、生物特定部162の実装形態について説明する。生物特定部162の実装形態には、初期統合(Early Integration)と後期統合(Late Integration)とがある。初期統合とは、上述したように学習部161が生成した生物情報モデルを用いて、入力された診断用環境情報に対応する生物情報を直接特定する実装形態である(図6)。信頼性を有する生物情報を取得するには、多くの教師データを用いて生物情報モデルを学習させておくことを要する。運用開始当初においては環境情報と生物情報のセットが十分に蓄積されていないために、信頼性を有する生物情報が得られない可能性がある。

【0032】
そこで、教師データとして用いられる環境情報と生物情報のセットの量が所定の量に達するまでの間、生物特定部162は、後期統合を採用してもよい。生物特定部162は、環境情報と生物情報のセットの量が所定の量以上となり、それらのセットに基づく生物情報モデルが得られた後、初期統合を採用してもよい。

【0033】
後期統合とは、入力された診断用環境情報に対応する他の情報を特定し、特定した他の情報に対応する生物情報を間接的に特定する実装形態である。他の情報として、環境情報と生物情報のいずれにも依存関係を有し、生物情報よりも自由度が低い情報が用いられる。他の情報は、例えば、後述する場所情報、視認生物情報である。これらの情報は、生物情報との対応関係が既知である。よって、教師データとして環境情報と生物情報のセットが十分に蓄積されていない間であっても、より信頼性が高い生物情報が得られる。

【0034】
図7は、生物特定部162の実装形態である後期統合の一例を示す図である。
図7に示す例では、生物特定部162は、シーン/物体情報モデルが示す関数を用いて、入力された診断用環境情報に対応する場所情報を得る。生物特定部162は、シーン/物体-生物相の対応辞書を示すシーン/物体-生物相データを参照して、特定したシーン/物体情報に対応する生物情報を定める。シーン/物体情報とは、シーン情報と物体情報の一方又は両方を指す。

【0035】
シーン/物体情報は、上述した地理空間情報、建造物・構造物情報と同様であってもよい。図7に示す例では、物体情報として、その環境の建造物の表面物体であるレンガ、シーン情報として「倉庫屋外」などの情報が用いられる。このシーン/物体情報には、さらに地理空間情報が付加されてもよい。そこで、学習部161は、環境情報とシーン/物体情報をそれぞれ入力、目標出力として機械学習を行ってシーン/物体情報モデルを生成する。学習部161は、生成したシーン/物体情報モデルを予めデータ記憶部15に記憶しておく。データ記憶部15には、さらにシーン/物体-生物相データを記憶しておく。シーン/物体-生物相データは、シーン/物体情報毎に生物相を示す生物情報を対応付けて構成されるデータである。生物特定部162は、生物情報を定める際、これらのデータを参照する。図7に示す例は、環境に存在する生物が視認できない視認不可生物であっても、視認できる視認可能生物であっても適用可能である。

【0036】
図8は、生物特定部162の実装形態である後期統合の他の例を示す図である。
図8に示す例では、生物特定部162は、視認生物情報モデルが示す関数を用いて、入力された診断用環境情報に対応する視認生物情報を得る。生物特定部162は、視認生物-生物相の対応辞書を示す視認生物-生物相データを参照して、特定した視認生物情報に対応する生物情報を定める。

【0037】
視認生物情報は、画像を撮像した環境において主に視認される生物を示す情報である。この生物は、撮像された画像に表れる。図8に示す例では、視認生物情報(視認生物名)として、hypnum(ハイゴケ属)が用いられる。そこで、学習部161は、環境情報と視認生物情報をそれぞれ入力、目標出力として機械学習を行って視認生物情報モデルを生成する。学習部161は、生成した視認生物情報モデルを予めデータ記憶部15に記憶しておく。データ記憶部15には、さらに視認生物-生物相データを記憶しておく。視認生物-生物相データは、視認生物毎に生物相を示す生物情報を対応付けてなるデータである。その生物相は、視認生物以外の各生物の存在量が示される。これらの生物には、視認できない生物が含まれてもよい。生物特定部162は、生物情報を定める際、これらのデータを参照する。図8に示す例は、視認できる視認可能生物が存在している環境であれば、視認できない視認不可生物の有無に関わらず適用可能である。

【0038】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、学習部161と、画像取得部13と、生物特定部162と、を備える。学習部161は、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う。画像取得部13は、環境を撮像した撮像画像を取得する。生物特定部162は、学習部161による機械学習の結果に基づいて、画像取得部13が取得した画像に対応する生物を特定する。
この構成によれば、画像取得部13が取得した撮像画像が表す環境に存在する生物が推定される。従って、環境に存在する生物が、その環境に存在させたまま採取されることなくゲノムレベルの注釈情報を通して容易に識別される。ここで、生物の識別において、培養、光学顕微鏡による観察などの可視化の手段を要しない。また、視認できない生物の識別も可能となる。

【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を援用する。以下の説明では、上述の実施形態との差異を主とする。
図9は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理装置10と電子機器20とを含んで構成される。情報処理装置10と電子機器20とは、ネットワークを介して接続され相互に各種のデータを送受信することができる。

【0040】
電子機器20は、撮像画像を含む環境情報を取得し、取得した環境情報を情報処理装置10に送信する機能を有する。電子機器20は、画像を撮像するためのカメラを備えていてもよい。電子機器20は、情報処理装置10から生物情報を受信し、受信した生物情報を提示する機能を有していてもよい。電子機器20は、例えば、携帯電話機、タブレット端末装置などのモバイル端末、環境を検査するための検査装置、建造物内の換気制御などの制御装置のいずれであってもよい。

【0041】
次に、情報処理装置10の構成について説明する。次の説明では、環境における生物の存在状況に応じた薬剤の提案と、存在状況の時間変化の通知に応用する場合を例にする。
情報処理装置10は、環境情報取得部11と、生物情報取得部12と、画像取得部13と、生物情報出力部14と、データ記憶部15と、制御部16と、を含んで構成される。制御部16は、学習部161と、生物特定部162と、生物情報処理部163と、を含んで構成される。図1に示す情報処理装置10と比較すると、本実施形態に係る制御部16は、生物情報処理部163をさらに含んで構成される。

【0042】
生物情報処理部163は、生物特定部162から入力される生物情報に基づいて優占生物名を特定する。入力される生物情報が優占生物名を明示する情報である場合には、生物情報処理部163は、その優占生物名をそのまま採用する。入力される生物情報が生物相を示す情報である場合には、生物情報処理部163は、存在量が最も多い生物から降順に所定の数の生物の生物名を優占生物名として定める。

【0043】
生物情報処理部163は、データ記憶部15に予め記憶しておいた薬剤データを参照して、特定した優占生物名と同一の生物名に対応する薬剤を特定する。生物情報処理部163は、特定した薬剤を示す薬剤情報を電子機器20に生物情報出力部14を介して送信する。薬剤情報は、その優占生物名を示す生物情報と対応付けて送信されてもよい。電子機器20は、情報処理装置10から受信した薬剤情報を提示する。

【0044】
(薬剤データ)
次に、薬剤データの一例を示す。図10は、薬剤データの一例を示す図である。図10に示す例では、生物名1、生物名2がそれぞれ薬剤1、薬剤2に対応付けられている。薬剤として、建造物、構造物(水路、洋上設備などを含む)、作物圃場(農地)、その他の環境から駆逐を目的とする防除剤に適用されてもよい。駆逐対象の生物が、雑草、真菌である場合には、それぞれ除草剤、除菌剤に相当する。薬剤データに記録される生物名として、生物汚染もしくは生物劣化リスク(biodeterioration risk)の原因となりうる生物の生物名が用いられてもよい。生物汚染とは、人工環境、例えば、作物圃場、構造物、建造物などにおいて生物が繁殖した状態をいう。生物劣化リスクは、構造物、建造物などが生物の繁殖により劣化する可能性又はその程度をいう。従って、電子機器20は、取得した画像を含む診断用環境情報に基づいて、撮像した環境における優占生物の優占生物名と防除剤の情報を取得ならびに提示することができる。
なお、薬剤は、必ずしも防除剤に限られず、応用目的によっては炭素源、ビタミン、無機塩類など、その生物の存否や生育を制御可能とする薬剤、その他の物質であってもよい。

【0045】
(生物の存在状況の時間変化)
次に、生物の存在状況の時間変化を通知する場合について説明する。
電子機器20は、所定の環境を一定時間毎に撮像した撮像画像を含む診断用環境情報を逐次に情報処理装置10に送信してもよい。
情報処理装置10の生物特定部162は、各時点の診断用環境情報に対応する生物情報を定める。生物情報処理部163は、生物特定部162から逐次に入力される生物情報に基づいてその時点の優占生物名を特定する。そこで、生物情報処理部163は、前回に特定した優占生物名において変動の有無を判定する。生物情報処理部163は、変動ありと判定するとき、変動ありと判定された優占生物名を示す生物情報を生物情報出力部14に対して送信させる。生物情報処理部163は、変動なしと判定するとき生物情報を生物情報出力部14に対して送信させない。これにより、電子機器20は、優占生物名が変動したときにその優占生物名を通知することができ、変動しないときに優占生物名を通知することを避けることができる。なお、生物情報処理部163は、変動ありと判定するとき、優占生物名に対応する物質を示す物質情報を生物情報と対応付けて生物情報出力部14に対し電子機器20に送信させてもよい。このとき、電子機器20は、優占生物名が変動したときに、その優占生物に係る物質の情報を提示することができる。

【0046】
上述したように、生物特定部162は、一定時間毎に撮像された画像を含む環境情報に対応する生物情報として生物相を逐次に特定してもよい。その場合、生物情報処理部163は、各時点で特定した優占生物名に係る存在量が所定の存在量の閾値を超えるか否かを判定してもよい。生物情報処理部163は、存在量がその閾値を超えると判定するとき(図11において破線で示す)、その優占生物名を示す生物情報を生物情報出力部14に対し電子機器20に送信させる。生物情報処理部163は、閾値を超えないと判定するとき、その生物情報を生物情報出力部14に対し電子機器20に送信させない。これにより、電子機器20は、ユーザに存在量が所定の存在量の閾値を超えるとき、その優占生物名を通知することができ、存在量が所定の存在量の閾値を超えないときにその優占生物名を通知しない。生物情報処理部163は、存在量が所定の存在量の閾値を超えるときと判定するとき、その優占生物名に対応する物質を示す物質情報を生物情報と対応付けて生物情報出力部14に対し電子機器20に送信させてもよい。よって、電子機器20は、存在量が所定の存在量のよりも大きくなったときに、その優占生物に係る物質の情報を提示することで、ユーザに提示された物質の使用を促すことができる。

【0047】
なお、存在量の判定対象、つまり出力対象とする種類の生物は、予め生物特定部162に設定された生物であってもよい。設定対象の生物は、例えば、繁殖による汚染リスクが注視される菌類、細菌類などである。設定対象の生物は、生物特定部162からの生物情報に基づいて優占生物名が特定される生物であってもよいし、その生物でなくてもよい。また、判定対象とする存在量は、個々の生物名に係る生物の存在量であってもよいし、優占生物名に係る生物全体の存在量、設定対象の生物全体の存在量であってもよい。

【0048】
(生物劣化リスクの評価)
なお、生物情報処理部163は、生物の存在量に関する指標値として、人工環境に対する生物劣化リスクを定量的に示すリスク評価値を算出してもよい。生物情報処理部163は、例えば、判定対象の種類毎の生物の存在量に、その生物名に対応する重み係数を乗じて得られる総和又はその離散値をリスク評価値として算出する。重み係数は、生物の種類毎に異なる生物劣化リスクへの寄与度を示す値である。生物情報処理部163は、算出したリスク評価値を生物情報出力部14に対して送信させる。電子機器20は、情報処理装置10から受信したリスク評価値の情報を提示することができる。そのため、ユーザは、環境における生物劣化リスクを把握することができる。また、生物情報処理部163は、リスク評価値が所定のリスク評価値の閾値を越えるか否かにより、物質情報、優占生物名又はリスク評価値自体を送信させるか否かを判定してもよい。

【0049】
(優占生物分布の取得)
また、画像取得部13は、地理的に分散した複数の各地点に存在する電子機器20から、それぞれ診断用環境情報を受信してもよい。生物特定部162は、各地点で取得される診断用環境情報に対応する生物情報を取得する。生物情報処理部163は、各地点における生物情報が示す優占生物を集約し、優占生物分布を形成する。そして、生物情報処理部163は、生物情報出力部14に形成した優占生物分布を示す優占生物分布情報をいずれかの電子機器20に送信させる。これにより、電子機器20は、情報処理装置10から受信した優占生物分布情報が示す優占生物分布を提示することができる。電子機器20は、優占生物分布を形成する各地点の優占生物の存在量を、等値線図(コンター図)などにより表現してもよい。

【0050】
(優占生物の繁殖領域の予測)
また、生物情報処理部163は、各地点における生物情報が示す生物相から所定の生物の存在量の時系列を取得し、これらの時系列に基づいて予測処理を行って現時点よりも時間的に後の将来時点における存在量を算出してもよい。存在量の時系列は、現時点までの複数の各時点における存在量からなる。予測処理の手法として、例えば、線形予測法などの既存の予測アルゴリズムが利用可能である。そして、生物情報処理部163は、各地点において将来時点における生物の種類毎の存在量を集約して生物分布を形成してもよい。ここで、生物情報処理部163は、形成した生物分布のうち、処理対象の地点のいずれかにおける優占生物を選択し、選択した優占生物に係る地点毎の存在量を示す優占生物分布を形成する。そして、生物情報処理部163は、生物情報出力部14に形成した優占生物分布を示す優占生物分布情報をいずれかの電子機器20に送信させる。この場合には、電子機器20は、将来時点における優占生物分布を提示することができる。従って、ユーザは、将来時点における優占生物の種類とその繁殖領域を把握することができる。

【0051】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例に係る情報処理システム1は、診断用環境情報が示す環境における生物の存在状況に応じて、その環境に設置され、その環境の状態を制御する機器の動作を支援する。以下の説明では、制御対象の機器が住宅その他の建造物の室内に設置された換気装置(図示せず)である場合を例にする。

【0052】
電子機器20は、換気装置の設置環境である室内に設置された各種のセンサ(図示せず)から検出情報を取得するIoT(Internet of Things;モノのインターネット)機器である。
室内には、気温を検出するための温度センサ、ドアの開閉を検出するための第1開閉センサ、窓の開閉を検出するための第2開閉センサが設置されている。電子機器20には、検出された気温を示す気温情報が温度センサから入力され、検出されたドアの開閉を示す第1開閉情報が第1開閉センサから入力され、検出されたドアの開閉を示す第2開閉センサから入力される。

【0053】
電子機器20は、室内の所定の部位、例えば、壁面を撮像するカメラを備える。カメラは、所定時間(例えば、5~30分)毎に撮像を行う。電子機器20は、カメラが画像を撮像した各時点における第1開閉情報、第2開閉情報及び気温情報を統合して検出情報を形成する。電子機器20は、その時点において撮像された撮像画像を含む診断用環境情報と検出情報を対応付けて情報処理システム1に送信する。
電子機器20は、送信した診断用環境情報と検出情報に対する応答として制御情報を受信する。電子機器20は、情報処理装置10から受信した制御情報に基づいて換気装置の出力を制御する。なお、電子機器20は、換気装置と一体に構成されてもよい。

【0054】
情報処理装置10の生物情報処理部163には、生物特定部162から各時点の診断用環境情報に対応する生物情報と、診断用環境情報に付随して伝送された検出情報が入力される。生物情報処理部163は、入力された検出情報と生物情報に基づいて制御情報を定める。生物情報処理部163は、例えば、予めデータ記憶部15に記憶された制御データを参照して、検出情報と生物情報に対応する制御情報を特定する。生物情報処理部163は、定めた制御情報を電子機器20に生物情報出力部14を介して送信する。本変形例では、生物情報出力部14は、必ずしも生物情報を送信しなくてもよい。

【0055】
(制御データ)
次に、本変形例に係る制御データの一例について説明する。図12は、本変形例に係る制御データの一例を示す図である。図12に示す例では、制御データは、ドアの開閉状態、窓の開閉状態、気温及び生物の存在量に対応する制御量を示すデータである。図12に示す気温の値は、気温を0~2のいずれかの整数値に離散化した値である。値が大きいほど温度が高いことを示す。存在量の値は、所定の生物の存在量を0~2のいずれかの整数値に離散化した値である。値が大きいほど存在量が多いことを示す。制御量の値は、換気装置の出力を0~3のいずれかの整数値に離散化した値である。制御量の値が0とは、換気装置を動作させない(OFF)ことを示す。1以上の制御量の値は、換気装置を動作させること(ON)を示す。この値が大きいほど換気装置の出力が大きいことを示す。

【0056】
図12(a)は、検出情報が示すドア、窓の開閉状態がいずれも開である場合に参照される部分を示す。図12(b)は、検出情報が示すドア、窓の開閉状態が、それぞれ開、閉、又は閉、開である場合に参照される部分を示す。図12(c)は、検出情報が示すドア、窓の開閉状態がいずれも閉である場合に参照される部分を示す。この制御データによれば、ドアと窓による室内の開放状態が著しいほど制御量が小さく、気温が高いほど制御量が大きく、所定の生物の存在量が多いほど制御量が大きい。

【0057】
ここで、検出情報が示すドア、窓の開閉状態が、それぞれ開、閉であり、検出情報が示す気温が2に対応する範囲内の気温であり、かつ生物情報が示す所定の生物の検出量が1に対応する範囲内の検出量である場合を仮定する。この場合には、生物情報処理部163は、制御データのうち図12(b)に示す部分を参照して、制御量の値を2と定める。換気装置は、定めた制御量の値である2で指定される大きさの出力が得られるように動作する。
また、検出情報が示すドア、窓の開閉状態が、それぞれ開、開であり、検出情報が示す気温が1に対応する範囲内の気温であり、かつ生物情報が示す所定の生物の検出量が1に対応する範囲内の検出量である場合を仮定する。この場合には、生物情報処理部163は、制御データのうち図12(a)に示す部分を参照して、制御量の値を0と定める。従って、換気装置は、その動作を停止する。従って、換気装置の出力は、室内の開放状態が著しいほど小さく、気温が高いほど大きく、所定の生物の存在量が多いほど大きくなるように制御される。

【0058】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、生物毎に対応づけられた物質を示す物質データ(例えば、薬剤データ)を参照して、生物特定部162が特定した生物に対応する物質を特定する生物情報処理部163を備える。
この構成により、画像取得部13が取得した撮像画像が示す環境に存在する生物に対応する物質が特定される。そのため、ユーザは特定された物質を用いることによる環境の保全が促される。例えば、物質が所定の生物の防除剤である場合には、その生物の駆逐による生物汚染の解消又は低減が促される。

【0059】
また、本実施形態に係る情報処理装置10において、生物特定部162は、所定時間毎に画像取得部13が取得した撮像画像に対応する生物を特定する。情報処理装置10は、生物特定部162が特定した生物の変化を検出するとき、生物特定部162が特定した生物を示す生物情報を生物情報出力部14に出力させる生物情報処理部163を備える。
この構成により、画像取得部13が所定時間毎に取得した撮像画像が示す環境に存在する生物の変化が検出されるとき、その生物を示す生物情報が出力される。ユーザには、撮像画像から特定された生物が変化するとき、その生物を示す生物情報が通知されるので、特定される生物の変化に気づくことができる。また、特定される生物が変化しないときには生物情報の出力に係る処理を省略することで、ユーザには逐次に生物情報が通知されなくなる。そのため、通知のための処理量が低減するとともに、通知される生物情報をユーザにより注目させることができる。

【0060】
また、本実施形態に係る情報処理装置10において、生物特定部162は、所定時間毎に画像取得部13が取得した撮像画像に対応する生物を特定する。情報処理装置10は、生物特定部162が特定した生物の存在量が所定の存在量を超えるとき、生物特定部162が特定した生物を示す生物情報を生物情報出力部14に出力させる生物情報処理部163を備える。
この構成により、画像取得部13が所定時間毎に取得した撮像画像が示す環境に存在する生物の存在量が所定の存在量を超えるとき、その生物を示す生物情報が出力される。ユーザには、撮像画像から特定された生物の存在量が多いときに、その生物を示す生物情報が通知されるので、特定される生物の存在やその存在量を気づかせることができる。そのため、ユーザは特定される生物への対策が促される。例えば、特定される生物が環境に有害な生物である場合には、生物劣化リスクの低減又は解消のため対策が促される。

【0061】
また、本実施形態に係る情報処理装置10は、画像取得部13が取得した撮像画像が示す環境である設置環境の状態を示す検出情報と、生物特定部162が特定した生物の存在量に基づいて、設置環境に設置された機器の制御量を定める生物情報処理部163を備える。
この構成により、画像取得部13が取得した撮像画像が示す環境の状態を示す検出情報と、その撮像画像から特定された生物の存在量に基づいて、その環境に設置された機器の動作が制御される。そのため、制御において生物の存在量に寄与する要因をさらに考慮される。例えば、その機器が換気装置のように環境を制御する機器である場合には、定めた制御量に基づいて生物の存在量を制御することができる。

【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。上述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を援用する。以下の説明では、上述の実施形態との差異を主とする。

【0063】
図13は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成を示す概略ブロック図である。
情報処理装置10は、環境情報取得部11と、生物情報取得部12と、データ記憶部15と、制御部16と、生物識別情報取得部17と、環境情報出力部18と、を含んで構成される。情報処理装置10は、これらの各部を備えるサーバ装置として構成される。
図1に示す情報処理装置10と比較すると、本実施形態に係る情報処理装置10では、画像取得部13と生物情報出力部14が省略され、生物識別情報取得部17と環境情報出力部18がさらに備えられている。制御部16は、学習部161と、環境特定部164と、を含んで構成される。制御部16では、生物特定部162が省略され、環境特定部164がさらに備えられている。生物識別情報取得部17として、通信部101、入力部102、又はその両者を用いて実現される。環境情報出力部18として、通信部101、出力部103、又はその両者を用いて実現される。

【0064】
環境特定部164は、データ記憶部15から環境情報モデルを読み出し、読み出した環境情報モデルが示す関数を用いて、生物識別情報取得部17から入力された生物識別情報(生物情報)に対応する環境情報を求める(図14参照)。環境情報として、その生物相が示す生物が存在している環境の画像を含む情報が含まれてもよい。環境特定部164は、環境情報モデルの学習に用いられた関数と共通の関数を用いる。環境特定部164は、得られた環境情報を環境情報出力部18に出力する。

【0065】
そこで、学習部161は、生物情報取得部12から入力される生物情報を目標出力とし、環境情報取得部11から入力され、その生物が存在する環境の環境情報を入力とする教師データのセットとして対応付ける。学習部161は、教師あり学習を行い、生物情報に対応する出力として環境情報に写像する関数を示すモデルを環境情報モデルとして求める。学習部161は、求めた環境情報モデルを予めデータ記憶部15に記憶する。

【0066】
なお、学習部161、環境特定部164がニューラルネットワークを用いる場合には、生物識別情報が示す生物相の生物毎の存在量が各入力端への入力値として用いられてもよい。生物識別情報が優占生物名を示す場合には、その優占生物名に対応する入力端への入力値を1とし、その他の入力端への入力値を0としてもよい。
また、各出力端からの出力値が画素毎の画素値として用いられてもよい。各出力端からの出力値が画像の特徴量の各パラメータとして用いられてもよい。本実施形態では、環境特定部164は、予めデータ記憶部15に記憶された複数の画像のうち、その画素値又は特徴量が、生物識別情報に対応する出力値に最も近似する画像を特定してもよい。予め記憶された画像として、環境情報モデルの学習に用いられた教師データに含まれる画像の一部又は全部が用いられてもよい。近似の度合い、つまり画素値又は特徴量と出力値の差の大きさを示す指標として、上述した誤差関数が利用可能である。これにより、出力端の数が画素数や特徴量のパラメータの数に満たない場合でも、生物が存在する環境を表す画像が定められる。

【0067】
生物識別情報取得部17は、生物識別情報として、上述した生物情報と同様の情報、例えば、ある環境における生物相又は優占生物名を示す情報が入力される。生物識別情報取得部17は、入力された生物識別情報を制御部16に出力する。
環境情報出力部18は、制御部16から入力された生物情報を出力する。環境情報出力部18は、生物識別情報の送信元である機器に、その応答として生物情報を送信してもよい。

【0068】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習部161を備える。情報処理装置10は、生物の識別情報を取得する生物識別情報取得部17と、学習部161による機械学習の結果に基づいて、生物識別情報取得部17が取得した生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定部164を備える。
この構成により、生物識別情報取得部17が取得した生物の識別情報に対応し、その生物が存在する環境を表す画像を含む環境情報が推定される。従って、ゲノムレベルで識別された生物が存在する環境を示す環境情報が提供される。

【0069】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。

【0070】
(付記)
以上の記載から、本発明の複数の態様は、例えば、以下のように把握される。理解を容易にするために添付図面の参照符号を付記するが、それにより本発明の態様が図示の態様に限定されるものではない。

【0071】
(付記1)本発明の一態様は、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習部161と、環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得部13と、前記学習部161による機械学習の結果に基づいて、前記画像取得部13が取得した撮像画像に対応する生物を特定する生物特定部162と、を備える情報処理装置10である。

【0072】
(付記2)本発明の一態様は、付記2に記載の情報処理装置10であって、生物毎に対応づけられた物質を示す物質データを参照して、前記生物特定部162が特定した生物に対応する物質を特定する生物情報処理部163を備える。

【0073】
(付記3)本発明の一態様は、付記1又は付記2に記載の情報処理装置10であって、前記生物特定部162は、所定時間毎に前記画像取得部13が取得した撮像画像に対応する生物を特定し、前記生物特定部162が特定した生物の変化を検出するとき、前記生物特定部162が特定した生物を示す生物情報を生物情報出力部14に出力させる生物情報処理部163を備える。

【0074】
(付記4)本発明の一態様は、付記1から付記3のいずれかに記載の情報処理装置10であって、前記生物特定部162は、所定時間毎に前記画像取得部13が取得した撮像画像に対応する生物を特定し、前記生物特定部162が特定した生物の存在量が所定の存在量を超えるとき、前記生物特定部162が特定した生物を示す生物情報を生物情報出力部14に出力させる生物情報処理部163を備える。

【0075】
(付記5)本発明の一態様は、付記1から付記4のいずれかに記載の情報処理装置10であって、前記画像取得部13が取得した撮像画像が示す環境である設置環境の状態を示す検出情報と、前記生物特定部162が特定した生物の存在量に基づいて、前記設置環境に設置された機器の制御量を定める生物情報処理部163を備える。

【0076】
(付記6)本発明の一態様は、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を遺伝子の塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習部161と、生物の識別情報を取得する生物識別情報取得部17と、前記学習部161による機械学習の結果に基づいて、前記生物識別情報取得部17が取得した生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定部164と、を備える情報処理装置10である。

【0077】
(付記7)本発明の一態様は、情報処理装置10における情報処理方法であって、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習ステップと、環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記学習ステップによる機械学習の結果に基づいて、前記画像取得ステップにより取得された撮像画像に対応する生物を特定する生物特定ステップと、を有する情報処理方法である。

【0078】
(付記8)本発明の一態様は、情報処理装置10における情報処理方法であって、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習ステップと、生物の識別情報を取得する生物識別情報取得ステップと、前記学習ステップによる機械学習の結果に基づいて、前記生物識別情報取得ステップにより取得された生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定ステップと、を備える情報処理方法である。

【0079】
(付記9)本発明の一態様は、コンピュータに、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習手順と、環境を撮像した撮像画像を取得する画像取得手順と、前記学習手順による機械学習の結果に基づいて、前記画像取得手順により取得された撮像画像に対応する生物を特定する生物特定手順と、を実行させるためのプログラムである。

【0080】
(付記10)本発明の一態様は、コンピュータに、生物が存在する環境を撮像した撮像画像を少なくとも含む環境情報と、前記環境に存在する生物を塩基配列に基づいて同定した結果である生物情報と、を対応付けた教師データに基づいて機械学習を行う学習手順と、生物の識別情報を取得する生物識別情報取得手順と、前記学習手順による機械学習の結果に基づいて、前記生物識別情報取得手順により取得された生物の識別情報に対応する環境を特定する環境特定手順と、を実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0081】
1…情報処理システム、10…情報処理装置、11…環境情報取得部、12…生物情報取得部、13…画像取得部、14…生物情報出力部、15…データ記憶部、16…制御部、17…生物識別情報取得部、18…環境情報出力部、20…電子機器、100…コンピュータシステム、101…通信部、102…入力部、103…出力部、104…記憶部、105…CPU、161…学習部、162…生物特定部、163…生物情報処理部、164…環境特定部
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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