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明細書 :ガラス固化体の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-043810 (P2019-043810A)
公開日 平成31年3月22日(2019.3.22)
発明の名称または考案の名称 ガラス固化体の処理方法
国際特許分類 C03C  15/00        (2006.01)
C03C   3/093       (2006.01)
G21F   9/30        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C03C   3/064       (2006.01)
C03C   3/066       (2006.01)
C03C   3/091       (2006.01)
C03B  32/00        (2006.01)
FI C03C 15/00 G
C03C 3/093 ZAB
G21F 9/30 561F
G21F 9/30 551A
G21F 9/30 519C
B09B 3/00 301J
B09B 3/00 303A
B09B 3/00 304J
C03C 3/064
C03C 3/066
C03C 3/091
C03B 32/00
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2017-168763 (P2017-168763)
出願日 平成29年9月1日(2017.9.1)
発明者または考案者 【氏名】井上 博之
【氏名】渡邉 康裕
【氏名】槇田 篤哉
【氏名】鄭 載▲イェ▼
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100090479、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 一
【識別番号】100195877、【弁理士】、【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4D004
4G015
4G059
4G062
Fターム 4D004AA18
4D004AB09
4D004CA22
4D004CA29
4D004CA32
4D004CA34
4D004CA40
4D004CA45
4D004CC11
4D004CC12
4D004DA03
4D004DA10
4G015EA01
4G059AA17
4G059AB09
4G059AC30
4G059BB04
4G059BB12
4G062AA18
4G062BB05
4G062CC01
4G062DA05
4G062DB03
4G062DC04
4G062DC05
4G062DD01
4G062DE02
4G062DE03
4G062DE04
4G062DF01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EA04
4G062EB03
4G062EC01
4G062ED01
4G062EE02
4G062EE03
4G062EE04
4G062EF02
4G062EG01
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4G062FB01
4G062FC02
4G062FD01
4G062FE01
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4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ02
4G062FK01
4G062FL02
4G062FL03
4G062GA01
4G062GB01
4G062GC02
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH08
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK04
4G062KK05
4G062KK07
要約 【課題】 より簡便に所定の金属元素を溶出することができるガラス固化体の処理方法を提供すること。
【解決手段】 ガラス固化体の処理方法は、ガラス固化体に、LiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方を添加、溶融、固化して改質ガラスを得る第1工程と、改質ガラスを熱処理して分相ガラスを得る第2工程と、分相ガラスを純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種で処理してガラス固化体に含まれていた所定の金属元素を溶出する第3工程とを含む。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
ガラス固化体に、LiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方を添加、溶融、固化して改質ガラスを得る第1工程と、
前記改質ガラスを熱処理して、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素をBリッチ相に偏析させた分相ガラスを得る第2工程と、
前記分相ガラスを純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種で処理して前記所定の金属元素を溶出する第3工程とを含むことを特徴とするガラス固化体の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス固化体の処理方法において、
前記第1工程でLiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれるいずれか1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるLiOの含有量は4~30質量%であり、
前記第1工程でZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれるいずれか1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるZnOの含有量は4~40質量%であることを特徴とするガラス固化体の処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガラス固化体の処理方法において、
前記第1工程でガラス固化体に、SiO及び溶融の際にSiOに分解するSiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにB及び溶融の際にBに分解するB原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方をさらに添加することを特徴とするガラス固化体の処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載のガラス固化体の処理方法において、
前記第1工程でSiO及び溶融の際にSiOに分解するSiO原料から選ばれる少なくとも1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるSiOの含有量は35~50質量%であり、
前記第1工程でB及び溶融の際にBに分解するB原料から選ばれる少なくとも1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるBの含有量は10~50質量%であることを特徴とするガラス固化体の処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガラス固化体の処理方法において、
前記所定の金属元素が長寿命核種であることを特徴とするガラス固化体の処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載のガラス固化体の処理方法において、
前記長寿命核種がZr、Pd及びSeから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とするガラス固化体の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス固化体の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高レベル放射性廃棄物はガラス原料とともに溶融、固化された「ガラス固化体」として長期間地層処分される。地層処分されたガラス固化体から放射性物質が流出しないよう、ガラス固化体は化学的耐久性が非常に高い組成が用いられる。非特許文献1によると、図1に示すように、ガラス固化体の組成は図中の黒塗り領域の組成と同等であると推定される。ガラス固化体を評価するために用いられる模擬ガラス固化体の組成の一例を表1に示す。なお、表1中の「*」は長寿命核種の成分を表す。
【表1】
JP2019043810A_000003t.gif

【0003】
一方、放射性廃棄物の新しい処理方法が開発される等によって、今後、ガラス固化体から所定の金属元素(特に、長寿命核種)を溶出する必要が生じることも考えられる。この場合、ガラス固化体は約400~500kgの質量を有し、かつ、化学的耐久性が非常に高いため、直接溶解しようとすると、高濃度で大量の酸性又は塩基性水溶液が必要となる。さらに、実際にガラス固化体を直接溶解すると、膨大な量の放射性物質を含む水溶液が生成されるため、所定の金属元素の濃縮が必要になる。したがって、ガラス固化体から所定の金属元素(特に、長寿命核種)を溶出するには、より簡便なガラス固化体の処理方法が望まれる。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】M. J. Plodinec, “Borosilicate Glasses for nuclear waste imobilisation”, Glass Technology, Vol.41, No.6, (2000) 186-192
【非特許文献2】Kazuyoshi URUGA et.al., Journal of NUCLEAR SCIENCE and TECHNOLOGY, Vol.45, No.9, (2008) 889-898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガラス固化体はホウケイ酸塩ガラスに分類される。ホウケイ酸塩ガラスには600℃程度の熱処理によってSiOに富む相(SiOリッチ相)とBに富む相(Bリッチ相)に分離(分相)する組成領域(分相領域)が存在することが知られる。非特許文献2には、分相を用いて模擬ガラス固化体から所定の金属元素を溶出する方法が記載されている。即ち、模擬ガラス固化体にSiO及びBを添加、溶融、固化、熱処理して分相させる。Ni等の金属元素はBリッチ相に偏析する。Bリッチ相は純水、酸性水溶液又は塩基性水溶液に溶解しやすいのに対し、SiOリッチ相は溶解し難いため、硝酸等でBリッチ相を溶解することにより、Bリッチ相に偏析したNi等の金属元素(Zrを除く)を溶出することができる。また、SiO及びBの他にCaOをさらに添加してCaOの濃度を10wt%超にすると、長寿命核種であるZr元素の溶出が硝酸で可能になる。しかし、非特許文献2に記載されているガラス固化体からの金属元素の溶出方法は、多くのCaOを必要とするため、さらに簡便なガラス固化体の処理方法が望まれる。
【0006】
本発明の態様は、より簡便に所定の金属元素(特に、長寿命核種)を溶出することができるガラス固化体の処理方法を提供することを目的とする。さらに、本発明の他の態様は、より簡便に所定の金属元素を溶出することができるガラス組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の第1の態様は、ガラス固化体に、LiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方を添加、溶融、固化して改質ガラスを得る第1工程と、前記改質ガラスを熱処理して、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素をBリッチ相に偏析させた分相ガラスを得る第2工程と、前記分相ガラスを純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種で処理して前記ガラス固化体に含まれていた前記所定の金属元素を溶出する第3工程とを含むことを特徴とするガラス固化体の処理方法に関する。
【0008】
ホウケイ酸塩ガラスに分類されるガラス固化体にLiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方を添加、溶融、固化して得られる改質ガラスは、熱処理によって容易に分相して分相ガラスが得られる。その際、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素はBリッチ相に偏析する。この分相ガラスを純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種で処理することによって、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素を容易に溶出することができる。
【0009】
(2)本発明の第1の態様では、前記第1工程でLiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれるいずれか1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるLiOの含有量は4~30質量%であり、前記第1工程でZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれるいずれか1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるZnOの含有量が4~40質量%であることが好ましい。そのような組成の改質ガラスは熱処理によってより容易に分相し、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素をより容易に溶出することができるからである。
【0010】
(3)本発明の第1の態様では、前記第1工程で前記ガラス固化体に、SiO及び溶融の際にSiOに分解するSiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにB及び溶融の際にBに分解するB原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方をさらに添加することが好ましい。改質ガラスの組成が分相領域に近づくため、熱処理によってより容易に分相し、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素をより容易に溶出することができるからである。
【0011】
(4)本発明の第1の態様では、前記第1工程でSiO及び溶融の際にSiOに分解するSiO原料から選ばれる少なくとも1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるSiOの含有量は35~50質量%であり、前記第1工程でB及び溶融の際にBに分解するB原料から選ばれる少なくとも1種を添加する場合、前記改質ガラスに含まれるBの含有量は10~50質量%であることが好ましい。改質ガラスの組成がさらに分相領域の組成に近づくため、熱処理によってさらに容易に分相し、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素をさらに容易に溶出することができるからである。
【0012】
(5)本発明の第1の態様では、前記所定の金属元素が長寿命核種であることが好ましい。ガラス固化体に含まれていた長寿命核種の溶出をより簡便に行うことができるからである。
【0013】
(6)本発明の第1の態様では、前記長寿命核種がZr、Pd及びSeから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むことが好ましい。溶出が難しい長寿命核種のZr、Pd及びSeの溶出をより簡便に行うことができるからである。
【0014】
(7)本発明の第2の態様は、35~50質量%のSiOと、10~50質量%のBと、2~15質量%のNaOと、2~10質量%のAlと、4~30質量%のLiOとを含有することを特徴とするガラス組成物に関する。このようなガラス組成物は、比較的少量のLiOの添加によって分相が促進されるため、分相ガラスとして利用することができる。
【0015】
(8)本発明の第3の態様は、35~50質量%のSiOと、10~50質量%のBと、2~15質量%のNaOと、2~10質量%のAlと、4~40質量%のZnOとを含有することを特徴とするガラス組成物に関する。このようなガラス組成物は、ZnOの添加によって分相が促進されるため、分相ガラスとして利用することができる。
【0016】
(9)本発明の第2又は第3の態様では、長寿命核種をさらに含有することが好ましい。ガラス組成物中の長寿命核種の溶出を分相により容易に行うことができるからである。
【0017】
(10)本発明の第2又は第3の態様では、長寿命核種がZrを含むことが好ましい。ガラス組成物中の長寿命核種であるZrの溶出を分相により容易に行うことができるからである。
【0018】
(11)本発明の第3の態様では、長寿命核種がSeを含むことが好ましい。LiO添加では溶出できない長寿命核種のSeの溶出をZnO添加によって溶出できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】NaO・B・SiO 3成分系ガラスの分相領域とガラス固化体との組成関係を示す。
【図2】溶出前後の分相ガラス(No.1~5)の質量減少率を示す。
【図3】改質ガラス(No.3,5)に含まれていた各元素の、溶出液への溶出量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。

【0021】
(1)ガラス固化体の処理方法
本実施形態におけるガラス固化体の処理方法は、ガラス固化体に、LiO及び溶融の際にLiOに分解するLiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにZnO及び溶融の際にZnOに分解するZnO原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方を添加、溶融、固化して改質ガラスを得る第1工程と、改質ガラスを熱処理して分相ガラスを得る第2工程と、分相ガラスを純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種で処理してガラス固化体に含まれていた所定の金属元素を溶出する第3工程とを含む。以下、さらに詳しく説明する。

【0022】
(1-1)第1工程
ガラス固化体は、高レベル放射性廃棄物はガラス原料とともに溶融、固化されたものである。長期間地層処分されるため、放射性物質が流出しないよう、ガラス固化体は化学的耐久性が非常に高い組成が用いられる。図1に示すように、ガラス固化体の組成は図中の黒塗り領域と同等の組成であると推定され、分相もしにくい。本実施形態では、ガラス固化体そのものを用いることはできないので、表1に組成を示す評価用の模擬ガラス固化体(以下、「Frit」という。)を用いた。Fritは、ガラス固化体中の放射性元素を評価するために長寿命核種のZr、Pd及びSeを含む。しかし、ガラス固化体の組成は高レベル放射性廃棄物の内容によって変動するため、Fritの組成も表1に限定されないのはいうまでもない。ガラス固化体(Fritを含む)は化学的耐久性が高く、分相もしにくいため、所定の金属元素(特に、長寿命核種)を溶出することが難しい。そこで、LiO及びZnOの少なくともいずれか一方をガラス固化体に添加、溶融、固化して、分相しやすい改質ガラスを得る。所定の金属元素は、第2工程の熱処理によってBリッチ相に偏析する。Bリッチ相は純水、酸性水溶液又は塩基性水溶液に溶解しやすいため、第3工程の純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種で処理することにより、Bリッチ相に偏析した所定の金属元素を溶出することができる。所定の金属元素は長寿命核種を含むことが好ましく、Zr、Pd、Se及びCsから選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。

【0023】
添加するLiOはLiOそのものなくてもよく、高温での溶融の際にLiOに分解するLiO原料、例えば、炭酸リチウム(LiCO)や水酸化リチウム(LiOH)等を用いてもよい。改質ガラスに含まれるLiOの含有量は4~30質量%が好ましく、5.5~25質量%がより好ましく、7~20質量%がさらに好ましく、8~15質量%が特に好ましい。

【0024】
添加するZnOはZnOそのものなくてもよく、高温での溶融の際にZnOに分解するZnO原料、例えば、炭酸亜鉛(ZnCO)や水酸化亜鉛(Zn(OH))等を用いてもよい。改質ガラスに含まれるZnOの含有量は4~40質量%が好ましく、9~35質量%がより好ましく、13~30質量%がさらに好ましく、17~27質量%が特に好ましい。

【0025】
ガラス固化体にLiO(溶融の際にLiOに分解するLiO原料を含む)及びZnO(溶融の際にZnOに分解するZnO原料を含む)の少なくともいずれか一方を添加、溶融、固化して得られた改質ガラスは、熱処理によって分相する。このため、第3工程でBリッチ相に偏析した所定の金属元素、例えば、長寿命核種のZr等を溶出することができる。LiOは比較的少量でも分相効果を得ることができる。ZnOは、LiOでは溶出できない長寿命核種のSeの溶出を促進することができる。LiO(溶融の際にLiOに分解するLiO原料を含む)及びZnO(溶融の際にZnOに分解するZnO原料を含む)の添加はいずれか一方でもよく、両方でもよい。

【0026】
溶融温度は、原料が十分に溶融、混合されれば特に制限はなく、1300℃以上が好ましく、1400℃以上がより好ましい。溶融理時間は、原料が十分に溶融、混合されれば特に制限はなく、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。溶融雰囲気は酸化雰囲気であり、大気が好ましい。

【0027】
固化方法は、処理目的、規模等に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、自然放冷、ロールアウト法等を用いてもよい。

【0028】
第1工程では、ガラス固化体に、SiO及び溶融の際にSiOに分解するSiO原料から選ばれる少なくとも1種並びにB及び溶融の際にBに分解するB原料から選ばれる少なくとも1種の少なくともいずれか一方をさらに添加することが好ましい。改質ガラスの組成が分相領域に近づくため、熱処理によってより容易に分相し、ガラス固化体に含まれていた所定の金属元素をより容易に溶出することができる。

【0029】
添加するSiOはSiOそのものなくてもよく、高温での溶融の際にSiOに分解するSiO原料、例えば、シリカゲル(SiO・nHO)等を用いてもよい。改質ガラスに含まれるSiOの含有量は35~50質量%が好ましく、37~48質量%がより好ましく、39~47質量%がさらに好ましく、41~46質量%が特に好ましい。

【0030】
添加するBはBそのものなくてもよく、高温での溶融の際にBに分解するB原料、例えば、ホウ酸(HBO)等を用いてもよい。改質ガラスに含まれるBの含有量は10~50質量%が好ましく、11~40質量%がより好ましく、12~35質量%さらに好ましく、13~30質量%が特に好ましい。

【0031】
(1-2)第2工程
改質ガラスの熱処理温度は、改質ガラスを分相させ、分相ガラスを得ることができれば特に制限はなく、500~800℃が好ましく、550~700℃がより好ましく、580~650℃がさらに好ましい。熱処理時間は、改質ガラスを分相させることができれば特に制限はなく、12時間以上が好ましく、24時間以上がより好ましく、48時間以上がさらに好ましい。熱処理雰囲気は酸化雰囲気であり、大気が好ましい。

【0032】
(1-3)第3工程
ガラス固化体に含まれ、Bリッチ相に偏析させた所定の金属元素(特に、長寿命核種)を溶出するため、分相ガラスを処理液に浸漬する(第3工程)。処理液は純水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選ばれるいずれか1種である。酸性水溶液は特に制限はなく、HNO水溶液、HSO水溶液、HCl水溶液等、公知の酸性水溶液を用いることができる。塩基性水溶液は特に制限はなく、NaOH水溶液等、公知の塩基性水溶液を用いることができる。処理液の濃度は、所定の金属元素が十分に溶出されれば特に制限はなく、0.1N以上が好ましく、0.5N以上がより好ましく、1N以上がさらに好ましい。処理液の温度は特に制限はないが、高温の方が反応速度が高くなるため、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。浸漬時間は、所定の金属元素が十分に溶出されれば特に制限はなく、6時間以上が好ましく、12時間以上がより好ましく、24時間以上がさらに好ましい。

【0033】
(2)ガラス組成物
(2-1)LiO含有ガラス組成物
本実施形態におけるガラス組成物は、35~50質量%のSiOと、10~50質量%のBと、2~15質量%のNaOと、2~10質量%のAlと、4~30質量%のLiOとを含有する。このようなガラス組成物は、比較的少量のLiOの添加によって分相が促進されるため、分相ガラスとして利用することができる。以下、さらに詳しく説明する。

【0034】
SiOの含有量は35~50質量%であり、37~48質量%が好ましく、39~47質量%がより好ましく、41~46質量%がさらに好ましい。Bの含有量は10~50質量%であり、11~40質量%が好ましく、12~35質量%がより好ましく、13~30質量%がさらに好ましい。NaOの含有量は2~15質量%であり、5~13質量%が好ましく、7~12質量%がよりに好ましい。Alの含有量は2~10質量%であり、3~8質量%が好ましく、4~6質量%がより好まししい。LiOの含有量は4~30質量%であり、5.5~25質量%が好ましく、7~20質量%がより好ましく、8~15質量%がさらに好ましい。

【0035】
このガラス組成物は長寿命核種をさらに含有することが好ましく、長寿命核種がZrを含むことがより好ましい。ガラス組成物中の長寿命核種、特にZrの溶出を分相により容易に行うことができる。

【0036】
(2-2)ZnO含有ガラス組成物
本実施形態におけるガラス組成物は、35~50質量%のSiOと、10~50質量%のBと、2~15質量%のNaOと、2~10質量%のAlと、4~40質量%のZnOとを含有する。このようなガラス組成物は、ZnOの添加によって分相が促進されるため、分相ガラスとして利用することができる。以下、さらに詳しく説明する。

【0037】
SiOの含有量は35~50質量%であり、37~48質量%が好ましく、39~47質量%がより好ましく、41~46質量%がさらに好ましい。Bの含有量は10~50質量%であり、11~40質量%が好ましく、12~35質量%がより好ましく、13~30質量%がさらに好ましい。NaOの含有量は2~15質量%であり、5~13質量%が好ましく、7~12質量%がよりに好ましい。Alの含有量は2~10質量%であり、3~8質量%が好ましく、4~6質量%がより好まししい。ZnOの含有量は4~40質量%であり、9~35質量%が好ましく、13~30質量%がより好ましく、17~27質量%がさらに好ましい。

【0038】
このガラス組成物は長寿命核種をさらに含有することが好ましく、長寿命核種がZr及びSeの少なくともいずれか一方を含むことがより好ましい。ガラス組成物中の長寿命核種、特にZr及びSeの少なくともいずれか一方の溶出を分相により容易に行うことができる。さらに、LiO添加では溶出できないSeを溶出することができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、それらは本発明の目的を限定するものではない。
【実施例】
【0040】
(1)実験方法
ガラスの原料には、表1に組成を示す模擬ガラス固化体(Frit)の他、SiO、HBO、LiCO、CaCO及びZnOの各試薬を用いた。溶融の際に分解する原料は分解後の酸化物に換算し、表2に示す含有量(単位:質量%)で合計が1gになるように秤量した。以下、表2の組成を「原料含有量」という。
【表2】
JP2019043810A_000004t.gif
【実施例】
【0041】
表2の原料含有量から換算した各元素の酸化物の含有量(質量%)を表3に示す。以下、表3の組成を「酸化物含有量」という。これが第1工程で得られる改質ガラスの組成である。
【表3】
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【実施例】
【0042】
No.1はFrit 100%であり、図1の黒塗り領域の組成と同等と推定される。No.2は図1のハッチングされた分相領域に相当し、酸化物含有量がSiO 40質量%、B 50質量%(表3)となるように、原料含有量をFrit 27質量%、SiO 27質量%、B 46質量%とする。No.3~5は分相に対するLiO、CaO、ZnOの影響を評価するため、それぞれ原料含有量でLiO 7質量%、CaO 20質量%、ZnO 20質量%をFritに添加する(表2)。これらの酸化物含有量は、それぞれLiO 9.87質量%、CaO 22.47質量%、ZnO 22.47質量%である(表3)。No.6は分相に対するLiOの添加量の影響を評価するため、原料含有量でNo.3よりも多いLiO 10質量%をFritに添加する(表2)。酸化物含有量はLiO 12.78質量%である(表3)。
【実施例】
【0043】
秤量した原料を混合、1400℃で1時間溶融、ステンレス板で挟んで急冷して固化し、改質ガラスを得た(第1工程)。改質ガラスを600℃で20時間熱処理し、分相ガラスを得た(第2工程)。分相ガラスを90℃の純水、0.1NのHNO水溶液、1.0NのHNO水溶液及び1.0NのHSO水溶液のいずれかに20時間浸漬し、Bリッチ相に偏析させた所定の金属元素を溶出した(第3工程)。
【実施例】
【0044】
(2)評価方法
No.1~6について第3工程の溶出前後で分相ガラスの乾燥質量を測定し、質量減少率を算出した。また、No.3(LiOの原料含有量 7質量%)及びNo.5(ZnOの原料含有量 20質量%)の第3工程の溶出後の溶出液について誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP分析)を行い、溶出前の分相ガラスに含まれていた各元素の含有量をそれぞれ100%としたとき、溶出液への各元素の溶出量を算出した。なお、溶出前の分相ガラスに含まれていた各元素の含有量は、表3に示す各元素の酸化物の含有量から換算した。
【実施例】
【0045】
(3)評価結果
第3工程の溶出前後のNo.1~5の分相ガラスの質量減少率を図2に示す。No.1は質量減少がほとんどないことから分相していないことがわかる。また、酸性水溶液に対しても質量がほとんど減少しておらず、化学的耐久性が非常に高いことが裏付けられた。No.2は純水、0.1NのHNO水溶液、1.0NのHNO水溶液及び1.0NのHSO水溶液のいずれも30~48%の高い質量減少率を示すことから、分相していることが裏付けられた。No.3は純水、0.1NのHNO水溶液での質量減少はほとんどなかったが、1.0NのHNO水溶液では36.9%、1.0NのHSO水溶液では23.3%と、比較的高い質量減少率を示した。LiOの添加(原料含有量 7質量%、酸化物含有量 9.87質量%)によって分相が促進されていることがわかる。No.4は純水、0.1NのHNO水溶液での質量減少はほとんどなかった。また、1.0NのHSO水溶液ではコロイド状の析出物が認められ、質量減少はほとんどなかった。1.0NのHNO水溶液では42.3%の質量減少率を示した。CaOの添加(原料含有量 20質量%、酸化物含有量 22.47質量%)によって分相が促進されていることがわかる。但し、HSO水溶液では質量減少がほとんどなかったことから、HSO水溶液で23.3%減少したNo.3の方が分相は促進されていると考えられる。No.5は純水、0.1NのHNO水溶液での質量減少はほとんどなかったが、1.0NのHNO水溶液では51.9%、1.0NのHSO水溶液では27.7%と、高い質量減少率を示した。ZnOの添加(原料含有量 20質量%、酸化物含有量 22.47質量%)によって分相が促進されていることがわかる。No.3よりも質量減少率が若干高いことから、No.3よりも分相が促進されていると考えられる。No.6は純水、0.1NのHNO水溶液での質量減少はほとんどなかったが、1.0NのHNO水溶液では35.0%、1.0NのHSO水溶液では25.1%と、No.3と同等の質量減少率を示した。LiOの添加(原料含有量 10質量%、酸化物含有量 12.78質量%)によってNo.3と同等に分相が促進されていると考えられる。
【実施例】
【0046】
No.3(LiOの原料含有量 7質量%)及びNo.5(ZnOの原料含有量 20質量%)の改質ガラスに含まれていた各元素の、溶出液への溶出量を図3に示す。No.3(LiOの原料含有量 7質量%)では、Y、Na、B、Li、Al、Ca、Znがいずれの溶出液の場合も100%に近い溶出量を示した。また、Zrは1.0NのHSO水溶液の場合に高い溶出量を示した。Srは1.0NのHNO水溶液の場合に高い溶出量を示した。長寿命核種のZrを初め、種々の元素を、比較的少量のLiOの添加によって溶出できることがわかる。したがって、Zr、Y、Sr、Na、B、Li、Al、Ca、ZnはBリッチ相に偏析したと考えられる。また、元素によっては溶出液の種類を使い分ける必要があることがわかる。さらに、Pd、Se、Siはほとんど溶出せず、SiOリッチ相に偏析したことがわかる。No.5(ZnOの原料含有量 20質量%)では、Y、Na、B、Li、Al、Ca、Znがいずれの溶出液の場合も100%に近い溶出量を示した。また、Zrは1.0NのHSO水溶液の場合に高い溶出量を示した。Srは1.0NのHNO水溶液の場合に高い溶出量を示した。さらに、Seはいずれの溶出液の場合も少量ながら溶出を示した。長寿命核種のZrを初め、種々の元素をZnOの添加によって溶出できることがわかる。特に、LiO添加では溶出できなかった長寿命核種のSeを溶出できることがわかった。したがって、Zr、Se、Y、Sr、Na、B、Li、Al、Ca、ZnはBリッチ相に偏析したと考えられる。また、元素によっては溶出液の種類を使い分ける必要があることがわかる。さらに、Pd、Siはほとんど溶出せず、SiOリッチ相に偏析したことがわかる。
【実施例】
【0047】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2