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明細書 :分光測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6744005号 (P6744005)
公開番号 特開2017-156245 (P2017-156245A)
登録日 令和2年8月3日(2020.8.3)
発行日 令和2年8月19日(2020.8.19)
公開日 平成29年9月7日(2017.9.7)
発明の名称または考案の名称 分光測定装置
国際特許分類 G01N  21/27        (2006.01)
G01J   3/36        (2006.01)
G01J   3/453       (2006.01)
FI G01N 21/27 B
G01J 3/36
G01J 3/453
請求項の数または発明の数 4
全頁数 15
出願番号 特願2016-040357 (P2016-040357)
出願日 平成28年3月2日(2016.3.2)
審査請求日 平成30年12月21日(2018.12.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】石丸 伊知郎
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
審査官 【審査官】赤木 貴則
参考文献・文献 国際公開第2014/054708(WO,A1)
特表2013-527469(JP,A)
特開2000-009440(JP,A)
特開2001-319367(JP,A)
特開2016-008956(JP,A)
国際公開第2012/118079(WO,A1)
特開2012-095124(JP,A)
調査した分野 G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01J 3/00-4/04
G01J 7/00-9/04
G02B 5/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
a) 被測定物からの光を所定の第1軸方向に2つに分割して第1測定光及び第2測定光を形成する分割光学系と、
b) 前記第1測定光及び前記第2測定光の間に、前記第1軸方向と直交する方向である第2軸方向に沿って連続的に変化する光路長差を付与する光路長差付与手段と、
c) 連続的に変化する光路長差が付与された前記第1測定光及び前記第2測定光を前記第1軸方向に集光させて結像面上に直線状の干渉光を形成する結像光学系と、
d) 前記結像面上に前記第2軸方向に所定の周期で配置された複数の画素を有する、前記干渉光の強度を検出する干渉光検出部と、
e) 前記干渉光検出部で検出された前記干渉光の光強度に基づき、前記被測定物に含まれる成分のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部と、
f) 前記被測定物と前記分割光学系の間に配置された、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系と、
g) 前記共役面に配置された、前記第1軸方向に周期的に並ぶ複数の透光部と複数の遮光部とを有する振幅型回折格子と、
を備え、
前記複数の透光部が、透過軸の方向が前記第1軸方向となるように配置された第1直線偏光板と、透過軸の方向が前記第2軸方向となるように配置された第2直線偏光板とから構成されており、
前記第1直線偏光板及び前記第2直線偏光板のいずれか一方が、前記被測定物の表面で反射された表面反射光に由来する偏光を減衰させつつ、前記被測定物の内部から放出された光を通過させることを特徴とする分光測定装置。
【請求項2】
a) 被測定物からの光を所定の第1軸方向に2つに分割して第1測定光及び第2測定光を形成する分割光学系と、
b) 前記第1測定光及び前記第2測定光の間に、前記第1軸方向と直交する方向である第2軸方向に沿って連続的に変化する光路長差を付与する光路長差付与手段と、
c) 連続的に変化する光路長差が付与された前記第1測定光及び前記第2測定光を前記第1軸方向に集光させて結像面上に直線状の干渉光を形成する結像光学系と、
d) 前記結像面上に前記第2軸方向に所定の周期で配置された複数の画素を有する、前記干渉光の強度を検出する干渉光検出部と、
e) 前記干渉光検出部で検出された前記干渉光の光強度に基づき、前記被測定物に含まれる成分のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部と、
f) 前記被測定物と前記分割光学系の間に配置された、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系と、
g) 前記共役面に配置された、前記第1軸方向に周期的に並ぶ複数の透光部と複数の遮光部とを有する振幅型回折格子と、
を備え、
前記複数の透光部が、透過軸の方向が前記第1軸方向となるように配置された第1直線偏光板及び透過軸の方向が前記第2軸方向となるように配置された第2直線偏光板のいずれかと、透過軸の方向が前記第1軸方向及び第2軸方向のいずれとも異なる方向となるように配置された第3直線偏光板とから構成されており、
前記第1直線偏光板、前記第2直線偏光板、及び前記第3直線偏光板のいずれか一つが、前記被測定物の表面で反射された表面反射光に由来する偏光を減衰させつつ、前記被測定物の内部から放出された光を通過させることを特徴とする分光測定装置。
【請求項3】
a) 被測定物からの光を分割光学系により所定の第1軸方向に2つに分割して第1測定光及び第2測定光を形成し、
b) 前記第1測定光及び前記第2測定光の間に、前記第1軸方向と直交する方向である第2軸方向に沿って連続的に変化する光路長差を付与し、
c) 連続的に変化する光路長差が付与された前記第1測定光及び前記第2測定光を、結像光学系により前記第1軸方向に集光させて結像面上に直線状の干渉光を形成し、
d) 前記結像面上に前記第2軸方向に所定の周期で配置された複数の画素を有する干渉光検出器を用いて前記干渉光の強度を検出し、
e) 前記干渉光検出部で検出された前記干渉光の光強度に基づき、前記被測定物に含まれる成分のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する分光測定方法において、
前記被測定物と前記分割光学系の間に、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系を配置するとともに、前記共役面に、前記第1軸方向に周期的に並ぶ複数の透光部と複数の遮光部とを有する振幅型回折格子を配置し、
複数の透光部のうち一部を前記表面反射光に由来するP偏光成分と前記被測定物の内部から放出された光に由来するP偏光成分が透過する光学素子から構成し、残りの透光部を前記表面反射光に由来するS偏光成分と前記被測定物の内部から放出された光に由来するS偏光成分が透過する光学素子から構成することを特徴とする分光測定方法。
【請求項4】
前記被測定物の表面においてブリュースター角で反射された表面反射光を前記分割光学系に入射させ、
前記干渉光検出器が検出した干渉光のうち前記表面反射光に由来するP偏光成分と前記被測定物の内部から放出された光に由来するP偏光成分が重畳した光による干渉光の強度と、前記表面反射光に由来するS偏光成分と前記被測定物の内部から放出された光に由来するS偏光成分が重畳した光による干渉光の強度から、表面反射光の強度と内部散乱光の強度を算出することを特徴とする請求項に記載の分光測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の分光特性を利用して該測定対象を定性的又は定量的に測定する分光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液中に含まれるグルコース(血糖)やコレステロール等の生体成分を測定する方法の一つに、身体の被検部位に光を照射したときに、該被検部位の内部の生体成分から発せられる光の分光特性から生体成分を定性的、定量的に測定する方法がある(特許文献1)。この方法では、血液を採取する必要がなく、非侵襲的に血液中の生体成分を測定することができる。

【0003】
この方法では、被検部位の皮膚を透過して内部に入り込み、屈折や生体成分での反射を経て、外部に放散された光(内部散乱光)を、対物レンズを介して位相シフタである固定ミラーと可動ミラーに導き、これら2つのミラーでそれぞれ反射される光を結像面において干渉させる。可動ミラーはピエゾ素子などにより移動されるようになっており、該可動ミラーの移動量に応じた位相差が、固定ミラーで反射される光と可動ミラーで反射される光の間に生じる。このため、可動ミラーの移動に伴い、可動ミラーで反射された光と固定ミラーで反射された光の干渉光の強度が変化して、いわゆるインターフェログラムを形成する。このインターフェログラムをフーリエ変換することにより内部散乱光の分光特性(スペクトル)が取得される。
【0004】
上記測定方法では、結像面における干渉光の光量分布が被検部位のテクスチャー(表面状況)による回折角の違い等の影響を受ける。つまり、被検部位の屈折率分布等や光学的なテクスチャーの違いにより結像面における内部散乱光の光量分布が異なるため、このような光量分布が、生体成分の濃度に依存する干渉光の光量分布に重畳してしまい、生体成分の濃度を正確に測定することができない。
【0005】
これに対して、物体面の像を共役結像光学系により一旦、物体面と光学的に共役な像面上に形成し、この共役像面上に設置した振幅型回折格子により物体光束に空間的な周期変化を付与する方法が提案されている(特許文献2、非特許文献1)。この方法によれば、被検部位のテクスチャーの違いが、結像面における内部散乱光の光量分布に及ぼす影響を排除することができる。ここで、振幅型回折格子とは、集光軸方向(結像ライン方向)に透光部と遮光部を交互に配列したもので、透光部の間隔(周期)や透光部の集光軸方向及び干渉軸方向(集光軸方向と直交する方向)の長さ(透光部の縦横の長さ)は数十μm~数百μmと非常に小さく、多重スリットとも呼ばれる。

【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-309707号公報
【特許文献2】国際公開WO2014/054708
【0007】

【非特許文献1】石丸伊知郎「共役面超解像格子によるフーリエ分光断層イメージングの高鮮明度化」、日本光学会年次学術講演会2012(Optics & Photonics Japan 2012)講演要旨集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、ドローンと呼ばれる無人航空機に分光測定装置を搭載し、海中のプランクトンや森林の樹木の葉に含まれる成分等、被測定物の内部に含まれる成分を広域測定する試みが行われている。この場合、海面や樹木の葉に入射した太陽光が海中や葉の内部に進入し、海中のプランクトンや葉の内部の成分によって反射等された後、外部に放出された光(内部散乱光)が分光測定装置で測定される。
【0009】
上述した、血液中のグルコースやコレステロール等の生体成分を測定する場合、皮膚の透過性に優れた近赤外光を被検部位に照射する。このため、照射光の多くを被検部位の内部に入り込ませることができる。これに対して、海面や樹木の葉の表面に入射する太陽光の場合、その多くは海面や葉の表面で反射され、海中や樹木の葉の内部に進入する光の方が少ない。このため、本来、分光測定装置で受光すべき内部散乱光に、海面や葉の表面で反射した、高強度の光(表面反射光)が重畳してしまい、海中のプランクトンや葉の内部成分を正確に分光測定することができない。

【0010】
本発明が解決しようとする課題は、被測定物の表面で反射される光の影響を抑えつつ、被測定物の内部成分の鮮明なインターフェログラムと高精度な分光特性を取得することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分光測定装置は、
a) 被測定物からの光を所定の第1軸方向に2つに分割して第1測定光及び第2測定光を形成する分割光学系と、
b) 前記第1測定光及び前記第2測定光の間に、前記第1軸方向と直交する方向である第2軸方向に沿って連続的に変化する光路長差を付与する光路長差付与手段と、
c) 連続的に変化する光路長差が付与された前記第1測定光及び前記第2測定光を前記第1軸方向に集光させて結像面上に直線状の干渉光を形成する結像光学系と、
d) 前記結像面上に前記第2軸方向に所定の周期で配置された複数の画素を有する、前記干渉光の強度を検出する干渉光検出部と、
e) 前記干渉光検出部で検出された前記干渉光の光強度に基づき、前記被測定物に含まれる成分のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部と、
f) 前記被測定物と前記分割光学系の間に配置された、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系と、
g) 前記共役面に配置された、前記第1軸方向に周期的に並ぶ複数の透光部と複数の遮光部とを有する振幅型回折格子と、
を備え、
前記複数の透光部の少なくとも一部が、前記被測定物の表面で反射された表面反射光に由来する偏光を減衰させつつ、前記被測定物の内部から放出された光を通過させる光学素子から構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記分光測定装置では、被測定物の表面に入射した光が該被測定物の内部に進入することにより該内部に含まれる成分によって反射され、該被測定物の外部に放出された光(内部散乱光)は、振幅型回折格子の透過部を通過することにより空間的な周期変化が付与された後、分割光学系によって第1測定光と第2測定光に分割され、その後、光路長差付与手段によって第1測定光と第2測定光の間に連続的に変化する光路長差が付与される。そして、結像光学系によって結像面上に第1測定光と第2測定光の干渉光が形成され、該結像面上に配置された干渉光検出部によって干渉光の強度が検出され、処理部によってスペクトルが取得される。このとき、該振幅型回折格子の透光部の少なくとも一部を前記被測定物の表面で反射された表面反射光に由来する偏光を減衰させつつ、前記被測定物の内部から放出された内部散乱光を通過させる光学素子から構成したため、分割光学系に向かう光に占める被測定物の表面反射光の割合を小さく抑えることができる。
【0013】
前記光学素子としては、透過軸の方向が前記第1軸方向となるように配置された第1直線偏光板、透過軸の方向が前記第2軸方向となるように配置された第2直線偏光板、及び透過軸の方向が前記第1軸方向及び前記第2軸方向のいずれとも異なる方向となるように配置された第3直線偏光板から選択される1種又は複数種の直線偏光板を用いることができる。
【0014】
被測定物の表面に入射する光が太陽光のような非偏光の光の場合、その入射角(=反射角)が所定の角度範囲にあるとき、表面反射光にはP偏光成分がほとんど含まれず、S偏光成分が支配的になることが知られている。偏光成分とは、電場の振動方向が入射面(入射光線と反射光線を含む面)に垂直な直線偏光成分をいい、偏光成分とは、電場の振動方向が入射面と平行な直線偏光成分をいう。一方、被測定物の内部から放出される内部散乱光は、非偏光の状態がほぼ維持される。従って、被測定物に入射する光が非偏光の光の場合に、直線偏光板の透過軸が入射面と平行になり、且つ、入射角が所定の角度範囲となる表面反射光が入射するような向きに分光測定装置を設置すると、表面反射光に由来する偏光(すなわちS偏光成分)の多くは該直線偏光板から成る透光部を通過することができないため、該表面反射光を減衰することができる。この場合、透光部の全てを透過軸の方向が同じ直線偏光板から構成し、且つ、それら直線偏光板の透過軸が入射面と平行になるような向きに分光測定装置を設置すると、表面反射光に由来する偏光が透光部を通過することを阻止することができる。

【0015】
また、上記分光測定装置においては、前記複数の透光部を、透過軸の方向が前記第1軸方向となるように配置された第1直線偏光板と、透過軸の方向が前記第2軸方向となるように配置された第2直線偏光板とから構成すること、あるいは、前記複数の透光部を、透過軸の方向が前記第1軸方向となるように配置された第1直線偏光板及び透過軸の方向が前記第2軸方向となるように配置された第2直線偏光板のいずれかと、透過軸の方向が前記第1軸方向及び第2軸方向のいずれとも異なる方向となるように配置された第3直線偏光板とから構成することが好ましい。
【0016】
上記構成においては、透光部を構成する直線偏光板の透過軸の方向を適宜の方向に設定することにより、一部の透光部は、表面反射光に由来する偏光及び内部散乱光に由来する偏光の両方を通過させ、残りの透光部は内部散乱光に由来する偏光のみを通過させ、且つ、表面反射光に由来する偏光を通過させないようにすることができる。例えば、透光部を構成する直線偏光板の一部は内部散乱光のP偏光成分が、残りの直線偏光板は表面反射光のS偏光成分及び内部散乱光のS偏光成分が通過するように透過軸の方向を設定した場合、干渉光検出器の一部の画素で検出されるP偏光成分の光強度、残りの画素で検出されるS偏光成分の光強度から表面反射光の強度、内部散乱光の強度を求めることができ、これら表面反射光の波長毎の強度(分光特性)、内部散乱光の波長毎の強度(分光特性)を求めることができる。
【0017】
表面反射光の分光特性は被測定物に入射する光、つまり光源色を反映する。一方、内部散乱光の分光特性は被測定物の内部成分の反射光の分光特性(言い換えると吸収光の分光特性)を反映する。従って、表面反射光の強度を用いて光源色の補正(バックグラウンド補正)を行うことにより、内部成分の高精度な分光特性を求めることができる。
【0018】
また、上記課題を解決するために成された本発明に係る分光測定方法は、
a) 被測定物からの光を分割光学系により所定の第1軸方向に2つに分割して第1測定光及び第2測定光を形成し、
b) 前記第1測定光及び前記第2測定光の間に、前記第1軸方向と直交する方向である第2軸方向に沿って連続的に変化する光路長差を付与し、
c) 連続的に変化する光路長差が付与された前記第1測定光及び前記第2測定光を、結像光学系により前記第1軸方向に集光させて結像面上に直線状の干渉光を形成し、
d) 前記結像面上に前記第2軸方向に所定の周期で配置された複数の画素を有する干渉光検出器を用いて前記干渉光の強度を検出し、
e) 前記干渉光検出部で検出された前記干渉光の光強度に基づき、前記被測定物に含まれる成分のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する分光測定方法において、
前記被測定物と前記分割光学系の間に、該分割光学系と共通の共役面を有する共役面結像光学系を配置するとともに、前記共役面に、前記第1軸方向に周期的に並ぶ複数の透光部と複数の遮光部とを有する振幅型回折格子を配置し、前記透光部の少なくとも一部を、前記被測定物の表面で反射された表面反射光に由来する偏光を減衰させつつ、前記被測定物の内部から放出された光を通過させる光学素子から構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分割光学系と共役面結像光学系の共通の共役面に振幅型回折格子を配置するとともに、該振幅型回折格子の透光部を被測定物の表面で反射された表面反射光に由来する偏光を減衰させつつ、前記被測定物の内部から放出された光を通過させる光学素子から構成したため、被測定物のテクスチャーの違いが結像面における内部散乱光の光量分布に及ぼす影響を抑えつつ、被測定物の内部成分の鮮明なインターフェログラム及び高精度な分光特性を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分光測定装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】分光測定装置の上面図。
【図3】分光測定装置の側面図。
【図4】多重スリットの正面図(a)、側面図(b)。
【図5】散乱表面反射光が分光測定装置に入射する条件で測定するときの測定原理を説明する模式図。
【図6】S偏光及びP偏光の入射角度と反射率との関係を示す図。
【図7】表面反射光と内部散乱光のS偏光成分とP偏光成分の関係を説明するための図。
【図8】本実施形態に係る分光測定装置を用いて測定した結果を示す図。
【図9】直接表面反射光が分光測定装置に入射する条件で測定するときの測定原理を説明する模式図。
【図10】本発明の第実施形態に係る分光測定装置の全体構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る分光測定装置の具体的な実施形態について説明する。

【0022】
[第1実施形態]
<装置構成>
図1~図3に示すように、分光測定装置100は、共役面結像光学系と結像型1次元フーリエ分光光学系により構成されている。共役面結像光学系では、観察条件である視野範囲や倍率に応じて、測定対象(物体面)の像を結像レンズや広角レンズ、顕微対物レンズなどのレンズ11を用いて物体面と光学的に共役な面を形成する。この共役面は結像型1次元フーリエ分光光学系の物体面となり、該共役面に多重スリット13が配置されている。多重スリット13が本発明の振幅型回折格子に相当する。

【0023】
多重スリット13は、図4に示すように、所定方向に周期的に配列された複数の透光部131を有する。透光部131と透光部131の間の部分は遮光部132となる。多重スリット13の透光部131が並ぶ方向が本発明の第1軸方向に相当する。透光部131の幅は、後述する2次元受光アレイデバイス21の第1軸方向の画素ピッチ(画素サイズ)とほぼ同じに設定されている。複数の透光部131には被測定物の表面反射光を減衰させつつ内部散乱光を通過させる光学素子131Aが嵌め込まれている。光学素子131Aとしては、透過軸の方向が第1軸方向と一致する第1直線偏光板、透過軸の方向が第2軸方向と一致する第2直線偏光板、及び透過軸の方向が第1軸及び第2軸とは異なる方向の第3直線偏光板の中から選択される1種又は複数種の直線偏光板が用いられる。いずれの直線偏光板を用いるかは、被測定物に入射する光の種類(偏光光であるか非偏光光であるか)、被測定物の表面に対してどのような角度で分光測定装置100を設置するか、等によって決める。


【0024】
結像型1次元フーリエ分光光学系は、対物レンズ15と結像レンズ17による無限遠補正結像光学系であり、光学的なフーリエ変換面の近傍に位相シフタ19を、結像レンズ17の結像面に2次元受光アレイデバイス21をそれぞれ設置している。結像レンズ17が本発明の結像光学系に相当し、2次元受光アレイデバイス21が本発明の干渉光検出部に相当する。


【0025】
位相シフタ19は、半円状の透過型光学部材である第1透過部191と第2透過部192からなり、全体としてほぼ円板状の構成を有している。第1透過部191及び第2透過部192は、本装置において測定する光の波長帯域を透過可能な光学部材から構成されている。第1透過部191は、入射面及び出射面が平行な厚さ一定の光学部材から成る。一方、第2透過部192は、第1透過部191の入射面に対して傾斜する入射面と、第1透過部191の出射面と同一面上にある出射面を有するくさび形の光学部材から成る。本実施形態では、第2透過部192は、厚さが一方側から他方側(図1では手前側から奥側)に向かって徐々に小さくなっており、これにより入射面が、一方側から他方側に向かって結像レンズ17側に傾斜している。結像レンズ17は平凸面シリンドリカルレンズから成る。結像レンズ17は、位相シフタ19側の面が該位相シフタ19に向かって突出する、第2軸と平行な軸を中心とする円筒状の凸面から成り、2次元受光アレイデバイス21側の面が位相シフタ19の出射面と平行な平面から成る。

【0026】
対物レンズ15と位相シフタ19が本発明の分割光学系を構成し、位相シフタ19が本発明の光路長差付与手段を構成する。第2透過部192の厚さが変化する方向が本発明の第2軸方向に相当し、上述した第1軸方向と直交する。図面では、第1軸を垂直軸、第2軸を水平軸として表しているが、逆でも良く、水平軸や垂直軸以外の軸でも良い。要は、第1軸方向と第2軸方向が直交する関係にあればよい。

【0027】
2次元受光アレイデバイス21は、第1軸方向及び第2軸方向にそれぞれ所定のピッチで配列された複数の画素を有する2次元CCDカメラから構成されている。
なお、第2透過部192の入射面の傾斜角度は、波数分解能により決まる位相シフト量と、2次元受光アレイデバイス21の画素の第2軸方向のサンプリング間隔(第2軸方向に並ぶ画素のピッチ)により決まるが、多少ずれても問題はない。

【0028】
<装置の光学的作用>
次に、上記分光測定装置100の光学的作用について図5を参照しながら説明する。なお、上記分光測定装置100は、被測定物の内部から発せられる光(内部散乱光)の分光特性及び被測定物の表面から発せられる光(表面反射光)の分光特性のいずれも測定することができるが、本発明は、内部散乱光の分光特性を測定して被測定物の内部に含まれる成分を定量、定性分析することを目的とするため、以下の説明では、内部散乱光の分光特性を求める方法について説明する。つまり、本実施形態に係る分光測定装置100の測定対象は、被測定物の内部成分である。以下、海面を広域測定することにより、測定対象である海中のプランクトンの分光特性を測定する場合を例に挙げて説明する。説明の便宜上、海面は水平な平坦面であることとする。

【0029】
<太陽光の散乱光・拡散光の反射光が入射する条件での測定>
反射率は、フレネル反射則で知られているように、界面における屈折率差に基づいて決定される。海中に存在するプランクトンなどの生物系の屈折率は水の屈折率(1.33)より少し大きい程度(例えば、屈折率:1.38)であることが知られている。そのため、海面(大気の屈折率:1.0、水の屈折率:1.33)における屈折率差に比べ、プランクトンと水との屈折率差は極めて小さい。このため、海面での反射率(表面反射率)の方が内部散乱反射率よりも、数百倍程度大きくなる。

【0030】
一方、空気中には様々なガスや塵等が存在するため、太陽光は空気中の塵等によって散乱・拡散される。そのため、海面には、太陽光が直接入射する他、太陽光の散乱光や拡散光が入射する。太陽光が直接海面に入射した場合の反射光(直接表面反射光)の強度は、太陽光の散乱・拡散光が海面に入射した場合の反射光(散乱表面反射光)の強度に比べると非常に大きい。

【0031】
内部散乱光の強度と表面反射光の強度の差が大きいと、内部散乱光の強度と表面反射光の強度の両方を分光測定装置100のダイナミックレンジ内で測定することが難しくなる。そこで、分光測定装置100に対して散乱表面反射光が入射するように該分光測定装置100を配置する。以下の説明では、散乱表面反射光を単に表面反射光と呼ぶ。

【0032】
具体的には、図5に示すように、太陽に背を向けた状態で、且つ、分光測定装置100の受光軸L1(第1軸及び第2軸と直交する方向に延びる軸)と水平面のなす角度(俯角)がθ[deg.]になるように該分光測定装置100を設置する。また、第1軸方向及び第2軸方向のいずれか水平方向となるように分光測定装置100を設置する。これにより、分光測定装置100のレンズ11には、入射面(入射光と反射光を含む面)が海面に垂直で、且つ、反射角がθ1(=90-θ[deg.])の表面反射光が入射する。同時に、分光測定装置100のレンズ11には、前記表面反射光と同じ方向で海中から放出される内部散乱光が入射する。これら表面反射光及び内部散乱光は、レンズ11によって分割光学系と共通の共役面に集光される。


【0033】
共役面には多重スリット13が配置されており、且つ、該多重スリット13の透光部131には直線偏光板が嵌め込まれている。この例では、直線偏光板として、透過軸の方向が第1軸方向となる直線偏光板と、透過軸の方向が第2軸方向となる直線偏光板が用いられ、これら2種類の直線偏光板が交互に透光部131に嵌め込まれていることとすると、表面反射光及び内部散乱光に由来するS偏光はこれら2種類の直線偏光板の一方のみ通過し、他方は通過しない。また、表面反射光及び内部散乱光に由来するP偏光は2種類の直線偏光板の他方のみ通過し、一方は通過しない。

【0034】
太陽光のような非偏光の光は、P偏光成分とS偏光成分に分解することができる。このような非偏光の光が所定の角度で被測定物の表面に入射したときのP偏光成分とS偏光成分の反射率と入射角の関係を図6に示す。図6は水(屈折率1.33)と空気(屈折率1.00)の界面におけるP偏光とS偏光の入射角度ごとの反射率を示すグラフである。各偏光の反射率はフレネル反射則による式から求めた。図6から分かるように、全体に亘ってS偏光成分の反射率の方がP偏光成分の反射率よりも高い。また、入射角が約70[deg.]を下回るとP偏光成分の反射率は非常に低くなり、ブリュースター角では 0%となる。図6に示すように、水と空気の界面におけるブリュースター角は53[deg.]となる。

【0035】
ブリュースター角とは、屈折率が異なる2つの物質の界面に一方の物質(入射側媒質)側から他方の物質(透過側媒質)側に向けて光が入射したとき、電場の振動方向が入射面(入射光線と反射光線を含む面)に平行な直線偏光成分(P偏光)は物質の内部に入射し、電場の振動方向が入射面に垂直な直線偏光成分(S偏光)だけが反射する角度をいう。ブリュースター角をθ、入射側媒質の屈折率をn、透過側媒質の屈折率をnとすると、角度θは次の式で表される。
tan θ = n/n

【0036】
そこで、俯角θが37[deg.](=90-53[deg.])となるように分光測定装置100を設置すると、分光測定装置100のレンズ11に入射する表面反射光はS偏光成分のみとなる。このため、表面反射光(のS偏光成分)は内部散乱光のS偏光成分とともに一方の直線偏光板を通過するが、他方の直線偏光板を通過する光は内部散乱光のP偏光成分のみとなる。


【0037】
多重スリット13には透光部131と遮光部132が交互に配置されているため、透光部131を通過した光は、空間的な周期性が付与された後、分割光学系、平凸面シリンドリカルレンズ17を経て2次元受光アレイデバイス21に入射する。分割光学系を構成する対物レンズ15に入射した光は、位相シフタ19によって第1軸方向に2つに分割され、第1測定光と第2測定光として出射する。上述したように位相シフタ19を構成する第1透過部191は、入射面及び出射面が平行な厚さ一定の光学部材から成り、第2透過部192は、厚さが一方側から他方側に向かって徐々に小さくなる光学部材から成るため、第1透過部191を通過した第1測定光と第2透過部192を通過した第2測定光の間に連続的な光路長差が付与される。これら第1測定光及び第2測定光は平凸面シリンドリカルレンズ17によってそれぞれ第1軸方向に集光され、結像面において干渉光を形成する。結像面には2次元受光アレイデバイス21を構成する多数の画素が配置されており、これら画素によって干渉光の強度が検出される。

【0038】
2次元受光アレイデバイス21の画素では、それぞれ対応する透光部131を透過した光によって形成された干渉光の強度が検出される。上述したように、複数の透光部131のうち一部は表面反射光のS偏光成分と内部散乱光のS偏光成分が通過し、残りは内部散乱光のP偏光成分のみが通過する。従って、一部の画素では表面反射光のS偏光成分及び内部散乱光のS偏光成分が重畳した光による干渉光の強度が検出され、残りの画素では内部散乱光のP偏光成分の干渉光の強度が検出される。

【0039】
2次元受光アレイデバイス21の検出信号はパーソナルコンピュータ等から成る制御装置25に入力され、所定の演算処理によってプランクトンのインターフェログラムが求められ、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトル(分光特性)が得られる。従って、本実施形態では制御装置25が本発明の処理部に相当する。

【0040】
このとき、制御装置25は、表面反射光のS偏光成分と内部散乱光のS偏光成分が重畳した光により形成された干渉光の強度、及び内部散乱光のP偏光成分により形成された干渉光の強度に基づき表面反射光の光量、内部散乱光の光量を求め、これらを用いて、表面反射光、及び内部散乱光のインターフェログラム、スペクトルを得る。例えば図8の(a)は表面反射光のインターフェログラム、スペクトルを、図8(b)は内部散乱光のインターフェログラム、スペクトルの例を示している。そして、表面反射光のスペクトルを用いて、内部散乱光のスペクトルを補正し、内部成分(プランクトン)の分光特性を求める。以下、表面反射光の光量及び内部散乱光の光量を求める方法について図7を参照して説明する。

【0041】
海面に入射する光のうち波長λの光量(分光光量)をI0(λ)、海面に入射した波長λの光の表面反射率(分光反射率)をr1(λ)、海中に進入した波長λの光の内部成分による反射率(分光反射率)をr2(λ)とすると、波長λの表面反射光量I1(λ)、波長λの内部散乱光量I2(λ)は次の式で表される。
波長λの表面反射光量 :I1(λ)=r1(λ)・I0(λ) …(1)
波長λの内部散乱光量 :I2(λ)=r2(λ)・(1-r1(λ))・I0(λ) …(2)

【0042】
また、各反射率r1(λ)、r2(λ)は、次に示すように、それぞれS偏光成分、P偏光成分の反射率の和で表される。
r1(λ)=r1p(λ)+r1s(λ) …(3)
r2(λ)=r2p(λ)+r2s(λ) …(4)
そうすると、2次元受光アレイデバイス21で検出される波長λの光のP偏光成分及びS偏光成分の光量Ip(λ)、Is(λ)は、式(1)~(4)から次の式で表される。
Ip(λ)=r1p(λ)・I0(λ)+r2p(λ)・(1-r1p(λ)-r1s(λ))・I0(λ) …(5)
Is(λ)=r1s(λ)・I0(λ)+r2s(λ)・(1-r1p(λ)-r1s(λ))・I0(λ) …(6)


【0043】
ただし、上述したように、分光測定装置100は俯角θが37[deg.]となるように設置されており、ブリュースター角(53[deg.])付近の角度の表面反射光が分光測定装置100のレンズ11に入射するため、表面反射光にはP偏光成分がほとんど含まれない。一方、内部散乱光は入射光の非偏光状態を維持している。このため、
P偏光成分の反射率:r1p(λ)=0 …(7)
r2p(λ)=r2s(λ)=1/2・r2(λ) …(8)
と仮定することができる。


【0044】
そこで、式(7)、(8)を、式(5)、(6)に代入すると、検出光のP偏光成分及びS偏光成分の光量Ip(λ)、Is(λ)は、次の式で表される。
Ip(λ)=1/2・r2(λ)・(1-r1s(λ))・I0(λ) …(9)
Is(λ)=r1s(λ)・I0(λ)+1/2・r2(λ)・(1-r1s(λ))・I0(λ) …(10)

【0045】
式(9)をr2(λ)について解くと、
r2(λ)=[2/(1-r1s(λ))]・(Ip(λ)/I0(λ)) …(11)
となる。また、式(9)及び式(10)から、
Is(λ)=r1s(λ)・I0(λ)+Ip(λ)
となるため、この式をI0(λ)について解くと、
0(λ)=(Is(λ)-Ip(λ))/r1s(λ) …(12)
となる。

【0046】
式(11)及び式(12)から、内部散乱光の分光反射率r2(λ)は次の式で表される。
r2(λ)=[2r1s(λ)/(1-r1s(λ))]・(Ip(λ)/(Is(λ)-Ip(λ)) …(13)
分光測定装置100に入射する表面反射光の入射角(90-θ[deg.])から、表面散乱光のS偏光成分の反射率r1s(λ)の値を推定することができる(図6参照)。また、Ip(λ)及びIs(λ)の値は2次元受光アレイデバイス21の検出結果から求められる。従って、これらの値を式(13)に代入することにより、内部散乱光の分光反射率r2(λ)を求めることができ、この分光反射率r2(λ)から内部成分の分光吸収率(1-r2(λ))を求めることができる。従って、この内部成分の分光吸収率を用いて内部成分の分光特性を求めることができる。


【0047】
<太陽光の直接表面反射光が入射する条件での測定>
晴天時のように太陽光の強度が大きい場合は、空気中の塵等による太陽光の散乱光・拡散光の強度も大きいが、曇天時は雲に遮られるため太陽光の散乱光・拡散光の強度は非常に小さくなる。従って、このような場合は、図9に示すように、太陽光の直接表面反射光が分光測定装置100に入射する条件で測定しても、ダイナミックレンジ内で表面反射光と内部散乱光を測定することができる。

【0048】
太陽光の直接表面反射光が分光測定装置100に入射する条件で測定する場合も、分光測定装置100は、その受光軸(第1軸及び第2軸と直交する方向に延びる軸)と水平面のなす角度(俯角)がθ[deg.]になるように設置する。第1軸方向及び第2軸方向のいずれか水平方向となるように分光測定装置100を設置する。そして、太陽光の高度φが90-53=37[deg.]となる時間帯に測定を行う。これにより、分光測定装置100のレンズ11には、入射面(入射光と反射光を含む面)が海面に垂直で、且つ、反射角が53[deg.]の直接表面反射光が入射する。同時に、分光測定装置100のレンズ11には、前記表面反射光と同じ方向で海中から放出される内部散乱光が入射する。これら直接表面反射光及び内部散乱光は、レンズ11によって分割光学系と共通の共役面に集光され、多重スリット13、対物レンズ15、位相シフタ19、平凸面シリンドリカルレンズ17を経て2次元受光アレイデバイス21で干渉光の強度が検出された後、制御装置25における所定の演算処理によってスペクトルが得られる。


【0049】
なお、以上の説明では海面が水平な平坦面であることとしたが、実際は、波によって海面は様々な方向の傾斜面から構成される。そのため、太陽光の高度φが37[deg.]となる時間帯であっても、海面で反射される表面反射光の入射角(反射角)は様々である。従って、分光測定装置100を上述した角度θ(37[deg.])以外の俯角で設置した場合でも表面反射光と内部散乱光を分光測定装置100に取り込むことができる。また、太陽光の高度φが37[deg.]以外の場合であっても、分光測定装置100の俯角を適宜の値に設定することにより、表面反射光と内部散乱光を分光測定装置100に取り込むことができる。このような場合、表面反射光はP偏光とS偏光を含むランダム偏光となるが、上述した計算式を用いることにより、内部成分の分光特性を求めることができる。


【0050】
図10に示すように、第2実施形態に係る分光測定装置200は、分光光学系を結像型2次元フーリエ分光光学系から構成した点が第1実施形態と異なる。即ち、この分光測定装置200は、共役面結像光学系と、多重スリット113と、結像型2次元フーリエ分光光学系から構成されている。結像型2次元フーリエ分光光学系は、対物レンズ115、反射型位相シフタ30、結像レンズ117、検出部121、制御装置125から構成されている。検出部121は例えばCCDカメラから構成されている。


【0051】
反射型位相シフタ30は、可動ミラー部301と、固定ミラー部302と、可動ミラー部301を移動させる駆動機構303とを備えて構成されている。可動ミラー部301及び固定ミラー部302の表面(反射面)は光学的に平坦で且つ本装置が測定対象とする光の波長帯域を反射可能な光学鏡面となっている。本実施形態では、反射型位相シフタ30が光路長差付与手段に相当する。

【0052】
共役面結像光学系は、多重スリット113と被測定物Sの間に配置されたレンズ111から構成されている。共役面結像光学系と前記対物レンズ115は共通の共役面を有しており、この共通の共役面に多重スリット113が配置されている。
上記構成においては、多重スリット113、対物レンズ115を経て位相シフタ30の可動ミラー部301と固定ミラー部302に入射した光は、これら2つのミラー部の反射面で反射された後、結像レンズ117を通って検出部121の受光面で集光して干渉する。検出部121が受光した干渉光強度は、制御装置125に入力され、フーリエ変換された後、分光特性が取得される。
このような構成においても、上述した第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。

【0053】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されない。
多重スリット13の全ての透光部13を、被測定物の表面反射光に由来する偏光成分の通過を阻止し、内部散乱光に由来する偏光成分を透過させる光学素子から構成しても良い。例えば、ブリュースター角で表面反射光が分光測定装置に入射する条件で測定する場合は、全ての透光部を、P偏光成分を透過させ、S偏光成分を透過させない直線偏光板から構成する。この構成によれば、干渉光検出器が検出する干渉光から表面反射光を除くことができる。また、この構成においては、表面反射光の強度や分光特性に関する情報を分光光度計等を用いて予め取得しておくことにより、この情報を用いて内部散乱光のバックグラウンド補正を行うことができる。

【符号の説明】
【0054】
100、200…分光測定装置
11、111…レンズ
13、113…多重スリット
131…透光部
132…遮光部
131A…光学素子
15、115…対物レンズ
17…結像レンズ(平凸面シリンドリカルレンズ)
117…結像レンズ
19…位相シフタ
191…第1透過部
192…第2透過部
21…2次元受光アレイデバイス
211…画素
25、125…制御装置
30…位相シフタ
301…可動ミラー部
302…固定ミラー部
303…駆動機構
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9