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明細書 :フルオレン化合物、フルオレン化合物の製造方法及び有機発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6682115号 (P6682115)
公開番号 特開2017-160146 (P2017-160146A)
登録日 令和2年3月27日(2020.3.27)
発行日 令和2年4月15日(2020.4.15)
公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
発明の名称または考案の名称 フルオレン化合物、フルオレン化合物の製造方法及び有機発光素子
国際特許分類 C07C  49/92        (2006.01)
C07C  45/77        (2006.01)
C07F   5/04        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C07C 49/92 CSP
C07C 45/77
C07F 5/04 C
C09K 11/06 660
H05B 33/14 B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 27
出願番号 特願2016-044688 (P2016-044688)
出願日 平成28年3月8日(2016.3.8)
審査請求日 平成31年2月22日(2019.2.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】山路 稔
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】神谷 昌克
参考文献・文献 特開2015-115449(JP,A)
特開2000-159777(JP,A)
国際公開第2011/068537(WO,A1)
特開2012-197259(JP,A)
特開平11-255700(JP,A)
Tetrahedron Letters,2016年 3月 9日,Vol.57,pp.1695-1698
Tetrahedron Letters,2012年,Vol.53,pp.4138-4141
Inorganic Chemistry,2013年,Vol.52,pp.3597-3610
調査した分野 C07C
C07F
C09K
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフルオレン化合物。
【化1】
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(一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRのうち1つは下記一般式(2)で表される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R及びR10、水素原子を表す。)
【化2】
JP0006682115B2_000027t.gif


(一般式(2)中、*は前記一般式(1)で表される化合物との結合位置を示す。Xはハロゲン原子を示し、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるフルオレン化合物は、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1に記載のフルオレン化合物。
【化3】
JP0006682115B2_000028t.gif


(一般式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びYは、前記一般式(1)におけるのと同義である。)
【請求項3】
前記一般式(2)及び一般式(3)中、Yは、フェニル基、フラニル基、チオフェン基及びピリジル基からなる群より選ばれる請求項1又は請求項2に記載のフルオレン化合物。
【請求項4】
前記一般式(2)及び一般式(3)中、Yはフェニル基である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のフルオレン化合物。
【請求項5】
下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表されるカルボニル基含有化合物と、を、塩基の存在下、-10℃~10℃の温度で反応させることにより下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体を合成するβ-ジケトン誘導体合成工程と、
前記β-ジケトン誘導体合成工程によって得られた下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体と、ハロゲン化ほう素と、を反応させることにより、下記一般式(1)で表される錯体を形成する錯体形成工程と、
を含む下記一般式(1)で表されるフルオレン化合物の製造方法。
【化4】
JP0006682115B2_000029t.gif


(一般式(4)中、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~12のアシル基を表し、R11、R12、R13及びR14から選ばれる1つは炭素数1~12のアシル基である。R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R19及びR20、水素原子を表す。)
【化5】
JP0006682115B2_000030t.gif


(一般式(5)中、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
【化6】
JP0006682115B2_000031t.gif


(一般式(6)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(7)で表される基を表し、R21、R22、R23及びR24から選ばれる1つは下記一般式(7)で表される基である。R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R29及びR30、水素原子を表す。)
【化7】
JP0006682115B2_000032t.gif


(一般式(7)中、*は前記一般式(6)で表される化合物との結合位置を示す。Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【化8】
JP0006682115B2_000033t.gif


(一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる1つは下記一般式(2)で表される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R及びR10、水素原子を表す。)
【化9】
JP0006682115B2_000034t.gif


(一般式(2)中、*は前記一般式(1)で表される化合物との結合位置を示す。Xはハロゲン原子を示し、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のフルオレン化合物を含む有機発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン化合物、フルオレン化合物の製造方法及び有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子発光デバイスの発光層等に用いる蛍光発光が可能な有機芳香族化合物(以下、蛍光発光性有機芳香族化合物と称する)は、高効率に蛍光発光することが求められる。なかでも、青色蛍光発光する化合物は限定されており、検討が進められている。
【0003】
蛍光発光性有機芳香族化合物としては、2つの芳香環を有する1,3-ジケトンを配位子の基本骨格として有するボロン-ジケトン-ジアリール錯体(以下、BFDKと称することがある)が知られており、BFDKは、有機溶媒中でも固体状態でも蛍光を発するというユニークな性質を有する。
BFDKについては、BFDKに含まれる芳香環のπ電子数を変化させて、蛍光収率を向上させ得ることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
また、有機電子発光(以下、ELという)素子に用いられる別の化合物として、蛍光発光基を有するフェナントレン誘導体が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、蛍光発光性有機芳香族化合物として、フルオレン骨格をアリール基の一つとして有するボロン-ジケトン-ジアリール錯体が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-308467号公報
【特許文献2】特開2012-197259号公報
【0005】

【非特許文献1】Inorg.Chem.2013,52,3597-3610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機発光デバイス等に用いる蛍光発光性有機芳香族化合物には、400nm~500nmの青色波長領域に発光を示すことに加えて、高い蛍光収率を有することが求められる。
しかし、例えば、特許文献1に記載の蛍光発光性有機芳香族化合物は、蛍光収率については具体的に何ら記載されていない。
また、非特許文献1の、ジベンゾイルメタン、ナフチル基又はアントリル基を有するボロン-ジケトン-ジアリール錯体のほとんどは、蛍光収率が0.5以下であり、有機発光素子等として有用なレベルの蛍光収率を有する蛍光発光性有機芳香族化合物とは言い難い。一方、非特許文献1中に記載された、2つのアントリル基を有するボロン-ジケトン-ジアリール錯体は、非常に高い蛍光収率を示すと記載されているが、非特許文献1に記載の蛍光発光性有機芳香族化合物の蛍光収率は相対的な方法によって測定されたものであるため、実用上有用な値の蛍光収率が得られることが裏付けられたわけではない。
【0007】
また、特許文献2に記載のボロン-ジケトン-ジアリール錯体も、蛍光収率の点で改良の余地がある。
このように、実用上容認できる発光効率で、青色発光を示すものは限定されており、青色発光を有し、かつ蛍光収率が上記デバイス等に有用な高いレベルであると認められる蛍光発光性有機芳香族化合物が望まれていた。
【0008】
本発明は、青色の蛍光発光性を有し、かつ高い蛍光収率を有するフルオレン化合物及び該フルオレン化合物の製造方法並びに有機発光素子の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための具体的手段には、以下の形態が含まれる。
<1>下記一般式(1)で表されるフルオレン化合物である。
【0010】
【化1】
JP0006682115B2_000002t.gif

【0011】
(一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる1つは下記一般式(2)で表される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R及びR10は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0012】
【化2】
JP0006682115B2_000003t.gif

【0013】
(一般式(2)中、*は前記一般式(1)で表される化合物との結合位置を示す。Xはハロゲン原子を示し、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【0014】
<2>前記一般式(1)で表されるフルオレン化合物は、下記一般式(3)で表される化合物である<1>に記載のフルオレン化合物である。
【化3】
JP0006682115B2_000004t.gif

【0015】
(一般式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びYは、前記一般式(1)におけるのと同義である。)
【0016】
<3>前記一般式(2)及び一般式(3)中、Yは、フェニル基、フラニル基、チオフェン基及びピリジル基からなる群より選ばれる<1>又は<2>に記載のフルオレン化合物である。
【0017】
<4>前記一般式(2)及び一般式(3)中、Yはフェニル基である<1>~<3>のいずれか1つに記載のフルオレン化合物である。
【0018】
<5>下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表されるカルボニル基含有化合物と、を、塩基の存在下、-10℃~10℃の温度で反応させることにより下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体を合成するβ-ジケトン誘導体合成工程と、前記β-ジケトン誘導体合成工程によって得られた下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体と、ハロゲン化ほう素と、を反応させることにより、下記一般式(1)で表される錯体を形成する錯体形成工程と、を含む下記一般式(1)で表されるフルオレン化合物の製造方法である。
【0019】
【化4】
JP0006682115B2_000005t.gif

【0020】
(一般式(4)中、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~12のアシル基を表し、R11、R12、R13及びR14から選ばれる1つは炭素数1~12のアシル基である。R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R19及びR20は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0021】
【化5】
JP0006682115B2_000006t.gif

【0022】
(一般式(5)中、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、炭素数1~10のアルコキシ基を表す。)
【0023】
【化6】
JP0006682115B2_000007t.gif

【0024】
(一般式(6)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(7)で表される基を表し、R21、R22、R23及びR24から選ばれる1つは下記一般式(7)で表される基である。R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R29及びR30は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0025】
【化7】
JP0006682115B2_000008t.gif

【0026】
(一般式(7)中、*は前記一般式(6)で表される化合物との結合位置を示す。Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【0027】
【化8】
JP0006682115B2_000009t.gif

【0028】
(一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる1つは下記一般式(2)で表される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R及びR10は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0029】
【化9】
JP0006682115B2_000010t.gif

【0030】
(一般式(2)中、*は前記一般式(1)で表される化合物との結合位置を示す。Xはハロゲン原子を示し、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【0031】
<6><1>~<4>のいずれか1つに記載のフルオレン化合物を含む有機発光素子である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、青色の蛍光発光性を有し、かつ高い蛍光収率を有するフルオレン化合物及び該フルオレン化合物の製造方法並びに有機発光素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1に用いたフルオレン化合物(A-1)及び実施例2に用いたフルオレン化合物(A-2)の、アセトニトリル中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて示された用語について説明する。
数値範囲を表す「~」はその上限及び下限の数値を含む範囲を表す。

【0035】
「ハロゲン化ボロン-アリール-ジケトン基」とは、前記一般式(2)で表される基を指し、前記一般式(7)で表される基をアリール-ジケトン基と称することがある。さらに、ハロゲン化ボロン-アリール-ジケトン基を有するフルオレン化合物等をボロン-ジアリール-ジケトン錯体と称することもある。
また、本明細書中、ハロゲン化ボロン-アリール-ジケトン基を有するフルオレン化合物を製造するために用いられる化合物、例えば、アリール-ジケトン基を有するフルオレン化合物(β-ジケトン誘導体とも称する)やアシル基を有するフルオレン化合物を、総称してフルオレン前駆体化合物と称することもある。また、本明細書中において、「ボロン-アリール-ジケトン錯体」、「ハロゲン化ボロン-アリール-ジケトン基」及び「アリール-ジケトン基」のアリールには、アリール基だけでなくヘテロアリール基を含むものとする。
また、本明細書中、「蛍光収率」は、蛍光量子収率と同じ意味である。

【0036】
≪フルオレン化合物≫
本発明のフルオレン化合物は、下記一般式(1)で表される。

【0037】
【化10】
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【0038】
一般式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R~Rから選ばれる1つは下記一般式(2)で表される基である。R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R及びR10は互いに結合して環を形成してもよい。

【0039】
【化11】
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【0040】
一般式(2)中、*は前記一般式(1)で表される化合物との結合位置を示す。Xはハロゲン原子を示し、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。

【0041】
本発明のフルオレン化合物は、1つのハロゲン化ボロン-アリール-ジケトン基を有し、かつ2つのアリール(ジアリール)のうちの少なくとも一つがフルオレン基を有する錯体である。この構造であることで、蛍光における優れた光物理特性(蛍光収率、蛍光寿命及び速度定数)を有し、中でも、発光素子や電子材料等の使用時に重要な物性である蛍光収率が極めて高いという特性を有しうる。すなわち、上記の構造とすることで、従来まで、フルオレン化合物の高められなかった蛍光収率を、有機EL等のデバイスにとって有用であるレベルにまで飛躍的に高めることが可能である。
また、本発明のフルオレン化合物は、固体状態でも高い蛍光収率を有する。このため、本発明のフルオレン化合物を、固体状態で薄膜化し電極を製造(デバイス化)しても、光子を効率よく波長変換して蛍光発光させることが可能である。

【0042】
一般式(1)で表される化合物中、前記一般式(2)で表される基(ハロゲン化ボロン-アリール-ジケトン基)は1つのみ有する。また、一般式(1)中、R~Rのいずれか1つが前記一般式(2)で表される基であり、その他は水素原子であっても炭素数1~10のアルキル基であってもよい。R~Rのうち、いずれが前記一般式(2)で表される基であってもよいが、フルオレン化合物の製造のし易さからは、R又はRが前記一般式(2)で表される基であることが好ましい。R~Rのうち、前記一般式(2)で表される基以外は、蛍光収率の観点からは、R~R中、0個~2個が炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、R~Rのすべてが水素原子であることがより好ましい。また、アルキル基としては、炭素数は1~10がより好ましく、1~8がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。

【0043】
~Rは、水素原子であっても炭素数1~10のアルキル基であってもよい。蛍光収率の観点からは、R~R中、0個~2個が炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、R~Rのすべてが水素原子であることがより好ましい。また、アルキル基としては、炭素数は1~10がより好ましく、1~8が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。

【0044】
及びR10において、炭化水素基は、例えば、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基などが挙げられる。
飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基などの炭素数1~20のアルキル基、及び、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数5~20のシクロアルキル基が挙げられる。
不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、アリル基などの炭素数2~20のアルケニル基及び炭素数2~20のシクロアルケニル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6~10のアリール基が挙げられる。
芳香脂肪族炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などの炭素数6~10のアラルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1~10のアルコキシ基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基などの炭素数1~10のアシル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニルなどの炭素数1~5のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
また、複素環基は、例えば、ピペリジン基、ピリジン基、ピロール基、イミダゾリル基
チオフェン基などが挙げられる。
及びR10は、互いに環を形成してもよく、環としては、例えば、炭素数5~10のシクロアルカン環、フルオレニル基やジベンゾフラニル基などの縮合多環式アレーン環及びインドリル基やピペリジル基などの複素環が挙げられる。

【0045】
上記の中でも、R及びR10としては、製造のし易さ及び蛍光収率の観点から、R及びR10の少なくとも一方が水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基から選ばれる一つであることが好ましく、R及びR10の少なくとも一方が水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることがより好ましく、R及びR10が水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることが特に好ましい。

【0046】
一般式(2)中、Xはハロゲン原子であれば特に限定されないが、高い蛍光収率を有するという点から、フッ素基であることが好ましい。

【0047】
また、本実施形態のフルオレン化合物において、より高い蛍光収率を有する観点からは、一般式(1)で表されるフルオレン化合物は、以下の一般式(3)で表されるフルオレン化合物であることが好ましい。

【0048】
【化12】
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【0049】
一般式(3)中、R、R~R10及びYは、前記一般式(1)におけるのと同義である。
一般式(3)で表されるフルオレン化合物、すなわち一般式(1)中のRの位置に、1つのフッ化ボロン-アリール-ジケトン基が結合することで、フルオレン化合物により高い蛍光収率をもたらす。

【0050】
一般式(2)及び(3)中、Yは、アリール基又はヘテロアリール基であれば特に限定されない。アリール基及びヘテロアリール基は、無置換であっても、置換基を有していてもよい。又、単環構造(単環式)であっても、縮合環の如き多環構造(多環式)であってもよい。

【0051】
単環式のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基及びキシリル基などが挙げられる。また、多環式のアリール基としては、例えば、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナントレン基及びピセン基などが挙げられる。

【0052】
また、ヘテロアリール基としては、例えば、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香環基が挙げられる。酸素原子を含有する単環式のアリール基としては、例えば、フラニル基などが挙げられ、多環式のアリール基としては、例えば、ベンゾフラニル基及びジベンゾフラニル基などが挙げられる。また、窒素原子を含有する単環式のアリール基としては、例えば、ピリジル基、ピロール基、ピラジニル基、ピリミジル基及びトリアジル基などが挙げられ、窒素原子を含有する多環式のアリール基としては、例えば、キノリル基、カルバゾリル基、アクリジル基、インドリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基などが挙げられる。硫黄原子を含有する単環式のアリール基としては、例えば、チオフェン(チエニル)基などが挙げられ、硫黄原子を含有する多環式のアリール基としては、例えば、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基などが挙げられる。
上記の中でも、蛍光収率の点からは、単環式のアリール基及び単環式のヘテロアリール基が好ましい。

【0053】
アリール基及びヘテロアリール基において、有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、炭素数1~6のアミノアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアシル基、炭素数1~5のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
上記の置換基の種類は特に限定されないが、蛍光収率の観点からは、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~6のアシル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基がより好ましい。
また、これらの置換基は、アリール基又はヘテロアリール基のどの位置に導入されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基の種類、及び置換基の種類を考慮し適宜選択される。例えば、Yがフェニル基である場合には、蛍光収率の観点から、置換基は、フェニル基を構成する炭素原子のうちの、βジケトンに連結する炭素原子に対してパラ位に導入されていることが好ましい。

【0054】
また、Yとしては、蛍光収率の点からは、無置換のアリール基又はヘテロアリール基が好ましい。より具体的には、Yは、フェニル基、フラニル基、チオフェン基及びピリジル基からなる群より選ばれる基が好ましく、フェニル基がより好ましい。

【0055】
は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であれば特に限定されない。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。Zとしては、フルオレン化合物の製造し易さから、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。

【0056】
前記フルオレン化合物の蛍光の光物理特性、すなわち蛍光収率(Φ)、蛍光寿命(τ)及び速度定数は、公知の測定方法によって測定することができる。例えば、蛍光収率は、絶対PL光量子収率測定装置(C9920-02、浜松フォトニクス(株)製)を用い、前記フルオレン化合物をアセトニトリル及びクロロホルム等の有機溶剤に溶解させた試料として測定することができる。前記絶対PL光量子収率測定装置を用いることで、従来の相対的な計測方法に比べて、信頼性の高い蛍光収率の値を得ることができる。
蛍光寿命及び速度定数は、小型蛍光寿命測定装置(C11367-01、浜松フォトニクス(株)製)を用いて、各有機溶媒中における上記化合物の蛍光寿命(τ)を測定し、上記で得られた蛍光量子収率(Φ)と蛍光寿命(τ)との関係から、速度定数(k)を算出することができる。

【0057】
本発明のフルオレン化合物における溶媒中での最大励起波長は、特に限定されないが、有機EL等としての使用性の観点から、280nm~600nmであることが好ましい。また、溶媒中での最大蛍光波長も適宜設定されることが好ましいが、有機EL等での使用性の観点から、400nm~550nmであることが好ましい。

【0058】
また、固体の最大蛍光波長や蛍光収率は、固体を粉末状にしたものを、そのまま上記の測定装置を用いて測定することができる。

【0059】
また、一般式(1)の具体例として、下記に列挙される化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0060】
【化13】
JP0006682115B2_000014t.gif

【0061】
≪フルオレン化合物の製造方法≫
本発明のフルオレン化合物の製造方法は、下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表されるカルボニル基含有化合物と、を、塩基の存在下、-10℃~10℃の温度で反応させることにより下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体を合成するβ-ジケトン誘導体合成工程と、前記β-ジケトン誘導体合成工程によって得られた下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体と、ハロゲン化ほう素と、を反応させることにより、下記一般式(1)で表される錯体を形成する錯体形成工程と、を含む。

【0062】
また、上記の製造方法は、上記の工程以外にも、β-ジケトン誘導体合成工程によって得られたβ-ジケトン誘導体を精製する工程(β-ジケトン誘導体精製工程)を、β-ジケトン誘導体合成工程後、錯体形成工程の前に含んでもよいし、錯体形成工程によって得られた下記一般式(1)で表される錯体を精製する工程(錯体精製工程)を、錯体形成工程後に含んでもよい。
以下、それぞれの工程について説明する。

【0063】
(β-ジケトン誘導体合成工程)
本発明のβ-ジケトン誘導体合成工程は、下記一般式(4)で表される化合物と、下記一般式(5)で表されるカルボニル基含有化合物と、を、塩基の存在下に、-10℃~10℃の温度条件で反応させることで、下記一般式(6)で表されるβ-ジケトン誘導体を得ることができる。すなわち、前記反応においては、温度条件を-10℃~10℃とすることで、縮合反応をすみやかに進行させつつ副生成物を抑制することができるので、十分な収量のβ-ジケトン誘導体を得ることができる。

【0064】
【化14】
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【0065】
一般式(4)中、R11~R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~12のアシル基を表し、R11~R14から選ばれる1つは炭素数1~12のアシル基である。R15~R18は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R19及びR20は互いに結合して環を形成してもよい。

【0066】
【化15】
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【0067】
一般式(5)中、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、炭素数1~10のアルコキシ基を表す。

【0068】
【化16】
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【0069】
一般式(6)中、R21~びR24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(7)で表される基を表し、R21~R24から選ばれる1つは下記一般式(7)で表される基である。R25~R28は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基又は複素環基を表し、R29及びR30は互いに結合して環を形成してもよい。

【0070】
【化17】
JP0006682115B2_000018t.gif

【0071】
一般式(7)中、*は前記一般式(6)で表される化合物との結合位置を示す。Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。

【0072】
一般式(4)で表される化合物は、炭素数1~12のアシル基を1つのみ有する。一般式(4)中、R11~R14のいずれか1つが炭素数1~12のアシル基であり、その他は水素原子であっても炭素数1~10のアルキル基であってもよい。
11~R14のうち、いずれが炭素数1~12のアシル基であってもよいが、フルオレン化合物の製造のし易さからは、R12又はR13が炭素数1~12のアシル基であることが好ましい。R11~R14のうち、前記一般式(2)で表される基以外は、蛍光収率の観点からは、R11~R14中、0個~2個が炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、すべてのR11~R14が水素原子であることがより好ましい。また、アルキル基としては、炭素数は1~10がより好ましく、1~8が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。

【0073】
15~R18は、水素原子であっても炭素数1~10のアルキル基であってもよいが、蛍光収率の観点からは、R15~R18中、0個~2個が炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、さらに、すべてのR15~R18が水素原子であることがより好ましい。また、アルキル基としては、炭素数は1~10がより好ましく、1~8が特に好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。

【0074】
炭素数1~12のアシル基としては、該アシル基が-C(=O)-R60で表される場合に、置換基であるR60は特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基であってよい。また、これらの置換基の水素原子がハロゲン原子及びニトロ基で置換されていてもよい。
炭素数1~12のアシル基としての好ましい炭素数及び種類は、合成操作の容易さから、炭素数は1~6が好ましく、炭素数は1~2がより好ましい。

【0075】
上記のアシル基中のカルボニル基以外の部分である-C(=O)-R60で示される置換基R60としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル、ベンジル基、フェネチル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基、o-ニトロフェニル基、p-ニトロフェニル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。

【0076】
19及びR20は、一般式(1)のR及びR10と同義であり、好ましい置換基の種類も同じである。

【0077】
一般式(4)で表される化合物は、フルオレン化合物から公知の方法によって、アシル化したものを用いてもよいし、市販品(例えば、A19203-5G、Aldrich社製)を用いてもよい。また、一般式(5)で表される化合物は、合成したものを用いても市販品でもよい。

【0078】
一般式(5)中、Yは、一般式(2)のYと同義であり、好ましい置換基の種類も同じである。Zは、炭素数1~10のアルコキシ基であればよい。また、アルコキシ基の炭素数は、合成操作の容易さから、炭素数1~8が好ましく、さらに炭素数1~5がより好ましい。炭素数1~10のアルコキシ基としては、該アルコキシ基が-O-R70で表される場合に、置換基であるR70としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基であってよい。また、これらの置換基の水素原子がハロゲン原子及びニトロ基で置換されていてもよい。
上記のR70としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル、ベンジル基、フェネチル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基、o-ニトロフェニル基、p-ニトロフェニル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。

【0079】
一般式(6)中のR21~R24は、一般式(1)中のR~Rと同義であり、R25~R28は、一般式(1)中のR~Rと同義であり、一般式(6)中のR29及びR30は、一般式(1)中のR及びR10と同義である。また、一般式(6)中のR21~R24、R25~R28、及びR29及びR30の好ましい置換基の種類は、対応する一般式(1)中のR~R、R~R及びR及びR10とそれぞれ同じである。

【0080】
一般式(7)中、Yは、前記一般式(2)中のYと同義であり、好ましい置換基の種類も同じである。また、Zも、前記一般式(2)中のZと同義であり、好ましい置換基の種類も同じである。

【0081】
本発明のフルオレン化合物の製造方法は、前記β-ジケトン誘導体合成工程により、以下の錯体形成工程に用いるフルオレン化合物前駆体(β-ジケトン誘導体)を効率的に合成することができるので有利である。ここで、-10℃~10℃の温度で反応させる、とは、上記のアシル化したフルオレンと、カルボニル基含有化合物とが、塩基の存在下、-10℃~10℃の温度で互いに接触させることで反応させることをさし、具体的には、例えば、反応が溶媒中で行われる場合であれば、-10℃~10℃の温度の溶媒中で、アシル化したフルオレン、カルボニル基含有化合物及び塩基を溶媒中で混合して反応させることを意味する。前記β-ジケトン誘導体合成工程には、一般式(4)で表される化合物(アシル基を有するフルオレン)と、カルボニル基含有化合物とが、塩基の存在下で-10℃~10℃の温度で一定時間混合する過程が含まれていればよい。なお、前記一定時間を反応時間と称することがある。
従来、アシル基を有するフルオレンのβジケトン化、すなわちカルボニル基含有化合物とアシル基を有するフルオレンとの縮合反応は容易ではなく、室温や高い温度などの通常の方法では該縮合反応が進行せず、結果としてフルオレン前駆体化合物(β-ジケトン誘導体)は全く得られていなかった。しかし、本発明の製造方法においては、該縮合反応を、-10℃~10℃の温度という限定した条件下で行う過程を含むことで、縮合反応後の一定の収率を確保でき、かつ、副生成物の生成を抑えることが可能である。

【0082】
前記β-ジケトン誘導体合成工程においては、一般式(4)で表される化合物(アシル基を有するフルオレン)と、一般式(5)で表されるカルボニル基含有化合物と、塩基とを、どのような順序で混合して反応を開始してもよいが、例えば、反応が溶媒中で行われる場合であれば、一般式(4)で表される化合物を溶解した-10℃~10℃の温度の溶媒に塩基を添加して混合した後、カルボニル基含有化合物を添加して反応を開始してもよいし、一般式(5)で表される化合物及びカルボニル基含有化合物を混合して溶解した-10℃~10℃の温度の溶媒に、塩基を添加して反応を開始してもよい。

【0083】
上記β-ジケトン誘導体を得るための工程(β-ジケトン誘導体合成工程)で用いられる反応は特に限定されないが、合成操作の容易さから、例えば、縮合反応としては、クライゼン縮合反応が挙げられる。クライゼン縮合反応に使用する塩基(塩基触媒)としては、例えば、水素化金属[例えば、水素化アルカリ金属(例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなど)、水素化アルカリ土類金属(例えば、水素化カルシウムなど)、水素化アルミニウム、水素化アルミニウムリチウムなど]、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド)、有機金属化合物(例えば、リチウムジイソプロピルアミドなど)などが挙げられる。中でも、水素化ナトリウム及びナトリウムアミドが好ましい。これらの塩基は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。

【0084】
反応の温度としては、-10℃~10℃であればよく、用いる塩基の種類やカルボニル基含有化合物の物性等を考慮して適宜調整されるが、反応の進行し易さからは、-10℃~10℃であることが好ましく、-5℃~5℃であることがより好ましい。

【0085】
また、上記の温度での反応時間は適宜調整されるが、フルオレン前駆体化合物(β-ジケトン誘導体)の収率の観点から、5分間~12時間であることが好ましい。さらに、5分間~8時間であることがより好ましい。また、上記の温度での反応後に、さらに、一定時間、前記温度を高めてもよい。例えば、反応が溶媒中で行われる場合であれば、上記の温度での反応後に、溶媒の温度を20℃~120℃に高めて1時間~12時間混合させてもよい。さらに、フルオレン前駆体化合物(β-ジケトン誘導体)の収率の観点から、上記の温度での反応後に、40℃~100℃で1時間~5時間混合させることが好ましい。

【0086】
反応において、一般式(4)で表される化合物(K1)と、一般式(5)で表される化合物(K2)との使用割合は、例えば、K1/K2(モル比)=1/1~0.35/1、好ましくは0.98/1~0.5/1、さらに好ましくは0.96/1~0.75/1であってもよい。

【0087】
塩基の使用量は、特に限定されないが、一般式(4)で表される化合物1モルに対して、例えば、2モル~30モルであることが好ましい。2モル以上であることで、よりすみやかに反応を進行させ、30モル以下であることで、反応による副生成物の生成をより抑制できかつより経済的である。さらに、塩基の使用量は、3モル~20モルであることがより好ましく、さらに、5モル~15モルであることがより好ましい。

【0088】
また、反応に用いる溶媒はどのようなものであってもよいが、反応の進行し易さからは、非プロトン性溶媒であることが好ましい。非プロトン性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル及びジフェニルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホンなどの脂肪族スルホン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。中でも、テトラヒドロフラン及びトルエンが好ましい。溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。

【0089】
使用する溶媒の量としては、例えば、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物の総量1質量部に対して、0.1質量部~20質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。

【0090】
反応は、空気中で行ってもよく、不活性ガス(ヘリウム、窒素、アルゴンなど)の雰囲
気下又は流通下で行ってもよい。また、反応は、常圧下、加圧下、又は減圧下で行っても
よい。さらに、反応は、攪拌しながら行ってもよく、還流しながら行ってもよい。

【0091】
(錯体形成工程)
錯体形成工程においては、前記β-ジケトン誘導体合成工程によって得られた一般式(5)で表される化合物とハロゲン化ほう素とを反応させることにより、下記一般式(1)で表される錯体をより効率的に合成することができるので有利である。

【0092】
【化18】
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【0093】
一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は下記一般式(2)で表される基を表し、R、R、R及びRから選ばれる1つは下記一般式(2)で表される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は複素環基を表し、R及びR10は互いに結合して環を形成してもよい。

【0094】
【化19】
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【0095】
一般式(2)中、*は前記一般式(1)で表される化合物との結合位置を示す。Xはハロゲン原子を示し、Yはアリール基又はヘテロアリール基を表す。Zは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。

【0096】
上記の錯体形成工程によって一般式(1)で表されるフルオレン化合物を合成する方法については、前記β-ジケトン誘導体合成工程によって得られた一般式(5)で表される化合物から公知の方法、例えば、Sakaiらの文献[Tetrahedron Letters(2012),53,4138-4141]を参照することができる。

【0097】
本発明のフルオレン化合物の製造方法によって得られたフルオレン化合物は、有機溶媒中及び固体状態において、高い蛍光収率を有し、かつ400nm~500nmの青色波長領域に蛍光発光することから、広い分野への応用が期待できる。具体的には、例えば、光反応試薬、二光子吸収材料、共役ポリマー材料、半導体材料、フォトクロミック材料、近赤外光検出用デバイス、酸素センサー及び有機発光素子等への応用が期待できる。

【0098】
≪有機発光素子≫
本発明の有機発光素子は、上記一般式(1)で表されるフルオレン化合物を含む。
有機発光素子としては、例えば、表示装置、照明装置の構成部材、電子写真方式の画像形成装置の露光光源、液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルターを有する発光装置等に用いることができる。表示装置としては、例えば、有機発光素子を表示部に用い、有機発光素子とトランジスタのドレイン電極又はソース電極と接続させて発光輝度を制御することにより、PC等の画像表示装置として用いることができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、収率の「%」は、原料が理論上、所望の生成物にすべて変換された場合に対する実際に得られた生成物の量の比率(質量基準)である。
【実施例】
【0100】
≪フルオレン化合物の調製≫
(試薬及び化合物の同定方法)
フルオレン化合物の調製に試薬は、すべて市販のものを用いた。また、合成した生成物については、NMR測定によって確認した。NMR測定においてはVarian社製のNMR System 600MHzを用いた。
【実施例】
【0101】
〔実施例1〕
実施例1に用いる化合物A-1は、以下のように合成した。
【実施例】
【0102】
<化合物A-1の合成>
本発明のフッ化ボロン-アリール-ジケトン基を有するフルオレン化合物(化合物A-1)は、市販の2-アセチルフルオレン(Aldrich社製)とメチルベンゾエートとのクライゼン縮合反応(β-ジケトン誘導体合成工程)によってβジケントン体である化合物1aを得た後、錯体形成反応(錯体形成工程)によって合成した。
【実施例】
【0103】
<化合物1aの合成(β-ジケトン誘導体合成工程)>
2-アセチルフルオレン416mg(2mmol)と、安息香酸メチル0.3ml(2.2mmol)を、無水THF20mlに加え、氷浴中(0℃)、10分間撹拌した。その後、不活性ガス雰囲気下、水素化ナトリウム(60%鉱油分散物)800mg(20mmol)を添加し、0℃で30分間撹拌した後、還流条件(66℃)下で3時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、20%塩化アンモニウム水溶液30mlを加え反応後溶液を得た。反応後溶液中の反応後生成物を酢酸エチルで抽出し、抽出された溶液中の反応後生成物は20%塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄して溶媒を留去した。さらに、溶媒の留去後に得られた反応後生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル(15:1、v/v)]で分離後に展開溶媒を除去することで、220mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記結果を得た。
【実施例】
【0104】
【化20】
JP0006682115B2_000021t.gif
【実施例】
【0105】
H-NMR(600MHz,CDCl) δ=17.0(s,1H),8.19(s,1H),8.06-8.01(m,3H),7.89-7.85(2H,twodoublets overlapped),7.60(d,1H,J=7.3Hz),7.60-7.50(m,1H),7.53-7.49(m,2H),7.49(t,1H,J=7.4Hz),7.39(dd,1H,J=7.3,1.2Hz),6.93(s,1H),3.99(s,2H).
13C-NMR(150MHz,CDCl) δ=186.3,185.3,146.2,144.5,143.6,140.8,135.8,134.0,132.5,128.8,128.1,127.3,127.2,126.6,125.4,124.0,120.9,120.0,93.3,37.1.
HRMS(FAB-TOF)m/z calcd.for C2216 312.1150[M],found 312.1168.
以上の測定結果によって、化合物1aが収率35%で得られたことを確認した。
【実施例】
【0106】
(化合物A-1の合成(錯体形成工程))
312mgの化合物1a(0.74mmol)、BF/EtO(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、46%濃度)0.28ml(1mmol)をベンゼン10mlに加え、1時間還流した。反応終了後、析出した固体を吸引ろ過し、ベンゼンで洗浄後乾燥することで、200mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記結果を得た。
【実施例】
【0107】
【化21】
JP0006682115B2_000022t.gif
【実施例】
【0108】
H-NMR(600MHz,CDCl) δ=8.34(bs,1H),8.20(d,1H,J=8.2Hz),8.17-8.14(m,2H),7.90(d,1H,J=8.2Hz),7.89-7.87(m,1H),7.69-7.87(m,1H),7.61(d,1H,J=6.8Hz),7.57-7.53(m,2H),7.46-7.41(m,2H),7.24(s,1H),3.99(s,2H).
13C-NMR(150MHz,CDCl) δ=186.3,185.3,146.2,144.5,143.6,140.8,135.8,134.0,132.5,128.8,128.1,127.3,127.2,126.6,125.4,124.0,120.9,120.0,93.3,37.1.
HRMS(FAB-TOF)m/z calcd. for C2215BF 360.1133[M],found 360.1170.
以上の測定結果によって、化合物A-1が収率50%で得られたことを確認した。
【実施例】
【0109】
〔実施例2〕
実施例2に用いる化合物A-2は、以下のように合成した。
【実施例】
【0110】
<化合物A-2の合成>
化合物A-2も上記の化合物A-1と同様の工程によって合成した。
【実施例】
【0111】
<化合物2bの合成(β-ジケトン誘導体合成工程)>
2-アセチルフルオレン416mg(2mmol)と、p-アニス酸メチル365mg(2.2mmol)を、無水THF20mlに加え、氷浴中(0℃)、10分間撹拌した。その後、不活性ガス雰囲気下、水素化ナトリウム(60%鉱油分散物)800mg(20mmol)を添加し、0℃で30分間撹拌した後、還流条件(66℃)下で3時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、20%塩化アンモニウム水溶液30mlを加え反応後溶液を得た。反応後溶液中の反応後生成物を酢酸エチルで抽出し、抽出された溶液中の反応後生成物は20%塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄して溶媒を留去した。さらに、溶媒の留去後に得られた反応後生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル(5:1、v/v)]で分離後に展開溶媒を除去することで、109mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記結果を得た。
【実施例】
【0112】
【化22】
JP0006682115B2_000023t.gif
【実施例】
【0113】
H-NMR(600MHz,CDCl) δ=17.16(s,1H),8.17(s,1H),8.02-7.98(m,3H),7.87-7.84(2H,two doublets overlapped),7.59(d,1H,J=7.4Hz),7.42(t,1H,J=7.4Hz),7.38(td,J=7.3,1.1Hz),6.99(m,2H),6.86(s,1H),3.98(s,2H),3.89(s, 3H).
13C-NMR(150MHz,CDCl) δ=185.8,184.6,163.3,145.9,144.4,143.6,140.8,134.0,129.4,128.4,128.0,127.2,126.3,125.4,123.8,120.9,120.0,114.1,92.5,55.6,37.1.
HRMS(FAB-TOF)m/z calcd. for C2318 342.1256[M],found 342.1207.
以上の測定結果によって、化合物2bが収率16%で得られたことを確認した。
【実施例】
【0114】
(化合物A-2の合成(錯体形成工程))
100mgの化合物2b(0.3mmol)、BF/EtO(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、46%濃度)0.1ml(0.3mmol)をベンゼン10mlに加え、1時間還流した。反応終了後、析出した固体を吸引ろ過し、ベンゼンで洗浄後乾燥することで、100mgの生成物を得た。生成物について、NMR測定を行い下記結果を得た。
【実施例】
【0115】
【化23】
JP0006682115B2_000024t.gif
【実施例】
【0116】
H-NMR(600MHz,DMSO-d) δ=8.58(s,1H),8.44-8.40(m,3H),8.17(d,2H,J=8.2Hz),8.09(dd,1H,J=6.3,1.6Hz),7.89(s,1H),7.69(dd,1H,J=6.3,1.3Hz),7.47(m,2H),7.21(m,2H),4.10(s,2H),3.94(t,3H).
13C-NMR(150MHz,DMSO-d) δ=180.9,180.6,165.6,148.1,145.0,143.9,139.6,132.1,129.7,128.9,128.6,127.2,125.8,125.5,123.6,121.7,120.7,115.0,93.3,56.0,36.5.
HRMS(FAB-TOF)m/z calcd. for C2317BF 390.1239[M],found 390.1268.
以上の測定結果によって、化合物A-2が収率85%で得られたことを確認した。
【実施例】
【0117】
≪評価≫
上記にて調製したフルオレン化合物(A-1及びA-2)のそれぞれを含む各溶液(クロロホルム及びアセトニトリル)に対する蛍光の光物理特性(蛍光収率、蛍光寿命及び速度定数)を測定した。なお、上記のそれぞれの化合物を含む溶液を、実施例1~2として用いた。
【実施例】
【0118】
<各物性の測定方法>
(蛍光収率等の測定)
絶対PL光量子収率測定装置(C9920-02、浜松フォトニクス(株)製)を用いて、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中における上記化合物の最大吸収波長(λabs/nm)、モル吸光係数、最大蛍光波長及び蛍光収率(Φ)を測定した。前記絶対PL光量子収率測定装置を用いることで、信頼性の高い蛍光収率の値を得ることができる。
また、吸収スペクトルについては、紫外可視分光光度計(Ubest-50、JASCO社製)を用いて測定し、蛍光発光スペクトルについては、蛍光分光光度計(F-4010、日立社製)を用いて測定した。
化合物A-1及び化合物A-2のアセトニトリル中での吸収スペクトル及び蛍光発光スペクトルを図1に示す。図1中、各化合物における励起スペクトルを実線で示し、蛍光スペクトルを破線で示す。
【実施例】
【0119】
(蛍光寿命の測定)
小型蛍光寿命測定装置(C11367-01、浜松フォトニクス(株)製)を用いて、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中における上記化合物の蛍光寿命(τ)を測定し、上記で得られた蛍光収率(Φ)と蛍光寿命(τ)との関係から、速度定数(k)を算出した。蛍光収率、すなわち蛍光量子収率(Φ)とは、物質が吸収した光子のうち、蛍光として放出される光子の割合を表す。このため、蛍光収率が高いほど発光効率が良く、発光強度が強いことを示す。
また、蛍光寿命(τ)の値は分子固有の値を有し、速度定数の値(k)は蛍光収率(Φ)を蛍光寿命(τ)で除した値である。
【実施例】
【0120】
各化合物を溶解した溶液に対する上記の物性の測定結果を表1に示す。
【実施例】
【0121】
(固体の最大蛍光波長及び蛍光収率の測定)
上記で得られた化合物(化合物A-1及び化合物A-2)をそれぞれ固体粉末状の試料とし、該試料を上記の絶対PL光量子収率測定装置付属のガラスシャーレにそれぞれ投入し、該試料を入れたガラスシャーレを上記の絶対PL光量子収率測定装置に設置した後は、上記の各化合物を溶解した溶液に対する最大蛍光波長及び蛍光収率を測定した条件と同じ条件で、最大蛍光波長及び蛍光収率の測定を行った。
【実施例】
【0122】
【表1】
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【実施例】
【0123】
表1の結果から、実施例1のフルオレン化合物(化合物A-1)及び実施例2のフルオレン化合物(化合物A-2)は、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中で、非常に高い蛍光収率を有した。特に、クロロホルム中では、いずれも1.0に近い突出した高い蛍光収率を示した。また、図1からも示されるように、これらの化合物は、クロロホルム及びアセトニトリルの各溶媒中、400nm~500nmという青色波長領域での蛍光発光を示した。
また、化合物A-1及び化合物A-2は、固体粉末としての高い蛍光収率を有した。特に、化合物A-1の固体粉末の蛍光収率の値においては、電機励起による発光のうちの蛍光の限界効率が25%であることを考えると、非常に高レベルな蛍光収率の値であるものと考えられる。
このように、本発明のフルオレン化合物は、有機発光素子等として有用なレベルの蛍光発光効率を有する蛍光発光性有機芳香族化合物であることが示された。
図面
【図1】
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