TOP > 国内特許検索 > 炭化ホウ素セラミックス及びその作製法 > 明細書

明細書 :炭化ホウ素セラミックス及びその作製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6436905号 (P6436905)
登録日 平成30年11月22日(2018.11.22)
発行日 平成30年12月19日(2018.12.19)
発明の名称または考案の名称 炭化ホウ素セラミックス及びその作製法
国際特許分類 C04B  35/563       (2006.01)
FI C04B 35/563
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2015-530876 (P2015-530876)
出願日 平成26年8月4日(2014.8.4)
国際出願番号 PCT/JP2014/070456
国際公開番号 WO2015/019992
国際公開日 平成27年2月12日(2015.2.12)
優先権出願番号 2013162479
優先日 平成25年8月5日(2013.8.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年4月6日(2017.4.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】廣田 健
【氏名】松田 洋幸
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査官 【審査官】小川 武
参考文献・文献 特開昭64-061357(JP,A)
特開平01-111768(JP,A)
特開2004-075467(JP,A)
HIROTA Ken,The Study on Carbon Nanofiber (CNF)-Dispersed B4C Composites,Int. J. Appl. Ceram. Technol.,2009年,Vol.6 No.5,P.607-616
調査した分野 C04B 35/00-35/84
特許請求の範囲 【請求項1】
炭化ホウ素と、当該炭化ホウ素中に分散されたカーボンナノファイバーのみからなる炭化ホウ素セラミックスであって、前記カーボンナノファイバーの添加量が、炭化ホウ素に対して内割りで10~12.5 vol%であり、該炭化ホウ素セラミックスの1500℃における曲げ強度(σb)が750~830 MPaであることを特徴とする炭化ホウ素セラミックス。
【請求項2】
請求項1に記載の炭化ホウ素セラミックスの作製方法であって、
非晶質ホウ素と非晶質炭素をB:C=4:1のモル比となるように秤量し、湿式混合を行ない、非晶質ホウ素と非晶質炭素とから成る出発原料を調製する工程と、
前記出発原料から合成される炭化ホウ素に対して内割りで10~12.5 vol%のカーボンナノファイバーを準備し、当該カーボンナノファイバーを水またはアルコール中にて分散処理した後、得られた分散液を前記出発原料に添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて金型成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、アルミナ焼結助剤不存在下でパルス通電加圧焼結して炭化ホウ素セラミックスを合成同時焼結する工程
を含むことを特徴とする炭化ホウ素セラミックスの作製法
【請求項3】
前記のパルス通電加圧焼結が、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの圧力、1700~1900℃の焼結温度、および5~30分の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とする請求項2に記載の炭化ホウ素セラミックスの作製法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高温構造材料として使用される高強度強靭性の炭化ホウ素セラミックス及びその作製法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ホウ素(B4C)は、軽量(理論密度Dx=2.515 Mg・m-3)、高融点(Tm=2450℃)の物質で、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(c-BN)に次ぐ高硬度(ビッカース硬度Hv:29~33 GPa)や、高い熱伝導性(κ=82.5 W・m-1・K-1 at 425℃)、低電気抵抗率(ρ=3.0~8.0X10-3Ω・m)を示すため、耐摩耗性材料や変形しにくい軽量部材として注目されている。しかし、炭化ホウ素は、非常に脆く、難焼結性であるため、高密度焼結体を作製することが困難であり、焼結性を改善するために、焼結助材としてアルミナ(Al2O3)等が添加される。
又、カーボンナノファイバー(CNF)は、優れた特性から他の素材への強化添加材として期待されるが、高凝集性CNFの分散性の悪さや濡れ性の低さが問題とされている。
【0003】
本願発明者は、下記の特許文献1において、焼結時に、炭化ホウ素粉体を焼結する際に通常添加されている焼結助材のアルミナを2.5 vol%添加し、且つ、高引張り強度(σt~2.20 GPa)・高弾性率(E~100-300 GPa)のCNFを15 vol%添加した炭化ホウ素コンポジットが1600℃で高い曲げ強度(σb~550 MPa)を示すことを報告したが、さらに高温での高強度(550 MPaを越える曲げ強度)が求められている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2009-67642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高密度(相対密度Dobs/Dが略98%以上)で、高温での強度が改善された炭化ホウ素セラミックス、及び、当該炭化ホウ素セラミックスを作製することが可能な方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、アルミナ等の焼結助材を用いずに、非晶質ホウ素と非晶質炭素とから成る出発原料に特定量のカーボンナノファイバー(CNF)を添加分散させて得られた粉末を成形し、この成形体を、特定の条件下でパルス通電加圧焼結(Pulsed Electric-Current Pressure Sintering:PECPS)処理すると、CNF添加によるアンカー効果で高温での強度を改善することができ、相対密度98%以上の高密度炭化ホウ素/カーボンナノファイバー(BC/CNF)コンポジットが作製できることを見出して本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決可能な本発明の炭化ホウ素セラミックスは、炭化ホウ素と、当該炭化ホウ素中に分散されたカーボンナノファイバーのみからなり、前記カーボンナノファイバーの添加量が、炭化ホウ素に対して内割りで10~12.5vol%であり、該炭化ホウ素セラミックスの1500℃における曲げ強度(σ)が750~830MPaであることを特徴とする。
【0009】
又、上記課題を解決可能な本発明の炭化ホウ素セラミックスの作製法は、
非晶質ホウ素と非晶質炭素をB:C=4:1のモル比となるように秤量し、湿式混合を行ない、非晶質ホウ素と非晶質炭素とから成る出発原料を調製する工程と、
前記出発原料から合成される炭化ホウ素に対して内割りで10~12.5vol%のカーボンナノファイバーを準備し、当該カーボンナノファイバーを水またはアルコール中にて分散処理した後、得られた分散液を前記出発原料に添加して、さらに分散処理し、乾燥を行なって混合粉を得る工程と、
前記混合粉を用いて金型成形を行い、所望の形状を有した成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス処理した後、アルミナ焼結助剤不存在下でパルス通電加圧焼結して炭化ホウ素セラミックスを合成同時焼結する工程
を含む。
【0010】
又、本発明は、上記の特徴を有した炭化ホウ素セラミックスの作製法において、前記のパルス通電加圧焼結が、10Pa以下の真空中で、10~100MPaの圧力、1700~1900℃の焼結温度、および5~30分の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の作製法により得られる炭化ホウ素セラミックスは軽量であり、しかも、優れた機械的特性(特に高温での高強度)を有しているので、例えば航空機用エンジン部品等の高温構造材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】炭化ホウ素セラミックスを作製するための本発明の方法における好ましい一例の手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の作製法におけるパルス通電加圧焼結を実施するのに適した装置の内部構造を示す概略図である。
【図3】BC/CNF=100/0vol%セラミックス(CNFの添加なし)の製造における、パルス通電加圧焼結を実施する間の収縮曲線(収縮時の変位)を示す図である。
【図4】BC/CNF=90/10vol%セラミックス(CNFの添加あり)の製造における、パルス通電加圧焼結を実施する間の収縮曲線(収縮時の変位)を示す図である。
【図5】1900℃/10分/30MPaにて焼結されたB4C/CNFコンポジットの室温での破断表面のSEM写真であり、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
【図6】高温での本発明のB4C/CNFコンポジットの曲げ強度σbを示す図である。
【図7】1000℃でのB4C/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真であり、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
【図8】1300℃でのB4C/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真であり、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
【図9】1600℃でのB4C/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真であり、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
【図10】1700℃でのB4C/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真であり、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
【図11】最も高い高温曲げ強度を示したB4C/CNF= 87.5/12.5 vol%コンポジットの、室温、1000℃、1300℃、1500℃、1700℃での強度測定後の試料片の破壊面の微細構造変化を示すSEM写真である。
【図12】B4C/CNF=87.5/12.5 vol%コンポジットの(a)室温、(b)1000℃、(c)1300℃、(d)1500℃及び(e)1700℃での強度測定後の試料片の破壊面の、CNF近傍の高倍率SEM写真である。
【図13】B4C/CNFコンポジットセラミックス内のB4CとCNF界面のTEM写真であり、左から右に向かって順に拡大され、高倍率で撮影されている。
【図14】1100℃及び1300℃におけるB4C/CNFコンポジットセラミックスの荷重‐変位曲線である。
【図15】1500℃及び1700℃におけるB4C/CNFコンポジットセラミックスの荷重‐変位曲線である。
【図16】高温において測定された荷重‐変位曲線によってできた面積を用いて評価されたB4C/CNFコンポジットの弾性歪みエネルギー密度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の炭化ホウ素セラミックスの作製法における各工程について説明する。図1は、本発明の作製法における好ましい一例の手順を示すフローチャートである。
最初の工程では、非晶質ホウ素と非晶質炭素をモル比がB:C=4:1となるように秤量し、湿式混合を行なって、非晶質ホウ素と非晶質炭素とが均質に混合された出発原料を調製するが、この際、非晶質ホウ素及び非晶質炭素としては市販品をそのまま使用することができ、粒子径としては30 nm程度のものを使用することが好ましい。非晶質ホウ素と非晶質炭素との湿式混合においては、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いてアルコール(例えばメタノール)中で一定時間混合を行なうのが好ましいが、これに限定されるものではない。

【0015】
次の工程においては、前記の非晶質ホウ素と非晶質炭素の混合物から合成される炭化ホウ素B4Cに対して内割りで5~15 vol%(より好ましくは7.5~12.5 vol%、特に好ましくは10~12.5 vol%)のカーボンナノファイバーを準備し、このカーボンナノファイバーを水又はアルコール中で、例えば超音波ホモジナイザーを用いて分散処理し、得られた分散液を前記工程で得た出発原料に添加して、さらに分散処理を行い、カーボンナノファイバーを均一に分散させ、その後、乾燥を行って混合粉を得る。
本発明で使用される「カーボンナノファイバー」とは、強化繊維或いは複合材料として利用されているカーボンファイバーの中でも、直径がナノサイズの繊維を指し、特に繊維径150 nmφ前後、繊維長4~5 μm前後、密度2.00 Mg/m3前後、また、機械的特性として引張り強度~2.20 GPa程度、弾性率100~300 GPa程度を示すものが好ましい。

【0016】
最終の工程においては、前記工程で得られた混合粉を用いて成形を行い、所望の形状の成形体を得、得られた成形体を冷間静水圧プレス(CIP)処理した後、アルミナ焼結助剤不存在下でパルス通電加圧焼結により炭化ホウ素セラミックスを合成同時焼結する。
この工程における成形体の形成手段としては一軸金型成形が一般的であるが、これに限定されるものではない。又、本発明では、パルス通電加圧焼結する前の成形体を真空中で加熱して、成形体を構成する微粒子表面の水分や吸着ガスを除去することが好ましい。
本明細書中で「合成同時焼結」とは、出発原料の均質な混合物(ホウ素と炭素の混合物)から緻密な化合物(炭化ホウ素B4C)焼結体を作製することを指し示すものとする。

【0017】
本発明の作製法におけるパルス通電加圧焼結は、図2に示されるような内部構造を有したパルス通電加圧焼結装置を用いて実施される。
パルス通電加圧焼結の場合、一軸加圧下(10~100 MPa)において、低電圧(数V)でパルス状直流大電流(数10~数100 A:この電流値は試料の大きさによって変化する)をカーボンプランジャー・モールドに流し、成形体中に火花放電現象を誘起し、瞬時に粒子間に高エネルギーを発生させて試料を焼結することができ、急激なジュール加熱により溶解と高速拡散、及び自己燃焼合成(SHS: Self-propagating High-temperature Synthesis)が生じる。そして、高圧下、高速昇温(50~100℃/min)、短時間焼結(5~30min)により、粒成長を抑えた緻密な焼結体(高密度、微細結晶粒径)を得ることができる。
本発明では、非晶質のホウ素Bと炭素Cの混合粉体をパルス通電加圧焼結することにより、加熱昇温時に元素混合粉体から自己燃焼合成によりB4Cを生成させることができ、その時の生成熱により外部加熱温度よりも内部温度が高くなることも誘因として緻密な焼結体が得られる。

【0018】
本発明の作製法におけるパルス通電加圧焼結は、10 Pa以下の真空中で、10~100 MPaの圧力、1700~1900℃の焼結温度、および5~30分の保持時間の条件にて行なわれることが好ましく、特に好ましいパルス通電加圧焼結の条件は、10 Pa以下の真空下、焼結温度1700~1900℃、保持時間7~15分、圧力25~35 MPaである。この際、圧力が10 MPa未満では焼結密度が低くなり、逆に100 MPaを超えるとパルス通電加圧焼結に使用する金型の強度に上限があり使用出来なくなる。又、焼結温度が1700℃未満になると、低密度となり、逆に1900℃を超えると粒成長しやすくなるので好ましくない。尚、保持時間については5~30分で充分緻密化する。

【0019】
出発原料として非晶質ホウ素と非晶質炭素を用いて上述の作製法により得られる本発明の炭化ホウ素セラミックスにおいては、カーボンナノファイバーが炭化ホウ素中に均一に分散されており、この炭化ホウ素セラミックスは、1300~1500℃の高温において450~900 MPaという大きな曲げ強度(σb)を有する。この際、カーボンナノファイバーの添加量は、炭化ホウ素に対して内割りで5~15 vol%であることが好ましく、10~12.5 vol%であることが特に好ましい。

【0020】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
[高強度強靭性炭化ホウ素セラミックスの作製例]
市販の非晶質ホウ素(平均粒径:30 nm)と非晶質炭素(平均粒径:30 nm)を、モル比がB:C=4:1となるように秤量し、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いてメタノール中30分間湿式混合を行なった。
一方、市販のカーボンナノファイバー(繊維径150 nm、繊維長4~5 μm)を、前記の非晶質ホウ素と非晶質炭素の混合物から合成される炭化ホウ素B4Cに対して内割りで5~15 vol%となるように秤量し、これをメタノール中で超音波ホモジナイザー(周波数20 kHz、出力300 W)を用いて30分間分散処理した。
そして、上記の非晶質ホウ素/非晶質炭素混合物に、上記のカーボンナノファイバー分散液を加え、上記の超音波ホモジナイザーを用いて30分間分散処理し、乾燥を行うことにより混合粉末を得た。そして、このようにして得られた混合粉末を整粒した後、一軸金型成形し(16.0 mmφ, 98 MPa)、ついで冷間静水圧(245 MPa)プレス処理を行った。その後、得られた成形体を熱処理(950℃/2h/真空)し、さらに、市販のパルス通電加圧焼結装置(SPSシンテックス(株)/SPS-510Aを使用)を用いて、10 Pa以下の真空下、焼結温度1700~1900℃、保持時間10分、圧力30 MPa、昇温速度100℃/分の条件でパルス通電加圧焼結を行い、焼結体(B4C/CNFセラミックス)を得た。
尚、比較品として、カーボンナノファイバーを添加しない以外は、上記と同様の方法を用いて焼結体(B4Cセラミックス)を製造した。
【実施例】
【0022】
図3には、カーボンナノファイバーが添加されていないホウ素と炭素の混合物の成形体をパルス通電加圧焼結する際の収縮曲線が示されており、図4には、カーボンナノファイバーを添加した場合のパルス通電加圧焼結する際の収縮曲線が示されている。
この図3の収縮曲線と図4の収縮曲線の比較から、カーボンナノファイバーを添加した場合(本発明の作製法を用いた場合)には、収縮開始点Tsが1600℃から1630℃へと30℃高くなり、CNF添加により焼結・収縮・粒成長が高温度側にシフトすることがわかる。
【実施例】
【0023】
以下の表1には、種々の温度で焼結されたモノリシックB4Cセラミックスの微細構造特性及び機械的特性が示されている。
又、以下の表2には、真空中で1900℃/10分/30MPaにて焼結された種々のB4C/CNFセラミックス(CNF添加量:0, 5, 7.5, 10, 12.5, 15vol%)のいくつかの特性が示されている。この表1及び表2において、Dobsは嵩密度、Dxは理論密度、Dobs/Dxは相対密度、σbは3点曲げ強度、Hvはビッカース硬度、KICは破壊靭性値である。
そして、以下の表3には、1900℃/10分/30MPaにて焼結されたB4C/CNFセラミックス(CNF添加量:0, 5, 7.5, 10, 12.5, 15vol%)の高温曲げ強度が要約されている。
【実施例】
【0024】
【表1】
JP0006436905B2_000002t.gif
【実施例】
【0025】
【表2】
JP0006436905B2_000003t.gif
【実施例】
【0026】
【表3】
JP0006436905B2_000004t.gif
【実施例】
【0027】
上記表2の結果から、本発明の作製法を用いることにより相対密度(Dobs/Dx)99%以上のB4C/CNFコンポジットを製造することができ、B4C/CNF=90/10 vol%の組成において、室温での曲げ強度が最も大きくなることがわかった。
更に、上記表3の結果は、炭化ホウ素に対して内割りで5~15 vol%のカーボンナノファイバーが添加された本発明の炭化ホウ素セラミックスの高温曲げ強度が、1300~1500℃の温度において450 MPa以上で、450~900 MPa程度であり、特に10~12.5 vol% のカーボンナノファイバーが添加された本発明の炭化ホウ素セラミックスの高温曲げ強度は535~830 MPaであることを示している。
【実施例】
【0028】
図5には、1900℃/10分/30MPaの条件下にて焼結されたB4C/CNFセラミックスの破断表面についてのSEM写真(FE-SEM、日本電子製、JSM 7000にて測定)が示されており、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
【実施例】
【0029】
又、図6には、本発明のB4C/CNFセラミックス(CNFの添加量 5, 7.5, 10, 12.5, 15vol%)の高温曲げ強度が、CNF無添加のB4Cセラミックス(比較品)の高温曲げ強度と共に示されており、本発明では、一定量のCNFを添加した場合に、強度の逆温度依存性が見られ、特に、B4C/CNF=90/10 vol%及び87.5/12.5 vol%組成のコンポジットでCNF添加による高温強度の著しい向上(90/10 vol%の場合は1000℃/~500 MPa→1600℃/約800 MPa、87.5/12.5 volの場合は1000℃/~500 MPa→1500℃/830 MPa)が確認された。尚、このような800 MPa以上の曲げ強度は、Al2O3が添加され、かつ、CNFが5~15vol%添加された従来品の曲げ強度(約500~550 MPa)よりも大きい。
この図6の結果は、CNFの添加量の好ましい範囲が10~12.5 vol%であり、12.5 vol%が最も好ましいことを示している。
尚、この高温での曲げ強度は、高温曲げ強度試験装置(Instron社製、4505)を使用し、30℃・min-1/1000~1600℃/N2/スパン16mm/クロスヘッドスピード0.5 mm・min-1の条件にて測定を行った。
【実施例】
【0030】
図7~図10はそれぞれ、1000℃、1300℃、1600℃、1700℃でのB4C/CNFコンポジットの破断表面のSEM写真であり、B4C/CNF=(a)100/0, (b)95/5, (c)90/10及び(d)85/15 vol%である。
この写真において、白く写っている部分がカーボンナノファイバーの軸に対して垂直な方向の断面であり、本発明では、カーボンナノファイバーを添加することでピン止め効果による強度の向上が達成されるものと考えられる。
【実施例】
【0031】
図11は、最も高い高温曲げ強度を示したB4C/CNF= 87.5/12.5 vol%コンポジットの、室温、1000℃、1300℃、1500℃、1700℃での強度測定後の試料片の破壊面の微細構造変化を示すSEM写真である。これらのSEM写真から、破壊面で観察されるB4Cの結晶粒子径の大きさには殆ど変化がみられず、高温下での化学安定性の高い結晶質炭素繊維CNFにより、B4Cの結晶粒子の高温下での粒子成長が1700℃まで抑制されていることが確認される。また、CNFの形態にも殆ど変化が認められない。このことはCNFの高温下での高い化学的安定性を示唆するものである。
【実施例】
【0032】
又、図12は、図11と同じB4C/CNF=87.5/12.5 vol%コンポジットの(a)室温、(b)1000℃、(c)1300℃、(d)1500℃及び(e)1700℃での強度測定後の試料片の破壊面の、CNF近傍の高倍率SEM写真である。これらのSEM写真から、CNFの周囲のB4Cマトリックスの微細構造が高温下で殆ど変化していないことから、CNFとB4Cが固相反応せず、これらの2つの化合物が高温で安定であることを示唆する。
【実施例】
【0033】
図13は、B4C/CNFコンポジットセラミックス内のB4CとCNF界面のTEM写真であり、左から右に向かって順に拡大され、高倍率で撮影されている。これらのTEM写真から、本発明のコンポジットセラミックスでは、B4CとCNF間の界面には他の結晶相が観察されず、直接CNFとB4Cが接していることが確認された。この界面に他の結晶相が存在せず、直接接触していることが、高温強度の維持につながると考えられる。なお、従来の焼結助材として2.5vol%のAl2O3を添加してパルス通電加圧焼結して作製されたB4C/CNFコンポジットセラミックスでは、CNFとB4Cの界面にAl2O3薄膜が形成されており、この薄膜Al2O3の高温強度が低いために、1500℃,1600℃での高強度が発現しなかった。
【実施例】
【0034】
図14~図15は、1100℃、1300℃、1500℃及び1700℃におけるB4C/CNFコンポジットセラミックス(CNF添加量:0, 5, 7.5, 10, 12.5, 15vol%)の荷重‐変位曲線を示す図であり、縦軸が荷重、横軸が変位を表している。そして、略三角形の形状をなす部分の面積が、変位の時に蓄えられるエネルギー(弾性歪みエネルギー)の大きさに相当する。
図15の上側の図の結果から、本発明の作製法を用いて得られるB4C/CNF セラミックスは1500℃の温度において大きな弾性歪みエネルギーを有していることがわかった。
又、図15の下側の図の結果は、1700℃の場合には、CNFの添加量が12.5vol%のB4C/CNFセラミックスが、特に大きな弾性歪みエネルギーを有していることを示している。
本発明者等は、図14~図15に示された荷重‐変位曲線から、単位体積あたりの弾性歪みエネルギーを示す弾性歪みエネルギー密度を、以下の式を用いて求めた。
弾性歪みエネルギー= 1/2 ×荷重×変位 (三角形の面積と近似)
弾性歪みエネルギー密度=[1/2×荷重×変位]/[スパンの長さ×サンプルの幅×サンプルの厚み]
【実施例】
【0035】
図16には、上式により計算されたB4C/CNFコンポジットの弾性歪みエネルギー密度(荷重‐変位曲線によってできた面積)と、サンプルの測定温度との関係が示されている。
図16の結果から、CNF添加量が7.5, 10, 12.5vol%であるB4C/CNFセラミックスが、CNF添加量が5, 15vol%であるB4C/CNFセラミックスよりも、高温(1500℃)において高い弾性歪みエネルギー密度を有していることがわかった。又、図16のグラフは、測定温度1500℃において、CNF添加量が7.5, 10, 12.5vol%のB4C/CNFセラミックスが、CNF無添加のB4Cセラミックスの約10倍以上の大きな靭性を有し、CNFが高い温度領域で破壊を抑制することを示している。
又、この図16の結果から、弾性歪みエネルギーが最も大きくなって、高温強度の著しい向上が達成されるCNF最適添加量は12.5vol%であることが確認され、CNF添加量の好ましい範囲は7.5~12.5vol%で、より好ましい範囲は10~12.5vol%であることがわかった。
更に、このような結果は、CNF無添加のB4Cセラミックスの場合、1500℃において変位すると破壊しやすいが、CNF添加量が10~12.5vol%のB4C/CNFセラミックスの場合は、変位が大きくても破壊し難いことを示しており、CNF添加による引き抜き効果(anchor effect)がB4C/CNF=87.5~90/12.5~10の組成の試料において顕著であることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の作製法により得られる炭化ホウ素セラミックスは、高温(例えば1500~1600℃)において高強度であるので、高温構造材料として有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15