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明細書 :発泡体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6734592号 (P6734592)
公開番号 特開2017-197827 (P2017-197827A)
登録日 令和2年7月14日(2020.7.14)
発行日 令和2年8月5日(2020.8.5)
公開日 平成29年11月2日(2017.11.2)
発明の名称または考案の名称 発泡体の製造方法
国際特許分類 C22C   1/08        (2006.01)
C08J   9/24        (2006.01)
B29C  67/20        (2006.01)
B23K  20/12        (2006.01)
FI C22C 1/08 B
C08J 9/24 CET
B29C 67/20 Z
B23K 20/12 310
請求項の数または発明の数 8
全頁数 16
出願番号 特願2016-090447 (P2016-090447)
出願日 平成28年4月28日(2016.4.28)
審査請求日 平成31年4月10日(2019.4.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】半谷 禎彦
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査官 【審査官】池ノ谷 秀行
参考文献・文献 特開平08-267588(JP,A)
特開2011-189698(JP,A)
特許第5482658(JP,B2)
特開2012-251207(JP,A)
特開2004-285446(JP,A)
調査した分野 C22C 1/08
B23K 20/12
B29C 44/00-44/60
B29C 67/20
特許請求の範囲 【請求項1】
母材の内部に気孔を有する発泡体を製造する方法であって、
前記母材の内部に発泡剤を含有する前駆体に、金属板を接触させ、
前記金属板とは別の部材を前記金属板に接触させて、前記部材の前記金属板に対する摩擦により熱を発生させ、発生した熱を前記金属板によって伝導させて、前記前駆体を発泡させて発泡体を製造する
発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記母材に金属を用い、前記金属板に前記母材の金属よりも融点の高い金属を用いて、前記発泡体として発泡金属を製造する請求項1に記載の発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記母材に樹脂を用いて、前記発泡体として発泡樹脂を製造する請求項1に記載の発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記金属板の表面に前記前駆体を接触させ、前記金属板と前記前駆体が接触している部分の裏面の前記金属板に対して、前記摩擦を行う請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の発泡体の製造方法。
【請求項5】
前記前駆体の周囲に、発泡後の前記発泡体の形状を制御する型枠を設けて、前記摩擦を行う請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の発泡体の製造方法。
【請求項6】
前記金属板に設けられた孔の内部に前記前駆体を入れて、前記孔以外の部分の前記金属板に対して前記摩擦を行う請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の発泡体の製造方法。
【請求項7】
複数枚の板状の前記母材の間に前記発泡剤を挟んで摩擦攪拌を行うことにより、前記母材と前記発泡剤を混合して前記前駆体を作製し、作製した前記前駆体を前記金属板に接触させる、請求項1又は請求項2に記載の発泡体の製造方法。
【請求項8】
前記金属板と他の金属板を使用して、前記金属板と前記他の金属板を摩擦により接合させると同時に前記前駆体を発泡させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の発泡体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、母材の内部に気孔を有する発泡体を製造することができる、発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や樹脂等を発泡させた発泡体は、内部に気孔を有することにより、軽量化や衝撃吸収性の付与が可能になることから、様々な用途に使用することが考えられている。
【0003】
発泡体のうち、金属から成る発泡金属は、例えば、プリカーサ法により製造することができる。このプリカーサ法は、母材である金属中に発泡剤を混合して前駆体を作製し、この前駆体を加熱して発泡させる方法である。
プリカーサ用の前駆体を作製する方法としては、母材粉末と発泡剤粉末とを混合した混合粉末を熱間押出や熱間圧延等で固化させる粉末冶金法や、母材の板材に発泡剤を挟んで圧延して板材を接合する圧延接合法がある。
【0004】
しかしながら、粉末冶金法や圧延接合法は、生産性が低いことや、エネルギー消費が大きいこと等の問題がある。
そこで、母材の間に発泡剤を配置して、高速回転したツールにより摩擦攪拌を行うことにより、母材と発泡剤を混合して前駆体を作製する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。
この方法によれば、粉末冶金法や圧延接合法と比較して、生産性を向上させることや、エネルギー消費を低減させることができる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2010/029864号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/106883号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前駆体を発泡させて発泡体(発泡金属)を作製するためには、前駆体を炉内で加熱する必要があった。この課題点は、特許文献1や特許文献2に提案されている方法で前駆体を作製した場合でも、他の方法で前駆体を作製した場合でも、同様に存在する。
このように前駆体を炉内で加熱することから、炉の大きさの制約によって発泡金属の大型化が難しく、また、加熱する炉を備えた場所でしか、発泡させることができない。
【0007】
一方、樹脂から成る発泡体(発泡樹脂)の製造方法の1つとして、前駆体を型に投入して蒸気等で加熱して発泡させる方法が行われている。この方法の場合も、型の大きさの制約によって発泡樹脂の大型化が難しく、また、蒸気等で加熱するための設備を備えた場所でしか、発泡させることができない。
【0008】
上述したように、前駆体を発泡させることができる場所に制約があるため、発泡体を使用する場合には、前駆体を発泡させて発泡体を製造してから、発泡体を使用する場所まで輸送する必要がある。また、発泡させた状態では体積が大きくなっていることから、輸送コストが高くなってしまうという問題が生じる。
【0009】
上述した問題の解決のために、本発明においては、発泡体の大型化や、様々な場所で前駆体を発泡させることを可能にする、発泡体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発泡体の製造方法は、母材の内部に気孔を有する発泡体を製造する方法であって、母材の内部に発泡剤を含有する前駆体に、金属板を接触させ、金属板とは別の部材を金属板に接触させて、その部材の金属板に対する摩擦により熱を発生させ、発生した熱を金属板によって伝導させて、前駆体を発泡させて発泡体を製造する。
【0011】
本発明の発泡体の製造方法の一つの形態は、母材に金属を用いて、金属板に母材の金属よりも融点の高い金属を用いることで、発泡体として発泡金属を製造する。
【0012】
本発明の発泡体の製造方法の他の形態は、母材に樹脂を用いて、発泡体として発泡樹脂を製造する。
【発明の効果】
【0013】
上述の本発明の発泡体の製造方法によれば、前駆体に金属板を接触させ、金属板とは別の部材を金属板に接触させて、その部材の金属板に対する摩擦により熱を発生させ、発生した熱を金属板によって伝導させて、前駆体を発泡させて発泡体を製造するので、金属板に対する摩擦を行うための部材と金属板があれば、前駆体を発泡させて発泡体を製造することができる。
これにより、前駆体を炉内や型内等で加熱して発泡させる方法のように、発泡体の大きさが炉や型の大きさに制約されることがない。
また、炉や蒸気の供給設備等の前駆体を加熱するための設備がない場所でも、発泡体を製造することができ、様々な場所で発泡体を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】A、B 本発明の発泡体の製造方法の第1の実施の形態の工程を説明するための斜視図である。
【図2】A、B 本発明の発泡体の製造方法の第1の実施の形態の工程を説明するための断面図である。
【図3】A、B 本発明の発泡体の製造方法の第2の実施の形態の概略断面図である。
【図4】A、B 本発明の発泡体の製造方法の第3の実施の形態の概略断面図である。
【図5】本発明の発泡体の製造方法の第4の実施の形態を説明する斜視図である。
【図6】本発明の発泡体の製造方法の第5の実施の形態を説明する概略断面図である。
【図7】A~C 実施例における前駆体の作製方法の工程を説明するための斜視図である。
【図8】D~F 実施例における前駆体の作製方法の工程を説明するための斜視図である。
【図9】実施例の前駆体を発泡させる工程の断面図である。
【図10】実施例の試料における、経過時間と温度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要を説明する。

【0016】
本発明の発泡体の製造方法は、母材の内部に気孔を有する発泡体を製造する際に、母材の内部に発泡剤を含有する前駆体に金属板を接触させ、金属板とは別の部材を金属板に接触させて、その部材の金属板に対する摩擦により熱を発生させ、発生した熱を金属板によって伝導させて、前駆体を発泡させて発泡体を製造する。
即ち、本発明の製造方法において、金属板は、摩擦により発生した熱を前駆体まで伝導させる、熱伝導の媒体として用いられている。

【0017】
本発明の発泡体の製造方法において、母材に金属を用い、金属板にその金属よりも融点の高い金属を用いることにより、発泡体として発泡金属を製造することが可能である。
また、本発明の発泡体の製造方法において、母材に樹脂を用いて、発泡体として発泡樹脂を製造することが可能である。

【0018】
本発明において、発泡金属、即ち、金属から成る発泡体の母材の金属の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛等が挙げられる。

【0019】
本発明において、発泡樹脂、即ち、樹脂から成る発泡体の母材の樹脂の材料としては、ポリスチレン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)が挙げられる。

【0020】
金属板の材料としては、各種の金属(金属元素又は合金)を使用することができる。
ただし、発泡金属を製造する場合には、前述したように、金属板として、発泡金属の母材の金属よりも融点が高い金属を使用する必要がある。例えば、アルミニウムの発泡体を製造する場合には、金属板に銅や鉄等を使用することができる。

【0021】
本発明において、金属板の形状は特に限定されない。平面形状であっても、曲面形状であっても、折り曲げられた屈曲部を有する形状であっても、いずれも金属板に対して摩擦を行って前駆体を発泡させることが可能である。
さらに、金属板を筒状に曲げて端縁を接合して、中空のパイプ形状としてもよい。そして、中空のパイプ形状の内部に前駆体を入れて、摩擦を行うことにより、内部の前駆体を発泡させることができる。

【0022】
本発明の製造方法において、金属板に対する摩擦を行うには、金属板とは別の部材を使用して、この部材を金属板に接触させて金属板をこすればよい。
この部材としては、例えば、既存の摩擦攪拌のツール(治具)、金属板と同様の材質の金属部材、金属板とは異なる材質の金属部材、等を用いることができる。
金属板に対する摩擦は、摩擦攪拌のツールや金属部材等を、例えば、中心軸の周りに回転運動をさせる、もしくは、金属板の表面に沿って往復運動させる、ことによって行うことができる。

【0023】
前駆体を発泡させるためには、前駆体の温度が、前駆体が発泡する温度、もしくは前駆体が発泡する温度よりも高くなるように、摩擦の条件を選定する。
ただし、発泡樹脂を製造する場合には、前駆体の温度が高くなり過ぎると、母材の樹脂が分解することがある。そのため、母材の樹脂が分解しないように、摩擦の条件を選定する。

【0024】
金属板と前駆体と摩擦用の部材の配置は、特に限定されない。
例えば、金属板に設けられた孔の内部に前駆体を入れて、孔以外の部分の金属板に対して摩擦を行う配置が可能である。
また例えば、金属板の表面に前駆体を接触させ、金属板と前駆体が接触している部分の裏面、即ち、接触している部分の真裏の金属板に対して、摩擦を行う配置も可能である。このように、前駆体と接触している部分の真裏の部分に対して摩擦を行うことにより、前駆体との距離が金属板の厚さに等しく、距離が短くなるため、摩擦で生じる熱の前駆体への伝達が良好となり、効率良く前駆体を発泡させることができる。

【0025】
本発明の発泡体の製造方法によれば、前駆体に金属板を接触させ、金属板とは別の部材を金属板に接触させて、その部材の金属板に対する摩擦を行い、摩擦により発生した熱を金属板によって伝導させて、前駆体を発泡させて発泡体を製造する。従って、金属板に対する摩擦を行うための部材と金属板があれば、前駆体を発泡させて発泡体を製造することができる。
これにより、前駆体を炉内や型内等で加熱して発泡させる方法のように、発泡体の大きさが炉や型の大きさに制約されることがない。従って、発泡体の大型化を図ることが可能になる。
また、前駆体を発泡させるための炉内や型内等での加熱が不要になるため、炉や蒸気の供給設備等の前駆体を加熱するための設備がない場所でも、発泡体を作製することができる。従って、様々な場所で発泡体を製造することが可能になる。

【0026】
また、摩擦攪拌装置は可搬性で、かつ電源に、屋外での建築や土木工事等で一般的に使用されているような、可搬性の電源を使用することが可能である。
従って、本発明の製造方法を適用することにより、屋外等の取り付け現場で発泡体(発泡金属又は発泡樹脂)を製造することができる。
発泡体は、軽量ではあるが体積が大きく、緻密な部材よりも強度が低いため、輸送コストが問題となる。これに対して、本発明を適用して、取り付け現場で発泡させることにより、取り付け現場までは、体積が小さく強度が高い前駆体の状態で輸送することが可能になり、輸送コストを低減することができる。

【0027】
本発明の製造方法によれば、金属板に対する摩擦で発生した摩擦熱のみを使用して、短時間で、前駆体を発泡させることができる。前駆体と金属板の材料や摩擦の条件にもよるが、数十秒程度で前駆体を発泡させることが可能になる。
また、本発明の製造方法では、摩擦で発生した摩擦熱で前駆体を加熱し、前駆体の発泡後は摩擦の停止により発泡体を冷却するので、加熱及び冷却が急速に行われる。
これにより、炉内で前駆体を発泡させるような、加熱及び冷却が徐々に行われる場合と比較して、発泡体内に形成される気孔が、細かく均一となる。

【0028】
さらに、本発明の製造方法は、必要な箇所のみを摩擦熱により加熱するため、炉内で前駆体を発泡させるような、雰囲気全体を加熱する場合と比較して、省エネルギーで発泡体を製造することができる。

【0029】
本発明の製造方法において、前駆体と金属板の接触面積を大きくすれば、摩擦により発生した熱を効率良く前駆体に伝えて、効率良く前駆体を発泡させることができる。
例えば、金属板に設けた孔内に前駆体を配置する場合には、孔の内壁面と前駆体の外周面を、ほぼ同一の形状及び寸法とすることにより、前駆体と金属板の接触面積を大きくすることができる。
例えば、金属板に前駆体の一面を接触させる場合には、接触面積が大きくなるように、前駆体を薄くて水平方向に広がった平板状とすることも考えられる。前駆体を平板状として金属板との接触面積を大きくすると、効率良く前駆体を発泡させることができる。

【0030】
上述したように、効率良く前駆体を発泡させることができる構成とした場合には、摩擦の条件(部材の移動速度、部材の回転速度、部材と金属板との接触面積、等)を緩くしても、前駆体を発泡させることが可能になる。摩擦の条件を緩くすれば、消費電力、金属板の変形量、装置等に掛かる負荷や応力等を、低減することが可能になる。

【0031】
本発明の製造方法において、熱伝導の媒体として用いる金属板は、そのまま構造材として使用することも可能である。

【0032】
本発明では、金属板が水平ではない場合でも、金属板に対する摩擦を行うことが可能である。
従って、金属板を構造材として使用する場合に、構造材の側面等の水平ではない部分に対しても、摩擦を行って、発泡体を作製することが可能になる。
これにより、3次元形状の構造体の内部に発泡体を形成することが可能になり、発泡体の作製の自由度を大きくすることができる。
例えば、自動車、鉄道、航空宇宙、建築等の分野において、構造体(例えば、フレーム)内に発泡体を挿入したり、構造体に発泡体を挟んだりすることができる。また、曲面形状の構造体の部分にも、発泡体を形成することができる。

【0033】
前駆体は、発泡させる前に、摩擦攪拌接合によって、もしくは他の方法(溶接等)によって、金属板に接合しておくことが望ましい。
金属板に接合しておくことにより、金属板の下に前駆体を配置することや、金属板が水平ではない配置とすることが可能になる。また、金属板の上に前駆体を配置する場合でも、振動等で前駆体が金属板と接触する位置がずれることがない。
また、金属板を構造体として使用する場合、前駆体を金属板に接合しておけば、発泡後の発泡体も金属板に接合した状態に作製することができる。従来は、発泡後の発泡体を接着剤等で構造体に接着していたが、前駆体を金属板に接合しておくことにより、接着剤が不要になる。

【0034】
なお、前駆体も、摩擦攪拌により作製することができる。例えば、特許文献1や特許文献2に示したように、母材と発泡剤とを摩擦攪拌により混合して、母材内に発泡剤を含有する前駆体を作製することができる。
このように、前駆体も摩擦攪拌により作製することにより、前駆体の作製から前駆体の発泡まで、全て摩擦に基づくプロセスのみを使用することによって、発泡体を製造することができる。
そして、摩擦攪拌及び摩擦熱の伝導に利用した金属板を、そのまま構造材として使用すれば、緻密な金属板と発泡体とから構成される複合材を、摩擦熱のみを使用して容易に作製できる。

【0035】
また、前駆体の周囲に型枠を設けて、発泡後の発泡体の形状を型枠で制御してもよい。
そして、発泡が終了した後に、型枠が不要な場合には、型枠を除去する。
一方、発泡が終了した後も型枠を残して、型枠を構造材として利用することも可能である。型枠を構造材として利用する場合には、強度等も考慮して、型枠の材料や寸法を選定することが好ましい。
型枠を使用することにより、発泡体を所望の形状に制御することができる。
従来は、発泡体を所望の形状にするために、発泡体を切断したり、金型内に前駆体を入れて炉内で発泡させたりしていた。
型枠を使用することにより、発泡体の切断が不要になるため、切断面付近において、切断の際のせん断応力等により発泡体の気孔が変形を受けることがない。また、型枠は、任意の形状や大きさで作製することができ、炉や従来の金型のように大きさに制約を受けないので、大型の発泡体を所望の形状に作製することが可能になる。

【0036】
前駆体の周囲に型枠を設ける場合には、発泡体の形状が型枠で制御されるので、前駆体の形状が発泡体の形状へあまり影響しないことから、金属板との接触面積を大きくするように前駆体を平板状にすることが考えられる。
前駆体を平板状にすることにより、前述したように、摩擦により発生した熱を効率良く前駆体に伝えて、効率良く前駆体を発泡させることができる。

【0037】
本発明による前駆体を発泡させる際に、さらに補助部材を使用することができる。
補助部材は、金属板に対して、その前駆体と接触する部分や摩擦用の部材又は摩擦攪拌のツールが当接する部分以外の部分に設ける。例えば、これらの部分の裏面側に設けて裏打ち板としたり、これらの部分と同じ面の外側に設けて金属板からの放熱を抑制する保温材としたりすることが考えられる。
補助部材は、装置に掛かる負荷の緩和、金属板内の熱伝導の制御、金属板からの放熱の抑制等、様々な目的で設けることができ、目的に応じて適切な材料や寸法の補助部材を使用する。補助部材の材料としては、金属板と同じ材料、金属板よりも融点の高い金属材料、セラミック等の耐熱性無機材料等が挙げられる。
なお、従来の摩擦攪拌接合においても、上述した目的のために、補助部材を使用している場合がある。
発泡が終了した後には、補助部材を除去する。除去した補助部材を、後の発泡の際に再度補助部材として利用することも可能である。

【0038】
また、金属板と他の金属板を使用して、これら金属板と他の金属板を接合して、構造体として一体化させる際に、予め金属板に前駆体を配置しておけば、金属板と他の金属板を摩擦により接合させることにより、2枚の金属板の接合と、前駆体の発泡による発泡体の形成を、同時に行うことが可能になる。
これにより、発泡体を含む構造体について、製造工程の簡略化や製造コストの低減が可能になる。
摩擦により接合させる方法としては、例えば、摩擦攪拌接合(FSW)、摩擦圧接、Linear friction welding等の接合方法が挙げられる。
なお、金属板を中空のパイプ形状として、2本のパイプを一体化させる場合にも、一方又は両方のパイプ内に前駆体を配置しておけば、パイプの接合と発泡体の形成を同時に行うことができる。この場合、2本のパイプの接合は、摩擦攪拌のツールを用いた摩擦攪拌接合の他に、パイプの端面同士をこすって発生させた摩擦熱により接合する方法も可能である。

【0039】
また、発泡体として発泡金属を製造する際に、部分毎に組成の異なる発泡金属を製造することも可能である。この場合、前駆体として、部分毎に組成の異なる前駆体を用意して、それぞれの前駆体に適合するように、各前駆体に対応する領域の摩擦の条件を選定する。比較的融点の高い前駆体に対しては、摩擦の条件を強くして、比較的融点の低い前駆体に対しては、摩擦の条件を弱くする。例えば、全ての領域に対して、同じ摩擦攪拌のツールで摩擦攪拌を続けて行う場合には、ツールの回転速度や移動速度を制御する。

【0040】
以下、図面を参照して、本発明の発泡体の製造方法の具体的な実施の形態を説明する。

【0041】
(第1の実施の形態)
本発明の発泡体の製造方法の第1の実施の形態を、以下に示す。
本実施の形態は、金属板に設けた孔の内部に、前駆体を配置する。

【0042】
まず、図1Aに斜視図を示すように、金属板11に設けた孔11Aの内部に、前駆体12を配置する。
前駆体12は、母材である金属又は樹脂の内部に発泡剤を含有している。
図中15は、裏打ち板を示している。
孔11A及び前駆体12は、共に円柱状となっている。

【0043】
次に、図1Bに斜視図を示し、図2Aに断面図を示すように、摩擦攪拌のツール13を用いて、孔11A以外の部分の金属板11に対して摩擦攪拌を行う。
これにより、摩擦攪拌で生じた熱が金属板11内を伝導して、孔11A内の前駆体12を、加熱して発泡させることができる。
そして、前駆体12が発泡した後の状態の断面図を、図2Bに示す。図2Bでは、前駆体12の発泡により、内部に気孔14Aを有する発泡体14が形成されている。
このようにして、発泡体14を製造することができる。

【0044】
なお、図1A~図1Bでは、金属板11の孔11A及び前駆体12を円柱状としていたが、金属板の孔及び前駆体の形状は円柱状には限定されず、角柱状やその他の形状としてもよい。金属板の孔の側壁面と前駆体の側面が十分に接触していて、金属板から前駆体に熱が伝わればよい。
また、図2Aでは、金属板11の孔11Aが貫通しているが、金属板を貫通しない孔を設けても構わない。

【0045】
(第2の実施の形態)
本発明の発泡体の製造方法の第2の実施の形態を、以下に示す。
図1及び図2に示した第1の実施の形態では、前駆体から離れた部分の金属板に摩擦攪拌を行っていた。
本実施の形態は、金属板に前駆体の一面を接触させて、金属板の前駆体と接触する部分の裏面側、即ち真裏の部分に対して、摩擦攪拌を行う。

【0046】
図3Aに概略断面図を示すように、金属板11の上面に前駆体12を載置して、前駆体12と接触する部分の裏面側、即ちその部分の下面の、金属板11に対して、摩擦攪拌のツール13を用いて摩擦攪拌を行う。これにより、摩擦攪拌により生じた摩擦熱が、金属板11の下面から上面に伝導して、金属板11の上面に接触した前駆体12を加熱して発泡させることができる。

【0047】
また、図3Aとは上下を反対にして、図3Bに概略断面図を示すように、金属板11の下面に前駆体12を接触させて、前駆体12と接触する部分の上面の金属板11に対して、摩擦攪拌のツール13を用いて摩擦攪拌を行う。これにより、摩擦攪拌により生じた摩擦熱が、金属板11の上面から下面に伝導して、金属板11の上面に接触した前駆体12を加熱して発泡させることができる。

【0048】
この図3Bに示す配置では、前駆体12が落ちないように、金属板11と溶接や摩擦攪拌等により接合しておくことが望ましい。
なお、金属板11が水平ではない場合も、同様に、金属板11と前駆体12を接合しておくことが望ましい。
また、図3Aに示したように、金属板11の上面に前駆体12を載置する場合も、振動等により前駆体12の位置がずれることを防ぐために、金属板11と前駆体12と接合しておくことが好ましい。

【0049】
なお、本発明の製造方法において、前駆体と金属板と摩擦用の部材(摩擦攪拌のツール等)の配置は、図1~図2に示した第1の実施の形態の配置や、図3に示した第2の実施の形態の配置に、限定されるものではない。摩擦用の部材(摩擦攪拌のツール等)と前駆体は、任意の配置とすることが可能である。
例えば、図3に示した第2の実施の形態の前駆体12の位置に対して、図1~図2に示した第1の実施の形態と同様に、前駆体12から横に離れた位置の金属板11にツール13を接触させても良い。そして、金属板11の同じ面に前駆体12とツール13を接触させる配置も、金属板11の一方の面に前駆体12を接触させ、金属板11の他方の面にツール13を接触させる配置も、いずれも可能である。

【0050】
(第3の実施の形態)
本発明の発泡体の製造方法の第3の実施の形態を、以下に示す。
本実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、金属板に前駆体の一面を接触させて、金属板の前駆体と接触する部分とは反対の面(裏面)に対して、摩擦攪拌を行う。
さらに、本実施の形態では、前駆体の周囲に型枠を設けて、発泡体の形状を型枠で制御する。

【0051】
まず、図4Aに概略断面図を示すように、図3Bに示したと同様に、金属板11の下に前駆体12を接合した状態で、前駆体12の周囲に型枠16を設ける。
型枠16は、前駆体12が発泡した際に溶融することがないような、前駆体12の発泡温度以上の耐熱性を有する材料により作製する。例えば、発泡体として発泡金属を製造する場合には、発泡金属を構成する金属の融点よりも十分に高い融点を有する、金属やセラミック等を、型枠16に用いる。
前駆体12と型枠16との間には、発泡後に発泡体が広がるための空間17がある。

【0052】
前駆体12の周囲に型枠16を設けた状態で、図4Aに示すように、金属板11の上面から摩擦攪拌のツール13を用いて摩擦攪拌を行う。
そして、前駆体12が加熱されて発泡すると、図4Bに概略断面図を示すように、型枠16の内部を埋めるように、発泡体14が形成される。

【0053】
最終的に型枠16が不要な場合には、発泡体14が形成された後に、型枠16を除去する。
これに対して、型枠16を構造体として使用する場合や、型枠16を残しても問題がない場合には、そのまま型枠16を残す。

【0054】
上述した第3の実施の形態では、図3Bに示したと同様の配置(金属板11、前駆体12、ツール13の配置)に対して、型枠16を設けていた。
本発明の製造方法では、図3Bに示した配置に限らず、その他の配置においても、前駆体の周囲に型枠を設けることができる。
例えば、図1~図2に示した第1の実施の形態のように、金属板11の孔11A内に前駆体12を配置する場合には、発泡体14が広がる側(図2Bでは上側)の金属板11の面の前駆体12の周囲に型枠を設ける。
また、第1の実施の形態の配置や、前駆体を接合した側と同じ側の金属板に摩擦攪拌を行う配置の場合には、型枠よりも外側の部分の金属板に摩擦攪拌を行う。

【0055】
(第4の実施の形態)
本発明の発泡体の製造方法の第4の実施の形態を、以下に示す。
本実施の形態は、発泡体として発泡金属を製造する際に、部分毎に組成の異なる発泡金属を製造する。

【0056】
図5に斜視図を示すように、それぞれ組成の異なる3つの前駆体12A,12B,12Cを金属板11の孔内に埋め込む。そして、金属板11の左側で摩擦攪拌のツール13を用いて摩擦攪拌を行う。

【0057】
そして、摩擦攪拌を行う際に、3つの領域20A,20B,20Cで摩擦攪拌の条件、即ち、摩擦攪拌のツール13の回転速度や移動速度を、前駆体12A,12B,12Cの組成に対応して、異なる適切な条件とする。

【0058】
これにより、それぞれの前駆体12A,12B,12Cを発泡させて、部分により組成の異なる発泡金属を製造することができる。

【0059】
(第5の実施の形態)
本発明の発泡体の製造方法の第5の実施の形態を、以下に示す。
本実施の形態は、金属板と他の金属板との摩擦攪拌接合と同時に、前駆体を発泡させる。

【0060】
図6に断面図を示すように、金属板11の下に前駆体12を設けた状態で、金属板11とは別の、他の金属板18を用意して、金属板11と他の金属板18の側面同士をつき合わせる。そして、摩擦攪拌のツール13を用いて、これら2枚の金属板11,18の接合部に対して摩擦攪拌接合を行うことにより、2枚の金属板11,18を接合させる。このとき、摩擦攪拌接合で生じた熱を利用して、前駆体12を発泡させて発泡体を作製することができる。
このようにして、金属板11及び他の金属板18の接合と、前駆体12の発泡を、同時に行うことができる。
このとき、金属板11及び他の金属板18の接合面付近は、金属板11及び他の金属板18の摩擦攪拌接合を行うために高い温度になる。接合面付近が前駆体12の融点を超えるような場合には、前駆体12を接合面からある程度離すことが好ましい。

【0061】
なお、図6では、金属板11のみに前駆体12を設けているが、他の金属板18にも前駆体を設けて、金属板11及び他の金属板18の接合と同時に、それぞれの前駆体を発泡させてもよい。
【実施例】
【0062】
(発泡金属の実施例)
本発明の製造方法により、金属からなる発泡体(発泡金属)を、実際に作製した。
まず、前駆体用の材料を用意した。3枚の金属板21A,21B,21Cとして、Al-Si-Cu組成のAl合金ADC12(A383.0Al合金と等価)の厚さ3mmの高圧ダイキャスト板を用いた。また、発泡剤22として、TiH粉体(<45μm)を用い、発泡剤22に添加する安定剤としてAl粉体(~1μm)を用いた。
また、摩擦攪拌のツール23として、SKH51高速ツール鋼製で、肩の直径が17mm、プローブ24の直径が6mm、プローブ24の長さが5mmのものを用いた。
【実施例】
【0063】
そして、図7Aに示すように、2枚の金属板21A,21Bを、間に発泡剤22を挟んで積層した。発泡剤22は、上側の金属板21Aに対して摩擦攪拌を行う際のツール23の経路に沿って、TiH及びAlの各粉体を散布した。各粉体の使用量は、TiH及びAlを散布する領域の面積とツール23のプローブ24の長さの寸法を掛けた体積分のAlの質量に対して、TiHが0.9質量%で、Alが4.5質量%とした。
【実施例】
【0064】
次に、図7Bに示すように、摩擦攪拌のツール23を用いて、金属板21A及び金属板21Bに対して摩擦攪拌を行った。
摩擦攪拌は、まず、図7Cに示すように、一部攪拌領域を重ねながら3本の経路でツール23を図中上側に走査し、その後図8Dに示すように、一部攪拌領域を重ねながらツール23を図中下側に走査した。摩擦攪拌により、金属板21A,21Bの内部に発泡剤22が混合されていく。ツール23の回転速度は1000rpmとし、ツール23の走査の速度は100mm/分とした。なお、この摩擦攪拌の際に、ツール23を、金属板21Aの表面に対する法線から3°傾斜させた。
【実施例】
【0065】
次に、図8Eに示すように、2枚の金属板21A,21Bの上下をひっくり返して、金属板21Bを上側にした後、金属板21Bの上に、発泡剤22を挟んで金属板21Cを積層した。発泡剤22は、図7Aに示したと同様に、摩擦攪拌を行う際のツール23の経路に沿って、TiH及びAlの各粉体を散布した。
【実施例】
【0066】
次に、図8Fに示すように、摩擦攪拌のツール23を用いて、金属板21C及び金属板21Bに対して摩擦攪拌を行った。摩擦攪拌は、図7C及び図8Dに示したと同等に、一部攪拌領域を重ねながらツール23を図中下側及び図中上側にそれぞれ走査した。
【実施例】
【0067】
このようにして、3枚の金属板21A,21B,21C及び発泡剤22から成る、前駆体12を作製した。
【実施例】
【0068】
次に、図9に断面図を示すように、熱伝導の媒体となる金属板11と前駆体12を用意した。
具体的には、金属板11として、厚さ10mmの市販の無酸素銅板を用意し、この金属板11に、ドリルで直径15mmの断面円形状の孔11Aを開けた。
また、裏打ち板15として、厚さ3mmの無酸素銅板を用意した。
さらに、図8Fで作製した前駆体12を、縦10.5mm×横10.5mm×高さ9mmの直方体形状に切断した。
【実施例】
【0069】
そして、裏打ち板15の上に、金属板11を載置し、金属板11の孔11A内に前駆体12を挿入した。このとき、図9に示すように、裏打ち板15と金属板11の間の前駆体12の近くに、温度を測定するために熱電対19を入れた。
また、ツール13として、タングステン合金製で、直径25mmの円柱状のものを用いた。そして、金属板11の孔11Aからの距離dが1.5mmで、金属板11の上面の法線に対する傾斜角θが3°となるように、金属板11に対してツール13を押しつけた。このとき、ツール13の回転速度を3000rpm、ツール13の押し込み率を1mm/分、ツール13の押し込み深さを1.5mm(押し込み時間90秒)とした。
ツール13の押し込みによって、金属板11とツール13との間で摩擦熱が発生し、前駆体12が発泡した。
押し込み時間の90秒経過後は、ツール13を徐々に上昇させた。
【実施例】
【0070】
経過時間と、熱電対19で測定された温度との関係を、図10に示す。
図10のa(t=0)は、ツール13が金属板11に接触した時刻である。ツール13が3°傾斜しているため、t=0では、ツール13の後部だけが金属板11の表面に接触している。
図10のb(t=54秒)では、ツール13の押し込み量の増加に従い、発生した摩擦熱のためにツール13が赤熱し、前駆体12の発泡が開始される。
さらに、図10のc(t=57秒)、d(t=74秒)、と時間が経過して押し込み量が増えていくに従い、前駆体12が発泡していった。
図10のe(t=90秒)では、上述の押し込み時間が経過し、ツール13が上昇に転じるため、このとき温度が最大になる。
図10のf(t=100秒)では、押し込みが無くなり、ツール13と金属板11との接触が終了している。このとき、eのときよりも温度が低下しており、温度の低下に伴い発泡体が固まっていく。
【実施例】
【0071】
なお、ツール13が押し込められている間、前駆体12は継続して発泡した。ほとんどの発泡は、最初の20秒(t=54~74秒)の間に起きており、その後は少量の発泡が起きた。
【実施例】
【0072】
結果として、摩擦熱のみにより、前駆体12を発泡させることができた。
ツール13の押し込みがツール13付近に摩擦熱を発生させ、高熱伝導性の銅板から成る金属板11に熱が伝わり、熱電対19の温度が徐々に上昇している。温度上昇率は、温度の上昇に伴い減少していくが、これは、銅板からの放熱量の増加によるものと考えられる。ツール13を押しつけている間は温度が上昇し、押し込み時間t=90秒で最大となる。その後、ツール13は上に動くので、温度が下降する。
【実施例】
【0073】
また、上述したと同様に、数個の試料を作製して、それぞれの試料について、温度を測定しながら発泡を行った。
その結果、試料により温度の時間経過にばらつきが生じたが、温度が上昇して押し込み時間t=90秒で最大温度となることや、700K(427℃)付近から発泡が始まる傾向は、いずれの試料も同様であった。
なお、試料による温度の時間経過のばらつきを生じた原因は、次のように考えられる。金属板11の孔11Aが断面円形であるのに対して、各試料の前駆体12が断面正方形であるため、金属板11と前駆体12の接触面積が小さくなっている。そして、摩擦攪拌の際に、ツール13の回転と摩擦等による振動によって、金属板11と前駆体12の接触状態が微妙に変化して、熱伝導に影響して、温度の時間経過にばらつきを生じと考えられる。
従って、金属板11の孔11Aと前駆体12の形状及び寸法を合わせて、金属板11と前駆体12の接触面積を大きくすれば、試料毎の温度の時間経過のばらつきを大幅に低減することができると考えられる。そして、金属板11と前駆体12の接触面積を大きくすることにより、熱伝導の効率が良くなり、同じ摩擦攪拌の条件でより短い時間で前駆体12を発泡させることや、摩擦攪拌の条件を緩くしても前駆体12を発泡させることができる。例えば、ツール13の回転速度、ツール13の断面積、ツール13の金属板11への押し込み率や押し込み時間、等の条件を低減しても、前駆体12を発泡させることができる。
【実施例】
【0074】
また、上述の実施例では、使用した機器の耐久性を考慮して、ツール13を押し込む間の負荷を減らすために、ツール13の押し込み率を1mm/分、ツール13の傾斜角θを3°としていた。
これに対して、ツール13の押し込み率を増やし、ツール13の傾斜角を0°とすれば、前駆体12付近の金属板11全体で温度を速く上昇させることができ、前駆体12をより短い時間で発泡させることができる。
【実施例】
【0075】
(発泡樹脂の実施例)
本発明の方法により、樹脂からなる発泡体(発泡樹脂)を実際に作製した。
前駆体としてポリスチレンビーズを用い、熱伝導の媒体用の金属板としてアルミニウム製板を用いて、金属板に前駆体を接触させた。そして、前駆体との接触部から離れた部分の金属板に対して、アルミニウム用のツールを用いて摩擦攪拌を行った。
【実施例】
【0076】
結果として、ツール直下の金属板の温度が110~130℃のときに、前駆体が発泡して発泡スチロールが形成された。
即ち、本発明の方法により、発泡スチロールを作製することが可能であることが実証された。
【実施例】
【0077】
従来のビーズ法発泡スチロールでは、100℃以上の高温蒸気を前駆体に当てて、圧力を加えて発泡させている。
本発明の方法で発泡スチロールを作製した場合には、ツール直下の金属板の温度が110~130℃のときに発泡しているので、前駆体が100℃程度で発泡していると考えられる。
【実施例】
【0078】
上述の各実施の形態や図9に示した実施例では、円柱状の摩擦攪拌のツール13を金属板11に接触させて摩擦熱を発生させていた。本発明の製造方法では、金属板に対する摩擦を行うための部材は、円柱状の摩擦攪拌のツール13に限定されるものではなく、他の構成を使用することも可能である。
【実施例】
【0079】
例えば、実施例の図7Bに示したように、前駆体12の作製に用いられた、円柱の先端面の中央部にプローブ24を有する摩擦攪拌のツール23を用いて、金属板に対して摩擦を行うことも可能である。
なお、図3や図4に示した、前駆体の真裏にツールを接触させる配置関係で、プローブを有する摩擦攪拌のツールを用いた場合においては、プローブが金属板を貫通してプローブの先端部が前駆体に接触しても構わない。プローブの先端部が前駆体に接触した状態の方が、前駆体への熱伝達を早めたり、前駆体と金属板との接合性を良くしたりする効果をもたらす可能性がある。
【実施例】
【0080】
例えば、四角形や多角形や円形の断面形状を有する棒状の部材を用いて、この棒状の部材を金属板に接触させた状態で、中心の周りに回転させる、もしくは、金属板の表面に平行に往復運動させることによって、金属板に摩擦熱を発生させてもよい。
【実施例】
【0081】
また、例えば、前述したように、金属板を中空のパイプ形状として、2本のパイプの一方又は両方のパイプの内部に前駆体を入れて、2本のパイプの端面同士を接触させて、接触面に沿ってこするように往復運動させることによって、摩擦熱を発生させて、2本のパイプを一体化させる接合と前駆体の発泡を同時に行っても良い。
【符号の説明】
【0082】
11 金属板、11A 孔、12 前駆体、13 ツール、14 発泡体、14A 気孔、15 裏打ち板、16 型枠、17 空間、18 他の金属板、21A,21B,21C 金属板、22 発泡剤、23 ツール
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9