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明細書 :ケトオキシム化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-149686 (P2017-149686A)
公開日 平成29年8月31日(2017.8.31)
発明の名称または考案の名称 ケトオキシム化合物の製造方法
国際特許分類 C07C 249/04        (2006.01)
C07C 251/48        (2006.01)
C07C 251/44        (2006.01)
C07C 251/38        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 249/04
C07C 251/48
C07C 251/44
C07C 251/38
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2016-034750 (P2016-034750)
出願日 平成28年2月25日(2016.2.25)
発明者または考案者 【氏名】兵藤 憲吾
【氏名】大石 尚輝
出願人 【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000914、【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
Fターム 4H006AA02
4H006AC59
4H006BA07
4H006BA08
4H006BA18
4H006BA21
4H006BA36
4H006BB12
4H006BB14
4H039CA99
4H039CD40
4H039CD50
要約 【課題】ヒドロキシルアミンを直接用いることなく、過酷な反応条件も必要としない、新たな触媒的ケトオキシム製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩の存在下で、ケトン化合物およびアセトヒドロキサム酸エチルをトランスオキシム化させる工程を含むケトオキシム化合物の製造方法に関する。トリフルオロメタンスルホン酸金属塩が、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)であることが好ましい。有機溶媒が、塩化メチレン、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、または、ノルマルブタノールであることが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
有機溶媒、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩の存在下で、ケトン化合物およびアセトヒドロキサム酸エチルをトランスオキシム化させる工程を含むケトオキシム化合物の製造方法。
【請求項2】
トリフルオロメタンスルホン酸金属塩が、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸鉄、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、または、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウムである請求項1に記載のケトオキシム化合物の製造方法。
【請求項3】
有機溶媒が、塩化メチレン、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、または、ノルマルブタノールである請求項1または2に記載のケトオキシム化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、農薬、化粧品、合成繊維、香料及びそれらの原材料として有用なケトオキシム化合物の新規な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なケトオキシム化合物の合成方法として、ヒドロキシルアミンとケトン化合物との脱水縮合反応が知られているが、ヒドロキシルアミン単体は、吸湿性を有し、熱にも弱く、分解し、さらには爆発性がある危険な試薬のため、非常に扱いにくい。そこで、その多くはヒドロキシルアミン鉱酸塩として取り扱われる(例えば、非特許文献1)。
【0003】
しかし、この方法では、化学量論の塩基とヒドロキシルアミン鉱酸塩を使用する必要があるとともに、反応後に多量の塩が発生するという問題があった。また、ヒドロキシルアミンの代わりにアセトンオキシムを用いる方法があるものの、高温条件での反応が必要とされていた。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】M.Cocivera,C.A.Fyfe,A.Effio,S.P.Vaish,H.E.Chen,J.Am.Chem.Soc.,1976,98,1573-1578.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヒドロキシルアミンを直接用いることなく、過酷な反応条件も必要としない、新たな触媒的ケトオキシム製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、温和な条件下での触媒的トランスオキシム化反応について検討を行ったところ、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩を使用すると、逐次的にヒドロキシルアミンが発生し、ケトンと反応することで、ケトオキシムが合成され、ケトン化合物とアセトヒドロキサム酸エチルを温和な条件下でトランスオキシム化できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、有機溶媒、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩の存在下で、ケトン化合物およびアセトヒドロキサム酸エチルをトランスオキシム化させる工程を含むケトオキシム化合物の製造方法に関する。
【0008】
トリフルオロメタンスルホン酸金属塩がトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸鉄、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、または、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウムであることが好ましい。
【0009】
有機溶媒が、塩化メチレン、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、または、ノルマルブタノールであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヒドロキシルアミン等価体としてオキシム化合物を扱うことがで、高価な触媒や試薬を用いることなく、過酷な反応条件も必要せずに、温和な反応条件で、高収率かつ高選択的にアケトオキシム化合物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のケトオキシム化合物の製造方法は、有機溶媒、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩の存在下で、ケトン化合物およびアセトヒドロキサム酸エチルをトランスオキシム化させる工程を含むことを特徴とする。本発明は立体選択性が非常に高く、E体を高収率で合成することができる。

【0012】
ケトン化合物としては、>C=Oで表される化学構造を有する限り、特に限定されないが、たとえば、アセチルメチルケトン、(トリフルオロメチルフェニル)メチルケトン、(メトキシフェニル)メチルケトン、フェニルメチルケトン、(メチルフェニル)メチルケトン、フリルメチルケトン、チオフリルメチルケトン、フェニルエチルケトン、ジフェニルケトン、ノニルメチルケトン、シクロドデシルケトン、1-インダノン、α-テトラロン、エストロンなどが挙げられる。これらのケトン化合物から、対応するケトオキシム化合物を合成することができる。

【0013】
有機溶媒は特に限定されないが、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、ジエチレングリコール、アセトン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルアミノホルムアルデヒドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、2種以上を混合して使用することもできる。なかでも、環境負荷、反応収率の点で、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、ジエチレングリコールなどが好ましい。

【0014】
トリフルオロメタンスルホン酸金属塩は特に限定されないが、スカンジウム(III)塩、ニッケル塩、亜鉛塩、イットリウム塩、ランタン塩、イッテルビウム塩、鉄塩、銅塩などが挙げられる。これらの金属塩は、2種以上を混合して使用することもできる。なかでも、反応収率の点で、スカンジウム(III)塩が好ましい。

【0015】
ケトン化合物に対するアセトヒドロキサム酸エチルの添加量は、ケトン化合物1モルに対して1~10モルが好ましく、1.5~10モルがより好ましい。1モル未満では、反応は完結しなくなる傾向がある。

【0016】
トリフルオロメタンスルホン酸金属塩の添加量は、ケトン化合物1モルに対して0.01~1モルが好ましく、0.01~0.10モルがより好ましい。0.01モル未満では、反応が完結しない傾向がある。

【0017】
反応温度は特に限定されないが、20~80℃が好ましく、40~80℃がより好ましい。80℃を超えると、溶媒が揮発する傾向がある。また、反応時間も特に限定されないが、1~72時間が好ましく、24~48時間がより好ましい。1時間未満では、反応が完結しなくなる傾向がある。

【0018】
本発明の製造方法によって得られたケトオキシム化合物は、医薬品、農薬、化粧品、香料およびそれらの原材料として有用である。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【実施例】
【0020】
実施例1 (E)-2-ナフトアセトフェノキシム(化合物3a)の合成
室温、アルゴン雰囲気下、試験管(撹拌子入)に2-ナフトアセトフェノン(57.9mg、0.346mmol、1.0eq.)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)(8.4 mg、0.0170mmol、5mol%)、エタノール(0.34ml、1.0M)、アセトヒドロキサム酸エチル(52.6μL、0.510mol、1.5eq.)を加え、室温で24時間撹拌した。その後、酢酸エチル20mlを加え、反応液をシリカゲルパッドに通して減圧濾過し、溶媒を留去してNMRを測定した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学(株)製、silica gel60(40-50μm)、ヘキサン/塩化メチレン=2/8から塩化メチレン/ジエチルエーテル=95/5)で精製し、白色の(E)-2-ナフトアセトフェノキシム(化合物3a)を62.3mg(収率99%)を得た。
化合物3aのNMRデータは、以下の通りである。
【実施例】
【0021】
(E)-3a:H-NMR(CDCl,400MHz,ppm)δ2.42(s,3H),7.48-7.52(m,2H),7.83-7.89(m,4H),8.03(s,1H),8.78 (br,1H);13C-NMR(100MHz,CDCl)δ12.2,123.4,126.1,126.6,126.8,127.8,128.4,128.6,133.2,133.8,133.9,156.1.
【実施例】
【0022】
実施例2
実施例1において、2-ナフトアセトフェノンの代わりに種々のケトン化合物を使用して、下記化学式で示すようにケトオキシム化合物を合成した。得られたケトオキシム化合物、収率、E/Zを以下に示す。
【実施例】
【0023】
【化1】
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【実施例】
【0024】
【化2】
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【実施例】
【0025】
電子求引性置換基を有する芳香族ケトンでは高い反応性を示した。一方、電子供与性置換基やチオフェン環を有する芳香族ケトンは触媒量を5mol%に増やすことによって、高い収率が得られた。また置換基の位置についてはオルト位の時に反応性がやや低下する。パラ位、メタ位については良好な結果が得られた。その他にベンゾフェノンの時には収率が低下し、脂肪族ケトンは良好な反応性を示した。またナイロン-12の原料となる3nや乳癌治療薬の候補化合物の前駆体3oについても高収率で得られた。
【実施例】
【0026】
実施例3
表1に、ナフチルメチルケトンとアセトヒドロキサム酸エチルのトランスオキシム化反応において、種々の触媒を使用して反応させた結果を示す。触媒としては、エントリー9のトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)が最も優れていることがわかる。
【実施例】
【0027】
【化3】
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【実施例】
【0028】
【表1】
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【実施例】
【0029】
実施例4
表2に、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)存在下でのナフチルメチルケトンとアセトヒドロキサム酸エチルのトランスオキシム化反応において、種々の有機溶媒を使用して反応させた結果を示す。溶媒としては、塩化メチレン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールが最適であることがわかる(エントリー1、5~7、9)。
【実施例】
【0030】
【化4】
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【実施例】
【0031】
【表2】
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【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、ヒドロキシルアミン等価体としてオキシム化合物を扱うことができ、温和な反応条件で、高収率でケトンからケトオキシム化合物を得ることができる。得られたケトオキシム化合物は、医薬品、農薬、化粧品、合成繊維、香料及びそれらの原材料として有用である。